FC2ブログ

Latest Entries

【依頼小説】女体化オークション 作 千景 イメージキャラ Meito 後編

作              千景 https://skima.jp/profile/?id=23210
イメージキャラデザイン Meito https://twitter.com/meito_67

20180827073931016_20190207165637739.png

◆◆ 前編はこちら

「ひっ、あああああっ!? ひゃっ、やっ、やあっ!!」
「流石によく締まっているな……なかなか好みだ。そら、もっと突くぞッ」
「おおおおぉぉぉっ───!! 奥、奥突いちゃらめぇっ!?」

 ズッ――ぬぷぅッ!!
 先端の亀頭がぬかるむ真琴の膣道を、変わりたての秘部を一気に割った。
 まるで大砲の弾が直撃したかのような衝撃に真琴の頭の中が真っ白に染まる。

「あ、あ、あっ、ふぁぁぁぁ……っ!!」

 悲鳴と同時に開いた上の唇の内側で、唾液に塗れた舌がピンと尖った。
 空虚を抱きしめ続けていた筒が欲望の形に歪み、肉壁を押し退けていた。
 灼熱を伴う男根は真琴を狂わせるのに十分な大きさと太さだ。顔が蕩ける。はしたなく人相が歪む。

「(気持ちいい……っ。女の子って、みんな、こんなこと……!!)」

 本来であれば一生味わうことなく済んだであろう乱暴な快楽に、人生観が瞬く間に書き換えられていく。

「んんんっ、あぁぁっ、あふ……っ!!」

 例の薬で作り変えられた身体は、どうやら随分と性行為に向いているらしい。感じやすい、と言い換えるべきか。
 初めての挿入だというのに痛みは皆無で、全身が歓喜の悲鳴をあげるのを堪え切れない。
 昂ぶる気持ちがコントロール出来ない。
 相手の逸物はまだ膣を埋めただけでまったく動いていないというのに、真琴はそのたった一突きだけで興奮の天井に追いやられてしまった。
 先で子宮口を少し掠られただけでも、すぐに絶頂へ到達してしまう予感があった。
 
「こっちも味わってみようか」
「ひうっ……!?」

 身動き一つ取れずに硬直する、真琴。
 そこで突然、彼の腰を包んでいた手が、露出したままの美尻肉を揉みしだいた。

「ふあぁっ、はうっ――んんっふ……!
 お尻、お尻だめっ……揉まない、でぇ……!!」

 上等なマッサージにも似た気持ちよさに思わず気の抜けた声を出してしまう。
 間抜けな声に頬を赤くする理由はないし、そもそもとっくに顔は真っ赤っかだ。
 だがそれすら序章と言わんばかりに、次の瞬間――真琴は本当の意味で腰砕けになってしまった。
 半澤の指が、菊座をなで上げたのだ。今までただの一度も触れられることのなかった、盲点の感帯。

「っっ!? そっち、違……ッ!?」

 指の圧をきゅっ、きゅっと跳ね返している内に、納めたままになっていた男根が突如動き奥をくすぐった。

「あっ、あああぁぁあああ――!?」

 それだけで最奥部が敏感に反応する。真琴の予感は的中していた。
 ほんの僅かな膣道の擦れが、早くも達しかけていた真琴に止めを刺して潮を勢いよく噴出させる。
 身体の中心から響き渡る快感が背骨を伝って脳髄を揺らし、思考を焼き尽くす。

(す、ご……! 男の、男の人のちんぽって、こんな気持ちいいの……!)

 早くも、心まで女のそれに適合し始めながら。
 オナニーや、恐らく女体への挿入でも絶対に得られなかったろう"挿入される"快感に真琴は為す術もなく打ちのめされることと相成った。

「んんっ、はっ、はあ、……ああんっ、はあ……すごい……すごいぃ……っ!」
「さ、まだまだ行くぞ……ッ!!」

 頭の芯が痺れて、思考に靄がかかる。
 膣内を犯されて到達する。男としてはあってはならない醜態だが、女としては本懐だ。
 余韻に浸って項垂れる真琴へ、半澤が再び腰をぶつけ始める。

 ――ぱしんッ! ぱしんッ!! ぱしぃぃぃんッ!!!

 荒々しい腰使いで、震え続ける膣道を貪るように犯し続ける半澤。
 真琴の髪が小さく揺れ、快楽を助長するように叩かれた美尻がぶるると震えた。

「ひああっ、ああっ、まだ、イったばっかりなのに……!」

 絶頂の余韻が去らぬまま、更に追い詰めようとする半澤の行為に、真琴のか細い理性は完全に吹き飛びつつあった。
 誘うような動きに快楽が燃え上がる。到達した体は悲鳴をあげているのに、真琴のもっと深い部分は依然としてかつての象徴を求め続けていた。
 二律背反の均衡はすぐさま崩れる。楕円を描くように半澤が腰を動かして、真琴を責め立てたからだ。

「ぁっ、ぐりぐりしちゃ、らめ……!」

 しかし肝心な部分は接触しないままだ。
 子宮口ではなく、膣道の浅い部分に亀頭を押しつける。
 入り口のごく浅い部分に亀頭が当たっていた。
 秘芯の真裏のあたりが肉棒に押されるたびに齎される鋭い悦びが真琴を快楽の奈落に突き落とす。

「おいおい、早いな。もう"堕ち"始めてる」
「ふぇ……ッ!? 僕、何をっ……」

 四つん這いのまま、気付けば真琴は自ら亀頭を求めて腰を振るっていた。
 お尻の表面が相手の太ももにあたって波立つ。膣から生まれる透明な雫が、出し入れによって飛沫していく。
 羞恥の感情はもう彼方に吹き飛んでしまった。そんなものは最早頭の片隅にすらなかった。
 霞んでいく視界と溶けていく思考のなか、交合の快楽に身も心も溺れていく。

「(ああっ、だめ、だめだっ……! これ以上やったら、戻れなくなるっ……!
  なのにっ、なのになんでっ、腰止められないのっ……!!?)」

 自ら奥へ奥へといきり勃った逸物を導き、快楽の沼に落ちていく真琴。
 ベッドへ滴るほど愛液の満ちた筒で男根を包み込む。
 入り口がくちゃくちゃと音を立てて男根を納め、子宮の口が亀頭をそそり上げる。
 名器と真琴の姿に絆されたのか、半澤が真琴の腰を掴み、自分の側へと引き寄せた。

「ああっ、ふああんっ! んんっ!!」

 真琴は光悦の表情のまま、瞳を見開く。
 膣奥が押し上げられていた。
 あまりの良さに悲鳴さえあげられない。
 半澤はそのまま真琴の腰を掴み取り、腰を叩き付けてゆく。

 呼吸を絶え絶えにしつつも、真琴は巨根を受け止め続ける。
 脚も腰も熱に溶けて力が入らないが、それでも真琴はこの陵辱を受け入れ続けていた。

「ああっ、いっ、イクッ……! なんか、なんか来るぅぅぅっ……!!」

 余裕のない声音で叫び、真琴は全身を震わせた。
 ボルチオの快感に、身体が負けてしまったのだ。
 唇を噛み締めて悶える真琴の奥深いところにとうとう亀頭が押し当てられた。
 子宮口を亀頭の先で蓋するような、これ以上ないほど密着した性器が欲望を放つ。

「ふあああっ、あああ!! ああああああぁぁぁっ……!!」

 薄い木版くらいなら平気で貫通しそうな勢いで迸る精液。
 子宮口が一瞬で粘液にまみれ、勢いよく跳ね回る。
 直接突かれるよりも遥かに複雑で一定しない刺激が押し寄せる。
 子宮ごと揺さぶる膣内射精の衝撃は、真琴を更なる高みへと連れ去っていく。

「なかなかいい穴だった。合格だぞ、二階堂真琴───いや。おまえは今日から、"真子(まこ)"だ。そう名乗れ」
「ひゃ、いぃ……」

 ――奥に塗りつけられるたび、真琴は背中を震わせ続けた。
 射精が粗方収まると同時に、冷たい床へと崩れ落ちる。
 精液が丸出しになっている臀部や、白濁に濡れた太股に飛んでいく。

「(ぼく、ぼく……終わっ、ちゃった……)」

 終わった。終わってしまった。
 男なのに女の体にされただけでは飽き足らず、女体の快楽までも貪ってしまったのだ。
 
 ごめんなさい、お母さん、お父さん。
 僕はもう、男の子には戻れそうにありません。
 
 そんな風に心の中で詫びる健気な様子とは裏腹に───真琴改め真子の口元は、だらしなく、緩んでいた。


【依頼小説】女体化オークション 作 千景 イメージキャラ Meito 前編

作              千景 https://skima.jp/profile/?id=23210
イメージキャラデザイン Meito https://twitter.com/meito_67

20180827073931016_20190207165637739.png

 二階堂真琴───十七歳、高校二年生。
 彼は端的に言ってどこにでもいる、ごくごく普通の男子高校生であった。
 文も武も特別秀でているわけではなく、クラス内でのカースト順位も至って平均的。
 反社会的な物事には手を出さず、所謂オタク文化に傾倒することもなく、毎日のテレビ番組に一喜一憂するような。そんな人物だ。
 だが、しかし。運命とは分からないもので、そんな彼の人生が平凡でなくなる時が突然やって来た。
 
「……はあ、すっかり遅くなっちゃったな。母さんにどやされなきゃいいけど」

 部活動の練習を済ませて帰途に着く頃には時計の針が七時を回り、辺りは完全に暗くなってしまっている。
 ただでさえ些か過保護気味な母親なのだ。帰ってからまたあれこれ聞かれるのだろうと想像し、陰鬱な気分になる真琴。
 勉強道具がぎっちり詰まった手提げ鞄を片手に家路を急ぐ彼の背後から車の走行音が聞こえたのは、まさにそんな中のことだった。

「ん───なんだ?」

 後ろからやって来た車が、緩やかなブレーキ音と共に真琴の傍らで停まる。
 見覚えのない車だが……ひょっとして親戚の誰かが新しい車でも買ったのだろうか?
 そう思いつつ車内に目を向ける真琴だったが、開かれた窓の向こうに見える運転手の顔は真琴の知るものではなかった。

 本来ならば、この時点で逃げるべきである。
 しかし真琴はそうした危険とは無縁の日常生活を送っていたことと、男である自分がその手のトラブルに巻き込まれることはまずあるまいという思い込みが災いし、のん気にもその場に立ち止まってしまった。
 それが運の尽き。後部座席のドアが乱暴に開かれ、そこから数人の男たちが飛び出してくる。
 「あ、マズい」と真琴がようやく思い至った時には既に、彼らの屈強な腕が真琴の身体をがっちりと捕まえてしまっていた。

「や、やめろっ! 何するんですか、離してっ……むごっ!?」
「うるさいな、少し黙ってろ。痛い目は見たくねェだろ?」

 流石に危機感を覚えた真琴が手をバタつかせて暴れるものの、時既に遅し。
 抑え込まれた身体はびくともせず、大声で喚き立てる口にはボールギャグがねじ込まれた。
 涎を垂らしながら、声を出すことも出来なくなった真琴が車の中に連れ込まれ……何事もなかったかのように発進。
 何処かへと、傍目には普通の一般車にしか見えないワンボックスカーが向かっていく。
 二階堂真琴という、平穏でない世界を知らない少年を乗せて。彼を───非日常の世界へと連行してゆく。

「(一体、何が……)」

 何が、どうなってるんだ。
 未だにさっぱり事態が呑み込めない真琴の声なき問いに対する答えは、当然返ってこなかった。

 ……そして彼はこの後、その身を以って欲した答えを知ることになる。


◆◆


「やっ、やめろっ、離せぇっ! 警察、警察呼びますよ……!!」
「んー? ああ、別に構わないよ? 呼べるものならご自由に」

 真琴が連れられた先は、白い壁に囲まれた無機質な独房めいた部屋だった。
 身体を椅子に縛り付けられ、手足の自由も利かない。
 だからこそ、彼の"警察を呼ぶ"という脅し文句に一切の効力はなく、逆に滑稽にすら聞こえてしまうのが憐れであった。

「そんな暴れないの。ちょっとお注射するだけでしょ」

 白衣に身を包んだ、胸にメロンでも入れているのかというほど豊満な膨らみを持った女。
 女医、なのだろうか。くすくす笑う彼女の手にはしかし、得体の知れない青い液体で満たされた注射器が握られている。
 どう考えても危険な薬なのが丸分かりだ。あれに比べれば病院の注射など屁でもないと断言出来る。
 しかし、そんな彼のいじらしい抵抗も虚しく───注射針がその色白な肌に触れ、ぷつりと音を立てて潜り込んでいく。

「あっ……!」

 途端に顔を青ざめさせる真琴。
 恐怖を浮かべる彼のことなど一顧だにせず、液体はその体内へと投与されてしまった。一滴とて残さず、だ。
 目に見えて怯えている真琴の姿が面白かったのか、煽りの言葉が飛ぶ。
 
「よしよし、お注射頑張れまちたね~。もうお兄ちゃんなんだから、あんなに暴れちゃダメでちゅよ~?」
「う、うるさい……! 僕に、何を注射したんですか……!?」
「んー」

 当然の疑問を投げつけられた女医は腕を組んで天井を見つめた。
 どう答えればいいのかな、と悩んでいる様子だったが、彼女は程なく意地の悪い笑みを浮かべてみせた。
 吐息の香りが嗅ぎ取れるほど顔を近付けて、言う。否……意地悪く、仄めかす。

「すぐに分かるよ」




 ───その言葉の意味を真琴が理解したのは、本当にそれからすぐのことだった。

「あっ、うっ……何、何これぇ……!?」

 身体が疼く奇妙な感覚。
 身体の芯から湧き上がってくる熱。
 なのに痛みや苦しみは不思議となくて、酒に酔ったみたいに頭がぼうっとする。
 堪らず身を捩らせる真琴だが、やはり椅子の拘束はびくともしちゃくれなかった。

「(あの人、僕に何をしたんだ……?)」

 自分の体内で、何か良くないことが起こっている。
 真琴にもその程度は理解出来たが、あくまで分かったのはそれだけだ。
 恐怖と疑問が満たす彼の脳髄を救ったのは、それらが吹き飛ぶほど激しい驚き。

「っ───!?!?」

 不意に気付いた。本当にふと、その異変を見つけることが出来た。
 男らしく膨らみとは無縁だった筈の胸板が、明らかに盛り上がってきている。
 最初はまだ気のせいで片付けられる程度の変化だったが、徐々に膨らみは男性としては異常な大きさへと変わっていった。
 真琴の気付きから三分も経った頃には……彼の胸はすっかり女体のそれと変わらない、豊満なものをぶら下げていた。

「何、これ……おっぱい……? どうして……」

 何が何だか分からない。
 そんな心地の真琴だったが、彼を苛む災難は胸以外にも山ほどある。
 ただそれらは服で隠されていたり、自分の目では確認出来ない箇所だったりするものだから分からないだけ。
 もしもこの光景を見ている人間が他に居たならば、目を瞠って驚いたことだろう。

 真琴の腰やくびれのラインは目に見えてほっそりと可愛らしく整っていき。
 真琴を男たらしめる何よりの象徴である股間の逸物は少しずつ小さくなり、果てには消えてしまい。
 代わりとばかりに、一筋の秘裂に置換されてしまったのだから。


◆◆


「二百万円!!」
「ふん、なら俺は四百万で買うぞ!」
「儂は六百万出すッ」

 声高に響く、現実離れした金額。
 真琴の姿は今、オークション会場の壇上にあった。
 首には輪を付けられ、傍らの職員にリードを引かれ逃げられない状態で、彼は"商品"へと成り下がっていた。
 
「なんだよ、これ……これが、僕だってのか……?」

 しかし、今の真琴にはそれすら頭に入らない。
 その理由は、彼の前に用意されている等身大の姿見の所為であった。
 そこには、真琴の今の姿が詳らかに写し出されているのだ。
 ……すっかり見る影もなく変わってしまった、自分自身の姿が。

「う、嘘だっ! こんなの、こんなの僕じゃないっ!!」

 体格は細く淑やかなそれに変わり、胸は膨らみ一丁前に主張を見せている。
 無理矢理着させられた衣装は言わずもがな女物で、痴女と言っても何ら語弊のないものだ。
 明らかに布面積の少ない下着に膨らみは確認出来ず───真琴にも自分のモノが締め付けられている感覚はもはやない。

 二階堂真琴は、完全に女体化してしまっていた。
 今の彼は百人が見れば百人が認める、何処に出しても恥ずかしくない立派な美少女に他ならなかった。

「千二百万!」
「なにくそ、千五百万でどうだ!」
「こうなりゃヤケだ、二千万!!」

 そんな彼の心境を他所に、オークションは進行していく。
 二階堂真琴という女体化性玩具を争奪する、道楽家共の競りが。
 理解を越えた目の前の現実に───真琴はぺたりと、女の子そのものの姿勢でへたり込んでしまった。

「(こんなの……悪い、夢だよ───)」

 冷たい床の感触が、新調された性器を疼かせる。
 男性器では決して感じられなかった感覚を、まだ真琴は定義出来ずにいたが。
 彼が現実を受け入れようが受け入れまいが、オークションは一切構うことなく進んでいき。


「三千万円。悪いが、今夜は俺が買い取らせて貰うぞ」


 順当に、終結を迎えた。
 どこかの企業の社長なのだろう、スーツ姿に黒髪の若い男だった。
 一気に金額を跳ね上がらせた彼の一声に続く者は結局現れることなく───二階堂真琴の買い取り手が決定したのだ。

「落札おめでとうございます、半澤様。早速お使いになられますか?」
「そうだな。せっかく大枚叩いて買ったんだ、穴の具合を確かめておこうか」

 半澤、と呼ばれた落札者がズボンを下ろすと、そこにはかつての真琴のものですら及びも付かない巨根が鎮座していた。
 既に準備万端なのか完全に勃起しており、失意の真琴も思わずその威容に釘付けになってしまう。

「あ、あ……」
「ふふ、初心だな。俺好みだ───」

 ───あるいは、それは。
 男であることを辞めた彼に芽生えた、新たな"本能"であったのかもしれない。

「───今日はたっぷり可愛がってやる。覚悟しろ」


◆◆ 後編に続く

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ (kagami0235さんの電子同人小説) サンプル⑤

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ FANZA版
妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ DLsitecom版

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~

(嘘だろ……ま、さか……俺の方が? これは、もしかして――!?)
 嫌な予感が頭を過ぎり、顔色を青くさせて、ラルフは掌を握る。
 さらにそのまま……開き、また握りを数回繰り返した。
 すると、可愛そうなくらい青ざめているパステルも小さな手を何度も開閉させていった。
「――っ、っ!!」
 まるで自分の動きをトレースしたかのような妻の行動に、驚く。
 ……と。
 彼の頭から生える金髪が、緩やかに波打ち、板枷にぶつかった。
 鏡の中のパステルのブロンドもゆっくりと跳ねては、板枷に絡み付いた。
 そして、決定的だったのは――やはりと言うべきか――胸元の、たゆん、ぷるるん、たぷるん!!
 盛大に揺れて弾む謎の球体であった。少しの身動ぎだけで、途轍もない負荷が掛かる肉塊にラルフはバランスを崩す。
 途端、魔法の壁に映っているエルフ娘も、板枷に苦しめられながら、必死に乳房を支えようと足腰を踏ん張っていた。
「そんな……これは透視の魔法じゃ、ない? これは、これは――」
 パステルと同じように豊満で大きな肉の塊ふたつを……胸で揺らし弾ませ、ラルフは己の思い違いに気が付いた。
 目の前の魔術は――単なる”鏡”なのだ。
 即ち……この哀れな姿で映し出されている妻は、パステルは。
「俺が……お、れがっ……パステル? この体は――パステルの! 妻の体だと言うのか!?」
「正解……じゃあ、私は誰だと思う?」
「ひぃいっ!?」
 パステルに気を取られていたラルフは、簡単に後ろを取られていた。
 相手は勿論――自分の姿をした謎の大男。
「お、おい……まさか、それ――その体は……俺のなのかっ!? ……お、前はパステル――――じゃないッ!? ……レーア! レーアなのか!!」
 屈強な戦士とは思えないほど、声を裏返しながら、ラルフは問いかけた。
 すると、あっさりとその大男――いや、彼自身の肉体を乗っ取った”魔女”は、自身の正体を告げる。
「大正解――どう、かしら? 七年間の望みが叶って……これは、ラルフ……あなたが望んだことなのよ? ……うふふふっ!!」
「な、なに? 俺の……望み? これが――妻の体になることが、なんで俺の望みになるんだっ!!」
「ふふ、だって……」
「うわっ! はな、せえ――っ!!」
 ラルフの体となった”魔女”――レーアは、今や巨漢の男。
 それに対して今のラルフは、板枷を付けられたエルフ娘でしかない。
 強引に、魔術で生み出された鏡の前に立たされる。
 たゆん、ぷるるん、と彼の見えないところで――板の下で、豊満な爆乳が激しく波打った。
「あなたは妻を取り戻したい。 ――けど……あの娘、パステルは私から離れたくない。 一生、私の僕でいたい……ってお願いされる。 だから考えたの……夫であるあなたには――”あの娘の体だけを返してあげよう”って! ふふ……良かったわねぇ。 愛する妻と文字通りに一つになれて。 しかも、これで二度と離れることもないわ……くふっ、あはははは!」
「ち、違う――!! パステルが、そんなこと言うもんかっ! こんなこと俺は望んでいないっ!! だっ、……だいたい!?」
 レーアの発言に、ラルフは黙っていられなかった。
「なんでお前が――俺になる必要があるんだ! そういうなら……パステルが俺に……俺の体になっている筈だろ!?」
「いやよ。 そんなの……退屈じゃない! 私も……混ぜなさいよ!! こんな面白いことは……本当に、久しぶりなんだからっ!!」
「たい、くつ……? 退屈って言ったのか!? こんな……人の体を入れ替えて!? 俺の体を奪って――俺を妻の体にして……たっ、退屈だとぉぉ、おお~~ッ!?」
 肉体と精神――いや、魂の交換など、超高等魔法である。
 いや、さらに言えば高が『退屈』のためだけに、己の肉体を他人の物と取り換えるなど、ラルフには理解できなかった。
「ラルフ――あなたはとっても興味深い! とっても、面白いのよ! ここまで私の魔力に染まらない人間は……珍しいのよ! ……だから、そんな男が、私の前に現れたら……肉体を奪ってしまうのも――仕方ないでしょ?」
「そんな、そんな……ばかなっ!!」
 『それに肉体交換なんて、6000年前に飽きるほどやったし――今更ね』と付け加えたレーア。
 その瞬間に、ラルフは思い知る。
 人間は勿論、エルフやダークエルフとも異なる価値観。
 逸脱した倫理観。
 これが”魔女” レーア・ハブウッド……。
「くっ、ぅ――――!!」
 パステルを助けようとしたことに、悔いはない。
 しかし、ずっと”魔女”に辱められてきた妻の体だからなのか。
 ぞわぞわ、ぞわりっ……。
 今まで感じたことのない悪寒が脳裏に押し寄せ、思わず震えてしまう。
 すると、牛の乳のようなおっぱいが痛いくらいに上下した。
 薄暗闇の中、淫靡な肉球体ふたつが残像を描き左右にも揺れて、汗雫が牢の床へと飛散する。
「うふふ、ふ――お願いだから、出来る限り長く抵抗して頂戴ね♡ 私を退屈しないように頑張れば……元に戻してあげなくもないわよ?」
「俺を……俺をどうするつもりなんだ! つ、妻の体で……っ!!」
「決まっているじゃない――あなたの妻が味わった快感を、今度は夫であるあなたが味わうのよ。 私の可愛い奴隷としてね――あははは!!」
「…………っ、っ」
 女口調で話し、傲慢に高笑いするレーアの姿に……自分の本当の肉体が完全に他者に奪われたことを思い知らされたラルフ。
 妻であるエルフ娘になってしまった彼に出来ることは、精いっぱいにレーアを睨み上げて、悔しそうに歯を噛み締めるだけであった。

(どんな……苦しみでも耐えてやる! 耐えきって……自分の体も、パステルも取り戻す!! 俺は絶対に諦めないからな――!!)

 不屈の闘志を燃やし、レーアへの反逆を再度誓うラルフ。
 だが、彼はまだ気づいていなかった。
 
 妻のカラダとなったラルフは、今や完全な女であり――レーアの”奴隷”になることが、どれほどの地獄であるのかを。

001_201901301451574f1.jpg

 どれほど抗い、もがき、祈ろうが――ラルフ・ドリーテに待っているのは、
 底無しの闇であった。

全文を表示 »

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ (kagami0235さんの電子同人小説) サンプル④

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ FANZA版
妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ DLsitecom版

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~

「…………んっ、こ……ここ、は?」

 暖かな思い出――いや、夢から目覚めたラルフに待っていたのは、地下牢であった。
 湿った空気。冷たい床。窓のない狭い部屋と、鉄格子。
(そうか……俺は……あのまま……)
 幽閉された部屋にひとり残されたラルフは、嫌でも先程の出来事を思い出してしまう。
 妻パステルとレーアとの、信じられない痴態を。
(違う……あれは、違う! 妻は――パステルは正気じゃない! 操られているんだ……あの女に! 魔女に!!)
 夫である自分でも一度も交わることが叶わなかった妻を、思うが儘に蹂躙したレーア。
 そして、そのダークエルフに身も心も委ねているような、淫蕩の表情を浮かべたパステル。
 しかし、それでも彼には僅かな希望が残っていた。
 彼女は自らの意思で、”魔女”を慕っているわけではないと、そう信じる。
 なぜなら……。
(魔女――レーア・ハブウッド。 1万年は軽く生きている、化け物だ。 きっとパステルもあいつの魔力に、正気を失っているんだ!!)
 ”魔女”と呼ばれるダークエルフ。
 レーア・ハブウッドは、生きた伝説である。
 曰く、その尋常ならざる魔力は女神や魔王すらも脅かし、彼女の近くにある全ての物が、その魔力によって支配される。
 曰く、彼女の魔力に汚染された土地ごと封印結界で閉じ込めたが、それでも彼女を信仰する人々が集まり、小さな国を作ってしまった。
 曰く、退屈凌ぎに戦争や殺戮を引き起こし、近年ではそれにも飽きて男や女を、とっかえひっかえして、堕落の限りを尽くしている。
 そう言った話が絶えず存在し――そして、それのどれもが真実であった。
(あいつから離せば……パステルを取り戻せる。 でも――ぐずぐずしていたら、俺もあいつの魔力に支配されてしまうかも。 急いで……脱出だ!!)
 『自らの意思で、パステルは夫を裏切った訳ではない――』。
 そう思うしかなかった。今は……。
 故に、ラルフの行動は早かった。
 結わえていた長髪に隠していた、脱出用の魔法道具を取り出そうと腕を動かす。
「な、に――?」
 だが……振り上げた筈の手は、空を切った。
 何度腕を動かそうとしても、硬い何かに邪魔をされる。
 ガチャ、ガチャ、と手首ふたつと首から金属的な音が鳴り続けた。
(なんだ――板、枷? いつの間に――?)
 四肢に括りつけられていた鉄球は姿を無くし、代わりに板状の枷がラルフの両手と首を固定していたのだ。
(くそ――ふざけやがって!!)
 小さく舌打ちをしながら、軽く体を動かす。
 結わえた髪の方から、掌に乗るように仕向けたのだ。
 ……けれども。
「うわっ!? あぐっ、っ……!?」
 胸の方でボリューム豊かな何かが、たゆん、たぷるん、と揺れて弾んだ。
 華奢な足腰では、その反動に堪え切れず、ラルフは強かに転倒してしまう。
(おかしい――? 何かが……なにか、変だ――!?)
 悪夢のような現実に。幸せであった夢に。
 意識を振り回されていたラルフも、自身の体の異変に気が付いた。
 血走った目が、必死に辺りを見渡す。
(き、ん? 髪の色が……なんだ、金色だと? それに……なんだ、これ? 腕や、足が……細い? それ、に……腰が括れて……胸に、たぷるん、たぷるん、と揺れる物体が……付いている? しかも、これ……直接肌にくっ付いてないか?)
 銀髪は、金色の髪へと変わっている。
 無造作にウエーブの掛かったブロンドは、項や枷へと散らばっていた。
 花の香りのような、甘い臭気が鼻孔を擽る。
 その上、手足は冗談のようにか細くなっており、これではとても剣など振るえない。
 それに腰が異様なほど括れたのに対し、臀部も、乳房も、柔らかな肉がこれでもかと言うくらい盛り上がっている。
「うぐっ! く、そぉ……うっ、ぐっ……はぁ、はあ、はー……!!」
 特に胸の砲弾型の球体には大苦戦。
 ラルフは情けない喘ぎを見っともなく漏らしながら、不安定な体のバランスに慣れるしかなかった。
 たゆる、ぷるん、胸が盛大に揺れる。
(くぅ――あ、あぁ……ん!)
 妙に甘酸っぱい痺れが、全身を蝕んでいく。
 唯でさえ湿った地下の空気のせいで、ラルフの体は嫌な汗でいっぱいだった。じめじめと肌が滑る。
「くっ、そぉ……あいつ。 あの魔女……俺に何をしやがった!? ――喉も、これっ! 何か……されたのかっ? すげぇー……声が高いぞっ!? はぁ、はぁ、はあー……!」
 汗が渇かず、むしろ、量が増し、むしむしと全身が熱くなる。
 すると、胸に付いた謎の球体の頂点が、『ツン』と反り返り、悩ましい疼きが神経を遡って来る。
 まるで自分の乳首のように、感覚が彼に伝わってくる。
(いやっ――!! そんなわけっ……あるか! 喉がすげー、甲高くなっていても……こんな、どう考えても……女のおっぱいのような形や感覚でも!! 俺は男で、戦士だ! 俺は、男なんだ!!)
 女性特有のソプラノ声しか発しない声帯も、牛のように大きく柔らかい肉房も。
 全ては”魔女”の、レーアの幻惑に過ぎない。
 そう信じて、何度も何度も転び倒れながら、どうにかラルフはぷるぷると直立した。
「――ふふ。 どう約束通りに返してあげたわよ、あなたの”妻”を」
「おまっ、ぇ……? お前は――な、なっ!? 馬鹿な!?」
 ただ立つと言う行為に随分と疲労したラルフ――すると、その前に、大男が現れた。
 それも自分が見上げなければならないほどの、巨人の如き巨漢の男だ。
 しかし、その圧倒的な背丈も驚愕なのだが、その顔に彼の両目は釘づけにされた。息すらも忘れて、男を見やる。
「なんで、お前! 俺と同じ顔なんだ……お前はいったい!?」
 その顔は、まさしく”ラルフ”そのものだ。
 子供の頃から一生懸命に鍛え上げた巨漢の身体に反し、端麗な顔付きのまま成長した――凛々しい男の顔。
 それは紛れもなく自分の顔……いや、自分の『肉体』であった。
「当ててみなさい。 少し考えれば分かるから――くふ、ふ」
 眼前の”ラルフ・ドリーテ”が微笑んだ。妙に女っぽい口調で。
「なに、が……起きて――お前はなんだ? 俺の体に何をした!? レーアは! パステルは、どこにいったんだっ、っ!!」
 ラルフの声が、地下室に響き渡る。
 ……が、透き通ったソプラノ声のため、少しも迫力はない。
 まるで非力な娘の絶叫のようであった。
「あははは! いるじゃない! ここに!! ……そして、あなた自身が――愛しい妻そのものなのよッ!!」
 ぱちん、と音がした。
 薄暗闇の中、ラルフの姿形を真似る大男が、指を打ち鳴らしたのだ。
 そして、魔法の気配が背後に現れる……。
(なん、だ……? 後ろに、何をしてっ……?)
 ラルフは、転ばぬようにゆっくりと後ろに振り返った。
「……えっ? ぱ、ぱすっ――!?」
 輝いていたのは魔法で作られた大きな壁、そして、ラルフの妻――”パステル・ドリーテ”の哀れな姿が、空中に映し出されていた。
(パステル! パステル!!)
 先程、裏切られたばかりだと言うのに……それでもラルフは我を忘れて、愛しい妻へと飛び出した。
「あぐっ! ぐっ――パステル! 待ってろ、今俺が救い出してやる……! ああ――こんな格好をさせられて……可哀想にッ!!」
 妻パステルの姿は――とても、酷い物であった。
 まず真面な衣服を着ていない。
 メイドの服すらも剥ぎ取られ、僅かな面積の乳当てと股当てだけが、妻の美しい裸体を守っている有様だ。
 さらには自由を封じるための大きな板状の枷が、彼女のか弱い首と細い手首を拘束していて、パステルの可憐な顔は、苦痛に歪んでいる。
 たゆん、ぷるん――ぷるるん。
 無理やり肥大化された、牛のような乳房が、板枷の下で激しく撓む。
「パステル! 俺は……キミを信じるぞ!! 全て、あの魔女のせいなんだ……あの女から逃げられれば――また昔のようなキミに、パステルに戻るんだ!! ぱす、てる……? パステル……? え……?」
 光を反射する魔法の壁に板枷を何度もぶつけながら、必死にパステルに呼びかける。
 しかし、その途中でラルフは違和感に気が付いた。
「パステル……え、なんで……? 俺と同じ高さなんだ……?」
 最初の疑問は、背丈であった。
 幼少期ならいざ知らず、ずっと鍛えたラルフの体は、既にパステルの背を超えていた。
 頭一つ分以上は、確実に自分の方が大きい。
 しかし、今やその彼女と同じ目線で、彼はずっと喋っていたのだ。
「それに……ああ、そんな――まさか……まさかっ?」
 いや、それだけではない――。
 大柄なラルフに合わせられたような大きな板枷は、パステルの可憐な体を束縛しているものと幅もサイズも同じであった。
 つまり、目の前の光景を信じるならば、今の妻は、巨漢の彼と同等の身長と肩幅を持った女性でなければならないのだ。

全文を表示 »

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ (kagami0235さんの電子同人小説) サンプル③

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ FANZA版
妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ DLsitecom版

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~

(もしかして……まだ夢を見ているのか? 実は……今までの出来事は全て……悪い夢? 本当は、俺の妻は――パステルは、まだ誘拐されていない? これは――夢だ。 悪夢に違いないんだ……ッ! で、でなければ……なんだって言うんだ!!)
 あまりの衝撃な出来事に、現実味がない。
 急速に、この七年間――妻を探し、大陸中を放浪した苦難の日々――が、夢の中の出来事のように思えてしまう。
(……くぅ! あっ、あっ……あぅっ……!! オレ、オレのペニス――あぐッ! 何でッ……!?)
 何故ならば、裸に引ん剥かれたラルフの股間……。そこにある彼のペニスもまた、レーアの一物に負けない勢いで勃起していたからだ。
 初夜を迎える前に妻を拉致され、妻を探すことだけに全てを犠牲にしていた彼は――当然ながら、異性と、女性と、性的関係になったことはない。
 一度だって。
 屈強な戦士の男になっても、未だ心は初心な青年、いいや、少年のままのラルフ・ドリーテ。
 しかし、だからと言って、愛する妻が他人と淫らに交わっている光景に……興奮するなど異常である。
(さ、めろっ! 醒めるんだ、オレ……この悪夢から!!)
 だから、これは――妻の裏切りは、全て虚構。
 夢魔が見せる、最低最悪な夢に違いなかった。
(くそぉ……あっ、ああ! パステルの……あそこっ! レーアの精液で……ドロドロに溶けて! ああ、あんなに女の蜜が噴き出て――うっ、うわっ、ああっ! うっ、――おぉおおお!!)
 絶望と悲しみ。怒りと興奮。
 様々な感情がラルフの意識を真っ白な世界へと叩き上げて……その度に、人並以上はある勃起ペニスは、びくびく、びくんっ、と脈打った。
「ふふふ、パステル……夫なんかに処女を奪われなくて良かったわよね? 最初の相手が私で……このレーア様で、光栄だと思うでしょ?」
「はっ、はひぃ、ぃ♡ レーア様……光栄ですぅ。 それに……こんな男が……お、夫だったのが……間違いですぅ♡ わた、くし……愛しているのは、レーア様だけです♡」
「――ですって。 襲撃者さん……いいえ、ラルフさん。 うふふ……可哀想に」
「はむっ、んっ……んちゅっ、んんっ――♡」
 レーアに憐憫と同情の眼差しを向けられる。
 しかし、ラルフの視線は、その足元に釘付けだった。
 妻のパステルである。
 彼女はホクホクと湯気を放つレーアの肉棒に鼻を擦り付けていたと思いきや……躊躇なく、その太く長い肉幹を唇に咥え込んだのだ。
「んぐっ、ぐぼっ……♡ んぐっ、げぶっ、ふぁ、ああ……♡」
 知能のない魔物のような喘ぎを繰り返しつつ、まるで人飲みワームのような下品な顔付きで、じゅぼっ、じゅぼっ、とレーアのペニスを舐め扱く。
 清楚で厳かなエルフ妻――その変わり果てた姿に。
(い、嫌だ……こんなの見たくない! 見たくないっ!! やめろぉー!!)
 びぐんっ、びぐんっ、とラルフの股間は猛々しく勃起した。充血した。
 鋼のように硬くなった肉棒の先より、半透明の汁が、留めなく溢れ出す。
「――んっ! ぎっ――――!?」
 魔法によって動くことも、瞼を閉じることも許されないラルフ。
 背中からぴったりと壁に貼り付けられた巨漢は、股間の勃起ペニスだけを雄々しく屹立させていた。
 そんな最中である。
 ビキビキに膨張した肉幹と亀頭に、柔らかな何かが触れる。
 ――レーアの足。それも、生足だった。
「あなた――最高ね♪ 普通の連中は、ここまでやれば……心を折れば……すぐさま私の僕になってしまうのに。 あなたはまだ……私の魔力の影響を受けていない。 ……これは凄いことなのよ。 うふ、あは……あはは! ますます――あなたに興味を持っちゃった♪」
 レーアの足が、上下に動く。
 男とは違い滑らかで、細やかな足指や足裏が、ごし、ごしごし、と彼の亀頭を刺激する。
(あぐぅうう! むっ、むむっ、むぅ――無理だぁあああ! ぐひぃ~~っ!!)
 勃起肉の一部しか触れていないレーアの足であったが、褐色肌の足は淫靡に跳ね動き、ラルフのペニスは根元から震え上がった。
 限界である。
 動けない本体の代わりに、レーアの生足を乗せながら、猛々しい肉の棒は、びゅくんっ、びゅくんっ、と暴れた。
 どびゅる、びゅる! ドビュ、ドビュルぅうううう――!!
「――――っ!! ――――っ、つつ!!」
 我慢に我慢を重ねた射精快感……。
 これに抗える男はいない。牡はいない。
 この七年間で、さらに鍛え上げた肉体が――レーアに屈服させられた。
 疲労と快感に限界を迎えて、そのままぐったりと気絶する戦士の男。
 実に情けない。醜態そのもの。

 ……だが。

「あはー! うふ……ふふふ!! どうやら……何千年ぶりに、心の底から楽しめる玩具のようね。 なら――最高の"おもてなし"をしてあげないと……ねぇ♡」

 ”魔女”と呼ばれるダークエルフの美女には、とても気に入られた。
 愛すべき妻を求めて、悪魔の巣穴に自ら踏み込んだ戦士であり夫のラルフ――。
 
 まさかこれが後に『夫婦』となるふたりの出会いになるとはラルフは勿論、レーアすらも想像していなかった。





――”どうしたの、ラルフ?”
 簡素な神官服――ところどころ、ツギハギで繕った古着――に身を包んだ、エルフの美しい女性が、女の子のように端麗な顔の少年を慰める。

 ――”そう、他の子どもたちにイジメられたのね? 私からもきつく言っておくけど、いい……ラルフ。 男の子なんだから、強くならなきゃダメよ?”

 家族を失った少年を拾ってくれた、命の恩人。
 姉であり、母親でもある神官。
 でも……それだけはない。
 物心がつき始めた頃から、少年は、彼女のことが好きだった。
 愛していた。

 ――”……え? 強い戦士になって、お金をいーぱい稼ぐようになったら……私をお嫁さんに欲しいの? うーん……そうねぇー”

 だから、そんなお願いを言ってしまったのは、完全な勢い。
 感情に任せた、恥ずかしい子供の戯言。

 ――”しょうがない。 いいわよ……でも、強くなって、お金を稼ぐだけじゃいけないの。 誰よりも優しい男の人になるのよ、ラルフ”

 当然、彼女も本気ではない。
 虐められて泣いていた少年を元気づけるための嘘なのは、明らかだった。

 ――”後、泣き虫なところも治しなさい。 それで、私がラルフを強くて優しい男だと認められたら……お嫁さんでも、なんでもなってあげるから!!”

 でも、それでも……その瞬間から少年は、誰よりも強くなろうと誓ったのだ。

 愛する女性を守れるようになるために。

 そして――そして。

全文を表示 »

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ (kagami0235さんの電子同人小説) サンプル②

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ FANZA版
妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~ DLsitecom版

妻のカラダ~永遠を楽しむための牝玩具~

(彼女が……あんなに優しい彼女が――魔女レーアに屈するものかッ!!)
 なぜなら、妻パステルほど高潔で清楚な女性を、ラルフは知らないからだ。
 何千年の栄華を楽しみ――噂では男と女、両方と一日中淫遊に入れ込んでいる――淫靡極まりない女領主と違い、パステルは愛と清貧を規律とした女神の信徒。
 神官である。
 貧しい生活にも表情ひとつ変えず人々のために尽くし、神殿で孤児たちの面倒を見ていたほどの人格者。
 そして、結婚し夫婦になっても、一年間は夫に対して操を立てることを女神に誓っていた模範的な信仰者。
 その彼女を、”魔女”なんかが馬鹿にすることなんて、夫であるラルフには、とても堪えられない。
「じゃあ……証明してあげる。 あなたの目の前で――」
「なっ、ぐっ――くっ、ぉぉ……っ!!」
 しかし、心の内で燃え滾る憎悪に反して、ラルフは脆弱だった。
 無力だった。
 いや、確かに彼は長年の努力で屈強な肉体を有し、その剣の腕は、大陸で30人以内には入るほどの戦士だ。
 だが、それでもこの”魔女”と呼ばれるダークエルフには勝てない。
 有り余る異常な魔力は、レーアの意思に関わらず、周囲の物や人に影響を与える。彼女は呪文を唱えることなく様々な事象を支配するのだ。
(うわっ、ぁああ! このば、化け物めっ!!)
 両手足の枷が宙に浮かび、あっという間に彼の巨体を壁へと括りつけた。
 さらには声を上げることすらも、封じられてしまう。
(くそっ! くそぉおおっ!!)
 無様に――屈強な肉体の男が裸で――壁へと貼り付けにされて、ラルフに出来ることはレーアを睨むことであった。
「……っ! ……ッ、ッ!?」
 かつん、こつん、こつん。
 そんな彼の牢屋に向かって、誰かの足音が向かってきた。
(まさか――まさか、まさかっ!!)
 『じゃあ……証明してあげる。 あなたの目の前で――』。
 レーアの言葉が脳裏に蘇り、ラルフは硬い唾を呑み込んだ。
 ドキン、ドキン、と緊張のあまりに、彼の心臓の鼓動は早まっていく。
「レーア様。 お呼びでしょうか?」
「――――っ」
 自身が叫んだのか、それとも感動のあまりに声が詰まったのか。
 今のラルフには確かめる術はない。
 しかし、レーアにお辞儀したメイドが可憐なエルフの女性であり――自分の妻であることは、間違いなかった。
(パステル! ――パステル!! なんて……酷い! この七年間、どんな酷い目に合わされていたんだっ!?)
 金の糸であるかのような艶やかな金髪は肩口まで伸び、琥珀の瞳がくっきりと薄暗闇の中、輝いている。
 エルフ特有の尖った耳。妖精の如く可憐でキュートな顔。
 それは七年前と変わらない妻の眩しいほどの美貌――だが、彼女の体には、七年前とは違う部分もあった。
 ……胸である。
 以前もほど良い大きさの乳房であったが、今はまるで牛の如く肥大化したおっぱいが、メイド服を切り裂かんばかりに、たぷん、たぷん。
 ただ立っているだけでも、呼吸しているだけでも……淫靡に跳ね回っている、パステルの胸元。
 奴隷として買われた女性は、いかがわしい魔術で身体を改造されることがあると聞くが、彼女もきっとそうなのだろう。
(きさま! 妻を……俺のパステルの体をなんだと思っているんだ!!)
 声にならずとも、叫ばずにはいられない。
 肌に血が滲み、骨が軋むが――構わない。痛みなど感じない。
 ただ熱く燃え立つ憤怒だけが、ラルフを突き動かしていた。
「そうよ。 この男――あなたの夫だと言う男が……私とあなたの関係を否定するから……目の前で証明しようと思って。 ところで……パステル、この男の言うことは本当なの?」
「えっ……えっと、その…………」
「――何を言い淀んでいるのかしら? 私に嘘を言うつもり?」
「い、いえ! ……本当です! この男は、ラルフ。 ラルフ・ドリーテ。 お恥ずかしいのですが……わたくしの夫だった、人間、です。 お許しください、レーア様っ!!」
「――――ッ!?」
 まるで罪を告白するように顔を青ざめながら、『ラルフが夫であること』を打ち明ける妻パステルに……ラルフは、驚きを隠せない。
 心臓が、ばくん、ばくん、と音を立てた。
「でも……あなた、私に身も心も捧げる覚悟をした時、……自分には男はいない。 処女だって言っていなかったかしら?」
「違います! 違うんです、レーア様!! 夫がいたことは……事実です。 でも……”幸運”……にも結婚して三か月で人攫いの方に、連れてこられたので……行為は、してません。 正真正銘……処女の……おまんこを……あなた様に捧げました! お願いです……わたくしを嫌いにならないでくださいっ!」
 ――”おまんこ”。
 妻の、パステルの、唇から出た言葉。
 七年ぶりの美しい声が発した淫語に、ラルフの意識は一瞬停止する。
(はっ、へぇ? ふぁ、なっ、なっ――?)
 ラルフを間抜けと馬鹿にするべきか。それとも仕方ないと同情すべきか。
 再会した妻のあまりにもあんまりな発言と行動に、彼は戸惑うばかりだ。
「パステル、あなたの愛するヒトは――?」
「レーア様です」
「パステル、あなたが好きなおちんちんは?」
「勿論……レーア様の、おちんちん……さまですぅ♡」
「じゃあ、それを可愛そうな夫さんに証明しましょうか――必死に七年間も探していた妻は……ダークエルフの女に身も心を捧げている淫乱女であることを!」
「はい! ……ああっ! と、……当番よりも、一週間も早く――レーア様に、わたくしのカラダを! おまんこを使って頂けるなんて! し、幸せぇ♡♡」
 パステルの声が、ふしだらな……それこそ娼婦の如く淫靡な音色へと裏返り、彼女の豊かな臀部が、レーアへと向けられた。
「さぁ、特等席よ! ……多分、女神の教えで一年間は夫と妻の営みを禁止していたんでしょうけど……ふふふ。 その教えのせいで……この私に妻の純潔を奪われたことを……そこで見ていなさい!! そして、彼女の心が、私の物となっていることも……そこで自覚しなさい!!」
 ”魔女”と呼ばれるダークエルフは、さも当たり前のように男根と女陰が共存した摩訶不思議な恥部を衣類より取り出すと、ラルフの前でメイドを犯し始める。
 いや、違う。
 夫の前で――妻パステルの牝穴へと繰り返す勃起ペニスを突き入れた。
(うっ、嘘だ!? うそ、だ……ウソだぁ!! こんなの……幻だ! 幻術だ! 誰、か……そう言ってくれ! 俺のパステルが……あの彼女が――こんな、こんな淫らに、乱れて! 腰を振るなんて……ウソだぁ、ああああ!!)
 無意識に首を左右に振るラルフ。
 目の前の現実を信じたくないのだ。
 けれども――。
「ああっ、レーア様! 万歳!! レーア様! 素敵ィィ~~!!」
 女性のモノとは思えない極太のペニスを、濡れ弛んでいた陰唇へと突き入れられた妻は……より卑猥な声を張り上げた。
 偵察で見た、異様なほど領主を慕う民衆たちと同じように。レーアを賛美して、腰をくねくねと跳ね上げていく。
「……っ! …………っ、っ!!」
 夫であるラルフには、一度だって見せたこともない牝の貌。
 肉悦に溺れる、ふしだらな笑みをパステルは惜しみなく浮かべていく……。
 ガラガラと彼の中で何かが崩れた。
(こんな――こんなこと!! 嘘だッ……ウソ、だぁああ……!!)
 願っていたことを。祈っていたことを。
 妻パステルとの再会を――夫ラルフは、誰よりも否定する。
 だが、小刻みに腰を振るレーアも、ゆさゆさと豊かな臀部を繰り返し跳ね上げるパステルも。
 全ては現実だ。
 夫である自分以外の手によって……牝として開発された妻の陰唇が、ずぶずぶっ、と太いペニスを咥え込む。
 そして――。
「受け取りなさい――!!」
「はぁ、んふっ、ふぁあああ~~~~っ♡♡」
 どびゅっ、どびゅる!!
 濃厚な精液――ザーメンを勢いよく吐き出したレーアのペニス。
 熱い体液を子宮で受け止めた妻は、ぶるぶると震え、快感を享受する。
 もはや獣であった。
 四つ足となり、額をぐりぐりと地面に押し付け、あまりの気持ち良さに舌をだらしなく垂らしている妻のパステル。
 何もかもが悪夢であった。

全文を表示 »

換魂受験 後編 作 TAMAこんにゃく 絵 どっきー

作:TAMAこんにゃく
キャラクターイメージ:どっきー

tw11_20190125162503e11.png

前編はこちら


 翌日もその効果は持続し、模試の問題を楽勝で解くことに成功した。全問正解ではいくらなんでも不自然なので、わざと適度に間違えながら。
 模試の結果が返ってくると、当然ながらご両親は大喜び。
『この調子で頼みますよ♪』と、信頼を得ることができた俺はひとまず安堵する。
 後から気づいたことだが、絶頂による効果は永続的なものではなく、一定の時間が経過するとまた元に戻ってしまう。もっとも、自慰行為をして再び絶頂に至ることにより、また再び明晰な頭脳を取り戻せるのだが。
 ”BODY SWAPPER”アプリを開発した友人に相談すると『おそらくは強烈な性感によって、精神と肉体との結びつきが強くなったのだろう』という返答。
 さらには『分析に時間がかかっているから、まだお互いを元の肉体に戻せるわけではない。何が起こるかわからないからくれぐれも気をつけてくれ』という話であった。まあ、気をつけるといったって具体的にどうすんだという感じではあるが。
 絶対合格を引き受けた身としては、確実に結果を残さねばならない。そのためには模試の度に、前もって前日に絶頂を迎えなければならなかった。
 当初はおっかなびっくりであった吉乃ちゃんの身体を使っての自慰も、回数を重ねることに慣れっこになっていった。もちろん吉乃ちゃん本人には秘密にしながら。
 模試で好成績を残し続けた結果、当然高まっていくご両親の期待。
 志望大学も、いつの間にかそれなりの偏差値を誇る女子大に変更されていた。
 そして迎えた、センター試験の前日。
 例によって俺は明晰な頭脳を試験でいかんなく発揮させるため、ひと通り学習を済ませた後にベッドに横たわり、胸元と股ぐらを両手指先でもてあそぶ自慰行為に没頭していた。
『んあっ……あっぁぁっ……いっいぃぃぃぃん……』
 吉乃ちゃんの肉体で、快感の吐息を漏らす俺。
 その時、事件は起こる。
『勉強はかどってる? 先生っ!』
 若い男の声とともに突如、部屋のドアが開け放たれ、
『えっ……えええっ……!』
『先生……何してるの……?』
 若い男こと吉乃ちゃんは、ベッドの上で自慰行為にふける俺を目撃し、差し入れを乗っけたトレイを持ったまま立ち尽くすこととなった。

「なるほど……そういう事情があったんだね」
 事情をひとしきり説明した後、静かに呟く吉乃ちゃん。
「ごめん……もっと早く打ち明けておくべきだったんだけど……」
 テーブル越しに座る吉乃ちゃんは押し黙ったままである。そりゃ自分の肉体でオナニーされていたって知らされたら、年頃の乙女としてショックを受けざるを得ないだろう。
 掛ける言葉が見つからないまま、どうしたものかと逡巡していると、
「ぷっ、ぷぷっ……あっははははっ!」
「ど、どうしたの吉乃ちゃん?」
 不意に顔を上げて笑い出す若い男こと吉乃ちゃんに、びっくりしてしまう俺。
「よかった……先生だけじゃなかったんだね」
「へっ? どういうこと?」
「あのね……実はあたしも、先生の身体でオナニーしてたの」
「えっ……えぇぇぇぇっ!」
 突然のぶっちゃけに、ついつい素っ頓狂な声を上げてしまう俺に対し、吉乃ちゃんの告白は続く。
「男の人の身体ってよくわかんなくて、とりあえず股間のオチンチンを触ってみたのね。そしたらだんだんと気持ちよくなってきちゃって……気がついたらオナニーが習慣づいてたの」
「ってことはまさか……」
「うん。毎日精液どぴゅどぴゅって出しまくってるよ♪」
「………………」
 俺は赤面し、座ったままうつむく。自分の逸物はおろか、精液までも存分に見られてしまっているなんて、恥ずかしいことこの上ない。
「赤くなることなんてないのに~これでお互い様なんだしさ♪」
 俺の顔で、にははと笑う吉乃ちゃん。ああ、彼女のように物事にこだわらない思考回路を持っているのなら、人生においてさぞや悩み苦しむことはないだろうに。
「あのさ……お願いがあるんだけど……」
「な、何だい……」
 改まった様子の吉乃ちゃんに、何とか顔を上げて答える。
「この際思い切って、オナニーの見せ合いっこしない?」
「はい? 今、なんて……」
 一瞬、何を言われたのかわからなかった。
「だから、オナニーの見せ合いっこだよ」
「ななな、何を考えて――」
「だってさ、これ見てくれる?」
 顔を真っ赤にして断固断ろうとする俺に、すっくと立ち上がった吉乃ちゃんは自らの股間、つまり俺の肉体の股間を指し示す。
「えっ……もしかして勃っちゃってる……」
 吉乃ちゃんが履いているジーンズの股間部が、まるでテントのように張り出されていた。
「……先生があたしの身体でオナニーしてるの見たら、なんだか興奮してきちゃって……どうせなら先生のオナニー見ながら、あたしもオナニーしたいなって……ダメかな?」
「…………」
 いくら俺の顔でとはいえ、小動物のようにすがるような目つきでじっと見つめられると何も言えなくなってしまう。
「わかった、ちょっとだけなら……」
「ホント? やったぁ♪」
 俺のためらいがちの返答に対し、俺の顔で満面の笑みを浮かべる吉乃ちゃん。
(んっ……今どきっとしたような……)
 元来の彼女のコケティッシュな笑顔を思い出し、否応なしに胸が高なっていくのを俺は感じていた。
「それじゃ、セーターめくり上げてブラ外して、下はスカート履いたままショーツも脱いで。あたしがズリネタに使いやすいようにね」
「いいよ……」
 俺は立ち上がると、吉乃ちゃんの要求通りに着ているセーターをめくり上げ、スカートを履いたままショーツを脱ぎ捨てた。
「そのまま座って、オナニーはじめて♪」
「…………」
 無言で吉乃ちゃんの真ん前にしゃがみ込んだ俺はひとまず、むき出しになった左右の乳房をそれぞれ左右の手で掴むと、むにゅむにゅむにゅと揉みしだいてみた。
「んっはうぅっ……」
 早速感じてしまい、艶めかしい吐息を口元から漏らすこととなる。
「うっふふふっ……こうしてみるとあたしのおっぱいって綺麗だな……」
 小ぶりながらも形がよい真っ白な乳肉がむにむにっとひしゃげていく様を、興味深そうに見つめる吉乃ちゃん。ごめん俺は、君のおっぱい揉み揉みして気持ちよくなっちゃってます。
「ほらほらっ、遠慮しないで下のほうもいじってみてよ」
「はあっぁぁ……うんっわかった……」
 肉体の持ち主に促されるまま、乳肉を揉みしだく右手はそのままで、左手を下側に移動させ、スカートをめくり上げた状態で秘部に指先を差し入れる。
「んはぅっ……あんあんぁぁぁ……!」
 人差し指と中指で割れ目を下から上、上から下、また下から上となぞっていくと、なんとも強烈なこそばゆさが下腹部に発生するのだった。
「くすくすっ、どう私のオマ○コ……いじるの気持ちいいでしょ……」
「はあっぁぁ……うんっ……」
 あえぎながら首肯する俺。
(待てよ、まるでオナニーを経験したことがあるような口ぶりじゃないか……)
 俺の気づきを知ってか知らずか、自分の秘部がいじくられているのを楽しげに見つける吉乃ちゃん。
「ふうっ……私もう我慢できないよ……」
 そう呟くと彼女は、股間部のファスナーをじぃぃっと下げる。
「あっ……!?」
「ふっふふ……どう久々に見る自分のオチン○ンは……」
 誇らしげに吉乃ちゃんが露出させたものは、天を衝かん勢いでそそり勃っている俺の逸物。
「はあっはあ……なんだか見てるとその……」
「その?」
 いたずらっぽく訊く吉乃ちゃんに対し、俺は正直に答えることにした。
「やけに、お腹がうずうずしてくるような……」
 これはつまり、俺は自分のモノを見て興奮してますよと言ってるようなものである。
「うっふふふっ……あたしと同じじゃん♪」
 にこやかに笑うと、吉乃ちゃんは俺のオナニーの様子をガン見しながら、自らの手で逸物をしごきはじめる。
「んあっ……オチン○ンしこしこするの気持ちいいっ……」
 俺の身体で恍惚とした様子になる吉乃ちゃん。先端部の亀頭からは透明な液体がにじみ出てきており、強烈な性感を得ているというのがひと目でわかる。
「んあっはぁぁっ……ギンギンになった自分のモノ見てると、おっぱいとオマ○コ切なくなっちゃうのぉぉぉ……」
 吉乃ちゃんの声でよがってみせる俺。ここまであからさまに精神が肉体の影響を受けるとは、自分でも驚きであった。
 もっともそれは、自分の身体を見て欲情して一心不乱に逸物をしごいている吉乃ちゃんにも言えることだが。
「いいよ先生っ……二人でおもいっきり気持ちよくなろっ♪」
 彼女の言葉で、自制心の糸がぷつんと切れた。
「やあっあんあんっ……オチン○ン見ながら乳首とオマ○コいじるの、止めらんないっ……!」
 右手指先でねちっこく乳房の先端部をこねくり回しながら、左手指先を膣口に差し入れ、ぬっちゅぬちゅぬちゅぬちゅと執拗に愛液を掻き回していく俺。
「んあんあっ……竿の部分左手でしこしこしながら、下側のタマタマ右手でむにむにすんの気持ちいいのおっ……」
 一方の吉乃ちゃんも、両手をフルに活用して男性器をもてあそび快感を得ていた。
 このような調子で自分の身体を見つめ合いながら、お互いに肉体の性感を昂ぶらせていく俺と吉乃ちゃん。
「ふぁんふぁぁぁあっ……吉乃ちゃんっ……いっ、イッちゃいそうっ……!」
「いいよっ先生……一緒にイこぉっ……!」
 やがて二人同時に、絶頂へと達することとなった。
「んぁぁぁっっ……!」
 いつも通りにぶわっとした感覚に身体中が満たされ、頭の中が真っ白になったと思いきや、
「んああぁっ……あれ?」
 周囲の視点がなぜか、それまでとは180度回転していた。
「はあっはあ……あれっ、なんで先生が前にいるの?」
 乳房と秘部に手を当てたまま、艷やかにあえいでいる目の前の美少女がきょとんとこちらを見つめる。
「吉乃ちゃん? ってことは……」
 ふと下を向く。胸元は膨らんでおらす、股間部にはよく見知った竿のようなもの。
「これはもしかして……」
「そう、あたしと先生、元に戻れたんだよ!」
「…………やったっ!!」
 思わずその場でガッツポーズを決める俺。
 だがその時。
 どっぴゅうっ……!
 むき出しのままの逸物の先端から放たれた精液が勢いよく飛び、吉乃ちゃんの可愛らしい顔に命中する。
「やべっ……!」
 さっと血の気が引く。実は俺は遅漏で、絶頂のタイミングからやや遅れて射精を迎える体質なのだ。
「ご、ごめんっ、吉乃ちゃん……」
「別に謝らなくてもいいよ。別に先生の精液なら、嫌じゃないし」
「えっ……?」
 思わず土下座する勢いの俺に対し、何ごともなかったかのように平然とした態度の吉乃ちゃん。
 彼女は人差し指で、顔に付着した精液を少しだけすくい取ると、あろうことかそれをひと舐めする。
「ぺろっ、んんっ……ほろ苦くて美味しい……」
「吉乃ちゃん……」
 恍惚な表情になる彼女は、たまらなくエロティックだ。
「――――はっ!? 今ここで入れ替わってしまったら、明日のセンターどうすんだっ?」
 その事実に気づき、またも大慌てになる。どうしよう。また”BODY SWAPPER”アプリを使うのはリスクが高すぎるし……。
 頭を抱えた俺に対し、吉乃ちゃんが声を掛ける。
「ん~もしかしたら大丈夫かも」
「えっ……?」
「ちょっと問題解いてみるね」
 そう言うと彼女は衣服を整え、机に向かって問題集を見る。すぐにかりかりと、順調に鉛筆を走らせる音が聞こえてきた。
「吉乃ちゃん……?」
 俺は逸物をしまいながらも、その様子をあっけに取られて眺める。
「はいっ。見てみて先生!」
 堂々と差し出された解答をひとしきり確認した後、俺は驚いて呟く。
「ぜ、全問正解っ……!」

 翌日吉乃ちゃんは、元の身体でセンター試験を受けることとなった。
 結果は好感触。後で行った自己採点では、目標の点数を無事達成していた。
 ひとまずほっとしながらも、アプリ開発者の友人に質問をしたところ『おそらくは二人同時に絶頂を迎えたことにより、お互いの精神が無意識にシンクロしたのだろう。何にせよ良かったな』という解答。まあ、そのようなことだろうとは思ってはいた。
 それから、俺と吉乃ちゃんは元通りの身体になったことをご両親に報告。もちろん、絶頂のくだりはぼかして。
 ご両親は大喜び。『吉乃の学力が上がったのは、先生の努力の賜物です』と俺を大絶賛。
 まあ確かに、吉乃ちゃんの身体で気を抜かず猛勉強していたのが功を奏したに違いない。
 それから本命の女子大、さらに滑り止めの大学の二次試験対策のため、俺は引き続き家庭教師として吉乃ちゃんを指導した。
 以前とはうって変わって、彼女は俺が言ったことを的確に理解し、きちんと記憶に留めていく。
 スムーズに指導は進み、やがて迎えた二次試験でも、もちろん好成績をおさめることに成功する。
 そして迎えた合格発表。吉乃ちゃんは、本命の"それなりの偏差値を誇る女子大"に見事合格を果たしていた。
 大喜びするご両親と俺。まあ俺の場合は、500万円の債務が帳消しになったことも大きいが。
 何にせよ換魂受験は、無事大成功を迎えたのだった。

 それから半年後。
「ふうっ……これで今日の分は終了と……」
 本日は土曜日なので、五時頃に早くも指導スケジュールをすべて終えていた俺は、待ち合わせ場所の公園に向かう。
「あっ! お疲れ様先生っ!」
 公園までたどり着くと、ふりふりした上着と短めのスカートという、小洒落た服装の女子大生が出迎えてくれた。
「お待たせっ、吉乃ちゃん」
 彼女に対し微笑む俺。俺と吉乃ちゃんは、なんとあれから付き合うことになったのだ。
 実は吉乃ちゃんは、前々から俺のことが好きだったらしく、身体を交換してからはすっかりべた惚れになってしまったとのこと。まあ俺も、同じような感じではあったが。
 何はともあれ現在は、ご両親公認でお付き合いをさせてもらっている。
「そういやそろそろ、先生じゃなくて"俊哉"って呼んでもらえないか?」
「ん~っ、やっぱダメ」
 せっかくの提案を、あえなく却下される。
「どうして?」
 まあ大した問題ではないのだが、一応理由が知りたい。
「先生って呼ぶの慣れてるし。それにね、あたしにとっては今でも先生じゃん。エッチなこと教えてくれる……」
「…………」
 ちらりと見せる妖艶な表情にどきりとして無言になる俺。実はもう既に、ひと通りやることはやったのだ。正直なところ、俺と吉乃ちゃんの相性はすごくいい。やっぱお互いの身体を知り尽くしているというのが大きいのだろう。
「さて、行こっか」
 吉乃ちゃんは俺の手を取ると、どこへとともなく歩きだす。
「えっ、どこに行くの?」
 彼女とともに歩を進めながらも、ぴんとこない俺。
「もう、先生も察しが悪いね。二人の愛の予備校、っていったらわかるかな?」
「ああっ……」
 さすがに納得する。つまりラブホってことね。
 ようやく気づいた俺に、吉乃ちゃんは振り返って微笑む。
「ふふっ、今日も個人指導よろしくお願いします。先生♥」

換魂受験 前編 作 TAMAこんにゃく 絵 どっきー

作:TAMAこんにゃく
キャラクターイメージ:どっきー

tw11_20190125162503e11.png

「誠に、申し訳ございませんっ!」
 ソファに腰を下ろしたまま、俺は深々と頭を下げた。
「………………」
 テーブル越しの相手は押し黙っている。きっと腕組みをしたまま、眉間にシワを寄せて唇の内側を噛んでいるに違いない。
「ふぅっ……」
 ため息を漏らした後、彼はおもむろに語り出す。
「先生には頑張ってもらったけど……こうなるとは思わなかったよ……」
 その声のトーンには深い失望の色が充満している。
「まさかの不合格とはね……これで娘は大学浪人ってわけだ」
「…………」
 今度は俺が押し黙る番であった。この度、教え子は大学に落第してしまったのだ。合格請負人として、とても申し開きようがない状況である。
「言いたくはないのだが……当初の契約にあるように、損害賠償を請求させてもらう……」
「――――!?」
 思わず俺は頭を上げる。テーブルの上には不合格通知とともに、最初に渡しておいた契約書が置かれていた。
「額は、500万だったね……」
 渋い顔を浮かべている彼こと教え子のお父さんが、契約書に目を透しながら呟く。
「500万……!」
 あまりに大きな額に、一瞬耳を疑う。"絶対合格させる"という前提で家庭教師のビジネスを展開しているため、わざとありえない金額を契約書に記入していたっけ。
 それにしても500万とは、我ながらよくもまあ、できもしないことを契約書に書いたものだ……って、マジでどうすんだこれ……そんな金持ってねえぞ。
 額から冷や汗が、たらりと流れたその時、
「ビタ一文負けずに払ってもらう……と言いたいところだが、特別に請求しないことにしてもいい」
「えっ……!」
 目を見開く俺。お父さんは言葉を続け、
「もちろん条件がある。それは来年、絶対に娘を合格させることだ」
「…………」
 無言になる俺。その目標達成の難しさに、気が遠くなるような感覚がしたが、
「喜んで、引き受けさせていただきます……!」
 ぺこりと頭を下げる。こうなった以上、実質選択肢はないに等しい。
「ところで……現状、どうやっても元には戻れないということで、間違いはないのかね?」
「ええっ……」
 質問に答える。"元には戻れない"というのはすぐ後で説明しよう。
「ならば仕方ない。しばらくはここで生活してもらおう」
「わかりました……」
 承知せざるを得ない事情が、今の俺にはある。
「そうと決まれば話は早い。母さん、吉(よし)乃(の)を読んできてくれ」
「はい……」
 テーブルのそばで、俺とお父さんの会話を見守っていたお母さんが、階段を上っていく。
 ほどなくして、中肉中背で黒髪の若い男がリビングルームに現れた。
 この、年の頃20代半ばで、それなりに端正な顔立ちをしている彼のことを俺は、とある事情からよく知っている。
「吉乃、これから先生も、当分この家で生活することになった。いいね?」
「うん! 先生なら大歓迎だよ!」
 男は、あっからかんと明るく答える。
「本当にごめん吉乃ちゃん。こんなことになっちゃって……」
 ソファから腰を上げた俺は男に対し、土下座して謝罪の言葉を述べた。
「顔を上げて。先生は何も悪くないって」
「吉乃ちゃん……」
 天使のような慈悲深い言葉を掛けられ、ゆっくりと顔を上げる俺。この若い男の頭上から、後光が差しているような錯覚にさえ陥った。
「あたしの身体のまま、普通の生活に戻れないでしょ。だから気兼ねなくこの家にいていいの♪」
「ありがとう……」
 再び頭を深々と下げる。いま現在、俺の身体は女性のものになっていた。
 "俺"という一人称からおわかりのように、俺はれっきとした男性である。別に女体化したというのではなく、教え子である今(いま)春(はる)吉(よし)乃(の)ちゃん、彼女の肉体を俺は今、借りている状況なのだ。
「あたしも先生の身体貸してもらってるんだし、これからよろしくね、先生♪」
「ああっ……よろしく……」
 立ち上がった俺は、にこっとした笑顔を浮かべる男こと吉乃ちゃんに、柔らかな頬をぽりぽりと掻き返答する。彼女の台詞からわかるように、彼女が今借りている肉体は俺のものであった。
 そう、俺と吉乃ちゃんの魂と肉体は、交互に入れ替わっているのである。

 ここまでの経緯を説明しよう。
 俺、横澤(よこさわ)俊(とし)哉(や)の職業はハイパー家庭教師である。
 何だそれは……と思うかもしれないが、それだけ腕が立つ家庭教師ってことなのだ。
 事実、これまで100を超える生徒を受け持ってきて、その全員をもれなく第一志望校に合格させている実績がある。
 どうしてそんなことが可能なのかというと、俺の教え方が素晴らしく上手いというのがまず一つ目の理由。
 二つ目の理由は、いざという時の切り札である携帯アプリ”BODY SWAPPER”の存在。
 聞いたことがないアプリの名と思うだろう。それもそのはず。何せ”BODY SWAPPER”は、俺の友人である天才プログラマーが開発したアプリで、まだ市場に出回っていないからだ。
 ”BODY SWAPPER”アプリはその名の通り、身体(ボディ)を交換(スワップ)する機能を持つ。もう少し具体的に言うと、対象者2人の肉体と精神をそっくりそのまま入れ替えてしまうのだ。
 んなアホな……と思うだろう。無理もない。実際俺も、試してみるまで半信半疑だったからな。
 家庭教師をやっていると、どうしても成績が伸びない生徒に出くわすことが往々にしてある。とある男子生徒を受け持っている時、俺はスマホにインストールしたばかりの”BODY SWAPPER”アプリを試してみた。
 俺と彼の精神と身体は見事に入れ替わり、直近のテストを彼の代わりに受け、見事好成績をおさめることに成功した。しかも、試験終了後に入れ替えた精神と身体は難なく元に戻すことができたのである。
 当然、俺の株は急上昇。
 それ以来、大切な試験前であるにも関わらず、どうしても生徒の理解が追いつかない……という時に”BODY SWAPPER”アプリを使うようにしている。
 いざという時にはこうした換(かえ)魂(たま)受験を行うことにより、受験業界における俺の評価はうなぎ上りとなり、いつしか"ハイパー家庭教師"と呼ばれるようになっていたのだ。
 ほんと、友人には感謝である。まあ向こうも、十分なデータが取れて満足っていう話だがな。
 今回受け持っている今春吉乃ちゃんは、快活で素直さが魅力の女子高生。
 とびきりの美少女で性格も良いんだけど、欠点は頭がゆるいこと。
 成績は常に赤点すれすれという彼女の指導を1年間ほど受け持ってきたが、いくら丁寧に優しく解説したところで、全く頭で理解しようとしないのは困りものだった。
 世間一般から見て、ラクショーな偏差値の女子大を受験することになったが、試験直前期になっても俺は彼女を、合格に必要なレベルに到達させることができなかった。
 俺はついに、”BODY SWAPPER”で換魂受験をやる話を彼女とご両親に持ちかける。
 『不合格になるぐらいなら……』と本人とご両親も承諾してくれたので、俺は試験当日に”BODY SWAPPER”を起動。俺と吉乃ちゃんは、魂と身体を入れ替えることとなった。
 意気揚々と受験会場に向かい、試験を受ける俺。だがここで、ある異変が発生する。
 それは問題を見ても、さっぱり答えが浮かんでこないということ。
 どうしたことかと頭を軽めにマッサージしたり、腕をつねって脳に刺激を与えてみるものの、これまで換魂をやってきた時のように、脳内で解答をスムーズに導き出すことができない。
 とうとうそのまま、試験時間が無情にも過ぎ去ってしまった。
 いくらなんでもこりゃおかしいぞと再起動したスマホを見てみると、そこには"ERROR"の一文字。
 アプリ開発者である友人に問い詰めてみたところ、おそらくは予期せぬエラーが発生し、魂に肉体が上手い具合に定着しなかったのだろうという話。
 それどころか、元に戻そうとしてアプリを起動させても、俺の魂は吉乃ちゃんの肉体に収まったままで、吉乃ちゃんの魂は俺の肉体に収まったまま。
 当然、どうにかしてくれと友人に頼み込むものの、エラーの原因を分析しないと対処のしようがないため、当分はそのままだという。
 考えられる最悪の事態が発生してしまい、俺はただひたすらに、ご両親に対して平謝りすることになったのだった。

 何はともあれ、ご両親にチャンスを与えられた以上はやるしかない。
 予備校に通うこととなった吉乃ちゃんこと俺は、猛勉強を開始。
 だが悲しいことに、理解したこと・暗記したことが、脳内の記憶から次から次へと抜けていく。
 なるほど、これじゃいくら教えても成績が上がらないわけだ。
 いくら勉強しても覚えられないまま、模試を受けることとなった。これである程度の結果示すことができなければ、ご両親に対して申し訳が立たない。
「参ったな……全然わからんぞ……」
 模試の前日。なかなか学力が身につかず、問題が思うように解けない状況に苛立ちを覚えながら、吉乃ちゃんの自室で自学学習に勤しんでいたその時、
「………………」
 不意に俺は、下腹部にむらっとする衝動を覚えた。
(この感覚は……この感覚を俺は、よく知っている……)
 男であればおなじみの感覚といえば、察しが付くと思う。
(俺、オナニーしたいってことだよな……)
 男であれば誰もが日々行っていることを、女の身体で思うとは意外だったものの、
(まあいいか……女の子もたまにはオナニーするっていう話だし……)
「ごくっ…………」
 生唾を飲み込む俺。椅子に座った体勢で首を下側へと向けてみるとそこには、やや小ぶりながらも存在感のある胸元が、華奢ですらっとした小柄な身体に、絶妙なアクセントを与えていた。
(そういや、女の子の肉体に乗り移れたのって客観的に見てラッキーかも……)
 女性と身体を交換したのは、実は吉乃ちゃんが初めてである。状況が状況だっただけに、落ち着いてその事実を認識していなかったのだ。
「うふぅっ……」
 いつしか俺は、胸元に両手を押し当て艷やかな吐息を漏らしていた。
(これが吉乃ちゃんのおっぱい……なんて柔らかい……)
 シャツとブラ越しであるにも関わらず、そのむにっとした触感は素晴らしい。
 左胸にむにむにっと左手指先を沈み込ませつつ、右手を短パンの上から股ぐらにそっと這わせてみる。
「んあっ……!」
 その瞬間、下腹部のうずきが強くなったような気がした。
「うふあっ……んんんっ……んっ……」
 右手中指をぐっぃぃっと股ぐらの中央に押し当てていく。生地越しにくっきりと感じる割れ目の感触がなんとも心地よい。
(これは……やみつきになりそうだ……)
 性的興奮を昂ぶらせた俺は、下側から左手をシャツの内部に潜り込ませ、上側から右手を短パンの内部に潜り込ませた。
「うふっ……あっふぅ……」
 一枚の生地越しに胸元と股ぐらをさすってみると、下腹部がかあっと熱くなっていくのが感じられる。
 やがて俺の、もとい吉乃ちゃんの身体奥から湧き上がってくる、どうしようもないほどの切なさ。
 何とかしてそれを鎮めようと、ついに俺はブラジャーとショーツの内側に、左手指先と右手指先をそれぞれ滑り込ませた。
「あっはっ……」
 乙女の柔肌に直接触れることになり、皮膚に感じるこそばゆさに声を上げる。これまでも入浴して身体を洗う際には素肌に直接触れてはいたものの、性的なことを意識してやるのとやらないのでは体感に大きな違いがあった。
 ちなみに入浴時には、なるべく吉乃ちゃんの身体を見ないようにしている。理由はもちろん、吉乃ちゃんに悪い気がするからだ。
「はっふっ……んぅんぅっ……」
 しなやかな指先を乳肉に沈み込ませていくと、心地よい圧迫感としっぽりとした感触が同時に感じられ、否応なしに感じてしまい、
「あっはっ!? ……うはぅっ……あぁっ……」
 指先で割れ目を這うようになぞっていくと、じんじんとした刺激が下腹部に浸透していく。
 教え子の身体の、大切な個所をもてあそぶという行為にそれこそ罪悪感を覚えつつも、両手の指先の動きはもはや、止められるものではない。
「うっふぅっ……ふぅぅっ……くぅひぃぃっ……!」
 乳首をつまみ上げてみる。たおやかな乳房の先端部はすぐさま固くなっていき、くにくにっと指先でこねくり回すと、なんとも形容しがない妙な感覚がこみ上げてくるのだった。
「んっはっ!? あっはっ……やっはっはぁぁぁっ……!」
 割れ目の上部にある突起を指先でなぞっていると、それだけでじんとした刺激が一気に強くなった。ここが女の子の性的器官、"陰核(クリトリス)"と呼ばれている個所であることは察しが付いていたが、実際にいじくってみるとずいぶん性感が強いものであった。
(これが女の子の性感……男のものよりも断然気持ちいい……)
 これまでに感じたことのない感覚の虜となった俺は、乳首と秘部を愛撫する指先の動きに拍車を掛けていく。
「うっはぁぁっ……やぁぁっ……きっ、気持ちいいよぉぉっ……!」
 口元から甲高い声のトーンで正直に感想を漏らしてしまう。乳首の奥からは甘いような感覚がじんわりと広がってくる上、濡れそぼった割れ目から聞こえてくるぬちゃぬちゃとした音が、否応なしに性感を昂ぶらせるのだった。
(俺……吉乃ちゃんの身体でこんなにも気持ちよくなっちゃってる……今、どんな顔してるんだろ……)
 ふと脳内に、大きな瞳を悩ましげに細めている、艷やかに上気しきった吉乃ちゃんの表情が浮かんできた。
(こ、これははっきりいって、エロ可愛いっ……)
 あまりにも鮮明に思い浮かべることができたのは、実際に今、そのような表情をしているからで間違いはあるまい。
(そういや俺……吉乃ちゃんのことが可愛いって前々から想っていたような……)
 その事実を確認すると、彼女の身体をいじくって悦びを得ているという背徳感が急激に強くなっていき、性的興奮に油を注ぐこととなった。
「あっはぁぁっ……おっぱいとオマ○コ、一緒にいじんのやめられないのぉぉっ……!」
 敏感な個所をこねくり回す指先のあまりにも執拗な動き。強烈な性感が身体中を駆け巡り、ぶわっとした感覚に意識が持っていかれそうになる。
「いっ……いいいっ……もうっ、イッちゃうぅぅぅっ……!」
 とうとう俺は、吉乃ちゃんの身体で絶頂を迎えることとなった。
(すっすごいっ……頭の中真っ白……これが、メスイキの感覚っ……)
 少しの間、下腹部を中心に広がっていく、とろけるように甘い浮遊感を堪能していたが、
「はあはあっ……何、やってんだろ俺……教え子の身体で……」
 呼吸が整っていくとともに冷静さを取り戻した思考回路が、俺の性的興奮を急速にクールダウンさせていく。
 下着を整え、俺は勉強に戻ることにした。
「………………!?」
 そこで俺は、あることに気が付く。
「何だこれは……ずいぶんと簡単な問題じゃないか……」
 そう、この時俺は、吉乃ちゃんの身体でも明晰な頭脳を発揮することができるようになっていたのである。

<後編につづく>

美少女になる代わりにウソが付けなくなってしまう小説 後編

作 TAMAこんにゃく https://skima.jp/profile/?id=32953
キャラデザイン かもり https://twitter.com/aloeblues

20160713000413f09_20181222124032442.jpg

 こうして土曜日、近場のリゾート施設に優佳里さんとともに宿泊することとなった。
 彼女のお父さんは、その施設を経営している会社の大株主らしく、特別に二人とも格安の料金で宿泊できるのが何ともありがたい。
 まあ、何よりもありがたいのは、屋内プールにおける優佳里さんの水着姿で……。
「どう? 似合うかな友紀ちゃん?」
 パレオ付きビキニに身を包んだ彼女を見て、
「うんっ……とっても似合うよ」
 紛れもない本心を漏らす俺。実際今の優佳里さんは、下手な女優が霞むぐらい、魅力的であった。俺以上にすらりとした体つきに、ボリューミーかつ均整が取れた双丘。
 健康的かつたまらないエロスを発散している。男性は元より女性でさえ、惹かれてしまうのではないだろうか。
 対する俺は、白とピンクの横縞模様という、ごくごく一般的なデザインのビキニを着ていた。
 それでも一般的に見て、魅力がないわけではないというのは、身体に突き刺さってくる男性たちの視線によってわかる。
 何はともあれ、優佳里さんとプールを堪能することにした。
「きゃっははははっ!」
 水遊びに興じる優佳里さんは、まるで無邪気な子供のような笑顔を浮かべる。
(可愛いっ……どきどきする……)
 こんな娘と仲良くなれるんだったら、女体化したことも悪くないかもと思ったそのとき、
「やあっ! 楽しんでいるみたいじゃん!」
 いきなり若い男に、声を掛けられる俺と優佳里さん。
 見てみると日焼けした肌に金髪。さらに耳元にはピアスまでしている。そのような出で立ちの男が、彼だけでなく4人ほどいた。
「………………!?」
 身構える俺。外見で人を判断するのはよくないが、こうした連中は十中八九、下心を持っていると見て間違いはない。
「ええっ! あなたたちも楽しんでる?」
 まともに返す優佳里さんを見て、俺はずっこける。そうか、お嬢様育ちの彼女は、こうした連中に対する警戒心がまったくないのか。
「そうだよ! もしよかったら俺たちと一緒に楽しもう!」
 案の定、奴らはのってくる。
(くそっ……逃げ出したいけど、優佳里さんを見殺しにするわけにいかないしな……)
 そのまま強引に、金髪のチャラ男たちと行動をともにする事態に陥ってしまった。

「ねえっ、君名前なんていうの?」
「友紀です……」
 先ほどからしつこく訊かれているので、ついつい返答してしまう。
「友紀ちゃんっていうんだ! 可愛い名前だね~」
「どうも……」
 無愛想に呟く。こんな連中からでも、"可愛い名前"と言われて悪い気はしない。
 あれから俺と優佳里さんは、水着でも入店できるのが売りの、施設内の飲み屋に連れられていた。
 入店して小1時間、4人のチャラ男のうち1名に、俺はしつこくつきまとわれている。よっぽど俺が気に入ったみたいだ。
 同じテーブルの少し離れたところで、他の3人は優佳里さんを取り囲んでいる。
(優佳里さん……そんなに仲良くしちゃまずいって……)
 お酒が入ってますます和気あいあいとする様子を見て、俺の中で危機感が膨れ上がっていく。
 間が悪いことに店内には、他に客の姿が見えなかった。
「ね~ね~、恥ずかしがってないで、俺と一緒に飲もうぜぇ!」
 優佳里さんとは対照的に、俺は基本的には押し黙って酒にも口を付けていない。理由は単純で、口を開いた途端にどうなるかわかったもんじゃないからだ。酒を飲んでしまうのも、この場においてはもちろん避けたい。
(どうする……?)
 逡巡する俺は、
「ごめんっ、トイレ行ってくるね」
 断って席を立つ。ひとまずそこで、一人になって打開策を練ることにした。

(かといって……どうしたもんやら)
 早々と用を済ませた後、色々と考えるものの、まるで有効な手段が思い浮かばない。
(そろそろ戻らないとな。優佳里さんが心配だし……)
 10分ほどは時間が経っていると思ったので、さすがに戻ることにする。
「やあ、長かったじゃん……」
 女子トイレから出た瞬間、目の前に立っていたのは、先ほどつきまとっていた男であった。
 腕組みをして廊下の壁に寄り掛かっている。そのにやけた表情には先ほどまでの、取り繕った温和さがない。
「どうしてここに……」
「へへ……決まってるじゃねえかっ」
 そう呟いた途端、彼はがばっと身を乗り出し、俺の身体を押しやるようにし反対側の壁際に片手を付けた。
「そろそろ、素直になってもらおうと思ってね……!」
 そして、いきなり俺の胸元めがけ手を伸ばしてきた。
 ぱしぃん……!
 反射的に勢いよく払いのけ、響き渡る乾いた音。
「このっ――」
 彼より早く、頭に血が上った俺は口を開く。
「何するんだこの野郎っ!」
「なっ……」
 それまでとはうって変わった様子に、チャラ男はたじろくこととなった。
「女の子二人こんな飲み屋に連れ込んで、好きなコトしようったってそうはいかねえぞっ! さっさと失せやがれっ!」
(ああっ……正直に怒りをぶち撒けてしまった……これでトラブルは避けられんっ……)
 強気な口調とは裏腹に、内心やっちまったという気持ちが急に湧き上がってきた。
「ふふっ……舐めた口利きやがって……」
 そのうちチャラ男は、不敵な笑みを浮かべ、
「そうだよ……おめえら二人にイイことしようと思って、こちとら近づいてきたのさ……今ごろもう一人は、お楽しみの真っ最中だろう」
「…………何だとっ!」
 俺の脳裏に、最悪の光景が浮かぶ。それと同時に、ぐつぐつと怒りが湧き上がってきた。
「安心しなっ……おめえも仲間に入れてやるぜっ!」
 両手を伸ばしてきたチャラ男であったが、
「させるかっ!!」
 懐に入り込んだ俺は、そいつの右肩をぐぃと掴むと身体を沈め込ませ、
 ドスンッ……!
 そのまま一本背負いを、勢いよく決め込んだ。
「いけねっ……やっちまった……」
 途端に心配になってチャラ男を見る。したたかに背中を打ちつけることになったそいつは、伸びて気を失っているものの、どうやら命に別状はないようだった。
 言い忘れたが、俺は柔道五段の、黒帯の保有者である。
 かといって素人相手に技をみだりに使うわけにはいかなかったので、力づくで解決することは選択肢から除外していたのだ。
(でももう、そんなこと言ってられっか!)
 俺は急いで、ダイニング席に戻る。
「いっやぁぁぁっ……止めてぇ……」
「おらおら……別にいいじゃねえかっ!」
 優佳里さんはまさに、3人の男に手篭めにされようとしている最中(さなか)であった。
「止めろっ! 優佳里さんを離せっ!」
 駆けつけた俺が叫ぶと、3人は振り返る。
「何だぁ、てめえっ!」
「一緒に可愛がってやらあっ!」
 向かってくるそいつらを、俺は次々と投げ飛ばす。
 後には、気絶したチャラ男が3人。まあ加減はしておいた。
「大丈夫? 優佳里さん……」
 縮こまって震える彼女に、俺はそっと近づいて優しく声を掛ける。
「うんっ……怖かったよっ!」
 やおら立ち上がると、抱きついてくる優佳里さん。
「本当、無事でよかった……」
 震えたままの身体を、俺は優しく抱いた。

 その後、カウンターにうずくまってガクガク震えていたバーテンダーに、警備員を呼んでもらってこの件は終了となった。ちなみに彼は連中に脅されていたため、その場で呼ぶことはできなかったらしい。
 時刻はすっかり午後9時近くになっていたので、俺と優佳里さんはホテルに戻ることとなった。
 その相部屋での出来事。

「………………」
 俺をまじまじと見つめてくる優佳里さん。部屋の照明は適度に落とされ、なんとなくそういう雰囲気が漂っていた。
 ちなみに二人とも、Tシャツとショートパンツというラフな部屋着姿である。
「友紀ちゃんって、あんなに勇気があって強かったんだね……まるで男の人みたい」
「こほんっ……」
 口を開けば、"男だったこともある"とついぶっちゃけてしまいそうだった。
「あの……聞いてくれるかな……私、友紀ちゃんのことが好きになったみたい」
「えっ…………!」
 一瞬、自分の耳が信じられなかった。
「私、勇気があって強い人に憧れてたの……でも……女の子同士なんて、変、かな……」
 彼女の手を取り、俺は真実を話す。
「何も変じゃないよ。私だって、優佳里さんのこと好きだから……」
「友紀ちゃん……」
「キス、しよ……」
 こうして俺と優佳里さんは、唇を重ね合わせることとなった。
(ああっ……優佳里さんの唇、ぷにっとして柔らかい……)
 もっとも、相手もそう思っているかもしれない。俺も女の子だからな。
 唇を離した後、優佳里さんは小さな手を俺の胸元に差し伸べ、
 もっにゅっ……むにむにもにっ……。
「んっふっっ……」
「ふふっ……友紀ちゃんのおっぱい柔らか~い♪」
 得意げになる優佳里さん。俺は仕返しとばかりに、
 もっにゅっ……むっにもにむにぃぃっ……!
「ふぁっあっ……ちょっと友紀ちゃん強いって……!」
 たわわなおっぱいの感触がTシャツの生地越しに伝わってきて、揉みしだく俺を夢中にさせる。
 もちろん優佳里さんは、それに伴って艷やかな吐息を漏らすのだった。
(あの優佳里さんとおっぱいの揉み合いができるなんて……俺は日本、いや世界一の幸せ者だっ……!)
 ――その後、どうなったかはお察しの通り。
 全て終わった後、すやすやと眠る優佳里さんの隣で、
「おかげで美少女としての人生を満喫できそうです。後悔なんかしていません……」
胸元に手を当て、悪魔に対して感謝の言葉を述べる俺であった。

美少女になる代わりにウソが付けなくなってしまう小説 中編

作 TAMAこんにゃく https://skima.jp/profile/?id=32953
キャラデザイン かもり https://twitter.com/aloeblues

20160713000413f09_20181222124032442.jpg

 "女の子になってよかった!"としみじみと実感し、構内のベンチで一息つく俺の元に、近づいてくる一人の男子。その顔はよく知っていた。
 俺の親友、井本(いもと) 純一(じゅんいち)その人と見て間違いはない。
「よう友紀!」
「純一……!? いつもとは雰囲気が違うみたいだけど……どうしたの?」
 元気に手を挙げて挨拶してきた親友に対し、俺は質問する。いつもはこれといって特徴のない服装をしているのに、今日に限ってやけにダメージが強調されたジーンズ、どぎつい感じのイラストがプリントされた黒字のTシャツ。その胸元に光るのは、どでかい龍のペンダント。
 はっきり言って、かなり痛いファッションである。
「ふふふっ……よく訊いてくれた……今日から俺は、一味違った感じでいこうと思ってな……少々アグレッシブに攻めてみた」
 "少々"どころの騒ぎではないような気がするのだが。
「自分では結構いい線いってると思うんだが、お前の意見を訊きたい……正直言ってどうだ?」
 ここで俺は、こいつの狙いを理解する。モテたくてたまらないこいつは、ひとまず女子から注目されたいと思っている。そこでまず、女子に注目されるであろうファッションをしてみることにした……ってとこで間違いはあるまい。
 だがこれでは、注目はされるだろうが逆効果であることは火を見るより明らかである。
(こいつに間違いを教えなければ……)
 とはいっても、正直に俺の感想を述べるわけにはいかない。ずけずけと指摘してしまえば、メンタルが弱いこいつのこと、えらく落ち込むに決まっているのだ。
「どうだ? 遠慮しなくていいからさ」
(なるべくショックを受けないよう、オブラートに包んでそれとなく伝えなければ……)
 意を決して口を開く。
「あのね……なんなのそのファッション」
「えっ……?」
 耳を疑う様子の純一。俺も思わず口を押さえる。
(俺今……どうしてこんなことを……)
 慌てて否定しようとし、すぐさま口を開く。
「正直に言うわ。全体的にやり過ぎなのよ。ダメージジーンズとそのTシャツの柄が相まって、とてもどぎつい感じがするし、極めつけは龍のペンダントね。これ似合う人ってそうそういないのに、あんたが付けてもただ単に"痛い人"で終わっちゃうわ!」
「………………」
 純一の顔が青ざめていく。一方の俺は、何でそんなことを真っ向からストレートに口走ってしまっているのか、自分でも不思議でならなかった。
「ふっ……ふははははっ……!」
 不意に笑い出す純一。メンタルが破壊されたときの、こいつの特有の反応だ。
「これ高かったのに……バイト代が水の泡だ……」
 そう呟き力なくうなだれる彼を目の当たりにして、反射的にフォローの言葉を掛けようと口を開いてしまう。
「まあ、いい授業料になったと思えばいいじゃん。これからは外見じゃなくて、中身を磨くように努力すれば……」
 自分で言ってて何様だと思ってしまう。まったくの正論ではあるものの、これではフォローとしてはいささか、不適切なような気がする。
「そ、そうだよね……」
 力なく呟く純一。案の定傷ついてしまっているようだった。
(す、すまんっ……純一……)
 口を開けば何を言ってしまうかわからなかったので、俺はその場で、落ち込んでいる親友に対して深々と頭を下げる。
(それにしても……何がどうなったっていうんだ……)
 ここで俺は、ある一つの仮説に思い当たる。
(もしかして俺、女体化の代償として、嘘がまったくつけなくなってしまったんじゃ……)
内心、愕然とする俺であった。

 俺が立てた仮説は、間違ってはいないことはすぐさま実証されることとなった。
 サークルで本当のことをぶっちゃけてしまって先輩を怒らせたり、家に帰ったら帰ったで、近所のおばさんに"厚化粧ですね"と真実を指摘してしまったり……。
 極めつけはバイト先の喫茶店での出来事。ウェイターならぬウェイトレスとして勤務していた俺は、とある女装した一人の中年男性の応対をすることになる。
 もちろん女装が悪いとかそういうわけではない。女体化願望は世の中の男性に共通のものだからな。
 だが目の前のおっさんは、明らかに似合わないヒョウ柄の婦人服と厚化粧をしている。そのうえ青ひげが目立っており、はっきり言ってどぎついものがある。おまけにコロンの臭いがきつく、店内に異彩を放ち過ぎていた。
 注文を取るためにおっさんの正面に立ったとき、とうとう口をついて出る本心。
「あの~っ……もう少し化粧と香水を控えめにしたほうがいいですよ」
「何ですって!」とおっさんは言い返し、そこから論争が勃発する事態となってしまった。
 自分の美意識を声高に主張する女装姿のおっさんに対し、的確な突っ込みを躊躇なく入れるウェイトレス姿の俺。
 否応なしに議論はヒートアップし、ついにおっさんは「……ひどいっ! 真実は時に残酷なのよっ! 訴えてやるわっ!」と激昂して叫びだした。
 ここで駆けつけた店長によって、どうにか事は収まったものの、俺は大目玉を喰らうはめとなったのである。

「ふぅぅぅっ……まさか嘘がつけなくなっちまうなんてな……」
 キャンパス内のベンチに腰掛け、深々とため息をついてしまう俺。これまでの経緯を思えば無理もないことであった。
「夢の中の声って、悪魔のものだったんだろうね……」
 そうとしか考えられず、しょぼくれてうつむいているとスマホからSNSサービスの着信通知。
 確認して驚く。何とそれは、憧れの川原 優佳里さんから”よかったらウチ来ない?”というお誘いのメッセージだったのである。
「そういえば優佳里さんって、マンションに一人暮らししてるんだっけ……」
 いいところのお嬢様である彼女は、大学が実家から遠く離れているのでこの街に部屋を借りているという話だった。
 学生の部屋としては、割といい物件らしい。
(女の子の部屋に招かれるなんて……ドキドキするなっ……)
 女体化した後でも、俺にとっては興奮もののシチュエーションであった。

 だがそこでも、悲劇は続く。
 部屋におじゃました俺は、優佳里さんお手製のクッキーによるもてなしを受けることとなった。
 問題はその味で、お世辞にも美味しいとは言えない。
「どう? 美味しい?」
 微笑みを浮かべてこちらの感想を求める彼女に対し、しばらくは押し黙っていたが、
「いいえっ、美味しくない。レシピはちゃんと確認したの?」
 例によって直接的すぎる指摘が、口をついて出たのを皮切りに、色々と味付けに対するダメ出しを、次々と吐き出していく。
「………………」
 押し黙って聞いている優佳里さんの表情が、みるみるうちに曇っていき、
「もういいわ、今日は帰って!」
 ついには怒ってしまい、あえなく俺は追い出されてしまった。

「なにやってんだろ俺……」
 帰り道をとぼとぼと、肩を落として歩く。
 当初は期待感に満ち満ちていた美少女としての生活も、"嘘がつけない"というたった一つの代償のせいで散々であった。
 考えてみれば嘘とは、人間が社会生活を送る上で欠かせないものだ。
 "嘘つきは泥棒の始まり"とか"嘘をつけば閻魔さまに舌を引っこ抜かれる"という昔のことわざは、今や非常に陳腐なものに思えて仕方ない。
「これから俺、まともに生きていけるんだろうか……」
 絶望感が湧き上がってきたそのとき、スマホからSNSサービスの着信通知が鳴る。
 確認してみると、"さっきはごめんなさい。今から思うと正直に言ってくれて感謝してるの"という優佳里さんからのメッセージ。
「よかった……嫌われてない……」
 安堵した俺は、親指を下から上に滑らせ続きを読む。
 そこには"今日の埋め合わせも兼ねてだけど、もしよかったらこんどの土日、リゾート施設にお泊りしない?"とのお誘い。
「えっ…………!?」
 ぱあっと明るくなる俺の表情。目の前に希望の光が、射し込んできたような気がした。

後編はこちら

美少女になる代わりにウソが付けなくなってしまう小説 前編

作 TAMAこんにゃく https://skima.jp/profile/?id=32953
キャラデザイン かもり https://twitter.com/aloeblues

20160713000413f09_20181222124032442.jpg

 美少女になりたいっ!!
 モニターの前の男子諸君。一度はそう思ったことはないだろうか?
 少なくとも俺こと、伊佐地(いさじ) 友(とも)紀(き)は、これまでの20年間の人生においてゆうに10万回は考えたことがある。
 そこまでの願望を抱(いだ)く理由はみんなわかってはいると思うが、わからないという奴のために一応補足しておこう。
 俺が女の子に憧れを抱く理由、それは単純に可愛らしいからである。
 だって考えてもみなよ。さらさらっとした髪とぷにっとした頬と柔らかな唇、身体つきは野郎と違ってしなやかかつ丸みを帯びており、ごつさが一切ない。胸はむっにゅっと膨らんでおり、例えようのないほどの癒やしを周囲にもたらしてくれる。腰つきも豊かで、たまらないエロスを、これまた周囲に振りまいている。
 こんな存在が実在しているのだ。お近づきになるのはもちろんのこと、あわよくば自分がなりたい……という願望を抱(いだ)くのは当然のことではないだろうか。
 上記のことを、小×生時代、いや幼×園時代から考えていた俺だったが、中×生になって周囲の女の子が二次性徴を迎えると、ますます衝動は強くなる一方となった。
 高校生にもなるともう、毎日『女の子になりたい! 女の子になりたい! 女の子になりたい! 女の子になりたい!』と、自宅にいるときはおろか学校にいるときまで、心中密(ひそ)かに熱望していたものだ。
 そして、大学生になった現在。女の子たちは制服という画一的な呪縛から解き放たれ、皆思い思いのファッションで着飾り、各自が自分ならではの魅力を存分に発散している。
 そんな彼女たちがわんさかいるキャンパスに、俺は毎日通っているのだ。
 当然、女体化に対する欲望はより激しく燃え上がることとなり、最近では帰宅するとすぐ、学内で昂ぶった衝動に煩悶し続ける始末。
 今日も今日とて『女の子になりたい! 女の子になりたい! 誰か、神様でも悪魔でもいいから、この願い叶えてくれっ!!』とベッドの上で悶え転がり、いつしか寝入ってしまう……という、よくあるパターンをなぞっていたのである。
 その夢の中、俺は不意に『女の子になりたいのか?』という謎の声を聞くこととなった。『もちろん!』と即答すると『本当に?』と訊き返されたので、『本当だよ!』とこれまた即答。
 ダメ押しと言わんばかりに声の主は『後悔しないか?』と訊いてきた。もちろん俺は『後悔なんてするものかっ!!』と返答。
 すると『言ったな……その願い叶えてやるから、後悔するなよ……』という声が聞こえてきて、俺の意識は急速に覚醒に近づいていった。
 ベッドの上で目覚め、『ふぁぁぁぁっ……よく寝た……』と大きく伸びをする。
「あれっ……?」
 俺の胸元は、なぜか膨らんでいた。
 変だなと思い、とりあえず胸を触ってみると、むっにゅむにゅむにゅう……と柔らかな感触。
「胸に何か入ってるのかな……」とTシャツの中に手を突っ込め、素肌に直接触れてみる。
 もっにゅっむにむにぃぃっ……。
「これは……」
 そう呟く声もいつもとは違い、ずいぶんと高い。自分の肉体にただならぬ異常事態が発生していることに気づいた俺は、意を決してショートパンツの上側のホックを外し、内部に履いているショーツ(この時点でおかしい)の中身を垣間見る。
「………………」
 そこには、あるべきものが存在しなかった。
 俺はベッドから起き上がり、壁に備え付けてある大きな鏡の前に進み出る。
「だ、誰なのこの娘(こ)……」
 わなわなと震える鏡の中の、ショートヘアがよく似合う美少女。
 俺が右手を上げると、彼女の右手を上げ、俺が左手を上げると、彼女も左手を上げる。
「もしかして……」
 俺がコマネチのポーズを取ると、彼女もコマネチのポーズを取った。
 このことで確信に至る。
「俺……女になってる……ってことはあの声は……」
 昨晩眠りにつく前、"誰か、神様でも悪魔でもいいから、この願い叶えてくれっ!!"と必死に独白していたのを思い出す。
「神様なのか……それとも悪魔なのか……」
 つくづく、世の中には不思議なこともあるもんだと、呟きながら実感する。
「まあ、それは置いといて……」
 もし女の子になれたらやってみたかったことを、とりあえず実行に移すことにした。
 上側のTシャツを脱ぎ、あらわになる形のよい美乳。
 下側のショートパンツ、続けてショーツを脱ぎ捨てると、そこには股間部のうっすらとした茂み。
「おおっ……」
 鏡に映し出された、全裸美少女に感嘆の声を漏らす。
 しばらくはじろじろと、そのしなやかな白い裸身を鑑賞する。程よい大きさのおっぱいを寄せて上げてみたり、後ろを向いてぷりんとしたお尻を突き出してみたり。
 さらにはその場にしゃがみ込み、両脚を大胆に開いた体勢で、股ぐらを手でくっぱぁぁぁと押し開いた。
「これがっ……女の子のあそこ……」
 これまで成人向け動画やその手の画像でしか見たことがなかった代物を、俺は直視することとなった。
「んごくっ……」
 自然と口内にあふれ出てきた唾液を飲み込み、しなやかな指先を内部に滑り込ませてみる。
「んはぅっ……」
 ピンク色の部分をまんべんなく手でなぞっていくと、じわじわ下腹部が熱くなっていき、艷やかな吐息が口元から漏れ出てしまう。
 やがて指先に、ねっちょりとした感触を覚えた。
「これって……濡れてきたってことだよな……んふっ……」
 透明な液体まみれになった秘所を右手指先でいじくりながら、左手で左胸を掴んで揉みしだいていく。
「んんふっ……やっあっ……あんあんぁぁぁっ……!」
 下腹部と左胸から、どんどん性感が脳内に伝わり、
「んあっああぁっ……うっふぅぅぅぅっ……!」
 一気に弾け飛び、あまりの気持ちよさに思いっきりおとがいを反らしながら、高らかに声を上げる。
 女の子になって初めての絶頂を、俺は迎えていた。

 その後(ご)俺は、日常生活に突入することになる。
 驚いたことに、父や母、兄や弟といった家族の誰もが、女体化した俺を見ても普段どおりの対応をしてきた。
 どうやら俺は、生まれたときから女の子ということになっているようで、名前も友(とも)紀(き)から友(ゆ)紀(き)と、漢字は同じだが読み方が変化していた。
 今日は平日の火曜である。したがって大学に行かねばならない。
 朝食後自室に戻り、改めて鏡を見た俺は気づく。
「あれ、ファンデーションってどうすんだっけ……」
 化粧用具一式は用意されてはいるものの、肝心の使い方がわからない。
 確認しようと手に取ったスマホに、表示された時刻を見て驚く。
「げっ……もうこんな時間かよ!」
 1限目に遅れるわけにはいかないので、そのままいそいそと自宅を出る俺だった。

 唐突に始まることとなった、女体化した俺のキャンパスライフ。
 授業に出て友達とだべり食事をするという、まあ男のときと基本は変わらない。
 だが、異なる点がいくつかある。
 一つはひしひしと感じる、俺を見る男子の視線。
 紫色のブラウスにスカートという、ごくごく一般的な女子の服装をしているものの、大学構内で出会う男子一人ひとりが、じろっと俺の全身と顔を一瞥するのがわかる。これは、男だったときには経験したことがない。
 まあ自分で言うのもなんだが、鏡で見る限り自分の顔は紛れもない美少女である。男であれば注目してしまうのも無理はない。
 もう一つは女子と簡単に仲良くなれること。同性だから当然のことだが、今までの俺は女の子とお近づきになるため、他の男子と同じように涙ぐましい努力をしていた。男子だったときに仲良くしたいと思っていた女子と、気軽にガールズトークを楽しめるのは夢のようなシチュエーションというほかない。
 特に嬉しかったのは、憧れの同級生、川原(かわはら) 優佳里(ゆかり)と意気投合して仲良く話し込むことができたことだった。
 上品そうなハープアップの髪型が人目を惹きつける清楚系美少女の彼女は、正直なところ、女性となった今でも魅力的な存在である。
 連絡先を交換できたときは、飛び上がらんばかりの喜びに包まれたものだ。

中編はこちら

『異世界自衛隊! ~ゲートを潜ると女に変身!?~』  後編 作 巫夏希 キャラデザイン むらさきいろオレンジ

作 巫夏希 https://skima.jp/profile/?id=30287
キャラデザイン むらさきいろオレンジ https://twitter.com/YG_AAA_G

TW-102_2018121413193618c.jpg



「でも、どうするんですか、隊長」
 エルフの村は水が豊富にある。理由は、沢が近くにあるためだ。だからエルフたちは毎日のように風呂に入ることができ、綺麗な身体を保つことが出来る。
 浴場は外に設置されている。理由は管理が行き届いているから、別に覗いたところで減る物じゃあないから(エルフの村は男女比が1:9ぐらい)、という理由だった。
 野々村と真野は、同じ風呂に入っていた。二人の性別は違うが、今は身体が女体となっていて、二人とも性別は同じだ。もっとも、真野はもともと女性であるが。
「何だ、お前。それを聞くために一緒に入ろうと言い出したのか」
「良いじゃあないですか。別に。裸の付き合い、ってことで」
 とはいっても、精神はやはり男のままである。
 独身である野々村にとって、女性の裸体というのは刺激が強い。子供かと思われるかもしれないし、そろそろ身を固めろと家族からも言われる機会が増えてきつつあるが、それでも彼は仕事一筋でやってきた。
 しかし、真野の裸体は、彼が見た女性の中で一番輝いて見えた。
 玉のように水が滑らかな曲線を描く身体を跳ねていく。
 女性としては十分過ぎるふくよかな乳房に、赤いつぼみのような乳頭。
 陰部の毛は整えられているのか、あまり生えていない。それを聞いたところで、セクハラになってしまう危険性を危惧していた彼は、聞かずにいたのだ。
「……何、私の身体に何かついていますか?」
「い、いや。そんなことはないよ。その、君の身体は……綺麗だな……と」
 それを聞いた真野はみるみる顔を赤らめていった。
「な。何を突然言い出すんですか!! 急に声を出さなくなるから、何かあったかと思ったじゃあないですか!!」
「ああ、いやあ、済まん……。別にそんなことを言うつもりはなかったんだ……。俺も、別に女性の身体を見たことがないわけはない。遡れば、女性の裸体なんてお母さんの身体を見たくらいに遡る。それにそういうお店だって行ったことがないってわけじゃあないし……」
「なんで女性の前でそんなことが言えるんですか!? ほんと、訳が分からないですよ!!」
「あはは、済まない。……でも、こんなことを言えるのは、きっと君だけだろうなあ」
「……それって、いったい?」
 真野は急に表情を変えて、野々村の表情を窺う。
 野々村は、顔を赤らめて、少しだけ呟く。
「……君のこと、嫌いじゃあない、と思っている。それをどう思うかは、君次第だがね」
「…………隊長…………」
 二人がいい感じになっている。唇と唇が触れあう程の距離に二人が近づいた――ちょうどそのときだった。
「……で、何を見ているんですか? 二人とも」
 影からそっと覗いていた二人を、彼女は見逃さなかった。
 草むらから出てきたのは、要と日野の二人だった。
「いや、ちょっと二人の風呂が長いなあ、と思って見に行ったら……」
「いやいや。別に二人が仲良いオーラを放っているなら、止めませんことよ」
 要と日野はわざとらしく、そう言って、立ち去っていく。
「お、おい! 何を勘違いしているんだ! 俺と彼女は……」
「隊長?」
 真野は、野々村に問いかける。
 止めようとした野々村は、浴槽からあわや身体を出すところまでいって、立ち止まった。
「お、おおっと。そうだった。今は身体が女性になっているんだったな……へーっくし!」
「風邪を引きますよ!」
 『絶対に触らないように!』と言われていた、布袋を横目に叫ぶ真野。
 布袋の中には、『自発的に周囲を温める石』が入っており、直に触るととても熱い。ホットストーンとエルフは呼んでいたが、異世界の技術は発展しているんだかしていないんだか分かった物ではない。
 真野はそんなことを考えつつ、浴槽に戻る
「そうですよ、だから、戻ってじっくり暖まりましょう?」
 真野の言葉に、野々村は何も言い返すことは出来なかった。

 ――その後、要と日野は野々村から大目玉を食らったのだが、それはまた別の話。




「音で蹴散らす?」
「正確には、混乱させる、とでも言えば良いでしょうか」
 翌日。
 エルフ側と人間側で共同の会議が執り行われた。議題は勿論、二日後にやってくるドラゴンについて。エルフ側がドラゴンの基本生態をデータとして提供し、それを元に人間側での知識を提供する――というものだった。
「人間とドラゴンの体格比はおよそ1:15。つまり、音についても十五倍敏感である、ということが成り立ちます」
「成り立つの?」
「科学者が言っているなら、そうなんじゃあない?」
 真野と野々村は、茶々を入れる。
 科学者――正確には文部科学省の職員と思われる人間が話を続ける。
「で、ですね。その音を正確に届けるレーザーを開発しておりまして。試作段階ではありますが、それが使えるのではないか、と」
「音を届けるレーザー?」
「音波兵器ってことですかね」
「正確には音響兵器と言います! 音波を投射することで、人の判断能力や思考能力を奪うことが出来る兵器として言われていますが、それを応用すれば……」
「ドラゴンにも使える、と?」
「その通りでございます!!」
 すっかり人間側で会話が成立してしまっているため、真野は恐る恐るエルフ陣営を見つめる。
 案の定、エルフ陣営は科学のことなんてちんぷんかんぷんであり、何を言っているのかさっぱり分からない状態に陥っていた。
 エルフ陣営は、寧ろその状態に恐怖すら覚えていた。それはほんとうに自分たちに効果を齎さないものであるのか、分からずにいた。
「あの……、大丈夫でしょうか? もし、分からないことがあれば、何なりとお申し付けください」
 文部科学省の職員は言った。
 それを聞いて、エルフのうちの一人がすっと手を上げる。
「……それは、私たちに悪影響を及ぼさないのでしょうか? 何だか聞いていると、ドラゴンだけじゃあなく、私たちにも影響を与えそうなものに見えてしまうのですが」
「それは……ええと……」
「与えません」
 はっきりと言い放ったのは、真野だった。
「確かに、それをエルフさんたちに向ければ、悪影響を及ぼすかもしれません。出力を間違えれば、ドラゴンに影響を及ぼさず、逆に我々だけに影響を及ぼす物と化すかもしれません。でも、私たちがそうならないように制御します。コントロールします。ですから、一度、私たちの意見に乗っかってみては貰えませんか」




「よく、あんなことが言えたな、真野」
 会議の終了後、野々村からそんな声をかけられた。
「どうしてですか? もしかして言い過ぎましたか」
「いや、そんなことは無いよ。寧ろ、ナイスプレーだ。きっと文科省の職員は慌てふためいていただろうからね。急に、『シナリオにない』質問をされるのだから」
 もっとも、そんなことはもっと想定して欲しいものだが。野々村は続ける。
「しかし、君の言葉のおかげで、エルフ側もあの意見に納得してくれたようだ。……少々、面倒なことが増えたのは間違いないが」
「増えた? 何がですか?」
「分からないのか。あの兵器を操るのは、エルフには出来まい。つまり、俺たち人間がずっとこの村に駐留して居続けなくてはならない。……そこまで言われれば、意味も分かるだろう? 俺が何を言っているのか」
「……私たち、元の世界に戻れない、ってことですか?」
「分からん」乱暴に野々村は言葉を投げ捨てる。「国が『帰ってこい』と言ってくればそれまでだ。門も開いたままで閉じることもない。今のところは、だが。そうなれば、仮に俺たちが帰りたくても帰ることは可能だ。それを国が許すかどうかは別として」
「……自由意志もクソもないですね、私たち」
「それが自衛隊ってもんだろ。さあ、立ち止まってないで、俺たちは俺たちの仕事をやるとしようか」
 立ち上がり、のびをする野々村。
 それを見た真野は小さく笑みを浮かべた。
「……どうした? 何かおかしなところでもあったか?」
「いいえ。寧ろ、元気づけられました。ありがとうございます、隊長。ちょっと不安もありましたけれど、これでなんとかなりそうです」
「そうか? ……なら、良いんだが」
 そうして、二人は歩いて行く。
 目的の『音響兵器』を異世界に運び込んで設置、作動させるまでもう時間は差し迫っている。彼らに休む暇など与えない程に。


10

 エピローグ。
 というよりもただの後日談と、結論。
 結論から言って、音響兵器は成功した。ドラゴンが慌てふためく程度には成功した。
 そしてドラゴン族とエルフ族、そして人間との間に平和条約が結ばれることとなった。
 条件は以下の三つ。
 一つ、お互いがお互いの領土を攻めないこと。
 一つ、もし片方が保護を必要としている場合、理由は問わずに、保護を行うこと。
 一つ、以上のルールは民族繁栄のために永続的に続けられること。
 調印式には人間代表、エルフ代表、ドラゴン代表と様々な種族が入り交じってのパーティみたいな格好になってしまった。しかしながら、それは彼らにとってはあまり関係の無いことなのかもしれない。
「隊長。どうして私たち、パーティの会場には入れないんでしょうね?」
「なんで、ったって……。仕方が無いだろ。パーティには重要な来賓もいらっしゃる。もしその方々に何かあった時、お前は何か補填が出来るのか?」
「出来ないですね」
「つまり、そういうことだ。補填が効く相手か効かない相手か。俺たちは補填が効く。しかし来賓は補填が効かない」
「人間だってドラゴンだってエルフだって、代わりはいくらでも居るように思えますけれど? それに、そのために『副大臣』とか『大臣代理』とかが居るんじゃあないんですか?」
「……お前、それ俺以外の人間に言ってみろ。大目玉を食らうぞ」
「それはご勘弁願いたいですね」
「だろ? だったら、黙って警備を行う。それが俺たちの役目だ」
 真野は一度使ったっきりの音響兵器を見て、呟く。
「まさか、あの音響兵器があんなに大活躍するとは思いもしませんでしたよ」
「想定外だったか? 俺は想定していたぞ」
「まさか」
「人間には不可能なことはない。それは俺の金言でもある。分かるか?」
「分からないですよ、そんなこと」
「そうかなあ、わかりやすく、言ったつもりではあったんだが」
「そうだ。隊長」
「うん?」
 野々村が真野のほうを向いたそのとき――真野と野々村の唇が触れあった。
「……は?」
「あのとき、私の意見を尊重してくれた、お礼です」
「お礼って、お前……」
「真野! エルフ代表の方が呼んでるぞ! 今すぐ警護に当たれ!」
 要の言葉を聞いて真野は立ち上がる。
「はあい! 今行きます!」
 踵を返し、歩き始めて――そこで立ち止まった。
 野々村は首を傾げていたが、直ぐに彼女はこちらを向いて、
「それじゃ、隊長。続きはまた今度、ということで」
「は!? 続きってどういうことだ、真野! 真野! おい、俺の言うことを聞け! 隊長命令だぞ!!」
 駆け出した彼女に、その声は届かない。
 いや、届いていたけれど、聞こえないふりをしていただけだったのかもしれない。
 エルフと人間とドラゴンと、異世界での彼らの平和条約が、この世界での歴史の大見出しとなるのだが――今の彼らには知るよしもなく、それはまた別の話となる。

終わり

『異世界自衛隊! ~ゲートを潜ると女に変身!?~』  中編 作 巫夏希 キャラデザイン むらさきいろオレンジ

作 巫夏希 https://skima.jp/profile/?id=30287
キャラデザイン むらさきいろオレンジ https://twitter.com/YG_AAA_G

TW-102_2018121413193618c.jpg



 エルフの村。
 その村長の家。
「……というわけで、ドラゴンについて、私たちが襲われている経緯は理解して貰えただろうか?」
「まあ、分からないわけでもないが……。エルフはかなり被害を受けているのか?」
「ええ……まあ」
「具体的には?」
「穀物を荒らされたり」
「はい?」
「野菜を食い荒らされたり」
「はあ?」
 聞いている限り、ドラゴンの被害が、現実世界でいうイノシシのそれだった。
「ですから、穀物や野菜が食い荒らされているのです! これは、我々にとって死活問題なのです! おわかりいただけますか!」
「いや、分からないつもりはないが……」
 現実世界でも獣害なんてことは聞いたことがあるし、きっとその類いなのだろう。
 しかし、ドラゴンという巨大な生き物がそのような小さな被害だけで留めておくとは到底考えつかない。例えば人間を食べてしまうとか、そういう予想をしていた彼らにとって、それは想定外の出来事だったと言えるだろう。
 いや、そもそも。
(ドラゴンって草食なのか……?)
 軍団全員がそんなことを考えていた。
「……取りあえず、我々が考えた策を今度講じてみようと思っています。ご安心ください、危害を加えるつもりはありませんよ」
「しかし、ドラゴンとともに過ごすことも我々の宿命……」
「とはいえ、ドラゴンに命の源たる食料を奪われるのもどうかと思いますが。あまりそこに関しては気にしないのですか?」
「ええ。それがこの世界の理ですから」
「理、ねえ……」
 野々村は、珈琲を啜りながら呟く。
 それにしても、この世界の珈琲は焙煎技術がそこまで出来ていないためか、あまり美味しくない。豆をそのまま煮立てた汁に近い。それだけなら和風にアレンジできそうな味付けだが、しかしながら、それを今考えたところで何も始まらない。
「……じゃあ、一度ドラゴンを追い返すことをすれば? 倒すことはせず、あくまでもパワーバランスを崩さないということをすれば、何とかなるのではないでしょうか」
「真野! それはいいアイデアだ」
「真野さん……でしたか。確かにそれならば、この世界の理を破る必要は無くなります。……あなたたちは本当に頭が良いですね」
「え? ああ、いや……。私たちの世界にはドラゴンが居ないから、それで正しいかどうかは分からないのだが、聞いた限りでは、それで問題無さそうだという判断をしただけであって……」
「隊長。別にそこまで言わなくても良いと思いますよ?」
 真野の言葉に、野々村は頭を掻く。
「そ、そうか。だが、やはり考えてしまうものでな……」
「た、大変だああああ!」
 会議室の扉を思い切り開けて、エルフの男性が入ってきた。
「騒ぐのを止めなさい。今は大事な会議中ですよ。それとも……」
「ええ! ドラゴンがやってきました! しかも、今回は俺たちエルフも襲いだしてきて」
「ほら、言ったこっちゃない!」
 野々村たちは武装をそのまま持ち運び、外へ出て行く。
 エルフの集団も弓を構え、大急ぎで外へ出て行った。




「ぐおおおおおおっ!!」
 外に出ると、ドラゴンの咆哮が聞こえる。
「あれが……ドラゴン……!」
 鱗に覆われたは虫類を思わせる身体、その身体は十五メートルから二十メートル以上はある。鋭い爪や牙が見え、口から炎を吐き出し、家々を燃やし尽くしていた。
「ドラゴン! 静まりなさい!」
 やってきたのは、エルフの村の村長だった。
 それに反応するドラゴン。
「ドラゴン! 今まで私たちは食料を与えるだけの関係性だったはず。どうして、我々を潰すような行動に出るのですか!!」
 その言葉に、ドラゴンは答える。
「……今まで貴様達は食料を私に与えてくれた。それについては感謝しよう」
 頭に直接響いてきた、その声を聞いて、村長はゆっくりと頷いた。
「ならば……!」
「だが、もうこの村は生産性がない。エルフとて無限に生命を育むことの出来る存在ではないことはお前達がよく知っていることだ。……ともなれば、あとはエルフの身体を喰らうのみ!」
「それはさせない! 私たちは、ただ喰われるだけの存在だと思うな。私たちは、ただドラゴンに食物を与えることで、命を救われてきたのだ。それを破るというのなら、こちらにも秘策がある!」
「秘策? 申してみよ」
「こちらには、異世界からの戦力がある!」
「…………は?」
 突然そんなことを言い出されて目を丸くする野々村。
「いやいやいや! いきなりそんなことを言われても無理ですよ、こちらは、あくまでも想定の上でしか言っていないだけであって」
「でも、ドラゴンを倒すほどの戦力はお持ちでしょう?」
「今はただ監視のための最低限の戦力しか持ち合わせていませんよっ!」
「……ほう? 私を倒すことが出来る程の戦力を持ち合わせている、とだと?」
 ドラゴンは炎を吐くのを止め、一度停止する。
「ならば、時間を与えようではないか。私は別に一日だろうが一ヶ月だろうが僅かな時間に過ぎない。その時間を与えてやろうと言っているのだ。これほど素晴らしいものもないだろう?」
「……三日くれ」
 野々村は考えて、はっきりと言い放つ。
 三日。その時間さえあれば、策を講じることが出来る。野々村はそう判断したのだ。
「ほう。三日、とな? 三日で何が出来る」
「三日あれば策を講じることだって、対策を立てることだって出来るだろうよ。たとえそれが、あんたみたいな横暴なドラゴンであってもな!」
「……ほう。そんなことを言っていられる人間がいるとはな。気に入ったよ、お前のような人間に出逢う機会があるとは思いもしなかった。ならば三日、待とうではないか」
「……、」
「もし、三日経過してその策が私に効果が無いと分かったら」
「……分かったら?」
「そのときは、この村を潰す。お前達もろとも、喰らい尽くしてくれよう!」




 それからのことを、彼らはあまり覚えていない。
 ドラゴンを追い返すことが出来た。三日という猶予が生まれた。しかしながら、三日という時間はあまりにも短すぎる。どうすれば良いのか。そもそもドラゴンはどうして現れたのか。彼らの間に、溝が生まれることはなかった。誰も『人間がやってきたから』なんてことを言うエルフは居なかった。
 彼らは協力して、ドラゴンになんとかして貰おうという策を講じることにしたのだった。


後編はこちら

『異世界自衛隊! ~ゲートを潜ると女に変身!?~』  前編 作 巫夏希 キャラデザイン むらさきいろオレンジ

作 巫夏希 https://skima.jp/profile/?id=30287
キャラデザイン むらさきいろオレンジ https://twitter.com/YG_AAA_G

TW-102_2018121413193618c.jpg



 ある日、異世界へと繋がる『門』が開かれた。
 その門は、高次元生命体との協力の下、移動させることが出来た。
 移動、と言ってもたいしたことではない。ただ動く『門』を、自衛隊や警察が人間や動物が入らないように――入ってしまったら、その際は諦めるしかない――保護していくだけだった。
 そして、東京近郊のとある基地に封じられることとなった『門』は、国連軍の管轄となったものの、引き続き日本にそれを置くこととなった。
 理由は、高次元生命体、人間はそれを『カミ』と呼んでいる、がこう言ったからだ。
「だって私、日本が好きだし」
 いろいろな文化が混合している日本は、カミにとって平和であり楽しいものの集まりであり、門を管理している以上、つまらなくない世界にそれを置いておきたかったのだという。わざわざ門を置く理由が分からない、と言われてしまえばそれまでの話なのだが。
 ともあれ、門の先の世界を『監視』する役割に就いたのは、日本だった。
 それはカミがそれを好んだからとか、そういった理由ではなく、単純に『門』がそこにあったから。
 そうして第一次監視隊の任務を任されることになった、野々村隆二二等陸尉率いる『第一次国際連合軍監視隊』。
 しかし、彼らは未だ知らない。
 その門を潜ると起きる、謎の『副作用』に――。




「女体化……ですとな?」
「うん。そうなんだよねー」
 ふわふわと浮かんでいる、白いワンピースを身に纏った金髪の女性。
 自衛隊の服とスーツに身を包んだ人間だらけの会議室の中心に、ふわふわと浮かんでいるそれは、はっきり言って異質そのものであった。
 カミ。
 門の出現と同時に突然姿を見せた、高次元生命体。そして自らをそう名乗っているそれは、人間のように見えて人間のように見えない。老人にも若者にも子供にも男性にも女性にも見えるような、性徴がほぼ一体となった存在だった。
「正確には、遺伝子がくるりと『反転』するとでも言えば良いのかな? 男性の遺伝子ってXY遺伝子でしょう? それに対して女性はXX遺伝子。門を潜るとこの世界の人間の持つ、Y遺伝子がX遺伝子へと変貌を遂げる。とどのつまり、男性が女性になってしまうということになるのよ。まあ、そこまで珍しい事象でもないけれど」
「珍しい事象なのだよ、その出来事自体が」
 その中でスーツに身を包んだ男が声を荒げて言った。
 カミは話を続ける。
「でも、それは君たちにとって悪い話じゃあないだろう? 実験と言ってもいいけれど、それについては、別に難しい話じゃあない。……どうせ元の世界に帰れば、また遺伝子情報は元に戻る。男性だった人間は、異世界に行けば女性になり、またこの世界に戻ってくれば男性に戻る、ということだ。分かったかな?」
「あの世界との通信システムは?」
「こちらから持ち込めば可能なはずだ。無論、無線局を作らねばならないがね。それについては、そちらの『ソームダイジン』とやらが詳しいんじゃあないかな?」
「総理、説明させて頂きます」
 そう言われた総務大臣は、総理に一枚の紙を手渡した。
「電波は、無線局と無線局の間で通信する事が可能です。とどのつまり、異世界に送受信の可能な設備を設置すれば、通信は可能です。但し、電波強度に応じて、ですが」
「電波強度?」
「電波の強さ、ですね。電波強度によっては、遠くまで電波を送ることが出来ます。しかしながら、あまり電波が強すぎると人体に悪影響を及ぼす危険性があるため、あまりおすすめはしません」
「じゃあ、どうすればいいのかね?」
「異世界に、飛ばした後に、電波を強める装置を設置すればなんとかなると考えています」
「電波を強める装置?」
「詳細は長くなりますので、省きますが。それを使うことで少なくとも我々が把握している範囲での通信は可能となります」
「成る程。それによって、第一次国際連合軍監視隊との通信を可能とする訳だな?」
「その通りです」
 そう言って、総務大臣は笑みを浮かべた。




「……やっぱ慣れないんだよなあ」
 野々村隆二二等陸尉は、そう言って空を眺めていた。
 基本的に監視隊はチームとなって行動し、個別での行動を認めない。
 チームは四人で構成されており、それぞれの名前を明記していくと、
 野々村隆二二等陸尉。
 真野あずさ陸曹長。
 要洋一郎一等陸尉。
 日野俊之一等陸曹。
 年齢はなるべく近いチームで設定されており、それは彼らの自由で決められるものではない。そして彼らは今、全員(真野は女性であるが)女性に姿を変えられてしまっていた。
「……それにしても、かなり面倒ですね。これ」
 要はそう言って、自分の身体を見る。意外にも全員が巨乳となってしまっているためか、どこか動きづらいとでも言いたいのだろう。
 対して、もともと女性であった真野は、三人に比べると巨乳ではない。それを見ていた真野は少し頬を膨らませながら、
「どうして、もともと女性である私より胸が大きいのでしょうね!? 野々村隊長!!」
「い、いや、それを私に言われても……」
 隊長である野々村も、すっかり女性になってしまっている。
 帽子に入りきらないぐらいロングの長髪、男性時代と比べれば丸っこくなってしまった顔、エトセトラ、エトセトラ。言い出すと切りが無い。
「とにかく! 今回の目的を皆忘れているんじゃあないか!?」
「覚えていますよ。エルフの村との交流でしょう。しかし、それでは問題があると、」
「ドラゴンがエルフの村を襲う、ということだったな……。その問題をどうにかしない限り、異世界との交流もうまくいかないだろう」
「エルフの村、ねえ……。正直、そこまでやる必要があるんですかね?」
 言ったのは日野だ。長い髪を束ねてポニーテールのようにしている彼女は、首を傾げつつ、
「はっきり言って、エルフの村にそこまで恩恵があるとは思えないんですよ。やることと言えば、『門』との中継局を設置することぐらいでしょう? エルフのイメージもあまり湧いてこないですし」
「わ、私なんとなく分かりますよ! エルフと言えば、飛ぶじゃあないですか!」
 そこで言ってきたのは、真野。
「それぐらいは知っている……。基礎知識は、カミという存在から教えて貰ったからな」
 それにしても。
 カミという存在は、いったい何がしたいのだろうか? 野々村は考える。
 彼としても、(今の身体からすれば、『彼女』とした方が良いのだろうが、彼としては女性として見て貰いたくないから)それは考えている話になるのかもしれないが、それについては、やはり厄介というか面倒くさい案件であるというか、いずれにせよ、彼の中では、それを考えたくない意思があるのかもしれない。
 カミという存在は、いったい何を考えているのか? 野々村は考える。
 しかし考えたところで何も浮かび上がらない。浮かび上がってこない。浮かばせるものがない。
「……仕方ない。とにかく、エルフの村へ向かうことにしよう。話はそれからだ。そうしないと何も進まない。それぐらい分かりきった話だろう?」
 そうして。
 彼らはエルフの村へと向かうことになるのだった。


中編はこちら

【投稿小説】不思議な村 作 黒糖鈴カステラ 絵 螺子-K ⑧<最終回>

初めから読むときはこちら

<7>
私は隣街の酒場にいた。誰かが向こうのテーブルで話している。様子を見に行った者が誰も帰ってこない村がある、と。それはこの村の噂。私がこの村に来るきっかけになった噂。この状況…そうだ。これは私がこの村に来る前。私がまだ男だったときの出来事。私の体は元の雄々しいものに戻っていた。戻った…私の体…!抜け落ちていたものが頭の中に戻ってきた。しかし、体のコントロールが利かない。私の意思とは別に、体が勝手に動き出す。まるで映画を見ているように、その世界に干渉することができない。モヤモヤする意識を尻目に、夢の中の私はひとりでに酒の勘定を払い、店の外へと出ていってしまった。

目が覚めた。
ベッドの上。昨日と同じ、ふかふかなベッドの上。店を出るのと同時に、私の意識は今の体へと引き戻された。なんだか妙に体がだるい。だが、戻ってきた。男だったときの記憶。女としての、『____』としての色欲に飲まれて消滅したかに思われた元々の、男としての意識。酒場の夢によって記憶を掘り起こされ、再びそれが主導権を握っていた。だが、もはや今となってはその意識が表面に出ること自体が巧妙に作られた罠だった。意識は元に戻っても体は元に戻らない。『____』の、かわいらしい女の子の体のまま。湧き上がる異性の体への違和感。その違和感と共に伝わる、女性用に作られた肌着の滑らかな感触。いつのまにか着せられていた、フリルたっぷりでリボンがいたるところに施されたピンクのネグリジェ。それらを知らしめるように置かれた目の前の姿見。そこに容赦なく映し出される自分の姿。お尻をぺたんとつけ、女の子座りで胸に手を当てた美少女は羞恥の嵐に飲み込まれた。な、なんでよりによってこんなかわいらしい、女の子らしい恰好を………耳まで紅潮させ、目を伏せる。おさげにする前の柔らかな茶髪が首筋と頬をくすぐり、心に追い打ちをかける。
「うぅ~~~///」
理想の女性のうなり声。麗しいそれも出所が自分だと考えるだけで恥ずかしくなってくる。その羞恥に少年の言葉が蘇る。自分がこの体に、身に着けていたメイド服に翻弄され、さらにスカートまでめくられたときの言葉。
(ボクの楽しみその3~♪女になった子が恥ずかしがるのを観察すること~♪)
…きっとあの酒場の夢も少年の仕業だ。この村に来る以前の記憶を引き出すことで意識を男に巻き戻し、再び異性の体や恰好への羞恥を感じさせる。彼の求める好物は、女に成り果てた女ではない。今の私のように、まだ男としての意識が残された女の子。性別の狭間でその不一致に、慣れない異性としての辱しめに顔を赤らめる女の子。その羞恥に悶え苦しむ様を何より望んでいる。こうして男の意識の戻った私は恰好の的。きっと今も私が悶える様をどこかから覗いているに違いない。うぅ…なんて鬼畜で意地の悪い子なんだ…!自分で自分を抱こうとした。そのとき、その手が乳首の先端、乳頭をかすめる。敏感になった触感が性感帯に触れたことを性的感触とともに伝える。その信号で昨晩、このベッドで起きた出来事がフラッシュバックする。私の元の姿、私の理想の男性像に化けた少年と恋人同士のキスをし、お姫様だっこされ、乳首をいじられ、じりじりと焦らされて、その挙句に自分から求めて、クリトリスでイかされた後に挿入され、処女を奪われ、それをきっかけに意識が完全に飲まれ、自分から彼を抱き寄せた挙句に何度も何度も交わった。
「~~~~~~~っ!!」
ひとつひとつの出来事が羞恥をもたらす爆薬となって炸裂する。穴があったら入りたい。なくても掘って入りたい。受け入れたくない過去。なかったことにしたい過去。忘れたままの方が幸せだった過去。布団をかぶって足をバタつかせ、そしてベッドの上をゴロゴロ転がる。布団が巻きつき、太巻きのような状態になって左右に往復する。何やってるの!何をやってるのよ私は!バカバカ!私のバカ!!あぁぁぁぁっ!!!顔を赤らめ、悶絶するその姿は年頃の女の子のそれでしかない。
「あだっ!!」
興奮してベッドから転げ落ちた。うぅ…ホント、何やってるんだろう私…。我に返りつつ布団をベッドに敷き直す。その様子がチラチラと姿見にも映ったが、必死に見ないふりをした。枕やクッションを元の位置に置きなおし、一通り終わらせたところでベッドに腰掛けた。一呼吸を置いてから姿見の方を眺める。表面に映ったネグリジェの美少女、『____』が私を見つめ返す。頬を赤らめた、助けを求める子犬のような瞳。やっぱり、どうみても女の子だ。マゾ気を漂わせるその表情に、左手が無意識に自分の乳首へと伸びる。
「ひゃんっ!」
ネグリジェの上から乳首を撫でる。女性の性的感触。その感触が続きを求める。今まで息をひそめていた『____』の意識が目を覚ます。
「んっ…んんっ……んっ……」
こんなことしてる場合じゃない…絶対アイツが見てるのに…。頭で警告するも、乳頭をいじる手が止められない。ムラムラと色欲が湧きだし、男としての意識がまた私に浸食されてゆく。もっと…あのときみたいに…。衝動が私を飲み込む。手が背中へと伸び、首筋のボタンを外す。ファスナーを下し、袖口から両手を抜き取って下に押しやると、何もつけてなかった胸がふるふると顔を出した。ずっしりと重みを感じる、大きな私のおっぱい。その胸を彼のように横から包むように揉む。
「んっ………」
自ら乳首をコリコリといじる。
「んっ…っ………ぅんん………」
堪えているはずなのに漏れ出す嬌声。自分でいじっているはずなのに、彼にいじられているように感じる。彼の腕の中で、後ろからコリコリ、コリコリいじられている妄想にかられる。頭に鍵をかけられ、その顔も声も思い出せない理想の男性。いないはずの彼に操られるように、右手が股間へと伸びる。ショーツを下ろし、人差し指が私のオマンコへと吸い込まれてゆく。中はもう既にぐっしょり濡れていた。
「ふぁっ、あっ、あぁっ、あっ、あぁっ、」
指を膣の中の上部を触るようにこすりながら出し入れする。彼の指が入っていると錯覚する。その手はもう止まらない。止められない。息が乱れ、口はだらしなく開き、エッチな声があふれ出る。乳首をいじる手も、中指まで入れだした手も、どんどん、どんどん激しく動く。犯される。犯されている。妄想が興奮を加速させる。快感が頭を支配する。気持ちいい。気持ちいい気持ちいい、気持ちいい!!
「あぁ、あっ、あっ、あっ、あっ、あぁっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ビクンビクンと体を震わせながら、オマンコから愛液が噴き出た。ドロッとした艶めかしい液体がまたシーツにいやらしい染みを作ってゆく。私は糸の切れた人形のようにベッドに横になり、ほっこりとした余韻に浸りつつ呼吸を整えた。女になって、初めての自慰。男のそれよりも何倍も気持ちよかった。幸福感、浮遊感とともに、背徳感が私を包む。どうしよう。気持ちよすぎて、このままだと癖になっちゃいそう…
「あ~あ~、また汚しちゃって。ホント、エッチだなぁ『____』は。」
我に返る。その声の主は部屋の入口でニタニタと笑っていた。あの人、元の私のものではない忌むべき声と顔。少年だった。昨日あんなことがあった私でも、その声と姿にはいまいましさが湧いてきた。
「アンタ…いつから…」
「ヒャハ♪もちろん、起きたときからずっと♪やっぱり『____』はかわいいなぁ~、全然気づかないし。でもまさか一人でオナニー始めちゃうなんてねぇ。いやぁ、よっぽど気持ちよかったんだねぇ~♪」
くぅ~~~ホンットにいまいましい!!
「そうだなぁ~、10日間。」
「えっ?」
「10日間この村でいい子に暮らせたらまた彼に変身してあげる。ただし、この村から勝手に出たり旅人にバラしたら罰ゲーム、ア~ンド延長ね。」
彼と…10日間我慢すればまたあの人に会える…あれ…な、何うれしそうにしてるんだろ、私…。
「それと~、『____』の理想の服はメイド服だったし、今日からこの家でメイドさんをやってもらおうかな。」
「え゛っ!?この家で!?」
「口答えは1日延長だよ。」
「うぅ~~~………」
「ヒャハ♪決~まりっ♪それじゃあまずは~、そのエッチなシーツを洗ってきてもらおうかな。ヒャハハハ♪」
ホンットに最低。でも…

あと10日間。10日間凌げばあの人に抱いてもらえる。その中身も、姿も正体もわかっているのに、そう思うだけで胸がときめいた。黙って村から逃げ出そうとも思ったけど、あの少年のことだ。どんな罰ゲームが待っているかを考えるだけでも恐ろしい。結局私に残された道はこの村で理想の美少女『____』として生きることだけだった。私も他の旅人たちと同様、この村の情報を持ち帰ることなく、美少女だけの理想郷に閉じ込められてしまったのだった。

翌日、私はこの村に来たときに声をかけてくれた村の先輩たちに謝って回った。みんなあのときと変わらず美しかったけれど、今はなんとなく自分が一番に感じられた。それはきっと私が、私の中に眠る彼にとっての理想の美少女だからなのだろう。彼女たち曰く、ここに来た旅人に対し、この村から出るよう注意するまでだったら罰ゲームの対象にならないらしい。きっと少年もその程度の注意じゃ誰も帰らないことを知っているんだろう。じゃああの三つ編みの子、あのとき私にこうなることを言いかけたあの子は一体どうなってしまったのだろう。ふと心配になった私は彼女の暮らす家を聞き、その家に向かった。しかし、その途中。
「おわっ!すっげぇ!この村美人しかいねぇぞぉ♪」
村外れから聞こえる、素っ頓狂な男の声。あぁ、また新しい犠牲者が増えてしまう。早く言わないと。アイツが来る前に、アイツにさらわれる前に、こんなことになってしまう前に。彼がこの子と、交わらないように。私はメイド服のスカートを翻しながら駆け寄り、上目遣いで警告した。

挿絵3 納品サイズ


「お願いします!今すぐこの村から出て行ってください!」

全文を表示 »

【投稿小説】不思議な村 作 黒糖鈴カステラ 絵 螺子-K ⑦

初めから読むときはこちら

<6>
私は幸福感の中を漂っていた。男の絶頂とは根本的に違う、女の絶頂。発散後、虚無感に襲われるそれとは違う絶頂。体がムズムズして、甘美な余韻とともに更なる絶頂を求めてしまう絶頂。クリトリスを愛撫されてイってしまった私は、今まさにその甘美な余韻と貪欲な色欲にどっぷりと浸かっていた。そんな私の上体を彼が優しく、ゆっくりと起き上がらせる。そしてその下にクッションを忍ばせると、私は上体だけ起き上がった状態になった。目を開くとそこにはあの大きな姿見。鏡越しに微笑みかける彼の横で、クッションにすべてを預け、もたれかかる少女。私。女としてイってしまった直後の私。リボンとニーハイソックスだけ身に着けたエッチな美少女。息を荒げ、髪は乱れ、頬が紅潮して、恍惚の表情を浮かべている。体からは力という力が抜け、肩でする息で胸と腹が艶めかしく上下している。その下では大きく開かれた秘部がシーツに愛液を垂らしながらキラキラと光っていた。ああ…これが私の…私のオマンコ…初めて見た…
「この鏡に映ってるかわいいエッチな子、これが今の君だよ、『____』。」
これが…私…このエッチな顔の…彼に気持ち良くしてほしいって、オマンコいじってほしいっておねだりしちゃう、エッチな女の子…。
「メイドさんなのにシーツをこんなに汚しちゃうなんて、『____』はエッチだなぁ。」
「~~~///」
悔しいけど言い返せない。焦らしに負けておねだりしてしまったのは他でもない私だった。
「でも、正直におねだりできたからもうひとつ、ご褒美をあげる♪」
「ふぇ…?」
彼が自分の人指し指を咥え、唾液を纏わせた状態でその指を私のオマンコへ静かに挿入する。
「ぁ…」
クチュッ、とはしたない音をたてて異物が私の中に入ってくる。途中から私の愛液を纏い、中をなぞりながらゆっくりと出る、入るを繰り返す。液体音と共に、一定の周期で訪れる異物感。なぜかそれが心地よい。その出入りに合わせて、自然と口から嬌声が漏れてしまう。それが繰り返される度、再びムンムンといやらしい色欲が私を支配してゆく。私がその快楽に飲み込まれている間に、彼は懐から小瓶を取り出す。中から出てきたのはドロッとした透明の液体。糸を引くほど粘性の強いそれを、私に入れていた人差し指、そして中指に絡ませていく。そしてさらに私の入口にもトロトロと垂らし、塗りたくる。ヌルヌルとした感触が広がったオマンコに、今度はその二本をまっすぐ挿入する。
「ふぁっ!あっ…あん…あっ…」
入ってきた異物が出入りしつつその中を撫で回す。二本になったことで生み出す異物感と快楽は何倍にも膨れあがる。今まで感じたことのない性的感触。透明な液体で滑りが良くなったオマンコをクチュクチュ、クチュクチュかき混ぜる。愛液と液体が混ざりあって、直接触れていない部分にも振動が伝わる。その感触が気持ちよくて、他のことが考えられない。意識の全てがオマンコに集中する。ただただそれを味わっていたい。ずっと抜き差ししててほしい。その快楽の虜になったところで、指がオマンコから抜かれた。
「あっ………」
思わず、物欲しげな声が私から漏れだす。
「大丈夫。代わりに別のを入れたげる。」
そう言って彼は全てを脱ぎ捨てた。私がかつて持っていた無骨で筋肉隆々の、男の体。そして、その股間で反りたつオチンチン。あれ…?私のオチンチン、こんなに…大きかったっけ…?ゴクリと生唾を飲み込む。思わず私はその肉棒を凝視してしまっていた。その目の前で小瓶の液体を陰茎に垂らし、纏わせる。その液体で表面がテカテカといやらしく照り輝きだした。
「じゃあ挿れるよ、『____』」
「やっ…そんなおっきぃの……あっ…あぁぁっ………」
私のオマンコに正対し、ゆっくりと中へ挿入した。私のモノが私の中へと入ってくる。愛液と粘る液体を纏って、摩擦なくズブズブと指よりももっと奥へと侵入してくる。入れられてる。私の中にオチンチンが入ってきてる。犯される。女になっちゃう。後戻りできなくなっちゃう!埋もれていた男としての意識が危機を察知し、脳内で警報を鳴らす。だがもはやそれは逆効果だ。クリトリスでの絶頂を経て女性の性的感触を知り、より女性に目覚めてしまった本能。抵抗できない、彼に蹂躙されている、女に変えられてしまう。そんな被支配的、マゾヒスティックな状況が私をより興奮させる。
(は、入ってくる!ダメ!それ以上入られたら、あっ、ら、らめっ、あぁっ、あああああぁぁぁっ!)
ぶちっ!
「いっ!…………………あっ……」
突然痛みが走り、私の中で何かが破けた。それは私がまだ純白だったことを示していた膜。処女膜。その単語が浮かんだ途端、私の中で何かが崩れ、消え去ってゆく。けたたましく鳴っていた脳内の警報が止み、性的快感も途切れた。音のない、無の世界が広がる。
(処女じゃなくなっちゃった…)
(オマンコの中、オチンチンで突かれちゃった…)
(女として、男と交わっちゃった…)
(女にされちゃった…)
(もう…元に戻れない…)
私の声が世界に響く。
私が感じたこと、私が思ったことがそのまま声になり、私の中で何度も何度も繰り返し反響する。
(処女じゃなくなっちゃった…)
(オマンコの中、オチンチンで突かれちゃった…)
(女として、男と交わっちゃった…)
(女にされちゃった…)
(もう…元に戻れない…)
砕けてゆく。沈みこんでゆく。粉々になりすぎて、もうそれが何だったのか私にもわからない。ただ、処女と一緒に大切な何かを失った。確か処女よりも大切だった何かを。私の中で喪失感と虚無感が静かに渦巻いてゆく。
私は…私は…

「『____』、『____』、」
声がする。あの人の声。大好きなあの人の声。
「『____』、大丈夫?ねぇ、『____』、」
その声に意識がゆっくりと引き上げられてゆく。大好きな彼の顔が目の前にあった。
「ごめんよ、…痛かった?」
「………………ううん。」
私は今できる最高の笑みを返した。
「大丈夫だよ。」
彼は少しの間きょとんとした後、またイタズラっぽく微笑んだ。
「フフッ、『____』の初めて、もらっちゃった♪」
「……………うん。」
頬を染めて頷く。現実が再び動き出す。胸が、顔が熱い。私の中に彼が入ってきている。そのことにもうためらいはなかった。むしろ奥まで、もっと来てほしい。してほしい。出してほしい。果ててほしい。一緒に気持ちよくなってほしい。一緒に気持ちよくなりたい。今まで何かにせき止められていた想いが溢れ、歯止めが効かない。私はあきらめ、手を放す。足を放す。身を任せる。
「もっと…もっと奥まで来て…!」
うわ言のようにおねだりする。そこに理性はない。考えない。脊髄で会話する。幼子のように、私の中の世界でそうだったように、思ったことと嬌声がそのまま口に出る。彼もそれに応えてくれる。私に気を遣いながらやさしく、奥までズブズブと入ってくる。かつて経験したことのない感触に息が詰まりそうになる。やさしく、甘い、甘美な異物感。たったの一度で私を虜にする感触。彼が歩みを進めるたび、その強さは増していき、そしてついに、私の中に彼のモノが全て収まった。
「動かすよ、『____』。」
「うん…お願い…」
彼のモノが動きだす。ヌメヌメといやらしい感触を纏いつつ膣の中を刺激する。
「あっ、あぁっ、あぁぁ、あっ…」
膣の上部がこすれる度、快感が爆発する。もっと…もっともっと…もっと…!彼の出し入れに合わせ、私の腰が動く。貪欲に、ただ更なる快楽を味わおうと自ら彼の肉棒に膣をこすりつける。その動きにもうためらいはない。欲しい!欲しい欲しい!!ハァ、ハァと荒くなる吐息とエッチな喘ぎ声が部屋に響く。気持ちの高鳴りとともに私の動きも彼の動きもだんだん激しくなっていく。
「あんっ、あっ、あぁんっ、あぁ…あぁ…あぁぁっっ、」
もう頭の中にあるのは気持ちよさと、もっと欲しいという欲望だけ。ただ狂ったように、タガが外れたように腰を動かす。気持ちいい、気持ちいい気持ちいい気持ちいい、もっと、もっともっともっと、もっとちょうだい!
「っ…そろそろだ、イクよ『____』。」
「来て…中に、中に来て…あんっ、あっ、あっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
絶頂を迎え、私の愛液が膣内にあふれる。その放出と共に彼からも熱いものが放たれた。二人同時のフィニッシュ。私の中で二人の熱が混ざり、からまり、溢れ出す。部屋に二人の息遣いがこだました。彼は私に挿れたまま、私の横に寝転がる。絶頂から冷めきらない私を抱き寄せ、唇を奪い、体を撫でまわす。あぁ…なんて幸せなんだろう。今までこんなに気持ちよくて、ふわふわで、充実した気持ちになったことなんてなかった。私は性の絶頂とともに、幸せの絶頂へと昇天していた。
「いじわるしたかったけど、『____』があんまりかわいいから忘れちゃった。…ハハッ、こんなの初めてかも。」
彼がハニかみながら笑う。その顔は皮肉や憎たらしさのない、10代前半のウブで純粋な笑みだった。私は微笑み返し、彼を抱き寄せる。
「あなたのはじめて、もらっちゃった。」
彼の鼓動を感じる。私と同じく、早く、高鳴る鼓動。
「…ごめんね。村の女の子とは交わった後、またその子の頭に鍵をかけることにしてるんだ。彼女たちが普段、元の姿を、理想の彼の姿を思い出さないように。だから『____』も朝には今のボクの姿と声を忘れてしまう。これはボクが決めた村のルール。ここだけは曲げられない。」
「…うん。」
「そして、愛のお相手は1夜1回きり。でもね、」
彼がやさしく微笑む。
「『____』は特別。いじわるなしでもっと付き合ってあげる。ボクのはじめてを奪った罰として、今日のこの感触を忘れないように。とことんね。」
「………いじわる。」
二人は再び、熱い口づけを交わす。それからその日、私は彼と、互いに果てるまで何度も、何度も交わった。

続きはこちら

【投稿小説】不思議な村 作 黒糖鈴カステラ 絵 螺子-K ⑥

初めから読むときはこちら

<5>
「…オレの女になって。『____』」
私の元の姿に、私の、『____』の思う理想の男性像に化けた少年。その彼からの告白。こくはく。コクハク。えっ………告白…された…!?私の中で、うれしさが爆発する。ち、違う!私じゃない!私の…私の中の美少女、『____』としての本能が勝手に…否定を重ねても、そのうれしさが私にも伝染してくる。本能の起こす爆発に、喜びの渦に巻き込まれてゆく。アイツに、私をこんなにしたアイツに言われて…うれしいわけ…そんなわけないのに…
「顔、真っ赤だよ、『____』。ふふっ、かわいい。」
「う、うるさい………んっ………」
アイツは私にもう一度キスすると、しゅるしゅると私の首元のスカーフをほどいた。そして上からひとつずつ、ワンピースのフロントボタンを外してゆく。ぬ、脱がされてる…やめさせないと…でも、体が動かない。声もあげられない。期待している。これから始まることを心のどこかで期待してしまってる。女として犯されることを私は………違う、そんなわけ………
胸の下までボタンを外されると、上体を支えられて、肩を出した半脱ぎの状態にされる。そして抱きしめられながら、ブラジャーのホックを外された。
「ぁ………」
拘束を解かれた乳房がふるふると震えた。私のおっぱい………おっきい…。その大きさでありながら弾力も形状も申し分ない、理想のおっぱい。それを彼の手が柔らかく包む。
「ひゃんっ!!」
私の体を変えたときとは違い、両方の胸を側面から両手でやさしく、ゆっくりと円を描くように揉む。その手が一周する度、気持ちよく、淫らな気分へと堕ちていく。女としての性欲が沸々と湧いてくる。興奮して、段々と息づかいが荒くなっていく。しばらくすると揉みしだく手が次第にその先端、乳首へと迫ってくる。そして乳首の周り、乳輪の縁を指先でなぞり出す。人差し指、中指、親指で螺子をいじるようにスリスリ、右回り、左回り、右回り、左回り…乳輪の周りをいじり続ける。繰り返し、繰り返し、なかなか乳頭へ上がって来てくれない。……違う…そこじゃない…早く…早くその中の…真ん中の、もっと先っちょをいじって………な、何考えてるの私…何求めちゃってるの………。じれったく思う私の乳首を不意に彼が咥えた。
「ひゃうぅっ!!」
起こしていた上体が押し倒される。乳首を吸い、舐め、こねくり回す。無意識に待ってしまっていたその責めに、淫らな快感が頭を突き抜けてゆく。
「ふあっ…あっ…あぅ、あっ、あぁ!」
あの大広間で撫で回されたときとは違う、意中の相手から触られてるという恍惚、そして焦らされていた時間が快楽を倍増させる。
「あっ…あっ…あっ…やっ…やら…あっ…あぁっ…!」
舌で右の乳首をペロペロ、口でチュウチュウ、右手で左の乳首を、クニクニ、コリコリ。体が反応してビクン、ビクンと弓なりになり、乳首を責めたてられてるのに、あそこがキュンキュン疼き出す。
「…ヒヒヒッ、どうだい?恨むべき相手にこうやっていじくられてる気分は?」
「ア、アンタ……ひゃん!」
彼が憎き少年の口調で語りかける。その言葉によって『____』に堕ちかけていた元の私の意識が戻ってくる。だが、それこそが少年の狙いだった。
「君が悪いんだよ、『____』。君がボクだって気づいちゃうから悪いのさ。ンフフッ、気づかなかったら最後まで気持ちよく、女の子のままでいれたのに。」
「ふざけ…ンンッ…!」
「ンッ………ヒヒッ、そういってるわりに、体の方は正直じゃない?」
そんなことない。そんなことないって、そう言いたいのに体が動かない。完全に『____』と化した本能が体を支配し、続きを期待している。正体を知ってもなお彼に抱かれたいと望んでしまう。されるがままに、次の行為を待ってしまう。そんな私の様子に彼もほくそ笑む。私の意思が無視され、ただ女の体の本能に引きづられている様を、そしてそんな私を自分が好きにできるという状況を心から楽しんでいた。彼の手が私の腰へと伸びる。エプロンの蝶がほどかれ、シュルシュルと半脱ぎの状態だったメイド服を脱がされていく。藍色の鎧が剥ぎ取られ、そのスカート部分に隠されていた下半身があらわになった。白のニーハイソックスがつま先から女性らしいなだらかな曲線を描き、その境界には押し上げられた肉つきのいいももがぷにっと寄せられていた。そしてその上ではスカートめくりで見られてしまったフリルたっぷりのショーツが秘部を優しく包み込んでいた。その上から私に新しくできた割れ目をゆっくりとなぞる。
「ふあ…」
割れ目に沿ってゾクリと快楽が走る。そしてその感触とともにじっとり、粘り気のある液体の感触が伝わる。まさか…そんな…
「ふふっ、ショーツの上からでも、もうこんなにグッショリ。あんなこと言ってたのに、こんなに感じちゃってたんだね。」
「ち、ちがう…!そんなこと…!」
「イっちゃわないようにがんばってガマンしてたんだよねぇ…えらいえらい♪」
「ぁ、あぁ、あぁ~…」
話してる間も、指が私に作られた谷の上を往復する。そしてついにそのショーツに手をかけられ、ゆっくりと脱がされていく。柔らかい感触がももを通り過ぎ、片足に引っ掛けられる。もう私が身につけているのは白のニーハイソックスだけ。でもそれらは私を守ってくれない。むしろ私の視界に映りこみ、男物とは違う滑らかな曲線と感触で私の中の女性を加速させる。そのニーハイソックスに持ちあげられたももを羽箒のようにやさしく、柔らかく彼の手がさする。くすぐりに近いその手は徐々に徐々に上へと登り、無防備にされた陰部へと近づいてくる。触られる…ゾクリ、ゾクリとその手が近づく度、撫でられる度、私の中で淫らな期待が高まってくる。その期待が勝手に、閉じていた足を開かせてしまう。
「ふふふっ、自分から開いちゃうなんて、エッチだなぁ『____』は。」
「ち、違う、これは…体が勝手に…」
「なんにも違わないよ。………ねぇ、このまま触ってほしいんでしょ、『____』の、オマンコ。」
「っ………!」
オマンコ…元の私にはなかった、コイツによって作られた『____』の女性器…私の女性器…オマンコ…私のオマンコ…その言葉が私の頭の中で反響して、まだ男を捨てきれない私の意識を刺激する。
「ふふっ、初々しくてかわいい。」
「~~~///」
「かわいいよ、『____』」
そう言ってくすぐる手を徐々に近づける。私の女性器、オマンコに。ふわふわ、すりすり、近づいてくる。近づく程、産み出される快感も強くなる。その感触に自然と喘いでしまう。目を瞑って、できるだけ声を上げないようにシーツを握りしめて耐える。や…やだ…来ないで………触られる…触られちゃう…私の…私のオマンコ………。 私の中で反響する声。拒否する傍らで、意志とは真逆の淫らな欲求が沸々と湧いてくる。
「ヒヒヒッ、とうちゃ~く♪」
近づいてきた指がとうとう私の割れ目の下端に到達した。その割れ目の周りを人差し指が舐めるように滑り出す。上へ上へと撫でられる度、体がゾクッ、ゾクッと震える。しかし、その指は膣には入らず、割れ目の上のアレを避けるような軌道を描く。その近くをこすられる度、甘美な刺激とともに真ん中への期待と欲求が高められる。欲しい、欲しい、もっと近くを、中のものを触ってほしい。女の欲求。口に出してはいけない、飲まれてはいけない女の欲求。それを言ってしまったら、欲しがってしまったら私は私を女と認めてしまう。それだけは…それだけは…。ふと彼と目が合う。顔は彼だが、今の目付きとニヤケ方はアイツのものだった。
「どうしたの『____』、何か言いたそうだけど。」
「べ、別に………」
言わない。言えない。言えるものか。言ってしまったら私は終わってしまう。疼く本能を必死に抑える。
「そ。ならいいんだけど~」
「………」
彼はまたなぞり始める。周りを。中を避けて。中を触らずに。もう片方の手が乳首に伸びる。でもその手も乳頭には触らない。周りを回る。巡回する。あの螺子の手つき。乳輪の周りを行ったり来たり。行ったり来たり。いじってくれない。触ってくれない。コリコリしてくれない。かすかに残った攻めの余韻が疼き出す。何してるの…触って…もう一度触って…いじって、こねて、ペロペロして、もう一度攻めて欲しい。我慢する私を本能が揺さぶる。
(触ってほしい。)
「っ…!」
(触ってほしい。いじってほしい。撫でてほしい。もっと、もっと、もっと…)
本能が私の耳元で囁く。私が塞き止めている欲望、女の淫らな欲望を私の中で代弁する。欲求。心の底でそうしてほしいと思う感情。聞こえないふりをする度、掻き消そうとする度、声が近づく。大きくなる。
(そんな周りじゃないの。もっと中。真ん中。焦らしてないで、早く触ってほしい。いじくってほしいの…)
「や…やぁ………」
(もう我慢できない…これ以上待てないの…楽に…もっと気持ちよくなりたいの…ねぇ…あなたもわかるでしょ…?だから…)

「お願い…触って…」

「もっと中の…気持ちいいとこを触って…」

私の口が動き、声になって飛び出す。限界を迎えた理性を破り、女としての本能が彼におねだりする。

「もっと…気持ちよくして…」
焦らしによって高まった色欲が意識を飲み込む。もう我慢できない。ねぇお願い…早く………
「早く…早くイかせて…!」

「…ふふっ、うん…いいよ…」
彼の顔が一瞬歪んだ気がした。でも、もうそんなことはどうでもいい。私に軽く口づけすると、足元の方へと移動してゆく。
「よく言えました。じゃあ『____』にご褒美。」
ずっと撫でられずに放置され、今か今かと焦らされた私のモノの果て、クリトリス。人差し指と中指で横に広げられ、皮の下から神経を凝縮した性感帯が露出する。すっかり膨れ上がったそこを、ゆっくりと舌が愛撫する。
「っ! あぁぁぁぁぁぁっ!!」
今まで感じたどんなものよりも強烈な快感。男の体では味わうことのできない、快楽以外の思考が消し飛ぶ快感。射精の何十倍、何百倍の気持ちよさが私の中を駆け巡る。気持ちいい。気持ちいい!気持ちいい!!
「あっ!あっ!あっ!あぁぁぁぁぁぁ!!」
体が感じて、弓なりになる。触れられただけで、撫でられただけで意識を手放しそうになる。快感の虜になってしまう。ずるいずるい、こんなに気持ちいいなんて、女の子ってずるい!悶える私のクリトリスを舌が根本からゆっっくりとなめ上げる。指とは違う、ザラザラして、それでいて柔らかい感触が私を遥かな高みへと押し上げる。
「ふぁっ、あっ!あぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

もたなかった。
ものの3回。乳首への猛攻でイきかけていた私の精神が、焦らしによって極限まで敏感になったクリトリスの愛撫に耐えられるはずがなかった。決壊したダムから愛液が吹き出し、淫らにシーツを汚してゆく。待ちかねた欲求が満たされ、体は火照り、痺れ、私の頭の中は快楽と歓喜で満たされていった。

続きはこちら

【投稿小説】不思議な村 作 黒糖鈴カステラ 絵 螺子-K ⑤

初めから読むときはこちら

<4>
私は泣いた。こんな姿にされちゃった不甲斐なさ、こんな村に来ちゃった浅はかさ、そして、もうこの村から出られないという理不尽さに、涙が止まらなかった。私、ずっとこのままなの…?元に戻れないの…?いやだ…そんなのあんまりだよ…
「『____』、『____』…」
声が聞こえた。あのいまいましい声じゃない。私の名前を呼ぶ、どこか懐かしい男性の声。
「『____』、泣いてるの?大丈夫?」
大きな手が私の頭の上にポンと置かれる。涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげると、そこには一人の男性の顔があった。短く切りそろえられた茶髪に、ちょっとほったらかし気味の顎ひげ。私の細腕と違って、鍛え抜かれている剛腕。この村にいるということは、彼も旅人なのだろうか。だとしたら早くこの村から出るように言わなければいけない。彼が私のように変えられてしまわないように警告しなければいけない。でもそのとき私には別の、とある感情があふれていた。
…カッコいい。頭が、顔が火照って、胸がドキドキする。それはまるで今の私を私と認識する前に、姿見に映る美少女に抱いた感情。………恋?いや、そんな…ありえない。だって相手は男。私はそんな気なんてなかったし、男の人に対してそんな感情を抱くわけ…。
「よしよし、怖かったね。でももう大丈夫。大丈夫だから。泣かなくてもいいんだよ。」
「あ、あぅ………うぅん………」
彼の手が私をやさしく撫でる。厚皮とまめでガサついた手は、触り心地が悪いはずなのに、それがかえって心地よく感じてしまう。安心感で、全身が頭からとろとろとろけてゆく。涙はいつの間にか止まっていた。…そうだ。泣いてる場合じゃない。早くこの人に伝えないと。この村のこと。あの少年のこと。少年が私にしたこと。とにかく彼はここにいちゃいけない!
「あ、あの!」
「ん?」
「あっ…え…と、その………」
ボンッと頭から湯気が出たような気がする。いったん呼吸を整えてから仕切りなおす。
「き、危険なんです!この村!早くここから出ていかないとあなたも!あいつに!」
伝わっている気がしない。でも伝えなきゃ。夢中で言葉を組み合わせる。
「あぁ、うん。それなら大丈夫だよ。」
「大丈夫なはずないです!大変なんです!ここに男の人がいたら!!」
「ハハッ、心配性だなぁ、『____』は。」
ポンポンと頭に軽く手を置かれる。カァーっと頭に熱が上ってくるのがわかる。目を伏せて感情を抑える。心配性なんかじゃない。私はただこの人にこの人のままでいてほしくて、私のように、こんなことになってほしくないだけで………あれ?そういえば、なんでこの人は私の名前を知っているんだろう。知り合いだとしても私はこんな姿に変えられてしまってるし、…というか今の名前って元々のじゃない、アイツが勝手につけたこの姿の、私の…
「…えっ…」
身の毛がよだつ。私の中で、ある最悪の可能性がはじき出される。それは…
「気づいちゃった?はぁ~、前の子と違ってやっぱり冴えてるねぇ。ヒャハ♪」
男性があの忌むべき存在と同じ笑い方をする。自分でも血の気が引いてゆくのがわかる。
「そうだよ、ボクだよ。ヒャハ♪バ~レちゃった♪でもどう?すごいでしょ!」
彼が青いもやに包まれ、その中からアイツ、私をこんな姿にした少年が現れた。信じられない…!なんてタチの悪いいたずらを…!
「でも今回すごいのは『____』の方だなぁ。こんな早くバレるの何人目だろ?君の前の子はぜ~んぶ終わっても気づかなくて、結局ボクからバラしたんだよねぇ。」
私の前の子…私といっしょに捕まって可憐な姿に、深窓の令嬢にされちゃった子。彼女もこの屋敷のどこかに捕まっているのだろうか。それに今の、ぜ~んぶ終わっても、ってなんだろう。もし気づかなかったら私、何をされちゃってたんだろう。両手で自分を抱きしめる。
「まぁいいや。前の子と状況が真逆で別の楽しみ方ができそうだねぇ~♪ヒヒヒッ♪」
少年が不気味にほほ笑む。もうイヤな予感しかしない。
パチンッ!
指を鳴らすと同時に、少年が青いもやに包まれる。そして中から再びあの男性が姿を現した。
「っ!!」
私の中に稲妻が走った。
………ウソだ。なんで気づかなかったんだろう。違う、解除されたんだ、私の頭にかけられていた鍵が。私の頭を撫でて、慰めてくれた男性。そのどこか懐かしい声。まちがいない。それは私が『____』に変えられる前の、男だったときの姿だった。でも何かおかしい。その姿に感じたのは既視感や懐かしさだけじゃなかった。あの、さっき泣いていた顔をあげたときのような甘美で甘酸っぱい感情。”会えた”よりも”逢えた”と表現するべき胸の高鳴り。それは自分の元の姿に対する感情ではなく、まるで意中の異性を慕う気持ち………待って!そんなわけない!だってあれは私で、しかもあの少年が化けたもので………自分に言い聞かせるが、女の子としての、『____』としての感情は止まらない。胸がキュンとして、顔が熱くなって、彼の一挙手一投足から目が離せない。恋しちゃってる。ときめいちゃってる。好きになっちゃっている。私が私自身に、元々の男の姿に。
「ハハッ、どうしたの?顔真っ赤だよ、『____』。」
「っ!!う、うるさい!!その声で、話しかけないで!!」
怒鳴り散らしてプイッとそっぽを向く。でも顔の紅潮は解けない。むしろ次の彼の言葉を待ってしまっている。こうして突き放した後の、彼の反応をうかがってしまっている。何を考えてるの私!あの人は私で、それでいてあの少年なのに!なのに…なんで…!そのとき、私は思い出した。今の私が彼にとって、元の自分にとってどんな存在なのかを。今の私は、私の想う理想の美少女。元の、男性だった頃の私が一目惚れして、結婚して、人生を投げ打ってでも守りたいって思える理想の女性像。ならば、逆はどうだろう。誰だって、その子にとっても自分がそういう存在であってほしいって願う。誰だって、自分が彼女に惹かれるように、彼女も自分に惹かれてほしいって願う。誰だって、そうしてお互いに両想いであってほしいって願う。つまり今の私、『____』にとって、一目惚れして、結婚して、人生を通していっしょにいたいって思える理想の男性像。それが彼、元の私。元の私が『____』の姿に、声に惹かれたように、『____』は元の私のそれに惹かれてしまう。その本能に引っ張られて、私も元の私に惹かれてしまう。ときめいてしまう。恋してしまう!ウソよ!そんなこと、あってたまるわけ…!
「『____』。」
キュンと胸がときめく。彼の足音が近づいてくる。近づくたび、胸の鼓動も大きくなる。そして優しくあごを持たれて、無理やりアイツの方に向かされて、そして、
「んっ…!!」
唇を奪われた。何が起きたかわからなくて、目を白黒させる。突き飛ばしたいのに、拒否したいのに力が入らない。目を瞑り、ただ彼に身を任せてしまう。頭がボーっとして、心が満たされていく。両肩に手を置かれると、体が勝手に彼の方に向き直ってしまった。一瞬が、永遠に感じた。一旦唇を離し、彼がまっすぐに私を見つめる。そんな彼を私も見つめ返す。視線も、体も動かせない。ただ、本能が待っている。続きを。この甘美な時間の続きを。瞼が一人でに閉じられ、少し背伸びしながら唇をつき出してしまう。私の心の声は届かない。もっと根本の、中枢からの指示が優先される。塗りつぶされる。恋する乙女にされてしまう。おねがいやめて、女の子にしないで。私はおと…。無慈悲に、柔らかい唇が私に着地する。溶け出す。加速する。好きが溢れる。幸せでいっぱいになる。突き出した唇を、彼の唇がやさしく挟みこんで吸いつく。吸いつきながら、そのたくましい両手が髪を、うなじを、頬を柔らかく撫で回し、私の心をとろけさせる。そして口内へと舌が侵入して、私の舌と絡む。彼の唾液と私の唾液が混ざり合って、とろけて、気持ちよくて、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。ぎゅっと抱き寄せられると、私も彼の背中に腕を回してしまう。あぁ…こんなこと…したくなんてないのに…。太い腕、厚い胸板。がっしりした、男の体。『____』になってしまった本能が、女性のそれとは違う安心感に包まれ、恍惚の渦へと身をゆだねる。それに巻き込まれ、必死に抵抗を続ける私の意識も吸い込まれていく。
あぁ…幸せ…
唇を離して、彼が再びじっと私を見つめる。私の元の顔のはずなのに、この村に来るまでずっと鏡で見ていたはずの顔なのに、その顔立ち、その微笑みに全てが溶かされる。
「じゃあ…行こうか。」
「どこに………ひゃあ!」
横から膝の裏と背中に手を回され、ひょいっと抱き抱えられた。突然のことで、私も反射的に彼にしがみついてしまう。背中と膝を下から支えられているこの体制、これってまさか…お姫さまだっこ…!?
「あ…あぁ………///」
その単語でまた恥ずかしくなってくる。完全に…女の子扱いされてる…!
「ど…どこに連れてく気…?」
「ふふっ、すぐそこだよ。」
そう言って、数歩歩いたところに下ろされた。そして、黒のパンプスを脱がされ、ヘッドドレスを奪われる。そこはふかふかで柔らかい、私が目覚めたベッドの上。
「ま、まさか…!」
「そのまさかさ。
…オレの女になって。『____』」


つづきはこちら

【投稿小説】不思議な村 作 黒糖鈴カステラ 絵 螺子-K ④

初めから読むときはこちら

<3>
オレは隣街の酒場にいた。誰かが向こうのテーブルで話している。様子を見に行った者が誰も帰ってこない村がある、と。面白い。明日からそこに向かおう。それでオレがその謎を明らかにしてやる!そう決意して酒代を払い、オレは酒場を後にした…

目が覚めた。
オレはふかふかなベッドの上に横たわっていた。今のは…夢だろうか?分厚いカーテンで光が遮られ、部屋の中は真っ暗だった。夢とわかった途端に体から力が抜ける。ふかふかのベッド。何日ぶりのベッドだろう。野宿続きでここ最近満足に眠れていなかった。しかし、何故ベッドの上にいるのだろう。村の中で宿をとった覚えがない。昨晩ベッドに寝転がった記憶もない…それどころか、村に入ってからの記憶が定かでない。村に入って、女の子がいっぱいで、それから…
…きっと寝ぼけているだけだろう。上体を起こして伸びをする。
「う~~~…ん!?」
麗しい女性の声がした。かわいい。好みの真ん中をズバッと射抜く美声。ときめいた。この部屋にオレ以外誰かいる?見回しても人影はない。…というよりも真っ暗で何も見えない。そういえば今の女の子の声、どこかで聞いたような…。目を伏せ、記憶をたどっていると、不意に部屋のカーテンが一斉に開かれた。昼下がりの明りが辺りを照らす。部屋の壁やドアには豪華な装飾が施されていた。宿ではない。そこはまるで貴族の屋敷の一室。その中央に置かれたカーテン付きのベッド。そのベッドの上にオレはいた…はずだった。ベッドの真正面に置かれた大きな姿見。その鏡に映ったのはオレとは全く違う、別の人物。
オレの理想の美少女がそこにいた。
気が強そうだが、その中に優しさを秘めるパッチリとした二重。その瞳を彩る長く、整えられたまつ毛。絶妙な大きさと高さで顔全体のバランスをとる鼻。つややかな唇。傷もにきびも、それらがあった跡すらない透明感とハリのある肌。ゆるやかな波を描きつつ、それらをやさしく包み込む茶色の髪。その髪は左右をピンクのリボンでおさげにしている。女性らしく丸みを帯びた体には清楚な藍色のメイド服が広がる。その藍色にピンクという配色が、リボンをよりかわいらしく見せている。そして頭にはひらひらのヘッドドレスが広がっていた。この屋敷のメイドさんだろうか。目の前の少女はこちらを向き、驚いた表情のまま頬を赤らめて硬直していた。まずい。どうしよう。かわいい。かわいすぎる。あまりにも理想的な容姿と雰囲気を持つ彼女を前に、考えがまとまらない。すると彼女もオレと同様に顔を真っ赤にし、はにかんでいた。くそ、なんてかわいいんだ。その様子にまたときめいてしまう。
「あ、あの!」
勇気を出して話しかける。すると同時に彼女も声をかけてくれた。
「あ、そ、そちらからどうぞ」
とっさに譲渡するが、彼女も同じ言葉で返す。あぁ…なんて健気でいい子なんだ…しばらく彼女へのときめきにどっぷりと浸かっていた。が、ふと我に返る。さっきのやりとりの中でオレ自身の、男の声が聞こえなかった。そこに響いていたのは麗しい彼女の声だけ。でも、オレは確かに発声した。そういえばさっき背伸びしたときも同じように…。そうだ。あまりの彼女のかわいさにぶっ飛んでいたが、目の前にあるのは大きな姿見。彼女はそこに正対している。彼女がいるのはオレがいるはずのベットの上。ということは…
「ヒャハハハ!ヒャハ!ヒャハハハハ!!」
桃色の空間をぶち壊す、あの下衆な高笑い。その声が鍵となり、この村に入ってからの記憶が蘇ってくる。
「あ…あぁ………」
絶望を帯びた、麗しい女性の声。頭を抱えたオレの手を、絹糸のように柔らかく茶色い髪が撫でる。その髪をまとめたピンクのリボンが落とした視線の先にふわりと降り立った。その下には藍色のメイド服が広がり、たわわと実った双丘がそれを持ち上げる。目の前の彼女も少し目に涙を浮かべながら頭を抱えている。その姿はちょうど、オレと鏡合わせ。そうだ…オレは少年の手で彼女に…理想の美少女にされてしまったのだった。事の元凶、オレを作り変えた少年が部屋の入口でニヤける。
「おはよう、『____』。よく眠れたかな?」
「よく眠れてなんか………えっ!」
返事をした後に気づいた。少年が呼んだのは明らかに女性とわかる、かわいらしい名前だった。男として生まれた自分にそんな名前がつけられるはずない。だが、反射的に反応してしまうほどその名前が自分のものに感じられた。そして逆に、自分が親から授かった元々の名前が全く思い出せない。
「ねぇどうしたの『____』、『____』ってば~」
「うるさい!静かにして!」
だめだ。かわいい。自分の声に、名前にときめいてしまう。今はとにかく名前を思い出すのに集中したかった。目を瞑り、耳をふさぎ、首を横に振る。長くなった髪が少し遅れて頬をくすぐるのに気付いてやめる。
「うぅ~~~~!!」
うなり声すらいとおしく感じる。だめだ。集中しないと。集中。とにかく過去に名前が呼ばれた、もしくは見たであろう景色を掘り起こす。宿帳の記入、食堂の離席待ち、友人や両親とのやりとり。だが、どれも映像はぼやけ、音声はとびとびになり、本当に欲しい情報だけが手に入らない。
「思い出そうとしても無駄だよ。」
「えっ!?」
「頭の中に鍵をかけたのさ。『____』の元の姿に関する情報だけ引き出せないようにね♪」
信じられなかった。でも、少年の言うとおりだった。元々男だったことは思い出せるが、どんな顔を、どんな手をしていたのかさえも思い出せない。鏡に映った姿で思い出されるのはさっきの寸劇だけだった。そうだ。せめて自分と同じく変えられたあの子に会って私の特徴を聞けば…
「あ、そうそう。『____』が自分のことを思い出せないように、他の子の過去も思い出せなくなってるから。あの子に聞いたって無駄だよ~。」
少年がこっちの心を見透かしたように答える。試してみるが、彼女の元の姿がどんな声で、どんな顔をしていたかがボヤけて見えない。あの劇場のような大広間で思い出せることは、ちょうど彼女が深窓の令嬢に変えられてしまったシーンと、自分が体を触られて女に変えられていく感触、そしてあの…絶頂した時の嬌声と快楽の嵐だった。望みは絶たれた。
「そ…そんな…」
自分の中の自分が確固たるものを失い、ぼやけて揺らぎだす。柱を失った心がグラグラと揺れ、体が平衡を保てない。全てに対する自信を失い、だんだんと虚ろな存在になっていくのを感じた。
「大丈夫だよ『____』。ほらこっち来て。」
「えっ、やっ、ちょ、ちょっと!」
少年が私の腕を引っ張る。メイド服に包まれた細い腕が力負けし、ベッドから引きずりだされる。
掛け布団のなかからスカート部分が白いエプロンと共に現れた。
「引っ張らないで!わぁっ!」
転げ落ちる寸前でギリギリ足が出せた。カツンというヒールの音が鳴る。その音は私が地に足をつける度に鳴り響いた。
「ほら、ごらん…」
「あ…」

挿絵2 最終形態


全文を表示 »

【投稿小説】不思議な村 作 黒糖鈴カステラ 絵 螺子-K ③

初めから読むときはこちら

<2.5>
やぁ、ボクだよ。ヒャハ♪そう。この理想郷を作り、キミを変えちゃった世紀の美少年♪おっとっと、乱暴はいけないよ。大丈夫、大丈夫。すぐ消えたげるから。でもその前に、ひとつだけ教えて欲しいんだ。
そう。ひとつだけ。

ねぇ、君は…どんな名前に萌える?
どんな名前にときめく?
かわいいって思う?

………え?わからない?
そうだなぁ…例えば、名前を見ただけで、あっ、この子絶対かわいいって思っちゃう名前。
自分でお話を作ろうとしたときに、ふと頭に浮かんだヒロインの名前。
次に女の子が生まれたときにつけようとしている名前。
隣にいて、なんとなく呼びたくなっちゃう名前。
この子を見て、パッと思いついた名前。

超能力で 記名付き

アリス 、

エミ 、

カレン 、

クリス 、

全文を表示 »

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2019-02