fc2ブログ

Latest Entries

【投稿小説】とある温泉宿で起きたこと 後編 

作 ととやす
挿絵 海渡ひょう  https://skima.jp/profile?id=92480

前編はこちら

11
〜〜〜
頭が痛い。本来ならあり得ない『真咲』の記憶を無理矢理ねじ込まれているからだろうか。
(俺は男で!海斗とは親友の、はず、なのに)
その一方で『真咲』は海斗とは恋人で、既に何度も何度も身体を重ねている。その事実が実感として思い起こされるのだ。
そんな俺の思いなどお構いなしに、背後から俺を、というより俺の胸を抱きしめる格好の海斗。存在感たっぷりのバストは、腕が動かされる度にぷるんぷるん震える。
「あっ、や、やめろ・・・」
一度収まった火照りが再び押し寄せる。
「真咲って、本当におっぱい大きいよな~」
「っ!」
顔が真っ赤になるのがわかった。気を抜くとすぐに乙女そのものな反応をしてしまうのが情けない。身体が女だからなのか、感情の起伏がとても激しくてうまくコントロールできないのだろうか。
「あっ、ちょっ・・・やんっ!」
海斗はその大きな両手を俺の胸と股間に滑り込ませ、ゆっくりと指を動かす。
もう、頭の中はパニックだ。
(俺ッ!親友のはずの海斗に女の子の大事な部分弄られてっ!)
事態を直視できず、身体が強張る。
「こんなにデッカくて柔らかいのに、形も綺麗だしな〜最高♪」
「あ、あぅ・・・」
照れたらいいのか、怒ったらいいのか。
海斗が俺の身体に顔を寄せて、クンクンと鼻で嗅ぎ回る。ややあって愉快そうな声で、
「真咲のエッチな匂い・・・いい匂いだぁ。ゾクゾクするぜ」
「あ、やぁっ!」
さっきまで自分で慰めていた『あたし』、否。俺の体臭を嗅がれている・・・。また耳まで赤くなった。股間の敏感な部分を指でくすぐられる。
「ひゃあっ!」
「本当に感じやすいな。もう、ぬるぬるだぜ?」
見せつけるようにぬめった液を滴らせた太い指を鼻先に突き付けられる。そこからふわりとまるでチーズのような香りが鼻をついた。これって、まさか・・・あたしの!?
思わず絶句する。
この状況がどれだけヤバイかわかっていても、脚も痺れて動けない。
そんな俺を余所に、海斗はしゃがみこんで俺の股間に顔を近づけて行く。
「ああ・・・いい匂いだ。真咲のアソコの匂い、ホントに興奮する」
「やあっ! あっ、だ、ダメ・・・ダメェ! か、嗅ぐなぁ〜!」
「そう? その割にはここ、ほぅら」
海斗が股間を指でつぅっと撫でた。
「ひうっ!」
全身にびりびりっとした刺激が走る。
「こんなにトロトロにして?」
「やだぁ・・・だめぇ・・・」
「そんなこと言って。腰動かしてるじゃん!」
「だって・・・」
そう。そうなのだ。いつの間にか海斗の指から与えられる刺激に合わせて腰を振り、より気持ちイイところを探してしまっていたのだ。
(だって・・・だって、海斗にアソコ触ってもらうの、何だかすっごく、気持ちがいいんだもん・・・ッ!)
だから。
「もっと、もっとしてぇ・・・ッ!」
女の子が『彼氏』にそうおねだりするのはきっと変なことじゃないんだ、よね?

12
海斗の顔が俺のあそこに近づき、そして。
「んっ・・・!」
舌が中に、入って・・・くる! なんて、きも、ち・・・いい・・・よすぎる。
脚ががくがくしちゃって、俺は思わず海斗の頭を押さえて、それでやっと立ってられた。
中だけじゃなくて、アソコの内側をつぅっとなぞるように舐められたり、クリトリス?の周りを焦らすように舐め回されり、舌全体で膨らんだ股間を舐められたり、リズムを変えてつつかれたり・・・。
(ヤバい・・・気持ちいいよぉ)
自分でも、濡れてるのがわかってしまった。
「や、いやぁっ、は、恥ずかしいっ!」
「可愛いよ、真咲♡」
俺の知る海斗からは聞いたことのない甘い声に胸がキュンキュンと疼く。真咲にとっては毎日聞く言葉なのだろうが、正樹である俺にとって、これは・・・。
「ふぁぁっ!」
ゾクゾクっときた。これでついに俺の腰が砕けてしまった。耳元で囁かれただけでこんなになっちゃうなんて、変じゃないだろうか。ぺたっと床にへたり込むと、目の前には真剣な表情の海斗の顔。普段俺を見るニヤけた馬鹿面とは違う。愛おしい・・・守るべきものを見る優しい目をしていた。それに見惚れていると顔がほんの僅か離れ、傾いて、そして唇が近づいてくる。
・・・あ、だめ。 次にされることは、分かっていた。
「んっ・・・」
柔らかい唇同士が触れ合い、舌を絡めてくる。おずおずと差し出した俺の舌を、海斗が舐め、吸い上げる。気持ちいい・・・。俺は手を海斗の分厚い肩の後にまわして、身体をくっつける。柔らかい胸と硬い胸がくっついて、俺の胸が押し潰れる。
(温かい・・・柔らかい・・・)
気づけば俺は夢中になって海斗の舌を吸っていた。たっぷりと時間をかけてキスをして、俺は夢の中にいるようなフワフワとした気持ちだった。
「このままだと冷えるから」
と湯船に二人で浸かる。促されるまま海斗に背を向け、湯船の縁を掴んで四つん這いに近い体勢になる。
クパァ・・・
太く逞しい指で女陰が押し広げられる。恥ずかしい。やがて俺は本番の気配を感じ始めた。海斗は男性自身を俺の股の孔へ当てがう。それは愛しい恋人との時間を紡ぐため、固く太く屹立していて。男の頃の俺には向けられることのなかった情欲が、剥き出しのまま女の俺にぶつけられる。
「あ、ああっ・・・いやぁ・・・」
「悦んでるくせに・・・」
「い、言わない、でぇ・・・」
ゆっくりと、ゆっくりと海斗の逸物が俺の女陰を押し広げ、侵入を始める。
ニュルン!
驚くほど滑らかに俺の孔はそれを受け入れて包み込む。この身体は何度もそうやって海斗を迎え入れているのだと感じざるを得なかった。アソコに広がるくすぐったい感覚が、徐々に痺れるような、そして蕩けるような気持ち良さへと変わってゆく。 全身を貫かれ、他の誰かのモノにされてしまっているような、初めての、不思議な感覚。
脚を広げて、海斗のチ◯ポが挿る角度を変える。くんっ!と一息に奥まで入り込んだ海斗のアレが、俺にとっての気持ちいいスポットを捉えた。
「あぁぁぁぁぁ〜〜〜ん♡」
身体をのぞけって、俺は情けない声をあげてしまう。快楽に打ち震える女そのものの。
「まだ挿れただけなのに、今日は随分と感じてるじゃんか」
愉快そうに笑う海斗に、俺は心からの本当を告げる。
「きょ、今日はいつもより・・・気持ちイイ、のかも・・・?」

ひょうモザイク2


13
パン!パン!パン!パン!
狭い部屋付きの露天風呂に、肉と肉がぶつかる音が響く。それに合わせて、
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あんっ♡」
だらし無く肉欲を貪る女の声が追いかけてくる。一突きされる度にたわわに実った大きな乳房を震わせて、俺たちは恋人同士の時間を過ごす。
「真咲がッ!可愛いこと言うからッ!もう加減なんてしてやらねぇッ!」
「きゃあ♡ あぁん♡ 気持ちイイ♡ 激しいッ♡ もっと、もっとしてカイちゃん♡♡」
本来の真咲が海斗のことをカイちゃんなんて呼んでたかどうかなど知らない。俺・・・あたしは今自身の意志でこいつのことをいつの間にかそう読んでいた。
ニュルニュルと何の抵抗もなく海斗のペニスの出し挿れを許すあたしの女陰は、やはり幾度となく海斗と愛し合った証なんだ。真咲としての記憶では、カイちゃんが初カレなんだから。
(だから・・・あたしのオ◯ンコはカイちゃん専用なんだ♡)
その合間にも指が、舌が、唇が、俺の柔肌を這い回る。撫で回す。舐め回す。
「あはぁぁぁっ・・・」
「真咲、すごく可愛いよ!」
ゾクゾクゾク・・・ッ!
今はどこを触られても、何を言われてもたまらなく、嬉しくて気持ちイイ。全身を温かな幸福が包んでいって。
一層あたしの尻を突くペースが上がっていく。カイちゃんもそろそろ限界が近いのか、息を荒げていっている。
(・・・あぁ、嬉しい。あたしで気持ち良くなってくれてるんだ♡)
堪らなく愛おしくて。おへその下がキュンと疼いた。
「あぁ、ヤバっ! も、もう出そ・・・ッ」
「いいよきてぇ!もっと気持ちヨクしてぇ!?」
勢いつけての深い一挿し。と同時に、腹の中に熱い液が注がれ、あたしは視界がチカチカと瞬くのを感じていた。自分が、女としてイッたのだ。そう理解する間も無く、俺の意識は闇の底へと消えていった。

14
「ん・・・」
朧げながら意識が戻ってきた。どうやらあのまま気を失っていたようで、俺は浴衣を着せられて部屋の布団で寝かされていたようだった。ちらりと目線を壁掛けの時計にやると、もう夜明けも近いようだった。顔だけを起こして海斗の方を見ようと努力するが、身体を起こす力が出ない。だめだ。なんか胸が押し潰されて苦しいけど、顔さえ持ち上げられない。
(っていうか俺、なんであんなことを・・・俺は男で、海斗は親友だったはずなのに!?)
先程までの痴態が夢幻でないことはこの身体に残る熱が伝えてくれていた。つまりそれはさっき俺の言動は紛れもない事実ということで。
(穴があったら入りてぇ!)
寝ぼけ眼にそんなことを考えていると、隣で寝ていたであろう海斗が立ち上がってこっちにやってくる気配がした。
(ああ、ちゃんとこいつも布団に入れていたのか)
俺が安心して、そのまま眠りの世界に沈みこもうとした、その時だった。
「真咲・・・」
えっ・・・えっ?
俺の上に、海斗が覆いかぶさってきた。
「海斗、なにしてるんだよ」
俺は上に乗っかってきた海斗を払いのけようとするが、どっかりとして動かない。さっきまでの疲労と、悲しいことに女の身になって力が弱くなってしまったこととが相まって、俺は身動きできないでいた。
「重いって・・・お、おぃ!」
返事が無い。睡魔が否応なく襲いかかって来るのに、上に乗る海斗がそれを許さない。
「・・・っんんっ、やぁっ!」
俺は声を上げ、目を見開いた。海斗が指で俺の身体をつぅっとなぞっている。
「ひゃあっ! な、なにっ! どうして、こらっ!ひゃんっ!」
ビリビリとした痺れが身体を走り、その度に跳ねてしまう。暴れて抜け出そうとするけれど、どうしても身体が言うことを聞いてくれない。海斗は止めどなく俺の身体のあちこちに触れていく。
「海斗ぉ、やめっ、んやあっ! やめろ、やめろって!」
「真咲、やっぱエロいよな。浴衣の上からでもこんなに感じてるなんて・・・」
「ま、真咲だなんて・・・あっ、呼ぶ・・・なぁ、んんっ!」
同じ発音。だけど、男と女とで微妙な言い回しの違いが今の俺にははっきりと感じ取れた。心臓が激しいリズムで早鐘を打つ。頭に血が昇って、顔も真っ赤になって火照っているのだってわかる。
(女の、真咲って呼ばれてると・・・自分が俺なのかあたしなのか分からなくなっちゃうよぉ)
ただでさえ今の俺の中には、男として生きてきた記憶だけじゃなく、女の『真咲』の記憶もあるのだ。
「真咲は真咲じゃん?」
海斗はそんな俺の心情を知ってか知らずか、そのまま背中を指でなぞり続ける。
「だ、ダメだって! こ、こら、やめろって!」
じわじわと身体が熱を帯びてくるのが分かった。いや、正直に言うと、股間がまたじっとりと湿り気を帯び始めているのが分かってしまった。
だんだん頭がぼんやりと霞みがかっていく。次第に海斗の太い指で触れられるのに悦びを感じ始めてきた。先ほどの情事のように。
「はぁ、はあっ、はっ、あっ」
息が荒くなってくる。
「ダ、ダメぇ」
「いーじゃん。彼氏彼女なんだしさー。それに、そう言ってる割には抵抗しないじゃんか」
「だって、力が入らないんだもん・・・」
その言葉は事実でもあり、半分は嘘だった。
(気持ちイイよぉ・・・もっと触って欲しい・・・!)
それが本音だった。これがこの身体の、真咲の望みだった。

15
海斗は抵抗できない俺を仰向けに寝かせ、浴衣(気がつけば女性ものを着させられていたようだった)を前からはだけさせる。形の良い豊満なバストは、覚えのない花柄のレースが施された黒いブラジャーに包まれていた。
海斗は手を大きく広げ、ブラジャー越しに俺の乳を揉み始める。
「いくつだっけ?」
「な、何がだよぉ?」
すると海斗はちょうど乳首の上の生地を指でくるくるとなぞった。
「ひゃぁっんっ!」
思わず身体がのけぞってしまう。ブラの下で乳首がキュッと固くなるのが自分でも分かった。
「おっぱい。何カップだっけ?」
こいつは本当に!!
そんなもの、昨日今日女になった俺が分かるはず・・・。
「・・・じ、Gカップ・・・70の・・・」
(なん、で?)
意に反して口をついて出た言葉に驚愕する。だが、確かに自分のバストと頭の中で検索するとG70というカップがパッと出てきてしまうのだった。真咲としての記憶が、俺にとって当たり前のものになってきているのか!?
「やっぱデッカいなぁ・・・揉み応えあるわ」
「や、やだ・・・い、言わない、でぇ」
中×生くらいまでは周りの女の子と変わらなかったのに。高校生になってから一気に膨らみ始めた記憶が蘇る。女子校の友人にはイジられたし、電車で会う男性たちにいやらしい目で見られたことも。それがトラウマで大学に入ったころはやや男性不信だったのに。今や『あたし』は海斗にそれを弄ばれて羞恥に頬を染める女なんだ。
(カイちゃん、あたしのトップが94だよって言ったらどんな顔するかなぁ)
海斗に触れられる度、心の中でどんどん『あたし』が、真咲の存在が大きくなっていく。あたしは本当は男の正樹なのに、違和感がどんどんなくなっていく。怖い。だけどそれ以上に自分の体が熱くなって・・・。
カイちゃんがあたしの乳首をブラ越しに指でキュッとつまむ。既にビンビンに勃ち上がった乳首は、それだけであたしの全身に快楽を与えてくる。
「んはぁんっ♡」
あたしは顔を横に背ける。すると海斗は慣れた手つきでブラのホックを外し、一気にまくりあげようとする。
「きゃあっ♡」
彼氏に脱がされて悦ぶ女、まさにそう表現する他ない甘えた声。
「嬉しそうじゃん?」
「だって、あたし、あたし、んっ・・・」
カイちゃんが唇を重ねてきた。 舌と、唾が入り込んでくる。身体を重ね、彼の背中に手を回してぎゅっと抱きしめる。
(どうしてだろう。なんか、安心する・・・)
彼の身体がとても大きく感じられる。 女になって一回りは背も縮んだからだろうか。彼の大きな腕に包まれているだけで安心感を覚えてしまう。
(でも、あたしは、俺は、いいの、かな?)
チクリと胸が痛む。本来は男のはずで、彼とは親友だったはずなのに。本当は、彼とこんなことをできるはずはないのに。
そんなドロっとする心と、彼を愛しく思う心があたしの中で蠢いている。
だけど、そんなあたしの心の内なんて置いてけぼりで情事は進んでいく。カイちゃんの舌を恐る恐るに咥内に迎え入れる。途端に全身が弛緩していく。
「ん、ふぁっ・・・」
ダメだ、これは。幸福感が身体を支配し、そのままフワリと浮いてしまうようだった。頭の中はそんな風に浮ついてしまっているのに下半身が熱っぽくなって疼き出す。
(あぁ、これはもう、濡れて・・・)
抑えきれない愛液が染み出しているのがよく分かってしまった。それを自覚するとまた更に彼と身体を重ねたくなってしまう。あたしは、カイちゃんに飢えていた。
(もっと、もっとカイちゃんが欲しい・・・)
長い口付けの中あたしの頭はそのことでいっばいいっぱいだった。

16
カイちゃんの手が、あたしの下半身に伸びてゆく。
「や、やだぁ・・・お願い・・・」
自分でもよく分かった。声が、甘い。甘えた声になってる。 カイちゃんは何も言わずに指でショーツ越しにあたしの股間をそっと撫で上げた。
「あんっ♡」
「気持ちよさそうじゃん?」
「う、うん・・・やばいかも、これ♡」
力は全然入ってくれないし、それなのにこの柔肌はどこを触られても敏感に反応してしまっている。
「んぁぁ、やんっ、あっ、あぁっ!」
嬌声は止まらない。そのうちに慣れた手つきでショーツが剥がれ、いよいよあたしは生まれたままの姿にされてしまった。さっきのお風呂と違い、一旦着ているところから裸になったので全然違う胸の高鳴りがあった。
「すごっ真咲、ビッショビショじゃん」
「は、恥ずかしい・・・」
返す言葉も無い。穿いた覚えのないセクシーな黒いショーツとあたしの股座の間には透明な粘液がへばり付いて糸を引いているのが嫌ってほどよく分かる。
カイちゃんはそのままショーツを放り投げ、あたしの股間に顔を近づけて、スンスンと鼻を鳴らした。
「良い匂い♪」
その言葉にあたしの顔がカッと熱くなる。続け様に、
「相変わらず結構濃いよね、アソコ」
「やだぁ・・・やめて・・・」
カイちゃんからの意地悪にあたしは顔を両手で覆い隠すしかなかった。
(なんでお手入れしてこなかったんだろう)
なんて風に考えてしまうこと自体もうあたしがすっかり女の子になっちゃってるということなんだろう。親友だった海斗に、いいように弄ばれている。
(悔しい・・・だけど)
女体の快楽を感じ、そしてあたしは海斗の見たことのない表情・・・愛しい人を見つめる優しい笑顔に触れることができている。それも、その対象はあたし自身なんだ。これはあたしが俺だった時の望みの結果・・・なのだろうか。

17
「これだけ濡れてるから、もう前戯はいいかな?」
こくりと頷くと、カイちゃんはニッと嬉しそうに微笑みを浮かべた。この段になって気づいたけど、いつの間にか太ももやシーツまでぐつしょりと濡れていた。それだけじゃなく、お尻を伝う液の感触まで。
(確かにこれだけ濡れてたら十分過ぎるくらいだよね)
カイちゃんも裸になり、互いに生まれたままの姿になってギュッと抱き合う。肌と肌が密着して心地よい。だけど、それは長くは続かなくて。気がつくと、あたしは両脚を広げられたまま寝かされていた。
なんとなくカイちゃんの裸と目線を直視することができず、目を背けてしまう。そんな耳元へ
「いくよ」
という優しい声色。心臓が激しく脈を打つ。ドキドキという胸の音が聞こえてしまってるんじゃないかってほどに。
(あぁ、言わないで欲しかったかもなぁ)
真咲の身体は何度も何度も海斗を受け入れているし、あたし自身もお風呂場で既に一度彼に抱かれている。だけどこうして宣言されてコトに及ぶとどうしたって身構えてしまうじゃん!
・・・そういうところ、ホントにカイちゃんだな。
「んっ・・・」
怒張したカイちゃんのあそこがあたしの中に押し入ってくる。力を入れることができず、あたしはなすがままにそれを受け入れる。
「んんっ、あっ、やっ♡」
グッと少し乱暴に奥の方まで押し込まれる。
「ふぅっ、んんっ」
ちょっとだけ頭を起こすと、凄まじい光景が目に映った。
(うわぁ・・・これは女の子しか見られない景色ね)
大きなおっぱいの向こう側。男の頃は決して見たことのなかった、勃起したカイちゃんのチ◯ポがあたしのアソコにゆっくりと入っていく結合部。さっきは後ろからだったからなぁなんて・・・なんとも呑気に思ってしまう。
って、ちょっと待った!
「ちょっと! ひ、避妊はぁ?!」
「え? 車ん中で今日は大丈夫って言ってなかった?」
思わず頭の中で計算する。えっと、今は確かに大丈夫な時期か。僅かな間でそこまで考えが回ってしまうなんて!
「っていうか普通にそういうのは挿れる前に言ってよぉ!」
「ごめんって!次から気をつけるから!」
「もう!」
プクーッと口を膨らませるあたし。しかし、間抜け面のカイちゃんを見てるとなんだか吹き出して笑ってしまう。つられて彼も笑った。風呂場の時と違い、あたしも凄くリラックスしている自覚がある。挿入されたアソコも、痛みや圧迫感なんかより、それ以上の満足感?のようなものがあった。
(あぁ、あたしは本当に親友のこいつとセックスしちゃうんだな)
昨日までだったらタチの悪い冗談にもならなかった関係になってしまって。
(こいつと、カイちゃんと恋人同士か)
きっと大変だろう。それはよくよく知っている。だけど、きっと楽しいはずだ。
何故だろう。彼の柔らかな笑みを見つめながら、その時のあたしはそれだけは確信していた。

ひょうモザイク3

18
カイちゃんが腰を動かし始めた。ゆっくりと、じっくりと。
「あぁん♡いやぁぁん♡」
それは次第に勢いを増して。
「真咲、かわいいよ」
「あんっ、あんっ、あっあっあっ♡」
胸がブルンブルンと震える。それだけで感じてしまう。彼のペニスが動く度に、あたしの孔が擦れて気持ち良くなっていく。彼の固い肌と自分の柔らかい肌が触れ合う。厚い胸板にたわわな乳房が押し潰される。
海斗と真咲
彼とあたし
男と女
あたしは逞しい男性に抱かれ、挿れられ、咽び泣く。あたしの肢体は異性のそれを受け入れて悦びに悶えている。

カイちゃんの動きが徐々に大胆さを増していく。
「あっあっあっやばっ♡ そこ気持ちイイ! もっともっと♡」
頭の中がチカチカと瞬いてあたしは愛しい人の名を呼ぶ。
「あっ、あっ、あっ♡ カイちゃん、カイちゃん! き、気持ちイイよぉ♡ キ、シュゥ、キシュしてぇ♡ ん、んんんっ、あぁっんっ♡」
熱く唇を重ね、あたしはカイちゃんの舌を舐め回す。ディープキスしたまま押し倒され、腰の動きは最高潮を迎えた。
「んんんっ!? んんっ、んっあっはぁっん♡」
声が裏返る。目の前に星が瞬いて、急速にあたしの視界が狭まっていく。気がつけばあたしは彼の背に手を回し、力の限り抱きしめながら叫んでいた。
「あぁ〜ん♡ あっ、やっ、カイちゃっ♡ 気持ちイッ! 出して・・・出して出して出してぇ♡ あたしの膣内に出してぇ〜♡」
「ッ! 真咲ッそろそろ・・・ッ」
ドクンッ!
あたしの中でカイちゃんのチ◯ポが一際大きく膨れたと同時に、あたしの中にドロリとした熱く液が注がれていく。
「あぁぁぁぁ〜〜〜〜んんん!!!」
あたしは手で、足で、全身の力でカイちゃんにすがりつく。そのままあたしの意識はホワイトアウトしていくのだった。
「大好きだよ、真咲」

19
中に出されてからも、あたしと海斗のセックスは終わらなかった。 あたし自身の踏ん切りがついてしまったからか、そこからは文字通り、転げるように女としての快楽に溺れていった。
そこから何時間もかけて、あたしたちは貪るように何度も何度もセックスを楽しんだ。言葉も無く、お互いが限界を迎えるまで、あたしたちは激しく求めあった。でも、止められない。止められるはずもなかった。
女の快感に飲み込まれ、海斗と身体を重ねるごとにあいつに感じていた親友としての感情は全て彼への恋愛感情に置き換わっていった。夜明けを迎える頃には男の正樹としての自分は押し流され、心のほぼ全部が女の真咲としてのそれに置き換えられてしまっていたと、はっきりと分かってしまった。だが、それは自分が望んでしたことだった。
大学で出会い、男同士の友情を深める内に海斗は正樹の中で大きな位置を占めていた。もっと彼を知りたいという気持ち。男のままだったら恐らくそれ以上の進展はなかっただろう。たぶんだけど、恋愛関係にはならなかったはずだ。だけど不思議な湯の効力で女になり、真咲として、彼女として扱われる中で初めて見た海斗の表情。それはあまりに魅力的で・・・端的に言って、あたしは彼を女の子として愛してしまったのだ。

長かった夜が明け、いつの間にか二人とも眠ってしまっていたみたいだった。目を開くとカイちゃんもちょうど目を覚ましたようで、少し照れくさそうに笑った後、
「おいで」
そうあたしを呼んだ。正直言って夜通しのエッチでフラフラだ。だけどあの目で、あの声で求められるなら。吸い寄せられるように身を寄せる。もう、身体が疼き始めている。

(あたしはもう、あたしとして生きるから)
あたしは心の中で、『正樹』に別れを告げた。淫らな愛液が割れ目から滴り落ちていた。

20
カイちゃんを布団に仰向けに寝かし、あたしはその上に跨った。彼のイチモツをあたしの鈴口にあてがい、そして
「いひぃんっ!」
カクンと腰を落とし、ズプッという音とともに一気に奥まで入ってしまう。視界の中に火花が散った。全身を駆け巡る快楽に身を任せ、膝ををバネにして上下運動を繰り返す。繰り返す度にごりっごりっとあたしの中が擦れる。
「あ、あひっ、ひっ♡」
「もっと良くしてあげるからな」
「あ、はぁっん♡ カイちゃん、ダメッ♡ 激しっ♡」
下から突き上げられ、胸がたっぷんたっぷんと大きく揺れる。それだけで乳首がジンジンと痺れて気持ち良い。
その時だった。
「朝食のお時間でございます・・・」
コンコンと戸を叩く音。そして扉が開いた。「あっ」という暇も無かった。扉の向こうには豪勢な和風の朝食を配膳に来た若女将。露骨に固まってしまっていた。だが、それも当然だろう。何しろ、大股を広げた女が下から男性に突かれ喘いでいたのだから。しかも最悪なことにあたしが邪魔になって海斗は若女将に気づいていない!
「あっ!」
一気に冷静になる自分がいた。
(めちゃめちゃ恥かしい、じゃん!)
だって今、あの人にあたしの女の全てを見られている。その羞恥からか、知らず知らずのうちにあたしは膣をキュッと締めてしまっていたみたいで・・・
「うぉぉ!しっ、締め付けヤベェ! 真咲ィ、気持ち良すぎるっ!」
こいつ、まだ事態を把握していない!
「ストップストップストップ!もうダメだってぇ!」
「今更何恥ずかしがってんだよ!一晩中愛しあった仲じゃねぇかよ!」
「違う、そうじゃなあぃやぁぁぁんっ♡」
変な方向に興奮してしまったのか、海斗の鼻息が荒くなる。そんなあたしたちの様子をまるで目を逸らすことなく見つめる若女将。あぁ、なんとかフォローしたい!
だけどあたしはそれどころじゃ・・・。絶頂を間近に控えた海斗からの激しい突き上げに、堪えようと思っていても声が出てしまう。
「やぁん♡ いいっ♡ カイちゃんのぉおっきい♡ 奥まで入れてぇ♡ はぁっ♡ やっ、やっ、やっやぁぁぁん♡」
エッチな部分を全部見られている。そう思うだけでさらにあたしの身体は興奮を増していく。
キュュン♡
「出っ、出るぅぅぅ!!!」
勢いよく突き上げられて、あたしは今までで一番大きな声で叫んだ。
「あぁあああああああぁぁぁっ♡ いっ、イックゥゥゥゥゥゥゥ♡♡♡」
頭の中が真っ白になってゆく。薄れゆく意識の中、笑顔を貼り付けた若女将が後退り、ゆっくりと戸を閉めたのが見えた、気がした。

21
「あの、ほんとすみませんでした」
「? ナンノコトデショウネ??」
チェックアウトの際、若女将に謝罪したのだが。都合よく、なかったこととして処理してくれるらしい。迷惑料や追加料金もなし。あぁ、助かった・・・。
あたしは真咲のものだろう花柄のワンピースに身を包み、この不思議な宿を後にした。帰り際、若女将から
「あなたの望みは叶いましたか?」
と聞かれたように思えた。驚いて振り返ったがそこには誰もおらず、終ぞその真意を確かめることはできなかった。

こうしてあたしは海斗のボロ車に乗って日常へ戻った。やはりというべきか、両親や友人一同、あたしは生まれた時から女だったというコトになっていたみたいだった。しかも、あたしの元の下宿は綺麗さっぱり無くなっており、代わりに海斗と同棲する少し広めのアパートに住んでいた。環境のギャップで色々とやらかしもあったけれど、真咲としての知識を活かしていくうちにものの一週間ほどで違和感なく過ごせるようになっていった。

そんな日が続いたある昼下がり。あたしたちは部屋で二人、午後のコーヒーを味わっていた。
実はつい三十分ほど前まで、あたしは犬みたいにバックから突かれていた。時間に空きがあれば身体を求め合うのは爛れた関係なのだろうか。でも、あたしたちは互いのことを深く理解し合えていると思っている。
たぶん、 元から男と女だったら、こんな関係にはならなかったと思う。あたしが男としても、女としても彼と接してきたというのが大きいのかなって。本来はそれぞれの立場しか見ることのできない側面を両方知っている。・・・頼んでもないのに急に女の子にされちゃったんだ。そのくらいの役得はいいよね?

「いやー次はどこに行こうか! きっと楽しいぞ〜!」
なんてはしゃぐ海斗に、
「好きだよ」
はっきり言ってやる。口をパクパクさせちゃって。いつも突拍子ないコトしてくるお返しだ。そこからすました顔でこいつの馬鹿げた計画の話を聞いてやるのだ。いつものように。
あたしと海斗の新しい思い出はこれからも増え続けていくのだ。これまでよりも、ずっと近い場所で。

『萌着!超絶激萌戦士ストラングル☆メイディ!』 by.箱詰め羊

★大分前にはこさんに掲載許可をもらっていたものを今頃実行ですw

『萌着!超絶激萌戦士ストラングル☆メイディ!』
「メイディ、爆誕す!・前編」

20XX年、世界は人類史上、最悪の危機に直面していた。
地球人類の支配を画策する謎の秘密結社が、その野望を達成せんがために活動を開始したのだ。
一体どうなる地球人類!?
この危機を救うヒーローはいないのか!?

私立明度高校、2年3組の朝はその日もいつも通りに始まった。
「みんな、おはよう!はい、出席をとるから席につきなさい」
担任教師がくるまで騒然としていた生徒たちが、その一言でそそくさと自分の席につき、おとなしく自分の名前が呼ばれるのを待つ。
「えと、朝倉君。…朝倉佑紀くん?」
2年3組学籍簿の筆頭、朝倉佑紀。
いつもなら、元気に返事をするはずの彼がいない事にきずき、担任教師である榊玲子は怪訝な表情をうかべた。
「今日、学校で朝倉君を見かけた人はいない?」
生徒全員が首を横にふる。
「あら、まだ寮で寝てるのかしらね?」
榊は学籍簿に「遅刻」と書き込もうとした。
ガララッ…
そのとき、突然いきおいよく開け放たれた教室のドアに、クラス全員の視線が集中し、そして釘付けになる。
そこに立っていたのは、濃紺のエプロンドレスと真っ白なブラウスとのコンストラクトが目に映える、一人の美少女だった。
クラス中の視線が自分に集中しているのを確認したメイド少女は、優雅な仕草で丈のあるプリーツスカートの膝上辺りをつまむと、華麗に、そして清楚 な雰囲気大爆発なお約束ポーズで会釈し、とどめに、少し小首を傾けて、ほのかに笑みを浮かべてみせる。
「……」
「…メイドさんだ!」
「…はにゃん!カワイイん!」
「…おおーっ!生メイドーッ!」
一瞬の静寂の後、教室全体に「激萌え」な歓声が湧き起こった。
教師である榊も含め、2年3組の教室内の人間は何かにとりつかれたかのごとき形相で、この、「メイドが教室を訪れる」という非現実的状況に対し て、異常なほどに熱狂している。
そのうちに、他のクラスでも同様の絶叫があがりはじめた。
騒ぎをききつけ、何事かと様子をみにきた教頭や校長も、何かを言いかける前に例の「ご挨拶」を受け、次の瞬間にはメイドを崇め奉る集団の一部と化 してしまう。
そうこうしているうちに、校内にいたほとんどの人間は、突如として現れた13人のメイドたちに完全に魅了されてしまっていた。

「ふふふ…実験は大成功のようだ…」
薄暗い部屋の中で、校内がメイドたちによって制圧されていく様をモニター越しに見物していた少年は、計算どうりとはいえ、そのあまりに絶大な成果 に一人ほくそえんだ。
「これなら、あのお方も僕の案に賛成せざるを得なくなりますね…」
にんまりと笑みをうかべつつ、デスクの上に投げ出した脚を少年が組み変えたとき、部屋のドアがひかえめにノックされた。
「誰だ?」
「ユウキに御座います。ご主人様、入ってもよろしいでしょうか?」
涼やかな声が、少年の声に答える。
「ああ、入れ」
慇懃無礼な答えに応じて、一人の少女が暗い部屋へと入ってきた。
2年3組に現れたメイド少女である。
「ご主人様、明度高校内の全生徒及び教職員を完全に支配下におきました事をご報告しに参りました」
深々と頭を下げ、両手をスカートの前で合わせたまま、主の次の言葉を待つユウキ。
そんなユウキの姿を眺めながら、主と呼ばれる少年は先ほどまでのものとは異質な、下卑た笑みを唇に浮かべた。
「ユウキぃ…いい格好だな。どうだ?女にされた上にメイドの格好をさせられ、しかも俺に絶対服従してしまう気分は?」
「ぐ…」
屈辱的な言葉に、なお頭をたれたままの少女の肩が一瞬震え、そろえた両手が強く拳を握り締める。
しかし、その動揺もせつなのことで、すぐに元のとうりの「主の言葉を賜る従順な使役人」としての態度を取り戻した。
「…主に仕えるは私の至上の喜びに御座います。この姿、この声、この服…ご主人さまより賜りしものに感謝こそすれ、不満などあろうはずが御座いませ ん…」
薄桃色の形良い唇から、完璧なまでに淀みない「忠誠の言葉」が紡ぎ出される。
しかし、その言葉には彼女の表情同様、一片の感情も込められてはいない。
「くくくく…はーっはははは…!」
そんな少女の様子に、少年は椅子から転げ落ちんほどの勢いで爆発的に高笑いし始めた。
椅子の上でのけぞり、腹を抱え、デスクも壊れよとばかりにばしばしと叩く。
「ひーひひひ…」
5分程笑い続けていただろうか?
少年の高笑いがぴたりととまった。
そして、先ほどからずっと同じ姿勢で待機したままのユウキを見やる。
「おい…なんで笑わん?」
主の言葉に、無表情な少女の顔があがり、同じく感情のこもらない声が答えた。
「笑え、とお命じになられませんでしたので…」
「ちっ…」
少年の舌打ちに、少女は言葉を続けた。
「笑ったほうがよろしいなら、今から笑いますが?」
少女の問いに、少年は不愉快さをあらわにしつつ、シッシッと犬でも追い払うかのような動作をする。
「では、失礼させて頂きます。御用の節はお呼びつけ下さいませ…」
あくまで優雅な動作で退室する少女。
その人間味に欠けた動作を見ながら、少年はデスクの引きだしから作りかけの電子部品のようなものを取り出すと、それを組み立てる作業に没頭しはじ めた。

その頃、突然現れたメイドたちになんらかの力で魅了されてしまった校内の人々は、全員が講堂に集められていた。
そこにいる全員が、まるで何かに取りつかれたかのように、壇上に整列した12人のメイドに見入っている。
咳払い一つ聞こえない静けさの中に、異常なまでの熱気をはらんだ空間。
例えるなら、超人気アーティストの登場を待つ、ライブハウスの観客といった所か。
そこに、いま一人のメイド少女が小走りに姿を現したことで、講堂内のボルテージは不気味な沈黙のままMAXに達した。
「あ、あ、テステス…」
仲間から受け取ったマイクの電源を入れてマイクテストを行なうユウキ。
その計算されつくしたかのような、完璧なまでの可愛らしさに、講堂内の全員がグビリと喉を鳴らしつつ生唾を飲み込んだ。
そんな異様な状況に気押される様子も見せず、壇上の中央へと進んだユウキはマイクを可愛らしく両手で持ち、第一声を群衆に発した。
「みんなぁ☆メイドさんのこと、好きぃ?」
『好きぃーっ!!!』
声をそろえて答える群衆たち。
その様子に、壇上のメイドたちがそろってニヤリと笑うが、誰も気にとめた様子はない。
「それじゃあ、あたしたちのお願い、聞いてくれるぅ?」
『聞くぅーっ!!!!』
いつの間にか壇上に姿を現した少年に気づき、一斉に膝まづくメイドたち。
ユウキも片膝をつきながら、さらに言葉を続けた。
「みんなにも、わたしたちのご主人様に忠誠を誓って欲しいのぉ☆」
『誓っちゃうーっ!!!!!』
そろってとんでも無いことを叫びながら、講堂内の全員が、メイドたちと同様に少年に対して膝まづく。
そんな様子を満足気に見下ろしながら、少年はユウキからマイクを受取る。
壇上の中央に進んだ少年は、しばらくマイクを片手に講堂を覆い尽くす平伏した人の波を見回し、至福の瞬間を味わっていたが、ふと我に返るとマイク を持ち直し、いまや自分の完全なる下僕と成り果てた群衆に対して演説を開始した。

「素晴らしいお言葉でした」
「わたくし、感動のあまり失禁してしまいましたわ」
「ああ…これから佑二さまによる、佑二さまのためだけの、素晴らしき世界がつくられていきますのね…」
講堂での一仕事を終えた少年は、13人のメイドたちの賛辞と賞賛に囲まれながら、これまで活動の拠点としてきた、学校校舎の裏に位置する男子寮の 自室でくつろいでいた。
「ふふふ…これで僕の世界支配の為の尖兵が、13人から一気に400人に増えた訳だ」
講堂でひとしきり好き放題な事を言ったあと、少年はメイドたちに命じて、そこにいた全ての人間に小型のカプセルを飲み込ませ、解散を命じた。
このカプセルには、少年がひそかに開発したマイクロマシンが詰められており、これに体を侵されたものは、少年に完全なる忠誠を誓う奴隷と化してし まうのである。
もちろん、今、彼の周りできゃいきゃいとはしゃいでいるメイドたちも、そのマイクロマシンの支配下にあった。
つまり、本来の彼女たちの意志は、その大脳に巣くった微少な機械によって大きくゆがめられているのである。
いや、彼女たちにいたっては、精神だけでなく、その性別や容姿に至るまで、存在の全てを少年の手によって改造されてしまっていた。
明度高校男子寮。
そこで暮らしていた13人の男子生徒に、遺伝子改造と整形手術、そしてマイクロマシンによる洗脳をほどこし、己の忠実な下僕とする。
狂った少年の陰湿な計画の第一段階の犠牲者。
それがメイド軍団の正体だったのである。
しかし、13人のメイドたちの中で、ただ一人、マシンによる支配ではなく、別の方法で操られている者がいた。
「朝倉佑紀」いまは「ユウキ」と呼ばれる少女である。

半月前…
「おい、佑二、なにやってるんだ?」
突然、背後から声をかけられ、朝倉佑二は手にしていた微少なマイクロマシンの詰まったカプセルをとりおとしそうになった。
「なんだ?それ?」
佑紀が覗きこんでくる。
「な、なんでもないよ兄さん。今度の文化祭に出す作品さ…」
何気ない様子を装いながら、つとめて冷静にふるまう佑二。
「ふーん、お前は俺と違って頭いいからなぁ。ま、俺にはよく解らんが、なんかすごいモンなんだろうな」
(ふん、自分の馬鹿さ加減がよくわかってるじゃないか…)
声には出さずにつぶやく佑二。
「それじゃあ、俺は明日も朝練があるから寝るぞ。お前も夜更しするなよ」
「うん、おやすみ、兄さん」
ガチャリ
ドアが閉められ、佑紀の足音が遠ざかるのをまってから、佑二はもう一度カプセルを手にした。
こんこん…
控え目なノックに、佑二の顔が邪悪な笑みをうかべる。
先ほどまでの佑紀に対するいい子ちゃんな表情からはまったく想像できない、ネジ曲がった心がそのまま現れたような顔だ。
「入れ」
兄に対するものとはまるで正反対な、自信にみなぎった声で命じる佑二。
その声に応じて、人目をはばかるように周囲を見回して素早く部屋に入ってきたのは、佑紀と同じクラスで、佑紀と同じく柔道部に所属している2年生 の高村樹だった。
「佑二さま、準備が整いました」
一学年後輩で、しかも悪友である佑紀の弟である佑二に対し、敬語で喋る高村。
その様子に佑二は満足気にうなづくと、高村を従えて他の下僕たちの待つ1Fのレクリエーションルームへと向かった。
そこには、揃いのエプロンドレスを着た11人のメイドが彼を待ちわびていた。
『お待ち申し上げておりました。佑二様』
11人の美少女が、見事なハモリで毎夜の夜とぎの前には恒例となっている台詞を口にする。
それに軽く手を挙げて応えながら、佑二は部屋の中央にしつらえられたソファに、どっかりと腰を下ろした。
そのまわりに、メイド少女たちが思い思いの姿勢ではべっていく。
「おい、樹!お前もとっととダミースキンを脱げ!」
高村の方を見やりもせず、鷹揚に言い放つ佑二。
「はい!」
その声に、高村は喜々としてうなづくと右手首のリストバンドのスイッチをひねった。
きゅうう…
かん高い音が響きわたったかと思うと、日々の部活で鍛えあげられた高村少年のゴツイ肉体に何百本もの切れ目が生じ、次の瞬間、背中部分で分割され て何千もの肉色の短冊と化した彼の皮膚は、音もなくリストバンドの中へと巻きとられていく。
「あ、あはあぁ…」
解放されていく肉体の感覚に、今まで少年の姿をしていた者は歓喜の吐息をあげ、そのプロセスが終了した時、そこには、長い黒髪をもったスレンダー な体型の少女が、高村少年が着ていたトレーナーを着て立っていた。
「イツキ、早く着替えろ!」
「はぁい、佑二さまぁ」
ぶかぶかになったトレーナーの袖口からちょこんと指先だけをのぞかせた格好で返事をすると、「イツキ」へと変貌した高村少年は、いそいそと自分た ちのメイド服が収納されている物置へと走り去った。
残ったメイド少女たちは、そんな二人のやりとりを羨ましげに見つめている。
「どうしたお前ら。さっさと始めろ!」
『はいっ!』
またもやハモリで応えると、少女たちは思い思いに佑二の全身に群がり、愛撫を施し始めた。
大股を広げた佑二の股間に顔を埋めて奉仕するショートカットの娘。
その下で佑二の袋に舌を這わせる眼鏡っ娘。
体の左側から、へそに形良い鼻をつっこんでいるのは、ポニーテールがよく似合う小柄な少女だ。
右足の指をむさぼるように舐め立てているのは、勝気そうなつり目を潤ませた娘と、彼女とは逆に大人しそうな顔を真っ赤にした垂れ目ぎみの娘。
左足では、自分の股間を佑二の足に擦り付けながらあえぐ、他の少女たちより少し大人っぽい雰囲気の娘が奉仕している。
左右の乳首と唇にも一人ずつ少女がとりつき、懸命の奉仕を行なっていた。
ソファの前の床では、あぶれてしまった二人の少女が、せめて視覚で主を楽しませようとレズプレイに興じはじめる。
「ん、いいぞ。お前ら最高だ…」
この上もなく贅沢な快楽に、佑二が思わず歓喜の言葉を漏らしたとき、突然、部屋の扉が開け放たれた。
『!!』
全員の視線がドアに集中する。
「あのぅ…」
そこに立っていたのは、エプロンドレスに着替えてきたイツキ…と、その後ろで驚愕に目を見開いたまま固まっている佑紀だった。
「見つかっちゃいました☆」
舌を出して自分の頭をこつんと叩くイツキ。
「な、な、な、な…」
その後ろで、佑二を指さした佑紀が、パニクリまくった表情で馬鹿みたいにどもりまくっている。
その様子に落ち着きを取り戻した佑二は、静かな声で命じた。
「お前ら、兄貴をふんじばっちまえ…」

[後編へつづく]

おかし製作所には20140107掲載

【投稿小説】とある温泉宿で起きたこと 前編 

作 ととやす
挿絵 海渡ひょう  https://skima.jp/profile?id=92480

1
「ふぅ〜やっと着いたな正樹!」
「いや・・・覚悟はしてたが遠すぎるだろ・・・」
呑気に笑う海斗に愚痴をこぼしながら、俺はここまで二人を運んでくれたオンボロの中古車から身を下ろす。貧乏学生の俺たちにとってはエンジンがなかなかかからないこんな車だって大切な相棒だ。
「ここまで俺たちを連れてきてくれてありがとう〜愛しのベーたん号よ〜」
「こないだまでべーくん号じゃなかったか?」
「そだっけ? 正樹が言うなら・・・そうなのかも?」
バイト代を貯め込んで買ったはずの自分の愛車のニックネームすら満足に覚えてない・・・いつも通りの海斗の雑さに思わず吹き出してしまう。
「しかし本当に遠かった・・・まさかお前の家から半日かかるとは・・・尻と腰が・・・」
「正樹は乗ってるだけだったじゃねぇかよ〜」
「はぁ!? 道順とかガソスタの位置とか、ちゃんとナビゲートしてやっただろうが!?」
何時間も車に乗っていたとは思えない程に騒々しく喋りながら、俺たちは後部座席に投げ込んであったカバンを取り出して旅館へと歩き出した。そこまできて、ふと俺は今日何のためにここまで来ることになったのかを思い返していた。友人になってからこっち、きっかけはいつもそう。海斗の急な思いつきだったのだ。

2
海斗>明日暇か?

海斗からメッセージが届いたのは昨夜のことだった。その時の俺はバイト明けで疲れ切った身体をなんとかやりくりしながら下宿までの帰路に着こうとしていたところ。ぶっちゃけ面倒で一瞬の逡巡があったことはこの際否定すまい。だが、こいつが急に思いついてメッセージを送ってくるということは・・・

正樹>行ける

直ぐに既読が付き、返事がやって来る。

海斗>やったぜ!まぁ無理って言っても勝手に車で乗り付けるつもりだったけどなw

やっぱりかよ。大学の入学式で知り合ってから早二年。こいつは一度やると決めたらテコでも変えない。海斗の中で「明日俺と何かする」ということは、思いついた時点で既に実行が確定事項なのだ。これで断ったりすると面倒なことになるから、俺もある時を境にこいつの言い出すことには敢えて流されるようにしている。ガキっぽいなとも思うけど、何かと出不精で篭りがちな俺を無理矢理引っ張り出してくれるという点で感謝する部分もある、というのが正直なところ。・・・無論面と向かって伝えたことなんてないが。

正樹>何するんだ?
海斗>車買ったからドライブの練習付き合って!!!
正樹>いいけど、目的地どうする?

既読は付けど、返事は来ない。海斗のやつ、何も考えてなかったな。顔も体格も良いくせに、こういう大雑把で能天気なところがあいつのモテない理由なんだろうな。

正樹>例えばだが温泉でも行くか?

深い理由なんてなかった。ただなんとなし、男同士ゆっくりと湯に浸かって語らうのも一興かと思った。ただそれだけだった。が、それは想定以上に海斗の琴線に触れたようで。

海斗>めっちゃいい!!!名案すぎ!!!

派手なスタンプとともに返事がやってくる。続けて地図アプリの位置情報が。

海斗>ここ行こ!

リンクを開いてびっくり。どう軽く見積もっても日帰りなんて無理な距離。都市部からも離れていて、まさに秘湯といった面持ちだ。こんなところ、いきなり初心者ドライバーで行けるものか?
そう懸念を呈したものの、やはり海斗はここにすると決めてしまったらしい。あらゆる角度から説得を試みたが、
「二人とも講義のない金曜に出発して一泊して帰ればいい」
「日曜日に休めばいけるいける!」
「運転は気合いで何とかする!」
「レビューとか少ない秘湯の方が面白そうじゃん!」
などと言って聞く耳を持たない。今回も海斗とのやり取りのいつものパターンに入ってしまったようだった。結局俺が折れて

正樹>分かった。行くよ、行けばいいんだろ!
海斗>楽しみ〜

「あのバカめ・・・」
なんて呟きながらも、未知の秘湯に海斗と乗り込んでいく高揚感があった。明日は朝イチで出発だから、と頭の中で準備すべきことを整理しながら、俺は下宿までの帰路を急いだのだった。

3
こうしてたどり着いた(ここに至るまでの道のりにも相当な数のトラブルや事件に巻き込まれたのだが、それは割愛する)温泉宿『ていえ荘』は、まさに秘湯と呼ぶに相応しい佇まいだった。山に囲まれた人里離れたロケーションに、歴史を感じさせる木造りの建物。聞こえてくるのは鳥に風、虫や水の音だけだった。
「おい、これは・・・」
「あぁ、当たりだな」
旅の疲れも吹き飛ぶ素晴らしい雰囲気だった!
「いらっしゃいませ・・・遠いところをわざわざ起こしいただきまして・・・どうぞこちらに・・・」
俺たちを出迎えてくれたのは、和服姿の女性。まだ30歳前後だろうか。田舎の温泉宿には似つかわしくないと言っては失礼かもしれないが、およそこの辺りの人とも思えないほどの美女だった。
「こちらの部屋でございます・・・」
「「・・・」」
ともに彼女いない歴=年齢な俺たち(二人とも男子校出身だからしょうがない!)は、ドギマギしながら女性に案内された部屋に通された。そこは年代を感じさせる落ち着いた雰囲気の和室だった。
「いい部屋ですね・・・」
俺は窓の向こうに映る美しい山々の姿に思わず声を漏らしていた。
「今日は、お客様以外いらっしゃりませんので・・・このお部屋は、当館では一番景色の良い部屋でございます・・・また、部屋付きの露天風呂も備えておりますので、よろしければ・・・」
恭しい仕草で指差した先を見やれば、部屋の隅に小さな扉が。曰く、その先に小さな脱衣スペースがあり、さらにその奥に大人二人程度が入れる露天風呂があるとのことだった。
「共用の大浴場も露天のお風呂です。お湯の質がそれぞれ違いますので、お気分に合わせてお試しください・・・」
そう言うと、その女性は部屋の入り口できちんと姿勢を正して座りなおすと、
「申し遅れました・・・私、本日お客様のお世話をさせていただく、当館の若女将でございます」
そう言って彼女は俺たちに深々と頭を下げた。
「こちらこそ、お世話になります」
「お、お世話になります! マジかよ・・・若女将・・・アテッ!」
余計なことを口走りそうな海斗に一発食らわせてやりながら、俺も正座して頭を下ろす。
彼女はそんな俺たちを見てニコリと微笑み、静かにふすまを閉めて部屋を後にした。
「正樹〜やってくれたなテメェ〜」
「お前なぁ・・・若女将に色目なんて使ってみろ、ややこしくなっちまうじゃねぇかよ」
「別にそんなつもりじゃねーし! ったくよぉ・・・さてと、食事前にさっそく温泉に入ろうぜ!」
俺たちは浴衣と着替えを持って大浴場に向かったのだった。
4
「はあ~~~・・・気持ちいいよなぁ! 正樹!!」
俺は、露天風呂でまわりの景色を見ながら湯船に浸かっていた。ふと、海斗に視線を移すと・・・彼は、何やら神妙な顔で俺を見つめていた。
「ありがとよ、ここまで付き合ってくれて・・・」
「何だよ急に」
「俺の思いつきにぶー垂れながらも何だかんだで乗っかって来てくれるのは正樹くらいだ。これでも、一応感謝してんだぜ?」
「・・・明日は槍でも降ってくるのか?」
「あ〜!!せっかくマジメに話してるのにバカにしやがって!テメェ〜!」
お湯を顔にかけてくる海斗はいつも通りの馬鹿面だ。だけど、さっきの表情は・・・。
(まだまだ俺もこいつのこと全部知ってるって訳じゃないんだな。当たり前だけど)

「うわはははは!!すげぇ料理!!」
部屋に戻ると、俺たちの部屋には夕食の準備がされていた。
「当館の料理長が腕によりをかけておりますから・・・きっとお気に召して頂けるかと」
「やべ〜早くいただこうぜ、正樹!」
「がっつくなよ、みっともない・・・なんかすみません」
「うふふ、さあ、召し上がってください・・・」
彼女は慣れた手つきでビール瓶の栓を抜くと、手を添えて持ち上げる。
「さぁ、どうぞ・・・」
「あっ、ありがとうございます!」
若女将は俺たちのグラスにビールを並々と注いでいく。俺も海斗もドキドキしながら乾杯し、その中身をグッと一息に飲み干す。
「まぁ!」
気品ある仕草で口を抑えた若女将。すぐに二杯目を注いでくる。それを即座に空にする海斗。
「お、おい海斗・・・」
「なんだぁ〜正樹?」
はぁ。溜息をついて俺も勢いをつけグラスを空ける。このペースだと、早々に二人とも潰れるのは確定だな。疲れも溜まっているし、明日の出発は予定より遅くなるかも。
なんてことを考えつつ、次々と運ばれてくる美味珍味に舌鼓を打ち、俺も海斗もバクバクとよく食べ、よく飲んだ。
・・・思えば、俺も海斗も旅の雰囲気に当てられておかしくなっていたのかもしれない。間をおかずにビールから日本酒、焼酎へ移行して酒を飲み続ける。普段よく行く学生向けの居酒屋とは比べ物にならない旨い酒に呑まれ、俺たちはあっという間に酔っていったのだ。

5
「フ~ッ・・・美味しかったなあ海斗?」
俺は、ほろ酔い気分で海斗に声をかけた。海斗は横でグーグーといびきを立てて寝入っている。しばらくは起きないだろう。俺はクラクラとした頭を抑えながら、後片付けをしていた若女将に
「本当に美味しかったです・・・ごちそうさま!」
酒のせいもあっていつもより高めのテンションで言った。
「そうですか・・・それは良かったです・・・」
彼女は食器を片付けながらそんな俺に微笑んだ。俺は酔覚ましに窓を開け、すっかり暗くなった窓の外の景色を眺めていた。夜風に当たっていると多少頭の揺れもマシになってきた気もする。そんな時、ふと先ほどの若女将の言葉がよぎった。
「ところでさっき、共同の露天とこの部屋のお湯は性質が違うっておっしゃられてましたけど、どう違うんですか?」
と尋ねてみた。本当に単なる好奇心だった。
「そうですねえ・・・」
彼女は小首をかしげると、
「このお部屋の温泉は、『願掛けの湯』と言われているんですよ」
そうクスクスと笑いながら言った。
「願掛けの湯?」
「ええ・・・この温泉のお湯に浸かりながら願ったことは叶うと、この辺りでは言い伝えられていますね」
「へえ~・・・」
想像よりも胡散臭い・・・もとい、科学的根拠に乏しい話だ。もっと足腰とか、そういうのかと。
「入られるなら、落ち着いてからにされた方がいいかと思いますよ・・・随分と嗜まれておりましたし・・・私が飲ませ過ぎてしまいましたかね?」
「いえいえ、そのような!俺も海斗も、楽しい時間でした!」
「うふふ、仲がよろしいんですね?」
「そう、ですかね・・・?」
言葉を返しながらも、俺はさっきの風呂での海斗の表情を思い返していた。俺の知る海斗は、バカで鈍感で能天気で・・・底抜けに明るくて。だから、あんなことを言って、あんな表情をするなんて、知らなかった。そりぁ、あいつだって人間だ。落ち込んだり、考え込むこともあるのは分かってるんだけど・・・知っているつもりの友人の、知らない表情を見ただけで俺はどうしてこうも心乱される? なんて、酔っ払いすぎか?
「・・・俺はあいつのこと、知ってるつもりになってるだけだったのかもしれません」
答えはなかった。面を上げると、俺がずっと黙っていたからか、眠ったと思ったのだろう、既に若女将は部屋を後にしていた。相変わらず横では海斗が寝息を荒くしている。時計を見ると、結構な時間が経っていたらしい。
「人の気も知らないで、呑気しやがって」
そう独りごち、立ち上がる。時間のおかげか、酒はかなり抜けたようだった。
「気分転換に一風呂浴びるか」
なんとなしにモヤッとしていた俺はそのまま部屋の隅にある小さな戸の前まで歩き、その中へと入っていった。

6
脱衣スペースで服を脱ぐ。といっても、先程共用の温泉に入るのに浴衣へ着替えていたので脱ぐのは一瞬だった。あっという間に俺は生まれたままの姿になって露天風呂への扉を開く。
開けるとひんやりとした空気が肌に触れていく。そこには本当に小さな・・・二人分の大きさと言っていたが男二人ではとても無理だろう。ささやかな木造の湯船に湯気立った温水が満たされている。足を上げて身を浸すと、ジャァァという豪快な音とともに湯が流れていく。仄かに香る木の匂いと温泉の香りが混ざり合い、なんとも言えない深い奥行きを作り出す。時折山間の方から吹き下りる風がひんやりと心地良い。
「あぁ〜〜・・・」
俺はおっさんそのものの声を出していた。いい湯は心と身体に染み渡るな。
「願掛け、ねぇ・・・」
人心地着き、ポツリと言葉が溢れる。何となく湯船に顔をつけてお湯の中で呟いてみる。
(あいつのこと・・・海斗のこと、知ってるつもりで知らないことがいっぱいあった・・・だから、もっと知りたい、色んな面・・・って!)
慌てて水面から顔を出す。
「何言ってんだ俺・・・重っ!キモい・・・よな・・・たかが二年前に知り合った大学の友達のこと、こんな・・・」
無茶をして酔いがまた回って来たのか、全身が湯船の湯を吸ってしまったように重くなってきた。まぶたがゆっくりと閉じていき、頭がかっくんと横に倒れる。
「それ、より、早くあいつ起こし・・・て・・・」
湯船から上がろうとするも、既に俺の身体は言うことを聞いてくれなくなっていた。
俺の意識は、沈んでゆく。
深く、深く・・・どこまでも、どこまでも。
だから、
「よかろう、その願い承った」
そんな声が聞こえていたのに、随分と先になるまで思い出すことなんてなかったのだ。

7
「・・・っ!」
目が覚めた。 同時に慌てて立ち上がった。お湯が全身を伝って滴り落ちていく。
あたしは激しく上下する胸をそっと抑える。思春期を迎えた頃から膨らみ始め、今や世間的には巨乳とまで言われる水準まで大きくなった脂肪の塊の下で、バクバクと心臓が波打っている。
「うわー、なんか夢見たなぁ」
完全に寝落ちしてしまっていた。このまま気づかずに眠りこけていたら、湯冷めして風邪を引いちゃったり、最悪の場合は・・・。
ふるふる!
うーん、縁起でもない!頭を振ると、数年がかりで伸ばした黒髪が顔や肩にへばり付く。
「あれ、あたし・・・髪まとめるのも忘れてたの!?」
右手に付けたヘアゴムを外し、サッと髪をまとめる。うーん、いくら何でもうっかりしすぎかも。足を上げて湯船から出る。夜風が火照った身体を冷やし、何とも心地良い。
「あ〜しまった、油断したなぁ」
ふと目線を下にやったところ視界に入る黒い茂み。最近はバイトなんかで色々バタついてて、Vラインのお手入れがちょっとご無沙汰になっていた。・・・今のうちにやっておこうかな。
部屋に置いてあるポーチに入れてあるはずだから、そう思って扉へ歩くと、ぶるんぶるんと胸が揺れる。
「・・・?」
そっとおっぱいを下から持ち上げ、手をどける。重量感ある乳が何度か揺れて元の位置に戻る。いつも通りの当たり前のことのはずなのに、何故だか妙に気恥ずかしい。おかしいなぁ。また大きくなった? んー、でもブラのサイズはここ最近変わってないはずなのに・・・。そんな風に考えながら、扉に備えられた窓に反射する自分の姿を眺める。

ぱりん・・・!

あたしの頭の中で、何かが砕けた。 違う。いや、そうだ。 あたしはあたしなんかじゃなくって・・・そう、『俺』だ。 俺だったはずだ。
「・・・え?」
俺って? あたしは『真咲』で・・・いや、発音は同じだけど似て非なる全くの別人だ。だけど、鏡面になったガラスの中に映るのは肉付きの良い全裸の美女だった。自分が本来映るはずの場所に、男の姿は存在しない。
俺は、俺は。
単刀直入に言うと、目が覚める女になっていたのだ。そう理解せざるを得なかった。何故だかは全く以て解らない。自分の脳の理解範囲を完全に越えた現象だ。寝ている間に一体俺の身体に何が起きたというんだ!
「あ、あ・・・」
反射的に俺は慌てて股の間を弄ったが、触り慣れたあの生暖かいモノは無く、代わりに溝が一筋刻まれていた。これは錯覚や虚像なんかじゃない。現実に今ここに立っている俺自身も女だという事になる。
反射する窓に映る一糸纏わぬ女性。呼吸に合わせて、たわわに実った乳房が揺れる。
これは・・・これは果たして本当に本当に俺なのか?
周りの風景は間違いなく、先程までゆったりと過ごしていた小さな湯船もそこにある。
しかし。この外見は。この美しい同年代の女性は。さっきまでの腐れ大学生だった俺とまるで違う。これが、俺・・・
「あ、あぁ・・・い、いやぁ」
そこで漸く俺の口から言葉が溢れ出した。
「いやぁぁぁぁぁっ!!」
それは甲高い、女の声による悲鳴に他ならなかった。

ひょうモザイク1

8
俺はまじまじと自分の姿を見つめた。紛れもなく美女、と言って差し支えないだろう。小さな顔に切れ長の黒い瞳。長い睫毛に濃いめの眉。 目元にある泣きぼくろが印象的だ。
・・・ここまできて、よくよく見ると元の、男の自分の面影が意外と残っていることに気がついた。目の形や泣きぼくろなんかは元々と似ている。しかし、印象を大きく変えるのは豊かな艶のある黒髪に桜色の頬、すうっと形の良い鼻。その下にはやや下唇のぽってりとした小さめの口。何よりその華奢な体型。肩幅は細くなり、身体の厚みがなくなって浮き出た鎖骨が何とも色っぽい。そしてそのラインを辿ってみると、そこには男には無いモノ・・・華奢な体格に似つかわしくない程大きく膨らんだ乳房があった。
ゴクリ
女性と一夜を共にした経験のない俺にとって、こんな間近で拝むおっばいは初めてだった。ましてや、触れるなんて・・・。
俺は男の頃から幾分も小さくなった手を、大きく膨らんだ両の乳房にそっと当てがった。
「・・・んっ!」
思わず声が漏れて赤面する。柔らかい。そして温かい。女性の胸ってこんなに優しいものだったのか。
「んんっ、あっ、はぁっ、やぁん・・・」
手のひらを伝って心臓がドクンドクンと脈打っているのを感じる。そのまま俺は乳房をじっくりと、ねっとりと五本の指を使って弄っていく。ビクッと五体に奇妙な感覚が走った。男の身体では決して味わうことの無かった、痺れるようなくすぐったいような甘いような不思議な感覚。 何度も、何度も乳房に指を押し付け、円を描く。
「あぁ、あっ、き、気持ちいい・・・」
俺は自らの乳房を揉み上げながら、頬を上気させていく。指を回す度に丸い乳はその形を変えていく。その膨らみの先に付いた桜色の乳首は次第に仰け反る様に上を向いていき、固くなっていった。
「やぁん、あんっ・・・っん!」
左手の指先でビンビンに勃ち上がった乳首を転がしながら、右手の指を下腹部のくびれに手を滑らせる。鬱蒼とした柔らかな陰毛に覆われた恥部に指で触れると、いつの間にかそこはしっとりと濡れていた。
「だ、だめぇ・・・興奮しちゃってるぅ・・・自分にぃ」
息を上ずらせながら、無意識で左手を乳房に、右手を恥部にあてがっていた。側から見るとその姿は自分を慰める淫らな女そのものだったろう。
ややあって右手の中指を、黒い茂みの中に滑らせ、赤く染まった女性自身に忍ばせる。
「あぁっ、あっ、やっ、やっ、やらぁ! 俺、女の子のオナニー、しちゃって、るぅ!?」
中指の腹で恥部を押し、撫でる。それを繰り返すたび、
クチュッ、クチュッ、クチュッ・・・
淫靡な液体の音が響いていく。その音にリズムを合わせて右手が乳房を揉んでいく。胸と股座を中心に熱く切ない感覚が広がっていき・・・ふいに頭に海斗の顔が浮かんだ。その瞬間
「あっ、あっ、あぁっ、あんっ、やっ、やだぁっ!指、とまんない・・・よぉっ!?」
何かがもの凄い勢いで全身を駆け、指遣いが速くなっていく。
「やっ、やっ、いやっ、いやぁっ!?」
リズムは止まることなくどんどん早くなり、俺の身体中に快感の連鎖反応を起こしていく。海斗の顔を思い出すだけで、ゾクゾクと快楽が膨れ上がり身体の敏感な部分を震わせる。
(気持ち良い・・・男のときより、ずっと)
「海斗・・・海斗っ!海斗ぉ!」
止まらない。手を動かすのが。 快感が。凄い。手の動きはどんどん速くなる。
クチュクチュクチュクチュクチュ・・・
俺はいつの間にか汗で垂れた前髪を頭を振って掻きあげ、汗とお湯とでぐっしょり濡れた肢体の全てを欲望に委ねている。髪を止めたバンドがどこかへ行ってしまったのなんて知らない。下腹部の中心で見えない何かが跳ね上がり、抜き差しする指を女陰のヒダが絡めとる。
「いやッ!」
ビクンと身体に電流が駆け巡る。
(イく・・・イく・・・イっちゃう・・・)
火照りが頂点に達し、俺は全てを解き放った。
「あっ、あっ、あんッ!あぁぁっ!いやぁぁぁぁッ!!イくっイくっイくっ、イっちゃぅぅぅぅぅ〜〜!?!?」

9
女の快楽ってすごい。 軽くシャワーで身を清めて再び露天風呂に浸かりながら、俺はそう思い返していた。
女性のそれは男がするようなそれとは全く別次元のものだったのだ。 俺はその事実を身を持って知ることになってしまった。絶頂時にはすべてを包み込まれるような・・・そんな気持ちよさだった。 喩えるならば広い広い海に抱かれるような。海、海・・・
(なんで俺は女のオナニーしながら海斗のことを・・・まるで俺・・・)
顔が真っ赤になっているのが自分でもよく分かった。女の子の身体になったから? それとも・・・?
ザブンと波を立てて立ち上がり、肉付きのいい女の身体を見つめる。
「あいつは女になった俺のこと、分かってくれるのかな」
そう俯きながら呟いた時のことだった。不意に脇の下からニョキッと二本の腕が現れ、そのまま俺の乳房を掴んで揉み始めたのだ。
「キャァァァ〜!!」
思わず女の子そのものの悲鳴を上げてしまう俺。気がつくと背後に気配を感じる。振り返ったその先にいたのは・・・海斗だった。
「おいおいおい〜寝落ちしてたからって一人で随分と楽しんでたみたいじゃん?」
「か、海斗・・・!」
「俺も混ぜてくれよ。付き合ってんだからいいだろ、『真咲』?」

10
海斗の一言に頭がクラっとした感覚に襲われた。俺は『正樹』のはずであって『真咲』なんて名前じゃ・・・。女の子なんかじゃ。そう思っていたのに。
(なんだこれは・・・こんなの知らない/知ってる!?)
男の俺と女の俺は同一人物であり、別人でもある・・・矛盾しながらも奇妙に整合性のある記憶が一気に頭の中に溢れてくる。
〜〜〜
大学の入学式。俺は海斗と隣の席で、喋ってみると同じ学科って分かって。そこから顔を合わせるたびに話すようになって。雑だけど行動力だけは一端のあいつに振り回される内に・・・俺(あたし)はだんだんあいつに惹かれていった。女子校出身で同年代の男の子と話なんてしたことなかったのに、海斗とだけは別だった。

(違う・・・違う・・・)

あいつの方も男子校出身だからか中々互いに進展しないまま時間だけが過ぎて。互いを一歩近いところに置いた関係になるまでに一年もかかってしまった。それもきっかけは酔った勢いで。試験明けで深酒が過ぎたあたしは海斗に支えられて夜道を歩いていた。ふらふらと足元もおぼつかないまま、一先ずあたしの下宿に向かういつものコース。
「真咲・・・飲み過ぎだって。・・・そんな無防備だと勘違いしちまうだろ!」
あたしはようやく試験から解放された安心感と海斗との進まない関係に焦ったためか、今にして思うとかなり大胆に事を進めた。足を止めて海斗の逞しい胸板に身体を預け、上目遣いで
「・・・して、くれないの?」
(違う・・・俺とあいつは単なる親友で・・・)
次の瞬間にはあたしの唇は海斗に塞がれていた。
「んん!?んっ、んぁっ・・・」
「真咲ッ!真咲ィッ!」
お互いにファーストキスのはずなのに舌を絡め合い、体液を混じらせる。あたしの全身は悦びと興奮に打ちひしがれ・・・自分でもはっきり分かるくらいにグチョグチョに濡れていた。切なげに太ももを擦り寄せるあたしの様子に気づいたのか、海斗は耳元で
「もう、我慢しねぇからな」
と呟いた。思わず唾を飲み込んだ後、あたしはこくりと頷いた。そのまま無言で歩を進め、下宿まで辿り着いたあたしたちは、部屋に入るや生まれたままの姿になって抱き合った。女の子としては長身のあたしも、大柄な海斗にすっぽりと包まれて・・・そしてその夜、あたしたちは彼氏彼女になったのだ。

後編に続く

ダークエルフ奴●の娘と愛を育もうとしたら、油断した隙を突かれてカラダを入れ替えられてしまったオレ サンプル①

2021Q3おかし製作所FANZA販売数35位
ダークエルフ奴●の娘と愛を育もうとしたら、油断した隙を突かれてカラダを入れ替えられてしまったオレ FANZA版
ダークエルフ奴隷の娘と愛を育もうとしたら、油断した隙を突かれてカラダを入れ替えられてしまったオレ DLsite版

犬神教授に書いて貰った弊所TSF小説です!挿絵は夜宮さん。

ダークエルフ奴●の娘と愛を育もうとしたら、油断した隙を突かれてカラダを入れ替えられてしまったオレ

001_20210709093208cd6.jpg

大陸を南北につなぐ街道と、定期船の航路が重なるこの交易都市は、あらゆる珍品が行き交うが、なかでも亜人種の〈性奴隷〉は、闇市場の目玉商品であった。

 銀糸の束のような長髪。
 瑞々しい果実を思わせる唇。
 なにより、子猫のようにつり上がった紺碧の瞳が、非常に愛らしい。
 壇上のダークエルフは、とても奴隷という身分とは思えぬ相貌を、薄明かりの下でたたえていた。
 聖堂の地下で催される秘密の奴隷市でのこと。――そのような場所に、突如あらわれた褐色の少女を、多くのものが、息をのみながら見つめている。
 何人もの愛玩少女を屋敷に抱える子爵は、ゴクリと生唾をのみ、また、兵の慰安目的でやってきた将軍は、素早く手元の金を確認していた。
 興奮しているのは、この市場を初めて訪れた青年貴族――マルティンも同じであった。
「なあ、オーラフ。あの女の子、オレでも買えると思うか?」
「お前、あんな娘を手に入れたいのか? アレはダークエルフだぞ?」
「――ああ。でも、一目惚れなんだ」
 熱い視線で少女を見つめるマルティンの無茶を、友人であるオーラフはたしなめた。
「あのなあ……。ダークエルフは〈呪う〉と言うじゃないか。確かに見目麗しい小娘ではあるが、あんなのを手元に置いて、本当にだいじょうぶか?」
 オーラフの言うとおり、ダークエルフは、評判のいい種族ではない。彼らにまつわる迷信は数多く、きまぐれに人を〈呪う〉という噂も根強かった。
 だが、いまのマルティンにとっては、すべて、どうでもいいことであった。――なにしろ、心の底から惚れてしまったのだから。
「足りない分は、後で払う。少しばかり貸してくれ」
「うーん……」
 オーラフは、わずかに呆れた様子であったが――、
「まあ、これまでのマルティンは、淡泊すぎたくらいだからな。……本当に〈呪い〉が存在しないなら、ワタシだって手元に置いておきたい器量だ」
 と、つぶやき、皮肉に口の端を上げた。
「競り落としちまえ、マルティン」
「ああ」
 まもなく、入札が始まった。



 マルティンは、いわゆる〈放蕩貴族〉であった。
 地方貴族の三男として生まれた彼は、成人した後も、特に何もすることなく、暇な毎日を過ごしている。
 与えられた所領は、果実酒の原料を作るための広い畑と、周辺の山々、そして、田舎暮らしに相応しい小さな屋敷のみであった。
 その邸宅に、いま――、
「ここが、ご主人さまの……?」
 と、ダークエルフの少女は、広間を眺めながらつぶやいた。
「ああ、自邸だ。そして、今日からはキミの家でもある」
 マルティンはコートを脱ぐと、それを使用人に預け、少女の上着を手ずから脱がした。
「あの……、ご主人さま……」
「これくらいはさせてくれ。なにしろ、オレはキミに惚れているんだ。つまりは、愛情表現だよ」
「愛……?」
「そう、〈愛〉だ。――この世で、もっとも尊いものさ」
 そのまま、マルティンは自ら屋敷の中を案内した。
 かつて本家の別荘であった邸宅は、独身の青年貴族には、ほどよい広さであり、使用人の数もわずかで事足りた。
 そんな邸宅の調度品を、ダークエルフの少女は、物珍しげに眺めている。
「そういえば、さっき名前を教えてもらったけど、エルフ語の発音は、どうにも難しくてね……。もっと簡潔に、なんと呼べばいい?」
「では〈ヘラ〉と……。これなら、この国の言葉に近いかと思います」
「そうだね。じゃあ、ヘラ……。こっちへおいで」
 マルティンはヘラを呼び寄せ、地下へ続く階段を下っていった。
「あの、ここは……?」
「キミの部屋さ。もう、使用人に調えさせてある。すぐにでも使えるはずだよ」
 いくつもの鍵のついた、重い扉を開ける。
「――っ?」
 ヘラは言葉を失った様子であった。
 無理もない。――そこは、かつて父が〈性奴隷〉を調教するために使用していた一室であった。
 ――手足を固定できる鉄製の椅子。
 ――壁に立てかけられた磔台。
 ――天井の滑車に巻きついた荒縄。
 どれもこれも、か弱い奴隷を恐怖させるには、充分な代物であった。
「ああ、心配しないでくれ。あんな無粋なものを、キミに使うつもりはないよ。――ほら、こっちにおいで」
 マルティンは、部屋の中央に据えられたベッドに腰掛け、ヘラを招き寄せた。
 恐る恐る、褐色の少女が近づいてくる。
 その細い手首を、青年は素早くつかみ、自分の胸元へと引き寄せた。
「きゃあっ!」
「だいじょうぶ……。キミは何も心配しなくていいんだよ」
 いまだ、恐怖に身を震わせる少女の頭を、優しく抱きしめながら、そっと撫で上げる。
「少しばかり厳つい内装だけど、我慢してくれ。世間の手前、安易に性奴隷を外へ出すわけにはいかなくてね……。でも、絶対にヘラにあんなものは使わないから。――愛するキミを、あんな恐ろしい道具で傷つけるはずないじゃないか」
「……本当に?」
「ああ」
 マルティンは、そのままヘラの顔へ唇を寄せ、軽くキスをした。
 こうして、ダークエルフの少女との、甘い生活が始まった

ダークエルフ奴●の娘と愛を育もうとしたら、油断した隙を突かれてカラダを入れ替えられてしまったオレ FANZA版
ダークエルフ奴隷の娘と愛を育もうとしたら、油断した隙を突かれてカラダを入れ替えられてしまったオレ DLsite版

ハートビート ピュアキラ【女体化変身ヒロイン苗床計画】

2020Q2おかし製作所FANZA販売数55位

おなじみ柊ぽぷらさんに表紙と挿絵を依頼した、犬神教授のTS作品です!

表紙小

プロローグ

「こっちだよ、カケルくん! この禍々しい気配、間違いない!」
「分かってるぜ、ヒロ!」
 二人の少年が、夕闇に染まる街を疾駆する。
 寒風吹きすさぶ季節だというのに、カケルと呼ばれた少年は、半そで半ズボンというヤンチャぶり。一方のヒロは、スポーティーな紺のジャージ姿であった。
 ワンパクとインテリという対称的な二人は、ともに凄まじい脚力であり、あまりの速さに、すれ違う人々は一陣の風が吹き抜けたようにしか認識できない。
「たあっ!」
 カケルが強く地を蹴ると、しなやかな肢体が、茜色の宙に浮いた。それに続き、ヒロも高々と空へ跳ねる。
「あれだよ、カケルくん!」
 空中に浮かぶヒロが指差した先は、経営破綻した遊園地の跡であった。西洋の城を模した施設が、いまはボロボロの廃墟となっている。
 そんな夢の跡から、少年たちはドス黒い魔力の波動を感じ取っていた。
「ああ、間違いねえ!」
 視力に優れたカケルが、鋭く尖った城の屋根を凝視する。
 そこには、確かに何者かがいた。
 豊満なボディに、黒革のコスチューム、頭部には大きな角が生え、赤い唇の隙間に鋭利な牙が光っている。
 そして、煌めく六枚の翼が、艶めかしい女体の背後に広がっていた――この一年間、少年たちを苦しめ続けた魔人の女王〈ダークビビッド〉であった。
「すべての手下を失って、ついにラスボス自らご登場ってわけだ」
「うん、そうだね」
「それなら、迷うことはねえな。――最終決戦だ!」
 カケルは、バク転で姿勢を制御し、宙を蹴った。直後に、腰につけていたステッキを手に取り、素早く振るう。
「ピュアキラ、モーフィンスパーク!」
 鋭く叫ぶと、カケルの身体は、まばゆい七色の光に包まれた。同時に服が消失していき、少年の裸体があらわになる。
 だが、その肢体が横にスピンすると、急激に胸部が盛り上がり、臀部にもプルンと肉がつく。逆に腰はキュッと引き締まり、髪の毛は一瞬で腰まで伸びた。
 ――少年から、少女へ。
 美しい裸体に、いくつもの真紅のリボンが巻きつき、可憐なコスチュームが形成されていく。
 数々の可愛らしい意匠が散りばめられた姿は、まさに変身ヒロインと呼ぶにふさわしいものであった。
「赤いハートは、情熱のしるし! ピュアガーネット、爆誕!」
 ピュアガーネットは、空中でビシッとポーズをとる。
 もうひとりの少年も、ステッキを手に――、
「ピュアキラ、モーフィンスパーク!」
 と、高らかに叫んで変身した。
 やはり、男から女へと、一瞬にして姿が変わり、その衣装も、爽やかな浅黄色へと転じていく。
「青いハートは、奇跡のしるし! ピュアトパーズ、顕現!」
 女王の眼前まで距離を詰めた二人の少女は、決めポーズをとりながら、同時に声を張り上げた。
「勇気リンリン、キラキラハート! ――ハートビート・ピュアキラ!」
 間髪入れず、ピュアガーネットは拳を振り上げ、黒き女王へと殴りかかった。
「たあっ!」
 ところが、ここでプツンと意識が途切れた。

(……?)
 自分の身に何が起こったのか、ピュアガーネットは認識できなかった。
 気づいたら、ここにいた。
 おそらくは、廃墟となった施設の内部なのだろう。薄明かりの中、彼女の周囲は、朽ちた木材が散在しており、放置されたマスコットキャラクターの着ぐるみが不気味に鎮座していた。
 破れた天井からは、星の輝く夜空が見える。
 そして――、
(なんだよ、これ?)
 ガーネットの両手は、太い触手でくくられていた。その先は、暗い天井の彼方まで伸びている
(……なんで、いきなり捕まってるんだ? いったい、何がどうなったんだよ?)
 だが、いくら頭をひねっても、少女はダークビビッドに向かって殴りかかる寸前までしか、思い出すことができなかった。
 自身の装備を、改めて確認する。
 まだ変身は解けていない。鮮やかな赤いスカートや、厚手の純白ストッキング、そして、キラキラと輝きを放ち続けるアクセサリーなど、その身にダメージを受けた形跡はなかった。当然、性別も女性のままだ。
 ただ、変身に使うハートビートステッキが、腰から消失している。
(どこいったんだ、……ステッキ?)
 ガーネットは周囲を確認したが、見える範囲には落ちていない。そもそも、深い闇の向こうには、人のいる気配さえなかった。
(……いや、そういえば、トパーズはどうした?)
 これまで、辛苦をともにした戦友――ピュアトパーズの行方も、まるで分からなかった。近くに存在すれば、魔力の波動が感じ取れるはずなのに、それもない。
「おい、トパーズ、いないのか?」
 ガーネットは声を張り上げた。
 だが、その叫びは闇へと吸い込まれ、あとは虚しい静寂が続く。
「トパーズ! いるなら、返事してくれ! なあ、トパーズ! ……トパーズ!」
 急に心細くなり、ガーネットは何度も相棒の名を呼んだが、周囲には咳きひとつなかった。
「トパーズっ!」
 ついにガーネットの声は、悲鳴に近いものとなった。
 彼女は、実に一年もの間、魔人と戦い続けた勇士であったが、もとは年端もいかない少年である。このような厳しい状況に、強い不安を覚えるのは当然であった。
 そのとき――、
「ガーネット……」
 と、か細い声が、闇の奥から聞こえた。
 それは、間違いなくピュアトパーズのものであった。
「トパーズ!」
 矢も盾もたまらず、ガーネットは叫ぶ。
「無事なのか、トパーズ! いったい、何が起こったんだ? なあ、トパーズ!」
 声がする方向に、ガーネットは叫び続けた。
 だが、トパーズは――、
「ひどいよ、ガーネット……」
 と、やはり消え入るような声で、つぶやいていた。
「……ひどい?」
「うん」
「ひどいって、な、何が……?」
 当然の疑問を、ガーネットは口にする。
 すると、トパーズは――、
「だってさあ……、何度も何度も、僕は助けてって言ったのに……、ずっと、ガーネットは眠ったままで……」
「眠っていた……?」
「うん……」
「そ、そんな……」
 トパーズの言葉が本当なら、自分は延々と、こんな場所で意識を失っていたらしい。どれほど時間が経過したのか、ガーネットは大きく混乱した。
「ガーネットが、助けてくれないから……、僕、こんなにされちゃったよ?」
 ガーネットは目を凝らし、闇の奥を凝視した。すると、漆黒の向こうから、ジワリと親友の姿が浮かび上がってくる。
「――――っ!」
 恐怖のあまり、ガーネットの声は悲鳴にさえならなかった。
 うっすらと見えた戦友は、すでに変身ヒロインの形を成していなかった。
 ――無残に破られ、大量の粘液で濡れたコスチューム
 ――触手の束に囚われ、少しも動かせない両手両脚。
 ――大胆な開脚の奥へ、ズルズルと侵入を続ける、極太の触手群。
 何より、とても少年であったとは思えない淫蕩極まる微笑みが、ガーネットの背筋を震えさせる。
 深い闇の中、椅子状の触手群に囚われながら、淫らに快楽を貪るトパーズの姿は、無残としか表現のしようのない状態であった。

ハートビート ピュアキラ【女体化変身ヒロイン苗床計画】 FANZA版
ハートビート ピュアキラ【女体化変身ヒロイン苗床計画】 DLsitecom版

全文を表示 »

【投稿小説】とある冒険者の受難 第1話 

作:馬耳エルフ
イメージイラスト&挿絵 えたみ https://twitter.com/eta_64
えたみさん3

かつてこの地には戦乙女の異名で呼ばれた伝説の聖女がいた。
その名が示す通り、彼女の強さは規格外のものだった。
当時この世に跋扈していた強大な力を持つ魔物たちにその身一つで戦いを挑み次々と討滅し勝利しを重ね、やがてこの世界に平和をもたらした。
そして今も尚、その戦乙女がこの世を去る前に残した遺品がひそかに収められたといダンジョンがこの世の何処かに存在しているらしい。

「でもそれって単なるおとぎ話だろ」
冒険者・湊潮は装備している大剣を背中の鞘に戻しながら言った。
「ここの魔物どもはたしかに手強い。
しかし並のやつに比べれば比較的強いってくらいのもんで、戦乙女の形見の品を守るのに相応しいレベルじゃねえぞ。
やっぱここが戦乙女の遺品が眠ってるって噂はガセじゃないのか。
だとしたら今回はもう引き返したほうが良いかもな」
「おかしいのう、情報を掴んだ時は信憑性があると思ったんじゃが」
老魔術師・マロックは小柄な体を丸めため息をついた。
冒険者にとってダンジョン探索が空振りに終わるのはよくある話だ。
それでも、このダンジョンに戦乙女の秘宝が眠っているという情報が本物と信じていたのか、この老人は見るからに落胆した表情で落ち込んでいた。 
しかし、このまま手ぶらで帰れるはずもなくダンジョン探索は続いた。
その過程で手に入れたお宝はどれも女物ばかりだった。
短い外套にリボン、そしてやたらと際どい露出度の上下対となる鎧。
どれも大した値打ちものには見えない品々。
これが戦乙女の遺品に関係あるのかどうかは判別がつかないが、何も成果が獲られないまま帰るよりはマシということで、潮とマロックは見つけたお宝はすべて回収した。


そしてその日の夜のことである。
マロックが魔術で周囲に魔物避けの結界を張り、そこでキャンプを張り一夜を過ごすことになった時のこと。
ダンジョンに持ち込んだ安酒を飲んでいた潮に
「なあ、潮。これを装備してみんか?」
マロックはこのダンジョンで回収した女物の品々を潮の前に並べてみせた。
「なんだ爺ちゃん。これ全部女もんだぞ。冗談だろ?」
潮はマロックと違って下戸のくせに酒好きである。
すっかり酔っ払って顔を赤らめていた。
「あまりにも退屈なもんでな。仮にこれらが本当に戦乙女の遺品なら、お前さんの能力ならこれを装備したことでなにか変化があるかもしれないと思ってのう」
潮には、生まれつき他者とは違う特殊な能力があった。
装備したものに対応するように自身の能力を変化させるという異能を生まれながらに宿していた。
彼が大剣を装備すれば、それを自在に操れる強靭な腕力を肉体に宿し、また投擲用の小刀を持てば特に訓練しておらずとも数十メートル先の標的に命中させられるようになった。
そんな潮がこれらの武具を身に着けた際の変化で、この武具に特別な力があるかどうか真贋を見極めようというマロックの提案だった。
「うーん…」
さすがに露出過多の女物を男の自分が着用するのは気が引けたが、この装備の価値を確かめるのには有効な手段だと判断し了承した。
「よし、いいぜ。着てみようじゃねえか。
それにしても男にこんなもん着せようなんて物好きな爺さんだな」
「ワシだって本当は武器屋のクレアちゃんに着せたいわ。
ああ、でもあの慎ましいボディじゃこれを着こなすのにはボリューム不足かのう。
それを着こなすには最低でも乳がF、いやGカップは欲しいところじゃわい」
体積のやたら大きな胸当てを手にとってマロックは言った。
クレアとは潮とマロックが行きつけの武具屋の娘の名前である。
常連客であることを理由に女好きのマロックのセクハラの被害にあっているかわいそうな娘である。
このダンジョンに来る前に店を訪れた際もマロックに尻を撫でられる被害にあった挙げ句、胸の小ささを茶化されていた。
「全く。このスケベジジイは…」
潮は服を脱ぎ入手した武具を身に着けた。
そして…そこには女物の露出度の高い装備を身に着けた長身の筋肉質な男がいた。
「な、なんとおぞましい光景か…」
「やかましい。てめえが言い出したことだろうが。
さてと、特に何も変わらないしもういいだろ」
その時だった。
潮の体に熱を帯びた波動のようなものが駆け抜けた。
続いて鋭い痛みが全身に走る。
うずくまる潮の肉体に変化が訪れた。

じわじわとその肉体が別の物へと組み代わりはじめる。
筋肉質の男の長身がどんどん柔らかな体のラインへと変わっていく。
短かった髪の毛がするすると伸び、肩の後ろまで伸びていく。
体積の大きな胸当てをはち切れんばかりの柔らかそうな2つの山が狭苦しそうに押し上げる。
腰まわりが徐々に細くくびれて、臀部が後ろへと盛り上がる。。
太い2本の足はプニプニとした質感の柔らかそうな太ももへと変化した。
やがて、肉体の変化は収まりそこには1人の美女が完成した。

「な、何だこれ。胸が、声まで変わって…」
急激な肉体の変化に困惑する潮。
潮自身も自分の肉体が急激に変化していることは理解できたがその外見が見目麗しい美女に変わった事実には気づいていなかった。
逆にマロックはその変化の一部始終を目の前で観察していたため眼前の現象の正体を大まかにではあるが理解できた。
「なんだこれ…。何が起こったんだ…」
「おそらく、その装備は本物だったのじゃろう。
 我々が手に入れたのは、太古の時代にかの戦乙女が身につけていた正真正銘の聖なる遺物。
 しかし、男のお前さんが身につけたためその能力を十全に発揮できるようにお前さんの異能が発動した。
 大剣を装備した際に自在に振り回せるよう怪力が宿るように、戦乙女の装備を身に纏ったお前さんは、その防具を扱えるよう肉体が女に変わったのじゃろう。
 いや、しかしそれにしても…」
マロックは変わり果てた潮の姿をつま先から頭までじろりと舐めるように見定めていた。
大きな瞳に鼻筋が通った麗しい容貌は大きな青いリボンも不思議と似合っていた。
次に胸にある自己主張が激しい2つの双璧は大きく白銀色の胸当てを圧迫し素晴らしい双璧を形成している。
比類なき女好きで大の巨乳好きのマロックにとって、これだけでもたまらない気分になるが、さらに目を引いたものがある。
視線を下にやると綺麗なへそがあり、そこから臀部にかけての絶妙なラインは腰当ての布の上からでも理解できた。
今まで星の数ほどの女の肢体をこの目で愛でてきたマロックだが、目の前にいる潮は今まで自分が出会った女の中でも最上級の美女だ。
それを認識した瞬間、マロックの理性は跡形もなくはじけ飛んだ。


一方、女体化した潮は混乱の真っ只中にいた。
自身の肉体が別のものに変化するという衝撃を前に冷静な感覚など欠片ほどもも消し飛ばされ混乱していた。
そんな時に自分にとって冒険者としての師匠であり、育ての親であり最も信頼を置いている相棒でもあるマロックが邪な気持ちで
自分との距離をゆっくりと縮めていることに気付かないのも無理はない。
「潮おおおおおおおおおおお!!」
マロックは信じられない勢いで潮に抱きついてきた。
いきなりのことで驚いた潮だが、意外にもマロックの抱擁を素直に受け入れた。
なぜならば、湊潮という人間にとってマロックという男はこの世で最も信頼を置ける人物であるからだ。
極東の島国から流れ着いた身寄りのない自分を13年間に渡って、まるで実の息子のように育ててくれただけでなく、冒険者として生きていけるよう1からイロハを教え込んでくれた男。
好色ぶりにうんざりするところもあるが、それを帳消しにするほど優秀な冒険者であり大魔術師である男なのだ。
そんな己の尊敬する男が自分に対して肉欲をたぎらせ自分に抱きついてきたなど彼は想像もしなかった。
その結果、潮は半ば自主的にマロックの抱擁をまともに受け止めることとなる。
「おお潮。体が様変わりしたようじゃが大丈夫か?どこか痛くないか?」
「おう。一応、どこも痛めてはいないみたいだ…」
潮の口から漏れた言葉は男の時とは比べ物にならないほど高く綺麗だった。
マロックが自分に駆け寄り抱きしめていたわりの言葉を投げかけてくれたと勘違いして潮は安堵していた。
肉体が別のものへと変化していく怪現象に陥った自分に対してこの人は本気で心配してくれているのだと解釈した。
一方のマロックは自分が抱きしめ、あまつさえ胸に顔を密接させているのに何の抵抗もしない潮に対し己の欲望を全開にしていた。
時間にして2分ほど潮とマロックが抱き合う体勢は続いた。


そしてようやく、潮はある違和感に気付いた。
マロックがグリグリと顔を自分の胸に押し付けている事に気づいた。
身長差からすれば長身の自分と小柄な老人ゆえに、抱きつけば必然的にこの老人の顔は自分の胸に顔を押し付ける形になるのは潮にも理解できる。
だが、これが偶然では済まされないことに気付いた。
マロックが抱きついた際に、自分の腰に回されている手がいつの間にかお尻に移動し撫で回されていたからだ。
ひとたび思考がまともに回り始めた途端、自分の今置かれている状況が冷静に自覚できた。
マロックはひたすら潮の尻を執拗にいやらしく撫で回している。その両手は臀部の肉をまさぐり続けている。
ここに至り潮はマロックの自分自身に向けられたスケベ心に完全に気付いた。
それを自覚した頃には時既に遅し。
マロックは顔を左右へグリグリと動かしながら潮の胸を堪能していた。
尻を這いずり回る手の動きもさらにエスカレートして、もはや触るというよりは肉付きのよい尻を指に力を込めてを込めて揉みしだいている。
「おい、悪い冗談は止めていい加減離れっ…ひゃわっ!」
自分の胸に顔を埋める体勢で抱きついているマロックを引き剥がそうとした潮だが予想以上に力強く抱きつかれているので上手く引き剥がせない。
それどころか、潮の拒絶の意思をあざ笑うように胸に埋められたマロックの動きは激しくなっていく。
「おお潮。どこも痛くないか、ここは平気か?
 ここはどうじゃ、このへんはどうじゃ。おお、こっちなんかとても心配じゃ」
「変なところをっ、んっ、ふぁぁ。あっ、あんっ!やめっ、くうっ!」
マロックの手のひらは尻、背中、へその周り、太腿と欲望のおもむくままに這い回っている。
そのたびに言葉にできない奇妙な快感が潮の背筋を駆け上リ思わず変な声を上げてしまう。
混乱のさなか、潮はマロックの左手がするすると潮の下腹部のさらに下にある“大事な部分”へと伸びていくのを感じた。
このまま数秒でも放置しておけばその大事な部分にマロックの指が到達して言葉にするのもおぞましい狼藉を働くのは明らかだった。
(いくら何でもさすがにそれは、それだけは許すわけにはいかない。胸や尻を触られるのとではわけが違うぞっ!)
「いい加減にしろっ!このエロジジイ!!」
右拳に渾身の力を込め密着しているマロックをぶん殴った。
己のすべての集中力を潮の女体を堪能することに集中していたマロックにその鉄拳を避けられるわけもなく、マロックの禿頭に拳が命中した。
殴られたマロックは低い悲鳴を上げながら後方へと信じられない速さで殴られた方向へと吹き飛んでいったのだ。
やがてマロックが吹き飛んだ闇の中から鈍い音がしてその空間には静寂の空気が流れるのみとなった。
「何だこれは…」
殴り飛ばした張本人である潮がこの状況に衝撃を受けていた。
自分はたしかに全力でマロッを殴ったがあの吹っ飛び方は異常だ。
この体に何が起きている。
冷静に自分の体に気を向けてみると妙に自分の奥から活力が湧き出るんを感じる。
今まで味わったこともない赤々と燃え上がる太陽のようなエネルギーが自分の肉体に宿っているのを感じた。
その時、潮は今の自分の身にに起きた変化を理解した。
この体は伝説の戦乙女の装備を着るにふさわしい肉体に変化したのならば、見た目だけではなくその強さも戦乙女と同等のものになったのではないかと。
マロックの吹き飛び方から察するに、今の自分の腕力は男の頃の数十倍、いやそれ以上のものになっているに違いない。
1人になって少しずつではあるが冷静さを取り戻した潮は状況を整理し始めた。
どうやら自分が女のからだになったことは胸の膨らみや23年連れ添った股間のモノの喪失を見ても明らかだった。
持ち込んだ荷物袋から手鏡を取り出し自分の顔を確認する。
そこには見知らぬ美女が写っていた。
なるほど、伝説の戦乙女の再臨と自称していい美貌だと我ながら思ってしまった。
そして、こんないい女が女日照りのダンジョン探索の最中に目の前に現れたのではあの超好色のマロックでは理性を保つのは難しいだろうと納得してしまった。
そう考えれば先程の自分に対するセクハラ行為も感心はしないが腑に落ちてしまう。
吹っ飛んでいったマロックのことを考えて潮ははっとした。
ここはマロックが貼った結界が機能しているが魔物が跳梁跋扈するダンジョンに違いない。
ここは魔物ひしめくダンジョンの奥地。結界の外では何時何処で魔物に襲われるかなど予想できない。
殴った時の手応えと吹き飛び方を考えれば、普通に考えればマロックはご臨終だろう。
仮に運良く生きていたとしても、全身複雑骨折の重症に違いない。
そんな状況で魔物に襲われたら…。
潮は大急ぎで荷物をまとめマロックが吹っ飛んだ方向へ向かった。


もはやダンジョン探索どころではない。
マロックを連れていち早くここから地上へ脱出しなければならない。
全速力で走る自分の規格外のスピードに驚きつつも一直線に潮は走った。
通路の突き当りにたどり着くとそこには壁に顔を深く埋め込ませた体勢でぐったりしているマロックを発見した。
ここに来るまでの天井や床が不自然な形にへこんでいることから察するにマロックはこの廊下をピンボールのように弾みながらこの壁に頭から着弾したのだろう。
ピクピクと動いていることから察するに怪我の度合いは大きそうだが、どうやら生きているようだ。
完全に気を失っているマロックを引き抜いて潮はダンジョンを脱出するべく階段のある方向へと向かった。
階層を行き来する場所だけは絶対に頭に刻んでおけ。
13年前に弟子入りした際、マロックに教えられた最初の冒険者心得だった。
それがこの窮地で役に立つとは潮は左手に抱えている老人に感心した。
その時である。
「グオオオオオオオオオオオ!!」
「な、なんだこいつら…」
眼前に立ちふさがったのは見たこともないほど巨大な魔物だった。
このダンジョンで交戦した今までの魔物以上に凶悪な気配を感じる。
ここに来るまでに姿を表していないにもかかわらず、今になって群れで襲いかかってきたことから察するにこれは戦乙女の武具を盗み出されるのを防ぐ役目を担っているのだろう。
その証拠に、戦乙女の装備を身に着けた潮に対し並々ならぬ害意を向けている。
おそらくは、このダンジョンで今まで戦った魔物に比ではない。
しかし、不思議だと潮は思った。
これほど絶体絶命の状況にもかかわらずまるで負ける気がしない。
マロックを脇に抱えながら戦わなくてはならないこの状況も、まるで取るに足らないことのように思えた。
そして、その予感は的中した。
魔物に雷光の如き速さで距離を詰めた潮は全力で魔力を込めた一撃を放った。
潮の拳が魔物の腹に突き立てられるとそこを中心に巨大な円の崩壊が起き、魔物の腹に巨大な丸い穴を開けた。
そして、魔物はその巨体を倒し熱湯に入れられた角砂糖のように体を崩壊させ消滅した。
魔力の込め方などは昔マロックに習った通りに行ったがこの体ならここまでの威力が出るのかと潮は驚いた。
その後、急いで階段から上の階へと移動し地表へと向かった。
途中で何体か先程戦った魔物と同じような姿のものとも戦ったが今の潮の相手ではなかった。
あっという間にダンジョンから脱出し、最寄りの町へと向かいそこに取ってあった宿へと向かった。
夜中ではあったが宿の主人は1階の受付カウンターに居たのは幸いだった。酒を飲んでいるのか顔が少し赤く色ずいている。
潮は宿屋の主人から鍵を受け取り自分たちが宿泊している部屋へと向かった。


ベッドが2つと大きめの鏡しかない簡素な部屋は先ほど点けた蝋燭の明かりに照らされていた。
マロックをベッドに丁寧に仰向けの形で寝かせると、潮は自分の着ている装備を髪をくくってある青いリボンも含めて全て脱ぎ捨てた。
潮は自分の体を確認するため鏡の前へ移動する。
今の潮は装備どころか指輪やイヤリング、髪飾りと言った装飾品すら身に着けていない裸の状態。
言ってしまえばすっぽんぽんの産まれたままの姿、完全な全裸状態である。
鏡の前に立った自分は髪が長く胸の大きい完全な女だった。
「こ、これが俺…」
しばらくぼうっっとした潮は我に返り自分の体に気持ちを集中させた。
自分の特殊能力を使った過去の影響から鑑みて、装備を手放してから10分も経てばその影響は完全に消える。
鏡の前で全裸で立ち尽くすこと5分経った…。6分…7分…8分…9分…。
その時だった。鎧を身にまとっていたときにこの身に宿っていた絶対的な魔力は体から消え失せていた。
装備した武器の影響が消えるのはいつも通りだ。
このままこの体も元の状態に戻るに違いない、そう思っていた。しかし…。
「なんだこれ…」
いつまで経っても鏡に映る自分は女のままそこにいる。これはどういうことなのか。
「恐らくは、この鎧とお前さんの能力によるものじゃろう」
大怪我を負ったマロックがベッドから語りかけた。
「お前さんの能力は装備した武具の性能を最大限にまで引き出すために自身の能力を合わせるというものじゃったな。
 そのために、武器に合わせて本来の腕力や魔力を人間離れしたレベルで高める能力変化を強制的に行うというのが今回お前さんの身体で起こった変化の原因なわけじゃ。
 しかし、今回装備したのは伝説の戦乙女の遺品。
 性能を最大限に引き出すためには自身の能力の向上だけでは足りずに自分の体すら戦乙女と似たものに変化させざるを得なかった。
 その結果、過剰に自身の肉体を女のものに作り変えてしまったわけじゃ。
 しかし、装着した超弩級の武具に合わせるために急激に体を作り変えてしまったため勢い余って元に戻れない状況まで行き着いてしまったのじゃろう」
「そ、そんなぁ…」

えたみ0527

自分はまさか今後一生、女のままなのか…。
その予感の正しさを証明すように鏡に映る潮の体は女のまま男に戻る気配はない。
男の体を失った絶望に潮は体を震わせた。
一方、ベッドに横たわったマロックは大怪我の痛みで薄れゆく意識の中、潮の大きな生尻を眺めていた。
(うひょおおう、ええのう。白く大きくて肉付きの良いいヒップじゃのう…元気な赤ちゃんが沢山産めそうじゃわい…)
マロックは、鏡の前で青ざめて頭を抱える潮の白く大きな尻を堪能しながらベッドの上で気を失った。



第一話 了 <第二話はこちら>

初出は20210621?

【販売3周年】性転刑事~九条誠史郎の熟女転落~ 作:kagami0235 絵:郁橋むいこ ① ※レビュー追加

2020Q2おかし製作所FANZA販売数109位
2020Q1おかし製作所FANZA販売数125位
2019Q4おかし製作所DMM販売数9位

なまむぎさんからレビュー頂きました!

「 先輩の仇を取りたい主人公の青年刑事が、証拠をつかむために仇のヤクザの情婦と入れ替わる話です。入れ替わったのは10歳以上年上の豊満なキャバ嬢で、主人公は男女の身体の違いだけでなく、年齢による腰や肩の痛みにも悩まされたりします。歳の差がある入れ替わりものではやはりこういう描写があるととても良いですね。その他には、キャバ嬢としてエロ親父たちの接待をしたり、同僚の女の子達に陰口を叩かれるところなども好きです。もちろん最終的にハードな責めを受けるところも、濃厚な文章で楽しませてくれます。」

せいてん

性転刑事~九条誠史郎の熟女転落~ FANZA版
性転刑事~九条誠史郎の熟女転落~ DLsitecom版 

――第一章――

 九条誠史郎。
 二十七歳の日本人男性であり、職業は警察官。階級は刑事だ。
 体格に恵まれ自分では出来る男だと思うのだが……上司や先輩からの
評価は今一。
 と言うか、完全に若造扱いであった。
 勤務態度は悪くないし、柔道や空手――。勿論、剣道だって有段者。
 それなのに、どうも過小評価されていると彼は思っていた。
 だが、しかし――。
「大丈夫ですか? 誠史郎さん……疲れました?」
 目の前の大男が、首を傾げる。背広が似合う体格。
 分厚い胸板と、二の腕。長い脚。
 けれど、黒い髪を短く切り揃えている、その顔立ちは……実年齢よりも若く見えた。
 冗談じゃなく、大学生にも見えてしまいそうなほどの童顔。特に鋭さのない瞳で笑みを作られると、さらに青臭い雰囲気が増してしまう。
(毎日、鏡で見ていたつもりだったけど……。俺、他人にはこんな風に見えていたんだなぁ……はぁー)
 誠史郎は、少々うんざりした気持ちになりながら、目の前の大男を――もうひとりの『誠史郎』を見上げた。
 過小評価の原因が、己の努力でどうにかなるものだったら良かったのに。
 生れた時からずっと付き合っている顔付きだけは、どうにも出来ない――。
「あ、あの……大丈夫です。……いや、正直に言いますと、靴のヒールで歩くのが、やはり、辛くて……足が痛いです……」
 足の踵がジンジンと痛むし、ずっしりとした重さが肩に圧し掛かる。
 誠史郎は堪らず、はぁああ、と深い溜め息を漏らした。――直後。
 たぷんたぷん!
 たぷるるんっっ!!
 激しい震動が総身を襲った。踵の高い靴で転ばないように踏ん張る。
 ずきん、ずきん。今度は括れた腰の鈍痛が騒ぎ始めた。
「……んッ!」
 ぎゅむるんっ、たぶるん!!
 すると、振動の発生源。ボリューム満点の胸元は続け様に波打った。
 ますます肩に、悩ましい重量が圧し掛かる。
(い、幾らなんでも……大き過ぎるだろ…っ!? このっ、……おっぱい!!)
 Oカップ。
 奇跡のような。冗談のような。
 巨大爆乳である。
 生まれた時から男であった誠史郎には、無縁だった筈のスイカほどの乳肉ふたつが強烈にバウンドし、全体が華奢な造りの今の体に――相当な負荷が掛かっていく。
「じゃあ、そこのお店で休みましょう」
「すみません。そうして貰えるとありがたいです」
 ぺこり、と頭を下げ、隣の『誠史郎』に感謝する。
 馴染みのない金色のキューティクルが後頭部で跳ね、大人の女の香りが鼻孔を擽る。
 何ら不思議ではない。
 今の誠史郎は……何と絶世の熟女へと変身しているのだ。
「気にしないで下さい。あたしの体……疲れますよね。どうしても……」
「え……? あ、いえ、そんな……」
「うふふ……お気遣いなく。だって十歳以上も違う……女と男の体ですもの。体力が全然違うのは……あたしも今、感じていますから……」
「は、はは……。そ、そうですね、確かに!」
 苦笑し、咄嗟に誤魔化す誠史郎。
(と、歳か……! 歳のことだったのか!? あぶねぇー!? せ、セクハラ発言するところだった……!!)
 てっきり、この非常識なほどボリューム豊かな巨大爆乳のことを言われたのだと勘違いしていた。
 冷や汗が、誠史郎の額から垂れる。……と。
「それとも――くすくす。そのおっぱいが重たいんですか?」
「――ッ!? い、いや! ちがっ! 違います! 違いますよ!?」
 見事に図星を指された。真っ赤な顔で、あたふたと言い訳をする誠史郎。
「うわっ! わあぁぁっ!?」
 当然、胸元の巨大すぎる爆乳が荒波のように揺れ跳ね、彼は堪らずに足を滑らせてしまう。
「おっと! もう、そんなに慌てなくても、そのおっぱいが大きすぎるのは……あたしが一番よく知っていますよ」
「――す、すみませんっ!!」
 カァァ、と子供のように頬を赤く染める誠史郎。
 勝手に動揺し、間抜けにも素っ転んでしまった細い身体を、もうひとりの『誠史郎』に抱擁された。ぎゅっ、と転倒しないように支えてくれる。
 今の姿――この体よりも、ずっと馴染みが深い筈の男の肉体。
 なのに……胸のドキドキが止まらない。
 頑強な筋肉の感触。男の汗の香り。下腹部に、奇妙な疼きが巻き起こる。
「……あ、あの、もう大丈夫ですので――」
 直ぐに離れようとした誠史郎。しかし、その直後のことであった。
「……う、んん? あれ……?」
「どうやら……元に戻ったみたいですね」
 ――時間切れである。
 誠史郎の精神は、仮初の肉体から解放されて、元の肉体へと――目の前にいたもうひとりの『誠史郎』の体へと帰還したのだ。
 そして、その一方で――。
「残念です。……もう少しあたしの体で、可愛い反応をする誠史郎さんを見ていたかったのに……」
 直後まで、この肉体に宿っていた意識も、元々の身体へと戻っていた……。
 姫川忍。
 三十八歳のキャバクラ嬢。
 徹底した美容とメイクにより、二十代の娘にも劣らない絶世の熟女である。
 特に饒舌に尽くし難いのは、その艶美すぎる爆乳房だ。
 豊胸手術もサプリも使わず育った忍のおっぱいは、驚異のOカップ。
 スイカふたつが胸元に引っ付いているようなものである。10キロ・オーバーの重りを付けていると言っても過言ではない――。
(はぁああ! 解放された! やっぱり、あの胸デカすぎる! 肩も、腰も痛くてきつかったよ……!!)
 セクシー過ぎる熟女肢体……。それがつい先ほどまで誠史郎が、借りていた異性の身体であった。
 そう。つまり、この刑事の青年とキャバクラ嬢の中年女性は、つい先ほどまで肉体を交換していたのだ。
(はぁあああ~~!! 楽だぁああ!! あのおっぱいがないだけで、こうも違うのか……? いや……そもそも年齢が違うから……疲れやすいのか? ――って!? う、うぉおおお!?)
 異常発育した忍のおっぱいから解放されて、誠史郎は思わず喜ぶ。
 ……と、同時に本当の体に押し付けられているその巨大乳玉の感触に、彼は四肢を硬くさせていった。
(やっぱり、このおっぱい! 凄すぎる! 凄い……エロいッ!!)
 ぎゅううぅ、と。
 無意識に彼女を抱き締めてしまう。
 この肉体交換を少しでも慣れるため、今までお互いの姿形で街中を散策していた。忍の恰好は、夜の仕事着とは異なる、普通の衣類。
 むしろ、露出度が少ない組み合わせで、コートを着込み、長いソックスを艶めかしい太腿に貼り付かせている。
 なのに……それでも、忍と言う女に。忍と言う熟した女の肉体に。
 誠史郎は心を惹かれてしまった。
 自分の無謀な計画に付き合わせている彼女に、罪悪感を抱きつつも――どうしようもなく欲情してしまう。
「あの……誠史郎さん? そろそろ放して貰っても……」
「え……? あっ、す、すみません!!」
 抱き合っている時に入れ替わりが解除されたので、誠史郎は、忍を抱擁したままであった。
 それこそ恋人同士のように、彼女の柔らかく儚い女体を、ぎゅうぅ、と抱いていたのだ。
「くすくす……。もう一か月近く――こうして体を入れ替えている関係なんですから……少しは慣れて下さいよ? それじゃあ、あたしに成り代わって捜査するなんて……無理じゃないですか?」
「いや、その……お恥ずかしいです。こんなことに付き合わせているのに……」
「……丁度いいですから。休みながら、計画について話しましょう。……良いですよね?」
「……ええ。はい……分かりました、忍さん」
 キャバクラ嬢という職業柄か。それとも十歳以上も年上だからか。
 忍に出会って以来、どうにも彼女に頭が上がらない。
 
(――欲情しちゃだめだ! 欲情は、ダメだ! しっ、忍さんは協力者! 忍さんは協力者! うわぁぁ!? そのおっぱいを……お、俺に押し当てないでぇええ!!)

 自然と忍が、誠史郎と腕を組む。
 異様なほど発育したOカップの爆乳が、彼の体に、むにゃりっ、むにゅる、ぶるるんっ、とぶつかる。
 誠史郎は、それこそ童貞の少年のように切羽詰まるのであった。

性転刑事~九条誠史郎の熟女転落~ FANZA版
性転刑事~九条誠史郎の熟女転落~ DLsitecom版 12/7発売 

【投稿小説】「目には目を。歯には歯を。覗き魔には…」後編

「とある冒険者の受難」が好評な馬耳エルフさんの投稿作品!挿絵はこじかさん♪
前編はこちら

宿屋の主人に手痛い“歓迎”を受けた翌日の朝、俺は女湯へと向かった。
女になった今でしか出来ないことは何か?
我ながら発想が貧困だが、女湯に入ることが一番に浮かんだ。


女湯の脱衣場は男湯のものとほぼ同じ作りだった。
違う所があるとすれば、せいぜい出入り口の暖簾の色が赤色である点とロッカーの数が若干多いことぐらいだ。
ここで、女性が浴場を利用するため服を無防備に脱いでいることを考えると、思わずぞくりとしてしまう。
この空間にいるだけで男としての本能が刺激され、体が熱くなるような気がした。
服を脱ぎ、ロッカーの中の木製の網籠へと入れる。
着ているものを全て脱ぎ終わり横に目をやると、全裸の女が鏡に映っている。
何度見てもこれが今の自分の姿だとは実感が沸かない。
「……ふぅ」
一息ついてから俺は女として初めての風呂へと向かう。
扉を開けると、そこは男湯と同じ作りの風呂場が広がっていたにも関わらず未知の世界のような新鮮さを感じた。


岩で囲まれた風呂場。石畳の床。透明なお湯。
どれを取っても男湯との差異は見当たらない。
利用する客の性別が違うだけで感じ取れる空気がここまで変わるのかと思わず感心した。
まずはかけ湯をして全身を軽く洗ってから、ゆっくりと肩まで浸かる。
「ふう」
温かいお湯に体の芯から温められていく感覚。
昨日はあれだけ嫌な思いをしたというのに、こうしてまた女としての湯船に浸かっている。そう考えると不思議な気分だ。
「……」
俺はしばらく女になって初めて入る温泉というものを堪能していたのだが、やがて違和感を感じ始めた。
それは女になってからずっと付きまとう違和感でもあった。
その違和感の発生源、すなわちお湯にぷかぷかと浮かぶ俺の胸へと目を向けた。
お湯の浮力に支えられる2つの島が生み出す感覚は男の体では決して体験できない何とも座りの悪い感覚だった。
「やっぱり大きすぎだな……」
昨日、主人と風呂に入った際は主人の愛撫に注意が惹かれたせいもあって気付かなかったが、改めてこうやってじっくりと見てみるとやはりこの胸は大きい。巨大と言っていいほどだ。
「それにしても……」
胸を手で持ち上げてみる。
すると、ずっしりとした重みと共に柔らかい感触が手に広がる。
主人が俺のスリーサイズを図られた時の記憶が蘇った。
94のGカップ。主人曰く、俺の胸のサイズがこの大きさらしい。世の成人女性と比較しても2回り以上はボリュームを感じる。
ふと、俺の中に昨日風呂で主人に乳房を弄ばれた記憶が鮮明に蘇ってきた。
あの時は女の体になった困惑と恐怖で頭がいっぱいだったが冷静に思い返してみると主人の行動も理解を示す余地があるような気がした。
頭の中は今も男のままなので、今の俺の体が男の目から見ていかに魅力的かはよく分かる。
出るとこが出っ張ったナイスバディな若い女性の肢体を好き放題できるというのだから興奮しないはずがない。
そんな状況の中で男が性欲を抑えきれるだろうか? 答えは否。男はどんな時でも性的欲求に抗えない。
ましてや、相手は自分で言うのもなんだが女風呂を覗く不届きな迷惑客。
仮にこの件が表沙汰になれば、俺も警察のお世話になるかもしれないが、それだけで事は収まらないだろう。
性犯罪者が出た温泉宿なんてレッテルは相当なマイナスイメージだし、客足も遠のいていくに違いない。
そうなれば、経営が左前になり主人を始めとしたこの宿の従業員は路頭に迷うことになる。

俺は自分のしでかした事の重大さを今更ながら自覚した。
そう考えれば主人は俺にセクハラを仕掛けてきたが、それも全て俺のやったことを考えれば妥当な罰だったのかもしれない。
俺は主人へ少し罪悪感を覚えたが、俺の尻を撫で回した時のあの好色なニヤけ面を思い出し考えを改めた。
主人があそこまで執拗に女になった俺の体に執着したのは、きっと男としての本能的な欲望だったんだろう。
……だが、しかしだ! いくらなんでも限度があるのではないか!?
風呂で胸を揉まれるわ、エロい下着着せられてお酌までされるわ昨日は散々だったのだ。
俺は怒りに任せ、勢いよく立ち上がった。
その瞬間、胸の双璧がぶるんと勢いよく上下に揺れた。
「……ッ!」
俺は慌てて自分の胸を庇うように腕で押さえつけた。
周囲に俺以外の客は居なかったが、恥ずかしさを感じつつ再び湯船に腰掛けた。


腕から感じる柔らかい重みは、俺の胸がいかに並外れた重量なのかを物語っていた。
巨乳は肩こりになりやすいという話をよく聞くが、これだけ大きな重りを2つもをぶら下げていればそりゃあ肩凝りにもなるだろう。
俺はまだその重さに慣れていないおっぱいを両手で支えるように持ちながら、しみじみとそんなことを思ったのだった。
そんなことをとりとめなく考えつつも、俺は胸を両手で揉んでみた。
柔らかく弾む胸の肉が指の動きに合わせて形を変える。
胸の頂点にある乳首が、俺の胸の中で固さを帯びて自己主張を始める。
「んっ……」
思わず声が出るほどの快感。昨日、風呂で主人に胸を揉みしだかれた記憶が蘇る。
「ああぁ……」
俺は無意識のうちに胸を激しく揺らしながら、夢中で胸を弄んでいた。
記憶に従い、昨日の主人の愛撫を自分なりに模倣して乳房を揉みしだき、つまみ上げ、刺激を与え続ける。
「あっ、ダメだ……」
俺はハッとして我に返る。
こんなところを誰かに見られたらまずいにも程がある。
慌てて乳房に触れていた手を離す。
俺は一体何をやっているんだ。いくら何でもこれは変態すぎる。
快感に焼かれながらもわずかに残った理性が俺の痴態を責め立てる。
その一方で、心の何処かで白けたような感情が芽生えていた。
自分で触るのは誰かに触られることに比べて、こうも味気ない快感なのか。


しばらく湯船に浸かっていると入口の方から戸を開ける音と話し声が聞こえてきた。
反射的に視線をそちらに移すと、見覚えのある2人の若い女性が風呂に入ってくる姿が見えた。
2人とも20代前半くらいだろうか。
1人は背が高くスラッとした体型のウェーブのかかった髪の女性で、もう一人は小柄で大人しそうならしい女性だった。
どちらもバスタオルを巻いただけの姿で、胸の大きさは2人共同じくらいだった。
俺は一瞬ドキッとしたが、すぐに思い直す。昨日、俺が覗いたときに風呂にいた2人だ。
罪悪感を覚えて思わず目をそらす俺を尻目に、この2人は遠巻きに俺に興味のこもった視線を送っている。
そして体を洗い湯船に入った後もヒソヒソとなにやら話している。
……まさかとは思うが、俺が男だとバレたんじゃないか? 俺は不安になりながら彼女たちの会話に耳を傾けた。
どうやら俺について話をしていたようだが、その内容は予想外というか何と言うか……。

「ほら。あのお姉さん、昨日廊下ですれ違った人だよ」
「ホントだ。すごい美人さんだねぇ」
「しかもスタイル抜群。やっぱモデルさんかな?」
「そうかも。連れの人もいないみたいだし、女だけで一人旅なんて、何て言うかかっこいいね」
「うん。私もあんな風になりたいなー」
断片的に聞こえてきた会話から判断するに、彼女達は俺に対して好意的だったのだ。
その後も、2人は小声で俺を見ながら会話を続けた。
やがて、意を決したかのような表情で2人が俺に近づいてきた。
「あの、ちょっといいですか?」
話しかけてきた2人に対して俺はめいっぱい愛想のよい笑顔で応えた。


「へえ、じゃあ依月さんは東京でお勤めなんですね」
「うん。それで今回はたまの休みなんで羽根を伸ばしに温泉旅行に来たってわけ」
俺たちは簡単な挨拶と雑談を交わしたらあっという間に打ち解けた。
彼女たちは女子大の友人同士とのことだ。以前から温泉旅行を計画していたらしく、今回は近場ということでここを選んだそうだ。
背の高い方の子は俺に積極的に話しかけて、もう1人の子は俺の後ろで黙々と湯船に浸かっている。
俺の背後では小柄な子が俺をじっと見つめているのだ。
俺に注がれる眼差しから、興味とも人見知りから来る怯えとも取れない感情が感じられた。


「ところでさ、その……依月さんって胸大きいですよね!」
俺の胸をチラリと見たあと、背の高い方の彼女は興奮気味に言った。
「た、確かに大きいかもね。これ、みっともなくないかな?」
昨日まで男だった俺が、若い女性に胸をどう見られているのかどうしても気になったので、質問をぶつけた。
「全然!むしろ羨ましいです。男の人にジロジロ見られるのとか嫌じゃないんですか?」
「う、まぁ……」
俺は苦笑いを浮かべる。
ジロジロ見られるどころか、昨日は男湯で宿屋の主人に男湯でこの胸を揉みしだかれたなど言えるはずがなかった。
「そ、それに依月さんは注意したほうがいいですよ。顔も美人だし、女性の一人旅で男の人から被害にあったニュースも前に見たことありますから…」
背が低い方の女の子がおずおずと俺に対し言った。

「そうなんだ……」
俺は曖昧に返事をする。
その被害というのが、性的な被害を指すなら既に宿屋の主人の手によって体験済みだ。
セクシーなランジェリーを着て酌をした記憶が頭に蘇る。
「ははは。一応は、身の危険が迫ったら逃げるよう気をつけてるから平気だよ」
「それは良かったですけど、やっぱり気をつけた方がいいと思いますよ。ほら、この宿には変なお客もいるかもしれないですし」
「ふぅん。例えばどんな?」

「いや、実は勘違いかもしれないんですけど、昨日湯上がりに部屋に戻ろうとした時に、すれ違ったお客さんが妙に熱のこもった視線を向けられたような…」
「あー、あれね。言っちゃ悪いけど気味悪かったね」
その話を聞いてはっとした。
おそらく、それは昨日俺に対してロビーで舐めるような視線を向けてきた中年だろう。
なるほど、この2人もあの男の目の保養に遭っていたのか。何とも気の毒なことだ。
「だから気をつけてくださいね。何かあったら私たちが力になりますから」
「ありがとう。でも大丈夫。俺、じゃなかった…私だって大人なんだから。自分の面倒くらい自分で見るよ」
俺はそう言って笑った。



女湯を出て廊下を歩いていると前から見覚えのある男が前から歩いてきた。
よく見ると、昨日ロビーで俺をじろじろと見ていた中年の客だ。
あちらも俺に気付いた途端、驚いたような顔をした後に目を細め口から赤黒い舌を出し唇を舐めた。
獲物を見つけた時の蛇のような表情に、思わず鳥肌が立った。
(あいつ……。何考えてやがる)
俺は警戒心を強めて男を見据えながらすれ違う。
おそらく、温泉で2人が話していた中年男とはこいつのことなのだろう。確かに、見知らぬ男にこんな視線を向けられたら若い女性なら身じろぎしてしまうことは想像に難くない。
その時、ふと俺の頭にひとつの考えが芽生えた。
今の俺は、体は女だが頭の中は男のままなのだ。
そこを活かせばこいつの考えもよく理解できるのではないだろうか。


俺は意識を中年男に重ねて想像を巡らせた。
たまの休みに温泉宿に一人旅。そこで偶然若い女が前から歩いてくる。女日照りの身には抗いがたい欲望が体を駆け巡る。
そして女の胸元を見れば、豊満で柔らかそうな乳房が揺れているではないか。
男の理性は脆くも揺らいでいく…。
男の欲望に視点を置くだけで、男という生き物の考えが手にとるように分かってきたことに驚いた。


「おい!さっきから何ジロジロ見てるんだ!」
男は突然俺の肩を掴んだ。俺の体に電流が走ったようにびくりと震えた。
「なっ……なんですか!?」
俺が声を裏返らせて言うと、中年男は俺の胸を凝視しながら言った。「お前、なかなか良い体してんじゃねぇか」
「え……?きゃあっ!」
次の瞬間、男の手が俺の胸を鷲掴みにした。
「ちょ、ちょっと!離してください!!」
俺が必死に抵抗するが、男の力は強く振り払えない。それどころか、さらに強い力で胸を揉みしだいてくる。
「やめて!痛いですってばぁ……」
痛みに耐えかねた俺は、涙目になって男に懇願する。
「昨日ロビーで見たときから気になってたんだよ。いい乳してるな、お前。この宿に派遣されたコンパニオンか何かか?」
「そんなわけ無いでしょう!!いい加減にしないと人を呼びますよ!」
「うるせぇ、黙れ」
中年男の声が低くなった。その迫力に押されて、俺は口をつぐんでしまう。
その隙を見て、男は俺の浴衣の裾の間に手を突っ込んできた。下着越しとはいえ、秘部に触れられた感覚がした。
今まで味わったことのない感触に背筋がゾクッとした。
恐怖からなのか、快感からなのかは分からないが体が小刻みに震えだす。
「へへ、いい子だ。じゃあ、これから俺の部屋に行くぞ。たっぷり可愛がってやる」
「な……何を言ってるんですか……」
恐怖のあまり体が動かなかった。
「心配すんなって。悪いようにはしねえよ。ただ、ちょっとスキンシップするだけだ」
抵抗しようにも、力が入らない。
このままではまずいと思った時だった。
「すいませ~ん、そういうのは他のお客さんにも迷惑なので控えていただけますか?」
聞き覚えのある声が後ろから響いた。
声の方向に視線を移すと、そこには温泉宿の主人が腰に手を当てて立っていた。
「チッ……分かったよ」
水をさされて白けたという表情を浮かべて、男は俺から離れて立ち去った。
俺は安堵のため息をついた後、改めて温泉宿の主人に礼を言おうとして振り返る。
「危なかったね。たまにああいう乱暴な手合がいるから気をつけてね。依月ちゃん今はどっから見ても立派な女なんだから」
「…一応礼は言うよ。助かった」
俺は頭を下げた。
「まあまあ、気にしないで。それより、せっかくだからちょっと僕の部屋に来てよ」
「はっ!?何でだよ!」
俺は思わず素が出てしまった。
「いやー、だって依月ちゃんを助けたわけでしょ。それに、今日の罰だって与えなきゃいけないしね」
「うう…」
昨日の主人の話が本当なら、罪をつぐなわなければ男には戻れないらしい。
その事を考えると、俺は主人の誘いを断るという選択肢を選ぶことはできなかった。


「それにしても、さっきは危なかったねー。僕が偶然通りかからなきゃどうなってたことやら」
昨日、お酌をさせられた休憩室にて俺は主人と話をしていた。
親しげに喋りつつも、主人の視線はしっかり俺の胸元に向けられている。
こういう所作を見ると、しょせん男という生き物はどれも似たりよったりの存在だと辟易してしまう。
「まったくだ……。あんたの助けがなかったら今頃はあのおっさんの部屋に連れ込まれてたかと思うと……」
「うん。そう考えるといいタイミングで助けに入ったよね」
「確かにそうだな。でも、どうしてあんな所に居たんだい?まさか、ずっと見てたのか?」
「うーん、実は違うんだよね。僕は仕事中に君らの会話が聞こえてきたから、慌てて飛び出して来たんだよ」
「ふむ……なるほどな。ところで、この格好は何なんだ?」
俺は部屋に来るや否や、主人に着せられたやたらスカートの丈の短いセーラー服を両手を広げて問いただした。
「それはねぇ、依月ちゃんによく似合うと思ったコスプレ衣装なんだけど……似合ってるでしょ」
「こんなものを着せられて喜ぶ奴はいないだろうが!俺は早く男に戻りたいんだよ」
主人の言葉を聞いて、俺は憤慨した。
しかし、主人には先刻助けてもらった恩があり、これも俺が女湯を覗いたために訪れた事態だと思いだし怒りをぐっとこらえた。



「依月ちゃんは24歳だっけ?その年でここまでセーラー服を綺麗に着こなせる女性は世の中にはそうはいないよ」
主人が真面目な顔でそんなことを言い出したので、俺は呆れ果てるしかなかった。
この男、やはり変態だな。
この調子で女体化してしまった俺を口説き落としてセクハラするつもりなんだろうか。
だが、一方でこうも思った。
先程、廊下で俺に絡んできた中年の客に比べればこの男は随分とマシな人間だ。
この男は確かに品性下劣だ。
呪いにかかり女になった客の胸や尻を触るわ、変な服を着せた姿を思い出代わりだとのたまって撮影するわ、今もこうして俺にセーラー服まで着せて楽しんでいる。
だが逆に言えばそれまでの話だ。
男に戻ることを条件に、もっと直接的に性欲を満たすような奉仕を強要することも可能なはずだが、今のところそこまで過激な要求はしてくる気配がない。
仮に、俺を部屋に連れ込もうとした中年男と同じような性格だったら、昨日程度では済まないのは明白だった。
掴みどころのない男ではあるものの、少なくともこの男に悪意があるようには思えなかったのだ。
それならば、この男に頼み事をしてもいいかもしれないと考えた。

「なぁ、主人さん。ちょっとお願いがあるんだけど…」
俺は主人に見を擦り寄せ、腕を抱き寄せた。
突然の俺の意外な行動と腕を俺の豊満な乳房の感覚に驚いたのか、主人は目を丸くした。
昨日あれだけ俺の体を触っておいて、逆に触らせてくるのは予想外だったのだろう。
「さっき俺に絡んできた中年男。ちょっと痛い目見せてやろうと思ってさ」


そして、深夜。
時計の針が今日の日付から明日へと向かう間際の時間帯。
俺はひとり温泉にいた。
これから起きるであろう事態を頭に思い描いて、思わずぞくりとしてしまう。
ここは女湯でもなければ、昨日浸かっていた男湯でもない。
温泉宿から西に60メートルほど離れた場所に位置する混浴だ。
まさか、人生で初めての混浴を女の体で体験することになるとは夢にも思わなかった。
混浴は男湯や女湯よりもやや広く、設備も整っていた。露天風呂は岩造りで、なかなかに風情のある造形だ。
脱衣所では棚の上に籠が置かれており、その中にはタオルもあった。
俺はそのタオルだけを持って湯船に浸かってその時を静かに待っていた。
深夜の混浴風呂は驚くほどに静謐さに満ちていた。その静けさのせいか、ふと冷水をかけられたように冷静になってしまう。
今の俺は果たして正気なのか。
自分の中に生じた欲望に正直に行動した結果が今なのだが、客観的に考えてこれは正気の沙汰ではない。
仮に上手く行ったとしても、俺自身が酷い目に会うことは必至だろう。
なぜに主人まで巻き込んでこんなことをしようと考えた動機は、本当のところ自分でもよくわからない。
そんな事を考えていると、混浴の脱衣所から物音がした。
しばらくして、扉が開き入ってきたのは俺に絡んできたあの中年男だった。


中年男は俺の姿を見定めると、まるで幽霊でも目撃したかのように目を丸くした。
そして、短く「おおっ」と感嘆の声を口からもらあすと、目を細めにんまりと笑った。
中年男の視線は昨日、そして今日俺を見ていたときとは比較にならないほどの粘性が込められている。
俺は背筋にゾクリとした悪寒を感じながらも、ひとまず計画が成功したことに安堵した。
宿屋の主人に俺が深夜に混浴に入ろうとしていたことをさり気なく伝えてほしいと頼んだ件は上手く行ったようだ。

中年男は歓喜の表情を浮かべ、腰にバスタオルを巻き付けて浴場へと足を踏み入れた。
「おっ、一人で風呂に入ってるべっぴんさんがいると思ったら今朝の姉ちゃんじゃねえか」
「ううっ…」
挨拶をしながらも、中年男は俺の体を舐めるような目つきでなぞってくる。
ここの湯は透明なので、胸は腕で隠しているものの、俺の裸体はほぼ丸見えなのだろう。興奮した様子が見て取れる。
正直なところ、死ぬほど恥ずかしかったがここで冷静さを失う訳にはいかない。
あくまで俺は『無防備にも1人で混浴を楽しんでいる所に男が現れて狼狽する女』を演じなければならない。
なあぜなら、こういう粗野な手合の男にとってそういう女こそ最高に”そそる”存在だからだ。男の俺にはそれがよく分かる。

案の定と言うか、狙い通り中年男の表情は酷薄な笑みを浮かべてきた。
「姉ちゃんよぉ、若い女が混浴で一人って事は誘ってるって事だよなぁ?」
男はそう言うなり、俺の腕を掴んだ。
「ちょ……待ってくれ!」
「待たねぇ!こっち来いや!!」
「嫌だ!!離してくれ!!!」
「うるせぇぞこのアマァッ!!」
抵抗すると凄まじい力で引っ張られ、俺の体は男の方へ引き寄せられた。
「ひっ!?待って、許してくださいぃ……」
俺は涙目になり、震えながら必死に懇願した。もちろん演技だ。
その効果は絶大だったようで、男は満足げな顔になった。
「そうだ、それでいいんだよ。大人しくしてりゃ優しくしてやるからさぁ」
そして、そのまま俺は男に抱き寄せられてしまった。
中年男の息遣いが耳元にかかるたびに、全身の毛穴から冷や汗が出る。気持ち悪いこと極まりない。
だが、ここからが本番なのだ。
俺は男の手を振り払って湯船の中に逃げ込むと、肩まで湯に浸かり、両手で自分の体を抱きかかえた。
「嫌だっ…。頼む、やめてくれ…」
「おい、逃げるんじゃねーよ。大丈夫だって、痛くはしないからさ」
男が湯船に浸かって容赦なく俺との距離を詰めてきた。
俺は湯船の中で男から離れようともがくが、肩に回された腕の力で男の力が強く、びくりともしなかった。


「は、はなしてくれっ!」
俺は恐怖で声を震わせながらも精一杯の虚勢を張り、拒絶の意思を示した。
しかし、その態度は男の嗜虐心を煽ってしまったらしい。
「そんなに怖がるなって、すぐに良くなるからさ」
男は舌なめずりをしながら俺に顔を近づけてくると、俺の頬に手を添えた。
「近くで見ると、随分いい女だな…」
そう言って男の顔が接近してくる。そして、俺の唇を容赦なく奪った。
「んむぅっ!?」
男に強引にキスされている。その事実に脳が沸騰した。
俺のファーストキスがこんな形で奪われるなんて。しかも、相手は見知らぬ中年のオヤジ。
あまりのショックに思考停止してしまい、俺はされるがままになっていた。
「ぷはっ」
やがて男は俺の口内を舌で蹂躙の限りを尽くし終え、口を離した。
そして、今度は俺の首筋を舐め始めた。
「ひゃんっ…」
俺は思わず変な悲鳴を上げてしまう。
「可愛い声で泣くじゃねえか、姉ちゃん。もっと聞かせろよ」
そして、男は俺の胸を触り始めてきた。
「あっ、そこはダメだっ、やめてろっ!!」
俺は必死に拒否するが、男の手は俺の乳房を乱暴に揉みしだき始める。
「ああんっ」
「いいねぇ、その表情。堪んねえぜ」
さらに、中年男は俺の乳首を摘まんできた。親指と薬指につままれて生じた圧が俺の体に電気のような快感を走らせる。
「ああぁっ!!」
敏感な部分を刺激され、俺の口から甘い吐息が出てしまい、それを聞いた男は興奮のボルテージを更に上げたようだった。
「いい反応じゃねえか、姉ちゃん。じゃあそろそろその美味そうなおっぱいを味あわせてもらおうか」
中年男は俺の方を掴み強引に向き合うような形に固定した。
男の視線は俺の胸に釘付けになっており、興奮しているのがよく分かった。
俺は羞恥心で顔が真っ赤になるのを感じた。
そして、裸体を凝視していた中年男が乱暴に覆いかぶさってくる。そのまま俺の乳房にしゃぶりついてきた。
「たまんねぇな。この乳、大きさと張り。最高のしゃぶり心地だ。本当のこと言うとな、昨日ロビーでお前を見かけたときからこうしてやりたかったんだ」
「やめ……てぇ……」
「ノーブラでこんなもん揺らしやがって、誘ってたんだろ。望み通りにしてやるよ」
「ちがうぅ……」
俺は弱々しい抵抗の声を上げる。だが、男は全く意に介さず俺の胸を貪り続ける。
「このおっぱい、最高だな……。ずっと吸っていたい気分だ」
「そんな……ことぉ……」
俺は涙目になりながら必死に抵抗する。だが、男の力は強く振りほどけない。

amai-onsen3.jpg

全文を表示 »

【投稿小説】「目には目を。歯には歯を。覗き魔には…」前編

「とある冒険者の受難」が好評な馬耳エルフさんの投稿作品!挿絵はこじかさん♪

社会人3年目を迎えた俺、仲岡依月は大型連休と有給休暇を利用し北陸の片隅にある温泉宿を訪れていた。
特段、俺は温泉好きでもなければ旅行が好きというわけでもないが、今年度のノルマが前年度に比べ1.5倍ほどに跳ね上がっていたこと、その癖給料に関しては大して上がらなかったことで沈んだ気持ちを強制的に立て直すために普段の生活とはかけ離れた行動に出たかった。
いつもなら、有給届を提出するとあからさまに眉をひそめる上司も厳しい目標数値を課せられた俺に同情の念を抱いたのだろうか。珍しくあっさりと有給の承認をしてくれた。


訪れた温泉宿は、良くも悪くも何の変哲もない普通の宿泊施設だった。
個性に溢れた設備やサービスがあるわけでもなく宿の周囲に目ぼしい観光スポットがあるわけでもない。
まるで、日本人の思い描く「温泉宿」というイメージを最大公約数的に抽出して、図面に印刷した設計図を元に建設したかのような無個性っぷり。
期待外れというものではないが、肩透かしな印象は否めなかった。
宿を散策していると、同じ宿泊客と思しき若い女性客2人が並んで歩いてきた。
ふんわりとした長髪と黒髪のショートが特徴的な2人はバスタオルやシャンプー、ボディーソープといった所持品から察するに、これから露天風呂へ向かうようだ。
そう言えば、である。
温泉宿の主役たる露天風呂を確認していないことに今更ながら気付いた。
ひょっとしたら、この平凡な温泉宿に似合わぬ名湯が味わえるのかもしれない。そう考えた俺は部屋で支度を整え、温泉へと向かった。



しかし、期待に胸を高鳴らせ足を踏み入れた俺を待ち受けていたのは、ごくごく普通の温泉だった。
露天風呂の大きさや出で立ちも没個性的、さして目を引く設備があるわけでもなし。
男性客と思しき中年男性が1人浸かっているだけの凡庸な温泉だ。
まるで、今回の旅行そのものを象徴しているかのような光景に思わずため息が出た。
その瞬間、開いた古傷から血が滲み出すように心の片隅にしまい込んでいた仕事のストレスが押し寄せてきた。
このまま金と時間を空費して、さして楽しくもない旅行を終え暗澹たる気持ちで仕事に戻る自分の未来を予感すると胸が重くなった。


そんな不快な思いを引きずりながら体を洗おうとした時だ。
(あれっ。何だあれ…)
視界の端に違和感のあるものが映った。その正体を確認するために視線を移動させる。
穴だ。
壁に2cm程度の大きさの穴が開いている。
もし、これが廊下の壁に開いていたものなら施設の所々にガタがきてるんだな、と軽い気持ちで無視できたに違いない。
ただ、穴が空いた場所が問題だった。
よりにもよって穴の空いた場所は男湯と女湯を隔てる壁だったのだ。


男湯には俺以外には1人の中年の男が湯に使っているだけで他に人目が無かった状況も俺の背を押したのかもしれない。
気が付くと、俺は穴を覗き込んでいた。
平凡な旅行にうんざりして刺激を求めたのか、それとも単に目の前の誘惑に負けた結果なのかは分からない。
俺は穴の先に広がる景色に全神経を集中させた。
それは、まるで未知の世界だった。
まず最初に目を引いたのは、先程廊下で俺とすれ違った2人の女性客の裸体だ。覗かれているなど夢にも思わないのだろう。
長髪の女性客は左手で髪をかきあげ、隣にいる連れのショートの女性とにこやかに雑談している。会話の内容は分からなかったが、互いに無防備だ。
2人共器量が良く、スタイルもなかなかだ。俺は生まれて初めての覗きを心ゆくままに堪能した。
残念なことと言えば、穴から一番近い場所にいる女客が年配であること。
そして、2人組の若い客よりもさらにスタイルの良い美しい顔立ちの女性が体にタオルを巻いており裸を拝めなかったことだろうか。


ひとしきり楽しんだ後、一旦穴から目を離し一息ついた。
(思った以上に刺激的だったな…)
犯罪スレスレの、と言うか犯罪そのものに手を染めてしまったにも関わらず特に後味の悪さを感じることもなく、むしろ爽快感すら覚えていた。
もし、今俺がやったことが世間にバレたら会社も解雇されるかもしれない。
それでも俺の自制心は働かなかった。
周囲を見渡してみると、俺以外には中年男性が湯に使っているだけだ
なぜかニヤニヤしていることは気がかりだが俺はさらなる刺激を求め穴を覗き込んだ。
その瞬間、俺の体に異変が起きた。


「な、なんだ…。体が熱い…!」
体の奥底から得体のしれない熱が全身を駆け巡った。頭から爪先まで衝撃にも似た痺れが走り体から力が抜けていく。
「おっ。ようやく始まったか」
湯に浸かっていた男が妙なことを口走ったが、俺にはその言葉の意味を考えるだけの余裕はなかった。
全身を覆う痺れのような感覚が収まり出した頃だ。
俺の短髪がショートボブほどの長さに伸びていることを自覚した。角張った体が柔らかな丸みを帯びたラインへと変わっていく。
真っ平らだった胸板が見る間に大きくなり張りのある形の整った双丘へと変化していった。
腰はくびれ、尻はゆっくりと尻幅を増し丸く大きな形へと変わっていく。
股間にあったモノは消え失せ、代わりに新たな器官が形成されようとしていた。
体に起きた異変が終わった時、俺は呆然としていた。
自分が一体どうなったかを理解できなかったからだ。
「う、嘘だろ……」
声帯が震え、聞き慣れた自分ではない女性の声が口から漏れ出した。
恐る恐る股間に触れてみる。
そこには、本来あるべきはずのものが無くなっていた。
続いて視線を下へ移す。
大きく膨らんだ胸のせいで足元が見え辛い。
いつの間にやら床に落ちた腰に巻いていたタオルを拾い上げ、途方に暮れる。
俺が長年見続けてきたもの喪失。それとは対象的に存在感を主張する大きく膨れた胸。
あまりに受け入れがたいことだが、俺は自分の体に何が起きたのかようやく理解できた。
「俺、女になったのか…!?」

20220513120348370_20221126113845816.jpg


「お客さん。今何が起こったか説明しようか?」
「えっ?」
湯船の方から急に俺に話しかける声が聞こえ、思わずビクッとしてしまう。
「…?」
「ほらほら、そんなところで突っ立てたら風邪ひいちゃうよ。こっちこっち」
中年男性は湯に浸かり、笑いながら俺に手招きしている。
いかにも怪しげだが、俺はその誘いに応じ湯船へと向かった。


この怪しげな中年男は、この温泉旅館の主人だった。
暇な時間を見計らって設備の点検も兼ねてこうして湯に浸かっているそうだ。
「あのっ、なんて言うか、何で俺の体はこんなになっちゃったんですか」
「ざっくり言っちゃうとね、お客さんがあの穴から女湯を覗いた罪の返し風で呪いが降り掛かった結果なんだ」
「えっ…」
「ははは。今更隠すことはないよ。お客さん以外にも居るんだよ。あの穴から女湯を覗いて女になっちゃった人」
「そ、そうなんですか」
「いるいる。女風呂を覗く男なんてごまんといるからねぇ。俺がここの主人になってから女になったのは、お客さんを入れて18人くらいかな」
確かに言われてみると、俺もすぐに気づくほどの穴が開いているのだ。俺以外に覗きを行った人間が居てもおかしくない。
そう思うことで俺は少しだけ落ち着きを取り戻した。
もちろん、呪いなんて非科学的な話を信じろと言われても無理があるだろう。
しかし、実際に俺が女になってしまった以上信じるしかない。
ただ、まだ納得できないことがある。
なぜ俺だけがこのような目に遭わなければならなかったのだろうか。
「そのですね、俺は元の男の姿に戻れるんですか。呪いで女になったってことは、まさか一生…」
「元に戻れるよ、と言うのが結論なんだけど、その辺のことを詳しく知ってもらうために少し昔話をしていいかな」

全文を表示 »

【投稿小説】勇者パーティに倒された魔導士♂なので、美少女エルフに憑依したった。

イメージキャラデザイン&挿絵: のりぬこ https://twitter.com/nuko_816
テキスト:プニたけっち https://twitter.com/HQxzE68W7Fj6uUM

20220823110400e44_20221105163800641.png


「だああっ、くそ、やられた ! 」

大陸の東側にある洞窟の外で僕は悪態をついた。理由は今噂の勇者パーティにある。

勇者パーティは勇者、魔導士、エルフ、盗賊の四人編成となっていて勇者以外は全員女性のハーレムパーティである。こいつらは僕が作成したダンジョンを攻略してきた。

僕は魔導士であると同時にダンジョンマスターでもある。マスターと言っても頂点に君臨する……というわけではなく、あくまで大陸にダンジョンを作成し、そこで得た魔力を使い生活する……ダンジョンの作り手といった方が正確だろう。

ダンジョン攻略の『暗黙のルール』としてダンジョンを不必要に壊してはならない、そしてダンジョンボスが敗北し降参したら戦闘終了……そんな取り決めがある。

ダンジョンは攻略された後も、他冒険者等の修行場として使われたり、野生動物の寝床に使われたりと様々な利用方法がある。

ところが勇者パーティは壁を破壊する、ダンジョン内での不法投棄等の問題行動を行った。しかも僕が作ったダンジョンでだ !

だが勇者パーティの実力は本物。オールラウンダーの勇者、攻撃魔法のエキスパートである魔導士、回復や支援魔法の使い手であるエルフ、ダンジョン攻略に必須と言ってよい盗賊、隙が見当たらない。

結果的にダンジョンボスの役割を担っていた僕は惨敗、残った宝はたったの『二つ』で他は根こそぎ奪われた。

別に僕はダンジョンを攻略された事自体に含む所は無い、攻略不可能なダンジョンなど無いのだから。いかに難しいダンジョンを作り、挑戦者はどのように攻略するか。それがダンジョン作成の醍醐味でもある。

今回は僕の完敗だ……だけど勇者パーティは降参した僕を攻撃してきた。勇者はエルフの支援魔法を受けて切りかかり、盗賊は投擲武器で遠距離攻撃、魔導士は高火力魔法で攻撃、ボコボコにされて脱出装置を使って逃げ出した。

そして外の草原で倒れこんでいるというわけだ。またダンジョン作成のやり直しだが……

「やっぱりここにいましたね」

慌てて声の方を向くと、そこにはがっちりと防御魔法で身を守るエルフの姿があった。

「脱出装置を使って離れようとしたようでしたが逃がしませんよ。さあ『封魔の宝玉』を渡しなさい」

封魔の宝玉は僕が作成したアイテムでダンジョンで一番レア度の高い目玉アイテムだ。目の前の邪悪なる者を一体だけ封じる事ができるアイテムで、今は僕の懐に隠してある。

「それは私のコレクションに加えて差し上げますわ。命が惜しければ……わかってますわね ? 」

言っておくが僕の戦闘力は皆無と言ってよい。本当はボスモンスターを作成する筈だったが、作成前に勇者パーティが来てしまったのだ。

エルフは本気だ。こいつの役割は仲間の補助なのだろうが、簡単な攻撃魔法なら使えるのだろう。掌に青いボール状の魔力が凝縮されている……エナジーボールの魔法だ。防御魔法で守られている以上僕の攻撃は一切通用しないだろう……詰みか……。

「あなたが懐に入れてある赤い玉、それが封魔の宝玉ですわね。それがわかれば十分、ではさようなら」

問答無用か ! やむを得ず僕はもう一つの宝を使った。それは薬、憑依薬と呼ばれる飲み薬。飲み終わると同時に僕の身体にエナジーボールが直撃、僕の肉体は絶命した……

「無駄な時間を使いました、さて……ああ、ありましたわ。この宝玉……結構小さいのね。さあ勇者様と合流…… ! ? 」

残念だったなエルフめ、憑依薬を飲むのが後少しでも遅かったら負けだったが……僕の命を奪った分はお前の身体で支払ってもらうぞ !

「あ……が、ゆう、しゃさま、たすけ……なくてもいいですわ。これからはダンジョンマスターとして生きますから」

僕の霊体はエルフの身体に入り込んだ。エルフがどれだけ防御魔法で身を守っていたとしても霊体の侵入は防げない。無理矢理エルフの身体を奪い取り、身体の支配権を奪ったんだ !

僕は身体の感触を確かめる。やはり胸だろう、大きな胸……いい、じつにいい。男を誘うにはうってつけだ。この胸と抜群のプロポーション、この身体で誘えば付いてこない男なんていないだろう。

僕は舌なめずりをする。この身体は本当に素晴らしい……僕の弱点だった弱い戦闘力、それが解消されている。勇者パーティにリベンジするためにこの身体、存分に使わせてもらおう……だがその前にやる事がある。

僕はエルフが奪い、今は僕の手元に戻った封魔の宝玉を使う。魔力を込めてエルフの身体を映し出す……宝玉が輝きだしたら僕はエルフの身体から異物を追い出すイメージを思い浮かべる。

すると、生まれたままの姿で半透明になったエルフが封魔の宝玉に吸い込まれていく。これでこの身体に邪魔な異物な無い。今ここに、エルフの身体の所有権は僕に移ったのだ !

"ここは……な、何故私が ! ?"

「おや、予想以上に目覚めるのが早かったね。僕の命と封魔の宝玉を奪った代償として、お前の身体を頂いたんだよ。言っておくけど、お前の声が聞こえるのは宝玉の制作者である僕だけだ。お前の声は他人には聞こえない……そう、この身体はもう僕の物、そして君は……」

封魔の宝玉の中からエルフが叫んでくる。だから僕は現実を突きつける。

「一生そのまま、その封魔の宝玉の中で過ごすんだ」

"そんな……封魔の宝玉は邪悪な者を封じるアイテムの筈、何故私が封印されて……"

「ははは、そんなの『君が邪悪な者』として見られたからに決まっているだろう ? 無抵抗だった僕に対して問答無用で攻撃魔法を、それも手加減無しで叩き込む。そんな奴が善人なわけがない。エルフ……いや、『元』エルフよ、身の程をわきまえなよ」

元エルフは宝玉の中で信じられないという表情でこちらを見ている。

"か、返しなさい ! 私の身体を ! 大体あなたの正体など勇者様達がすぐに見破る……きゃあ ! "

僕はいい加減甲高い声を聞くのがうざったくなり、封魔の宝玉を地面に落としてやった。下は草むらだから割れる事はない。

そして僕はエルフが履いていた白い下着を脱ぎ捨て宝玉の上に置いた。

"な、何を…… ?"

僕は元エルフの問いかけを無視して胸元の黒い布を外側へずらす。ただでさえ薄く横面積の狭かった布を動かすと、エルフの豊満な乳房とピンク色の乳首が姿を現した。

"や、やめなさい ! 私の身体で、しかもこんな場所で ! "

僕は両方の乳首を指で摘まみ、優しく刺激を与える。人差し指と中指で時には乳首を軽く引っ張り、時には乳首を擦るように弄ぶ。やや陥没気味だった乳首は身体の興奮を感じ取ったのか、ピンと浮き上がっていた。

"く、見ていなさい。こんな宝玉、すぐに抜け出して ! "

「ふ、ふぅ、やってみなよ、できるものなら、さっさと脱出して奪い返してみなよ。この身体をさ」

元エルフの憎しみがこもった視線を受けながら僕はオナニーを続ける。僕がここでオナニーをしているのは理由がある。本来この身体と魂は一致していない。一致するには強烈なショックを受ける必要がある。そのショックとして一番手っ取り早いのがセックスなのだ。

だが僕にそんな相手はいないし町に言っている時間も無い。だからここでオナニーをする事にした。それも元エルフの目の前でだ。相手からすれば屈辱だろう。自分の身体を好き勝手に使われるのだから。

乳首を弄りまわし快感の痺れが全身に回り始めると、今度は乳房を掴みこねくり回す。段々と身体が熱くなる。

「は、はあ……くっ、ふぅ……」

でかい胸から電撃にも似たような何かが頭を駆け抜ける。僕はもっとこの胸で遊びたくなった。

胸を掴んでいた手は自然と乳房の先端へ滑ってゆき、乳首を指で挟みこむように持ち直した。先ほどまでとは違い、僕の手は段々と乱暴に胸を掴む。

乳房を下から上へ、乳首を押し、敏感になった身体は刺激に弱くなり、陰部に指が触れた瞬間僕は立っていられず草むらに倒れこんだ。

"…… ! ? "

元エルフが何か言ってるが気にしない、いや、初めて味わう女の快感に僕は余裕が無かった。

僕のマンコから汁が出てきて茂みを濡らす。ついに我慢ができず、僕は指をマンコに入れた。

二本の指を入れて膣内を出し入れする。

足りない……そう思った僕は指を一本増やし、三本の指で出し入れする。膣は僕の指をキュッと締め付ける。

本来であれば男の肉棒を迎え入れるべきマンコは自身の指を、逃がさないと言わんばかりに退路を塞ぐ。

身体の意思に反して僕は指を引っ張る。抜いてみろと言わんばかりに膣がさらに強く締め上げる。

膣の中を指が動く。僕の意思に反して動く。こうしろと言わんばかりに動く。

指が、爪がマンコの中を刺激する。汁でグチョグチョになっていた僕のマンコは指の動きを阻むどころか潤滑油を差された歯車のごとく指を滑らせる。

指の動きは早く、激しくなり身体の奥底から快感の波が襲い掛かってきた !

「ああ……来る……イクッ ! ! 」

目の前が真っ白になり目の前をで火花が散る。全身に力がこもり、身体が勝手に仰け反り、両手両足の指先に至るまで身体が緊張する。マンコからは勢いよく汁が飛び散り、茂みの雑草に潤いを与えた。

同時に地面に転がっていた僕の下着と宝玉にもマンコ汁が降り注ぎ容赦なく濡らしていたのだった。

「は……はぁ、はぁ……これが女の身体か……そ、想像以上だよ……あぁ……」

僕はしばらくその場を動けなかった……全身を支配していた緊張がほぐれ、今度は脱力感と倦怠感が身体を支配していた……。

"な、なんてこと……私の身体が、こんな下等な人間に弄ばれるなどと……"

納品物002k

全文を表示 »

【販売3周年】姫騎士のオレがさまざまにBAD END!

2019Q4おかし製作所DMM販売数14位

00_201911031628443cd.jpg
01_20191103162845604.jpg
04_201911031628477ed.jpg
20_20191103162848286.jpg

姫騎士のオレがさまざまにBAD END! FANZA版

姫騎士のオレがさまざまにBAD END! FANZA版
姫騎士のオレがさまざまにBAD END! DLsitecom版

【投稿小説】人喰らいの鬼 後編 by てふ/tefnen

挿絵&イメージイラスト ささみ

前編はこちら

うろたえる佐那の後ろに、ザッ、ザッと足音が聞こえてくる。

「そりゃぁ、人間を誘うためだよ」

そこにいたのは大男。佐那が村で出会った、阿山だった。
「おやおや、すっかり女の子じゃないか」
「お、おまえは……なんでここに……」
阿山は質問に答えようとせず、佐那にぐいっと近づくと、胸のふくらみをつかんだ。

「ひゃんっ」佐那は、できあがったばかりの器官を乱暴に扱われ、その刺激から嬌声を上げてしまう。

「おお、いい感じに育ってやがるな」
阿山は満足げな笑みを浮かべながら、その手を離す。
佐那は顔を真っ赤にして、阿山をにらんだが、阿山はニヤリと笑って佐那を睨み返した。
「おいおい、俺をにらむんじゃねぇよ。俺の制止を振り切って行ったのはお前だろ。それよりも……」

阿山は視線を落として言った。
「せっかくそんな体になったんだ、楽しんで行けよ」
佐那が立っている地面から、ガサガサと音がする。それは、植物の根が地面から突き出し、佐那を囲むように上に伸びてきた音だった。

「な、なんだ、この……うわあっ!」

佐那の声に反応したかのように、それらは佐那の全身に巻き付き、空中に持ち上げた。佐那の体を締め付けるそれは、まるで触手のようだった。

「う、ぐぅ……っ」
佐那は逃げようにも、触手の力も本数も多すぎて、体が動かせなくなっていた。そのうちにも締め付けは強くなり、柔らかな体つきや、大きく育った乳房が強調される。

阿山はヒューッと感心したように口笛を吹く。
「こりゃぁ、女の子が素体になったときよりも相当いいねぇ」

「くっ……貴様、この人でなしがっ」

それを聞いた阿山はニンマリとして、指をパチンと鳴らした。
それに応じるように、触手は佐那の胸に、それを包み込むように巻き付き、ぐにぐにと揉み始めた。
「んんっ、や、やめっ、あんっ」
佐那は、強烈な刺激に繰り返し襲われて、弱々しくあえぐ。
「『人でなし』、ねぇ。そりゃ、人じゃねえもんなぁ、俺は」

次に触手は、佐那の股間に向かって伸びていく。触手は佐那の肌の上をすべるようにして動き、佐那も触手の動きを感じざるを得なかった。
「あ、だめっ、そこはぁっ……!」
そして触手は、否応なしに、できたての股間の割れ目に自身を滑り込ませた。
「んひゃあっ!!っ!!」
触手は、佐那の体内で、ありとあらゆる神経を刺激する。
「おかしく……、おかしくなっちゃうっっ!!」
佐那は、どうすることもできずに、ビクンビクンと震える。全身から汗を垂らし、視線が定まらなくなる。

「いいねぇ、さっきまでは、望んでも得られなかった感覚、たまらないだろう!」
阿山は大笑いしながら、空中で繰り広げられる佐那の痴態を鑑賞していた。
「天邪鬼(あまのじゃく)の俺としても、こんなに愉快なものは見たことがねぇ!」

「はぁ、はぁっ……あ、あまの、じゃく……?」
荒い息を立てながら、佐那は何とか言葉をつむいだ。人の煩悩を体現するという鬼。よく知られているのは、人にいたずらするのが趣味の、ただのひねくれた小鬼だ。
だが、一説には元々は天界からの使者だったという。そうともなれば、佐那には太刀打ちができない。

「久地(くじ)の阿山(あやま)なんていうのは、ただの言葉遊びだったんだよ。『あまのじゃく』を並び変えて作った偽名ってやつだ。そんなことより……そろそろお遊びはおしまいだ」

「ふぇ?あ、んあ……っ!」
再度、触手の攻めが加速し始める。佐那の幼い精神を、性感帯から追い詰めていく。
「ひゃ、や……っ、う……んっ!」
そして弱り切った精神を、その内側から食い尽くそうとするものがあった。それは、佐那をこんな体にしたきっかけの『女』だった。

「(ちょっと手こずったけど、もういい頃合いね……?)」

佐那が『社』に近づいたとき、最初に聞こえた女の声が、佐那の頭の中に響いた。

「ひっ、だ、だめっ……食わ、ないで……っ!」
佐那の懇願を聴いて、天邪鬼は「お、来たな」と、佐那の様子を観察している。

「(食うなんて、そんなことしないわよ。私は、あなたの体を借りるだけよ)」
「や、だ……んっ、ふぁ……」
佐那は最後に一言発し、ついに気絶してしまった。

すると、触手が佐那を解放し、地面に降ろす。気を失っているはずの佐那だが、地面に崩れ落ちるのではなく、目を閉じたまま静かに地に降り立つ。

佐那が再度目を開くと、その瞳は赤く、まがまがしく光っていた。

「お休み、坊や」佐那は、ついさっきまでとは違う、落ち着いた口調になっていた。完全に、鬼に乗っ取られたのだ。
「おお、やったか」

天邪鬼は、佐那に近づくと、その体に抱き着こうとする。だが、佐那は人差し指を天邪鬼の唇に当て、それを制する。

「なんだってんだい」
「こんな小さい子が趣味じゃないでしょ、あなた。あなたの半分くらいの丈しかないわよ?」
「まあ、確かに」
佐那は、おとなしく引き下がった天邪鬼を見てフフッと笑うと、大きく息を吸い込んだ。

すると、手足がぐぐぐ……と伸び始める。指も長く細く伸び、さらに大人のものへと近づく。銀髪も、肩までだったものが腰まで伸び、風に吹かれてサラサラとなびく。
「まったく、鬼にしとくのはもったいないくらいのベッピンだよな、お前は」
「ふふっ、胸だってもっと大きく……」

佐那が胸をなでると、それはさらに成長し、多少余裕があった襟の部分からはみ出そうなほどになる。
「あのなぁ、そんな乳したやつ、見たことねえんだよ」
「あら、そう?都の男どもから生気を吸い取るには、これくらいが丁度いいのよ?」

93_20221023104031cb7.jpg

不敵な笑みを浮かべる佐那に、天邪鬼は小さくため息をついた。
「まぁ、いいさ。都で存分に楽しんで来い」
「その前に……」

今度は、佐那の方から天邪鬼に抱き着いた。佐那が大きくなったとは言えまだまだ大きな身長差がある二人は、見つめあう。

「あなたのたくましい体を感じさせてもらわなきゃ……」
「お、いいのかい?そう言うんなら……」

こうして、鬼に乗っ取られた祈祷師の成れの果てと、人の煩悩を愉しむ悪魔の二人は、少しの営みをしたあと、今夜も都の人をもてあそび、『喰らう』のだった。

【投稿小説】人喰らいの鬼 前編 by てふ/tefnen

挿絵&イメージイラスト ささみ

鬼が出る社(やしろ)、と呼ばれる廃屋が、とある山にあった。

その廃屋に近づくと女の笑い声が聞こえたり、気づくと財布や食べ物が盗まれていたりなど、命が狙われることはないものの、確かに小鬼がいるような災いが降りかかるのだ。
それだけだったら問題はなかった。ただ、小さい子供がその山で行方不明になることが何年かに一回あった。その夜には、決まって、ふもとの村の中でも女の笑い声が聞こえるのだ。まるで、何かをたくらむようにクスクスとせせら笑う女の声が。
村では、子供を食べた女の鬼が、喜びのあまり山から飛び出して暴れまわっていると、噂が立っていた。

「で、決まって、干物になったような、体液を搾り取られた男性の死体が、都(みやこ)の中で見つかる、と」

一人の子供が、その社に向かっていた。子供、といっても、村の子供、いや、都でも普通は見かけないような姿だ。
上半身は真っ白な和服で、両袖には赤い紐が通っている。巫女のような格好だが、肌着は黒く染められ、手袋には数珠がかけられ、その子が厄払いの祈祷師見習いであることを物語っていた。背中には、長い筒を抱えていた。

「鬼を退治して、一人前だって認めさせてやるんだ」

子供を食べる鬼を成敗すべく、都から半日かけてきたのだった。

やっとのことで、噂の山のふもとの村にたどり着く。休む暇もなく、村長に詳細をたずねるため、その村で一番大きな家に足を運ぶその子。

「おや、嬢ちゃん、見慣れない顔だね」

だが、その道すがら、一人の男が話しかけてきた。かなり体が大きく、小さな家なら天井に頭がついてしまうだろう。

「じょ、嬢ちゃん……ですか。一応、男、なのですが」

その子、名前は佐那といったが……彼は男であるにもかかわらず、肩にかかりそうなくらいの髪型と、大きなくりくりとした瞳という、かなり中性的、いや女性といっても通じるほどの顔立ちだった。それが佐那の悩みの種でもあったのだが。

「ありゃ、そりゃすまんねぇ」
「いえ。よく間違われるので」多少つっけんどんだが、敬語口調で返す佐那。
男はフフンと笑って、佐那の背中の筒を指さした。

「その姿、『鬼が出る社(やしろ)』に行こうってんだろ。背中に持ってるのはお前の得物(えもの)だな、祈祷師の卵くん?」
「……隠そうとしても無理のようですね」佐那はため息をつきつつ、小さくお辞儀をして尋ねた。「『社』の場所を知っているなら教えてください」

男は、佐那を品定めするように、佐那の全身をみめ回すように見つめた。佐那が寒気を感じて引き下がろうとしたその時、男は会話を再開した。
「……いいだろう。だが、あそこは本当に危険だぞ?」
「わかっています」
「俺がかわいがってた子供が、最近あそこに飲まれたんだ。次にその子を見た時には、その子は変わり果てた姿になっていた。お前は、そうならない自信があるって言うんだな?」

佐那を試すような質問ばかりする男。佐那は、それでも自分の決意を押し通す。

「大丈夫です」

再びの沈黙。そして、不意に男は口を開いた。

「……鬼が通る跡には、白と赤の絵の具みたいなのが残るんだ。それをたどっていきな」

佐那はごくりと息をのんで、覚悟を決める。
「白と赤の絵の具……分かりました、ありがとうございます……私は、佐那といいます。あなたは?」

男は、ニコッと微笑んだ。

「久地(くじ)っつうところの阿山(あやま)、とでも名乗っておこうか。また会おうな、小僧」

佐那が一礼をして山の森の中に入り、消えていくのを見届けた阿山は、その微笑んだ表情を一気に歪ませた。

「あの細い体つきとめんこい顔つき。しかもそれで男だと?あいつぁ、まさに逸材だな。楽しませてもらおうじゃねぇか」

そう一言いうと、阿山はふっと姿を消した。

---

「こ、この建物か……?しまった、準備がまだ……」

そして、『社』は思いの外、早く見つかった。村から30分もたたずに、佐那は廃屋を見つけたのだ。壊れた鳥居と賽銭箱があることから、もともと神社かなにかだったのだろう。

普段、彼の師匠と赴く現場と違って、邪気というものがあまり感じられず、建物を目にするまで佐那はその存在に気づくことができなかった。

「と、とにかく、刀を準備しなければ……」

背中から筒をおろし、その中から、布に包まれた退魔用の刀を取り出す。よく研がれた刀身には、祈祷文が刻み込まれている。

「(あら?あなたは……退魔師?)」
「な、女の声!?」

しかし、刀の準備が完全に整う前に、『鬼』が現れ、佐那に語り掛けてきた。

「(おもしろい刀ねぇ。知ってるわよ。刀はそのままじゃ使えないって)」

『鬼』は余裕たっぷりだ。逆に佐那は、焦りを見せる。本来は、幽霊でも斬撃をくわえられるように、油を塗ったうえで儀式が必要なのだ。ただ、その秘密は佐那の同胞しか知らないはずだった。

「(なんでそんなこと知ってるの、っていう顔ね。大昔、あなたみたいなのが私を『退治』しに来てね、それで知ってるだけよ?まあ、どんな刀も、私を傷つけることなんて、できないんだけどね?)」

それでも、佐那は刀を構える。鬼の声は聞こえるものの、その姿は見えない。儀式をしようとしまいと、妖怪のたぐいには効果がある。『鬼』の言葉がハッタリであることを信じて、全方向に注意を張り詰めさせる。
「かかって……来いッ……!」と小さく声を出した、その時だった。
文字通り目と鼻の先に、女の顔が現れたのだ。

「じゃあ、お構いなく。楽しませてちょうだい、ね?」

そして、顔はぐいっと前に動き、その唇と佐那の唇が合わさった。初恋の相手ともしたことのない口づけだが、佐那はその口から、自分の体の中に何かが流し込まれている感覚に陥った。彼の肺の中、胃の中、体全身に、熱い何かが染みわたっていく。佐那の鼓動がドクンドクンと強くなり、全身が何か別のものに置き換えられていく。

「や、やめろーっ!!」
大声を出して鬼をけん制しようとする佐那。しかし、再び視界が開けると、そこには何もいない。佐那は気が抜け、思わず刀を落とした。自分の体を見ても、普段通りだ。

だが、次の瞬間、ドクンッという強い衝撃が全身に走ると、股間に強烈な痛みが走る。

「い、ひぐぅっ」

これまで出したことがないようなうめき声をあげつつ、その痛みのもとに手を当てると、そこにある男性の象徴が、まるで溶けてなくなるように、急激な速度で縮んでいっていた。

「な、なんでこんなこと……ひうっ!」

今度は、胸から刺激が伝わる。普段意識することのない乳首が、異常なまでに敏感になって、服とこすれるたびにピリピリとした刺激が伝わってきていた。

「私の体、どうなってっ!」

刀を持ち上げ、その刀身の反射で自分の顔を見ようとするが、なぜか別人の顔が見える。白に近い銀髪をした、目の赤い、自分と顔立ちが同じ、動きも同じの『別人』が。

「えっ、え……っ?」

それは、髪の色が急激に変わったせいで別人に見えた、まぎれもない佐那自身の姿だった。

「ひ、ひぎっ……あたま……がっ!」

次に来たのは、彼のひたいを突き刺すような痛み。手を当てると、二本のとがった何か……まるで、鬼の角のように鋭く伸びた角が生えていた。と同時に、ぶかぶかだったはずの衣装が、胸の部分がパンパンになったのを感じた。

「今度は、な……に?」

下を向くと、胸の部分が大きく押し上げられている。襟から覗く肌色のふくらみが、それが女性の乳房であることを主張していた。
「わ、私……女に……!?」

彼の絶望を後追いするかのように、今度は、袴がきつくなってくる。太ももが膨らみ、尻がぷっくりと膨れて、しまいには入りきらなくなった袴をびりびりと破いてしまった。
「(あらあら、かわいくなったじゃない)」
困惑する佐那に、先ほどの『鬼の声』が聞こえてきた。
「も、元に戻せぇっ!」
「(これからが本番なのに?ほら、服も変えるわよ?)」
「えっ!?」

まず、手袋が破れ……というより、繊維がほどけていき、別の形に編み込まれる。それは、赤くかわいらしい髪飾りだった。銀色になった佐那の横髪につけられ、ふわりと揺れる。
肌着は液体のようにとろけ、急に露出が上がっていく。そして、大きく膨らんだ佐那の胸と、下半身の曲線があらわになる。

「ひゃっ、は、はずかしいっ」

佐那が自分の体を抱きしめると、その袖が肩の部分から分かれ、腕の先に移動していく。柔らかい輪郭となった肩が丸見えになり、佐那が女性となったことをさらに見せつけていく。襟の部分も、大きな乳房を肩に吊り下げられるように変形していく。どろどろに溶けていた肌着が赤に着色されると、至る所に分散していき、白い服を飾っていった。

「こ、こんな服、こんな格好、なんでぇ?」

998_20221022113645cc8.jpg

佐那は、少しの赤色が混じる銀髪の、年齢にしては不相応な大きい胸をした、美少女になっていた。そして、額から伸びる角は、その体が鬼のものに変えられたことを物語っていた。

後編はこちら

【販売2周年】「誰か一人だけ女体化できる」というクソ能力を、特レア能力「周囲女性超発情」と交換して貰ったオレ サンプル①

2020Q4おかし製作所FANZA販売数42位
d_186178pr.jpg

「誰か一人だけ女体化できる」というクソ能力を、特レア能力「周囲女性超発情」と交換して貰ったオレ FANZA版
「誰か一人だけ女体化できる」というクソ能力を、特レア能力「周囲女性超発情」と交換して貰ったオレ DLsitecom版

序章 チートスキル

 ガラガラガラ……コロッ。
 抽選機から赤い玉が吐き出され、皺だらけの手がそれをつまんだ。わた飴のような真っ白な髭と白髪を伸ばし、着ている装束もまた純白の老人の手だった。

「233番じゃな。ちょっと待っておくれ」
「頼むぞ!かっこいいスキル来やがれ!」

 茶髪の男は両手をあわせ、今まで信じたこともない神に祈っていた。
 大きな竜のロゴが背中に入ったジャケットにジーンズ。どこにでもにいる不良といった風貌の後ろにはそんな彼より目立たないように大人しめの服を着たパシリが立っていた。
 商店街の福引でもしているような光景だ。
 しかし、実際には二人の人生がかかっていた。
 正確には二度目の人生が。

(うーん、どうしてこんなことになったのやら……)

 彼、犬飼北斗は10分ほど前を振り返る。
 兄貴分である男、九頭竜大悟のバイクに二人乗りし、地元の不良たちとチキンレースをしていた。崖の手前まで走行し、ブレーキを先にかけたほうの負け。そのルールに従って大悟は一度もブレーキをかけず、そして二人で豪快に崖からジャンプしてしまった。
 パシリは知らなかった。下は海だったので岸まで泳げばいい。どこかの漫画を読んでそう信じ込んだ大悟は自分たちも泳げばいいと思ったらしい。しかしその漫画の登場人物は車を使い、自分たちはバイクに乗っているという違いを考慮してなかった。
 そして不良二人はあっけなく死んだ。
 気がつけば真っ白な空間に二人は立ち、目の前に老人が立っていた。

「ふぉっふぉっ、ここまで阿呆らしい死に方をした人間は久しぶりじゃ。漫画みたいな死に方をしたお前らに特別サービスで漫画のような世界に飛ばしてやろう。しかも福引でスキルまでつけてじゃ!」

 こんなことを言い出した神を大悟はすんなり受け入れた。これも漫画の影響だろう。
 福引で能力をもらい、異世界で無双するという野望を抱いた彼をパシリは見守ることしかできない。

(まあ、人生はなるようにしかならないですからね。しかしスキルですか……)

 彼もまた固唾を呑んで大悟の福引の結果を待つ。それによっては第二の人生は序盤から詰むからだ。自分たちが行く「漫画のような世界」は人間と共にモンスターや魔法が存在し、言語通訳だけサービスでつけてやるとだけ言われている。至れり尽くせりだと大悟は喜んだが、神は一言も「スキルは良いものばかり」と言っていないと北斗は気づいた。
 髭だらけの神は大きな帳簿とにらめっこし、やがてかっと目を見開いた。

「おお……この能力は……」
「強えースキルなのか、爺さん?」

 兄貴は興奮して次の言葉を待つ。
 神は言った。

「これは『どんな男でも一人だけ女体化できる』スキルじゃ!」
「……は?」

 兄貴はスキルの意味を考え、やがて福引に手をかけた。

「さあ!予行練習は終わった!回すぜ!」
「やり直しは認めぬ」
「やるぜ!」
「ならぬ」

 髪は無慈悲に宣言し、強引に抽選機を回そうとした大悟に電撃が走った。
 彼は悲鳴を上げてのた打ち回る。

「ふぎゃあああああっ!ちょ、ちょっと待てよ!そんなゴミみたいなスキルいらねえよ!」
「はい、次の方~」
「このくそ爺!聞けよっ!」

 老人に飛び掛ったが、彼の拳は老人を幻のようにすり抜けた。
 今度は顔を床に打ち付けて悶絶する様子を見ながら子分は福引に手をかける。

(大悟さん、神様に殴りかかるなんて度胸だけはありますね……)

 北斗は福引を回し、コロンッと出てきた銀色の玉を神に見せた。

「777番って書いてますけど?」
「ほうほう。待っておれ……おおっ!」

 神は子分の顔をちらりと見てにやりと笑った。
 意味深な笑みを送られた彼は訝しがる。

「何のスキルなんですか?」
「喜べ。おぬしのスキルは『世界一の美形魔法剣士で、常時周囲3m内の女性を発情させてちんこの事しか考えられなくする』じゃ!」
「え?」
「今、なんつったああああああっ!」

 兄貴は床から這い上がって神につかみかかる。
 これもまたすり抜けてしまう。

「お、女をハメまくってヤリまくる能力だとおおお!?」
「いや、そうは言っておらぬ」
「そうは言ってませんよ」

 神と北斗が同時につっこみを入れた。

「こいつが!俺の専属パシリがそんな能力を引き当てたのに!なんで俺はゴミスキルなんだよ!?」
「ゴミと言うな。さて、質問はあるか?」
「あのー、女を発情させるって種族や年齢も関係なく効果があるんですか?」
「そうじゃ」
「話を聞けっ!」
「3メートルから離れたらスキル効果は解除されるんですか?」
「そうじゃ」
「俺の話を聞けよおおおおおっ!」

 一人は絶叫し、もう一人と神は質疑応答を続ける。
 実体のない神様を殴り続けた兄貴は息切れを起こし、フラフラになる。しかし疲労困憊の彼は突如として叫んだ。

「そうだ!おい、ジジイ!俺からも質問だ!俺の福引をこいつのととっ替えるのはありか?」
「ん……?まあ、合意があれば可能じゃぞ」
「よおおおしっ!」

 すでに合意を得たかのように兄貴はガッツポーズした。
 その間に子分は一切喋らず、スキルについて考え続けていた。

「おい!北斗!お前のスキルと交換だ!文句はねえな!」
「はい、いいですよ」
「え?」
「え?」

 二人は顔を見合わせ、兄貴は面食らった。

「おい、いいのか?」
「もちろんですよ。大悟さんの頼みを私が断ったことがありますか?」
「そ、そうか……」

 抵抗があると思っていた兄貴は拍子抜けしたが、顔に笑みが戻って北斗の肩に手を回す。

「さすが北斗!俺の第一のパシリなだけはある!むこうに行ったらきっちり面倒見てやるからな!うははははっ!」
「さすが大悟さんです!頼りにしてます!」

 北斗も笑顔になり、二人は笑いあう。
 一方は嘲笑に近く、もう一方は完全な作り笑顔だった。
 二人の頭の中までお見通しの神はその傍でくすくすと笑っていた。

「合意はできたようじゃな。では、スキルを渡そう。そして新しい世界に行くがよい!」

 そう言った瞬間、二人の足元が青白く輝いた。

「うおおっ!なんじゃこりゃ!」
「転移ゲートでしょう。じゃあ、神様、いろいろありがとうございました」
「うむ。新しい世界でも面白い活躍を期待しておるぞ」

 神はにんまりと笑い、皺だらけの手を振る。
 大悟は知らなかった。隣にいるパシリの顔に暗い笑みがあることを。


「誰か一人だけ女体化できる」というクソ能力を、特レア能力「周囲女性超発情」と交換して貰ったオレ FANZA版
「誰か一人だけ女体化できる」というクソ能力を、特レア能力「周囲女性超発情」と交換して貰ったオレ DLsitecom版

【投稿小説】ランプの魔人が最初の願いで女体化しろと言われてしまい

作 プニたけっち

挿絵:ゴロ太 https://twitter.com/gorogoro_ya

「ちくしょう ! なにが金蔓君だよ ! くそっ ! 」

俺の名は……いや……いいや、俺の名前なんて誰も気にしないだろう。

彼女いない歴三十六年、やっと彼女ができた。そう思っていたら、あのアマ三股かけていやがった。

なにが『金持ってない、イケメンでもないあんたは用無し。じゃあねブサメン金蔓クン』だよ ! クソッ !

そりゃあ、俺はお金そんなに稼いでるわけじゃないよ ? 顔もそんなにイイわけじゃないよ ?

だけどさ、あれはないんじゃないの ! ? 俺あそこまで言われる筋合いはないんですけど ! ?

あーあ……せめて俺の最期を看取ってくれるような女でもいればなぁ……

あまりにもムカついて、俺はいつもと違う夜の道を歩いていた。

すると、そこには奇妙な出店があった。

「おや、いらっしゃい」

店主は結構な歳の爺さんのように見えた。帽子を深くかぶっているため顔は見えない。声の感じでそう思っただけだ。

「あ、いや、こんな所に店なんてあったかなあ、と思ってさ……ああ、ちゃんと品物は見ていくよ」

冷やかしのつもりではあったが、俺はついさっき嫌な思いをしたばかりだから、爺さんに同じ思いはさせたくないと思った。

だから何か安い物でも買おうかと思い見てみたのだが……

「爺さん、どれも値札が無いんだけど ? これじゃ買えないよ」

俺も金をあまり持っているわけじゃないし、買おうと思ってウン十万円だ、なんて言われても俺が困る。

「ああ、それはわしの気分で決めるのさ。アホみたいな金額かもしれないし、小銭で払える金額かもしれない。さあ、どれを買う ? 」

おいおい……なんだか試されてる気がするぞ……なんかヤバイかもしれない。

冠、指輪、薬……なんだかどれもすごそうだけど、どれも買う気になれないんだよなあ。

でも今更回れ右もなあ……よし !

「爺さん、これ買うよ」

俺は紺色のターバンを選んだ。月や星の模様が描かれていて、何となくいいな、と思ったんだ。

「……それかい ? 」

「……これだよ ! 」

なんだよ、嫌な間を作らないでくれよ。

「ふむ……百円でいいよ」

「え……爺さんいいの ? 俺もう少しならお金出せるよ ? 」

このターバン丁寧に作られている気がするし、どう考えても百円の代物じゃない。

「へえ……金額を上げるのかい……安く買えるのに…… ? 」

「だって……悪いよ。爺さんそんな安く売って、どうやって生活するのさ ? 」

これは俺の本心だ。いくら今の俺の心が荒んでいても、爺さんからこんな金額で物を買うのは気分が悪い。

「くくく……気に入ったよ兄さん……じゃあ千円にする。代わりにこいつをおまけでやるよ」

爺さんは一個のランプを差し出してきた……ちょい待て、このランプ相当な値打ち物じゃないのか ?

「な、なあ爺さん、いくらなんでもこのランプは……」

「千円。買うかい ? 」

「……わかった、買うよ。はい千円」

「まいどあり、くくく……兄さん、何があったか知らないけど、その心を大事にしな」

俺は爺さんから助言 ? みたいな事を受け取り、店を後にした。


家に帰ってきた俺はさっそくターバンを巻いてみた。ターバンは綺麗に洗濯されており、頭に被るのに何の抵抗もないくらいだった。

「おお、いいじゃんこのターバン。綺麗だし、おとぎ話に出てくる主人公みたいだな」

このターバンだけでもいい買い物をしたと思う。これならこのランプもいい性能かもしれない。

「そういえば、ランプってどう使うんだ ? こすればいいのか ? 」

俺は試しにランプをこすってみた。まさかランプの魔人でも出てきたりして……

するとランプから煙が出てきた……おいおいマジかよ ! ?

「ふぅーい、しばらくぶりの外だ。おやお前がランプをこすったようだな。よし早く願いを三つ言え。叶えてやるから。ただし五分以内だ。時間オーバーしたらお前の魂を頂く。最も、願いを叶えてももらうがな」

おい ! ふざけんなよ ! なんだよあの爺さん、とんでもないランプ売りやがって。それに願い叶えても五分で死ぬなら意味ないじゃん ! ?

「早くしろ小僧 ! もう一分経ったぞ」

俺の命もあと四分かぁ……せめて可愛い女の子だったら魂でも差し出したのになぁ……

「あと三分だな」

うるせえよ ! 最後くらいゆっくり考えさせろよ ! それになんだか一分経つの早くね ! ?

「あと二分。なんと優柔不断な男だ。一つも願い事が言えないとは」

さっきからいい気になりやがって……ああ言ってやるよ !

「やい魔人、だったらお前が褐色美人になれ ! 」

「な、なに…… ! ? 」

ドン引きしていた魔人の姿が変わっていく。長身瘦せ型の男が露出度過多の美女に変わっていく。

20220809100719c87_20221008112508650.jpg


「き、貴様、こんな願い事をして……」

うるせえ ! もうあと二分も無いんだよ。次だ次 !

「魔人、お前はもうランプに戻るな。俺のそばにいろ ! 」

「 ! ? 承知いたしました……」

うひょひょ、あの魔人めちゃめちゃ恥ずかしがってるぜ。

ようし……残り一分……一分……あかん ! 願い事がもう思い浮かばないぜ !

「……どうした。最後の願い事を言え……」

どうしよう、本当にもう思い浮かばない。美女が死ぬ瞬間まで俺のそばにいる。考えてみれば、これで俺の願い全部叶ってんじゃん。あと一つと言われても……

「早くしろ ! あと三十秒だ ! 」

ヤバい、どうする、願いは叶えた……ええい、いいやもう ! 美女に魂くれてやるぜ。

「……いいよ、もう。願い浮かばないから。あえて言うなら、苦しまないように魂持って行ってくれ」

これでいい、これでいいんだ。こんな時に思いつく願いなんてろくでもないものだろうし、最後くらい潔く散ってやろう。怖いけどね。

「……本当にいいのか ? まだ間に合うのだぞ ? 金とか身分とか」

いいんだよ、そんなの、死んだらそれまでじゃん。大体、もう死ぬのにそんな願い意味ないぜ。

「……奴が貴様にランプを渡した理由がわかった。おい、魂は貴様の寿命が尽きてから持っていく事にする。それまで厄介になるぞ」

「はあ ! ? なんだよ急に、俺のさっきまでの勇気とやせ我慢どうすりゃいいの ! ? 」

こっちはマジで死ぬかと思ったんですけど ! ?

「男たるもの最後まで堂々としていろ。さっきまでの悟りを開いたような貴様は見る目があったぞ」

胸隠して恥ずかしがってた魔人が何か言ってるよ……

「とにかく、貴様は二つ目の願いで私と未来永劫一緒にいる事が決まった。もう貴様は女に好かれる事は無い。残念だったな ! 」

高笑いしている魔人さんよ……それがなんだっていうんだよ。

「俺、さっき女に捨てられたんだよね。金蔓って言われてさ……」

魔人の高笑いがピタリと止む。

「それに、そいつ他の男とも付き合っててさ……ブサメン金蔓って言われたんだよね」

「……すまん」

いいよ、事実だし。所詮騙されやすい男なんだよ、俺は。

「ふむ……ならば都合がよい。貴様の女はこの私だけという事になるな。うむ、よいことだ。ではさっそく子どもを作るとしようか」

はあ ! ? 今度は何言ってるの ! ?

「貴様のそばにいるのに女の姿は都合がよい。怪しまれぬしな。さあ子作りだ。明日から働いてもらう為にも貴様の精力を高めてやろう。ふははははっ ! ! 」

おいおい……なんかとんでもない事になっちまったぞ……

挿絵完成1005

それから、俺と女魔人との生活は……まあ退屈はしなかった。子どももできて、仕事もそこそこ上手くいって……退屈はしなかった……俺が言った三つ目の願い事、苦しまないように魂を持っていけ、これは最後に受理された。

俺の寿命が尽きた際に……退屈はしない……楽しい人生だった……ありがとう。



「ほう、戻ってきたか。まだ女の姿でいたのか ? やろうと思えばすぐに戻れたものを」

戻る気にはなれなかった……あの人のそばを離れたくなかった……

「そのターバン……情が移ったか。まあいい、どうせ大事に抱えているその男の魂、差し出すつもりはないのだろう ? 」

優柔不断で、甘くて、だけど子煩悩で、優しくて、いざという時に頼りになる……あの男の魂は渡さない。

たとえお前が私より格が上の悪魔でも。この魂は私の、私だけのものだ。

「わかっているよ。わしもあの男は気に入っていた『大金持ちになれる指輪』『異性友好の冠』『不老長寿の薬』どれも選ばずに、模様がきれいだからという理由で何も効果のないターバンを選んでいったのだからな。あの中で『唯一無事に助かる』物を買って行ったのだ。惜しいのう、わしの部下にしたかったものを……」

本心だろう……おそらく、あの男に最後の助言をしたのも、本当に部下にするつもりだったのだろう。

「くく、睨むな、詫びだ。いいものを見せてやろう。ほら、このランプだ」

目の前の男……悪魔が私に見せたのは、私が入っていたランプだ。

「欲深いぞ、この女は。その男は欲張らずに助かった。だが、その男を捨てた女はわしから全部買って行った。指輪で豪遊、冠で男漁り、別の女どもに襲われ大けがをするが薬の効果で死ねず、わしに全てをなすりつけようとしたからの、空になったランプに封印してやったのよ。不老長寿だからの、こいつは未来永劫わしの僕よ。ほっほっほっ」

あの女は今後ずっと悪魔の道具として一生こき使われるのだろう。

【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第二十八話 実践的な性教育

作 kyosuke

陸は驚く、玲の笑みは明らかに怖いが何故か恐怖を感じさせない……何よりも小水とは全く異なる放出感と液体に驚く。白く粘り気があり手に取る玲は言う。
「精液、これが女性の胎内で出来る卵子と逢うと受精卵になり乳児にね……ただお姉ちゃんに貴方の精子を持つ子をこの世に出さない方が幸せかな?」
「実践的な性教育になったが陸には丁度良いかな……」
伊織も玲の視線がズッと自身の肉〇に向けられている事に気が付いた。その眼は雌そのもの、例え今年の春先までランドセルを背負っていた男児であったとしても今の玲は漢をその気にさせる。
「欲情しているのかい?」
頷く玲、そこに正弘も入って来る。ガウン姿であるが脱ぐと筋骨隆々……朱鳥もゴクりとつばを飲み込む程にブーメランパンツ中央の隆起はデカい。
「シャワーせずにいいのか?」
「朱鳥は匂いに弱いからな、正弘も玲が妹になって悶々としていただろ……」
すると正弘の眼は泳ぎ、玲は言う。
「逆、篝さんがベッタリしている……」
この分だと玲も数年のうちに“叔母”になるだろうなぁと思う……一応結婚式や独立しての生活資金は稼ぎたいと言うが……。
「陸君って片思いの子っている?」
「いるよ、同級生の妹になるけど……」
この分じゃ望み薄なんだろう、玲は苦笑するしかない。リーナに言い寄って来た如何にも悪ガキの末路は知っているからだ。

夕食後、玲は屋敷内にある厨房へと入りある準備をしていた。両親も本家の大人の面々もアルコールが存分に入ってしまったのである。厨房を任されているのは司 銀二と言うベテラン料理人であり、師匠が神田川で修行をしていた縁もあるので日菜子の事は知っているし、神田川に助として働いた時期もある。
「司さん、無理を言って申し訳ないです」
「いえ、日菜子お嬢さんがあれほど呑むと無理でしょう」
数年前のお盆の際に母親の実家に訪れた時に司が訪ねて来て玲も滞在していたので知ってはいたが……。
「(まさかこの様な住み込みの料理人をしていたとはねぇ)」
玲が持参している包丁セットは神田川の祖父がセカンドバースディとしてプレゼントに貰ったモノであり、しっかりと専用ケースまである。嫁入り道具にしてはオーバースペックであるが母親が魚丸ごとと肉の塊を買い付ける猛者なので仕方ない。確か料理だけは何処の家に嫁がせてもぐうの音を出さないレベルだ。
「玲さんは家族思いなんですね」
「……はい」
銀二と共に早朝の準備をする。

翌日、早朝……玲は手早く御粥を調理する。銀二も見守るが本当に手際が良く“追い回し”にも出来るほどだ。
「後はお願いします、司さん」
「はい」
エプロンを外すと空手胴着を纏う美少女がそこに居た……日菜子の面影もあるのは気のせいだろうか……。

海岸をランニングする玲は周辺を見る、この辺りは本当に寂れているのが分かる……両親から聞いた程度であるが一ノ瀬家本家は建築資材の原材料になる鉱山経営もしており三沢炭鉱の閉山後はこちらがメイン、元々は蒼の嫁さんの実家がしていたが諸事情により一ノ瀬本家も参加し今では主要で露天堀で砕石や石灰石を採掘して販売している。
「玲様、どうですかな?」
「西さん……」
如何にも老執事と言う感がある西 甚之助も空手胴着を着ており待っていた。執事と言う職業上格闘技も嗜み、玲も猛者と分かる。年寄りには感じさせない何かがある、師範代と似ている感じの。
「とても静かですね」
「昔は賑わってました……ですが今は寂しさもあります」
廃村に追い込まれた村落の多くが地形上自動車が通れる峠が思った以上に少なく都市部に住民が集約してしまっている。甚之助はここに村落が逢った事を知る数少ない人間なのだ。
「では、ご相手を……」
「はい……」
二人は構える……甚之助も昨日の玲の体裁きを見て技量が高いと感じた。老いが疎ましく思うが……今はこの令嬢のご相手をする楽しみが勝っていた。

「あら~玲も気が利くわねぇ」
「本当、神田川の孫って言う感じね……」
日菜子も陽菜も朝風呂の後に中華粥を食べつつ話しており将と令も食べていた、二人とも職務上暴飲暴食は出来ないのでハメを外すとこうなってしまうのだ。
「所で航(わたる)は?」
「今日来るさ……玲ちゃんの画像は送信しているから」
「助かる」
「まあコンテナの据付も来るんだが」
今日は作業があるかもしれないと言う事だ。

午前中学生組は勉強である、玲も朱鳥も夏休みの課題をしつつも陸の課題も見る。一通り終えると玲は朱鳥の課題を見て感じた……。
「朱鳥の所って学力高いよね」
「……もう大変よ」
一応赤点回避は出来たが怪しい所はワンサカある。因みに二人ともサマーワンピースであり陸には少々刺激が強い。胸と尻のラインは精通したばかりの陸の精嚢を沸騰させるには十分であるが二人ともそれを知らない。
「あっ、航叔父さんに逢うのも初めてだよね」
「うん、どんな人?」
朱鳥はスマホを操作して画像を出す、巨漢と言うべき体格な男性でありがっしりとしている事は着衣からも分かる。
「中々のイケメンよね」
「そうかい?」
玲は気が付いた、彼も……何か格闘技をしている。
「航叔父様!」
「朱鳥も中学生かぁ……で、君が玲さんだね」
「はい」
「大体の事は聞いているよ、学校は問題無く通えているか?」
「……些細な問題は起きてますが」
航も察した、この美貌と胸ならロリコンと呼ばれてもモノにしたい男達は出て来るのは目に見えた。
「それと航叔父さんは格闘技をされてますね」
「ははっ、柔道さ。最も日下部師範代には及ばないが……陸?さっきから黙っているが」
「大方、巨乳っ子二人は刺激が強いって」
やや呆れる表情をした少女は陸を見るなり言う……なるほど令伯父さんの言う通り朱鳥とは似ている。
「長女の雫だ、高校一年。まっソフトにギャルになっているが」
確かに雰囲気的にJKであるのはヘアスタイルで分かる……。
「二人ともさ……陸には刺激が強すぎる胸だって知っているよね」
「「……あっ」」
玲も意識した事は無いが……因みに雫は女子高生の平均的な胸のサイズである。
「雫、誠は?」
スマホで操作しつつ言う。
「兄ならバイクで来るってっ……玲ちゃんのセーラー服画像添付したらね」
大学生であり今年は帰省しないと言っていたが爆乳セーラー服の玲を見て下半身の息子が隆起したと言う感じだろう。
「さっそくだけど……」
雫は玲に視線を向ける。

海岸に面した所では12ftコンテナの固定作業を終えていた。プレジャーボートも格納する小屋は風雨に耐えていたが雨漏りは元よりガタが来ており、建築を少々齧った将が見ても建て替えをお勧めできる程だ。基礎は春先に工事を終えていたので風邪で動かない様に固定する訳だ。コンテナを運んできた4t車には車載クレーン付……ドライバーと作業員もホッと一安心で差し入れに出されたスポーツドリンクを飲みほした。建築作業員は職場場夏場でも長袖を着用する、近年は空調服と呼ばれる電動ファン内蔵の服装が主流……数年前はメインユーザーである工事関係者の中から一笑されたが熱中症に伴う作業死亡事故が数例起こると状況が変わり会社サイドも制服に取り込んだ。ファンそのものがモバイル製品にも通じるので普及した一因になっている。将は仕事上建築現場に立ち入るので会社側が用意している作業服は空調服になっているし、正弘も建築現場への荷物搬送があるので持っているのだ。
「ここに20ftか……ステアリング機能付だな」
ドライバーの一人がボソッというと将も頷く。恐らく勤め先もコンテナハウス運搬の為に導入した海外の台車を使う気だ……。
「眺めいいっすねぇ」
「良過ぎさ、海水浴場にもならんよ。岬の向こうに昔あったけど事故が連発してな……」
アクセスの悪さもあるが離岸流頻発地帯である、良い漁場である反面難所が多過ぎて戦後も海難事故が絶えずにこれも廃村や市町村合併に繋がる事になる。令は父から聞いた程度だが数年に一度は何処かの漁村で犠牲者が出ており遺体がここに流れついた事もあると言う。
「少し離れた場所なら整備されているから大丈夫だが、そこは別荘地でね……ちゃんと船着き場があるから天候さえ許せば船の方が早いんだ」
これがここにプレジャーボートがある理由で最寄りの漁港も一部をマリーナとして開放している。
「先輩、空調服のバッテリー切れました、脱ぎますよ」
「おっ、おいぅ!」
作業員の一人が空調服を脱ぐとTシャツ姿になり、胸がプルンっと揺れた。
「あ~大丈夫っす、発症者ですから……あっちぃ」
将も令も唖然とするが彼女は気にする事もなく空調服を片手に持ちトラックに……。
「女性だったのか」
「学生の時が不遇世代ってね……カウンセリングを受けてなくって」
同僚が言うが事実だ、無論会社も国もカウンセリングを受ける様には指導はしているが当人の中には無視するケースも珍しくなく彼女は最早女を棄てている。彼女は渋々受けたがここ数ヶ月は受診してないと言う。彼女が言うには“無意味”と感じてしまう内容で時間の無駄と主治医にバッサリと告げている。
「自分の勤め先にも数人居て総務が頭抱えていたな」
将もこの事は把握していたが恋愛する気も無いらしい……根底にあるのは学生時代に受けた不信感だ。つまり支援を求めた時には振り向いて貰えずに今更手を差し伸べても手遅れなのだ。
「申し訳……」
「気にするな、彼女も好きで女性になった訳もないしな……あんまり指導はしない方がいいかもな……」
そう思うと今の発症者らの学習環境は好転しているがその後の事、社会全般は道半ば特に結婚となると不遇世代の親らの偏見も珍しくない。
「面目ありません」
「何処の業種も抱えているさ……ん?」
海上からエンジンサウンドが聞こえたので将が見ると一隻のプレジャーボートが近寄って来た。令も見るなり言う。
「“ご近所さん”だな……」
令の言葉に将も呆れるも令は桟橋に向かう……係留作業をする為だ。他の使用人も動く。

「ぉ、お主から来るとは珍しいのぉ」
「安静しておかないと四回目は無いって一輝から言われたさ……にぎやかだな」
「兄の次男一家が来ておる……」
「そっか」
「個々の所姿を見せてないが?」
応接間にて初老の男は蒼と話していた。
「ちよっとな、分家筋で不幸があって遺児の後見人を務める事になった」
「ほお……」
「長男は成人しているから面倒は見ると言うが社会人だ、まだ双子の中×生を面倒を見るのも限度がある。悪い事に弟の方が遺伝子性疾患を発症……このままでは成人する前に死亡するって言われた。治験でナノマシンを投与して根治したが……副作用が出た」
「???」
「性転換したのさ、その直後に両親が事故死……暫くは長男が面倒を見ていたが仕事上出張が多くてな……。自分も長男を雇用している会社の元社長に言われるまでは知らなかった」
義理人情に熱い彼なら直ぐに行動を起こした、ほぼ絶縁状態になっていた理由は心当たりもある。そして反対する身内も居なかった……長男としては親族とは言え遠縁、即ち他人同然、最初は戸惑っていたが仕事と双子の妹弟の面倒を見るのも徐々に厳しく、元社長の助言もあり受け入れたと言う。
「妹さんは発症したのは」
「小学六年生の時さ、学校はやすみがちだったから問題は無かったが母親の実家が“医療ミス”と騒いでな……本人は元より両親としては根治しただけでもよかったのだが……」
性転換症に関しては誤認や偏見する年代であるが蒼の旧友でもある彼はそれを知って法的処置も辞さないとして引き離したと言う。明らかに金目当てだ……。
「実はな、将の次男が性転換症を発症している」
「問題は無いのか?」
「ある事はあるが彼女の身体を目当てに寄って来た不届き者ばかりじゃ、正当防衛になってるから問題は無い」
電子端末を操作する蒼、仕事上使っていたが今でも愛用している。表示されたのは退院した時の姿だ。
「美人だな」
初老の男は苦笑した。

【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第二十七話 本家と分家

作 kyosuke

夏休み最初の週末……玲は隣県のある屋敷に家族揃って訪れていた。ここが一ノ瀬家本家の実家である、屋敷と言っても戦前に建てられた洋館であり可也広く、庭を見ただけでも素人目でも財力が伺える。洋館の玄関にて老人が立っており作務衣を着ている。
「一ノ瀬 蒼じゃ、よく来たのぉ。こんな辺鄙な所に」
玲の祖父である一ノ瀬 戒の実弟で本家先代当主からの要請で本家当主を一昨年まで務めていた。立っているだけでも辛い事は玲でも分かり、杖が震えているのだ。
「玲です」
「君の事は戒兄さんから聞いておる……性転換症の事もな」
フラッと蒼の身体がよろけるも玲が咄嗟に支え、傍に居た使用人男性が車椅子を用意し玲はソッと座らせた。
「空手をしておるのぉ」
「分かるんですか?」
「兄もしておったわ、女子でも支えられる身体になってしもうたわ。老いたの」
「蒼叔父さん、御無沙汰して申し訳ありません」
将は告げ頭を下げるも蒼は首を横に振る。表情は険しいが申し訳ない感じだ。
「嫁の実家親類が戯けな事をすれば……兄も高血圧になる程激昂程にのぉ」
玲は本家と分家が交流が途絶えた事件を昨晩知ったばかりだが中学生でも分かる程に時代錯誤だ。分家である戒の孫娘である一ノ瀬 遥に見ず知らずの男性に嫁入りさせようと画策していたがその方が偶然戒の旧友が知る知人であった……それを偶然にも把握した戒は激昂してしまい事態収拾を図るのに日下部先生が奔放、戦略結婚に追い込む為に一ノ瀬運輸の業績を追い落とす陰謀も発覚したのだから無理もない。迅伯父さんもプッツンした。
「玲を紹介したらまた出ると思っていたわよ」
日菜子はおっとりして普段は表には出ないのだが怒るとコワイのだ。
「日菜子さん安心してください、彼はもう出ませんよ」
玄関ホールにて声をかけた男性に日菜子は言う。将と同じ年代であるが……紳士で如何にもオフィスワーカーであるがラフな格好をしている。
「令さん……」
「嫁の実家も彼の扱いには苦労した感もあってね……君が玲ちゃんか」
「ええ、この前までは少年だったですが……玲、彼が本家当主の令さんで蒼叔父さんの長男」
「令です、よろしく……将も娘を持って大変になっていると思うが」
「そうだよ、不埒なモンが寄って来るからなぁ。空手を習わせてなかったらどうなっていたが……」
和やかな雰囲気であるが玲の表情は硬い事に変わりはない。
「それにしても血筋かな、朱鳥に似ているな」
「?」
令が言うと上から物音がした。階段を駆け下りる音が聞こえる。
「お父様っ……えっ」
「えっ」
玲は目の前に鏡があるのかって言う位に自分とそっくりな美少女を見て驚き、彼女も驚く。
「娘の朱鳥だ、君と同じ中学一年。朱鳥、彼女が玲さんだ」
すると彼女は玲の両手を握り笑顔になる。
「朱鳥です!」
「性転換症で女の子になったばかりだからな、一年も過ぎてない」
「まあ……母親の実家にも出てまして、大変ぅて伺っているし」
本当に清楚でリーナとは違う可憐な所もある。
「正弘っ!」
「伊織従兄さん、久しぶりです」
如何にも好青年な男性が正弘と話す。ポロシャツにスラックスと言う如何にも若者の服装だ。
「朱鳥がもう一人……あっ、君が玲ちゃんか……」
「はい」
「自分は伊織だ、今は父の元で働いている。正弘や迅さんとは時々仕事先で逢うからな……一時期は会話の中心が母の実家親類の事ばかりでね、日下部先生には世話になりっぱなしだよ。ん?アイツは?」
玲は朱鳥の手をパッと振り解くと背後から延びて来た手を掴み引き寄せ抑え込む。気が付くと半ズボンとTシャツと言う男児が玲によって抑えられていた。
「おねっ!えっ!」
男児は予想だにしなかった体の動きに驚く。
「次男の陸だ……玲ちゃんと朱鳥を勘違いしたか」
「あっ!」
玲もそうだが女性門下生は道場で時折小学生門下生から悪戯されるが床に抑え込む事が暗黙の了解なのだ。
「玲ちゃん気にしなくてもいいわよ、もう陸は……分家のオジサマ達は怖いからね……」
玲も苦笑するしかない。視線を向けなくとも兄と父の殺気を感じたからだ。

「これは朱鳥にそっくりね……胸のサイズも近いし」
その部屋はまるでアパレル業界の展示場にも見える、正弘は四tバントラックを乗務しているので衣類だけでも畳まずに吊るしたまま運ぶにすると一台では足りない。トルソーまで運ぶとなると……うん箱に入れて貰えても、そんな正弘の表情もどこ吹く風で言う女性が令の妻で長男伊織、長女朱鳥、次男陸を産んで子育て中の陽菜である。派手な感じに見えるがスタイルは良く日頃から手入れを怠らない。
「日菜子~~これなんてどう?」
「陽菜さんも衣類好きね……」
衣類は何れもゴズロリ調に近く外見も若者向けである。朱鳥も高学年になるとフリフリが多い衣類を嫌がっているのだ。
「兄さんの所に幾らか上げたけどね、中々減らないわ」
確か母親の実家で性転換症発症者が出たと言っていたが……玲は陽菜に押される感じで更衣ブースで試着していた。パーテーションで仕切られた場所で朱鳥も居る。
「朱鳥さんは着ないんですか?」
「朱鳥でいいわ……だって恥ずかしいし」
「昔はよく着ていたよね?」
「そりゃあ幼稚園とか小学校低学年とか……こんな服装着ている子も見るけど」
「今の彼氏ってこの手が好きじゃなかった?高校生にしては殊勲な趣味よね」
朱鳥は真っ赤になるが玲も宗介の好みではないかもと思う……。その傍らには陸が膨れており無言で携帯ゲームをしている。
「陸も膨れないの……将さんの子供だから空手はさせているって思ったけど、あれほどの速さで抑え込むって中々居ないわよ……」
「そうね、ちょっと前なら拳が来ていたわ……手加減はすると思うけど、鍛えてないと泣くレベルの強さだし。何よりも何度か襲われているから敏感なのよ……」
朱鳥もそれを聞いて驚き玲に尋ねる。
「怖くないんですか?」
「怖いよ、一歩間違えていたら強×されていたし……」
「???」
「未成年者性的暴行って言う事さ」
伊織はオブラート無しで言うと朱鳥もゾっとする。結局は幾つか貰う事にした……。

将と正弘は屋敷裏手にある海岸にあるボート小屋を見ていた。どうも先代から船遊びが趣味らしく蒼も若い頃には嗜んでいた。だがその小屋も見た目以上に老朽化が進み日曜大工ではもはや無理なレベルで将が見ても建て替えを勧める。
「建て替えをお勧めしますよ」
将は仕事用デジカメを使って撮影して言う。
「うむ。出来れば洒落た外見が良いが……難しいかのぉ?」
蒼も建て替えを考えるもどうしても市街地とのアクセスの悪さに気落ちする。
「コンテナはどうだ?20ftならあの峠道を超えられるだろ。設置や内装で水回りは業者にして仕上げはお客さんらでする」
正弘の言葉に将はニヤりとした、多分そのプランを出すつもりだったのだろう。令も前々から興味があるらしくいう。
「JRの払い下げ12ftコンテナ一つ買っている。物置代わりにな」
「……配送先の道路事情は?」
「書類を見せて口頭で説明したらドライバーが眼が光っていたからな」
正弘も愛車でここに来たのは初めてだが仕事で使う四tでもやっとだ……将も重機運搬の経験からしてステアリング機能付トレーラに事故防止に誘導車両が欲しい場所になる。
「アイツラなら大丈夫さ、住宅地向けに後部車輪もステアリングするトラックやトラッククレーンを持っているから紹介したんだ。ウチの場合は基礎からする必要もあるが……」
潮騒を聞きつつも将は色々と段取りをつけて置く。

「小×四年生かぁ……陸君って」
「そうだけど……玲従姉さんって少年だったんだよね?」
「この前まではね、性転換症の事は学校で習った?」
「特別授業で……発症者は都道府県で各県から数人出て根治治療も確立されてない……」
二人はプールサイドにて携帯ゲーム機でプレイしつつ話す。
「うん、正解……ただこれは第二次性徴異常発育症候群の一つの症例に過ぎない。私も朱鳥も胸が発育し過ぎているのよ……これも遺伝子やら外的要因からの刺激やら色々とあるらしいけどね、あっ」
「へへっっん!どうだ!」
対戦パズルしていたので陸が勝利……。玲はあんまりゲームをするタイプではなく現代っ子にしては珍しい。
「泳がないの?」
陸の顔が引き攣る、多分水泳が苦手な子だ。
「陸は水泳だけは苦手なんだよね、昔溺れて搬送された事もあったし……」
朱鳥がひと泳ぎして言う。学校指定の水着でガードが堅いのは分かる気がする……水着を見ると右胸には校章入りだ、これだけでも名門校と分かる。
「来年には臨海学校もあるんだし泳げるようにならないと……」
朱鳥は呆れつつも兄のスマホに通話を開始する。

「兄は学生時代は競泳していたから教え方も大学で勉強しているのよ……玲ちゃん手伝って貰える?」
玲は頷くと水着姿の伊織が来た、兄や父程では無いが普通の男性と比べると筋骨隆々な肉体である……。正弘も父もだ。
「陸、玲も最初は遠泳が苦手だったさ……それでどうしたって思う?」
「???」
「ランニングを始めた、基礎が無いって判断してね……同時に空手の方も巧く事が進めなかったからなぁ……」
「意外と部活向けな性格だな、学校でもしているのか?」
「門下生に先生も居るから教師の苦労も知っているし……とても部を立ち上げるって言うのは……」
大人社会を垣間見ているから玲は昔からマセていると言うが……伊織は陸の手を握って言う。
「浮く事は出来るのか?」
「うん」
陸はスッと浮くも直ぐに立ってしまう……何よりも彼の表情も冴えない。
「息継ぎか……」
伊織も陸が溺れた事は把握しており以前から気にはしていた。

数時間後、以前よりはスムーズに泳げる様になり陸の表情も和らいでいたが玲を見ると顔を背けるし気まずい表情になる。
「……」
「まさか勃起しているか?」
伊織の言葉に陸は頷く……すると玲は陸のスイムパンツを触れる。玲の顔は明らかに発情している。
「部屋に行くか……」

「やっぱり剥けてなかったな……玲、ローションだ」
陸は背後に全裸の朱鳥に抱かれており姉の匂いがこんなに心拍音が高鳴るとは……何よりも姉とほぼ同じで知り合ったばかりの玲従姉さんの全裸姿にオ〇ンチ〇が固くなる。
「ひっ!つめた!」
「ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね……」
玲ローション塗れの肉棒先端をソッと掴み包皮を下ろしていく。皮を反転させられる感覚にゾクゾクっとした。
「っ!」
「あ~やっぱり……私もそうだったからね、兄の恋人に初めて剥かれた時には亀頭に尿のカスが……」
「確か篝さんか?」
「はい」
伊織は苦笑するしかない。ウェットティッシュで丁寧に拭き取るも陸は心配顔だ……。
「これからお風呂入る前に洗っておけば大丈夫よ……清潔にしておかないと病気になりやすいからね」
まだ硬い、玲はそのまま手で扱くと陸は溜まらず射精した。

【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第二十六話 危機管理

作 kyosuke

「橘さん、その顔は何か知っているんですね?」
「自分の故郷でも似たような事例が……細かくは知りませんがミイコと同様に調教されていた男子学生を知ってます」
「そうね……世間はどうしても女児や女子学生に眼を向けるから男児や男子学生は見落とされる……」
性的暴行なら女性よりも尚更隠す、ミイコが保護されたきっかけも彼を墜とした男性が街中にて職質に逢い違法薬物所持での現行犯逮捕、その後のガサ入れで借りていたアパートの一室から原料の栽培と監禁調教プレイ最中のミイコが発見され薬物専従班は未成年犯罪捜査班に鬼電したと言う。違法薬物捜査班は少女が薬物中毒も覚悟はしたが……彼は手を出してなかったが女装っ子と聞いてびっくりしたと言う。
「一ノ瀬さんも気を付けて、貴方を狙っている狼は多数よ」
「はい……」
思えばあの時も先生らに面と向かって自分の考えをちゃんと伝えられる子で悪く言えば生意気だが良い意味では頼もしく思えた。

歩は一ノ瀬運輸の一角にある会議室にて書類を作成する、ここなら通信環境も整っており迅の好意もあって捗る。溜まっていた各種書類を作成する為に日頃の乗務からノートPCを持ち歩いているがこれは自作PCに嵌りアキバの住民になった従兄が入社祝いに組んだと言うハイスペックなマシンで防水防塵、定期的にバージョンアップもしてくれる。
「ふう~~おわったあぁ」
「鵠さんも仕事熱心ですね」
一郎はアイスコーヒーを出す、銀行員時代に名古屋系喫茶店チェーンの案件を抱えた際に少しでも出資する企業の商品に理解しようとして手を出したのが嵌り、気が付けばサイフォンやらコーヒーマシンにも手を出していた。今はコーヒーエキスと言う超濃度なコーヒーを仕立てるのが多くなっている。
「ありがとうございます」
歩はアイスコーヒーを飲む。
「歩さんは大学には……後悔はしてないのですか?」
「あの頃の私は教育や国のかじ取りする大人には不信感があったからね……私は恵まれた方で、中には中学校すら通えてない方も居るから……」
悪質なのは性転換症発症者を不登校学生として文部科学省に報告を上げた所で週刊誌が報じて関係各位に発覚した時には被害者は既に成人……文部科学省がその中学校に対して下した処分は“各種補助金資格停止”に加え“第三者による調査及び再発防止策”を迫られた。結局その中学校は通学拒否を強要したPTAの面々を差し出し醜聞は余す事も無く週刊誌により報道されている。
「色々とあるんですね」
「研究班ですからね……黒馬運輸も末端になれば大なり小なり問題が山積みで私らは“仕事に使う道具の改善を探る”のが仕事です、カーテンサイダートレーラ導入もその一つですね」
「日本では少数と聞いてますが」
「天候でしょうね……だから日本では金属製パネルの箱が主流に、最も最近は荷役効率でカーテンサイダーも導入が進みつつある」
確かに価格も国産のウィングトレーラの約3/4の安価であり積荷に空調を要しないモノが多いなら選択肢の一つだ。黒馬運輸では研究班が試験運用しているが殆どがチャーター便業務をしている所からの“緊急搬送”である……これで休日が変動が起きやすく若手にしわ寄せが生じているのも事実だ。
「社さんは?」
「色々と顔出して来るって……私が付いていったら勘違いされるから」
「あ~確かに」
学生時代は同世代の不良やら半グレにも一目置かれ、社の活躍で流血沙汰を回避できた面々もおり何人かは社員に……。

「玲がリストアップされ……除外?」
アングラ系HPにて盗撮されたのは明白の玲の顔写真と全体写真には“受付終了”と表示され、報奨金も時価……うん、親父や叔父や祖父が見たらこの場が凍り付くだろう、殺気によって。
「姐御の指示、何組か拉致を試みたけど全て失敗……警察に突き出されたからな。遂には隣県で何も知らずに絡んで来た族連中が返り討ち、一人逃亡中に信号無視で進入して一般車両に衝突し弾みで電柱を支えるワイヤーにより腕が切断……」
社に淡々と説明する豊満なフォルムを持つ男性は眼下にある巨大な鉄板で広島風お好み焼きを作る……彼も学生時代は族であったが卒業し親からこの店を受け継いでいる。ヘラでお好み焼きをカット、社もバイク免許があるので事故の状況もある程度は把握した。
「これはまた大事故だな、胴体だったら警察も大変」
「接合できるかどうかは本人の身体次第、その族も凶器多数所持で現行犯逮捕、更に別件の未成年者性的暴行容疑もありガサ入れ喰らった結果は……」
「証拠が出て来たと」
「魔窟の住民とのやり取りした証拠もね……」
羽搏く鳳凰が刺繍された新緑のチャイナドレスを着た女性はキセルで煙草を吸うもウンザリ顔で線の様な眼が男を誘惑する。
「この調子じゃ新興連中全員警察にパクられるから姐御しては玲を除外したか……」
社は小皿にカットされたお好み焼きを載せ彼女の目の前に置く。すると彼女は品よく箸を使って食べていく。
「最も一ノ瀬社長が李さんの元に直々に来たからネ」
「現役連中は言う事聞くか?」
「聞かないさ……後はどうなるかは身をもって知る事になる」
お好み焼き屋店主は瓶ビールを出すと社は栓抜きを使って蓋を外し一気に呑む。
「玲が通う中学校で一人行方が分からない生徒が出て来た、市内に居ないのは確実だ。慕っていた兄貴分が東京郊外の某市に居たから彼も向かった事は警察も掴んでいる」
「スマホは本人が所持しているが連絡がつかず」
「……魔窟か」
社も噂は学生時代から真偽不明の噂は聞いてはいるが関われば二度と抜け出せないのだ。厄介なのは魔窟は街並みに溶け込んでいるのが多い上に商品にされるのも男女問わずだ。
「ウチは手を引いたけど、魔窟に仲介出来る何人かの所は玲ちゃんを賞金首にしている……」
「……OK、悪かったな」
「イイアルヨ、祖父が炭鉱事故で働けなくなった時に祖母を雇ってくれたからワタシがココニイルカラ」
すると彼女はスリットを上げた。社はギョっとするもお好み焼き店主は首を横に振る。つまり彼女は社とヤリたいらしい……御無沙汰だからだ。
「……ダーリン寝取り返す変態デアルネ」

「どうぞ、社さんなら幾らでも」
寧ろ妻をレ×プしてほしいと言うド変態な夫に社は言葉を選ぶ。
「ピルは?」
明かに中国人の血がある旦那はまるでダッチワイフを貸す様なノリで言うがこの夫婦にとっては何時のも事であり、ラブホテルの一室にて先程までお好み焼きを食べていた女性がベットの上に座っていた。恐怖ではなくこれから社の肉棒に狂わせてもらえる楽しみにしている雌の顔だ。
「服用させますか?」
「させろ……ちゃんとしたモノだよな?」
社としては幾ら“妻を寝取られる願望がある”としても懐妊は避ける。叔父の一件で学んだのは段取りが如何に大事か……。
「口移しでどうぞ♪」
社はピルを歯で加えてチャイナドレスを着た女性の口に押し込み彼女も慣れた様に飲み込む。ディープキスになるが……。
「(夫は兄が性転換症発症して逆レイプされたって言っていたな……妻は性転換症発症で在日している親類に頼って来日して帰化か)」
この二人は境遇が似ており意気投合して高校卒と同時に結婚したのだ。最も妻が淡麗美人であるがヤリマン、夫は寝取り返すのが趣味と言うだけあって一物も凄い。頼りない風貌に見えるが彼自身も武術の猛者、恐らく中国拳法の流派だと思うが……。
「……さてと」
秘所を触れると十分愛液が出ており下着が張り付いている。数年後にはこの二人が育てている長女がお年頃を迎える。そう思いつつ肉棒を出すと彼女は舌で舐め始めた、夫の目の前で。

「たっぷり出して感謝アルネ」
一時間後、漸く満足した彼女は笑顔、社も久しぶりの名器に揉まれた肉〇からの感触を楽しんでしまった。最も玲の一件を思うとこの一回だけじゃ済まされないな……社は少し考えると夫が尋ねる。
「峰沢 雄哉?」
「彼を探している、東京で見かけた奴はいないか?」
「東京は広いし俺の職場は郊外だ……歌舞伎町にツテがあるのだろ?」
夫は首を横に振る辺りはツテも空ぶり、こうなると何処かの魔窟に居る。

【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第二十五話 艶の教室

作 kyosuke

 三沢市郊外にある炭鉱跡は“県の史跡”として一部が保管されている……そして炭塵爆発と落盤と言う大惨事になった竪坑跡は三沢炭鉱大事故の慰霊碑と記念館がある。この自治体にある小学校に通っているのなら一度は訪れる場所だ。その周辺には炭鉱住宅がかつてあった事を示す記念碑があるが墓標みたいなものだ。
「ここだ……」
「元高校だったんですね」
宗介と玲は廃校になった高校を訪れた、廃校後は旧炭鉱周辺にある住宅の為に公的機関の出張所と言う使われ方もしていたが徐々に宅地が多くなり駅から離れている事もあってか仕方なく庁舎を新設、今は公認精神衛生パートナー制度利用者の“ラブホテル”として使われている。

「はい、確認しました。橘様と一ノ瀬様は当該施設は初めてのご利用ですね?」
受付にて事務員が二人のマイナンバーカードをスキャンして制度利用者である事を確認。パンフには制度の意義を解説し悪用すると刑事罰になる事も記載。
「はい」
二人の手首にはIDタグが装着され、施設専用端末を渡される。これで音声ガイドや諸手続きが出来るのだ。
「更衣室はペアでお願いします」
「「はい」」
この施設はペアでの利用が原則なのだ。

二人は着替えを終えてある教室に……。肛門性愛とプレートがぶら下がっている。宗介はハイレグメンズパンツにガウンを羽織り、玲はミニスカセーラー服……なお衣類はこの施設のモノである。
「失礼します。橘と一ノ瀬です」
すると、教壇に居た女性は振り向き端末を見るなり言う。
「はい、御予約された……あら一ノ瀬ってまさか」
「えっ、柳先生?」
それは玲が小学校三年生当時に教員である柳 綾子で学年は6年生担当、悪ガキが玲か隆士かリーナに絡み拳が飛び交ったので知っていたのだ。一昨年に退職した事は知っていたが……その後の事は知らなかった。
「……お兄ちゃん子だったから、大人を選んだ、性転換症発症ね」
宗介を見た綾子は苦笑しつつもタイトスカートとブラウスと言う如何にも女教師の定番服装を脱ぐと光沢を放つ深紅の革製下着姿に。
「今回はア〇ル性交までを一通りやりたいと、受けは一ノ瀬さんのみね」
「はい、あのパートナーのペ〇スを勃起させます」
玲は躊躇無く宗介の唇にキスをする。綾子を一人の女と見ているのだ、この雄は私のモノ、そしてハイレグメンズパンツを下すと綾子も唾を飲む……可也の大物で秘所が涎を垂らす。それを扱くがまだぎこちなさが残っている。
「これは慎重にしないとね……あっ」
教壇にある教卓の下から何かが這い出た、女子競泳水着を身を纏い生地に包まれた醜い肉棒を躊躇なく見せて少年と分かり口枷と耳枷を装着……お尻の穴には何かが挿し込まれている。
「えっ……」
玲は驚く、久遠に絡んで居た男児の一人でウィックはしていたので直ぐには気が付かなかった。
「覚えていた?私が初めて見た時には女装癖を持ってしまってね……ほらあの子の子分だったからね、中学受験も失敗して家庭内はギクシャク、そんな時に母親の不倫相手に唆されて……」
彼も玲を見て驚くもあの時の様な覇気は無く、宗介の肉〇を見てケツ穴から汁が出る。その表情は雌だ。
「ここでは源氏名のミイコって呼んでね、大丈夫よ、私の可愛いク〇チ〇コはハウスされているの」
股布を外すと貞操帯が見えた。これも安全管理なんだろう。
「一ノ瀬さんが女になったって言うのは聞いていたからここにくるっておもっていたんだ」
そう、ここは性倒錯者のストレス発散場所でもあるのだ。

玲は尻を突き上げる形になり、宗介はイチジク浣腸を手にする。
「あんっ、いやだぁ」
秘所から舐め始め尻穴を舐める宗介はそのままイチジク浣腸を玲の菊門に差し込み容器を押しつぶした。
「っ!」
直ぐに煽動する腸内、これでも初心者用で赤ん坊にも使える成分にしている。
「そのまま和式便器に跨って……武道をしているからン~~映えるわね、最近は新一年生も跨って出来ない子も居るしね~」
強化アクリル製和製便器に跨った玲は耐えきれずに排便、健康優良で纏まった便だ。丁寧に拭き取る……。
「次はローション、これで揉み解すのよ……経験は?」
「前の恋人で何度か……ただ年下で小柄は」
「正解ね、性〇周辺はデリケートでお医者さんに診察されるだけでも精神的にキツいのよ」
マットの上でまんぐり返しされ玲のア〇ルを揉み解していく宗介。やがて柔らかくなると再び尻を高く上げたポーズを玲に取らせる。
「ぅ!あっあっあああっああっあ!」
「(!)」
やはりと言うか玲の菊門の締まりは尋常ではなく宗介もペ〇スが圧壊されるかと思う位に……玲は女性器とはまた違う感覚と快楽に酔った。

「う~」
「この感じも慣れだからねぇ……私が散らされた時は数日オムツだったんだよ」
学食跡も軽い食事なら出来る様にオートコンビニの自販機が置かれていた。玲は違和感を感じる表情にミイコの言葉に宗介は驚く。
「今思うと私の破瓜は可也危なかったわね。ピンは肛門裂傷にキリは性病……母親の不倫相手って本当は私が本命だったと言う事よ」
ミイコは苦笑しつつも遠目になりジュースを飲む。なお彼女の服装は運動Tシャツ+ブルマである……高校生であるがどうも中学時代に薬物により身長抑制されていたらしく玲とは頭一つ分高い程度だ。
「あの時はその」
玲が言うとミイコは首を横に振る、殴られて当然のことをしたのだ。何よりもあの時の被害者女児が不登校になっていれば……。
「何時かは一ノ瀬さんにお礼を言いたかったの」
ミイコは作り笑顔と分かる、玲にも……。
「アッ、次の仕事があるから……失礼するわ」
ミイコは足早にその場を後にした。数分後綾子は言う。
「一ノ瀬さん、彼ね……中学一年生の夏休み前には既に前立腺刺激による射精を骨の髄まで叩きこまれていた。そして保護されたのは中学三年生の秋ね。出席日数ギリギリでね……」
「やはりか……」
宗介は察していた、男の急所は金的だが最も効くのは前立腺なのだ。

【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第二十四話 恋人の住処

作 kyosuke

※第二十三話は欠番?

社が里帰りした、聞けば有給消化が進んでなく人事からお怒りのお呼びがあったらしく、社は三沢市ロジスティクスベースに付いた途端に数日の休暇が言い渡された。祖父の戒もにこやかに出迎えた。
「こちらが同僚の鵠 歩、今夜から数日はここに居る」
「確かに三沢市のビジネスホテルの稼働率は凄いですからね」
桐野も呆れるのも無理はない、銀行の融資に居た身なら羨ましく思う……。
「鵠 歩です、あっ大丈夫ですよ。私性転換症の発症者ですから」
現年齢から学生時代を推測すると"不遇世代”だ。
「部屋は俺が使っている所で……」
普通ならデリカシーが無いが歩は逆で気にしてない、平然とネットカフェの梯子すると言い出し、社の黒馬運輸に置ける恩師の一人でもあるベース長が止めた。
「親父は?」
「今日も走ってますよ、え~と」
桐野は予定表を確認している間に歩は社内に飾られたトラックの写真を見る。
「全部三沢自動車なんですね」
「起業した時から三沢自動車に世話になっているんだよ……今のフラックシップがスカニアになった時にはちょっと話題になったけどね……台車(トレーラ)は三沢自動車車体製だ」
社は苦笑するが三沢自動車現相談役は躊躇する迅にスカニアに乗る様に勧めたと言う……。
「社従兄さん」
「あっ、玲なのか」
「うん」
話には聞いていたが……爆乳女子中〇生が身内に居るとなると、すると玲の背後に男性が居る事に気が付く。
「玲、背後の方は?」
「初めまして橘 宗介……三沢自動車本社工場競技車両部門に所属してます」
名刺を出すと社も慌てて名刺を出すとピンと来た。独特の空気に玲は苦笑する。社も宗介も互いに同類と理解したのだ。
「可也の腕前……空手ですか」
「はい。そちらも……」
歩も社がこんな楽しそうな表情を見るのは初めてだ。玲は言う、ここで組手されたら困る。
「道場に行きますか?」

道場に付くなり胴着に着替え軽くアップする二人。日比谷師範が審判を務める、歩も何となくついて来た。玲が横に居る。
「玲さんって変性症発症者ね……学校とか問題ない」
「はい、まあ変な不届き者に絡まれる事が数回ありましたけど」
歩は少し安堵したが同時に羨ましく思う……自分の時には入学予定の中学校が通学拒否された、ただ父親の故郷にある学園法人が手を差し伸べ歩が父親の実家から通学し高校卒を得ることが出来た。高校時代にバイトしたのが黒馬運輸で進路の時も就職を希望、オープンキャンパスにも参加するも大学で何を学んでも無意味と思ったのだ。どの道差別される位なら人材不足の業種に就職した方が良い……歩はそう判断して高校三年の冬に普通自動車免許を取得し更に中型や準中型も就職後に仕事の合間を縫って取得、遂には大型と牽引も取ってしまった“変人”である。今は研究班と呼ばれるシステム構築の実験部隊である。
「歩さんの世代って」
「ええ、不遇世代ね……転校を強いられるか通信教育で高校卒検定を取る事を強いられた……そんな事もあるからこの世代って教育関係のお役所や組織は不信感を持っているのよ」
選挙なんて白票を投じる人も居ると言う。一ノ瀬運輸の所さんも転校を強いられた事実だ。
「社従兄さん、キレが衰えてない?」
「社員寮の近くに空手の道場が在って子供達に教えているし、師範代の方との相手をしているから」
「その方って」
「確か警視庁に長年勤めていた方って……ガタイが良い人ですよ。私も休みの時にはお手伝いしてますから」
成程、錆びてない筈だ。宗介とまともに組手が出来るのも……。
「好きなんですね、空手が」
「うん……」
他の門下生は声を上げる。歩は男性だったら彼とは出会えなかっただろう……。

「強いなぁ」
「いえ、まだまだです」
組手を終え宗介の謙虚な言葉にも社は微笑む、玲が一目ぼれしただけはあるな。従弟の正弘によく似ているのだ。二人とも凄い汗であり匂いもする。
「(あっ、濡れちゃう)」
歩は体質状感じやすいのだ、彼女が女になった時は高校生でバイト先の先輩社員に処女を散らした、彼女の意志で。その方は異動になり数回程度であったが歩が女になった事で迷いが吹っ切れたのである。
「っ……」
玲も発情しているらしく顔が男を誘う。社も宗介も察した……。
「あのよろしければ自分が住んでいる所で……双子の妹も留守です」
宗介は言う。

「橘 十三郎って建築家の方ですよね?」
表札を見た玲が尋ねると宗介は言う。
「伯父さんの職業の一つさ、今は作家かな」
宗介と双子の姉妹が三沢市での生活拠点にしているのは伯父夫婦の家だ、どうも伯母が三沢市出身で両親が遺した土地を利用して建てた訳だ。都内にも自宅はあるがコンテナ規格建材を使うには不可の立地条件である。
「コンテナ建材規格の住宅実証なんですね」
宗介の部屋はガレージと一体化している、セキュリティーも試作型を導入しており愛車も敢えてアナログ起動方式にしているのか自動車窃盗犯を取り押さえた事もあると言う。どうもハイテク機材で盗んで来た面々でアナログな盗み方は知らなかったらしく、宗介の父親により逃げ遅れた一人は警察が来た時には頭に星とひよこが回っていた。
「鵠……」
「は、ぁはいっ」
鵠は社のスラックスのジッパーを歯で下して肉〇を出す、同時に来ていたブラウスも脱ぎ程良いフロントホックブラも外れ、舌は社の肉〇を舐める。
「宗介お兄ちゃん♪」
玲は宗介に軽くキスをしつつも手でソフトに肉棒を刺激する。
「社さん、これを」
見ると天井には滑車にチェーン付手枷……エンジンも下せる本格的なモノであるので女性を吊るせる。社は口笛を吹きつつも歩をM字開脚で中釣りに、宗介は玲を吊るし片足を上げた状態に、太腿に丸まった下着が何とも……。
「宗介お兄ちゃん♪」
「社様ぁ♪」
汗と体臭で雌の本能に火が付いた二人は元男性であるのは社も宗介も知っているが萎えないのだ。
「「ペ〇すちょうぉだぁおっい!」」
二人は頷いて其々のパートナーにペ〇スを秘所に挿入、玲も歩も妖艶な音色を口から出す。息使いも艶がある様に……。

一時間後、二人の裸体は精液塗れになり吊るされた状態から解放される。すると歩は玲の秘所に指を入れた。背後からだ……。
「あっうん!」
「中学生なのに、雌になっているわね」
「鵠は両刀使いだからなぁ」
玲なら振り解けるが嫌がってない……。
「初めてじゃないわね?」
「童貞下ろして貰った相手に」
「……そっかぁ、私の時には体制が整ってなかったからね」
歩は苦笑しているが研究機関にとっては致命的とも言える、日本に置ける性転換症研究が先進国では遅れているのも事実だ。
「ぁ……」
宗介も社は黙って見ていた、何処か背徳であるが美しい絡み。

「一ノ瀬って聞いて直ぐに分かったよ、将さんの所の娘さんだね」
「はい」
「話は聞いてはいたけど、宗介は息子同然でね……」
数時間後、玲と歩で調理をしていると伯父が帰宅した。伯母は入院しており世話をしていると言う。当然一ノ瀬運輸の現社屋ビルも手掛けているので社の事も知っている。
「社さんは迅さんの所か……社屋もよく手入れして貰っているし」
「父に伝えておきます」
如何にもダンディで建築家をしている風貌である十三郎はにこやかに二人が作ったパスタを食べていた。
「ガレージ付の賃貸も好評でな……案外備えて置いてよかっただろ?ウィンチは……」
「「……」」
二人は顔を真っ赤にさせる、発情していたとはいえ……二人とも映像に残してないだけでも良心的である。

社と歩は帰宅すると迅が待っていた。
「所長から話は聞いている、騒がしい所ですが」
「いえ……私も仕事中毒で管理されてないとダメな……あの撮影して大丈夫ですか?スカニア」
「是非……」
迅も相棒の良さを理解した歩を見て微笑む、確かに深蒼色でユーロスタイルにドレスアップされたスカニアは目立つ……彼女は一眼レフで撮影をする。
「好きなんだな」
「玲と同じさ、生まれ故郷とは疎遠になっているけどね」
迅も所を初めとする数人の女性社員が元少年なので心中複雑なのだ。

«  | HOME |  »

FANZAさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

FANZA専売品コーナー

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2023-06