FC2ブログ

Latest Entries

【300DL突破】10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 第2章-2

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

それから三日後の夜。
「ごちそうさまでした」
 夕食を食べ終えた俺は、行儀正しく両手を合わせ、食後のあいさつを行った。この辺は日常的な習慣として根付いている。
「食べ終えたか。そのまま座っていろ」
「えっ?」
 傍らに立つ監視役の男の指示を、俺は訝(いぶか)しむ。
(座っていろって、また動画でも撮るのか?)
 実際、野郎(俺)がブラジャーとショーツを身にまとった変態的な姿でSOSを求めるという、いろんな意味で衝撃的な映像が全世界に配信されたにも関わらず、肝心の身代金については何の音沙汰もない。まあ、傍から見て異常とも思える吝嗇っぷりで有名な祖父龍造が、そうやすやすと十億も支払うはずがないのだが。
(今度はどんな衣装を着せられるんだ? 女物の下着とくれば水着? それともレオタード? それとも……メイド服とか……?)
 頭の中で憶測をぐるぐると巡らせていると、こつこつという音が響いてくる。
 おそらくは階段を下っている音だ、と気づいた時、向こうの壁際に設置されているドアの一つが内側に開き、数人の男たちが姿を現す。
 彼らの姿には見覚えがあった。全員が黒装束に身をまとい、顔にはお面を付けている。
「なっ……!」
 拉致された時の恐怖心が甦った俺は、瞬間的に椅子から立ち上がった。彼らの異様な姿が、これからきっと、とんでもないことをされるという直感をもたらしていた。
「――座っていろと言ったはずだっ!」
 いずこともなく駆け出そうとする脚に、すかさず監視役男の鞭がひゅんと飛び、
「あいたっ!」
 したたかな打撃の感触とともに俺は、脚を絡め取られて姿勢を崩す。
 床に倒れ込むこととなった俺の身体に、駆け寄ってきた体格の良い黒装束ども。
 一人がこちらの上半身を組み伏せ、もう一人も下半身を組み伏せる。
「くっ……離せ離せっ!」
 そう言ってもがくものの、屈強な筋肉によってがっしり抑え込まれた両腕と両脚は微動だにしない。
「例のものは持ってきたな?」
 監視役の男の声がし、まもなく後ろのほうで響いてくる、かちゃかちゃという物音。
 明らかに、何らかの準備をしていた。
(『例のもの』って何だ――? もしかして監視役が言っていた、女体化するためのホルモン注射ってやつか……)
 背後を振り向けない俺は、前に恐ろしいことを言われていたのを思い出していた。
(そう考えれば合点がいくかも……現に今、動けないように組み伏せられてるわけだし……ってことは、準備されてるのは――)
 そこまで思考を巡らせた時、俺の前方に回り込んできた監視役の男。
 彼の右手に握られていたのは、やはり注射器。
「げげっ……!」
 途端に青ざめる俺に対し、
「では、女体化ホルモンの注射を行う」
 事もなげにそう言った監視役の男がしゃがみ込む。右手の注射器のシリンダーは、得体の知れない緑色の液体で満たされていた。
(あれが、女体化ホルモン? あんなものが、今から俺に投与されるのか……そしたら、俺はどうなってしまう?)
 女体化は自分にとって、未知の恐怖以外の何ものでもない。
 監視役の男の左手が、俺の右手首に伸びる。
 袖のボタンが外され、ぺろりとシャツがめくられた。
 むき出しの前腕部に、注射器の針先が迫りくる。
「い、いやっ、やめてくれっ……!」
 最大限に力を込め拘束から抜け出そうとするが、万力で固定されたように動けないのは相変わらず。
「やめろやめろっ! 後生だっ……!」
 だが無情にも、針先が前腕部にあてがわれ、
「痛っ……!」
 沈み込んだ瞬間、強烈な痛みが神経に響く。

1縮小

(嘘だろ……俺の身体に女体化ホルモンがっ……)
 シリンダー内部の緑色の液体が、みるみるうちに少なくなっていく。
 完全に空になったところで、ゆっくりと針が引き抜かれる。
「えっ……終わったのか……?」
 何の変化も起こらず、思わず拍子抜けしてしまう。
「筋肉に注射を打った。間もなく効き目が出てくるはず……」
 注射した部位にコットンをあてがう監視役の男が、そう呟いたタイミングで、
「………………ぬうあっ!!」
 突如として身体の奥が熱くなり、俺の口元からうめき声が上がる。
 それを確認した黒装束二人がそっと、俺の身体から離れた。
「あっあっ、あぁぁぁぁっ……!」
 たちまちに身をかがめ、うずくまった体勢で苦悶の声を上げ続ける俺に、監視役の男は冷静に言葉をかける。
「数時間は身体が熱くてたまらんと思うが、我慢しろ」
「はあっはあ……なん、だと……」
 残酷な言葉であった。灼けるような熱さに包まれるのは、とっても苦しいというのに。
(これから、これから俺はどうなってしまうんだっ……?)
 膨れ上がっていく熱量とともに、これまでにない違和感が、細胞レベルで増大していくのを確かに感じ取りつつ、そのまま俺は眠れぬ夜を過ごすはめになったのであった。

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

【DLsitecom版も発売&300DL目前】10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件第2章-1

0.jpg

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

第二章 進行する女体化調教

「――あれから十日経つが、まだ身代金は支払われていないようだな」
 あらかじめ用意された朝食を終え、またいつものように本でも読もうと食事用のテーブルから席を立とうとした俺の前に、薄紫色の髪の色をした監視役の男がいつも通り、ビシッとした黒服を着用し姿を現す。
「ああ、そのようだ……」
 静かに俺は返答する。正直こうなるのは十分予想がついていたので、いまさら驚くことはない。救出のめどが立たないというのは相当不安だったが。
「よって、新しいメッセージを撮影する」
「また裸になれっていうんじゃないだろうな……」
 げんなりとし、俺は返答した。
「いや、今度は服を着たままでいい。ただし……」
「ただし……?」
「これに着替えてもらう」
 そう言うと監視役の男は、片手に携(たずさ)えている紙袋を手渡す。
「なんだこれ……?」
 ひとまず中身を覗き込んでみると、ピンクがかった白という、普段の衣装とは。だいぶ違った生地の色。
(どんな服なんだ……?)
 実際に取り出してみた俺は、そこで驚愕することになる。
「…………!!」
 紙袋の中に入っていたものは、ブラジャーやショーツといった、いわゆる女性の下着類であった。
「これ、女物の下着じゃないか!」
「そうだ」
「そうだって……」
「これに着替えて、録画を行う」
「ええっ……」
 どう考えてもおかしなことを言っているにも関わらず、さも当然のような監視役の口調。
 理解が追いつかず、唖然とする他なかった。
「どうした早くしろ」
「あの、いったい何の目的があって女性の下着なんか……」
「我々のボスからの指示だ。目的までは知らん」
 ひょっとしてこいつらのボスというのは、相当に倒錯した性癖の持ち主なのだろうか?
「さあ、着替えるのだ」
「マジかよ……」
 当然納得はできなかったものの、着用しているシャツ、ベルトを外しスラックス、その下のトランクスをやむを得ず脱ぎ捨てる。殺されないためには従順にするしかないし、第一この状況で抵抗しても仕方がない。俺に選択肢は存在しなかった。
「そういや、靴下は履いたままでいいのか?」
「……勝手にしろ」
 若干呆れたような口調で返答される。まあ薄ピンクのブラとショーツに黒い靴下というのもミスマッチな気がしたので、一応脱ぐことにした。
 ……もっとも、男なのに女性用下着を着けること自体、すでに十分なミスマッチと言えるが。
 否応なしにこみ上げてくる心理的な抵抗をどうにか抑えつつ、俺は下着を身に着ける。
(何だこりゃ……)
 装着を終え、最初に覚えた感想がそれだ。真っ平らな胸元に装着したブラは、女性ものとしては小さめのサイズながらも十二分な膨らみがあり、ぽっかりと開いた内側の空間が、本来装着すべき対象に装着されていないことを否が応にも主張している。
 下半身は下半身で、あくまでも女性を対象として設計されたパンツが、男性器の形状をあからさまに、ぴっしりと浮かび上がせていた。
 逸物に布地が密着し、圧迫される感触というのは、決して気持ちがよいものではない。
 相当な違和感のあまり、くらくらっとめまいに似た感覚を覚える俺に、監視役が平然とした口調を投げかけてきた。
「準備はできたな。それでは椅子に座れ」
「今度は、プラカードはないのか?」
「ない」
 俺は頭を抱える。たとえ女性用下着を着用したこのみっともない姿でも、胸の部分が隠せるのならばなんとかなると思ったのだが……。
 椅子の側に突っ立ったまま躊躇(ちゅうちょ)していると、
「ほら、どうした?」
 促されたので、ついに覚悟を決めて座る。
「今度言う台詞だが、『このままでは女の子にされてしまいます。身代金十億円を支払い、私を助けてください』だ」
「何だそりゃ……」
 女の子にされてしまうだと? それってどういうことだ? 女装以外の意味でもあるんだろうか?
「ちなみにポージングだが女性らしく、胸の前で両手を組んで切々と訴えてもらおう」
「わかったよ……」
 渋々言われた通り、ブラジャーを着けた胸の前でがしっと両手を組み合わせる。まったく、男として情けないったらありゃしない。
 だが従わねばならないのはまさに、人質の悲哀というものである。
「では、撮影開始だ。スタート!」
 かけ声とともにビデオカメラのボタンが押され、
「……このままでは女の子にされてしまいます! 身代金十億円を支払い、私を助けてくださいっ!」
 仕方なく、やけくそ気味に言い放つ。
「よし。撮影終了」
「ほっ……」
 一発でオッケーが出たので、安堵の息を吐く。ただでさえこんな格好をさせられ、そのうえリテイクまで食らったら悪夢としか言いようがない。
(これ、全世界に流れるんだよな……翻訳までされて)
 当たり前のことを、改めて確認する。
(胸にブラジャーを着け、下にはショーツなんて履いた俺の姿が、全世界に配信されてしまうのか……)
「うっ……」
 急なめまいに襲われ、額を片手で支える。前回も相当だったが、今回は変態以外の何ものでもない格好であるため、世間の同情というよりは好奇の視線や、下手をすれば嘲笑や偏見を誘う結果になることは火を見るよりも明らかだろう。
「んっ、どうした体調不良か?」
 監視役の男が、ビデオカメラを操作する手を止め、こちらに寄ってくる。
「いや、なんでもない……」
「そうか。ならよかった」
 納得してくれたようだ。人質の健康に配慮してくれるのはありがたいのだが、あまりに生真面目すぎるような気もする。
(でも……心配してくれるのは嬉しいよな……)
 人柄に感じ入ったところで、監視役の男が口を開く。
「ところでお前、勃起してるみたいだぞ」
「えっ……?」
 正面から俺を見下ろす彼の冷徹な視線がちょうど、ショーツを履いている股間部に注がれていた。
「げっ……」
 盛り上がって張り出していた股間部に気づき、俺は慌てて両手で隠す。
(い、いつの間にこんな――もしかして俺、ブラジャーとショーツを着用していることに、無意識のうちに興奮してるのか……)
 自分でも驚きだった。よりにもよってこんな時に。
 そんな恥ずかしい痴態を目の当たりにした監視役の男は、表情をぴくりとも動かさずに一言。
「このまま身代金が払われなければ、実際に女体化するためのホルモン注射が行われる」
「へっ――?」
 今、恐ろしいことをさらりと言われた気がした。

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

【DLsitecom版も発売&200DL突破】10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件第1章-3

0.jpg

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

こうして、謎の犯罪組織による中村裕明の誘拐メッセージは、某大手動画サイトを通じて全世界中に配信されることになった。
 彼が全裸だったのはもちろん、犯行グループから要求された『十億円』という莫大な身代金の額はなんともショッキングである。
 当然、一大ニュースとして各国で報道され、すぐさま世論の同情と関心を引き起こしたのは言うまでもない。
 衝撃的な配信から一週間経過した頃の、裕明の実家での出来事。
「だから、出せんものは出せんと言ってるだろう!」
 受話器越しに、老人の怒号が響き渡る。
 それにもめげず、女性は再度頼み込む。
「そこをなんとか、お願いいたします」
「だめなものはダメだっ!」
 必死に懇願するものの、取り付く島なく断られる。
 女性は中村あかね。誘拐された中村裕明の母親だった。
 いち地方公務員である彼女に、十億円もの途方もない大金が用意できるはずもなく、やむにやまれず電話した相手。
 それは祠堂グループ総帥、祠堂龍造その人である。
 死別した夫である靖晃との駆け落ち以来、ほとんど連絡を取り合っていなかった相手ではあるが、息子の窮地を救うことができるのは、もはや彼以外において他なかった。
 諦めるわけにもいかず、あかねは一人息子を助けんと必死の懇願を継続する。
「そんなっ、裕明はあなたの実の孫なんですよ」
「知っておるわ!」
「ならどうして……」
「孫だからこそ」
「えっ? どういうことです……」
 わけがわからず、あかねは怪訝(けげん)そうな声を漏らす。
「儂には孫がたくさんいるのは知っておろう」
「ええ」
「犯人側の要求通り身代金を支払い、そのことが全世界に知れ渡ってみろ。『ドケチで有名な祠堂龍造もしょせん人の子、愛する孫を人質に取られては為す術なし』という風評で、以後は他の孫たちまでもが誘拐に巻き込まれてしまうわ!」
「それは、そうかもしれませんが……」
 老人が言うことは、ひとまずの正論で間違いないだろう。
 だが人としては、情が通った発言ではない。
 故に息子を想う母としては、どうしても噛みつかざるを得なかった。
「ですが、このままあの子を見殺しにしろっていうのですか? せめて全額までとはいかなくとも、十分の一だけでも……」
「たとえ一円でも、儂から出すつもりはない!」
 にべもなく拒絶したあと、老人は言葉を続ける。
「だいたいお前は、裕明の親権をよこせという、たってからのわしの願いを、散々断り続けてきたではないか!  それを何だっ、今になって裕明が誘拐されたから、身代金を払ってほしいなどと抜かしおって! 盗人猛々しいとは、まさにこのことだなっ!」
 ここでいう盗人とは、他でもないあかね本人である。二十五年も前、龍造の息子である靖晃はあかねと熱烈な恋に落ちた。ただ彼女との交際を、父の龍造は決して認めようとはしなかった。結果、靖晃は家出してあかねと駆け落ちすることとなる。
 当然龍造はあらゆる手段を用いて二人の所在を突き止め、どうにかして靖晃を連れ戻そうとしたものの、当の本人があかねにぞっこんだったため、最終的には失敗。
 溺愛している息子が、赤の他人に取られてしまったという感覚に陥った龍造は、それ以来あかねに対し、一種の憎悪に近い感情を抱(いだ)くようになったのである。
「まったく……お前のような女にたぶらかさなければ、靖晃も死なずに済んだのだっ!」
「……夫が死んだのは、私のせいではありません……」
 毅然として言い返す。靖晃が不慮の事故死を遂げてからというものの龍造は、『忘れ形見である裕明の親権をよこせ、儂が引き取って面倒を見てやる』とあかねに対し、再三要求を突きつけてきた。
 それらを断り続けた理由は、最愛の人と守ろうとした、最愛の息子との家庭を毀(こわ)されたくなかったためだ。
 裕明を育て続けることこそが、彼女にとって夫との絆を保つ手段となり、何よりの生きがいであった。
 いくら実の祖父からの要請と言えど、息子の母親を止めるつもりは毛頭ない。今までも、そしてこれからも。
「とにかく、儂の財産からは一円も出さんっ! たとえ、地獄の閻魔に命じられようともだっ!」
 とうとう業を煮やしたのか、大音声(だいおんじょう)Aとともにがちんと電話が切られる。
「なんて人……」
 ツーツーツーとビジートーンが聴こえてくる中、龍造のおよそ人間として非常識なほどの薄情さに愕然とする。今までも決して人格者であるとは思ってこなかったが、まさかここまでとは……。
「靖晃……どうか、裕明を助けて……」
 受話器を置いたあかねは、この世にいない夫に対しすがるような想いでその名を呼ぶのだった。

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

【好評発売中】10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 第1章-2

0.jpg

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから


 どれくらい気を失っていたのだろう。
「ううっ……」
 ふと目を覚ますと、真っ白な見知らぬ天井。
 ゆっくりと身を起こしてみる。ここで初めて、自分がベッドに寝かされていたことに気づいた。
 ジャケットは脱がされているが、拉致された時と同じ、上は白シャツ、下は紺色のスラックスという服装である。
「ここは……」
 辺りを見回す。二十平方メートルはあろうかというだだっ広い室内には、さほど物が置かれておらず、なんとも殺風景な印象がする。
 特筆すべきものといえば、椅子の前に設置されたビデオカメラ。
(何だあのカメラ? やけに本格的な感じがするが、まさかあそこでライブ配信でもするんじゃないだろうな……)
 設置された目的を脳内で推測していると、壁際の複数あるドアの一つが内側にぎぎぎっと開き、とある人影が現れる。
「やっと目覚めたようだな」
 入ってきたのは、俺の首を締め意識を失わせた張本人であった。
「…………」
 俺は無言で、彼の姿を確認する。
 目を引くのが、そのすらりとした長身。俺も背が低いほうではないのだが、彼のほうが四、五センチは明らかに上だった。
 着用している黒色のエージェントスーツはビシッとしており、均整が取れた体型のスリムさを際立たせている。
 長めの髪は後ろで一本に束ねられており、どことなく中性的な雰囲気を漂わせていた。
なお、覆面で顔が見えないのは相変わらず。
 こつこつと近づいてくる彼に対し、やはり俺は質問をぶつけた。
「おいっ、ここはいったい――」
「詳しくは教えられないが、周囲から隔離された場所だけとは言っておこう」
「周囲から隔離された場所? 俺を閉じ込めてどうするつもりなんだっ!」
 ベッドから立ち上がった俺は、目の前の彼に食ってかかる。
「一言で言えば、誘拐だよ」
「誘拐……?」
 奇妙な響きだった。普通誘拐といえば、よほどの重要人物かその親族を狙うもの。理由は政治的な駆け引きの道具に使うとか。もしくは身代金目的とか。
(待て、身代金……?)
 はっとした俺は、覆面の彼に問いかける。
「もしかして……俺の祖父の遺産目的か?」
「そうだ」
「…………」
 予想通りの返答に、少しだけ無言になって思考をクールダウンさせたあと、
「祖父って言ったってな……知ってるだろ? あの人は超がつくドケチってことくらい」
「いくらなんでも、実の孫の身代金ぐらいは出すだろう」
「どうだかな……」
訝(いぶか)しむ俺を見て、さぞ彼は覆面の下で怪訝(けげん)な表情を浮かべているだろう。
 ここで、俺の祖父についての話をせねばなるまい。
 俺の父方の祖父、祠堂E(しどう)龍造(りゅうぞう)は財界の超大物である。
 二十世紀後半、東西冷戦で混迷する世界情勢を的確に見極め、一代で巨万の富を築き上げた彼は、祠堂グループ総帥として齢(よわい)九〇を超えた今でも、政財界に影響力を及ぼし続けている。
 情熱と知性、大胆な行動力と的確な判断力と、まさに英雄と呼ぶにふさわしい人物であるが、唯一称賛されない欠点として、超がつくほどの吝嗇家であることが知られていた。
 日常では使用人に対し、屋敷の節電や節水など、あらゆる面での節約を徹底させるのはもちろん、身に付けている衣服や私物に関しても、さほど高品質とは言えない価格が安いものを長年にわたり使用し続けている。
 社交面においても吝嗇家の特質は遺憾なく発揮され、グループ主催のパーティではどれだけ予算と費用を少なめにできるかが重視されたり、幹部役員クラスでも、移動は電車やバス、徒歩といった手段を強制されたりするなど、枚挙にいとまがない。
 これは本人に言わせれば、必要な時に必要以上に、資金を出せるようにしてあるらしく、実際、ここぞというタイミングで巨額の投資を行うことによって、祠堂グループは急成長を遂げてきたのだ。
 俺が幼い頃に他界した父、中村靖晃(なかむらやすあき)の旧姓は祠堂である。
 そう、父は、祠堂龍造の息子なのだ。
 もっとも、祖父には実子がたくさんおり、父は末っ子に過ぎなかったそうだが。
 ただ、なんでも祖父は父を溺愛したらしい。
 成人してもなお、どうにか手元に置きたがっていたにも関わらず、父は俺の母となる女性、中村あかねと熱烈な恋に落ちた。
 ごく平凡な家庭出身の母親との交際に、祖父は大激怒。
 猛反対を行うものの、それはかえって二人の恋の炎を燃え上がらせ、とうとう父は、母と駆け落ちすることとなる。
 家を出た父は、中村家の婿となる形で母と結婚。そして産まれたのが、一人息子の俺ってわけ。
 ――という経緯なので、父方の実家と母親はほぼ絶縁状態。
 実際、祖父の姿は写真や映像でしか見たことはなく、生まれてこのかた、全く面識がない。
 なので、そんな俺に祖父が莫大な額になるであろう身代金を、はいそうですかと気前よく支払うとはとても思えないのだ。
「……ともかく、実際に支払う支払わないは、やってみないことにはわかるまい」
 覆面の男が口を開く。やや面食らったような声色だった。
「やってみるって、まさか――」
 先ほどの椅子とカメラが、ふと思い起こされる。
「そう。そのまさかで、あそこの椅子に座ってカメラで動画撮影を行い、それをアップロードして世界中に流す」
「その動画って、俺がSOSを求めている内容か?」
「他になにがある?」
「………………」
 押し黙ってしまう俺。悪い意味で、予想通りの答えだ。
 誘拐動画を全世界中に流すのは、今や犯罪組織の常套手段と化しており、正直言ってしまえば古典的な印象すら感じるものの、まさか自分がその当事者になるとは。
 別に不細工な顔をしているわけではないが、日本はおろか世界中の好奇の視線にさらされ、映像が半永久的に残るなど、考えただけで気が遠くなってしまう。
 特に、母親の心配は想像するだけで余りある。
(母親……!?)
 はっとした俺は、左手首を確認する。だが、装着しているはずのウェアラブル型端末はない。
「腕時計なら外させてもらった。外部と連絡されると都合が悪いのでな」
「そうかい――ところで、今の日付はいつだっ!」
「六月九日土曜日・午後四時だ」
「なんてこった……!」
 思わず舌打ちをする。連絡が来ないので母さんはすでに、息子に何かあったのかと心配しているに違いない。
 ここを脱出し、どうにかして母さんに元気な姿を見せたい気持ちが、一気に強くなる。
 もっとも、氷のような視線を向けてくる覆面の男は、それを許しはしないだろうが。
「というわけで、服を脱いでもらおう」
「は?」
 一瞬、何を言われたのかわからなかった。
「だから、服を全部脱げと言っている」
「……いったい、何を言ってるんだ?」
 まるでわけがわからず、頭の中に疑問符が次々と湧き上がってくる。
「どうしてだろうと思っているのだろうが、我々のボスからの指示なのだ。おとなしく脱げ」
「……そ、それだけは勘弁して……」
 眼前の覆面の男に対し、両手を合わせて頭を下げて頼み込む。ただでさえ全世界中に素顔をさらけ出し、SOSのメッセージを配信するのはとてつもなく恥ずかしいのに、そのうえ全裸でとは……。
 映像が配信された暁には、俺の社会生活は今後、いったいどうなってしまうのか。
「ダメだ」
「そこをなんとか……」
「ダメ」
 案の定、にべもなく拒絶される。
「さあ、おとなしく脱ぐんだ」
「…………」
「早くしろ!」
「嫌だっ……」
 否定の言葉を呟く。いくら犯罪組織に誘拐されていようと、こればかりは理性が従うのを拒否していた。
「仕方ないな。こうなれば力づくで――」
 覆面の男は手を伸ばしてきて、胸元のボタンを無理やりに外していく。
「止めてくれっ!」
 どうにか阻止するため、俺は必死にもがいて男の細腕を振り払おうとする。
「おとなしくしろっ!」
 だが覆面の男は、俺を上回る力でこちらの手を振り払うと、ボタンを全部外して背中からシャツを強引に剥ぎ取った。
 続いて、白いインナーまで脱がそうとする。
「や、止めろって!」
 本能的な恐怖を感じ、俺はそれこそ火事場の馬鹿力でしゃにむに抵抗した。
「こ、このっ!」
 男もムキになり、何が何でも俺のインナーを引っ剥がそうと腕に力を込めてくる。
 そのうち俺はバランスを崩し、背中から仰向けになって転倒した。
「痛っ!」
 途端に感じる、転倒時の痛み。反射的に俺の中から怒りがこみ上げ、
「このっ!」
 同時に倒れ込んだ男の覆面を、とっさに剥ぎ取る。
「んなっ……」
 驚く俺。眼前に飛び込んできたのは、整った目鼻と小さな薄い唇の、まさに美男子といった、あまりに美しい顔つきだったからだ。
 銀髪の質感もしっとりと艶やかで、見るものを惹き込んでしまう。
 端的に表現するなら、やはり中性的という単語が最もふさわしい。
「お、お前っ……」
 一方、突発的に素顔をさらすこととなった男は、端正極まりない顔立ちを険しく歪ませ、
「見たなっ!」
 怒号を発したあと、俺の腹部に正拳突きを喰らわす。
「ぐはあっ!」
 内蔵までも貫く強烈な打撃に、たまらずうめき声を上げる。
「よくもよくもっ、素顔を見せてはならないという掟なのに……」
(掟?)
 怒りで身体を震わす男の言葉の端に、俺は引っかかりを覚えた。
「殺すっ!」
「ひっ!」
 物騒極まりない言葉を吐かれ、ぞくぞくっと背筋が震える。
 殺気で気圧されてしまっている間に、男は両手を伸ばし、
「ぐっ、ぐえっ……!」
 俺の喉元を、初めて出くわした時と同じように締め上げた。
(こ、このままじゃ殺されるっ……!)
 首元に食い込んでいく両手指先は強さを増していくばかりで、生まれてはじめて『死』の恐怖を実感した俺は、
「まっ、待ってくれ、お望み通り裸にでもなんでもなるから……」
「何っ……」
 俺の発言は男にとっても意外だったらしく、切れ長の目をかあっと見開いて驚く。
「我々の要求に、素直に従うんだな?」
「はいっ……」
 狭くなった気道から、服従の言葉をなんとか漏らす。いくらなんでも、命あっての物種だろう。
「そうか。手荒なことをしてすまなかった……」
 冷静さを取り戻した彼は、首元から両手を離し、
「はあはあはあはあっ……」
 俺はようやく、不足していた酸素を口から補うことができた。
「では、頼むぞ」 
こちらの身体から立ち上がった男が、邪魔にならないよう横にしりぞく。
 同じく立ち上がった俺はためらいつつも、促されるままシャツを脱ぎ捨て、ベルトを外してスラックス、靴下、トランクスまでも脱ぎ捨てる。
「これで、いいんだよな……」
「ああ」
 あっという間に裸になった俺を眺め、男はうなずく。
「では、そちらの椅子に座ってもらおう」
 言われる通り歩き、指し示された椅子に座る。
「これを胸の前に掲げろ」
 手渡されたのは、長方形のプラカード。白地に救いを求める黒の三文字、『SOS』が堂々と描(えが)かれていた。
(本当に俺、誘拐されちまったんだな……)
 胸元にプラカードを掲げると、いまさらながらに実感が湧き上がってくる。
「では撮影を開始する。私は今捕らえられています。このままでは殺されます。身代金を支払って助けてくださいと言え」
 椅子正面のカメラを操作しながら、男は事務的な口調で命令してきた。
「では、スタート」
「……私は今捕らえられています。ここままでは殺されます。身代金を支払って助けてください!」
「よし」
 すんなりとOKが出る。指示された言葉をそのまま喋っただけだが、それなりに感情を込めて訴えることができた。なにせ、このままでは本当に何をされるかわかったものではない。
「さて、もう撮影は終わったぞ。好きにしていい」
 ビデオカメラからSDカードを抜き取った男が、声をかけてくる。
 プラカードを男に返し、俺は訊く。
「これから俺をどうするんだ……」
「どうするも何も、少なくとも身代金が支払われるまではここにいてもらう。その間の安全は保証しよう。もっとも、あくまで従順にしていればの話だが」
「………………」
 戦慄を覚え押し黙る俺。確かにひとまず命は保証される。だがそれは、俺の態度しだいなのだ。しかも、仮に身代金が支払われたとして、無事に返してくれるのだろうか? 誘拐事件では人質が殺されるケースも多いと聞く。殺されてしまっては、元の子もない。言うまでもなく、一刻も早く開放してもらわなければならないのは確かだ。
 ここで、ある疑念が湧き上がってくる。
(身代金が支払われるまでって、どれだけ期間がかかるんだよ。祖父が払ってくれるわけないだろ……)
 思わず気が遠くなる。身代金の額だが、いくらなんでも百万二百万ということはないだろう。
 祖父の遺産目当てなら一億円ぐらいか、いや十億円は要求してくるはずだ。
 それほどの大金を、超がつくほどの吝嗇家である祠堂龍造が支払うとは思えない。まして、面識すらない孫のために。
(よりによって、ドケチで有名な祖父の財産目的で犯行を起こさなくても……)
 よく考えて見れば、センスがない話である。
「お前がここに監禁されている間の、監視役は僕だ。まあ、必要最低限の生活は保証するつもりだから安心しろ。食事に関しては調理して持ってくるから、リクエストがあったら言ってほしい。あと、呼んでくれさえすれば、本やゲーム機を用意しよう。さすがに外部との通信を伴うものはダメだが。ベッドの近くにあるテレビの脇の棚には、BlueーrayやDVDを並べてあるから、好きなのを自由に観ていい」
「は、はあ……」
 うって変わって投げかけられる親切な言葉に、拍子抜けしてしまう。
(あれ、意外に優しいぞこいつ……もしかして任務だから冷静な態度を貫き通してるだけで、本当はいいやつなのかも……)
 そうでなければ、ここまでのことは言ってくれないだろう。
(もしかしたら、彼の言うことにおとなしく従っていれば殺されないですむんじゃ……)
 誘拐という絶望的な状況下で、一縷(いちる)の希望を見い出していると、監視役の男が一言。
「ひとまず、服ぐらい着たらどうだ」
「えっ、あっ……」
 指摘されて急に恥ずかしくなった俺は、思わず股間部を両手で覆い隠すのだった。

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

【200DL突破】妖精TSF奇譚~俺が、オレの奴隷妖精!?~ サンプル①

表紙

妖精TSF奇譚~俺が、オレの奴隷妖精!?~ FANZA版
妖精TSF奇譚~俺が、オレの奴隷妖精!?~ DLsitecom版

作:kagami0235
絵:うつき滄人

サンプル①


 ”妖精族”――。
 それはエルフよりも精霊に近い存在とされており、人間ではとても太刀打ちできない上位の魔法生命体のことである。
 エルフやドワーフなら兎も角、一介の人間の魔導士では、その姿を認識することも難しいとされていた。

 けれども……。

「――はぁ? 妖精を見た、って?」

 アレックス・モンカーレは、ベッドに横たわる色白の青年に向かって、そう聞き返していた。
 こほんっ、と小さく咳き込みながら、長い金髪を揺らし、彼は答えた。
「うん……こほっ。 数日前、久しぶりに体調が良くなったから……屋敷の直ぐ横にある森を、散策していたんだけど――」
「そこにいたのか? 妖精が?」
「ああ、間違いないよ。 最初は発光する虫かと思ったんだけど……よくよく見れば、確かに人の形をしていた。 見た目は、人間の娘と変わらなかったよ。 けほ、こほっ……ごほっ!」
 病弱の金髪青年――アヒム・ヘーイ・ガールドは、咳を漏らしながら、自身が目撃したものを、アレックスに伝える。
 青褪めた顔色。咳の激しさ。涼しいくらいの気温なのに、冷や汗を垂らす色白の肌……。
 明らかに彼は、重度の病に掛かっている。
「アヒム……また調子に乗ったな。 いい加減にしておけよ……病人は大人しく寝ておけ! 唯でさえ体が弱いのにっ!!」
 アレックスは机の上に常備してあった錠剤と飲み水を、青年に渡した。
「す、……すまないっ。 ハハッ、……情けない限りだよ。 ボクの方が年上なのに……んくっ、ごくんっ……」
「……全くだ」
「アハハ……ごめん。 ごめん。 でも……本当にキミには助けて貰っているばかりだ。 こうして話し相手をして貰えているだけで、ありがたい――」
 薬を服用し、シーツを被り直した青年は、苦し気に表情を歪めながらも、繰り返し、アレックスへと感謝を述べる。
 『キミが好きそうな話だったから話したけど――どうかな?』と言って、だんだんと瞼を落としていった……。
「……確かに。 俺も妖精には、興味がある。 もしも捕まえたら……お前にも見せてやる」
「お、……おいおい。 ボクでも知っているぞ……妖精……は、高位のドラゴンに匹敵する、存在なん、だろぉ? ボクに注意しておいて――キミが、危ないことをして、どうするんだい…………?」
 それ以上の反応はなかった。
 ほぼ一年中をベッドの上で過ごすアヒムは、極端に体力がなく――また強力な薬を使用しているため、こうして唐突に意識を失うことは、珍しくもない。
「じゃあ、今日はこれで失礼します……」
 この青年と無駄話をする日々は、既に六年近く続けている。
 アレックスは手慣れた様子で帰宅の準備をすると、背後に控えていたメイド長に声を掛けた。
「……はい。 何時も、お坊ちゃまのお話相手……誠にありがとう御座いますの。 ――ですが、わたくしからもお願い致しますの。 どうか、あまり危険なことはなさらないで下さいませ。 たった一人のご友人であるアレックス様に……万が一のことがあれば、お坊ちゃまはきっと酷く悲しまれてしまいますので……」
 横を通り過ぎる際に、メイド長が囁いた。
 彼女もまた……アレックスを気に掛け、苦言を呈したのだ。
 つまり、それほど妖精と言う存在は、超危険な存在として世間に知れ渡っているのである。

 ――もっとも。

(ばーか。 誰が止めるか……! あいつなんかに目撃されるってことは……そいつは間違いなく追放された妖精! 掟を破り、魔力を奪われて、妖精郷から追い出された妖精だ!! ……こんなすげーレアなものを見逃す訳がないだろ!?)

 魔術・魔法の知識を持つ者――勉強熱心な魔術師であるならば、アヒムの証言には、正に一獲千金の価値があった。
 メイドたちの見送りも見えなくなった歩道の途中で、くるっ、と身を翻す。
 辺境の村の道具屋を営むアレックスにとって……アヒムのためだけに建てられた屋敷は、眩しく彼の瞳に映っていた。

(魔力がない妖精でも――妖精だ! そいつを捕獲して、売れば……大金が手に入る! それこそ、この屋敷を買っても……お釣りが返って来るくらいの金がッ!! それだけあれば……俺は、こんな田舎から! ド田舎から解放されるんだ――ッツ!!)

 そう彼は……青年貴族に、最初っから妖精を見せるつもりなどなかった。
 そして、同時に命の危険を晒すつもりもない。

 アレックスは、魔力を剥奪された追放妖精――それこそ虫以下の下等生物――を、ノーリスクで捕獲し、自分の大きな夢の足掛かりにしようと考えていたのであった。





 アレックス・モンカーレは、魔術師である。
 そして、何れは大魔導士になることを夢見ていた。
 両親には分からなくても、生まれながらに持っていた常人以上の魔力を、彼自身は理解していたのだ。
 だからこそ、都会――魔導都市への留学を目標として、こつこつと勉強と、貯蓄に励んでいた。
 だが、魔力があっても……”運”はなかった。
 両親が流行り病で亡くなり、彼は夢を追うどころか、日常生活を保つだけで精いっぱい。
 しかも、お人よしだった両親が、田舎貴族の病弱な嫡男とアレックスを……無理矢理、友人にしてしまったために、彼は無駄な人付き合いのために、
貴重な時間をさらに削らなくてはならなかったのだ。
 青年貴族アヒムの話し相手になる見返りに、幾つか利益――安く品を仕入れたり、税を少し免除して貰ったり――はあるが、微々たるものである。
 一分一秒を惜しむ、夢を諦められない少年にとって、それはある意味地獄のような苦悩の時であった。

 だが、しかし――。

「ここだな! ――急がないと! ……追放された妖精は、魔力がほとんどないから……早く捕獲しないと、森の動物や虫に食われてしまう!!」

 そのアヒムとの無駄な交流が、アレックスの『運命』を変えようとしていた。
 妖精を捕獲し、それを売れば見たこともない大金が手に入る。
 十分な資金さえあれば魔導都市に留学し、魔術・魔法を広く深く学べる。
 それに国家資格に受かれば――『魔導士』を名乗れる!
 簡単な魔術・魔法を扱えれば誰もが名乗れる魔術師ではなく……国家が認める魔導士へと出世の道が開けるのだ。
 瞳をギラギラと輝かせて、アレックスはずかずかと森の奥へと進んでいく。




全文を表示 »

【400DL突破】オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ サンプル①

オーダーメイド

作:kagami0235
絵:ささくまきょうた様

 日本……山奥。
 険しい山々と深い森は天然の防壁と化し、非合法組織の施設である洋風の館を世間から隔離させていた。
 外から見るだけならばお洒落な別荘に見えるだろう。
 だが、一歩中に踏み込めば、そこではおぞましい人身売買が繰り広げられているのだ。
 お客様の望みで、誘拐されてきた人間。
 借金や、訳ありの事情によって組織に買われた人間……。
 そんな被害者たちは、ただ奴隷として売られるだけではなく、顧客〈クライアント〉の要望に応じた洗脳、調教――さらには、危険な人体実験も、日々強いられているのだ。
 政財界や警察とも蜜月の関係を築いている巨大な組織。
 助けなど来ない、この国の闇。

 そして、今日もまた……憐れな牝奴隷が誕生しようとしていた。

「あー、なんか噂を聞いて来たんだけど……俺に相応しい女、っているの? こんな不便なところに、わざわざ俺様が来てやったんだ……。 碌でもない女ばかりだったら、ただじゃ済まさねーぞ?」

 館の内部。来賓室。
 メガネを掛けた勝ち気な――と言うか、見るからに傲岸不遜な――黒髪の青年が、目の前の女性へと、吐き捨てるように聞いていた。
 典型的に、女性をモノとしか思っていないタイプ。
 小物クラスの屑男であり……選ばれた人間しか利用できない、この館には不釣り合いな人種と言えた。
「ええ……勿論です。 私たちが、ご用意するプラン・サービスは完璧です。
全てのクライアント様に、ご満足頂いております。 ただ……」
 無礼な態度の青年に、しかし、露ほども怒らず、飄々と応えるのは、この裏組織随一の調教師。
 女性の調教師――ミキである。
 ドレスのような華やかな衣装が似合うと同時に、今着ているようなスーツもよく映える、中性的な出で立ちの美女だ。
 男装の麗人と言う言葉が、よく似合う女であった。
「ご希望金額――1000万円ですと、最低ランクのプラン・サービスしか、ご用意できません。 そこは、ご了承をお願い致します……」
「はああッ!? おい! 何言ってんのぉ!? 女程度に1000万円かけるだけでも十分だろ! つぅーか、調教? 洗脳? それぐらい俺だって出来る!! 明らかにぼったくりじゃねーか!!」
「いえいえ。 私たちのご用意する奴隷たちは、どれもこれもが一級品。
大変、恐れ入りますが……単純に女性を犯して、殴ればいいと言う訳では、ございませんので……」
「…………お前、俺を馬鹿にしてないか? それが客に対する態度かッ!? ……あっ、そうだ! お前だ、お前がいい! この榊原珠貴様の奴隷に――いや、ペットにしてやる!! こんなところで働くよりも、楽できるぞ?」
 傲岸不遜。厚顔無恥。恐れ知らず。
 自分を顧客だと信じているメガネを掛けた青年――榊原珠貴〈さかきはら たまき〉は、調教師ミキにそう提案した。
 『勿論、俺様のペットになれるんだからタダな!!』とも、付け足す。
 何と言うか……”本当にこんな人間がいるの?”と、思いたくなるほどの低能人間である。
「生憎と従業員を対象としたプランは、ご用意しておりません。 そもそも、私以上の調教師はこの組織にいませんので――例え、そのようなプランがあったとしても、きっと上層部が断るでしょうね。 ウフフ……」
 対する調教師ミキは、冷ややかな微笑で応えた。
 柳に風とは、このことだ。
 どれほど珠貴が無礼な悪態を吐いても、彼女は少しも動じない。
 それが、青年をますます苛立たせた。
 女は全て、彼に跪くべきだからだ。
(生意気な女だ! なんか知らないけど――腹立つな、こいつの澄ました笑みはッ!! この女! 俺を馬鹿にしてやがる……絶対に!! ……そもそも女なんて、捕まえて犯して黙らせれば済む話なんだ。 1000万? 奴隷? ペット? めんどくせー……もうこいつを犯して、さっさと帰ろう!!)
 なにせ自分は『榊原珠貴』なのだ。
 一代でIT企業のトップに上り詰めた榊原優作のひとり息子。しかも、早くして亡くなった母親の方は工場産業の一角を担っている財閥の三女である。
 言わば生まれた時からの権力者。
 金も、女も、力も不自由したことなどない。
 そして、今までも。これからも。
 女を犯したければ――犯すだけ。
 後の後始末は亡くなった母親に紹介された始末屋に頼めば事足りるのだ。
 父親や、母方の祖父に金を払って貰えば、”殺人”さえも隠蔽出来る。
 権力とは、そう言うものだ。
「――ふんっ」
 既に25歳を超えて、しかし、それでも遊び歩いている珠貴は、我慢と言う言葉を知らない。
 不機嫌そうに鼻を鳴らし、差し出された品目表を乱暴にミキから奪う。襲うタイミングを計るため、メニュー表を取り敢えず開いた。
 ……が。
「てめー! やっぱり、俺様を馬鹿にしてんのか!?」
 彼は、激昂した。
 彼女へと投げ飛ばしたレストランの品目表のように、薄い本には……たったひとりの娘の写真と情報しか載っていなかったのだ。

 クライアントの要望に応える豊富なプラン・サービスが聞いて、呆れる。

 しかも。

 『西園紗雪〈にしぞの さゆき〉』
 姉と共に男たちに襲われ、最近まで昏×状態に陥っていた。
 学校は、退学扱い。
 姉はその際絞殺されて死亡し、彼女が入院中に、両親もひき逃げによって死亡する。
 強×犯と、ひき逃げ犯は捕まっていない……。

 ――と言う、珠貴にとって、どうでもいい記述だけだったからだ。
 写真で見る限り、顔やスタイルは悪くない。
 けれど、大金を払うほどではなかった。
 ミキを犯した帰りに、街を散策し……運が良ければ、今日中に捕まえられるレベルの女の子である。
「俺は客だぞ!? 榊原珠貴様だぞ!? こんな対応して、どうなると思ってやがる!? お前、終わったぞッ!!」
「いいえ。 こちらは確かに”クライアント”様に決めて頂いたプラン・サービスで御座います。 これに変更など……絶対にありえません」
「はあっ!? はああっ!? 何言ってんだ、この馬鹿女っ!? 何勝手に決めてんだよ!?」
 ぞんざいな扱いを受けたと思い、珠貴は調教師の女の胸倉を掴んだ。
「こうなったら今ここで犯すだけじゃ、済まさねーぞ!! このまま連れて帰って毎日、毎日、犯してやる! 殴って、蹴って、犯し続けて……”ご主人様、許してください”って言わせてやるっ!!」
 『いい口実が出来た』と内心でほくそ笑み、珠貴は腕を振り上げた。
 幾人の娘を――学生、社会人関わらず無数の女性を――叩き、殴り、押さえ付け、そして、犯した男の手が、ミキの美しい顔を狙う!!
(泣け! 泣け! 泣いて、俺に跪け!!)
 浅ましい欲望を膨らませて、びゅん、と珠貴は平手打ちを放った。
 しかし、調教師ミキの顔は、少しも揺らがない。それどころか、飄々とした笑顔を浮かべたままであった。
 どこんッ!
「あぐっ!?」
 一瞬、である。全ては、数秒の内に終わっていた。
 調教師の女は、胸倉を掴んでいた手を華麗に外す。振り下ろされてきた腕も、柔術を思わせる動きで絡め取り……怒る男の体を投げ飛ばした。
 大きく回転しながら、青年は部屋の壁まで吹き飛ばされていたのだ。
「お、おぐ……なに、が……? お、おまえ……いま、いま……おれさまを!?」
 目の奥に火花が散り、ぶるぶると頭を振って立ち上がる珠貴。
「ええ、投げました。 想像以上に……おいたが早い人でしたので――」
「て、てめー! 俺を誰だと思ってるッ!? 俺は榊原珠貴だぞ!? 榊原だ! 珠貴様だ!! くそぉー……もういい! コロス! ……コロス!!
てめーみたいなクソ女! だれが犯すかよッ!!」
 女に痛い目を合わされて、ますます怒り狂う珠貴。
 けれども、今の一撃に怯えてしまったのか……壁に背を預けて、負け犬のように吠えていく。
「おい! 誰か来い! 来いよ!? こいつ客に手を出したぞ!? 俺様に噛み付いたんだ! 早く、こいつを捕まえて殺せよ!! 早く、殺せ!! 殺せぇ!! なっ、何やってんだ……ッ!?」
 自分本位なことばかりを吐き捨て、調教師ミキから距離を置く青年。
 女への乱暴は、当たり前。日常の一部。
 だが、しかし……己が乱暴されることは一度も体験したことのなかった珠貴は、過剰なほど目の前の抵抗者に、怯え捲る。
「おっ、おお! 来たか! お前ら――そいつを押さえろ! クズ共め!!」
 それでいて、屈強な男たち――ミキと同じく、黒いスーツを纏った複数の大男――が現れた途端、珠貴は鼻を鳴らして、ミキに勝ち誇った。
 まるで子供同士の喧嘩で親や先生に助けて貰ったガキのように、他人の力を自分の力だと信じ、高慢な笑みを浮かべていく。
 もっとも、この男たちを自身の味方だと思うのは、早計である。
 ……と言うか、この状況で。
「うわっ!? ざ、ざけんな!? はなせ! 俺様を誰だと思ってやがる!? 捕まえるのは、あっちだろ!? 馬鹿なのか!? は、はなせぇえ――!?」
 どうして男たちが珠貴を助けに来た、と思うのだろうか?
 黒尽くめの複数の大男は無言のまま、珠貴の身体を床へと押し付ける。
 またしても、負け犬のように彼は、ギャンギャン、と悪態を吠えていった。
「この榊原珠貴様に、こんなことして――お前ら終わったぞ!? 親父に! ジーちゃんに!! このことを言ったら、お前ら全員、死ぬんだ! 死刑なんだ! 死刑、死刑!! だから、はなせぇええ~~ッ!!」
 男たちは沈黙を貫きながらも……ガキのように喚くばかりの珠貴に、嫌気がするのだろう。
 がっしりとした体格の大男たちが、同時に顔を顰める。
 彼らは目線で上司に――調教師サキに、指示を仰いだ。
「あの娘や……クライアント様が言うように。 本当に……どうしようもないクソガキですねぇー。 でも、ご安心を……我が、組織はあなたのようなクズでも、カスでも――」
 床に組み伏せられた珠貴へとしゃがみ込み……。
「立派な奴隷に……いいえ、牝奴隷に調教してあげますのでっ♡」
「あ、ぎぃッ、ッ!?」
 銃器のようなデザインの注射器を彼の首に当て、ミキはトリガーを引いた。
 グリップ部分の液剤タンクが、こぽこぽ、と小さな泡を生み出して、謎の薬品が、彼の血流に紛れて、全身へと巡っていく……。
「……珠貴さん。 あなたの人間としての人生は――今日で終わりです。
これからはご主人様に媚びて、縋って、甘える……惨めな牝妻奴隷として生まれ変わるんですよー。 ……あはははっ!!」
「……っ、…………っ」
 ミキの言葉の意味を半分も理解できぬまま、珠貴は意識を昏倒させる。

 そして――。

「しかし……クライアント様や、あの娘の要望とは言え……私が本気で調教出来ないのは、非常に残念です! ……唯愛さん以来の、遣り甲斐のありそうな仕事なのですが…………まぁ、仕方ありませんね。 クライアント様たちのお楽しみを邪魔しない範囲内で……あなたを牝奴隷に躾けてあげます!! クフフ、ウフ……フフフ♪」

 最初っから”顧客”ではなく、組織が提供する商品――”牝奴隷”のひとりであったことさえも……彼は最後まで気付けなかった。

 何も知らず、分からずに……珠貴は、牝畜生へと堕ちていく。

オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ FANZA版 購入はこちらから
オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ DLsitecom版 購入はこちらから

【7/11発売】10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 第1章-1

ときどき出す小説作品です!TAMAこんにゃくに書いてもらって、挿絵はもろへいやさんにお願いしました!

0.jpg

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

第一章 誘拐された俺

「ふい~っ、今週もよく頑張ったな~」
 金曜日の夜、俺は会社帰りの道をいつものように歩いていた。
俺の名前は中村裕明(なかむらひろあき)。中肉中背の、まあどこにでもいる一般的なサラリーマンといったところか。
「明日は、待ちに待った休日か……」
 季節は六月。五月はゴールデンウィークがあったものの、今月ときたら祝日がない。
 故に、通常の土日が待ち遠しくてたまらなかった。
(そういえば、明日はあの日だったような?)
 ふと頭に湧き上がった気づきに、俺は歩行を止める。
 左腕を眼前に掲げ、紺色のスーツを右手でまくり、むき出しにした腕時計にそっと語りかけた。
「日付を教えてくれ」
 すぐさま、正面にぼうっと『二〇四〇年六月八日金曜日・午後七時十分』と白文字が浮かび上がる。
「ってことは、明日は母さんの誕生日じゃないか……!」
 はっと気づいた俺は、続けて腕時計に問いかけ、
「丸野百貨店までナビして」
「OK、このまま道なりに進んでください」
 落ち着いた女性の声が聞こえてくる。ナビゲーションに従い、俺は歩みを再開した。
 もうお気づきかもしれないが、俺が今左腕に装着している腕時計、もとい腕時計型ウェアラブル端末が、この時代では個人間の通信を司(つかさど)るデバイスとして用いられている。
 この手の端末は十年前、つまり二〇三〇年辺りから急速に普及していった。
 それまで人々は、薄くて平べったい長方形のデバイス、いわゆるスマートフォンを使用していたのだが、空間上に画面を投影し、それを操作できる技術が確立されると、それに対応したウェアラブル端末が主流となり、スマートフォンは一気に廃れていった。
 実際、スマホは幼×園・小×生の時分(じぶん)にはよく見かけたものの、中学に入る頃にはすっかり見なくなったものだ。
 ウェアラブル端末がスマホよりも明らかに優れているのは、頑丈に作られているので落下させて壊す心配がない・表示される画面が目に優しい・かさばらないetc。
 今や当たり前になっている技術ではあるが、改めて考えてみると凄さを実感する。
「突き当たりを右に行ってください」
 技術の進歩にしみじみしていると、ナビの音声が聞こえてきたので、その通り右に進む。
(母さんのプレゼント、何がいいかな? 順当なところでブローチか? でも去年あげたし……お菓子とかはどうだろう? でもなあ、太るって遠慮しそうだ……)
 頭の中で逡巡する。迷っているこの時でさえも、ぶっちゃけ楽しく感じるものだ。
(なら紅茶はどうだろう? うん、悪くないチョイスだ)
 それほど苦労することなく結論が出た。
 歩行する速度が、自ずと速くなっていく。
 目的となる丸野百貨店まで徒歩十分程度なので、閉店時刻の午後八時までにはまだ余裕がある。
 もちろんこれは、プレゼントを選ぶ行為そのものが楽しみで仕方ないからだ。
 去年もこんな感じで、誕生日前日にわくわくして百貨店に駆け込んだことを思い出す。
 いきなりの独白になるが、俺は母子家庭で育てられてきた。
 幼い頃に父親が不慮の事故で他界したあと、地方公務員の母親は女手一つで立派に育ててくれた。
 給与は安定していたものの、家事やその他諸々の負担は察するに余りある。
 その背中を見て育った俺は、少しでも母親を助けたい、いつか恩返しがしたいと願い続けてきた。
 そして去年、大学を卒業し就職した俺は家を出て、新社会人として一人暮らしを始めたのだ。
 正直まだまだ半人前ではあるが、これからは俺が母親を支えるのだという気概を持って、日々の業務に一生懸命に取り込んでいた。
 こうした経緯で、母親の誕生日には自分で稼いだお金でプレゼントするのが、俺にとって何よりも誇らしく、楽しいことになっていたのであった。
「次の曲がり角を左に行ってください」
 そうナビゲーションの指示が響いたものの、あべこべに俺は右の小道に進み出る。
 道路沿いをそのまま進む左のルートより、裏通りとなる右のルートのほうが近いからだ。
 飲み屋などの飲食店・雑貨店などが立ち並んでいる通りのちょうど裏、午後七時台というゴールデンタイムにも関わらず閑散としている薄暗い路地裏で、俺はいそいそと歩みを進める。
 今思えば、この小道を選択した時点で、俺は正常な人生のルートを盛大に踏み外す羽目となったのだろう。
 だが、期待感でいっぱいの俺の胸に、悪い予感など感じ取る余地などない。
 屋根上から虎視眈々と視線を向けている、いくつもの怪しい影についても気づくことがなかった。
 突然、目の前にすたんと落下してくる一つの影。
「えっ……!?」
 呆気に取られる間もなく、
「何っ……!」
 続けざまに落下したもう一つの影が、背後から俺をいきなり羽交い締めにする。
「はっ、離せっ!」
 当然抵抗する俺だったが、もがけばもがくほど、がっちりと固定された両腕に相手の腕が食い込んできて、とても振りほどくことが叶わない。
 ここで俺はようやく、薄暗闇に浮かび上がる白いシルエットを直視する。
(これは……お面……?)
 角付きで恐ろしげな形相をした、般若のお面だった。それを顔面に装着した目の前の影の全身は、周囲の薄暗さに紛れて判然としない。おそらく、隠密行動に適したカラーリングの服を着用しているのだろう。
「お前らは誰だ! いったい俺に何の用なんだっ!」
 声高に叫ぶものの、目の前の影はおろか、いつの間にか周囲に降り立った、いくつもの影から返答は返ってこない。
 皆それぞれ、目が細長くて真っ白な女性のお面、髭が付いた翁面、角が生えた鬼面など、ヴァリエーション豊かな能面を被っている。
「ごくっ……」
 異様な能面姿に包囲されるという、とてつもなく異様な状況に、無意識のうちにカラカラになった喉を、口内の唾を飲み込んでどうにか潤す。
(どうしていきなり、こんな連中が……まるで、映画やアニメに出てくる暗躍集団みたいじゃないか……)
 立ち込める緊迫感はすごいが、あまりに突然すぎるせいか、なんとも現実味がない。
 そのうち前方から、こつこつと近寄ってくる足音が聞こえてくる。
「お前はっ……」
 接近してきた人物の、首から下は薄暗さに紛れてよく見えず、そのうえ顔面には覆面を被っていた。髪はボブ程度の長さで、性別はわからない。ただ、爛々と輝く眼光の鋭さがビシリと伝わってくる。
「中村裕明だな?」
「――そうだ」
 目の前にまで迫ってきた人物からの問いに対し、俺は正直に答える。嘘をついたところで、懐の社員証を探し出されたら一目瞭然だからだ。
 ひとまずは勇気を振り絞り、逆に質問をぶつけてみる。
「お前は誰だ! いったい俺をどうするつもりだっ!」
「答える必要はない。おとなしく来てもらおう」
 彼の声は、想像していたより幾分か低めである。
(男? 若そうだな。年齢は俺と同じか、若干下か……)
 覆面下の素顔を見てみたい思いに駆られつつ、質問を続ける。
「来てもらうってどこにだよ!」
「それにも答える必要はないな」
 ぴしゃりと返答される。取り付く島もない。
 らちが開かないと判断した俺は、
「離せっ! お前らに付き合う道理はないっ!」
 それこそ無我夢中でもがき、羽交い締めになった両腕を何が何でも振りほどこうとする。このまま奴らに連れ去れたら、間違いなく非常にやばいことになるという直感があった。
「おとなしくしてろと言ったはずだ。やむを得ん。手荒な真似はしたくなかったのだが――」
 その言葉とともに、真正面の覆面の男は両腕を伸ばし、こちらの首元を両手でつかむと、左右親指をぐいっと沈め込む。
「ぐえっ……!」
 強烈な圧迫感を感じるとともに気道が狭くなっていき、一気に呼吸が苦しくなる。
 締め上げる力はますます強くなり、
(かっ、母さんっ……!)
 急速に遠ざかっていく意識に浮かび上がってきたもの。それは母親のいつも通りの、気取らない気丈な笑顔であった。

10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DMM版購入はこちらから
10億円誘拐の人質となった俺がどんどん女体化調教される件 DLsitecom版購入はこちらから

【300DL突破】オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ サンプル①

kagami0235さんとさきくまきょうたさんの人気シリーズ最新作です!

オーダー

オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ FANZA版
オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ DLsitecom版

――第一章――

全文を表示 »

【依頼小説】男とボクシング部マネージャーの女の子との体が入れ替わる小説 後編

文:千景 https://skima.jp/profile?id=23210
イラスト:蜂蜜柑 https://twitter.com/mikantsf

kikaku6(1)_2019061423410684b.jpg

 そして結局この日は、部活を一日見届けて帰宅することとなった。
 銀二ほどの男ともなれば、女子の家に入ること自体にはそう抵抗もなかったが、自分が女子の立場で、となれば話は別だ。
 なるべく家族と話さないように努めつつ自室へ向かい、制服を脱いで風呂場に向かわんとし───はっとなって手を止める。

「いや、流石に風呂に入らないのはまずいな……というか俺の気分的にも無理だ」

 風呂に入るということはつまり、素子の裸体を見たり触ったりするということだ。
 そこに一瞬躊躇いを覚えるも、しかし身体を洗わないわけにはいかない。
 そんな不衛生な状態は綺麗好きな銀二としても嫌だし、素子にとっても不本意であろう。
 意を決して制服を脱ぎ、シャツ姿になると、風呂場へ向かって……脱衣場に到着。

「(落ち着け、落ち着け……俺。今更こんなことで緊張する俺じゃないだろ)」

 そう自分に言い聞かせながら───するすると、衣服を脱いでいく。
 ブラジャーのホックを外すのには少しだけ難儀したが、それも程なくクリアー。
 ぶるん、と音が聞こえそうな勢いで、素子の極めて恵まれたサイズの双丘が露わとなる。

「……こいつ、やっぱり胸でかいな」

 悪いとは思っているが、つい反射的に手を伸ばし、むに、と揉んでしまう銀二。
 何とも形容のし難い感覚が身体を走る。触感は言わずもがな絶品であった。
 むに、ふにっ。思わず夢中になって立て続けに触っていき……三十秒ほどそうして、やっと我に返る。
 いけないいけない。早く風呂に入ってしまわないと───と思ったところで、最後のハードルに気が付く。
 
「後は……これか」

 純白の、清楚なパンツ一枚。
 これさえ脱げばとうとう一糸まとわぬ裸体、全裸だ。
 おずおずと手を掛けて、迷うことなく足元まで下げる。
 すると当然、露わになる。……ぴっちりと閉じた、小川素子の……今は自分の女性器が。

「……いかんいかん、妙な気持ちになる。
 とりあえずさっさと洗って、さっさと上がろう……」

 自分の頬をぺちぺちと可愛らしい擬音で叩いて、とうとう銀二は小川家の浴室へと足を踏み入れた。
 手始めにシャワーで身体の汗を流せば、次にシャンプーを使って髪を洗い、コンディショナーで仕上げをする。
 それから洗顔料を顔に付けて、よ~く肌に馴染ませて……洗い流して。

 さあ、問題は此処からだ。
 銀二は観念したようにボディーソープを手のひらで泡立てると、生唾を飲み込みながら自分のものではない身体に手を這わせていく。

 ───柔らかい。まるでつきたての餅のようなその触感に、銀二は目を見開いて驚く。
 女の身体を此処までべたべた触ったのは流石に久しぶりだったが、思春期の女体がこれほどに柔らかく心地のいいものだったとは。
 しかしそんな驚きも、次の瞬間には気恥ずかしさの前に霧散した。
 胸元に鎮座する、制服の上からでも実によく目立っていた、そして今は更に際立った存在感をもって鎮座している双丘。乳房。
 
「……うおっ……」

 そこに触れると、なんとも形容のし難い、痺れるような感覚が広がるのが分かった。
 ただ触っただけでこれなのか。これなら確かに、揉まれたりしたら気持ちいい筈だ。
 ……ふと、そんな煩悩に負けて。銀二は(今は自分の)乳房を掴むと、もみっ───と愛でてみる。
 その、瞬間だった。

「───っっ!?」

 ぞくぞくと、身体の奥底から這い上がってくるような快楽が銀二の身体を駆け巡ったのは。
 
「(なんだよ、今の……女の身体ってこんなに感じやすいのか……?)」

 確かめたくなって、二度、三度と揉んでみる。
 その度に銀二は声をあげるのを必死に堪えることになった。
 それほどまでの心地良さが、胸を揉む度に走るのだ。
 はっとなって泡を塗りたくる作業に戻る銀二だが、今度は先端にちょこんと主張しているルビーのような乳首が気になる。

「……これはどうなんだ───ふあっ、あ!?」

 どうせ誰も見ていないのだからと指で触れ、コリコリと抓んでみると。
 今度は、声を堪えることが出来なかった。
 これまた電流によく似た刺激が走って、股の辺りがきゅうっと締まる。
 家人に声が聞こえていないか一瞬不安になるものの、どうにかそういう展開だけは避けられたようだ。

「(やばいっ、これ……癖に、なりそうだ……っ)」

 はぁはぁと、まるで百メートルを走り終えた後のように肩で息をしながら銀二は危機感を覚える。
 こんなのに慣れてしまったら、元の身体に戻った時どうなってしまうか分からない。
 極力胸にはこれ以上触らないようにしようと心に決めつつ、何の気なしに、殆どいつも通りの動きで股に泡を塗って。

 何か、小さな豆のようなものに触れた。
 
「いひぃっ!?」

 また疼くような震えに襲われて、拍子の外れた声をあげてしまうのだった。
 今回ばかりは家族の耳にも届いたのか、素子の母親に「どうしたの!?」と声を掛けられてしまった。
 いつ戻れるかも知れない身、この感じやすさにも慣れておく必要があるな───銀二は溜息をつきながら身体の泡を落とし、ようやく湯船へと入る。


◆◆


「……あれ?」

 違和感を覚えたのは、突然のことだった。
 湯船に浸かって心地の良い温もりに包まれながら、銀二は自分の身体のことを考えていた。
 そこまではいい。奇妙なのは、どういうわけか自分が想起している"竜崎銀二"の姿が、どれもボクシングに勤しんでいる……小川素子が中に入ったものばかりになっていることである。
 あれほど汗に塗れていたのだ。さぞかし銀二の嫌いな汗臭い身体となっていたことだろう。

 ……だというのに。頭の中に過ってくる感情は不思議と否定的なものではなくて。
 むしろその逆。競技に熱中している自分の直向きで野生的な姿を、もう一度じっくり見たいとすら思っている。

「な、なんだ……? 何考えてんだよ、俺っ。
 あんな汗臭くってガサツな男、俺じゃねえだろ? 全然格好良くなんか───」

 言いかけて、銀二は気付く。
 違う。これは、自分の本心ではない。
 自分の見てくれを何より重視するナルシストの銀二だ。他人に対してはいざ知らず、彼は自分にだけは嘘をつけない。
 たとえ嘘だとしても、格好良いものを格好良くないとは言えない。銀二は、そういう男であった。

 それは───つまり。

「……え、え? 待てよ、なんだそれ……」

 頭の中に浮かんできた"答え"。
 それは間違いなく的を射たものであったが、しかしはいそうですかと受け入れられる代物ではなく。
 銀二は顔を真っ赤にして、頭まで湯船の中に潜り込ませてしまった。
 彼にしてみれば不本意なことこの上ないだろうが、その様子は……どこからどう見ても、初心で純真な年頃の少女のそれでしかなかった。


◆◆


 "入れ替わり"の日から、早くも半月が過ぎた。
 未だに身体の中身がもとに戻る気配はない。
 最近はもう、素子の言葉遣いや所作にも慣れてきたほどだ。
 ……身体もちゃんと隅々まで洗えるようになった。胸や性器も、もう大丈夫。

「お、来たのか小川。今日もいい試合をするから、しっかりそこで見てろよ」
「あ、ああ……じゃなかった、うんっ」

 一方で素子はと言えば、この通りもう完全に"竜崎銀二"の身体を使いこなしている。
 当初は銀二が素子に口調が違うなどと注意していたのに、今となってはまるきり逆だ。
 ただひとつ元の銀二と違っているのは、肉体の主導権が素子に渡ってからというもの、明らかにナルシストぶりが鳴りを潜めたこと。
 その効果は絶大で、今まで彼を嫌っていた女子生徒も最近はどこか物憂げな瞳で銀二のことを見つめ始めたほどだ。
 とんだイメージの乖離である。しかしそれに、いつしか銀二は文句を言わなくなっていった。

「ふっ───はっ、らあッ!!」

 汗を飛ばしながら筋骨逞しい身体を揺らして、鋭い拳をサンドバッグに打ち込む自分の姿。
 それを銀二は、少女の身体でぼうっと見つめる。
 気付けばその口元は、こんなことを呟いていた。
 半月前の銀二が聞いたなら、噴飯ものの台詞を。

「かっこ、いい……」

 けれど───これが今の銀二の正直な心境だった。

 活発に動き回って競技に勤しむ自分の姿が、どうしようもなく愛おしいのだ。
 格好良くて、素敵で、見ているだけで心の中が切なくなってくる。
 以前の気取った銀二とはまるで違う、野性的な竜崎銀二。
 本来嫌悪すべきそれが……こんなにも格好良く見えて堪らない。

    ・
「(……私、どうしちゃったんだろ)」

 銀二は、気付かない。
 心の中での自分の口調が、女のものに変わりつつあることに。
 
 気付く頃には、きっともう、すべてが遅いのだろう。
 その頃には、きっと───

 
 完全に、言い訳のしようもないくらい。
 竜崎銀二という少女は、竜崎銀二という男に、恋をしている筈だ。



(了)

【依頼小説】男とボクシング部マネージャーの女の子との体が入れ替わる小説 前編

文:千景 https://skima.jp/profile?id=23210
イラスト:蜂蜜柑 https://twitter.com/mikantsf


 竜崎銀二と言えば、私立蜂須賀高校においては良くも悪くも知らぬ者のいない存在である。

 その手のアイドル事務所でも通用するような甘いマスクの美形。
 背の高さなど体格的要素にも恵まれ、運動神経もご多分に漏れず高い。
 そんな彼を持て囃す女子は多いが、しかし中には「あの男はやめとけ」と苦言を呈する者も少なくない。

 その理由は───

「うんうん、今日も格好良く仕上がってるな」

 ……銀二は、性格に熱血のきらいこそあるものの、根本的にどうしようもなくナルシストなのである。
 何よりも優先すべきは自分の外見と豪語して憚らないほどだ。
 こうして愛用の手鏡で自分の髪や肌のノリをチェックしている辺り、筋金入りだと言える。

 だからこそ、そんな彼にはひとつ嫌うものがあった。

「……にしても、あのマネージャー。今日も今日とてしつこく誘ってきやがって」

 『あなたの身体が欲しいんです! どうか我が部に入って下さい!!』と、一歩間違えればとんでもない意味に聞こえそうな勧誘台詞が銀二の脳裏に蘇る。彼はここ最近、毎日のようにある女子生徒から部活動の勧誘を受けているのだ。
 普通の部活ではない。ボクシング部である。高校の部活動としてはかなり珍しい部類であろう。
 とはいえ、彼女……ボクシング部のマネージャーを務める少女、小川素子(おがわ・もとこ)が彼を欲するのも無理はない。
 
 銀二の肉体はあらゆるスポーツを万全にこなせる最高のものだが、それは格闘技も例外ではないのだ。
 実際銀二は喧嘩でも負けたことはなかったし、痴×の類を取り押さえて突き出してやったこともある。
 もしボクシング部に入ったなら、まず間違いなく部のホープとして活躍できるに違いない。
 にも関わらず彼がその道を選ばないのは、ひとえに。

「誰がやるかよ、ボクシングなんて汗臭いスポーツ」

 銀二のナルシスト気質故のことだった。
 彼はまず、汗に塗れるのが嫌いである。
 特定の部活動に入っていないのはそのためだ。何が悲しくて、自ら進んで体を臭くしなければならないのか。
 まして格闘技など以ての外。自分も相手も汗臭い、極めて不毛なものであると銀二は考えている。

 知るか知るか、と頭の中の勧誘文句を振り払いながら銀二は家路に就く。
 街路を通学カバン片手に進んでいくと、ふと、横断歩道が目に入った。
 信号の色は青。ひとりの少女がそこを歩いている。
 ……見れば、それは件のマネージャー少女・素子だった。
 
「チッ、頼むから気付かれんなよ───って、おいッ!?」

 舌打ちをして見つからないよう祈ろうとしたところで、銀二は気付く。
 青信号であるにも関わらず、猛スピードでトラックが向かってきているのだ。
 素子に気付いている様子はない。……銀二は少しの逡巡もなく、素子に向けて駆け出した。

「危ねえぞ、馬鹿マネージャー!!」
「え? あ、竜崎さ……」

 銀二はエゴイスト気味なナルシストだが、目の前で危険に晒されている異性を見過ごせるほど冷血ではなかった。
 足を咄嗟に動かして、驚いた顔の素子の手を引いて飛び退く。
 此処までは完璧だった。トラックが通り過ぎる風圧を顔に感じる。
 しかし……さしもの銀二もこんな無茶をして、受け身まで取るのは不可能だった。
 
「っ」

 勢いよく、素子を抱き締める格好で地面を転がる。
 その拍子に後頭部に強い衝撃が走り、そして───

「(……あ、やべ。俺、死んだかも)」

 竜崎銀二の意識は、真っ黒に暗転した。


◆◆


 結論から言うと、命に別状はなかった。
 一応病院には素子共々搬送されたのだが、何ら問題なしということで帰された。
 ……が、これでめでたしめでたしかと言うとそういうわけではない。
 確かに、"命に"別状はなかった。つまりそれは、命以外の場所には問題が生じたということだ。

「(……なんでこんなトコで、こんなモン見てんだ。俺……)」

 心底うんざりした表情で部室備え付けのベンチに座り、リング上で汗水飛ばしながら拳を放つ青年を見て、小川素子は嘆息する。
 彼女の視線の先に居るのは、素子の命の恩人・竜崎銀二その人である。
 爽やかな笑みを浮かべて楽しそうにボクシングに興じている様は、先日とはまるで別人のようである。
 それを言うなら素子もだった。実に不服そうな目で試合を観戦している彼女の姿は、いつもの活発で競技大好きなものとは一致しない。

 それもその筈。
 今、このボクシング部室に居るふたりは───元のふたりではないのだから。
 
「ふう、いい汗掻きましたっ」
「……おい、俺の身体でそんな言葉遣いすんな! これ以上俺のイメージを崩すんじゃねえっ!」
「あっ、ごめんなさい銀二さ……すまねえ、素子っ」
「大根役者過ぎるわ! あと呼び捨てるな何かあったと思われるだろ!!」

 この会話を聞けば、ふたりの間に何があったのかは薄々察しが付くだろう。
 そして、その通り。
 件の事故もといアクシデントがあって、両者が頭を打ち昏倒したのをきっかけにして……如何なる原因でか、ふたりの意識が入れ替わってしまったのである。
 つまり、銀二は素子に、素子は銀二に。人格が入れ替わり、今日の日に至っている。
 とりあえず戻る手段も分からないので、お互いに話を合わせつつそれとなく監視しようという運びになったのだが、それがいけなかった。
 素子は"最高の監視の手段"と豪語して、銀二の身体でボクシング部に入部してしまったのだ。なまじ理屈が的を射ているから強く拒否も出来ず、なし崩し的に押し切られてしまった。
 どうしてこうなった。銀二は、素子の身体で頭を抱える。

kikaku6(1)_2019061423410684b.jpg

後編はこちら

【5/23発売】オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ サンプル⑥

「このっ! お前たち! 俺を解放しろっ! 元に、もど、せぇ……はぅうう! あっ、あっ……おおぁ、ああああっ!?」
 排泄孔が、メリッ、メリッ、と裂けていくような痛みの中、懸命に声を震わせていた邦彦だったが、その彫刻のように端麗な美貌は再び恐怖に縮こまる。
 恐怖に青い瞳は見開き、頬の筋肉が引き攣る。
 ヴィィィ、とアナルを責め立てる器具の真上に。
 黒い影が、現れていた。
「ひいい! やめっ……やめろぉ――!!」
 今尚もクチュクチュと小振りの乳房ごと乳首を舐め吸っている胸当て機器と同じような外装。黒光りする巨大昆虫のような見た目。
 けれど、やはりどんな科学繊維なのかも定かではないヌルヌルと湿って絶えず蠢いている裏側には、太くて、長い、棒のようなモノが勃っていた。
 胴体は、僅かに反り返り。先端の小さな球体は、ばち、ばち、と静電気を帯びていた。
「あっ、ああ……やだっ! やだっ、やだやだ、やだぁあああ~~~~っ!!」
 体の芯から恐怖に支配されて、くねくねと邦彦は腰を捩る。
 四肢と首の柔肌に、拘束具が食い込む。だが、構いはしない。
 それこそナイフを突きつけられた少女のように咽び泣き、一本の陰毛さえ根絶されたツルツルの恥丘をガクガクと痙攣させた。
「あっ、あっ、ああッ――ひぃ、ぁああああ~~ッ、ッ!?」
 ずぶ、ぬぶぶ、じゅぶぶぶっ!!
 丁寧過ぎるほど、そして、悪辣なほど。
 全身を椅子に拘束されている邦彦の細すぎる女体を、多勢で男たちは抑え込み、濡れた股をくっぱりと割り開く。
 破廉恥に広がったその媚肉穴へと、激しく異物を押し当てる。
 またしても一息だ。
 恥骨が変形したと思う勢いで、勃起ペニスを思わせる形状のソレが、邦彦の奥へと、ぬぶっ、ぬぶっ、と埋められた。
 プシュゥウウ――シュワァアア、プシュゥウウ!!
「ひあっ! はぁ、んひゃぁ、あああ~~んふぁ、あああっ♡」
 びく、びくん、と悶絶しつつ、思わず甘やかな絶叫を振り絞った邦彦。
 微弱ながらも電気を帯びた球体は削るように女の肉穴を突き捏ね、暖かい汁液の感触が、ぷしゅ、ぷしゅわぁ、と弾けた。
 だが、己の膣管が淫らな体液を滲ませていることに、彼は気付けない。
 いや、気付きようがなかった。
 プシュゥ、プシュワァァアア、プシュゥウウ~~~~!!
(ああ! 止まれ! 止まれ! 止まってくれぇ、ああっ! やだぁー!!)
 異物棒の刺激に、彼の膀胱は破裂したのだ。
 ビリビリっ、と下腹の奥で悩ましい電気が渦巻くたび、溜まっていた黄金水が、極細の尿管を下り、狭くて小さな肉穴より噴き漏れる。
 じゅる、じゅる、ちゅぅううう!!
 股間に押し当てられた謎の多い器具。
 最初からヌルヌルと滑っている裏側は、オムツのように邦彦の排尿を吸収すると、むわむわと熱を帯びながら、狂おしい感触で柔らかな恥部の膨らみや、媚肉へと貼り付いた。
「はぁ、はぁ、んふぁ、あああ~~っ♡」
 これまた、女の体のせいだろう。
 溜まった尿液を開放する何とも言えない恍惚に、邦彦は堪らず、うっとり。
 甘い溜め息をこぼし、力を失った細身を背凭れへと預けた。
「は、ふぅ、はずかっ……ああ、お漏らし……俺が……こんな年にもなって……おしっこ……ああ、でるっ! でるぅ、でるぅ……ああっ……はずかしぃぃ!」
 人前でお漏らししてしまった恥辱は、意識を熱く焦がしていく。
 当然である。
 成人男性。況してや、彼は刑事なのだ。
 人よりも正義感と自制心、そしてモラルが高い青年なだけに、止められない排尿に、うるうると青い瞳を潤ませる。
 氷のような美貌も、人形のように細すぎる女体も。
 気恥ずかしさのあまりに激しく火照らせ……彼は、普通の女性ぐらいの肌色になっていく。
「はず、んふぅ、ああ……はずかし、いっ♡ んふぅ、ふぁああ……ああ、嘘っ……と、止まんないぃっ、いい!!」
 プシュゥウ、シュゥッ、シュゥッ……!!
 最後の一滴まで尿液を噴き漏らし、ぶるぶると身震いした邦彦。
 電流は止められたものの、膣中をみっちりと占領する異物棒は、ぐりぐり、と下腹部の妙な弾力を押し上げる。
(はひぃ、いい! これ、もしかして――もしかしなくてもっ!?)
 そう、間違いない。
 男として生まれ、意識もまだまだ男であるが……。
 それでも邦彦は明確に悟る。
 電気を放っていた小さな球体が悩ましく突き拉げているものは、女にとって重要な聖域。壺のような形をした生殖器。
 即ち、子宮だ。
 今や邦彦の物となった聖なる孕み壺は、その入り口を異物によって突き解されて。
「んひぃ、ああっ!?」
 ぬる、ぷしゅっ、ヌルヌルッ!
 今度は誤魔化せない。
 サラサラとした尿液とは異なり、粘度の高い体液は、脈打つ子宮の口から妖しい熱感と共に、滲み出す。
 ぐねぐね、と。下腹部がうねる。
 あまりにも慣れない感触に、邦彦の腰は淫靡な動きでくねった。
「あっ、ああ……抜け! 全部、抜けよ! 全部、剥がせ! 剥がせよぉ! こ、この野郎っ、っ……」
「あっ……それくらいなら私でも大丈夫よね?」
「ひいい!? ばかっ! や、やめてくれぇ――ッ!?」
 最後の最後は、自分の手で――。
 白衣の男たちから、やはり黒い物体を渡されたのは、調教師ミキ。彼女は四肢を拘束され体中の局部に淫らな装置を付けられた麗しき娘に――否、違う。
「あっ!?」
 ある日突然、麗美な美女の肉体となってしまった元男に、手に抱いた物体を強引に被せる。
 ―ーヘルメットである。
 視界を遮り、端麗な美貌と青白い頭髪を中へと押し込め、がちゃり。
 機械仕掛けの椅子と。
 天井から伸びる黒いコードと。
 邦彦自身の頭部を――確実にロックした。
「こ、この!! 外せ! 外せっ! 絶対に、逮捕してやるっ!!」
 必死に頭振る邦彦であったが、それこそ列車のジョイント部分のように金属が重なり合い、今のままでは一生ヘルメットは脱げなかった。
(く、くそぉーっ!!)
 悔しさと、恥ずかしさ。
 何よりも無力感に歯を食い縛り、ううぅー、と呻くしかない女体化刑事。
 その彼の苦悩に、にたりと嗜虐的な笑みを浮かべたミキは……とてとて、とあの巨大な映像装置……ディスプレイの横に立つ。
「普段なら確実な命の保証を確認してから――商品である奴隷で実践するんですが……あなたは。 邦彦さんは……特例中の特例です!!」
「――――ッ!?」
 びくんッ、ガクガク……びくびく、びくりっ!!
 操作装置でもあるガラス板に触れたミキ。
 すると、どうだろう。
 まさしく一瞬で、邦彦の細すぎる女体は、荒々しい痙攣に見舞われた。
(んぎゃぁ、あああああ――っ!?)
 悲鳴を上げることも出来ない。
 巨大犯罪組織が生み出したこの装置――開発中の調教マシーンに掛かれば、鋼の意思を持つ刑事であっても、この様である。
「んぎっ……んぐっ……はぅ、ぅっ……!」
 大きな痙攣を繰り返し、最後には泡を噴いて、邦彦の彫刻のように整った肢体は、ぐったりと動きを止める。

「ああ、楽しみです! とても、楽しみです!! 本来なら死なないようにギリギリまで調整するのですが――邦彦さんは別! ……死んでも構わないメチャクチャな調教で……あなたの誇り高い人格を壊させて頂きますっ♪」

 くふふ、あははは――……。
 無言を貫く白衣の男たちを背後に控えさせ、調教師ミキは昏い嘲笑を木霊させた。

 ここは、この国の闇。
 異常で悪辣な人身売買が行われる場所。
 財政界や警察とも繋がりを持つ強大組織が運営する地下施設。
 けれど、ここに引き摺り込まされた人間の中で、僅かであるが救いを手に入れる者もいる。

 例えば、男に騙され借金苦の末に売られた風俗嬢など、だ。
 ……もっとも!!

「……ぁっ、ぁぁ……ぅ……あっ……」

 この女体化刑事に、残念ながら救いの機会は訪れない。
 地獄から天国に行く娘がいるように――早乙女邦彦は天国から地獄へと、堕とされた男であった。


<続きはお買い上げでお願いします!>

オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ FANZA版
オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ DLsitecom版

【5/23発売】オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ サンプル⑤

(くそぉー! 俺の……オレの本当のカラダなら……こんなモヤシみたいな奴らっ!! ぶっ飛ばしているのに――!!)
 言葉もなく。合図もなく。
 白衣の男たちは今や邦彦のモノとなった女体を忙しく撫で回し、黒いコードをふたつ準備した。
「脳移植や脳交換は……数を熟したおかげで成功率は、かなり高くなりました。 ……でも、これはまだまだ実験段階の装置なので、ちょっと専任スタッフを呼ばないといけないんです。 だって――困るでしょ? 被験者がぽっくりと亡くなったら……くふふ♪」
「ひぃ、いいっ!?」
 無言を貫く男たちの代わりに、ミキが唇を動かしていく。その妖しい微笑みに貫かれたまま、彼の胸部に黒いコードが迫り来る。
 先端が丸く広がった不気味な機械装置。ソレは……胸当てであった。
 クチュリ、クチュリ。
 外装は硬い金属。
 けれど、中身はまるで生き物の口のように湿っており、おぞましい感触で、邦彦の乳首ふたつを咥え込んでしまう。
 女の身体だからか。それともカリーナの体だからか。
 細い体格に相応しい小さな乳房の感覚は一気に膨らむ。
 甘切ない痺れが脳裏を襲い、股座の縦筋はヌルヌルと弛んでいく。
「や、やめ! はなせっ! 気持ち……わるぃ、いいっ!!」
 本心からの叫び。
 嫌悪感に、ぞわぞわと背筋が粟立ち、息も胸も詰まった。
「ん、ン……あふぅ……♡」
 イヤイヤと邦彦が首振る一方で……ぬちゅ、ぬちゅ、と腹の底から、暖かな粘液の感触が、悩ましく弾けていく。
(ああ、やだ……なんだ、この声? お、おかしいぞっ! こんな気持ち悪いのにぃ、いい――!!)
 甘やかな呻き声に、男の意地を奮い立たせ、彼は涙で濡れる青い瞳を、キッと吊り上げる。
 ……が、その直後。
 ずちゅりっ、ずちゅり……ジュルルル。
「あひぃ、ぁあああ~~っ♡」
 数瞬の抵抗もなく、邦彦は甘く裏返った悲鳴を上げた。
 胸当ての裏が、淫靡な音を響かせ、両乳首を生臭く吸い上げたのだ。
 ずるぅ、ずるぅ――と慎ましいほど小振りな乳肉を巻き込み、桜色をした彼の乳頭は、不気味な装置の奥へと引き摺られる。
 ヌルヌルと湿り蠢く胸当て。
 隙間なく吸い尽くされている乳首より、女の快感が……切ない媚電が、彼の脳を貫く。
「んあっ! とめぇ……やめっ! う、うわあああ! こんなの……うううっ! やめろぉ、おおお――――ッ!!」
 ダメだ。無理だ。
 ……不可能である。
 男に比べ何倍にも敏感な乙女肌の神経に、意識が男のままの邦彦が堪えられる訳がなかった。
 胸当ての裏地は、バキューム状態となって乳肌へと吸い付き、まるで貝類の口腔のように、ずる、ぬるぬる、ずるぅぅ、と蠕動する。
 狂おしい感触。
 この世の物とは思えない歯痒い疼きと、切ない電流が、何度も背筋を駆け上がる。
「あっ、あっ……くぅうう!!」
 異性の体で受ける刺激は、強すぎる。思わず呻き、瞼を閉じる邦彦。
 すると……あることに気が付いた。
(な、なんだ……これっ……ああ、足――いや、太腿の近くにっ? 今度は何をする、つもりなんだっ!?)
 胸が締め付けられる。恐怖で四肢が強張る。
 しかし、邦彦は覚悟を決めて、恐る恐る瞼を開けた。
 透明な青い瞳。その水晶のような眼球に映ったのは……何だ?
(……?)
 確かな観察眼を持つ彼でも分からず、首を傾げる。
(うわっ? な、なぁー!?)
 彼のふたつの乳房をしゃぶっているパーツよりも、小さいキューブ状の黒い塊が、ムカデの胴体のように連なる謎の物体。
 先端から終わりの黒い球体まで、ヴィィィ、と微弱な振動を纏い、ソレは蛇のように邦彦の太腿の近くで、雁首を擡げていた。
(――分からないけど、嫌な予感がっ、っ!! んぎゃぁああ! はひぃ、ぁあああ~~~~ッ!?)
 『アナルビーズ』と言う淫具を知らない無垢な青年刑事。
 それぞれが微妙に異なるバイブレーションを繰り返す黒い球体たちは巣穴に潜るようにして、邦彦の尻谷間へと潜り込む。
 ……一息であった。
 しっかりとした異物感は微細な震動を臀肉に撒き散らしながら、彼のアナルを占領する。
「はひぃッ!? んひぃ、いいいっ、っ!?」
 現実の質量で言えば、大したことはない。
 しかし、鋭敏で、しかも窮屈な乙女の肛門が異物によって、メリッ、メリィッ、メリィッ、と抉られているのだ。
 トドメとばかりに、細かい震動に腸襞を無理やり解されて、邦彦は青い瞳を、ギョッ、とさせた。
 鼻孔を膨らませて、ひぃー、ひぃー、と情けなく身悶える。
「ぬ、ぬけッ! ぬい、てぇ……あがっ、ひがぁあ! んひぃいい――!!」
 ずぶずぶ、と。
 白衣の男は、その小さな球体の連携物体を、直腸まで押し込める。
 括約筋がこじ開けられる激痛は、炎のように下半身を燃やし尽くした。
「はひぃ! んふぁああ! こ、肛門……ああ! ぬ、ぬけぇー!!」
 暴漢に襲われる娘のような悲鳴を上げて、ガクガクと美しい細身を浮かび上がらせた邦彦。

オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ FANZA版
オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ DLsitecom版

【5/23発売】オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ サンプル④

「お、お前は――ッ! ……誰だッ!?」
 咄嗟に叫べたのは、彼が優秀な人間の証だった。
 本来、ここまで錯乱した場合、為すがまま他者に思考を操られるものであるが……邦彦は刑事としての勘を働かせて、女を睨む。
 『悪人だ! 飛びっきりの!!』と瞬時に悟り、歯を剥き出して警戒する。
「私は調教師のミキです。 これから、あなたを淫らな牝奴隷に――いいえ、牝妻へと調教する者です」
「めっ……牝奴隷? 牝妻っ?」
 優雅な動作で、自己紹介してから――彼にすることを簡潔に説明した調教師のミキ。
 一方、現代の日本では馴染みのない言葉に、邦彦は瞬時に動けなかった。
「ふっ、ふっ、……ざけるなっ! こんなこと、許される筈がない!!」
 だが、それでも頭の回転は速い。
 そして、彼の正義心は少しも衰えていなかった。
「こんな……勝手に! 人の体を性転換手術して……しかも、奴隷!? 妻っ!? お前は――いいや、お前たち犯罪者は! 他人を何だと思っているんだ!? 罪の意識はないのかっ!?」
 刑事を誘拐し、閉じ込め……見事な性転換手術を施し、売り払う。
 聞いたことも想像したこともない前代未聞の犯罪であるが、それを実行するには個人では不可能。
 単独犯ではなく、高度に組織化された犯罪集団と見破り、邦彦は吠えた。
 吠えずにはいられなかった。
 その推察を聞き、調教師の女は「おしい……ですね」と言い……。
「正確には性転換手術ではなくて……脳移植。 脳交換の手術です」
 あの虚像――嘘とは思いたくはなかったが――を生み出していた鏡面に、触れた。
 途端、一瞬白く輝いたと思いきや、次には別の映像が浮かび上がってくる。
(これは鏡……じゃないっ!?)
 反射的に邦彦はそう思った。……が。
 それも正確ではない。
 これはカメラを利用して、ありのままの姿を映し出すことも出来て――その反対に全然違う映像とすり替えることも可能な、多種機能を備えた映像装置なのだ。
 そして……タッチパネル式の操作装置でもあった。
「……あ、ぁぁ……これが、俺――俺なのかっ!? 今の俺が、この姿っ!?」
 改めて、いいや、漸く今の自分の姿を完全に捉えた邦彦。
 息を詰まらせ、みるみると顔を白くさせる。
 色白な美肌なだけに、ますます大理石の彫刻のような美貌に変わった。
「う……う、そっ……だろ? これ、これは――」
 無理もない。邦彦は、思わず呻いた。
 不自然に思えるほど、ほっそりとしなやかに形作られた女の美体。
 その美貌。
 色素が薄く、澄んだ水のように青白い髪。
 同じく透き通る水晶の如き青瞳。
 裸同然の破廉恥スーツと、手足を包むグローブ・ストッキングだけを纏い、大層な装置と接続されている椅子に拘束されている姿は、滑稽。
 残念至極だ。
 ……されども、簡素なワンピースでも着ていれば、誰もが外国のお姫様だと騙されてしまうほどの鮮やかで、優雅な風貌。
 それが今の彼であった。邦彦の――今の肉体であった。
「か……かぁ……りぃ……なぁっ……」
 男だった自分の肉体が――細身の美女の身体に変えられている。
 けど、しかし。
 その事実よりも、遥かに大きな衝撃が邦彦の脳髄を震撼させる。
(か、カリーナ? カリーナなのかっ!? お、俺が――!?)

オーダーサンプル2

 嘘みたいで。冗談みたいで。
 悪夢そのものと言った感覚であるが……彼は認めずにはいられなかった。
 目の前の板に映る姿。今の邦彦の肉体。
 氷の冷たさのように鮮烈な美をヒシヒシと伝える女の貌。
 そう、如月カリーナである。
 別れて久しいが、それは確かに彼が知っている娘の美体であった。
 施設で出会い、施設で別れた、妹のように思っていたハーフの美少女……カリーナ。
 その彼女に――自分はなっている?
 これを悪夢と言わず、何と言うべきなのだろうか。
「の、脳移植……だなんて……そんなの不可能だ。 あ、ありえないっ!!」
「そうですかぁ? 脳移植も、脳交換も、そんな難しいものではありません。 現に……今のあなたは……如月カリーナさんの肉体ではないですか」
「……脳、交換っ? 待て……交換ってことはっ! まさか、俺の体にカリーナが――彼女の脳が、入っているのかっ!?」
「ええ、勿論です。 もう暫くしたら合わせてあげますよ」
 突然、こんな美しく成長した娘の身体へと、自分の意識を……いいや、脳を閉じ込められただけでも酷く現実感がない。
 なのに、本来の持ち主の脳は――邦彦の本当の肉体に入っているらしい。
 胸中を締め付ける恐怖に、この美体は凍えるように委縮している。……が、 彼の意識はふわふわと浮き立ち、とても冷静ではいられない。
(なんでカリーナ? カリーナと、俺の脳を入れ替えてっ……め、牝奴隷? 牝妻っ? わっ、訳が分からない! 何の意味があるんだ、それっ!?)
 偏に彼が優秀であるがため――ミキたちの非効率な行動を理解できず、
当惑は増すばかり。
「でも、その前に……淫らで卑しい牝に改造させて頂きますっ♪」
 ぱちんっ!
 ミキの指が軽快に鳴る。
 途端、部屋のドアから三人の男たちが入ってきた。
 色白で細い体の男たちは、ミキと同じ黒いスーツ……ではなく。
 病院で見かける医者の白衣とマスクを纏った連中であった。
「うわああっ! やめっ……やめろぉぉおおっ!?」
 男たちは無言。しかし、その動きはスムーズ。淀みなく、彼の柔肌を弄る。
 それは、まるでコミカルなコメディ映画の様相でもあったが――男たちに次々と素肌を触れる邦彦には、堪ったものではない。
 無駄だと悟りつつも、椅子に束縛される滑らかな女体を、びくん、びくん、と揺らす。
 腰も出来る限り捩じっては、男たちの手を拒もうとする。
「あっ、あっ! こ、こらぁあ! やめろ! はなせっ、はなせぇっっ!!」
 けれども、全く太刀打ちできない。
 ……当たり前だ。
 只でさえ、全身の筋力がか弱く低下しているのに、脚も、腕も、そして、首も拘束されているのだから。

オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ FANZA版
オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ DLsitecom版

【5/23発売】オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ サンプル③

「なっ、……何が、起きているんだ……?」
 だらだら、と脂汗が止まらない。
 ひんやりとした空気は冷たいと言うのに。
 体の芯から熱が奪われているような感じなのに。
 まるで大怪我をした時みたいに嫌な汗が額や脇、背中を湿らせる。
 すると、濃い暗闇で隠されている己の肉体は、感覚を研ぎ澄ませていく。
 剥き出しの肩は、華奢な形をしている。
 鉄の輪で束縛される首の径も、何時もよりも細い。
 ちょっとした振動で折れてしまいそうな頼りない四肢。
 しかし、太腿やお尻の膨らみには、しなやかな弾力が備わっている。大人の、そう、大人の女を思わせる――むちっ、とした柔肌の心地であった。
(んぅ……ああっ……俺の体に、いったい……なにが? んっ、あっ、あっ!?)
 硬い器物――巨大な鉄塊上の椅子――にお尻の肉が拉げられて、大きく開脚を強いられている股座に、むず痒い感触が巻き起こる。
 邦彦は、思わず身を捩じる。
 途端、闇の中で細い腰が、くね、くね、と緩く揺らめいた。
 長く伸び、甘い香りを孕んでいる頭髪がさざ波を立て、妙に垂れ下がる胸元が、ぷる、ぷる、と淡く撓む……。
 違う、と。間違いだ、と。
 思えば思うほど、闇のカーテンに包まれている細身は――自分の肉体は。
(まさか……お、女!? 俺の体が……女になっているのかっ?)
 異性へと変身しているような錯覚が、邦彦の焦燥感を煽り立てる。
 肩や胸。
 お尻や太腿。全身が柔らかな脂肪に包まれている。
 そして、恥ずかしい露出を強いられている彼の股座は……一本残らず陰毛を刈られていた。
(はぁはあ……な、ない! ちんこも、たまたまもっ……ないっ、ぃいいッ!?)
 ばかりか……。
 男にとって最重要器官である陰嚢と陰茎の感覚さえもが、消失していた。
 ぬと、ぬと……ヌルリッ。
「ひいぃっ!?」
 汗に塗れていく細身の身体から、下半身へと意識を向けた。
 そのせいなのか。
 スベスベとした小さなお腹の奥。
 汗でも、尿意でもないヌルヌル感が迸る。
 今まで一度でも味わったことがない粘つく汁が――ぬちゃ、ぬちゃ、と全身の柔肌を粟立たせながら、股座へと流れていく。
(――これは! そんな嘘みたいだけど……でもッ!? こんなの、とても男の体じゃないっ!! 男じゃない、このカラダッ!?)
 かちゃ、かちゃ……ガチャ!
 叫びはしない。けれども、とても正気ではいられなかった。
 自分の体をはっきり視認できないのも、邦彦を十分に追い詰めていた。
 微かな緑色の光が陽炎のように点滅する闇の中、彼は手足と首の枷を揺らし、幾度となく金擦れ音を響かせた。
 その時である。
「うわぁああッ!?」
 暴力的に。光が闇を駆逐する――。
 一気に増した光源に、クラクラと立ち眩む。
 瞳からは大粒の涙が、どんどんと溢れ出た。
(ああ! 声も、こんな高いし――やっぱり今の俺はオンナ……っ!?)
 頭に響く己の甲高い悲鳴に、ますます戸惑う邦彦。
 最初は焼かれるように痛んでいた眼球は、次第に光へと慣れていきが……その視界に浮かび上がったのは、彼の予想とは異なるものであった。
「えっ?」
 不意に拳銃で撃たれたように、彼は目を白黒させて呟く。
 正面に設置されているのは、巨大な鏡。
 ツルツルとした表面には、何時もの自分が――背が高く、瞳は鋭く、凛々しい顔付きの黒髪の青年が、情けないほど狼狽えていたのだ。
「えっ……あれ? いやっ? でも……うえっ!?」
 奇妙で、恥ずかしい衣装――黒く艶めくボンデージのような物を、筋肉で盛り上がる美丈夫へと貼り付けられながら、四肢と首を束縛されている。
 それは『早乙女邦彦』。
 つまりは、彼自身である。……が。
 彼の脳へと押し寄せる感覚は、何時も通りの姿形に違和感を募らせた。
「…………」
 拘束されてあまり動かない首を下へと傾ける。
 正面の姿見を信じるならば、視線の先には屈強な男の体がある筈だ。
 しかし、鏡の映像を否定し、期待を裏切り、全身の感覚を肯定して――
そこには、ありえない”真実”が待ち構えていた。
 胸元の小振りの乳房は、たぷたぷと揺れる。可愛らしいピンクの乳首が、その頂点に置かれていた。
 滑らかな線の腹部は、想像を上回る柔らかさで、ぷにぷにと震えている。
恐ろしいほど括れている腰に、ぴったりなほど可憐なお腹とお臍……。
 鍛えた結果、筋肉で隆起していた太腿と脹脛は、無惨な物であった。
 絹のように繊細な肌が全体を覆い、柔かい女肉によって、むちむちと膨らんでいる。
 体に食い込む枷のせいかもしれないが、やはり彼の両脚は――無論、臀部の膨らみも含めて――男では絶対にあり得ないほど、しなやかな弾力を帯びていた。
「う、あっ……や、やっぱり――っ!!」
 さらには……と言うか、決定的なのは勿論、股座である。
 光の中に暴かれた露出度の高い衣装は、もはや肌着とも言えない淫靡な風貌で、邦彦の色っぽく透き通る肌を晒している。
 酷いものである。裸と大差などない。
 鎖骨辺りと、胸の下。
 そして、足の付け根だけを覆うデザインのそれは、お尻も、恥部も、少しも隠していない。
 むしろ、彼の辱めるように、柔らかな臀肉の形と、縦筋に切り込まれた肉割れ目を外界へと放り出していた。
 目に焼き付く。
 陰毛が根絶されて、ツルツルと輝く恥丘。
 皺袋ふたつも、肉の棒も、綺麗さっぱり排除された下半身の局部。
 絶望的で。
 だが、思わず唾を呑み込んでしまいそうな美しい女性の聖域。
 それが今の邦彦の体の一部となっていたのだ。
「ゆ、ゆめ……? えっ、でも……えっ、えっ……!?」
 ここに来て彼の錯乱は、悪化した。
 無理もない。
 鏡の中に映るのは、普段の自分の姿なのだが……視界と、五感で伝わる体の情報は、彫刻のように引き締まった女体なのだ。
 甘酸っぱい香りが……いや女の体臭が、むわっ、と鼻孔に迫る。
 さらさらと舞うのは、信じられないほど透明度を持った青白い長髪。
 たぷっ、と乳房が波打つ。
 くねくねと細腰が動き、反動で柔らかなお尻が拉げた。
 止めとばかりに――。
 下腹部よりトロトロとした感触が、恥部の割れ目へと滴っていく。
 遂に邦彦は、あぅっ、あぅっ、と無様に呻いた時。
「おはようございます、邦彦さん」
 まるで演出したかのようなタイミングで、事態は動いた。
 ……女である。
 美しいが、男のようでもある中性的な黒髪の美女が、黒いスーツを纏い、部屋に入って来たのだ。

オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ FANZA版
オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ DLsitecom版

【5/23発売】オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ サンプル②

オーダー




 早乙女邦彦の人生は……良くはなかった。
 むしろ、悪い方だろう。
 両親が悪党に騙され、借金苦から自殺したのだ。
 親戚たちは腫れものを扱うように邦彦を避け、彼は幼い頃から施設で育てられた。
 故にだろう。
 弱者を虐げる犯罪者を捕まえる――正義の味方。警察官に憧れたのだ。
 そして、現在――清卓な顔付きの美丈夫に成長した邦彦は、刑事にまで昇進していた。
 これも努力の成果である。
 青春を犠牲にして貯金を溜め、勉強し、進学し、警察官になり……。
 そして、三十路になる前に、刑事へと昇進したのであった。
「……ふう」
 苦悩の分だけ報われて、満たされているせいなのか。
 小さな溜め息を漏らした。
 すると、正面の女性はワインの注がれたグラスから唇を離す。
「……お仕事大変そうなの、邦彦さん」
「あ、いや……! だ、大丈夫だよ。 なんでもない……けど、ごめん。 久しぶりの食事なのに、気を使わせて」
 女性は緩やかに首を振り、「うんうん。 気にしないで」と微笑んだ。
 彼女の名前は中原ユリ。
 邦彦の婚約者だ。
 その慎ましい美貌を見ると、必ず彼は考えてしまう。
 我ながら……よくこんな美女を捕まえられたな、と。
 警察官や刑事は、多忙で余裕のない職業である。
 行きつけの喫茶店で、偶然にも出会えたのが、半年前。
 仕事の業務と昇進。女性との交際。
 我ながらよく頑張っていると、この日の邦彦は少し浮かれていた。
「……んっ!」
 『これが幸せか!』と言わんばかりに、邦彦はワインを飲む。
 血のように濃い葡萄酒が、ごくごく、と喉を通る。すると、早くも頭がクラクラとしてきた。
「…………?」
 酒は、まぁ、強い方ではない。
 ワインは元からアルコール度数が高い飲み物だ。
 だが、しかし、頭に血が昇り、意識が酩酊するには――早すぎる。
 倒れないようにテーブルへと膝を付く。ぐらぐらと地面が揺れる感覚。
 不意に回りを見渡せば、他の客はひとりもいない。
(――おか、しい、ぞっ?)
 直感が脳裏を過ぎるも、既に手遅れだった。
 葡萄汁の香りと、強い酒気に紛れ込まされた薬が。睡眠薬が。
 若き刑事を昏×させていく……そして。

「…………っ、ぅ……う、ぅ?」

 深い闇へと沈んだ彼の意識が、次に目覚めた時――。

「う……ぁっ……うくっ……ぅ、ぅ?」

 そこは、現世の地獄。底の底に位置する悪夢の中であった。

(俺、は……? いたっ……頭が、いたい……っ?)
 脳の中心に針が刺さっているような違和感。痛み。頭痛。
 早乙女邦彦は堪らずに、ふるふると頭を振る。
 すると、短く切り込んでいた筈の頭髪は、項から肩。最後は胸部へと擽ったい波を作り出す。
 気のせいか。花のように甘くて強い香りが、鼻孔に押し寄せた。
(く、くらい……どこっ? いや……体が……うごかせ、ない?)
 激しい頭痛に苛みつつも、彼はその眼を周囲へと向けた。
 もっとも、部屋にある光源と言えば、淡い色合いでピカピカと点滅する緑色だけである。
 周辺どころか、己の体を視認することも難しかった。
「……くぅっ……!」
 何か硬くて冷たい物に、座らされている。
 腕を、脚を、そして、首を動かすたびに、カチャ、カチャ、と金擦れ音が返ってきた。
 身体が拘束されていることを、邦彦は悟った。
(くっ、なんだ……これっ? 体力が……っ!?)
 ハァハァ、と息が上がる――。
 平日でも鍛えているお陰で、同性代の男と比べても、かなり丈夫で立派な肉体が、早々にばてている。
(落ち着け――落ち着くんだ。 状況確認だ……まず、俺は、どうしてた? 目覚める前に、何をしていたんだ? ……うひゃっ!?)
 滲み出した汗が露出している肌を伝い――邦彦は、ぶるりと震えた。
 長めの髪は緩やかにウェーブを刻み、やはり甘い香りが鼻孔を擽る。
(さ、寒い……っ! 頭が重い……くそぉ! しっかりしろっ!!)
 正体不明の窮屈な布地を貼り付かせた――ほぼ裸と言っていい――邦彦の身体は、汗によって熱を失う。
 その体温低下に伴い、ずきん、ずきん。
 頭痛は間隔を狭め、激しさを増していく。
「う、ぁああ! くぅう……なっ、なにっ!?」
 ぶるりぶるりと震え、思わず漏らした悲鳴。
 その甲高い響きの声に、邦彦は驚きを隠せなかった。
 どう聞いたって、男の声色ではない。
 まるでオペラ女優のようなソプラノ声。
 深海の冷たい水を思わせる美女の声であり、叫びだった。
「俺の声が……なんだ、これ――っ!?」
 脳髄を駆け回る痛みに堪え、邦彦はカチャカチャと鉄枷を鳴らした。
 薄暗闇の中、少しでも己の体を見ようと目を凝らす。
(……おい、おいっ!? 冗談だろ……こんな、ありえないッ!?)
 僅かに映った影の輪郭。身体の線。
 それはとても男のものではなかった。邦彦の身体ではなかった。
 美しいながらも、何時壊れても不思議ではない極細の手足。
 腰の径も心許ないほど痩せこけている。恐いくらい括れていた。
 そして、細すぎる腰でも支えられる小柄な胴体と下半身が、邦彦の芳しくない視界の中に現れていたのだ。

オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ FANZA版
オーダーメイド~牝妻カリーナの事情~ DLsitecom版

【TSF小説・DL作品】オーダーメイド~牝妻唯愛の事情~ ①

2017Q2おかし製作所DMM販売数13位

【オーダーメイド~牝妻唯愛の事情~】
作:kagami0235
絵:ささくま きょうた

『第一章』


「本日は、我が組織をご利用いただき――誠にありがとう御座います。鮫塚大将様。私は、ここの総支配人を務めています。松村と言う者です」
妙に腰が低い、中肉中背の男だった。
それなりの値段はするだろう背広を纏い、きっちりと髪型を整えながら、平凡な雰囲気を拭えない彼は、『職業柄、名刺はお渡しできませんが……ご了承ください』と言い、ソファに座ることを勧めて来る。
僅かに抱いていた期待が萎んでいくのを、鮫塚大将は感じていた。
(……やっぱり、か。……どうせ無駄だったんだ)
人里離れた山奥。
山と山の隙間に潜り込むようにして、その洋館は建っていた。
広大な庭には噴水や花園もあり、一目ではリゾート施設に見えなくもない。
だが、しかし……。
「それでは……早速、ご紹介させて頂きます。お父様の方から大将様は、大変におモテになると言うことを聞きましたので――いやはや。珍しい商品を……つまりは女性を取り繕ってみたのですが……どうでしょうか?」
松村が、ぺこぺことお辞儀する。
その手から差し出された写真には、複数の女性があられもない姿で映し出されていたのである。
「例えば……これは、男性器を見せさえすれば絶対に服従してしまう娘。名前はカオリ。また、こちらはどうでしょうか。他人の排泄物を定期的に摂取しないと呼吸困難になるよう躾けた娘……レイコです。……おっと、これもお勧めですね。純潔を守ったまま、性感帯だけを過剰に開発した娘……ナナ。どれも至高の肢体たちです」
「…………」
そう、ここは普通の場所ではない。
陰湿な犯罪行為が平然と行われる日常の裏、世界の闇。
ここでは顧客の注文<オーダー>に応え、商品と言う名の”ヒト”が売り買いされているのだ。
調教済みの奴隷たちは、裏の世界でも人気が高かった。……が、しかし。
(うーん……んーっ……微妙だなぁ……僕の好みじゃないなぁ……)
客室に案内される最中にも、破廉恥な姿――ボンデージや、裸など――で恥辱の仕打ちに晒されている女性たちとすれ違っていた。
悔し気に睨むもの、怯えて震え上がるもの……そして、身も心も奴隷に堕ちたもの。
最初こそはゾクゾクと背筋が粟立ったが、それも一瞬だ。
大将は、どうしても乗り気になれない。
(それに……思う通りになる女なんて……普通にいたしなぁ……)
大企業の跡取り息子の大将は、金にも、女にも困ったことはない。
自惚れでも何でもなく容姿端麗で、優秀、しかも金持ちと来て、周りの人間たちは勝手に媚びて寄ってくるのだ。
困難も、苦しみも味わったことがない。
故に……彼の心は満たされことがなかった。
「…………ま、また。……今からでも新しい商品を納入し……御覧のような
サービスで、大将様好みの性奴隷に仕立てることも可能です。どうですか?」
用意していた商品では釣れなかった松村は、組織で行うサービスの一覧を、慌てて差し出して来た。
高級外食店のような豪勢な品目表には……一般の神経なら目を瞑りたくなるような最低で下品な記述ばかりが、隙間なく埋められていた。
だが、大将は平然と一覧に目を通していく。
(……へえ。アナルに……ダルマに……拷問。あ……壁や床に埋めて、死ぬまで飼うのもあるのか。……肉便器化サービス。なるほど、手が込んでいるのは
……認めるよ)
やはり、大将は狂っているのだろう。
異常を、異常だと思えないのだ。
(……うーん。……僕には、まだいいっていうか。どれも……興味がないっていうか……でも父さんには安心して貰いたいし……わざわざ僕に、ここを勧めるくらいだから――そろそろ奥さんも、孫も欲しいんだろうなあ。……でも)
苦労も、絶望も一度もなかったレールの上の人生。
それだけが、大将を歪ませた――わけではなかった。
むしろ、原因の大半は父親にあるのだ。
鮫塚小五郎。
過保護では、とても言い表せない彼の教育の結果、鮫塚大将と言う人間は、常識と良心を失ったまま大人になっていたのだ。
(…………あれ?……なんだ……これ?)
父には感謝しているし、困らせたくないとは思いつつ、一覧表を流し見ていた大将は、不意に視線を止めた。
それは純粋な興味だった。
内容が、よく分からなかったからだ。
「……せい、てんかん……調教……?」
――『性転換調教』。
この文字だけが、妙に意識に入り込む。すると……。
「ああ……それですか。性転換調教サービス……こちらのコースでは、私たちが用意した商品や、指定して頂いた人物を……文字通りに性転換し……お客様のご注文通りに――身も心も作り変えるサービスです」
「そんな……ことが……可能なんですか?」
「勿論ですよ。技術とは、科学とは……むしろ、世界の裏側で進歩するものです。大将様のご想像を超えて……男をオンナに、女をオトコに――変えてみせます!完璧にっ!」
その言葉が、大将の胸に、心に響いた。
どくん、どくん……どどどっ。
彼の中で、何かが目を覚ます。
「どんな人物でも……僕の望むままにっ――変える。オンナに……変える」
「はい。どんな男でも大将様のためだけの……性奴隷に変えてみせますっ!」
『まぁ、他のサービスと比べても、かなりお値段が掛かるのですが……』と零す松村の声は、もうほとんど耳に入っていなかった。
(僕の周りは……僕の思い通りになる連中ばかりだった。男も、女も……退屈する。むしろ、相対するだけで疲れる、煩わしい奴らだ。けど……普通じゃない、オンナなら?……男だったのに……女に変えられて、僕だけの……奴隷に、牝になる。……うん、いいかも。これにしよう!)
想像したこともない背徳の刺激を――大将は求めていた。
松村の言葉を聞き、男を女に変えて、牝として飼ってみたくなったのである。
まるで子犬や子猫を買い上げる感覚で、にやり、と彼は唇を歪めた。
「決めました。松村さん……僕、このサービスがいいです。これで女に変えた男を……奴隷に。いえ、パートナーにっ。僕の妻にします!」
「……おおっ。畏まりました」
「僕だけを愛して、僕だけに体を捧げる――そう……牝妻と言うくらいに、身も心も牝にして下さい」
「はい、はいっ。分かりました。……ですが、基本料金だけでも二億は掛かります。大将様のご要望のサービス内容だと……恐らく、お値段の方が五億……いえ、六億は超えると思うのですが……」
「ああ、そこは心配しなくていいです。父さんに言えば……今日中にも振り込むと思います。むしろ、どんなに金が掛かってもいいです!」
「…………は、はあ。流石は鮫塚……様で……お支払いが豪快ですねぇ」
「代わりに、完璧に!僕の注文通りの――牝妻に仕上げてください!!」
「そこはご安心ください!我々の調教技術は絶対です!!それでは……ご確認しなければならないことが幾つかあるのですが……まずは――」
先ほどの一覧表の上に……『性転換調教コース』と書かれた別の一冊を提示し、松村がふたつの項目を指差した。
「……商品はこちらで準備した人で構いませんか?それとも……お客様の方でご指定された人に致しますか?」
その問い掛けに――大将は、嬉しそうに口を開いた。
「……指定します」
「では、その方の名前は?」
「……常原勇大。それが――未来の僕の妻となる人間です」
堂々と――何一つ罪悪感なく――大企業の跡取り息子は、そう言った。

その一言が、ひとりの男の人生を壊すことを知りながら――。

オーダーメイド~牝妻唯愛の事情~ DMM版
オーダーメイド~牝妻唯愛の事情~ DLsitecom版 販売しました!

オーダーメイド~牝妻唯愛の事情~

【依頼小説】オレがあいつのコスプレ売り子!?

作 ran https://skima.jp/profile?id=29908
イメージイラスト むらさきいろオレンジ https://twitter.com/YG_AAA_G

 某所某日。同人作家のキョウは、夕暮れも迫る薄暗い部屋の中で打ちひしがれていた。
『残念ながら、貴方のサークルは抽選漏れとなりました』
 その無機質なメールの文面がどれほど俺にダメージを与えただろう。SNSでは、既に当選したサークルが浮かれて告知の画像をアップしたり思い思いに宣伝しているのに、俺はというと、暗くなる部屋の中でただ放心しているだけだ。――実際、この同人イベントの抽選に落ちるのはこれで二回目である。前回落ちた時、今度こそは……。と思っていたのに、またもや落ちるとは予想だにしていなかった。
『おっす! キョウ、今回こそ受かったか?』
 ここでいの一番にメッセージをよこしてきたのは、俺の同人作家仲間――もとい、悪友のタイキだった。なんとなく予想はついていたが、こうも期待を裏切らない行動を取るタイキを見ると逆に安心してしまう。
『キョウ、また落ちたのか? 残念だなぁ、お前の新刊読みたかったのに……。ああ、うちで委託ついでにコスプレ売り子でもするか?ww』
 それに加え、タイキがこうやって俺を煽ってくる事も、予想がついていた。俺は内心苛立ちながらも返信を打ち込む。
俺と違って、タイキは前回も今回もこのイベントに受かっている。タイキがよほどの強運の持ち主なのか、俺がついていないだけなのか。どちらにせよ、俺が参加できないのに変わりはない。――それなら、女装コスプレをしてでもタイキのスペースにいさせてもらい、あわよくば本も委託させてもらえばいいのではないか……? と、俺の中の悪魔が囁いた。どうせネタ程度にしかならないんだから、イベントに参加できさえすれば手段は選ばない。それくらい俺はイベントに参加したかったのだ。
『そーだよ。お前は受かったみたいで何よりだな。なんなら女装してコスプレ売り子でもしてやろうか?』
 冗談のつもりで、タイキにそうメッセージを送信する。すると、返信はすぐに返ってきた。
『マジで? うちでコスプレ売り子してくれんの? 丁度コスプレ売り子欲しかったんだよなぁ~、恩に着るよ』
そのタイキのメッセージを見て、俺は困惑した。ただの冗談のつもりだったのに、真に受けられてしまっては意味がない。
『冗談だって! ていうか俺、男だし。コスプレなんてやった事ないから』
『分かってるって。俺も別にそっちの趣味がある訳じゃないし……。そうだ。打ち合わせついでに一度前日飲みでもしないか? しばらく会ってないしな』
 そう言ってタイキがメッセージ中に添付してきたURLは、俺が普段行く事のないようなお洒落なバーのホームページだった。タイキ、いつの間にこんな場所を知っていたんだろう……。と疑問に思いつつも、珍しくタイキの奢りだと言うので、喜んで行く事にした。


 イベント前日、午後八時。
 新宿駅の中央東口に集合と言われたものの、普段都内に出てくる事が滅多にない俺は右往左往してしまい、やっとのことで出口に辿り着いた。あとはタイキと合流するのみだ。
「おっす、久しぶりー。元気してたか?」
 改札の向こうから、タイキが手を振りながら近づいてくる。俺も手を振り返して合流した。しばし久しぶりの再会に喜びつつ、今日の前日飲みの場所へ徒歩で向かう事にした。もし夜遅くなっても、イベント会場の近くにホテルを取っているので終電の心配はない。お互いに近況報告や雑談を交わしながら、今日行く場所はどんなところなんだろう、と想像を巡らせる。
「ここだよ」
 狭い路地裏を通って辿り着いた先には、隠れ家のようなバーがあった。一見本当にやっているのか怪しい場所だったが、簡単なメニューの看板と、OPENと文字が書かれたパネルがドアにぶら下がっている様子を見ると、ちゃんと営業しているようだった。タイキがドアを開けると、そこにはブラウンを基調としたシックな色が広がる洒落た空間があった。
「いらっしゃいませ」
 落ち着いた間接照明の色と、それに照らされた所狭しと並ぶお酒のボトルが俺を迎える。普段、こんなお洒落な雰囲気のバーに来る機会が無いため、俺は思わず躊躇してしまうが、タイキは慣れた様子でマスターと会話を交わしている。
「マスター。あれ、よろしく」
 タイキがそう注文すると、マスターは頷いた。

 しばらくして、俺たちの前に鮮やかな色をしたカクテルが出された。
「これ、俺のおすすめのやつなんだ。キョウにはいつも付き合ってもらってるからさ、そのお礼ってことで」
 タイキは少し照れたような笑みを浮かべる。俺、タイキにそんな事してあげていたっけ。友人だとは思っているけれど、特別親切にした記憶はない。いささか奇妙に思いながらも、乾杯してから一口そのカクテルを飲んだ。――美味しい。一体なんのカクテルなのかは良くわからないが、爽やかな甘みとほどよい酸味が合わさって喉をどんどん伝っていく。あまり行儀のよい飲み方ではなかったが、それだけ美味だった。
「キョウ、気に入ってくれたか? これ、俺の一番のおすすめの酒なんだよ」
 そうやって笑うタイキの言葉が耳に届いてから、視界がだんだんとぼやけていく感覚を憶える。
――あれ、もしかして、俺眠くなってきてる? 自分の中で体の違和感に気づきつつ、何か薬を盛られたんじゃないか――という疑問が頭をもたげたが、だんだんと遠のいてゆく意識の中で、その答えに行き着く事はできなかった。



 ――目を覚ますと、そこには白い天井があった。
あれ……えっと、……俺、寝てたのか? ていうかここ、ホテル?
「おはよう、キョウ」
 ベッドの横からタイキの声が聞こえた。驚いてそっちを見ると、そこには椅子に座ったタイキがいた。
「お、おはよう。もしかして俺、昨日酔って寝てた、のか?」
 そう声を出してから、違和感に気づく。これは、いつもの俺の声じゃない――それに、身体もだるくてなんだか熱い。微熱だろうか? そう考えを巡らせていると、タイキがその違和感を察したように口を開いた。
「キョウ、自分の身体を見てごらん」
 え? 最初はタイキの言葉の意味が全く分からなかったが、ちらりと下を見ると、そこで初めて自分の置かれた異常な状況を理解できた。――なにこれ、胸がある!?
「胸だけじゃないよ。鏡を見てごらん」
 俺は身体のだるさも厭わず、すぐさまホテルの洗面所へ駆け込んで鏡に映る自分を見た。そしてそこで、さぁ、っと血の気が引いてゆくのを感じた。
 俺、女になってる……!?

「え、ど、どうして……」
 俺はうろたえてその場にへなへなと座り込んでしまった。そういえば、声に違和感があるのも、これは俺の声ではないからだ。正確に言えば女性化してしまった俺の声なのだが、男だった時の俺の声じゃない、というのは変わりようのない事実だ。それに、鏡に映った自分も男だった時の面影は残っていなくて、何か別人になってしまったような、冴えない顔つきだった俺が、自分で言うのもなんだが――可愛い女の子になっていた。
「タ、タイキ。どうしよう。俺、変になっちゃったのかな」
 俺は思わずタイキに助けを求める。このおかしな状況で頼れるのはタイキしかいない。他の人に見られでもしたら。このまま戻れなかったら。色々な悪い考えが頭を掠め、感情が追いつかず泣きそうになってしまう。しかし、タイキからの言葉は思いもよらないものだった。
「キョウ、落ち着け。お前を女にしたのは――この俺だ」
 は? 今、なんて?
「おい! どういう事だよっ!」
 何もかも理解が追いつかない――しかし、タイキのせいで俺がこんな目に遭ってしまっているという事だけは分かった。何故なら、タイキはこんな様子になってしまった俺の事を見て、ニヤニヤと笑っていたからだ。頭のてっぺんから足のつま先までじろじろと見られている。その視線から感じる欲情の感覚は、俺を怖気づかせるには十分だった。
「思いのほか上手く行ったな。お前、そのまま今日うちでコスプレ売り子するか? そのためにイベント会場に近いホテルを取ったしな」
「ふざけんなよ……! 元に戻せ! このままコスプレ売り子なんか、絶対にやらないからな!」
 こんな状況になっても、あまりにのうのうとしたタイキの態度に苛立った俺はタイキの胸倉を掴もうとして、――体格が圧倒的に足りない事に気づいた。立ち上がった時の身長が低くなっていて、視界も狭くなってしまっている。
「そのままの恰好で帰るつもりか? 女物の服も下着もないし、それに……お前、実家住まいだろ? 俺は息子だって言っても、きっと信じてもらえないと思うぜ?」
 俺はその言葉に、びくりと震えてしまう。こんなの、こんなの……脅しに決まってる。俺を帰さずに体よくコスプレ売り子をさせるための罠に決まってる。
「っ……」
 俺はタイキの胸倉に掴みかかろうとしていた手を下ろした。
 今、俺だけでどうにかしようと動いても、きっと悪あがきにしかならないだろう。それに、見た目が変わってしまっているので俺がキョウだと認識できる人は、今のところタイキしかいない。ここで帰ったところで、実家の人間には頭のおかしい別人としか思われないだろう。ここは事情を知っているタイキと過ごし、解決法を探るしかない。殴るのはその後でもできる。
「……わかったよ。やればいいんだろ、やれば」
「キョウ、いつも変なところで物分かり良いよな。損する性格だよ、本当に」
 こいつはいつも俺を煽らなきゃ気が済まないのか……! とかなりイラつきつつも、タイキが予め用意していたという女物の下着、それにブラウスとスカートを着る。……うわ、スースーする。女の人って、いつもこんなの履いているんだな……。
「似合ってるぞ。やっぱり用意しといて良かったな」
「うるさい……行くなら準備してさっさと行くぞ」
 俺はタイキを急かしながら、慣れないスカートと靴で歩き方が変にならないか鏡でチェックする。――当たり前だが、見れば見るほどやはり女になってしまったんだなという思いが拭えなかった。

 イベント会場に着くと、サークルスペースの設営をするタイキと一旦離れて更衣室に向かう事になった。身体が女になってしまった俺は、勿論女性更衣室に向かうべきなのだが――同じく更衣室で着替えるであろうコスプレイヤーの女性を見かける度に、メンタルが童貞丸出しの俺は何か悪い事をしているのではないか、という罪悪感がわいた。どこをどう見たって女なのだから、周りからおかしいと思われる事はない。おかしいと一番思っているのは俺自身だという事実に、頭がおかしくなりそうになる。
 受付を済ませ、更衣室に向かうと、その中では沢山の女性が着替えを行っていた。当然といえば当然なのだが、今朝いきなり異性になってしまい、その上多くの女性が集まり、しかも着替えを行っている現場に放り込まれる体験というのはなかなかできない――いや、きっと俺しかできないだろう。あまりの衝撃でその場にぼーっと突っ立っていると、女性スタッフがどうしましたか? と声を掛けてくれた。俺はすみません! なんでもないです! と言って更衣室の空いているスペースに荷物を移動した。……こういう時、いの一番に勃起の可能性を気にしてしまうが、男性器がないので勃つものもない。俺はほっと胸をなで下ろした。女性になってしまってから、唯一安心できた事である。

「お待たせ……」
「おー、おかえり。初の女性更衣室、どうだった?」
「どうもこうもない……」
 こっちは慣れない事ばかりで衣装を着るのにも一苦労したのに、タイキは相変わらずニヤニヤした笑みを崩さない。こいつ、俺が元に戻ったら絶対ぶっとばすからな。
「で? 今日はどんな本売るんだ」
「おいおい、女になってるのにその座り方と言葉遣いはないだろ。せめて足閉じて、言葉遣いは丁寧にした方がいいぞ」
 俺の腹の底から無意識にはぁ~っ、と大きなため息が出てきてしまうのを感じたが、置かれている状況を顧みれば意見はごもっともだ。今だけ大人しく従っておこう。
「はいはい。わかりましたよ。こうすればいいんでしょ、こうすれば」
 俺は背筋を伸ばし、できるだけ足を閉じて座っている事にした。応対も素っ気なく返していればきっと変に絡まれる事もないだろう。イベントが終わるまで極力喋らないようにして、タイキに任せていよう。

20171018114841cad_20190429223654054.jpg

 

全文を表示 »

【投稿小説】第一印象(作 ととやす 絵 川上らいと)

作 ととやす https://twitter.com/totoyasu_tsp
絵 川上らいと https://twitter.com/raraRaITo1013

「あ、あかん・・・またやってしもうた」

思わずため息を漏らす青年。

(さっきの女性、途中から笑顔が引きつってたなぁ。
毎度毎度、嫌になるで。これで一体何連敗なんやろうか。)

それなりに整った身なりの青年だが、その表情は重く、暗い。

「やっぱり第一印象って大事よなぁ」

~~~~~~~~~

俺は秋野圭。今は東京で働くしがないサラリーマン。
本日はえーっと、その、生涯の伴侶を見つける場というか。
ええ、はい。所謂婚活パーティというやつに出席してます。
というのも、この間3つ上の姉貴の結婚式に参加したんやけど、それがまぁめっちゃ感動で・・・。
式が始まった時は「元々がさつで男っぽい姉貴もこうしてウェディングドレス着てると馬子にも衣装やなw」
程度にしか思ってなかったんや・・・。
でも、旦那さんと幸せそうな表情で笑う姉、それを祝う家族・友人一同の姿を見て俺も
「あぁ、こうして愛する人と一緒になれるんはほんまに幸せなんやなぁ」と不覚にもウルっと来てしまったわけ。
で、早速こうして婚活パーティに登録して結婚相手を探しに来たんやけど。
まーさっきからあかんわ。と、いうのも俺にも問題があるねん。

「こんにちは~」
「はい?」
やった、女の人に話しかけられた!・・・あっ、ちょっと顔固まってるやん。このパターンは。
「すみません、間違えました~」
そそくさと向こうへ行く女性。おおーい、嘘つけぇ!完璧こっち見たやん。
俺の問題点その一、目つきが悪い。そこまで強面ってわけちゃうと思うんやけど、どうしても釣り目でギロッとにらんでいる印象を与えてるみたいや。
そこそこ上背もある関係もあって、女の人からは見下してるように思われるみたいや。怖いってな。
生まれつきの釣り目はしゃあないやん。

「あの~」
お、きたきたぁ!次のチャンス!今度こそは!
「ハッ、ハイイイ!! あ、自分、秋野圭言いますぅ!! 25歳、独身で、関西出身で、就職して東京来て、
あと!趣味は自転車で!めっちゃ関西弁残ってて、職場の人からも突っ込まれまくってて!」
「あ、あの・・・」
「で、関西出身やしおもろいこと言って~とか言われるんやけど、そんな都合よくあるかいって話で!」
「えっと・・・」
「仕事は結構いろんなことやってて」
「すみません」
「あ、あぁ、待ってぇ~」
俺の問題点その二、というより最大の難点、女性苦手。しゃあないやん、こちとら男子校出身やで・・・大学も男ばっかやったしな。
ええ歳にもなってこれは恥ずかしいところ。
どう話せば良いのか分からない!でもそれはそれとして結婚はしたいんじゃあ!

むが~っと頭を抱える俺の目の前に、突然ぬっとマイクが差し出された。

「へっ?」
顔を上げるとそこにはスーツ姿の男が立っていた。
歳は俺よりも少し上くらいだろうか? ピシッとスーツを着こなし、爽やかな笑みを浮かべている。
(すんごいイケメンや)
どう考えてもこの会場にいる女性たちが放っておかないだろうこの男の手には、
不釣り合いなほど武骨なマイク。
状況をつかめず混乱する俺に向けて、男が声を発する。

「すみません、少しお話伺ってもよろしいですか?」

~~~~~~~~~

ニカっと笑う口元からは並びの良い真っ白な歯が見える。いっそ腹立たしいくらいのイケメンぶりである。
なんでも彼、穂高は某誌のライター兼動画投稿者として活動しており、こうした場にもちょこちょこ調査員として潜入しているとのことだった。

「今回はですね! 婚活における必勝法!みたいな情報を集計して動画や紙媒体に公開しようと思いましてね、
ぜひ参加者の方にご意見を賜ろうと思いまして!」
「は、はぁ・・・でも、こうしてこのパーティに来ている以上、誰も必勝法なんて持ってへんのちゃいますかね?」
「あはは、一本取られましたね。しかし、そこは情報の見方次第というか、切り取り方を工夫すれば何かしらの結論が見えてくるものです」
「そ、そうなんですか、めっちゃすごいっすね」

不思議なことに、パーティーどころか街中で出会っても目立つくらいの見目麗しいこの男(と圭)の周りには、ぽっかりと空間が空いてしまっている。
圭たちには眼もくれず他の男性たちとおしゃべりを続けている女性たち。

(なんでや? 俺が女の子やったらこんなイケメン絶対話しかけると思うんやけど?
んでついでに俺にも話しかけてくれ~!)

そんなことを考えていると、
「さて、お兄さん! ぜひあなたのお話を聞かせてください!」
相変わらずの爽やか笑顔で圭に話しかけてくる。
「え、俺ぇ!? 俺なんてあきませんよ!さっきから失敗続きで」
「ええ、ほんとに!? 全然そうは見えませんよ!?」
よっぽど驚いたのか大仰しい仕草で返す穂高。いかにもな気取った動きもまた、彼にはマッチしている。
「一体どうしてそんな失敗が?」
「いや、その。俺、目つき悪いでしょ? 癖でついギロッと睨んでまうみたいで」
「なるほどなるほど、しかしそれはどうとでもなるのでは? 眼鏡をかけると雰囲気も変わりますよ?」

(確かにそうかもしれへんな。だが、それ以上に・・・。しゃあない、この人モテそうやしなんかアドバイスくれるやろ!
恥を忍んでぶっちゃけるか!)

「あとそれだけちゃいまして。この歳になって恥ずかしい話、女性とどう喋ったらええかわかりませんで」
「ほうほう、といいますと?」
「小学校までは普通に共学やったんですが、中高と一貫の男子校に入りまして」
「あぁ~」
「お察しの通り大学も男ばっかの学部で女性がいないというねw」
「んふふ、あるある、ですかね? 学生時代に合コンなどのご経験は?」
「いや、それが学費稼ぐためにバイト掛け持ちしてて時間なんてあらへんで」
「それはそれは、苦労なされたんですね」
「いえいえ、そないなことは。・・・なんかしんみりさせちゃいましたねw」
「うっふっふ。それで今はこちらでお仕事を?」
「ええ、まぁ。生まれ育った関西を出るのは少し寂しかったんやけど。あぁ、言うてませんでしたけど、俺関西出身で」
「お話方で分かりますよ。では、今回のパーティにはどういったモチヴェーションで?」
「うーん、3つほど上の姉がいましてね。この間結婚式に参加してそれで」
「おめでとうございます。そこで幸せそうなお姉さまに感化されて自分も、ということでしょうか?」
「あはは、そんな感じで。しかし彼女いない歴=年齢の俺にはきつかったっすw
目つき悪いしコミュ障やしで散々や! 関西弁も抜けてへんからか女の子らにもちょっとビビられるし!」
「方言、良いと思いますけどね? 私としてはポイント高いですが」

(へいへい、いくらイケメンでも男に言われても嬉しくないっちゅうねん!)

グイっと投げやり気味にグラスに注がれたワインを飲み干す。

(あー、あかん、ちょっとポワポワしてるな。あんま酒強くないのに。)

圭はちらりと時間を確認する。パーティの残り時間も短い。

(あかんかったかぁ。
この日のためにファッションとか勉強してみたんやけどなぁ。
俺なんかがそんなパッと彼女作れるわけもなかったな。
・・・ちょっとくらい報われたかったわ。)

グイっ。新しいグラスを取り、一口で飲み干す。そろそろ帰り支度にかかろうか。

「まぁ、結局のところ、第一印象良くないとあかんっちゅうことですね!」
努めて明るく穂高に告げ、その場を後にしようとする圭であったが。

「つまり、逆に第一印象良ければ何とかなるってことですね!」
おとなしく相槌を打っていた男が、一転して威勢よく声を張り上げる。
「えっ?」
「あっはぁ~はぁ!いいことを聞きました! お名前は、そうか、秋野さん! 秋野圭さん!」
「は、はい!?」
「あなたのお悩みその一が、目つきが悪いこと! その二が女性と喋ることが苦手なこと! 以上ですね!?」
穂高の急な雰囲気の変化に思わずたじろぐ圭。
「即ち即ち~! 目つきが優し気になり、異性と話すのが得意であればOK、そうですね!?」
「ま、まぁ、はい。そうですね」
圧倒されて、返事もおざなりだ。
「んじゃあパパっとやっちゃいましょうよ!」
「へ? そんなのどうやってんんっ!?」
ビクンと圭の身体が固まる。

(なんや、これ!?)

~~~~~~~~~

(背が、背が縮む・・・?)
いったん自覚してからはあっという間。
同じくらいの目線から、圭の身長は男を見上げるまで縮んだ。
自転車で鍛えた圭の逞しい筋肉で押し上げられていた一張羅のスーツがぶかぶかになるほどまで小さくなっていく。
(手が、ちっちゃくなってる!?)
実際には、手だけでなく身体のあらゆる部分が縮み、彼のシルエットを変えていく。
・・・いや、もちろん例外はある。

(!? なんや、これぇ、もしかして、胸ェ!?)
「あぅ!」
思わず声が―ハスキーな女性のような―漏れる。
先ほどから乳首の先端がむずがゆく、そして痛い。
反射的に、自分の胸を掌でむんずと掴む圭。
(な、なんなんや・・・?)
その掌の下で、乳房がむくり、むくりと膨らんでいくのを感じる。

「ああんっ!」
これまでにない未知の触感に、パッと手を離す。
解き放たれた胸が…ぷるん!と震える。
このわずかな時間にのどぼとけが消え、圭の声はより高く、柔らかい女性のものへと変化する。

引き締まった尻に脂肪がつき、丸く丸く変わっていく。
内股に曲がった脚は、柔らかな女性のフォルムを形作る。
男としては未使用だった圭のシンボルが萎む様に消え、その跡に女性のシンボルが現れていく。

「ひゃんっ!」
思わず股を抑え、声を上げてしまう圭。

「あぁ…!」
胸を残して小さくなった身体で、男物のスーツに身を包む圭。

「やっ、やぁ…」
髪が伸び、視線を覆う。
丁寧に剃られた髭の跡が消え、顔全体も柔らかく丸みを帯びる。

(何が!一体!どうなって!?)
為すがままにされる圭。思考が定まらず、ぼんやりとした頭に男の声が響く。
「さて、次にコンプレックスの目つきですね。」
「も、もうやめてぇ・・・?」
「?? ここまで来てそれはないでしょう? おかしなことおっしゃいますね?」

細かく切れ長だった圭の目は、たれ目で、愛らしい、「誰が見ても優しそう」な瞳に変わる。

そこには、不格好な男物のスーツに身を包んだ優し気な妙齢の女性がたたずんでいた。
おかしなことに、パーティー会場から男性が一人消え、女性に変化してしまったことに気づいた参加者は誰もいなかった。
皆、この現象が「見えていない」かのように、圭と男のいる場所を避け、それぞれ別の場所で歓談している。
・・・そして、変化は最終段階へ移行する。
スーツが、幾分小さくなった圭のサイズに合わせて縮み始める。

「あぁ…、んん…!?」
カッターシャツの下に着こんだTシャツは面積を萎め胸を包んでいく。
「いやぁん!?」
グッと胸を締め付けられ、思わず嬌声を上げる圭。
彼には与り知らぬことだが、胸を固定した肌着にはレースの刺繍が施され、ブラジャーとして完成したのだった。
スラックスの2本は裾は一体となってスカートへと変化する。すすっその丈が膝まで短くなり、
変わり果てた圭の美しい脚のラインを露にする。足元はすでに女性向けのパンプスが履かされている。
スカートはついに上着と一体化し、一枚の服へと昇華される。
鮮やかな紺色に染まり、フリルが刻まれたそれは、女性用のパーティドレスと言って差し支えない。
いつの間にか現れたネックレスが圭の首から下げられ、やや寂しげだった胸元を彩る。
ドレスの下で、圭のトランクスはブラジャーとおそろいのショーツに。

(そ、そんなぁ)
長くなった髪は、いかにもな余所行き用のセットへくるくると纏められる。

「い、いや…いやだぁ…」
身長が180cmを少し切るくらいだった圭は、150cm少々で同年代の大人しそうで優し気な女の子になってしまったのだった。

(う、嘘やろ・・・? お、俺が女の子に・・・!?)
放心してしまう圭であった。

~~~~~~~~~

(どういうことやねん!
辺りをぐるりと見まわすが、あの男―俺を女に変えた穂高―の姿はない。
お、俺が本物の女の子に・・・?)

胸元にある確かな膨らみ。そして存在感のなくなった股。
否応なしに自分が女の子に変えられてしまったと自覚せざるを得ない。
周りにはたくさんの男女がいるが、どうしても確認せずにはいられない!

人目を盗んで恐る恐るドレスのスケート越しに手を股へと移す。
そっ・・・と、自分のシンボルの存在を確かめる。
ない。
そこに感じられるのは、スカートと、別の柔らかい布越しののっぺりとした触感。

思わず力が抜ける。

(あかん、ほんまに女の子やん・・・触ったことないけど!)

ショックからか、フラッと足元がおぼつかなくなる圭。しかし、
「おっと」
ポスン
傍を通りかかった男性にぶつかって止まる。さり気なく肩に手をやられ、思わず赤面する圭。
「あっ、す、すみません・・・」
「いえいえ、お気になさらず。」
身体も小さくなり、自分より大柄な男性に対して多少の気おくれを見せる圭。

(女の子からやと男ってこんなでっかいんかぁ)

「今日はどちらからお越しで?」
「えっと・・・」
普段はきつめの目つきから怒って威嚇しているように誤解される圭なのだが・・・。

(顔が、勝手に笑顔に…)

その表情は親しみやすい笑顔でいっぱいだ。

「うち、実家は関西なんですけど・・・!?」
思わず口を押える。

(うち!? しゃべり方まで女の子になってるやん!?)

「・・・?」
怪訝な表情の男性。しかし、口元にはうっすらとした笑みが。目の前にいる女性の言葉を待っているようだ。

「えっとその、しょ、職場はこっちで。この会場、家からも割と近いからぽーんって電車乗ってきて。えへへ・・・」
女性と話すのが苦手だった圭だったが、女性に変化することで”異性”が男性と変化した。
男性相手であれば、これまでの経験が生かせる。
始めは変わってしまった身体に戸惑っていたが、少しづつ男性と打ち解けていく。
「へー、自転車とか乗るんだ! 意外! 結構華奢に見えるけど」
「うち、ずーっと昔から自転車ばっか乗ってるから自転車でどっか行くん大好きやねん!」
今日一番のはつらつとした笑顔を見せる圭。
目つきの鋭さから誤解を生むことも多かった圭だが、今はたれ目で親しみやすい雰囲気に。
性格は女性になっても変わらない。ただ、表情が柔和で優しい印象を与える。
その笑顔で、男性をしっかり魅了していることに気づかない圭。
ただただ必死で、目の前の男性との会話に夢中になる。

IMG_3947 600幅

~~~~~~~~~

ふと会話が途切れた。男性は思わずを圭を見つめる。
圭は上目遣いに男性の顔を見つめ返す。頬がうっすら赤く染まっている。

「・・・」
「・・・」
どちらかが口火を切ろうとしたその時、
「はーい、時間でーす!」
主催側より閉会のアナウンスだ。
わいわいと人波が出口の方へ流れていく。
「あっ」
流されそうになる男性。そこに。
ぎゅっ
小さな手で力強く手首を握られるのを感じる。
圭だ。

「・・・とう」
「えっ?」
圭の言葉を聞き返す男性。
「今日はありがとう。うち、ずっと女子校やったから男の人と話すん慣れてなかったけど、楽しかった。
うち、秋野圭っていいます。も、もしよかったら・・・」
耳まで真っ赤になったその表情に、その真意を察する男性。
「ま、待って! 僕から言うよ。もしよかったら、この後食事でもどうかな?」
こくりとうなずく圭。
こうして二人の恋は始まったのだった。

~~~~~~~~~

二年後

「それでは新郎新婦のご入場です!」
お色直しの後、挙式の時よりはラフな衣装に着替えて会場へ。
万雷の拍手が鳴り響く。

宴もたけなわ、司会進行が夫へ話題を振る。
「新郎の雅史さんは、新婦の圭さんのどこがお好きになったんでしょうか」
「うーん、やっぱり第一印象がすごくよかったですよね。初対面の時の笑顔で、優しそうな表情にやられちゃいましたw」
おぉーという声の上がる会場。またも拍手が。

(あかん、にやにや止まらへん・・・。)
ほっぺたを抑える。
俺、じゃないなうちこと圭が女になってからもう二年。あの後結局、うちは男には戻れへんかった。
あの男、穂高の行方も不明のままや。
えっ? 旦那さん?
・・・はい、恥ずかしながら、あの時の男性です。
もちろん男と結婚することに抵抗が全くなかったかっていうとそんなことはないんやけど。
でも、まっすぐこっちを見てくれて嬉しかったていうか。
あーもうなしなし!
そのままとんとん拍子で進んで、晴れて式を挙げることになりました。
なんか知らんけど、うち、生まれた時から女やったーいうことになってるから全く問題なかったよな。
男子校出身が女子校出身になってたり多少の違いはあったけど・・・。
一応言うたよ?旦那には。うちはもともと男やった~って。
信じてもらわれへんかったけど。
まぁ、なんにせよ結果オーライ、なのかな。
正直言って今すっごい幸せやし!

それにしても、第一印象がよかった、かぁ。
うふふ、なんかすっごいうれしいなぁ!

~~~~~~~~~

はい、どうも皆さん、穂高です。
いやー圭さんの結婚式、感動しましたね!
二年前には男だったとは思えないほど幸せな女性に見えました。
うんうん、良かったですね!
彼、おっと、彼女のケースから、やはり恋愛成就には第一印象が大事!ということがよくわかっていただけたかと思います!何気ない部分ですが、これもまた、必勝法と言えるのではないでしょうか!?
いやー、あの時の僕のひらめきったらなかったですね!
目つきが悪くて女の子と話せないなら、優しいまなざしの女の子にしてあげればよい!
テンション上がってやりたい放題しちゃいましたねぇ。
素敵なパートナーが見つかってよかったぁ。
ほんっと、良いことするって素晴らしい!
さてさて、それでは本日はこの辺りで失礼いたします。
また恋に悩める青少年がいれば、あなたの街に参上するかもしれません。
その日まで、しばしのお別れです。
では!

オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ サンプル⑤

(おげぇ、えええ~~ッ!?)
 もう一撃だった。
 完全に美少女となっている珠貴の細やかな身体は、再び殴り飛ばされる。
「……おっ……ぐ、ふぅ、ンンっ……ぁぁ、ぁ――ッ」
 腹部に突き刺さる、アッパーカット!!
 綺麗な円を描き、下から肉を抉る凶悪なパンチは――まさにプロボクサーのような威力であった。
 男の時でも音を上げてしまいそうなボディーブローに、か弱い女の子となってしまった珠貴が、堪えられる訳がない。
 悲鳴も、喘ぎも、喉へと引っ込む代わりに……半ば飛び出した眼球や、膨らんだ鼻孔から、体液を、ぷしゅぅっ、ぶじょぉっ、と噴き漏らす。
「お、おげぇ、ええ!! んぎぃ、ひぃ……ぁ、おげっ、へぇええ!!」
 びちゃっ、びちゃっ、と空っぽの胃袋から、珠貴は胃酸汁をぶちまける。
 辺りが酸っぱい臭いに包まれた
「……あぎ、ひぃ! っ、っ……んぎぃ、ひぃーっ!」
 痛みも苦労も知らない――精神年齢が、子供以下の――珠貴にとっては、大型トラックに衝突されたような激痛である。
 意識を点滅させて、胃液で汚れた唇をわなわなと震わせた。
 だらん、と人形のようにぶら下がった足は、床と擦れ合う。
「……あっ、ぁっ、あ、……ぉ…………ん、ぁぁっ!?」
 ゲロを吐き、身悶えるばかりの珠貴――惨めな奴隷娘。
 しかし、調教師ミキは、その美しい茶髪を躊躇いもなく引っ張り上げた。
「痛くないですよね? 男だと言うなら、何十発殴られても、泣きませんよね? うふふ……だから――100回です。 100回の腹パンチに堪えられたら……あなたが榊原珠貴様だって私たちも認めます。 じゃあ、あと……98回です、ねっ♪」
 彼女の言葉に合わせて、珠貴の背中を羽交い絞めにする大男が、胸を反り返らせた。
 ズキンッ、ズキンッと、痛み腹部は無防備に晒される。
 そして――。
「は、はひぃ、いい~~ッ!?」
 人間サンドバックが準備万端であることを視認して、プロのようなパンチを繰り出す大男は、無言で腰と上体を、ぐぐぐっ、と捩じる。
 バネのように力を溜めている。
 しかも、珠貴とは違い……相手を嬲る笑みどころか、無表情。
 何の感情も見せずに自分を殴る大男が、余計に不気味で、恐ろしかった。
「~~~~っ!!」
 恐怖に可愛い美貌を引き攣らせて、無言でいやいやと頭を振う珠貴。
 あまりの恐ろしさと、内臓の激痛に、声も上げられない。
(いやだ! いやだ! いやっ! いやっ! や、やめてぇ~~!!)
 ぽろぽろと涙を零しながら、迫る拳を見ているしかない珠貴――。
 括約筋に力を込めて、衝撃に堪えようとする……が。
 バゥンンッ!!
「んげぶ、ゥゥーッ!?」
 全くの無意味。
 女の身体では、男の暴力に太刀打ちできなかった。
「ぐひぃ、いい! んぐぅ、あっ、あっ……おぐ、へぇ、ええ~~ッ!!」
 プロボクサーのボディーブローは、男の肉体でもきつい――地獄の痛み。
 それが三発も、しなやかな女体の腹部に叩き込まれて、珠貴は、びくんっ、びくんっ、と激しく身悶えた。
 いいや、そればかりか。
(あっ、ああ! しぬぅ! いたい! いたい! いたいぃいい!!)
 ブジョォ、オオ――プシュァァ、アアアア!!
 恥部の魅惑的な膨らみの中心――陰茎と陰嚢の代わりに珠貴に与えられた肉割れ目から、黄金の熱水が噴き漏れていく……。
 熱いアンモニア臭が鼻孔に迫り、激痛に点滅する彼の意識は、僅かながらも自身が失禁した事実を知る。
「あっ、あっ……あぅ、あぅう……ッ、ッ……!」
 もっとも、人前で盛大にお漏らししてしまった珠貴本人は、もう恥ずかしさも、怒りも感じていない。
 ただ痛みに打ちのめされて、強く飛び出した眼球から涙を流し続けていた。
 弛んだ鼻孔からも、幼児のように鼻汁が汚く垂れている。
「この調子で大丈夫なんですか? 自称・榊原珠貴さん――クフフ♪ あと97回も残っていますよ?」
「あっ、あひ……んひぃっ……!? ひぃ、ぁああ~~っ!!」
 力なく項垂れた珠貴の頭部を鷲掴み、強引に持ち上げた調教師ミキ。
 彼女は、また指を鳴らそうとする。
 パンチが。男の暴力が。
 自分を襲う――!!
 そう思ったら、元青年はわなわなと震える唇を夢中で動かしていた。
「ま、まひ、ィ……ま、待て! ち、違う! 俺は……お、男じゃない! 男じゃないからぁ……ああッ……もう、やめろぉー! や、やめてください!!」
 情けない言葉で相手に……調教師ミキに縋り付く。
 彼女は女である。彼が、ずっと馬鹿にしてきた存在。
 しかし、今の珠貴には関係なかった。
 これ以上の痛みと苦しみは、絶対に嫌だったのである。
「お、俺は……さっ、榊原珠貴じゃない。 珠貴じゃないから……パンチは、……やめろ! ちゅ、中止だ……中止、しろぉー!!」
 口こそ悪いが――『己を、己で否定する』。
 そんな馬鹿で、愚かで、そして、とても恥ずかしい行為を、彼は肯定した。
「では……あなたは、やはり”西園紗雪”さんで間違いないんですね? ……榊原珠貴と言う男とは無縁の……奴隷の女の子なんですよね?」
「そういって、いるだろ!? ……男じゃない! た、珠貴じゃない!! 西園紗雪……紗雪と言う……女だから……奴隷の女でも、いいから! もう!! もう!! お腹にパンチは……パンチだけは、やめてくれぇー!!」
 散々、『榊原珠貴』であることを自慢していたというのに――。
 その誇りを簡単に捨てて、保身に走る珠貴。
 数多くいる、この施設の収容者――哀れな奴隷たちの中でも、心底最低のクズであった。
「うふ、ふふ……あははっ♪ 漸く、認めましたね……! では今日のところは、この程度で済ませて上げます。 あなたのご主人様――そして、未来の旦那様が来るまで、奴隷であるあなたを壊してはいけませんので……」
 助かりたい一心で、浅ましい言葉を絞り出す珠貴を見やり、調教師ミキが笑みを深めた。
 ぐい、と乱暴に彼の細い首を上向きに変える。
 珠貴は、か弱い女の子のように「い、いやぁ……」と泣き声を漏らした。
「いやだっ。 い、いやぁ……ああ、やめ……てぇー」
「だから、あなたも……自分が榊原珠貴だなんて言う、下らない妄想は止めなさい。 今日は見逃しますけど、これ以上……変なことを考えるなら、お客様が許す限り……もっときつい痛みでお仕置きしますよ?」
「…………っ、っ!」
 こく、こく、と頷くことしか出来なかった。
 直後……ぱちん、と調教師ミキの指が軽快に鳴る。
 珠貴は反射的に腹部を強張らせたが、今度は別のサインのようである。
 正面の男は直立の姿勢へと戻り、後ろの男は羽交い絞めを止めた。
 全神経が腹部の激痛に集中していた珠貴は、当然とばかりに崩れ落ちた。
「んあっ……あぅ、ぅっ!」
 びちゃ、びちゃ……!!
 己の尿水溜まりへと、珠貴は顔を擦り付ける。
 つーん、と強いアンモニア臭が、鼻孔だけではなく、涙で濡れる眼球にも突き刺さる。
「……う、ぅうう……っ」
 お腹が、痛くて、痛くて――まだ動けない。
 それこそ今まで彼が凌辱してきた数多の女性と同じように珠貴も……惨めに蹲っていた。

(ゆ、ゆるさねぇー! あの女……サキ! 殺してやる、サキ!! 男の俺に! 榊原……珠貴様に! こんな酷いことしやがって……! どうなるか、分からせてやる!! くそ、くそっ! いてぇ! いてえよぉ――ッ!!)

 暴力から解放された途端に、厚顔無恥にも己を『榊原珠貴』だと信じ、『男』であると言い張る――悲惨な奴隷娘。
 結局、激しい痛みに起き上がることが出来ないまま珠貴は、己の小便に塗れた姿で、意識を失うのであった。



続きはお買い上げでお願いします!

オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ FANZA版 購入はこちらから
オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ DLsitecom版 購入はこちらから

【200DL突破】オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ サンプル④

(これ……おまんこ? 女の……し、子宮なのか?)
 ますます自身が、女になっていることを痛感している最中……。
「目覚めたようですね、”西園紗雪”さん。 ご気分は如何かしら……うふふ♪」
 黒いスーツを羽織る中性的な――男装の麗人と言うべき――美女が、微笑みを湛えて、牢屋の外に立っていた。
 その背後には、複数人の大男たちが控えている。
「お、お前は――うぐッ!?」
 ――ずきん!!
 激しい頭痛がぶり返し、堪らず珠貴は蹲った。
「うふふ。 最新装置でないから、うまく洗脳出来ていないようですが――まぁ、クライアント様のご希望通りなので、問題ありません。 極力、この私も調教をお手伝いしますし……」
「な、何をいって――お前。 お前は……だ、だれだ……?」
 見覚えは、ある。見た、気がする。
 しかし、彼女の名前を――そして、出会った瞬間を思い出せずに、珠貴は息を荒くしながら、ゆっくりと起き上がった。
「改めて、宜しくお願いします――西園紗雪さん。 私は調教師のミキです。 あなたは、奴隷としてここに監禁されました。 あなたの”ご主人様”になられる方は……ご事情がありまして、紗雪さんに会われるのが2週間ほど後になりました」
「ど、奴隷だと? 俺がっ!?」
 自身を人質だと思っていた珠貴の心境を察し、サキが冷ややかな声で
「はい、奴隷です♪」と付け足した……。さらには。
「あなたの――紗雪さんの”ご主人様”が来られまで……私が、ちゃんとふしだらな牝奴隷に調教してあげます! 勿論、クライアント様たちのお楽しみが残る範囲で……可愛がってあげますよぉー♡」
 そう言ってサキは、舐めるように彼を見つめる。ぞくり、と体が震えた。
「はっ、はああ――ッ!? 何を言っているんだ!? 俺がめ、牝奴隷!? この珠貴様が!? 馬鹿なことを言うな、女の癖にっ! ふ、ふっ……ふざけやがって!!」
 突発的に怒りを爆発させて、鉄格子を握り締める。
 すると、豊かな乳房は堅固な鉄牢に押し負け、ぐにゃり、と拉げる。
 珠貴は「はぅうっ!?」と間抜けな呻きを漏らしてしまった。
「女の癖に、ですか……? おかしなことを言います――それに珠貴様とは? あなたの名前は、”西園紗雪”の筈ですが?」
「誰だ、それ!? 西園紗雪!? 知るか! 俺は珠貴だ! 榊原珠貴様だ~~ッ!!」
 幾ら珠貴が叫んでも、ミキも――そして、彼女の部下たちも。
 誰も彼の主張を認めない。
 『榊原珠貴』ではなくて、『西園紗雪』と言う奴隷娘として扱うのだ。
「うがぁああ!! 兎に角、出せ! 戻せ!! う、うわぁあああ~~ッ!!」
 見た目通りに可憐な声を、耳障りな奇声に変える珠貴。
 そして、美少女の風貌を貶すように、蟹股となって、ガシガシと鉄格子を揺らした。
 汚く唾も飛ばして……全く以て、見苦しい有り様であった。
「くそっ! お前ら、只じゃおかない――あっ、あぅうう!? 何をッ、ッ!?」
 『この世の全ては、自分を中心に回っている』。
 子供のような陳腐な思考しかない元青年を――いいや、煩い奴隷娘を、黙らせようとミキの部下たちがカギを開けて、牢に踏み込んだ。
 あっと言う間に取り押さえられた。
「結構……いるんですよねぇ。 中途半端な洗脳だと――架空の人間や、別人になりきって……現実逃避するお馬鹿な奴隷は……」
「あぎぃ、ぃ!? や、やめろ! おっ、おわっ!?」
 妖艶な微笑みを中性的な美貌に張り付けながら、調教師ミキの指は、珠貴のスベスベの頬を撫で下ろす。
 細くしなやかな彼女の指先は、そのまま胴体の方へと滑る。「でも、あなたは男なんですか?」と囁き――ぷにぷにっ、と柔房を突っつく。
「こ、こら! やめっ……んぐぅ!」
「ふふ。 かわいそうに……自分を男だと思い込むなんて。 ほら、ほーら!」
「あっ、あぅうう!」
 巨乳房の柔らかな肉土台だけではない。
 ツンと小生意気に張り出ている乳首も、つん、つん、と刺激されて、堪らずに珠貴は、身震いした。
 しかし、その様に調教師ミキはさらに唇をにんまりと吊り上げて。
「あなたは榊原珠貴と言う――御曹司のお坊ちゃんなんですか?」
 ……と、問いかける。
 今度は、ぐにゃっ、ぐにゃっ、と彼の右房を強く鷲掴み――しかも、反対側の手では、魅惑的な恥部の膨らみを撫でていく。
 珠貴の女肌が、淫らな熱を帯びる。
「やっ、やんっ! はぁ、ンン――ッ!!」
 未知の感覚。甘やかな女体の疼き。
 びりびりと神経が一気に痺れて、珠貴は悩ましい脱力に苛まされる。
 只でさえ透き通るような美声が、はしたなく上擦った。
(こんな、恥ずかしい。 ……女みたいな声を――俺が出したのか!?)
 女の体。女の声。
 そして、女の肉快感。
 女をモノとしか思っていない彼が……『女』になってしまった事実を受け入れられる訳もなく。
「俺は珠貴だ! 俺は女なんかじゃない! あんな――男に犯されるためだけの! 肉便器みたいな生き物じゃ、ねぇええー!! う、うわぁああ!!」
 瞳に涙を溜めて、腕を振り回した。完全に駄々っ子である。
「そうですか。 あくまでも自分は、西園紗雪さん、ではなく……榊原珠貴という男だと? ――そう言うんですね?」
「そ、そうだ! お、俺は……」
「じゃあ、証明して下さい」
 ぱちん、と調教師ミキが指を鳴らした。
「え……? いま、何を……? なんのつもり――?」
 訝しげに珠貴が首を傾げる……と。
 その嫋やかに生まれ変わった彼の女体は、文字通りに宙を飛んだ。
「はぐぅ、うう~~ッ!?」
 鋭い衝撃が……大男の握った拳が、珠貴の腹部を抉る。
 アッパーの放射線を描く見事なパンチが、華奢な女体を大きく打ち上げたのだ。
 その打撃の勢いは凄まじく、このままでは壁に激突していただろう。
 けれども、いつの間にか柔らかな背中を別の大男に羽交い絞めされていたので、短い浮遊だけで済んだ。
 苦痛の呻きを上げながら、力を失った珠貴の両足が地面に垂れ落ちた。
(いた、ぃ、ぃ!? し、しぬぅ……死んじまうよぉ、おお! いたい!!)
 内臓が拉げる。腹部の血管が千切れそうだった。
 肋骨すらも大きく軋み、あまりの激痛と振動で胃袋は、ビクッ、ビクッ、と痙攣し捲っていた。
 鼻に。口腔に。
 酸っぱい胃液が逆流する……ところで。
 バゥン!!

オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ FANZA版 購入はこちらから
オーダーメイド~牝妻紗雪の事情~ DLsitecom版 購入はこちらから

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2019-07