カウンター
[PR] 広島 美容外科 オフィス家具 買取 あむぁいおかし製作所 性の揺らぎを題材にした小説
FC2ブログ

Latest Entries

【投稿小説】第2型ライフ 《サブエピソード ~ヴァカンツァ・ディ・ミカン~》

①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら ⑦はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

さて、季節は秋。

 水泳部を引退したあたしたち3年生は、(したくない)受験勉強にいそしんでいる。
 そのはずだ。
 そのはず、なんだけど……

 とある三連休の初日。
 ミカンの実家、湯河原家、ミカンの部屋。
 あたしは現在、そこにお邪魔している。
「さて今日の予定を確認します」
 ミカンは参考書やノートを開くでもなし、筆記用具をあさるでもなし、ベッドに腰かけて言った。
「うちの父さんは町内会に出かけており夜まで帰りません。母さんは母さんで学生時代からの友人と温泉旅行に行くとか言ってやっぱり帰りません。柚木のバーローは八重山と一緒に勉強するとかで俺の誘いを断りやがりました。しかし男女が一緒になるってどうなることになるか分からない、それほど俺たちはバカじゃーねぇはずです」
 うん、分かる。
 今頃あのふたり、(勉強の息抜きに)イチャイチャしてるんだろうなぁ。
 あたしはそわそわしながら、柚木の勉強机の椅子に腰かけてミカンの愚痴を聞いていた。
 ってことは、あたしたちも……?
 あたしはミカンの次の言葉が出てくるのを待った。そしてその言葉が。
「本当に悪い。食材が何もねぇんだ。錬金術が使えれば葉っぱ1枚をパンに錬成することもできるんだけど。てなわけで、カップラーメンでいい? 育ちのいいお嬢様には申し訳ない話だけど」
「頂けるだけありがたいです。うちの屋敷のガスボンベも配管の破裂で厨房が使えなくてね、厨師(ちゅうし)(中国語でコックのこと。つまりコックさんは中国人)がいても料理を出してもらえない状態なの」
「分かった。じゃあしゃーねぇ、お湯でも沸かすか。……おやつでも頂いてからな」
 おやつ?
 そうだね、ちょっとはお腹の足しになるかも。
 あたしがそう答えるや否や、ミカンはベッドから立ち上がる。
 だけど、向かったのはミカンの部屋のドアではない。あたしがいる机に向かってきた。成る程、勉強机の引き出しにしまってあるのか。
 と思ったその時。
「はむ……」
 なんと、何の前触れもなしにミカンはあたしにキスしてきたのだ。
 綺麗に腰から折れて、まるで置物のドリンキングバードが水を飲む時のようにして。
 あー、やっぱりか。やっぱりやっちゃうのか。
 ――「しかし男女が一緒になるってどうなることになるか分からない、それほど俺たちはバカじゃーねぇはずです」
 バカじゃなかったら、あれだよね?
 やっちゃうよね!?
 そしてミカンはあたしの肩を掴んで、秋物ジャケットを脱がす。暑くもなければ寒くもなく、ジャケットの下はTシャツ。ミカンは右手であたしの両の手首をつかむと、左手でそれすらはぎ取った。
「ひゃめ、ふぁぶかぴぃ……!」
 あたしは本当に恥ずかしかった。
 できれば『女子として通している』うちは見せたくなかった、あたしの裸。
 ブラジャーはしている。だけど、その内側はあまりにも男の子だった。
 そこそこあった(ただしミカンにはどう足掻いても負ける)胸はTS病を患ったことですっかり平らになり、そんな胸を以前と同じに見せるために2重にしたヌーブラまで使って盛り上げていたのだから。
「ダメ、ミカン! そこまで取らないでぇ!」
「男の裸なんて…… いや、そんな野暮なことはどうでもいいや。いっそもっと恥ずかしがっちまえよ。その方がお互いに萌えるだろ」
 字が違くない!? いやむしろ合ってる!?
 まぁどっちでもいっか、いいよね!?
 とうとうあたしは裸にされた。
 ブラもヌーブラも取られ、露わにされた甲板胸。ミカンは、そこに吸い付いてきた。
「ひゃうん!」
「ふぃっぺうふぁ(知ってるか)? ぷはっ。乳首で感じるの、女だけじゃねぇんだとか。あ、俺が男だった時に試したことはねぇぞ?」
 そうなんだ。あたしは感心した。
 いや、別にひとりえっちなんて誰でもするでしょ? ミカンがそんなことしてても別にあたしは気に、しな…… しないかな? うん自信が持てないや。
「だっ、だから、何……」
「もっとえっちにしてやるよ。うら」
「ひゃう!」
 そしてミカンはあたしの腰を両腕で抱きしめて、そのままミカンのベッドの上にダイビングした。とてもいいベッドなのだろうか、そんなにバウンドしないのに心地よく体が沈み込む。
「今日の勉強決定。保健体育な?」
「そんなの高校の受験にでーまーせーんー!」
「高校側の気まぐれってことも、あるんじゃね?」
 そう言ってミカンはとうとう、ショーツごとスカートまで脱がした。
 出てきたのは、あたしの元気な『欲望の化身』。
 骨格こそまだ女の子だけど、それ以外ではあたしは完全に性転換しているのだ。だから当然『これ』だって。
「ないないないないないない! ぜぇーったいに、ない!」
「じゃあ、これは自由研究に回すとすっか」
「出さないでぇ! こんな恥ずかしいレポート提出(だ)さないでぇぇえ!」
 ミカンはあたしから脱がせたスカートをベッドのわきに落とした。しかも、いつの間にか脱いでいたミカン自身のシャツやブラジャーまで混ざっていて、ミカンもあたし同様(上半身は)すっぽんぽんだ。水着を着ていてもその存在を主張する大きな胸が、あたしの目の前でタワンと揺れる。あのーどこの先輩さんですかあなたは。
「ほらほら、もんでもいいんだぜ?」
「うっ……! じゃあ遠慮なく! ミカンってば、男だったくせに元からの女子を差し置いてこんなにおっきくなっちゃうんだもん、軽くこれが憎たらしいよっ!」
 半分『女子としてのうらやましさ』、半分『男子としての性欲』に任せて、あたしはミカンの胸を揉んだ。時に衝動に任せて、時にミカンをいじめるつもりで。
「ひゃう! 自分でやるのとは、違う……」
「へぇ~え? やっぱ自分でやってたんだぁ、へぇ~え? そんな『どえろす』なミカンには、もっとえっちなお仕置きが必要なんじゃないかなぁ!?」
「えっ? あれっ!?」
 攻守交代。
 あたしはミカンの背中に腕を回して今度はミカンをベッドに沈めた。
 ミカンのショートパンツのベルトとボタンを外し、ジッパーを下げ、全部放り投げる。
「ミカン。ジャポネ(日本)のこんな歌知ってる? 男はオオカミなので気をつけましょうってね。さっき、カップラーメンのお湯を沸かす前におやつにしようって言ってあたしを食べようとしたじゃない。でもね、実際に食べられるの…… ミカンだから。綺麗にきれいに皮を剥いて、甘酸っぱいその身を食べてあげるから。」
「ふぇぇぇぇっ!?」

 そしてあたしは、ミカンを『喰らい尽くした』。
 綺麗な部分もいやらしい部分も、みんな、あたしの体中を使って味わい尽くした。
 切ったばかりの短い爪でミカンの体を引っかき、まだ女の子らしさが残る指の腹で神経に近い部分を撫で、味覚を感じ取るはずの舌で撫でまわしながら味わい、汗と湿り気を帯びた皮膚で相手のぬくもりを感じ、そしてあたしが男であるという真実をミカンの延髄に届くほど突き刺した。
 そのたびにミカンは声を上げた。もともと男の子だったとは思えない、女の子よりも甘く切なく狂おしい声を。普段からぶっきらぼうで意地っ張りな男の子キャラだったミカンを、もっともっと『女の子』で染め上げたい。ミカンが心から女の子になっちゃったらどんなことになるのだろう。そんな意地悪な興味に後押しされ、あたしはミカンの体に快楽と言う快
楽を刻みつけた。
「ひゃううう! もうらめ、やめひぇ! おりぇ、ふぇんりなりゅぅぅぅ!」
「変に! なっちゃえ! そのほうが! いいから!」
「ふぁぁああああああああああああっ!」
 そしてミカンは、人の言葉を忘れてしまうほどに、女の子としての悦びに溺れた。

 はっきり言おう
 ミカンは、とてもおいしかった。



 その後、あたしはミカンの家のキッチンを借りて勝手にカップラーメンを作っていた。
 何度かお互いの家に行ったり来たりして、その度に何かを食べたり食べさせてもらったりしていた。あたしだってインスタント食だったら簡単に作れる。
 そんなあたしの服装は、裸エプロン。うん、男がやって画(え)になるものじゃない。骨格はまだ女の子だから、後ろから見れば何とかなるか。
 それをやってほしかった相手、ミカンは、いまだけいれんしながら夢の中だ。
「やれやれ。未来のお嫁さんは手間がかかるなぁ」
 目を覚ましたら、ラーメンを食べてもらう前にもう1回くらい味わわせてもらおう。
 何をとは言わない。

性転換小説第65番 ジーナ! 合体版 ※レビュー追加

COOLさんからレビュー頂きました!

『このレビューが載っているサイトの管理人である、あむぁいさんが自ら執筆された作品です。自分の学力を鼻にかけた主人公は、ある日クラスメイト達が「猫耳巨乳の美少女に脱皮」するところを目撃してしまいます。彼女達はクラス2位の学力を持った自分に次々と詰め寄り、セックスを求められる主人公。しかしクラス1位のクラスメイトが自分の前に現れた時、主人公自身にも変化が現れ始めて‥
短編ですがあむぁいさんの支配被支配の世界観をたっぷりと味わえる作品です。自分より成績の悪い人間を見下す不快な性格でありながら、コミカルな印象を残す主人公、そしてクラス1位のクラスメイトが猫耳美少女達に、自分の体だった皮を引き千切られ同じ姿に変えられるシーンは、南の島の管理人さんの可愛らしいイラストと合間って、非常に鮮烈な印象を残します。
ちなみにこのレビューを書くに当たって、製作所の過去ログを見直したのですが、この作品はなんと2005年の作品でした。初代PSPが発売された年です。‥歳をとるわけですね。』


受験まであと3ヶ月。
ぼくは追い込みに燃えていた。
自慢じゃないがぼくは学年でもトップクラスの成績だ。
成績の良さは頭の良さと勉強の量の積で決まる。
正直なところ頭の良さ自体で言えばぼくよりも良い奴はもっとたくさんいる。
だが、それはぼくのせいじゃない。
ぼくの両親のせいだ。
ぼくの偉いところはそこを埋めるべくちゃんと努力するところだ。
だから、音楽の時間なんかは当然さぼるのだ。
そんで保健室で勉強するのだ。
保健室へ行くまでの廊下でもこうやって歩きながら参考書を読んでいるのだ。
なに、危ない事はない。
こんなの慣れればどうって事……うおっ!?
何か柔らかいものに蹴躓いて、ぼくは思いっきり転ぶ。
「うわぁぁぁ」
まずいっ。ぼくはすばやく怪我を確認する。
よし、大丈夫。
ぼくは少し安心する。
この大事な時に怪我をしては一流大学に入って一流会社に入るというぼくのパーフェクションな計画が台無しだ。柔らかいものがクッションになったのが良かったんだな……
……
……
ぼくは手の先にある柔らかいものから目が離せない。
指を動かすと指の隙間から肉がはみ出てその弾力がとても気持ちいい。
「あんっ」

全文を表示 »

【投稿小説】(淫魔の)血を分けた姉妹 by.鎖連鎖

作:鎖連鎖
キャラクターイメージ:あるびの https://skima.jp/profile?id=14993

「急患です!通りの交差点で衝突事故!男性一名重傷‼」
 救急病院に、そんな声が響く。
(ああ……。道理で、体が、動かないわけだ…)
 そんなことを思いながら、“俺”の意識は暗闇に消え……

 ――あなた、生きたい?

(…え?)

 ――あなた、生きたい?

(…そりゃ、生きたい)

 ――そのためなら、何でも捨てられる?

(…何だよ、いきなり)

 ――そのためなら、何でも捨てられる?

(しつこいな……。ああ、…捨てられる)

 ――そう。なら、あなたを生かしてあげましょう。

 そして、今度こそ“俺”の意識は暗闇に消えた。

 そして、目覚めると、“俺”は少女の姿になっていた。

「……え?」

20170823075817485s_20171011092350e04.png

全文を表示 »

【投稿小説】第2型ライフ ④ ※挿絵追加

①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

《エピソード4》
 目を覚ましたのは、どのくらい時間が経ってからだろう。
 ――あったかい。ふわふわしてる。
 ――腕や足の感覚がねぇ。体が溶けちまったみてぇだ……
 だが、次第に意識がはっきりしてきた。
 ここは風呂だ。そして俺はあおむけの状態で湯船につかっている。
 だが、見えるのは俺の家の風呂の天井じゃない。
 ここで第三新東京市を舞台にしたネタを言うだけの気力はなかった。
「ここは、どこ……?」
「あ。気が付いた、ミカン?」
 ふと顔を動かすと、さかさまになったキノットの顔があった。エメラルドグリーンの両眼が俺の視線と交わる。銅色の髪は純白のタオルに巻かれている。
「キノット……?」
「ここはあたしの家のお風呂だよ。湯加減どう? ぬるめとあったかめの間に調整しといたから、心地いいんじゃないかな」
「あぁ、とても心地いい…… ………… ………… ………… ……え?」
 今、なんて言った?
「ここお前の家ぇ!?」
「そだよ。保険の先生にも手伝ってもらったけど、スカートびちょぬれのミカン背負って帰るの大変だったんだから、いろんな意味で」
「ちと言葉選んでくれる!? って言うかそれ色々まずガボガボガボガボ……!」
 浴槽から出ようともがいた途端、俺は湯に沈んだ。
 当たり前だ。手足の感覚もまともに機能していないのにいきなり体を動かそうとしたのだから。
 落ち着きを取り戻した途端に落ち着かなくなるという矛盾が発生。
 浴槽の中、俺はキノットの隣でまた膝を抱えて縮こまっていた。
「俺とキノットが一緒のお風呂に入ってるなんて。水着を着ているならまだしも……」
「お風呂で水着を着ている方がおかしいってフツー」
「デスヨネー」
 いやでもそうじゃない。色々そうじゃない。
「でもさっき『発散』したから、あたしが裸で横にいても息苦しくなるほどドキドキしないでしょ?」
 思い出した。
 女子更衣室でパニックに陥っていた俺を、キノットが解放してくれたのだ。まともに覚えてはいないが、大声を上げ、涙を流し、全身を痙攣させながら気をやっていた気がする。思い出しただけでまたエッチな気分になりそ…… なった。
「まあでも」
 そう言ってキノットは「う~ん!」と伸びをして答える。おいおい、胸隠せ。
 どうやら俺もバスタオルは巻かせてもらえていないようだけど(髪をまとめるためのタオルは巻かれている)。
「驚いたよねー。ユズキとスグちゃんがあんなだったなんて。特別に仲がよさそうな雰囲気なんてこれっぽっちも見えなかったのに」
「あぁ、ホントに。まぁ人の恋愛事情に首突っ込むつもりはねぇけど、ひょっとしたら衝動的な何かかも知んねぇぞ。柚木が八重山を手伝っている最中にどっちかが告白か~ら~の~? ってこともあるかもだし」
「成る程ね。だとしたらどっちがどっちを好きなんだろ?」
「俺の知ったこっちゃねぇな。けど、俺もいつか誰かを好きになることあるのかな。だとしたら男だけは遠慮するな、ホモになりたくねぇし」
「………… ……――のに」
「え?」
「何でもない」
 そう言って、キノットはザバッと水音を立てて湯船を出た。
「あぁそうそう。ミカンの分の新しい下着とパジャマ用意しといたから、今日は泊まっていくといいよ。ごはんもあるからさ」
 そう言って今度こそ、キノットは浴室を出て行った。
 あとには俺ひとり、湯船の中に残されてしまった。
 俺はありがたくキノットのおもてなしを受け、買ったばかりらしい下着とキノットのパジャマを借りて夕食をごちそうになった。家への連絡は、メールで済ませることにした。
「悪いな、洗濯までしてもらっちまって」
「いいのいいの。ベッドまでは用意できないからソファーで寝てね?」
 キノットの家は、かなり豪華な一軒家だった。
 さすがに風呂まで入ったのは今日が初めてだが、何度か遊びに来たことがある。ローカル鉄道に沿って走る大通りに面しており、芝生の庭とシンメトリーの煉瓦壁調の邸宅と言ってもいい建物が構えている。庭ではガーデニングをやっているらしく、広さのある畑とひな壇の花壇には様々な植物が育っている。
 キノットの部屋は2階にあり、バルコニー(屋根のないベランダ)に出ることもできる。よく晴れた夏の日は、キノットはそこにハンモックを運び出して夜風に揺られながら寝ることもあるらしい。
「泊めてもらうんだ、贅沢は言わねぇよ」
「あははは。そうだ、明日の準備できた?」
「明日の教科書以外はな。アラームも30分早くセットしたし、いつでも寝れる」
「じゃあさ、ベッドにおいでよ。寝るまで女子トークしない?」
「女子トークって何だよ」
「そうだね、ファッションとかトレンドとか、あとは好きな人を語り合ったりして夜の時間を無駄に過ごすの」
「無駄にって言った!?」
「その無駄な時間が大事なのさ。情報交換ついでに女の子同士の親睦を深めるって言うね」
「親睦を深めるって言っても、俺たちいつも一緒にいるし、今更……」
「まぁまぁ、こっちおいでって」
 通学カバンにしているメッセンジャーバッグをソファーのひじ掛けの下に立てかけると、俺は頭を掻きながらキノットのベッドの端に腰かける。ベッドの上には、キノットが『女の子座り』でちょこんと座っている。おい、その座り方は骨盤によろしくないってテレビで言ってなかったか?
「いきなりだけど、ミカンには好きな人っていないの?」
「い、いや、今までずっと水泳ばっかりだったし。それと男を好きになるのだけはねぇな」
「そっか、今はフリーなんだ」
「まあ、その、そうなる? ……じゃあキノットには好きな奴いるのかよ」
「いるよ」
 キノットはためらうことなく言い放った。
 今、胸の真ん中にとげが刺さったような気がしたのは気のせいだろうか。
 少し気分が悪くなったが、寝て起きれば大丈夫だろう。構わずキノットに尋ねた。
「ふ、ふ~ん……? それって同い年?」
「うん。部活も一緒だよ」
「水泳部の男子か、誰だろ。本栖? 河内? じゃなきゃ……」
「じゃあヒント。その人は男子ではありません」
「爆弾発言!? じゃあ女子かよ、お前ってレズだったのかよ!? となると須田? 小松? まさかあの八重山とか言わないよな……?」
「じゃあラストヒント。その人は1年の時から好きな人で、記憶が確かならあたしの初恋の人。その人は友人のキスシーンを目撃しただけで発作を起こすほど初心(うぶ)な性格。去年の水泳大会では女子代表に選ばれるも今年はタイムが伸び悩み、その原因は誰にもその成長を止められない、グラビアアイドルも真っ青のわがままボディー。ちなみにあたしはレズではありません。好きになった人がたまたま女の子なだけです。しかもその女の子は、少し前まで男の子でした。さて誰でしょう?」
「はぁ!?」
 ラストヒントにしては情報量多すぎ!
 だがそれを叫ぶほど、今の俺はノリがよくない。
 去年は代表入りしても今年は選ばれなかった、元男子の現女子。
 友人のキスシーンを目の当たりにして発作を起こしたやつ。
 その条件を満たす水泳部の女子生徒って言ったら。
 まさかとは思うけど、それ以外の人物いるわけがない。
「…………… ……俺?」
 自分の顔を指で差し、キノットに尋ねた。
 当のキノットは。
「やっと分かってくれたか、この鈍感」
「何が鈍感!?」
「鈍感だよ。ずーっとシグナル送ってたのに気づかないのはどこの誰かな?」
「……ごめん、気付かなかった。何がシグナルなのか」
「だから鈍感なのさ」
 そう言って、キノットは右手で俺の左頬を撫で、そのまま俺の髪を梳いて。
「あたし、元々全然泳げなかったんだ。だから中×生の時はプールが大嫌いで、海に行っても釣りしかすることなくて。焼きそばとラーメン食べ過ぎて太ったこともあったなぁ」
「……マジ?」
「マジ。でも中学1年の初詣の時。ミカンに出会って、ミカンと何とか友達になりたくて2年生の夏に水泳部に入って、ビーチ板を使って25メートをクリアすることから始めて、気が付けば今年の大会のレギュラー。あたし自信びっくりしてる」
「そうだったのか。全然分からなかった。俺、自分のことばっかりでさ」
「そんなことないよ。あたしが泳げないでいると自分の練習を中断しても教えてくれたのはミカンだけだったから。ミカンが教えてくれたから、今のあたしがいるんだよ」
 すると、髪を梳いていたキノットの手が後頭部に回される。
「ずっと友達になりたいと思ってた。でも今は違う。あたしは、ミカンが」

納品 挿絵 旅わんこ
挿絵:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

 俺の頭に回されたキノットの手、その指先に力が入ったのを感じると。
「はむ……」
「あふぁふぃわ、むぃはんわふひ(あたしは、ミカンが好き)……」
 唇に、やわらかくて甘い感触を感じた。
 俺にとって、初めてのキス。
 男としても女としても、初めてのキスだった。
 キノットはどうなのだろう。ひょっとしたら、キノットも。
「ふぃもっぽ(キノット)……?」
 唇が離れる。
 互いの唇の間に、銀色の絹糸が輝く。
 キノットは言った。
「ミカン。きみだけは絶対に手放したくないから。たとえ水泳の代表に選ばれなくても、超絶エッチな女の子になっても、あたしはどんなことがあってもミカンのことをずっと好きでいるから。これだけは、絶対だよ」
 そしてまた、唇を重ねてくる。
 それはまさに、夕方、互いを求め合っていた八重山や柚木のように。
 それを思い出した途端、また俺の胸の奥が震えた。
 あの時と同じ発作だ。
 だがあの時ほど息苦しくなかったし、身動きが取れないほどパニックになるようなことはなかった。むしろ、ゆっくりとではあるが手足が動き、そして興奮する反面それ以上に癒される。心地よくて、チョコレートのように甘い。
「キノット。俺、もうダメかもしれない……!」
「ダメになっていいよ。いっぱいダメになって、あたしだけのミカンになって。凛々しくてカッコいいだけのミカンじゃない、あたしだけにしか見せないダダ甘のミカンになっていいんだよ。ううん、なっちゃって、あたしのために」
 溶ける。とろける。甘くなる。
 深く、白く、あたたかく。
 現実なのか、夢なのか。
 癒されながら、興奮している。
 もうどうだっていい。
 TS病のせいでとてつもなくいやらしくなってしまった自分を、
 キノットのために、
 いっそ受け入れてしまおう。
「キノット……」
「ん? なぁに?」
「俺は……」
 言おう。
 いっそ言っちゃおう。
「お前が、好きだ」

【投稿小説】第2型ライフ ⑦

①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

《エピソード7》

 ウイルス性性別転換症。通称TS病。
 現在は第2型がメジャーであるため、原初の病原体やそれによる症状は「第1型」とつけて呼ぶ場合が多い。
 1型TS病、発祥の地アメリカでは『プリミティブ型』とも呼ばれるそれは、男女どちらにも同じ割合、同じ確率出かかる病気だ。風邪と同様に初期段階で治療すれば反転しかけた性別も元に戻ることもあるし、性徴が現れない事もある。
 2型TS病、これは外来の病原体と反応して突然変異した病原体によるものと言われている。男性が発症することが多く、一度発症したらその進行は止められず、ほぼ完全に性別は反転する。「ほぼ」と言うのは、あまり年を取ってから発症するとかなり中途半端な性転換で終わってしまうらしい。
 そもそもどうしてこの病原体は人間(広く言えば多くの脊椎動物)の性別を反転させるのだろう? そのメカニズムはまだ解明されていないが、ある学者が建てた仮説によると「あまねく生命体の性別バランスを保ち種の保存の一助となるために存在するのでは」とのこと。本当のところはどうなのか。
 ところで近年、新たな突然変異体が出現した。まるで毎年のように新型が現れるインフルエンザウイルスのように。
 それが、第3型のTS病だ。

 第3型TS病。
 これは第2型と逆で女性に多く見られる(いや現在のところ男性が患った例のない)症状だ。その症状は男性に比べて発症率の低い女性が第2型を患って性転換する場合と全く同じで、ただ発症率の割合と病原菌の違いしか存在しない(研究者たちによる今の考え)ようだ。
 第2型の登場で、世界中の先進国では女性の割合が多くなってきている。学者が唱える「あまねく生命体の生物バランスを保つ」のがTS病の役目だと言うのなら、第2型の誕生で偏った男女比を元に戻そうとしているのだろうか?
 それは、成績が中の下のおバカな中学生ごときには分からない。
 分かることは、たったひとつ。
 せっかく俺に好意を告白してくれたキノットが、
 せっかく恋人同士になれたキノットが、
 それを患ってしまったのだ。

 旅館、名桜(めいおう)。
 ロビー。
 俺はただ、自失呆然としていた。
「キノットが、TS病……? 第3型って……?」
「うん。だから半年のうちにあたし、男の子になっちゃう」
 追い打ちのように改めて言われた。
 俺にはもう、キノットにどんな言葉をかければいいか、いや自分をどう納得させるかも分からないでいた。
 キノットは続ける。
「もう1週間くらい前かな、少し体中の節々が痛くなって病院に言って相談したら分かったんだ。でも代表に選ばれたからには、どうしても出場したい。先生に相談して、痛み止めをもらってたんだ。
 それとこの病気のことも、大会が終わったらミカンに真っ先に言うつもりだった。ホントだったら詩の月町に帰ってこっそり言うつもりだったけど」
「そ、そっか。俺だけに。そりゃありがとう…… でも、いつかはバレるぞ? 少なくとも中学卒業までには性転換も終わってるんだろ?」
「そうだね。だからお医者さんやお母さんたちとも一緒に考えたんだ。
 中学生のうちは女子で通す。その代わり高校には男子として入学すると言って受験するつもり。体育は本格的に体つきが替わったら休むことにする。水泳部も10月の県大会で終わりだし、そこまでは水泳も続けたいかな」
「………… ……そっ、か」
 俺は小さくつぶやき、キノットも静かにうなずいた。
 俺はぬるくなり始めた甘酒をぐいと飲み干し、ゴミ箱にむかってポイと放り投げる。きれいな放物線を描き、ゴミ箱に吸い込まれた甘酒のガラス瓶は「ガチャン」と音を立てた。
「ねぇ、ミカン」
「ん?」
 キノットもコーヒーをひと口飲んで、小さく言った。
「あたしが男の子になっても、好きでいてくれる?」
「……そんな当たり前なこと聞くなよ」
 俺はそう答えて、キノットの背中に腕を回す。
 そして。

「はむ……」

 俺は、キノットの唇に少し残るコーヒーの味を感じた。
 ブラックコーヒーとか、かなり久しぶりだ。
「みふぁん……?」
 唇を放す。
 あとには銀色の光がひと筋。
 俺は言った。
「それでも俺は、お前が男でも女でもキノットのことが好きなんだ。あ、でもそしたらホモになっちまうかな、俺。キノットこそ、そんな俺でも好きでいてくれるのか?」
「……えへへへ。そんな当たり前なこと、聞かないでほしいなぁ」

 その日の夜は、ずっとロビーにいた。
 ずっと眠れないでいるキノットはソファーに腰かけ、甘酒を飲んでいい気分になった俺はそんなキノットの太ももに頭を預けて膝枕を堪能していた。
 翌朝、それを見て騒然となった水泳部員に尋問の嵐を受けたのは言うまでもない。

 やがて。
 夏休みが終わり、新学期になって校長先生に水泳部の功績をたたえられ、様々な部活では2学期中盤の試合やイベントなどを期に3年生が続々と引退し、高校受験のための勉強に励む。
 俺はキノットとふたりで一緒に受験勉強に取り組んだ。たまに樋本と江戸川も顔を出すが、ふたりはふたりで別の場所で一緒に勉強しているらしい。柚木は八重山部長…… 前部長といっしょの高校を目指しているようで、こちらもこちらで一緒に勉強している。
 キノットが俺の家で勉強をしているとたまに柚木がひとりで来ることがある。その時はよき友人としておもてなしし、たまに勉強のはかどり具合を交換し合って、互いに分からないところを教え合う。
 アセロラジュースを3人で飲んでいると、キノットが柚木に尋ねた。
「それでさユズキ。スグ(=八重山の名前)とはうまくいってるの?」
「ん? ああ、そこそこね。たまに家に押しかけてくることもあるから、マンガ雑誌とかマメに捨てないとちょっと白い目で見られるのがちょっと大変かな。八重山、ああ見えてヤキモチ焼きで束縛強いところがあるから。まぁ、日ごろからポカーンとしているオレにはそんなに苦にならないのかもな」
「うまくいってるんだ。そりゃよかったよ。確かにユズキってどこかポカーンとしてるもんね。何て言うか、ミステリアス?」
「八重山もそんなこと言ってた。オレのどこが好きなの? って聞いたら、キノットが言ったようにミステリアスなところに魅かれたんだと。こっちは普通にしてるつもりなんだけどなぁ」
 まあ、何にしてもうまく言っているのはいいことだ。
 柚木も言う。
「そう言うお前たちこそどうなんだよ」
「あたしたちもいい感じだよ。ねー、ミカン?」
 キノットは臆面なく答えるが、俺は頭を掻いて詰まった答えを何とか引っ張り出そうともがく。
「恋愛事情ってもうちょっとつつましやかであるべきなんじゃないかなぁ……」
 そんなこんなで、受験勉強は進んだり進まなかったり。

 そんなこんなで俺たちは、部活動引退後の日々を過ごす。
 時に水泳部にお邪魔して後輩たちの指導および新部長である小松伊代を励ましに。
 時に受験勉強の息抜きに遊園地に遊びに出かけに。
 時に、恋人同士でしかできないイチャイチャした時間を満喫しに。
 他人から見ればあまり面白くない、それでもそれぞれに充実したとも言える時間を……
 ……ちょっとだけすっ飛ばすか。

 そして翌年。
 まあそんなこんなで、俺たちはめでたく高校生になった。
 ……ちょっとだけじゃないな。半年はすっ飛ばしたか。
 俺とキノット、柚木、そして八重山は同じ詩の月高等学校に、江戸川と樋本は別の高校に、それぞれ進学した。
 そして。
「……ねぇ、ミカン。変じゃないかな?」
 俺にそう言うのは、前は長かった銅色の髪を短く切りそろえたひとりの男子生徒。
 色白で女顔。ついこの前まで中学生だったのだからと言われそうだが、本当に中学生が無理して高校の制服を着ているようにしか見えない。ましてや、半年前まで女の子だったのだから。
「それを言うなら俺だって。どうかな、キノット?」
 すっかり男子への性転換を終えてしまった、キノットだった。
「うん、似合ってる。上を着崩してスカートも詰めたら、もっとミカンらしくていいんじゃないかな」
「入学式からそりゃ無理だな。男子制服のキノットも何だか新鮮だ。卒業式は女子の制服着てたのに」
「あははは!」
 詩の月中学校の卒業式では、キノットは女子の制服を着て臨んだ。
 中学校卒業と同時に女子としての自分も卒業し、高校生となって新しい未来をスタートした今、男子としてのスタートも切るのだと言ったのだ。
 そこに。
「おーい、入学式遅れるぞー!」
 そう遠くから声をかけてきたのは、柚木だった。隣には八重山もいる。
 おーおー入学早々お熱いねぇとからかってやりたかったけど、俺は人のことなど言えそうにない。
「おう、今行く!」
 そう短く返して、俺はキノットの手を取った。
 俺の方が握ったのに、キノットの手は少し俺の手よりも力強さを感じる。
「なぁ、キノット」
「ん?」
「俺ら、互いに性別が逆転しちまった同士だよな」
「言われてみれば、そうだったね」
「何て言えばいいか分からないけど、これからもよろしくな」
「どこからどうそこにつながったか分からないけど、ぼくこそよろしく」
 そして互いに笑って。

「あ~あ、何だか甘酸っぱいなぁ」
「何が?」
 一緒に、歩き出す。



《世界設定》
神奈川県桜原市
 よく作者の作品の舞台となる街。
 モデルは作者の地元。あまり有名じゃないけど意外とラーメン大国。
 よろしければ一度お立ち寄りください。
 作者の他の作品は、そのついでにお読みください。



《THE END》



……『?』

【投稿小説】第2型ライフ ⑥

①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

《エピソード6》

 そして大会当日。
 8月第2土曜日。
 神奈川県北部、桜原市に位置するスポーツ施設。
 全日本中学生水泳競技大会会場、桜原ヴィゴラススポーツセンター。
 水泳用のプールのほか、大小の体育館、道場、アスレチック施設などが充実しており、屋上ではフットサルやテニスなどができる人工芝具もある。そのうちプールは地下に位置し、ひな壇の客席の最後列をぐるっと囲むガラス窓から自然光を取り入れることができる(天井の上は体育館になっていて、直射日光は届かない)。
 八重山部長をはじめとする俺たち選ばれなかった組は、柚木やキノット達を全力で応援した。
 個人競技やリレーなど、選手6人は大活躍してくれた。
 300メートルリレーでは女子の須田と小松のタッチ&ゴーのタイミングのずれが多少タイムに影響したようだが、個人では誰もが全力を発揮できたと思う。もちろん優勝候補とされた手ごわい選手には悔しさを味わわされたが、個人では男子の河内夏文が準優勝及びキノットが三位入賞、300メートルリレーでは三位の中学校と僅差と言う健闘を果たした。
 柚木やキノットたちはもちろん入賞できなかったことを悔やんでいた。小松は泣き出してしまったが、俺たちは責めることなくよくやったと肩を叩いて彼女を励まし続けた。
 もちろん、団体でも個人でも優勝を手にしたかった。それは誰でも、どの中学校のどの選手でも同じ。数ある選手の中かから個人入賞を手にしただけでも快挙だ。八重山部長はそう言って部員一同をねぎらった。

 旅館、名桜(めいおう)。
 その名の通り、旅館のいたるところに桜の木が植えられており、大きな庭園にはこれまた大きな桜の木が鎮座している。まるで龍が空に上るかのようにうねりにうねった幹が美しい。
 その庭園を一望できる2階の広間で、俺たち水泳部の部員たちは夕食を取っていた。明日に試合を控えた柚木と須田に合わせて、旅館にはタンパク質と野菜を中心にした食事を用意してもらった。俺たちのような試合に出ない組、キノット達のように今日で試合が終わってしまった組も同様だ。
 川夏先生が音頭を取る。
「みなさーん、今日は大変お疲れ様でしたぁ! 優勝こそ逃しましたが、詩の月中学校からふたりの入賞者が出たことは大変誇らしいことです。河内くんとサンペレグリノさんの栄光を称えるとともに、選手皆さんのがんばりとその他の部員の応援の頑張りを称えたいと思います!」
 川夏先生はビールが入ったグラスを手にし、僕ら部員たちは続く。
「それでは、乾杯!」
 川夏先生の言葉に、部員たちも続いて乾杯と叫ぶ。
 そこからは大盛り上がりだった。
 疲れのあまり食が進まない部員もいれば、カラオケマシンの電源を入れて音痴な歌を歌う部員もいたり、他にはお膳を女子の列に持って行っていちゃつく男女もいたりした。八重山部長はその立場からあからさまに柚木に絡む様子はないが、事情を知っている俺は八重山部長の視線がよく柚木に向いているのにいやでも気づく。
「ん……?」
 ふと見れば、キノットが僕の方を見ている(俺は女子の列に座っており、キノットは俺の隣の席だった)。
 どうやらキノットも八重山部長のことに気付いているようだ。
 ――たぶんあとで抜け駆けするよねー?
 ――ああ、するだろうな。
 アイコンタクトでうなずき合う。
 すると、ほかの女子部員がキノットを取り囲んだ。
「キノちゃーん! 入賞おめでとー!」
「ホントホント! 詩の月中のヒーローだよぉ!」
「キノちゃんは女の子なんだからヒロインでしょー?」
「やめてって、やめて、首折れる、あたたた!」
 北斗〇拳継承者か。一子相伝か。
 するとキノットを取り囲んだ女子たちのうち俺に近いところにいた女子、江戸川はるみが背後から俺に抱き着いてきた。
「ユガっちぃ~。キノちゃんの師匠としてどうなのよ。誇らしいんじゃないの、この胸が?」
 江戸川はそう言いながら、中学生にしては発達して泳ぐのに邪魔になった胸を揉んできた。
「ひゃっ!? やめろよ江戸川! 飯食ってんだぞ、男子の前だぞ!」
「じゃあ男子の前じゃなければいいんだ、このエッチ~!」
「お前にだけは言われたくねぇよこのおっぱい星人が!」
 おかげで煮込みシイタケが胸の谷間に落ちてにゅるにゅるしている。男子が見て赤くなって、茶碗を持った左手で股間を押さえてる。やめろやめろ。
 するとキノットは言った。
「うん、本当にミカンには感謝してるよ。ろくに泳げないまま入部したあたしに丁寧に泳ぎ方を教えてくれて、たった1年ちょっとで大会に出られるまでになったんだもん。今日の3位は、ミカンと一緒に勝ち取った賞だと思うよ」
「お~お~、青春だねぇ! もうあんたら付き合っちゃいなよ!」
「付き合ってるよ?」
 キノットの爆弾発言。
 これには「付き合っちゃいなよ」とはやし立てた部員、樋本伊代もその表情が凍りつく。
 いや、周辺にいた女子部員全員が凍りつき、男子部員たちも箸でつまんでいた料理をぽろっと落とす。
「………… ……マジ?」
「マジ」
「……うおぉ! うおぉマジか! 手ぇ出しちゃったか、いやこの場合は出されちゃったのか! あぁもう本当にごちそうさまだよあんたたちは!
 その後はもう、ただただ騒々しかった。
 いつの間にか河内とキノットの入賞祝い兼慰労会から俺とキノットのカップル成立祝いへとなり果て、キノットを狙っていた男子は滝のように涙を流しながら俺の首やら浴衣やらをひっつかんで揺さぶり続けた。
「うおおおおお! オレが狙ってたサンペレグリノをよくも横取りしやがってぇぇぇ!」
「許さないからな! 彼女を幸せにしないと絶っ対ぇーに許さないからな!」
「分かったから、分かったって、むち打ちになる! あとセクハラ!」
「何がセクハラだ、元男のくせに!」
 俺は俺で男子に恨み交じりの激励をもらい、隣を見ればキノットもキノットでたくさんの女子たちに囲まれ、抱きつかれていた。
 結局せっかくの料理は冷めてしまい、食べ終わったのは1時間後。しかもお膳が何度も蹴飛ばされたために食べたい料理がこぼれてしまって食べられなかった。あいつらにはあとで何かおごらせよう。

 その日の夜。
 就寝時間をとうに過ぎた、午前0時過ぎ。
 俺はふと目が覚めてしまった。
 むくりと起き上がって周りを見て見れば、同室の女子たちが小さな寝息を立てている。だが、そこにキノットの姿がない。
「キノット…… トイレかな?」
 女子に割り当てられた客室を出てスリッパをはき、非常口の誘導ランプだけの薄明かりを頼りにトイレへと向かう。結局用を済ませてトイレから出てくる間に、キノットとはすれ違わなかった。
 ――じゃあどこだ? ロビーかな。ついでに自販機にも寄って行こう。
 思った通り、階段を下りてロビーに行くと、そこにキノットはいた。
 ソファーに深く腰掛けて、手にはホットコーヒーの缶を両手で握っている。
 ロビーは薄暗く、照らしているのはわずかなオレンジ色の光とやはり非常口への誘導ランプ、そして自動販売機のショーウィンドーから洩れる光だけ。それなのにと言うべきかだからと言うべきなのか、キノットの銅色の髪が、いつもより際立って輝いている。
「キノット?」
 俺の言葉に、キノットはこちらを向いた。
「ミカン? 眠れないの?」
「いや、ちょっくらトイレに。そう言うキノットは?」
「うん。今日の大会で3位入賞したこともそうだけど、ミカンと付き合ってるって告白して水泳部のみんなにもみくしゃにされたのがどうも落ち着かなくて。もう興奮しっぱなしだよ」
「そっかぁ。そりゃ悩ましい嬉しさだな。そんでコーヒー飲んでたらまた眠れなくなるぞ?」
「いいよ、もうあきらめた。眠くなるまで起きといちゃう。大会までたくさん頑張ったんだから、今くらいは色々あきらめちゃっていいよね?」
「いいと思うぞ、俺は」
 そう言って、俺は持っていた小銭入れからコインを取ってホットの甘酒を買う。
 キノットの隣に座ってそれを開封すると、ガラスの容器からは甘い香りが立ち込め、俺とキノットはそろって飲み口に鼻を近づける。すると必然とふたりの頬が当たってしまうため、俺たちは慌てて顔を離した。
「あははは…… こうしてると恋人っぽいね」
「だな。もう恋人同士だけど。性別は同じなのに」
「あ、そうだ…… それなんだけどね、ミカン」
 俺が甘酒に口をつけると、キノットは少し思いつめたような表情と声になって、言った。
「中学生だからドーピング検査はないしそんなヤバい薬はもちろん使ってないけどね、あたし、痛み止めを飲んで今日の試合に出たんだ」
「痛み止め? どこか悪いのかよ」
「悪いって言うか、ちょっとね。でも、ミカンにとってかなりショックな話だからちゃんと聞いてね?」
「ショックなって、おい……!?」
 待てよキノット。
 痛み止めを飲んで試合に臨むほど、それも俺にとってかなりショックな話って。
 一体お前、どんな病気にかかってんだよ。それとも大ケガでもしていたとか?
 せっかくの甘い甘酒の味、甘い香り。
 もう一度寝るために心落ち着かせるために甘酒を飲んだはずなのに、全然落ち着かない。
 俺は前身の血液が凍るような感覚を覚えた。
 呼吸ができなくなっていくような気がした。
 そして。
「あたしね……?」
 キノットは告白した。



「TS病なんだって。それも第3型の」

【投稿小説】第2型ライフ ⑤

①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

《エピソード5》

 翌日。
 歌の月中学校3年C組。
 キノットとは違うクラスだが、柚木とは同じクラスだ。
 通学カバンを机に放り投げるなり、中身を机に詰めず俺は柚木の机に向かった。柚木は席に座ってスマホをいじっている。
「よう、柚木」
 俺が声をかけると、柚木はスマホの電源を切って俺を見上げた。
「ああ。おはよう、ミカン」
「おはよう。早速だけど柚木。昨日は八重山とお楽しみだったな」
 俺がそう言うと、柚木は戦慄してスマホを机に落とした。奴のスマホは机の上でバウンドし、そのまま床に落ちた。仕方がないから拾ってやった。
「お、おま……! おい蜜柑! お前どこまで知ってんだ!?」
 できるだけ声を押し殺したようだけれど、近くにいるクラスメイトたちの視線を多少集めてしまったようだ。まあホームルームが始まる前の友人同士の雑談ととらえたようで、クラスメイト達はすぐにまた元の様子に戻る。
「体育館の柱の陰でイチャイチャしてるのを見て、あとは見ていられなくってそこから逃げた。おかげで俺の方がキノットの前で大恥かいたんだからな」
「そこで何でキノットが出てくるんだよ! まさか一緒に見たのかよ!? ……まぁ何でもいいや。お前らにあのシーンを見られてたなんて最悪だな。言っとくけどな、俺は悪くないぞ!」
「悪いか悪くないかを言うつもりはねぇよ。俺はただお前に八つ当たりしたいだけだ」
「いい迷惑だ!」
「そりゃお互い様だ」
 ふぅとため息をつくと、たわわな胸がふるんと揺れる。
 柚木の視線に気づいた。その胸に一度視線が向くと、今度は右にそれて焦点が合わない感じになる。俺も男だったし覚えはある。元から女子だった女子はどう思うか分からないが、俺はものすごく恥ずかしい。そして前までは俺も同じだったのかと思うと情けなくなってくる。
 俺の席は柚木の席の左隣。俺は教科書などを机の中にしまうと、机を気持ち柚木の方に寄せた。
「おい柚木。いつから八重山のことが好きだったんだ?」
「は? そんなことねぇよ。昨日は八重山さんの方からオレに言ってきたんだ」
「ふーん? じゃあ逆に八重山の方がお前のこと好きだったと。あの水泳バカの堅物部長がなぁ」
「あ、水泳バカって点についてはお前も人のこと言えねぇから」
 そうか?
 そうでもないと思ってたんだけど。
「確かに柚木、背は高いしそこそこ几帳面だし細マッチョだし、女子からモテる要素あるよな。顔は地味だけど」
「うっせ!」
「じゃあさ、お前には好きな人いるのかよ。水泳部の部員だと、そうだな。樋本伊与(ひのもと いよ)とか江戸川(えどがわ)はるみとか?」
「どっちでもねぇよ。そう言うお前はどうなんだよ、蜜柑?」
「こっちが質問してんだ、お前が先に答えろ」
「マジかい…… オレが好きなやつ? 言わなきゃなんないの?」
「なんない」
「あーそうかい」
 柚木はそれまでもてあそんでいたスマホを制服のポケットにしまい、椅子を俺の席の側に傾け、そして神妙な面持ちで言った。
「そいつのことが好きなのかどうなのかは分からない。だけどずっと気になってるやつがいるんだ。ずっと友達でいるもんだと思ってたのに、やっぱりそいつも女なんだなーって思って」
「…………」
「好きかどうかは別として、蜜柑。オレはお前のことをもう男友達として見られそうもない」
 まさかの言葉だった。
 俺としても、柚木は男友達だと思っていた。
 柚木は俺のことをもうそうとは思っていないらしい。
 それなのに、俺は不思議と落ち着いていた。
 たぶんその原因は、昨日のこと。
 キノットの告白のおかげだ。
「そんなオレはホモなんだろうか。色々考えていたところを八重山さんの方から声をかけてきて、そんで蜜柑のことで悩んでいるって言ったら、八重山さんは言ったんだ。湯河原みたいな男女よりもわたしの方を見なさいよって。それで、だからオレ……」
「……ふーん。八重山がねぇ。で、お前はどうなんだよ。八重山とはこのまま付き合っちゃうのか?」
「八重山さんには悪いけど、八重山さんはオレの好みじゃない。どっちかって言うと、八重山さんみたいにぐいぐい人を引っ張っていくタイプよりも蜜柑のようにとなりを一緒に歩いてくれるような人が…… って、これじゃあホモ発言してるようなもんじゃん!」
「どこが。女性のタイプを言っただけだろ? 俺が好きだとか言ったらそれはそれで考えもんだけど」
「うぅぅ~~~」
 俺がそうフォローするも、柚木は頭を抱えてうなっている。
 クラスメイト達は相変わらず自分たちのグループで戯れているか、ぼっちなやつは分厚い本を読んだりスマホをいじったりそれぞれの世界にいる。俺たちがどんな会話をしていようと全くのお構いなし。それはそれで助かる。
 隣の席では自分の性癖について悩んでいるバカがいる。そんなに思いつめなくたっていいのに。お前がホモじゃないことくらい俺がよく分かっている。
 すると、柚木はやっとうめくのをやめて俺に言った。
「じゃあさ、蜜柑」
「ん?」
「付き合ってくれって言ったら、お前はどう答える?」
「は!?」
 いきなり過ぎる。
 だが柚木の目は真剣だった。
「今時TS病で性転換してしまった元同性同士のカップルだって珍しくないじゃん、生物学的には男と女なんだし。だからオレが今は女の子の蜜柑と付き合ったって何の問題もないわけじゃん?」
「まっ、まぁ、そういうケースもよくテレビで見るけど」
「だから、どうだろ? 蜜柑、ちょっくらオレと付き合ってみないか?」
「………… ……何だろ、すげぇアプローチの仕方」
 今度は俺が頭を抱えた。
 たぶん柚木にしてみれば、いろんな意味で『お試し』のつもりなんだろう。
 自分の恋愛観が正常であるかを確かめ、また男女の付き合いとはどういう者かを自分なりに模索するための。
 でも、俺は柚木の思いには応えられない。
「悪い、売約済みなんだな」
「……そうか。ごめんよ」
「相手、聞かねぇのかよ?」
「大体わかるさ。それに聞いたところで何になるよ」
「相変わらず妙にクールなやつ」
 そう言って、柚木は机に突っ伏した。そしてそのまま、クラスの担任の先生が出欠確認を取ってホームルームを終えて1時間目の数学を担当する『鬼の長谷川』こと長谷川甘平(はせがわ かんぺい)先生に竹刀で頭を叩かれるまで組んだ両腕の中に頭をうずめて寝こけていた。

 放課後。
 この日は午後から雨が降ったため、水泳部は休みだ。
 使われることのなかった水泳セットを肩に引っかけて、俺とキノットはハンバーガーショップ『ワイルドビリー』にいた。俺はてりやきバーガーとコーヒーを、キノットはフライドフィッシュバーガーとチョコスティックが添えられたアイスメロンソーダを頼んだ。
 適当な席に座り、俺はキノットに今朝の話をした。
「……ふーん、ユズキがねぇ」
「まぁ確かに、TS病で性転換した男が男と付き合ってそのまま結婚、またその逆の例も珍しくないらしいからな」
 そう言って俺は、シロップとミルクをコーヒーに溶かした。
 その様子を見ながら、キノットは言う。
「話は変わるけど、ミカンって甘党になったよねー」
「そうだな。前はブラックで飲んでたんだけど、最近と言うかここ1年の間にブラックが苦く感じ始めてさ」
「ふーん……」
 そこで言葉を切るキノット。
 しかもその目つきはジトーッとしていた。
 何だかものすごく居心地が悪い。
「何だよその目ぇ」
「いーや、なーんにも?」
「何にもなくねぇだろ。あ、分かった。味覚が意外とお子様ねって笑ってんだろ」
「うん、今別の理由で笑いたい」
 何だそりゃ。

「……さてミカン。今ひとつ確認しておきたいんだけど、いい?」
 キノットな急に神妙な表情になった。
「なっ、何だよ、改まって?」
「ミカンはTS病で体は女の子になったし、女子の制服や水着を着ることも女子更衣室で着替えることも抵抗はなくなってきたよね?」
「いっ、いや、んなこたねぇぞ? 特に女子更衣室がまだ苦手だぞ?」
「1年前に比べたらマシになったって意味。でも心はどうなの? メンタルの方は、まだミカンは男のままなの?」
「……そこ、どうなんだろうな」
 体は女の子だけど、心はどうなのだろう。
 改めて尋ねられると、確かに答えに迷う。
 だから俺は、男か女かよりも素直に感じていることを言葉にした。
「俺は去年の春まで男として生きてきたし、言葉遣いや態度も男や女に対する考え方もそんなに変わってないと思う。キノットに好きだって言われてすごくうれしかったし、俺もキノットが好きだ。そう考えると、俺はまだ男なのかな……?」
「照れること言ってくれるなぁもう。でも、そっか。人はいきなりは変われないもんね。それに変わってしまうものもあるし、変わらなくていいものもある。ミカンは今のミカンのままでいいと思うよ。いやでもこれから、少しずつ変わっていくと思うし」
 そう言ってキノットはストローに口をつけてメロンソーダを吸い上げた。水面と一緒に、乗っていたバニラのアイスクリームも沈む。
「ミカン。これからも好きでいてくれる? 友達じゃなくて、恋人として」
「ああ。俺もそうあってくれると嬉しいな」
「ありがと。じゃあ」
 そう言ってキノットはチョコスティックの端を口にくわえ、テーブルに両腕の肘を突き立てて前のめりになった。
 成る程。俺は心の中でひとつつぶやくと、水平になったチョコスティックのもう片方の端を口にした。ザクザクとチョコスティックを噛み砕く音が響くごとにチョコスティックはふたつの唇に吸い込まれ、そしてとうとう。
「はむ……」
 唇同士が触れ合った。
 チョコレートとは別の、甘い味がしたような気がした。
 触れあうのと同じに見つめ合うのも一瞬。
 そして唇が離れた時、俺は少し情けない悲鳴を小さく上げた。
「ひっ……」
「ミカン? どったの?」
 どこかの3代目大泥棒みたいな尋ね方をしたキノット。
 そんな彼女に、俺は答えた。

「……ごめん。かなりいろいろ落ち着かなくなった」
「あ~あ」

 悪いな、いろいろ。

全文を表示 »

【投稿小説】第2型ライフ EX 《サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~》

《サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~》
①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

 ある日の朝。
 詩の月中学校、昇降口の陰となっている壁際。
 そこであたしは、ミカンから衝撃的な告白をされた。

「……え? ユガワラ、TS病って、それって……!?」
「ああ。俺、女になっちまうみてぇなんだ」

 TS病と言えば、ウイルス性性別転換症。文字通りウイルス感染によって引き起こされ、発症すれば性別が反転してしまう症状だ。
 それも、ミカンが発症したのは第2型。これは性別が反転するまで発熱や体の軋みなどの症状が治まらず、しかもかなりエロティックな感情に流されやすくなるらしい。
「どうしよう…… 俺、このまま女になっちまうのかな。そんなの嫌だよ、これまで16年間男としてやってきたのに、水泳でも男子としてやってきたのに、男友達もそこそこいるのに、こんなのってねぇよ……!」
「落ち着いて、ユガワラ! とりあえずどこかに行こう、ねっ!?」
 体育館の裏だって、人が来ないわけではない。
 確実に人通りが少なく、人が来ればすぐに息をひそめられる場所、あたしはそこにミカンを連れて行った。
 思い当たる場所は、屋上しかなかった。
 屋上に来る頃にはミカンも少しは冷静になれたらしく、死んだような顔はそのままでも、取り乱している様子はなかった。
「ユガワラ。さっきの話、ホントなの?」
「ああ。しかも2型だ」
 それは第1型のように発症からすぐに対処すれば元の性別に戻る可能性があるものではなく、確実に性別が反転してしまうことを意味している。
「そっか……。でっ、でもユガワラ。そんなに落ち込むことはないよ。水泳の選手としては男子から女子になるだけで水泳そのものは続けられるし、女の子はおしゃれの幅が広がったり映画館やアミューズメントではレディースデーが豊富だったりするからいろいろお得だよ? 悪いことばかりじゃないって。ね?」
「……悪いことだよ」
 ミカンは言い切った。
「なっ、何が?」
「去年、俺の小学校の頃の友達も同じような病気にかかってさ、いじめにあったんだ。やーい男女、ヘンタイ、おかま野郎。挙句の果てにお前なんか俺たちの友達じゃねぇって、それまで仲が良かった男子のグループからはじき出されただけじゃねぇ、女子からも一緒の授業を受けることを拒否され、SNSに裸にひん剥かれた画像をアップされ、挙句そいつは引きこもりになったんだ。
 心配した俺がそいつの家に行くとどうしてたと思う? それまで大切にしてたおもちゃ屋マンガ本はみんな売り払い、自殺に関するサイトをあさり、墓には大切にしていたサッカー選手のサイン入りユニフォームを一緒にしまってくれとか言い出しやがったんだ。
 お前なんてこと言ってんだって最初はぶん殴ってまで食い止めたよ。けどそいつは、それほどまで追い込まれてたんだ。性別が反転してしまう、たったそれだけのことで、友達がいなくなってしまうだけじゃない、社会からヘンタイのレッテルを貼られちまうんだ。
 だから……」
 ミカンはそう言ってコンクリートの床に座り込み、膝を抱えて震えた。
「俺もそうなっちまうのかなって、怖くてさ。でもそうなる前に、サンペレグリノには知ってほしかったんだ」
「そう、だったんだ…… うん、それはひどい話だね。性教育でそう言ういじめはやめようって、小学校のうちから習ってたはずなのに。でもね」
 あたしはミカンの左に座り、肩を寄せた。
「どんなことがあっても、あたしはユガワラの味方だから」
「サンペレグリノ……?」
「大丈夫だから」
 ミカンの左手を両手で包み、そして心成しか以前より小さくなったミカンの肩に頬を乗せた。
「大丈夫だから……」

 しばらくするとミカンは落ち着いたようだ。
 チャイムは何回か過ぎてしまったようだ。
 ――もう2時間目の授業中かな。
 ――このまま保健室に行って、具合が悪くて寝ていたことにしてもらお。
 ミカンはなお膝を抱えてうつむいたまま。
 あたしはミカンの方に預けていた顔を上げて、ミカンに言った。
「あのさ、ユガワラ」
「ん?」
 横目でちらりとあたしを見る。
「あたしたち、友達ってことでいいよね?」
「……そうだな。いつの間にかよく話すようになったし。からかわれてばっかだけど」
「じゃあさ。ミカン、って呼んでいいよね?」
「え?」
 ぽかんとした表情になる。
 鳩が豆鉄砲を食ったようとはこんな状態を言うのかもしれない。
「だから、ミカンもあたしのこと名前で呼んでよ。キノットって」
「サンペレグリノ……?」
「いいから、ほら。ミカン!」
 あたしは両手の人差し指で、ミカンの頬を左右からはさんだ。
 ぽかんと開いた口の中に、押し出された頬の内側の粘膜が見える。
「キ・ノ・ッ・ト! あたしの名前、呼んでみてよ」
「………… ………… ……ふぃもっ、ぽぉ?」
「うん」
 両手を戻した。
 そしてもう一度。
「ね、ミカン」
「……いいのか?」
「うん、全然」
「……そっか」
 名前を、呼んでもらおう。
「じゃあ、これからも友達としてよろしくな、キノット」

 それからしばらくして。

 水泳部活動場所、詩の月町民プール。
 TS病にかかったとはいえすぐに体に変化が現れると言うわけではないけれど、ミカンの少しずつ体つきは変わり始めているらしい。TS病の代表的な症状のひとつである体の軋みが始まり、ミカンは水泳どころか私生活すらままならないのだとか。
 それでもミカンはショートパンツタイプの水着(いわゆる男子用スクール水着)と言う格好で部活に参加している。それはどうしてかって言うと。
「ほらキノット! もっとリズミカルに! 足はしっかり延ばす!」
 プールサイドでバインダーとストップウォッチを持って、ほかの部員のタイム計測をしたりあたしのように泳ぎがまだまだ下手な部員の指導をしたりしている。特にあたしは年明けに入部したばかりなので誰よりも泳げない。
「だめー! 息継ぎのタイミングがよく分からない!」
「しゃーねぇな。ちょっと横で泳いでやっから、リズム掴めよ?」
 やがて、ミカンは体の軋みがひどくなるとプールに入ることがなくなった。胸がすれる感じにまで襲われるようになったからだ。それでも、ミカンは水泳部を休むようなことはしなかった。膨らみ始めた胸や変わり始めた体のラインを隠すようにジャージを着て、プールサイドでできることをこなした。
 ある時、あたしはミカンに尋ねた。
「どうして、そんなに水泳に一生懸命になれるの? あたしだったら、体中が痛いのに部活はがんばれないよ」
「ああ、俺も何度もいい加減休みてぇなーって思った。今も休みてぇさ。そんでも一生懸命に頑張ってるやつがいるってのに、俺だけ休んでらんねぇよ」
「ミカン……」
 ミカンはそう言って、飛び込み台に座った。
 あたしを見上げる形になったミカン。
 そんなミカンの表情は、年齢よりも幼くなったようにも、ボーイッシュな女の子のようにも見える。上目遣いのミカンの表情は、凛とした中にどこかはかなさすら感じる。
「お前こそ何で一生懸命になれるんだよ。こんな時期に水泳部に入部してまで。何か夢でもあるのかよ」
「ううん、そんなんじゃない。ただ、同じことがしたいだけかな」
「同じこと?」
「うん。ある人にあこがれて」
「そっか。そりゃいい目標だ」
 そう言ってミカンは笑う。
 下唇に八重歯を引っかけて、にかっと笑うミカン。

 ――そんでも一生懸命に頑張ってるやつがいるってのに、俺だけ休んでらんねぇよ。
 ――お前こそ何で一生懸命になれるんだよ。こんな時期に水泳部に入部してまで。

 きみは知らないのだろう。
 その目標は、きみだと言うことを。
 自分のことにも自分以外の人にも全力になれる人。
 人に優しいくせにそれがなかなかわかりづらい、ぶっきらぼうな人。
 それでも、あたしはこの人に魅かれていった。

 のちにあたしは、ミカンに「お前ってレズだったのかよ」と酷いことを言われてしまう。
 でもそうではない。
 もちろんあたしの恋愛対象は男子だ。
 だけど、どうしようもなく意識してしまった相手がたまたま『やがて絶対に女の子になってしまう男の子』だっただけの話。
 あたしは間違いなく、ミカンと言う人間を好きになったのだ。
 友達として、そして初恋の人として。

 そして、あたしは言ってしまうのだ。
 ――「ずっと友達になりたいと思ってた。でも今は違う。あたしは、ミカンが好き」
 ――「あたしはどんなことがあってもミカンのことをずっと好きでいるから。これだけは、絶対だよ」

 ……、と。



《登場人物紹介》
リモンチェッロ・サンペレグリノ
 キノットの姉。3歳年上の高校生。今後の出番は……未定。
 名前の由来は、イタリア発祥のレモン酒。

川夏綾子(かわなつ あやこ)
 水泳部顧問の女性教師。今後の出番は……同じく未定。
 名前の由来は、カワノナツダイダイ。

【投稿小説】第2型ライフ EX 《サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~》

《サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~》
①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

 それは、あたし=キノット・サンペレグリノが中学1年の時だ。

 12月31日。日付が変わり、1月1日となった新年の元旦。
 ここ詩の月町の神社、朝倉神社。
 あたしは姉=リモンチェッロ・サンペレグリノ(家族や親しい人は「リモ」と呼んでいる)と初詣に来ていた。姉妹でお揃いの日本の伝統衣装である着物を着て、長い髪はかんざしで留めて。防寒のために履物はブーツにしているけれど、母の知り合いの日本人の方からは「明治っぽい」って言われた。
 神社のテントでは温かいスープとして配っていた甘酒と言うドリンクはアルコールではないらしく、雪が降りそうなほど厳しい寒さもたちどころに忘れてしまいそうにやさしい温かさに、あたしはほっと息をつく。
「キノットぉー! こっちの屋台でおいしそうなの売ってるよー! おいでー!」
 母国語であるイタリア語で、リモがそう叫んできた。
「何、リモ?」
「オコノミヤキって言うんだってさ。みんなまぜこぜになったピザみたいなやつ。食べてみようよ」
「オコノミヤキ! 面白い響きだね。じゃあ食べてみようかな」
 そう言ってあたしは歩き出そうとした。すると。
「あっ!?」
 敷石と砂利の境目を踏んでしまってバランスを崩し、そのままあたしは砂利の中に倒れてしまった。
「キノット! 大丈夫なの!?」
「あうつつつ……!」
 リモは駆け寄ってこようとするけれど、着物のせいで歩幅が開かない。しかもあたしは右足をくじいてしまったみたいで、立とうにも立ち上がれない。
「ひねった…… ヤバい、立てない……!」
 すると。

「大丈夫か? ほら、手ぇ貸して」

 男の人の声が、聞こえた。
「えっ?」
 あたしは顔を上げ、声が聞こえた方を見やる。
 そこにいたのは、見覚えのある顔。
 当時クラスが一緒だった、ユガワラ・ミカンだった。
 夜でも鮮やかに輝く天然のオレンジの髪が目を引き、童顔で小柄ながら筋肉が引き締まっている。水泳部の部員だけど冬は屋内の温水プールで練習しているため、女の子のように肌は白い。女子の間では「かわいい系男子」と呼ばれているミカンだけど、目つきも言葉遣いもかなりぶっきらぼうな男子だ。
「って、お前。確かサンペレグリノ。お前も来てたんだな」
 そう言うミカンに答えようとしたら、あたしは気づいた。
 ――あ、八重歯だ。
 ――なんか可愛いかも。
 日本以外の国において八重歯は、可愛いどころか吸血鬼の牙と関連付けられて不気味がられたりすることがあるらしい。けれど八重歯をかわいいと思っているあたり、あたしはイタリア人の血を引いている日本人なんだなと思う。
「うん。……でもユガワラ、何なのその格好?」
 ミカンの格好は、紺色の甚平に豆絞り(ドット柄のタオル)。どう考えても季節を4か月ほど間違えている。しかも、頭からは滝のように汗を流している。
「親の手伝いだよ。そこでお好み焼き屋をやってて、今ジュースを買いに行ってた。ほら、手」
 改めて自らの右手を差し出すミカン。
 あたしはその手を取った。
 ミカンはその手に力を込めてぐいとあたしの右手を引っ張り上げた。あたしも何とか、くじいていない左足だけで立ち上がる。
「あ、ありがと……」
「どういたしまして」
 そこに姉のリモが来た。
「きみ、妹をありがとう。もしかして学校の友達?」
「はい、クラスメイトの湯河原蜜柑って言います。ひょっとしてサンペレグリノのお姉さんですか?」
「ええ。私はリモンチェッロ。よろしくね」
「こちらこそ」
 するとミカンは、あたしに言った。
「足、大丈夫か? ひょっとしてひねった?」
「あ、うん、まぁ。でも大丈夫だよ、リモ…… あ、お姉ちゃんがいれば帰って帰れないことないし」
「そりゃダメだ、ちょっとこっち来い」
 そう言ってミカンはあたしの手を軽く引き、あたしがつまずかないくらいの速さであるところに連れて行った。
 そこは、手水(ちょうず)所。神様にお参りする前に手と口を清める場所だ。
 手水所の参道側には人が多い。反対側に回り込んで柄杓を手にし、あたしの右側のブーツを脱がせると足に水を直接かけた。
「ひっ!?」
「冷たいだろうけど我慢しろ。腫れるよりマシだろ」
 何度かかけると、ミカンは自分の頭に巻いた豆絞りをほどいてそれに柄杓の水をかけて洗い、何度か洗うとそれをあたしの右足首に巻いた。湿布代わりだ。
「じゃあサンペレグリノ。帰ったら無理しねぇで休めよ。あとタオルがあんまり冷えるようなら外した方がいい。捻挫が凍傷になったら話になんねぇし、無理して巻きっぱなしにしなくていいからな」
「うっ、うん…… ありがとね、ユガワラ」
「ああ。……そうだ、ちょっと待ってろ。お姉さんはここで妹さんを支えといてくださいね」
 そう言ってミカンは手水所から離れていった。
 そして戻ってきたときには、さっきまでは持っていたはずの飲み物の缶は持っておらず、その代わりにビニール袋を持っていた。どうしたのだろう。
「持ってけよ、これ」
 ミカンはそのビニール袋をあたしの前に突き出した。ふわっと温かいソースの香りが漂ってくる。
「ユガワラ、これって……?」
「オヤジのお好み焼き。帰ったらお姉さんと一緒に食ってくれないか。食いたかったんだろ?」
「うっ、うん…… でも……」
「初詣の屋台は向こう3日間やってる。足を治してまた来りゃいいじゃんか。……お姉さん。サンペレグリノを頼みますね。俺、まだ屋台の手伝いがあるんで、そんじゃ」
 そう言って再び、ミカンは屋台の方に戻って行った。

 当時、クラスメイトだったはずなのに、まともに会話もしたことのない男子。
 湯河原蜜柑。
 ぶっきらぼうな物言いで少し近寄りがたい雰囲気をまとっていた彼の優しさに触れた時、あたしは彼と友達になりたい、そう思うようになった。
 たぶんだけど、その時はまだ『恋心』と呼べるレベルではなかったと思う。友達になりたい、異性としては少し気になる、その程度だったと思う。けれどあたしにとって、大事な出会いだった。
 ……そして冬休みが明けて。

 歌の月市民プール。
 冬の間の詩の月中学校水泳部の部活動場所だ。
 水泳部顧問の川夏綾子(かわなつ あやこ)先生の隣で、あたしは紹介された。
「ハーイ、皆さんゴチューモク! 今年最初の水泳部の部活動でいきなりですが、今日から新しい仲間が増えましたぁー! ご紹介しますねっ。イタリア生まれ日本の育ち、陽気なやつはだいたい友達。キノット・サンペレグリノさんでーす!」
 カワナツ先生は、背も低ければ顔も言動も幼く、着ている水着もどういうわけか紺色の旧式スクール水着の上にピンク色のパーカーと言うもの。教師のはずなのに、どう見ても中学生にすら見えない。
「きっ! キノット・サンペレグリノです。皆さんより遅い入部ですが、どうぞよろしくお願いします!」
 1年生から3年生までずらりと並んだ部員たち。
 その中にはもちろんミカンもいた。
「よぉ、サンペレグリノ。捻挫治ってねぇのに大丈夫なのか?」
「まだちょっと紫色だけど歩けるよ。ありがとね、ユガワラ」
「そっか。ならよかったよ」
 その途端、水泳部の先輩部員たちはどよめきだした。
「どうしたどうした? お前らいい雰囲気だな、付き合ってるのか?」
「ひょっとして湯河原がイタリアガールを水泳部に誘ったのか?」
「捻挫ってどうしたんだ? 送ったのか? 送りオオカミやっちゃったのかユガッチ!?」
「水泳バカの湯河原がまさか女子と仲良くなってるなんて氷河期突入だな!」
 先輩たちは言いたい放題だ。
「……バカみてー。同じ男なのが情けねぇや」
 ミカンはそっぽを向いてうつむき、不愉快そうな顔をして八重歯を唇に突き刺していた。
 目つきは悪くて物言いはぶっきらぼうで回りを寄せ付けないタイプのミカン。
 でも本当は優しくて冷静で気が利いて、そのぶっきらぼうさがどこか可愛らしい。
 あたしは、そんなミカンの友達になりたいから水泳部に入部したのだ。
 でも、それともうひとつ。
「それと…… あたしまったく泳げないのでゼロからの出発になりますので、どうかよろしくお願いします」

 こうしてあたしは、ミカンと、そしてミカンの友達のユズキとも友達になれた。
 ユズキとの出会いは、ふたりがタイムを競い合っているときにタイム計測を任された時がきっかけで、それからよく3人で下校途中にコンビニで買い食いをしたりゲームセンターに遊びに行ったりするようになった。
 きっかけはミカンとの出会いだったけれど、今ではユズキともいい友達だと思っている。
 そしてこの友情はずっと変わらないものだと思っていた。
 ……それなのに。

 あたしたちが2年生に上がってすぐのころ。
 桜が満開となり、新しいスタートと共に未来に思いをはせる、そんな季節。
 詩の月中学校、体育館の裏。
 ミカンは、初詣で出会った時のような凛々しく見えるぶっきらぼうさが嘘のような顔をしていた。
 その原因は。



「……え? ユガワラ、TS病って、それって……!?」
「ああ。俺、女になっちまうみてぇなんだ」

【投稿小説】chain change extension

文:鎖連鎖
キャラデザイン&挿絵:桐山マチ

関連作品:chain changeはこちら

「……ん」
 いつの間にか眠っていたようだ。
「すう…すう…」

amha_170815.jpg

 横を見ると、昨日の晩に愉しんでいた女の子がいる。
 この子は、元は男の子だったけど、私と交わらせて女の子にしてやった。
 そして、その後すぐに処女も奪った。
 どういうわけか私はサキュバスでありながら、男の子と交わることでインキュバスになれる。
「うふふ…」
「う?う~ん…」
 どうやら、その子が起きたようだ。
 今まで色々な男の子を女の子にしてきたけど、この子とは身体の相性がいいみたいで、手放したくないのよねー。
 まあ、この子も、
「リージュ様ぁ…、今日もまた、あたしを可愛がってくれますか…?」
 私と一緒にいたいみたいだし、ね。

 そして私は、今はサキュバスの身体で、今日も彼女を“開発”した。
 …その内、私だけに快楽を感じるようにね…。

全文を表示 »

【投稿小説】 chain change

文:鎖連鎖
キャラデザイン:涼川ゆい

2013082122124765a_201704041340235e7.jpg

「ねーねー君一人?」
「俺らと一緒にどこか遊びに行かない?」
 そう言ってあたしに声をかけてきたのは、いかにもチャラい男たちだった。
 あたしも前までそっち側だったから気持ちはわかるけどね。
 っと、そうじゃなくて。
「ごめんなさい…ちょっと連れを待ってるので…」
「連れって女の子?」
「え、そうですけど…」
 しめしめ、かかった。
 内心でそう呟く。
「じゃその子も一緒にどこか行こうよ。そうしたらちょうど二対二だしさ」
「あ、それならいいと思います」
 この男たちをリージュ様に差し出して、また激しくセックスしてもらおっと。

 あたしが女の子になったのは数日前。まだ男だった時にいつものようにナンパしている時だった。
「ねぇ彼女、暇だったら俺と一緒にお茶でもしませんか?」
「彼女って、私のことかしら?」
 そう言って振り向いたのは、桃色の髪をした美人の人だった。
「そうね…。一緒に行ってあげてもいいけど、一つ条件があるわ」
「え、な、何ですか?」
「どこに行くか、私に決めさせてくれない?」
「よ…、喜んで!」
 そんな感じで連れてこられたのは、ラブホテルの一室だった。
(うわ…初めて入った)
「さてと…ここなら人目もないから思う存分吸えるわね…」
「え?吸う?」
 そんな声が聞こえて振り向くと、彼女の目は妖しく光り、
「さてと…それじゃいただきます」
 そして、意識が飛んだ。

全文を表示 »

【投稿小説】第2型ライフ ③

①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

《エピソード3》

 その日の部活終わり。
 プールサイドからさらに奥まった、コンクリート製のひな壇。
 同級生で部長の女子、八重山直(やえやま すぐ)がバインダーを持って俺たちに言った。
「えー、諸君。来月行われる『全日本中学生水泳競技大会』のメンバーを発表する。
 男子。本栖大地(もとす だいち)、河内夏文(かわち なつふみ)、遊佐柚木。
 女子。須田千秋(すだち あき)、小松伊代(こまつ いよ)、キノット・サンペレグリノ。
 男女各3名の、合わせて6名となる。
 日程は8月第2金曜・土曜・日曜の3日間にかけて行われる。各自それまで以上に練習に励むように。選抜されなかった各部員たちも、それぞれにできることをしっかりこなすように。以上、本日は解散!」

 下校後。
 中学校そばのコンビニ。
 他にも同じ中学校の生徒が群がる中に、俺とキノットもいた。それぞれ、オレンジジュースと炭酸水を呑みながら。
 柚木は部長とすることがあるとかで、今日の帰り道は一緒ではない。
 俺は小さくつぶやいた。
「分かっちゃいたけど、こうして選考に落ちたってのはさすがに堪(こた)えるよな……」
「そう落ち込まない。たぶん部長も、ミカンと同じ気持ちだよ」
 キノットはそう励ましてくれる。
 選ばれたやつの励ましはあまり心に届かないと思ってた。
 けど八重山部長のことを考えれば、俺ばかりひねくれてばかりもいられない。
 キノットは続ける。
「部長も…… スグちゃんもあたしたちと同じ中3。それに今年の優勝を期待されて部長になったんだもん。でも、この前の交通事故で……」
「あぁ。入院レベルじゃなかったけどあれで右肩壊しちまって……」
 口に出せばそれだけ、やるせなくなる。
 このままブルーな感情に浸り続けるのは、俺にとってもよくないし八重山部長にも悪い。俺はつとめて声を高くして言った。
「だからキノット。俺の想いを柚木とお前に託す。部長やその他選ばれなかった連中の分も、がんばってきてくれ」
「もちろんだよ。任せといて!」
 そう言ってキノットは、俺の前に右拳を掲げる。
「キノット…… あぁ、そうだな」
 俺も持っていたボトルを右手から左手に持ち替えてキノットの拳を右拳で叩き、改めて思いを託した。
「認めたくない。今でも思い切り泳ぎたい。でも、俺にはもうお前たちに頑張ってもらうしかねぇんだ」
「でもミカンは何も悪くない。全部2型TS病が悪いんだよ。ミカンはそんな病気で女の子になっちゃって、ほかの女の子がうらやむくらいにお胸が大きくなっちゃって、泳ぎにくい体になって言ってもがんばってきた。誰よりもがんばってきた、それはあたしが知ってる。だからミカン、もう悔まなくていいよ。自分を責めなくたっていいんだよ」
 ぶつけていた俺の右手を、キノットは自分の右手で、そして両手でやさしく包んでくれた。
「……ありがとな。けど情けねぇな、女の子に励まされるなんて」
「今はミカンも女の子だよ」

 コンビニ外のゴミ箱に空っぽのペットボトルを捨て、俺はキノットに言った。
「悪い、女子更衣室にちょっと忘れ物しちゃったみたいなんだ。取りに行くけど、キノットはどうする、先に帰る?」
「ううん、一緒に行くよ。お互い、女の子がひとりでいるのはヤバいでしょ?」
「そっか。じゃあ一緒に来てくれ」
 キノットは炭酸水を一気に飲み干してペットボトルをゴミ箱に捨て、先に歩き出していた俺に追いつく。コンビニは中学校の本当に目の前なので、戻ると言うほど距離は歩かない。
「ミカン、ところで何を忘れちゃったの?」
「水筒。更衣室のロッカーまで持ってきたまではいいんだけど、あのあとまた胸のことでからかわれてさー」
「なるほど。ミカンのおっぱいって格好のセクハラ材料だもんねー」
「女子にしてみりゃスキンシップのつもりかも知れないけど、ありゃいくら何でも……」
 校舎の裏、体育館の前を通り、プールまで戻ってきた。
「よかった、まだ部長は帰ってねぇみてぇだ」
 当然だが、プールは高いフェンスに囲まれ、出入り口もフェンスと同じ格子状の扉となっている。もちろん錠前も設置されている。
 俺はまだ施錠されていない扉を開いて女子更衣室に足を向ける。だが。
「ん?」
 俺のブレザー(もちろん女子用)が引っ張られる感触を覚えた。
 キノットだ。
「どったよ、キノット?」
「み、ミカン…… あれ、見てよ……」
 左手を口元に充て、声を押し殺すように俺に言う。
 そんなキノットの顔は、リンゴのように赤く染まり、まぶたは半閉じになっている。心成しか声も震えているようだ。キノットの視線は俺ではなく、プールと隣接している体育館の方を向いている。
 俺はキノットの視線の先、体育館の方を見やった。
 すると。
「……? う、嘘だろ……!?」
 俺の目に飛び込んできた光景。
 それは、目の当たりにしてもなお信じられないものだった。
 体育館の柱の陰になっているところで、想像もしていない出来事が起こっていた。
「ミカン……!」
「キノット。あれ、何なんだ……?」

 そう言えば柚木は言っていた。
 ――「悪い、ミカン、キノット。俺、部長とやんなきゃいけないことがあるんだ。データの編集とか備品の整理とかいろいろ」
 そう言っていたはずなのに。
「こりゃどういうこったよ!」
「あたしに聞かれても分かるわけないでしょ!?」

 八重山部長と柚木が、体育館の柱の陰でキスをしていた。それも。
 まるで欲望に任せてむさぼるような濃いキスを。
 キスだけではない。八重山部長も柚木も相手の腰に手を回し、しかもその様子は「抱き寄せる」と言うよりは「撫でている」ようだった。
 間違いなく、ふたりは好き合っている。
 そこに俺の親友としての柚木の顔はなかった。そこにいつもの凛とした部長としての八重山直の顔はなかった。ふたりとも、まるでトーストされたばかりの食パンの上に落とされたバターのようにとろけきっていた。
 俺はまるで脳みそがぐちゃぐちゃにかき回されたような感覚を覚え、何も考えられなくなった。
 キノットが言う。
「うっわぁ~。中3なのにテレビドラマの最終回でやるようなことやっちゃってるよ。ねぇねぇミカン。あれ色々とまずいんじゃない?  ……って、ミカン?」
「ふぇっ?」
 俺は口がぽかんと開いていてまともに返事もできなくなっていたのを自覚した。
 その様子に、キノットは叫ぶように言う。
「あんたどうしたの!? 具合悪いの!? とっ…… とにかくこっち!」
 そう言ってキノットは俺の手を引っ張り、プールの扉をくぐって滑り止めのスロープを駆け下り、そして女子更衣室に飛び込むなり乱暴に鍵をかけた。
「ミカン、大丈夫? いくらユズキとスグちゃんのあんなシーン見たからって息切れしたり目を回したりする!? とにかく深呼吸、落ち着いて、はい落ち着いて……」
「ダメなんだ。キノット、こうなったら俺ダメなんだよ」
「どういうこと?」
 キノットの質問にまともに答えられない俺は、スカートのままだろうと濡れたままの床に座り、膝を抱えて縮こまった。
「……2型TS病のせいなんだよ」
「えっ? どういうこと?」
「2型が1型と違うところは感染力が強くなったことや感染したら元の体に戻らないだけじゃない、とてもエッチな感情が強くなるんだって」
「えっ…… えぇぇっ!? それって!?」
「うん」
 そのうち胸と言い背中と言い、全身がカタカタと震えてきた。寒くないのに、まるで寒気に襲われたような感じに。
「クラスメイトが持ち込んだマンガ雑誌のグラビアなんか見たらもうその日の授業に集中できなくてさ、そういう色っぽいものとは距離を置くようにしてたんだ。でもラブストーリーもののテレビドラマやお色気全開のアニメ見ちゃってエッチな気分になったら、自分の部屋でまぁ、その…… ひとりで発散することもあって。
 でも! でも今みたいに動けなくなるほどひどいのは今日が初めてだよ。こんな感じ初めてなんだ。どうしよう、キノット? 俺、このままエロいことしか考えられないド変態になっちゃうのかな? なぁ!?」
「落ち着いて! ミカン、とりあえず落ち着いて!」
「無理だよ…… もう、無理だよ……!」
 俺はもうパニックだった。体の奥からどんどんあふれてくるエロい感情をもう抑えられなかった。
 そんな俺を。
「落ち着いて!」
 キノットが抱きしめてくれた。
「キノット……?」
「大丈夫、ミカンはド変態なんかじゃない。病気のせいなんだからしょうがない。ミカンは何も悪くない、だからネガティブに考えないで。もしミカンがどうしようもないドスケベになっちゃっても、あたしだけはミカンを助けてあげるから。ずっと味方であげるから。ね?」
 するとキノットは、俺の右足の膝に手を重ねるとそのまま太ももの内側を滑らせてゆく。まるで、指先を血管で逆撫でするように。
「ひうぅ!?」
 それだけで体全体に電気が走ったような感触を覚える。
 何も考えられなくなり、言葉を失う。
「はわわ、うおあ……」
「大丈夫、任せて」
 そしてキノットの指はやがて鼠径(そけい)部に到達し、

 そこで俺の意識は途切れた。

全文を表示 »

【投稿小説】第2型ライフ ②

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

①はこちら

《エピソード2》
 10か月前、季節は秋。
 詩の月町、海岸線とは直角の大通りに位置する喫茶店、西の夕日(ウェスタン・サン)。
 西の夕日は西部開拓時代のアメリカをイメージしており、バッファローの角やシェリフバッジ、ウィンチェスターライフルまで飾られており、内装はもちろん木造。メニューはハンバーガーやサンドイッチなど手軽に食べられるものを主にしている。
 そこに、俺と柚木、そしてクラスメイトで同じ水泳部員でもあるキノット・サンペレグリノはいた。
 キノットは俺よりも握り拳ひとつ分背が高く、ウェーブがかった銅色の髪とエメラルドグリーンの両眼を持つ。スタイルはよく胸もそこそこ大きく、肌は水泳部で健康的に焼いている。イタリア生まれ日本の育ち、陽気なやつはだいたい友達、そんなやつだ。
 それぞれが注文したハンバーガーやサンドイッチ、そして好みの飲み物をテーブルに並べる。俺が青いリボンでまとめたポニーテールをいじっていると、キノットが切り出した。
「今年の水泳部も、やること終わっちゃったね」
 キノットの言葉に答えたのは柚木だった。俺も続いた。
「だな。あと1年やることねーし、今から来年に向けて体力つけるっきゃねぇよ」
「俺も早く女の体に慣れて、来年こそはリベンジしねーとな!」
 そう言う俺だが、キノットは俺の胸を一瞥して俺に言った。
「本当に大丈夫なの、ミカン?」
「大丈夫って何がだよ」
「言っちゃ悪いけど…… その胸。夏の大会よりも明らかに大きくなってる」
 言われて、俺はとっさに胸を両手で覆った。
 そして感触として伝わる、自分の胸が両腕に押し潰されている感じと、その両腕がとても柔らかく心地のいいものに触れていると言う感じ。顔が熱くなるのを覚えながら、俺はキノットをにらんだ。だがキノットは容赦なく言う。
「ミカンが病院に行って2型TS病にかかったって言われて、そのあたりからミカンの胸は少しずつ大きくなった。大会のころには体つき全体がもう女の子で、女子としてエントリーされた。でもミカン自身はその体に全然慣れなくて、結局ビリでゴール。
 ひょっとしたら来年になれば、女の子の体にも慣れてまた前までの活躍を見せてくれるかもしれない。でもミカンの胸は女子のあたしでもうらやましいくらいに少しずつ大きくなってるよね。今はまだミカンがその体になれさえすればいいタイムを残せると思うけど、来年まで成長が続けばかなり危ないと思うよ?」
「成長って…… やだね! そんな心配するよりも、来年の大会で優勝することを考えるべきじゃねぇのか?」
「そうかもしれないけど、でも! ……ううん、そうだよね。悩んでいるよりも行動した方がいいよね」
「そゆこった。お前ら、まだサンドイッチ残ってんぞ」
 俺は俺が注文したハンバーガーを平らげ、コーヒーも飲み干し、カウンターに行って次のハンバーガーを注文しつつコーヒーのお代わりをもらった。
 だが当然、その時の俺には知る由もなかった。
 キノットの忠告が現実のものになると言うことを。
 そして現在、当然のように俺の胸は大きく成長し、それが抵抗となって思うような成績を残せなくなっている。
 それでも、俺は立ち止りたくなんてなかった。
 その半年後の冬。すなわち今から半年前。
 2学期末試験を終え、クリスマスを控えている頃。
 歌の月町営、町民プール。
 町民プールは上から見下ろせばコガネムシのようなシルエットの、のっぺりとした施設。プールのほかにも、トレーニングジムやカフェなどもある。売店では水着も販売している。
 そこに、俺、柚木、キノットの3人は訪れていた。
 柚木とキノットは専用のレーンで泳ぎの特訓が、そして俺は長時間サウナにこもっての体脂肪の削減が目的だった。
「そう、おっぱいの大部分は脂肪分。だったらその脂肪を減らせばいいって簡単な話じゃんか。食事制限、毎日のサウナ通い、これで何とかなんねぇわけがねぇ。脂肪を減らして筋肉をつける。それさえすれば、来年の大会だって何とかならぁ!」
 ひたいをぬぐう。
 ぬるぬるとした汗。俺はサウナ減量作戦に効果を感じていた。
 それでも水分は必要不可欠。一度サウナを出て女子更衣室に戻り、(ほかの女性利用客が着替えをしている方に目を向けないようにして)ミネラルウォーターのボトルを買う。そして一気にそれをあおった。
「ふー! 戻るかな」
 500ミリあった空っぽのペットボトルを自販機横のダストシュートに放り投げて更衣室を出た。
 プールに戻ると、利用客はみんなプールサイドで体をほぐしたり雑談したり、あるいはサウナや温泉にいる。休憩時間のようだ。人だかりの中に、柚木とキノットを見つける。
「ミカン! どこに行ってたのよ、サウナにいなかったから捜したじゃない!」
「わりわり。ちょっと水分補給にな」
「それならいいけど、女の子ひとりでいると変なのに絡まれるんだから気をつけなさいよね?」
「おっ、おお。……そうだ、柚木、キノット。休憩が終わったらあっちのレーンでタイムアタックしねぇか?」
「ごまかすなーって。まぁ、でもいいよ。無暗に練習するよりも楽しそう。ユズキもいいでしょ?」
 キノットの言葉に、柚木も「よっしゃ乗った!」と張り切って答え、ちょうど休憩時間を終えるチャイムが鳴った。
 タイムは俺が持ってきた防水スポーツウォッチで測ることに。
 そして俺たちは時間を忘れてタイムアタックを楽しんだ(制限時間の3時間を軽くオーバーしてしまったため延長料金を払う羽目になったが)。プールを楽しんだ後はロッカーに預けていた100円で仲良くアイスクリームを買って、その日は解散となった。
「柚木、次は負けねぇからな!」
「あぁ。リベンジ待ってる。キノットはもうちょっと泳ぎを覚えた方がいいぞ?」
「ふーんだ。どうせ水泳部唯一の金づち部員ですよーだ」
「あははは。たぶん古式泳法とかの方がキノットには似合ってるかも」

 そして今。季節は夏。
 歌の月中学校、プール。
 水泳部活動中。
「くそっ! なんで男の時のように早く泳げねーんだよ!」
「ま、あまり無理するんじゃねぇぞ」
「はん。ここで無理しなきゃいつ無理しろって。少なくともお前との決着つけるうちは水泳やめるわけにゃいかねぇんだよ」
 キノットの心配は現実のものとなり、TS病の発症から15か月経った現在、俺の胸はスクール水着を押し上げてしまうくらいの巨乳に成長してしまった。去年編み出したサウナ減量法も意味をなさず、泳ぐための筋肉以上に豊かなバストがついてしまった。TS病恐るべしだ。
 柚木からもらったタオルで頭を拭きながらそちらに向き直った。巨乳はそれだけでふわりと浮き上がり、たわんと揺れる。
「忘れてねぇよな、去年のタイムアタック。このまま勝ち逃げとか許さねぇからな」
「勝ち逃げもなにも…… いや、まぁ」
 柚木はその先の言葉を切った。
 たぶんそれはあいつなりの気遣いなのだろう。
 もし柚木の方から「そんなつもりはない、お前のタイムが伸びないのは仕方のないこと」なんて言っても、気休めにもならないどころか勝者の嫌みになってしまうと思ったのだろう。俺にしてみればその優しさも、胸を刺すように痛い。
 どっちにしても苛立ちは治まらない。
 すると。
「しょーがないじゃない! みかんちゃんのおっぱいは豊作なんだから!」
「みかんちゃんには悪いけど、ふかふかのおっぱいに癒されるのよね~!」
 こういう時にセクハラ女子が俺の上半身にしがみつく。ある人は背後から胸をわしづかみにし、ある人は正面から谷間に顔をうずめる。時には水着の中にまで手を滑り込ませてくるからタチが悪い。
「だーっもう! やめろよお前ら!」
「やーだ、やめなーいっ!」
「やーーめーーろーーっ!」
 俺、湯河原蜜柑にとって最後の夏。
 ホント、もう憂うつを通り越して何のビジョンもない……




《登場人物紹介》
湯河原蜜柑(ゆがわら みかん) 主人公
 水泳部員の少年。中学2年生の春、2型TS病にかかって女の子になってしまった。
 名前の由来は、湯河原みかん(神奈川県)。
遊佐柚木(ゆさ ゆずき)
 蜜柑と同級生の少年。クールな性格だが、勝負となれば負けず嫌い。
 名前の由来は、柚子。
キノット・サンペレグリノ
 イタリア生まれ日本の育ち、陽気なやつはだいたい友達。本文より。
 名前の由来は、キノット(イタリア)と、イタリアのミネラルウォーターブランド。
立花日乃(たちばな ひの)
 女性教師、通称ひのちゃん。蜜柑のクラスの担任。
 名前の由来は、ニッポンタチバナ。

《世界設定》
神奈川県詩の月町(うたのつきまち/ちょう)
 相模湾に面する、田舎町でも都会でもない、どこにでもあるような海沿いの町。
 少年少女文庫様で公開しているリレー小説『くろす・あこーど』の舞台。
 本作では世界設定&キャラ設定、第4話執筆を担当(石積ナラ名義)。
ウイルス性性別転換症
 病原性疾患。性別を反転してしまう。
 若いうちに患ったほうがきれいに性転換し、美男美女もそれなりにいる。
 アメリカ先住病原菌を「第1型」、突然変異型を「第2型」と呼称する。
 拙作『緋色の風』ではヒロイン、ジェーン・デツェンバーが患っている(少年少女文庫ご参照)。

【投稿小説】第2型ライフ ①

作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

①はこちら ②はこちら ③はこちら ④はこちら サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 1~はこちら  サブエピソード ~プリモアモーレ・ディ・キノット 2~はこちら
 ⑤はこちら ⑥はこちら

完成(水泳部)

《プロローグ》

「くそっ! なんで男の時のように早く泳げねーんだよ!」
 俺はプールサイドのはしごをのぼりながら毒づいた。
 プールサイドにキャップを叩きつけ、オレンジ色の髪をかき乱す。そこに、声をかけてくる奴がいた。
「そうカッカするな。ほれ」
 そちらを向くと、俺の視界は白く染まった。それがタオルと分かると、俺は俺よりも自由に空中を泳ぐタオルをえぐるようにつかんだ。
「!? あぁ、柚木。ありがとな」
 同級生で同じ水泳部の遊佐柚木(ゆさ ゆずき)だった。
「おう。ま、あまり無理するんじゃねぇぞ」
「はん。ここで無理しなきゃいつ無理しろって。少なくともお前との決着つけるうちは水泳やめるわけにゃいかねぇんだよ」
 柚木の言葉を鼻で笑い飛ばしたが、笑える余裕なんてこれっぽっちもなかった。



《エピソード1》

 空気さえ焦がすほどの夏の日差し。
 手を伸ばせば食べられそうな白い綿雲。
 汗が止まらなくなるほどの蒸し暑さ。
 小うるさいくらいが丁度いいセミの鳴き声。
 夏。それはプールの季節。
 水泳部にとっては数少ない活躍の季節。

 ……けど。
 俺にとって、それは過去の話。
 俺はもう、あの時のように思い切り泳げない。
 俺は女になってしまった。
 しかも今では、胸が泳ぐのに邪魔なほど大きくなってしまったのだ。

 15か月前、季節は春。
 相模湾に面する町、神奈川県南部、詩の月(うたのつき)町。
 総合詩の月厚生病院。
 そこで医者が俺に言った病名と言うのが。
「……はい? んなバカな。俺が女になるって言うんですか?」
「そうだ、湯河原蜜柑(ゆがわら みかん)くん」
 カルテから俺の方に向き直り、その医者は続けた。
「きみの病名は、『第2型ウイルス性性別転換症』。男性に多く発症する傾向にあり、第1型と違って発症したら元の体に戻ることなく、そのまま症状は進行し続け、体は完全に反対の性別になってしまいます。きみの場合は間違いなく、女性のものになるでしょう」
「第2型、性転換……? ちょっと待ってください。んなの無理ですよ。今までずっと男として育ってきたのに!」
「きみをもとの体に戻す治療法はありません。しかし一度落ち着いてください」
 医者は立ち上がりかけた俺の方をやんわりと押して、再び椅子に座らせた。
 俺は大人しく椅子に座った。いや、たぶん大人しくじゃない。
 あとから気付いたけど、俺の両手の掌には四本の指の爪の先が食い込んで赤くなっている跡があった。その時は気づかなかっただけで。
 少し落ち着いたと言う自覚はあった。そして俺は、医者に言われた病気に関する症例を思い出し、それを医者に確認するように尋ねた。
「通称『2型TS病』。元々北アメリカ大陸にあった第1型の変異型、1620年にイギリスからやってきたピルグリム・ファーザーズが持ち込んだ病原体と反応を起こして第2型へと突然変異し、感染力も症状も強くなった。しかもそれにかかった人はたいてい、その…… いやらしくなる」
 医者はうなずいた。
「よく分かっていますね」
「当たり前です。この前も性教育と一緒に学校で習ったんですから。でも嫌ですよ! 俺、今度の夏の水泳大会で優勝したいんですから!」
「それはカウンセラーと一緒に学校側と話し合っていただきたいとしか、僕の方からは言えないんです。それにきみは中学2年生。もっと年を取って中途半端な外見のまま変身が終わってしまう事もないでしょう。気休めかも知れませんが、どうか気を強く持ってください」
「…………」
 気を強くなど持てるわけがなかった。

 その3か月後、つまり今から1年前。
 季節は夏。
 女として初めての夏でもあった。
 詩の月中学校、2年A組。担任でもある女性の先生、立花日乃(たちばな ひの)先生、通称ひのちゃん先生が、俺を黒板の前に立たせていった。
「はーい注目!」
 クラスメイトは、俺の方を向く。
 だが向いたのはひのちゃん先生に言われたからではなく、俺の服装に注目していたからだ。
「さて諸君。きみたちのクラスメイトの湯河原蜜柑くんだが、今日のプールの授業から女子生徒と一緒に授業を受けてもらうこととなった。男子は冷やかさないように、女子は寛大に受け入れるように。もしも湯河原をさらし者にしたり村八分にしたりするようなことがあれば、連帯責任として全員の授業態度を問答無用でE評価にする。当事者の湯河原も例外ではない。それが嫌なら、分かっているよな?」
 俺の服装、それは詩の月中学校指定の女子制服。
 上は襟と袖に青いラインが2本ずつある白いセーラー服、下は前面にボタンが4つある青いスカート。TS病と診断されたあたりからか急速に伸び始めたオレンジ色の髪は背中にまで届き、親のアドバイスで制服のスカートの色に合わせて青いリボンで結っている。
 クラスメイト達はひのちゃん先生の台詞に戦慄しながら、まるで赤べこが首を揺らすようにうなずいていた。

 ところ変わって、プール女子更衣室。
 俺が筒状の水着袋を前にして固まっていると、クラスメイトの女子が声をかけてくれた。
「どうしたのさ、湯河原くん。さっさと着替えちゃいなよ」
「そうそう、時間もないんだし。たぶんだけど男子よりも着替えに時間かかるよ?」
「それに今の湯河原くんなら、あたしたちに変なことしないだろうし」
「っちゅーわけで、いつまでも着替えに戸惑ってるくらいならうちらに任しとき!」
 そう言って勝手に俺の水着袋を開けて、タオルの奥にしまわれていた学校指定の水着を取り出した。カラーは紺色、背中では白い紐が交差しているタイプ。それをひとりの女子生徒が広げている間に、別の女子が俺のセーラー服を脱がしにかかってきた。
「おい、やめろ! やめろったらぁ!」
 女になってからもそれなりに体力は維持してきたつもりだが、セーラー服の構造については女子の方が俺なんかよりも知っている。あっという間に脱がされ、下着まで脱がされ、終(つい)にはタオルにすら守られていないすっぽんぽんの姿をさらされた。
「うっわー! 湯河原くんの肌すべすべ―!」
「胸は…… 今んとこあたしの方が勝ってる。よっし!」
「成る程、オケケはなしと。TS病になったら全身の毛根の構造がリセットされるらしいけど」
「つるつるは今しか味わえない。ボクたちももうこの時代には戻れない! 今のうちに堪能させてもらってもいいよね!?」
 着替えさせてるはずが俺の裸体を撫でまわし、いじくりまわし、そしてとうとう女子がひとりも出てこないことに疑問を抱いたらしい体育の先生が女子更衣室のドアを開いたのは、俺が『身体検査』と称されたあれこれをやりつくされ、思考力を失って痙攣しながら床に這いつくばっている時だった。

 言うまでもないけど。
 プールの授業デビューの日に、まともにプールの授業を受けられるわけがなかった。

【投稿TSF小説】淫らの写し身③ by.tefnen(てふ) &まこも葦乃 

作:tefnen(てふ) https://twitter.com/tefnen
キャラ&挿絵:まこも葦乃 https://twitter.com/0w0_CaO

望は姿勢を変えずに、周りをキョロキョロと見回した。

「健二、くん?」
「よ、よかった……」

だが、健二が安心したのもつかの間、望はタプンタプンと揺れる胸を垂らしたまま、健二に少し近づいた。そして、シャツ越しに、豊満な果実が、勃起したままの健二のペニスを包み込んだ。

「うおっ!の、望、離れてくれっ……!」
「え、なんで?」

望はもっと健二に近づく。健二の男性器を胸とシャツで擦り上げながら。

「んおおおっ!!や、やめろぉ!」
「そんなことより、これ、気持ちいいんだよ?」

望はなにを思ったか、シャツをまくり上げ、露出した下乳でペニスを挟み込んだ。

「お、お前、何するつもりだっ!」
「え、何って、次の、サービスだよ。ボクが気持よくしてあげる」

そこで、健二は気づいた。健二が喋りかけていたのは、単に口調を変えて演技しただけの魔女だったのだと。

「ま、魔女めっ……!」
「あ、気づいた?じゃあ、聞きたいんだけど、ボクの話し方と……アタシの攻め方、どっちがいいかしら?」

答えを待たずに、乳ごしに健二をマッサージし始める魔女。

「んひぃっ!そろそろ、で、出てくるっ……!」
「早いわねぇ……、でも、まだ答えを聞いてないよ?」
「ふおおっっ!!!」

ついに耐え切れず、ぶしゃぁっと胸の中に出してしまう健二。それは勢い余って胸の間から飛び出し、望のシャツにかかった。魔女は少し驚いたようだったが、すぐにニヤリと笑った。

「元気いいね……でももうちょっと欲しいわね……」

口調をコロコロと変える魔女。まるで望と魔女、二つの人格が同時に健二を攻め立てているようだった。

「も、もうやめてくれ……」
「いやよ」

魔女は体を起こすと、縫い目がほつれ、ボロボロになっていたシャツを破り捨てた。

「えいっ」
「うわぁっ!」

そして、健二を押し倒すと、パーカーのジッパーを降ろし、中に来ていたシャツを破って、筋肉が発達した胸板の上に直接のしかかった。巨大な胸は、健二の上でムニッと形を歪めた。

「おほっ……」
「どう?ボクのおっぱい、大きいでしょ?……これでイカせてあげる」
「の、望の口真似は、やめろっ!」
「そんなに強く言わなくたって、やめてあげるわよ」

魔女は、ムチムチとした太ももを、健二の足に絡めるようにしてこすり付けたり押し付けたりした。一回射精したものの興奮が収まらない健二は、もともと自分より小さかったとは思えない親友の体に包まれ、もうどうすることもできなかった。

「ん、んうううっ!!!」

さっきよりも強い勢いで、ブッシャァアアッっと飛び出る白濁液とともに、健二の意識も飛んでしまった。

「ふふっ、子供の割にはがんばったじゃない……」

自分の足や、床に撒き散らされた精液を見て、魔女は感心したような声をだす。そして、自分の胸に向かって声をかけた。

「さぁ、そろそろ起きなさいよ」
「(ん、んっ……あれ、ボク、どうしたの……?)」

今度はまぎれもない望の精神が、魔女の中で目を覚ました。

「キミの親友の、健二、だったっけ。おいしかったわよ」
「(け、健二!?この魔女め、体を返せ!)」
「ムリよ。それに……」

魔女は、さらけ出された自分の乳首や、クリトリスをなでた。

「あぁんっ……」
「(ひゃんんっ!!!)」

快感が共有され、自分で触った時よりも強い快感に魔女の中で望は必死に耐えた。

「(だ、ダメだ、ボクは男なんだ……)」
「オンナになったほうが、気持ちいいわよ?んんっ……」

魔女は、自慰を続け、望の精神に攻撃を仕掛ける。

「(ああっ!ひゃっ……や、だぁっ……)」
「ほらほらぁ……」

容赦なく続く魔女の攻めに、疲弊していた望はついに自分を投げ出してしまった。

「(ん、くぅっ……きもち、いいの……もっとほしい……)」
「うふふっ、いいわ……でも、次は自分で、ね……?」
「(うん……自分で……獲物……見つける……)」
「そう、見つけるのよ……」

望と魔女の精神が同化を始め、望の純真さが、魔女に殺され、そして記憶を読まれ、操作される。

「(キミの友達、芳雄……そう、芳雄がいい……)」
「芳雄がいい……」

瞳の色が赤から、青に変わる。体がシュルシュルと元に戻っていき、大きかった胸や尻は引っ込むように無くなり、髪も短くなる。背の高さも元の小さいものに戻ると、破れていた服が魔法のように繋ぎ合わされ、修復された。望は無言でそれを着ると、そばでう〜んと呻きながら倒れている健二に声をかけた。

「健二、行こうか」

魔女と同化を終えた望の言葉は、強い魔力を帯びていた。そして、健二の体がぐいっと立ち上がった。開かれた目は虚ろだった。

「マスター……」
「さ、帰ろう、おいしいご飯が待ってる……」

望の青い瞳が、不気味に光る。望が指をパチッとならすと、二人の姿がフッと消えた。

ところ変わって、ここは二人の住む街の路地裏。

「あいつら、こんなに暑い中を遠くまで行ったんだろうな。いい気味だぜ、あの森の中にそんな家あるわけないっつーの!」

そこには、二人を魔女の廃屋に行くように仕向けた芳雄の姿があった。炎天下を、自分の家にいればいいものの、汗だくで歩いている。

「あ、俺、なんでこんなところにいるんだ?」

そう、彼も魔女の魔力に操られ、自分の意志とは無関係に、路地裏にふらふらと歩いてきたのだ。そんな芳雄の背後から、望の声が囁いた。

「ボクが、呼んだからだよ」
「ひぇっ!!?望、それに健二!?」

遠くにいるはずの二人が急に自分の後ろにあらわれ、心臓が飛び出そうなほど驚かされる芳雄。

「お、お前ら、廃屋は行ったのかよ!まさか、ビビって途中で帰ってきたわけじゃねーだろうな!」

光っているようにも見える望の青い瞳と、何の感情も示さないで、望の後ろに立っている健二の姿にたじろぎながら、芳雄は叫んだ。その声は、恐怖で裏返っている。

「まさかぁ。ボクたちに教えてくれたのに、行かないわけないじゃないか。ねぇ、健二」
「あ……ぁ……」

芳雄が知っている明朗なものとは違う、ねっとりとした語調で望は言葉を発し、魂の抜けたような声で健二が応える。

「な、なんなんだよお前ら……っ、なにか、なにかおかしい!」
「なにか……って?例えば……」

恐怖に震える芳雄の前で、望の姿が変わり始めた。手足がメキメキと伸び、身長が同じはずだった芳雄を見下ろすくらいに背が伸びる。

「ボクがこんなに背が高かったりとか?」
「な、なななっ!!!???」

芳雄は、急に大きくなった望を前に、腰を抜かしてその場で倒れてしまう。

「こんなに、髪が長かったり、……声が、大人っぽかったり……?」

ざわざわと伸びる髪。そして、子供のものから女性の大人のものに変わる声。芳雄の理解を超えた現象が、現実となって彼に襲いかかる。

「お、おまえ、まるで、女じゃ……」
「え?これくらい健二でもできるよ……?でしょ?健二?」
「はい、マスター……」

望の後ろで、健二も姿を変えていく。髪が長くなり、体格が華奢になって、あっという間に三人と同世代の少女に変身した。

「け、健二!?」
「……なぁに?……芳雄くん?」

透き通った声にも、誘惑的なしゃべり方にも、健二の面影はない。逃げ場を完全に失った芳雄の前で、望の胸がむくむくと膨らんでいき、ものの数秒で芳雄が見たことのないほどの大きさまでに成長する。

「の、望……そ、それは、お、女の、おっぱい、なのか……?」
「他に、何があるの?」

ゆさゆさと揺れる巨大な乳房と、大きく押し上げられたプリントシャツに浮き上がる突起に、思わず興奮してしまう芳雄。それに気を取られている隙に、芳雄は望に取り押さえられた。そして少女に姿を変えた健二が、芳雄に襲いかかろうとしていた。

「さぁ、芳雄。存分に、精をちょうだいね」
「や、やめろ!健二、お願いだから!」
「……いただき……まぁす」

健二の虚ろな目は、芳雄にロックオンしていた。

「うぎゃああああっ!!!」

救いようのない芳雄の絶叫が、街にこだました。

【投稿TSF小説】淫らの写し身② by.tefnen(てふ) &まこも葦乃 

作:tefnen(てふ) https://twitter.com/tefnen
キャラ&挿絵:まこも葦乃 https://twitter.com/0w0_CaO

「(ふふ……これであなたはアタシのもの……あら?)」
「あれ?ボクの体、動かせる?」

いつの間にか、奪われた体の主導権が、望に戻っていた。望は、自分の手のひらを開いたり閉じたりして、その事を確かめる。

「はぁ……」
「(ちっ……力を使いすぎてコントロール出来なくなったわね……)」

魔女の声は不満げだ。安心したのか、胸に手をおいてため息をつく望。だが、女性化したことには変わりなく、背が高くなったせいもあるが、これまでとかなり違う視界に、戸惑いを覚えたままだった。

「これから、どうすれば……」

望は、胸から手を下ろして、考えをまとめようとした。だが、その拍子に胸の先端を手で強く叩いてしまった。

「ひゃんっ!」

なんとも言えない快感が、望の幼い精神を襲った。

「な、なんなの……?」

望は、その快感の源を探ろうと、シャツに浮き上がっている突起を、指でくいっとつまんだ。

「ひゃぅうっ!!」

再び襲う快感。望は、その場にへなへなと座り込んでしまった。

「き、きもちいいよぉ……」
「(こんなことしてる場合じゃないんだけど……この子、なかなか……)」
「あんっ!んっ!」

さらに何回もつまんだり、突起を手のひらで撫でてみたりと、新しい感覚に溺れていく。そして、この快感を別のところでも感じられないかと、熱くなっていた下腹部に手を伸ばした。

「ん、ねちょねちょしてる……」

てふさん2完成(1)

望が股間に手を当てると、男の時にはなかったヒダの中から、ねっとりとした液体が出ているのに気づいた。これが愛液であることなど、幼い望には分からない。だが好奇心と快感への欲望から、ヒダの中に手を突っ込み、そして、クリトリスに乱暴に手を当ててしまった。

「んっっ………!!!」

ついさっきまでの感覚とは比べ物にならないほどの強さで、全身に衝撃が伝わった。

「女の人のカラダって……すごいぃ……」

普通なら恐怖を覚えて立ち止まるところを、望はさらにクリクリとそれをつまんだ。

「んひゃっ……!あんっ……!!」

腰を抜かしたままの親友がすぐそこにいることも忘れ、女として初めての絶頂に達しようとする望。

「んん、き、きちゃうぅぅ!!!!」

子宮で生み出された愛液が、ブシャァッ!と股間から吹き出すと、ついに限界が来たのか、望は床の上に倒れてしまった。

「ん……あは……」
「(すごい子ね……さ、そろそろ……)」

魔女は、意識が遠のいた望の体を乗っ取った。恍惚としたものになっていた望の表情が、悪意に満ちた笑みに支配された。

「あなたを、食べる時が来たようね……?」

健二の方に向き直った魔女が、彼の体を舐め回すように見つめた。

「ひ、ひぃっ!殺さないでっ!」
「あはっ、カワイイ子……」

変わり果てた望の体で、魔女が健二に四つん這いになって近づいていく。

「や、やめてっ……」
「そんなこと言ったって……」

健二のズボンのジッパーを、ズルズルとおろし、中身を探る魔女。

「こんなにいきり立ってるじゃないの……?」
「う、うぅ……」

肉感的な女性の魅力に勝てなかったのか、引きずり出された健二のイチモツは、赤黒く膨らみ、固くなっていた。

「どんなことしてあげようかしら……?」

美女に迫られ、健二の中で恐怖よりも、興奮が上回っていく。

「やっぱり、最初はこれよね……?」

魔女は、健二の男性器を、まるでソフトクリームでも食べるかのようになめまわし始めた。

「ん、んうっ!」
「素直でいい子ね……」

少しでも強く魔女に蹴りをかませば、健二は逃げられるはずだった。だが、もっと気持ちよくなりたい、されたいという欲望が、彼にそれを許さなかった。

「くちゅっ……ん、はぁっ……」
「おふっ」

魔女は、さらに行為をエスカレートさせ、口ですっぽりとソレを覆い、ベロベロと舐めた。二次性徴を迎えたとはいえ、性行為などまだ数年先の話の健二を襲ったのは、思いもよらない感覚だった。

「気持ち……いい……」
「んふっ、気に入ってくれたかしら……?」

健二は、その感覚に溺れそうになったが、その時、ついさっきの望の痴態を思い出した。絶頂し、床に横たわる親友の姿を。

「だ、だめだ……」
「あらあら」
「の、望!助けてくれ!」

自分ではどうしようもない。そう思った健二は、魔女の中にいるはずの望に、必死で助けを求めたのだった。すると、魔女は苦痛に顔をゆがめた。

「んぁっ!!あ、だめぇっ、アタシ……ぼ、ボクは、何を……?」
「望!」

【投稿TSF小説】淫らの写し身① by.tefnen(てふ) &まこも葦乃 

作:tefnen(てふ) https://twitter.com/tefnen
キャラ&挿絵:まこも葦乃 https://twitter.com/0w0_CaO

てふさん完成(1)

町外れの森の中、県道にほど近い小道に、一軒の古い木造の家があった。表札もなく、駐車場には草が生い茂り何年も使われていないことがうかがえた。明らかに誰も出入りしていない家の周りには、蜘蛛の巣が至るところに張られている。

その家の前に二人の小〇生の男の子が立っている。大きい方は健二(けんじ)。パーカーを着て、背丈は学年でも高い方で、中〇生に見られてもおかしくないほどだった。もう一人は、望(のぞむ)。男子にしては髪は長めで、柔らかい顔立ちは中性的だが、身長は普通の男子と変わらない。町から二時間くらい歩き、やっと到着した喜びに、声変わり前の子供の声で、望ははしゃいで、健二に満面の笑みを見せた。

「やっとついた!ここが、芳雄(よしお)が教えてくれた空き家だね!さあ行こう、健!」
「あ、ああ……本当にあったんだな。なあ、望、なんかすごく寒気がするんだけど」

早めの声変わりが終わった健二が、低い声で答える。
望は好奇心旺盛だった。それで、小〇校の友達である芳雄に肝試しとは名ばかりの、きつい遠出をさせるための口車に乗せられてしまったのだった。そして、健二はというと、単に望についてきたのだ。というのも、少し興味があったのと、小さい望が田舎道を一人で歩いて行くのに不安を感じたからだ。

「何行ってるのさ、最初に行こうっていったのは健二じゃん!先に行っちゃうぞ」
「それはそうなんだが……」

威勢よく廃屋の中に入っていこうとする望。だが、それとは対照的に、あまりにも古く、人気のない民家に怖気づいたのか、大柄であるはずの健二は尻込みしてしまっている。

「ほらほら!」

望は玄関の扉を引っ張った。鍵はかかっておらず、周りの古さからは信じられないほど扉は軽快に開いた。

「よし!……あれ?なんだろうこのシール……」

望が開いた扉の枠には、ビッシリとシール……ではなく、神社にあるような紙の御札が貼ってあった。難しい漢字の塊でうめつくされた御札の意味は、望に分かるはずもなかった。

「なあ、まずいんじゃないか?オレ、もうこれくらいでいいからさ……っておい!」

小声で望にささやいた健二。しかし、望は御札に気を取られていたのか、そのまま中に入っていってしまった。健二も仕方なく、親友の身を案じて中に入っていくことにした。

「望……?うわ……な、なんだこれ」

御札が張られていたのは扉の枠だけではなかった。玄関の壁という壁、床にも天井にも、御札が所狭しと貼られている。あまりの異様さに、吐き気まで覚える健二を差し置いて、望はケータイの照明を使って、興味津々と言った様子でどんどん奥へと進んでいってしまう。健二はもう自暴自棄になって、望にくっついていくことにした。

「ここには何があるのかな?」
「おい、おい!」

望は、どんな引き戸も、障子も、躊躇なく開けていく。だが、雰囲気とは裏腹に、居間、書庫、台所、便所。窓さえも埋め尽くす御札以外は、いたって普通の民家だった。だが、最後の一部屋だけは違った。

「うわー、なんだろうこの縄……」
「これ、本当にヤバイやつだろ」

部屋の入り口のふすまが御札の付いたロープのような何かで固く閉ざされているのだ。健二は、これに触ったら嫌なことしか起こらない、たたりでも下るんじゃないか、という予感がした。

「もう帰ろうって!御札が貼ってある以外なんにも面白く無いぞ!」
「……でも、この中に何があるか見てみたいな」
「はぁ!?」

望は、扉を開けるのに邪魔になっている綱をぐいっと引っ張った。すると、とても子供の手では千切れなさそうな綱が、いとも簡単にビリっと切れてしまった。

「あ、これで入れる!」
「ちょ、ちょっとまて……」

健二が制止する暇もなく、望は扉をバッと開けてしまった。健二は、中から怪物が飛び出してきたかのように、ワーッと叫んで地面に倒れたが、ふすまの奥にあったのは、何の事はない、少し広めの部屋だった。

「健二、大丈夫?」
「あ、ああ……」
「さっきから変だよ?」
「そ、そうだな……ただのボロ家で、なにビビってんだろうな」

望と健二は、大部屋へとそろりそろりと入っていく。中には、これまであったような御札はなかったが、窓に貼られた障子からは日光が一切差し込んでこない。

「ん?あれはなんだ?」

部屋の真ん中に、幕がかかった、大きな鏡台のような物があった。鏡自体は巨大な布で覆い隠されていた。

「なんだろ……あの布外してみようか」
「ああ……」

二人の体よりも大きい幕を、二人でひっぱり外し、中にある鏡面が見えた、その時だった。

《ガタンッ!!カタッ!》

二人が入ってきた扉が、勢い良く閉められ、おまけに鍵がかかる音がしたのだ。

「や、やっぱりヤバイって!!早く逃げようぜ!」
「あ、うんっ」

扉に向かって走りだし、体当たりで開けようとする健二。だが、木でできた脆そうな扉は、健二の突撃で壊れるどころか、少年の体を跳ね返した。健二は思わず床に倒れてしまった。

「ってて……ど、どういうことだ……」
「健二……なんか、この鏡変だよ……」
「そんなのもう分かりきってるだろ!」
「いや、でも……」

望は鏡に近づいていく。普通の鏡だったら望が映るはずだった。しかし、映ったのは望の小さい体ではなく、ボンデージを身にまとった、背が高く、スタイル抜群の女性だった。長い黒髪に金色の目は、どこか現実離れした魅力を放っていた。

「ボク、じゃない……」
「な、ななな……」

目の前で起きるわけのわからない事態に頭が混乱し、体が動かなくなってしまう健二と、鏡を見つめるほかない望。

『ふふ……やっとこの部屋まで侵入できる能力がある器が……って子供じゃないの』

突然、鏡の中の像がしゃべりだした。望は、一瞬ビクッと体を震わせたが、すぐに気を取り直したのか、鏡の中の女性に話しかけた。

「あなたは、誰ですか?ボク、よく分からなくて……」
『アタシ?そうねぇ、魔女、って言ったらいいかしら』

魔女は、望を品定めするようにジロジロと見つめた。

『すごい神通力ね……』
「お姉さん、なんで鏡の中に……」
『ふん、アタシが望んで入ってるわけないじゃない。もっといろんな男の精を吸い取りたいのに。あのクソ霊媒師が……』

ブツブツと独り言を始めた魔女。望はおそるおそる声をかけた。

「あの……」
『あら、悪かったわね。子供にこんな口調で話すもんじゃないわね。アタシは、今の言葉で言うと、江戸時代の生まれよ。ひょんなことから魔女になって、男達のチカラを吸収して強くなったの。でも、まぁいろいろあって……要するに、アタシはちょっとやりすぎちゃったのよ。誰それ構わず襲って、絞りかすにしてやって……』
「……?」
『分かってないようね。いいけど。どうせ、アタシの器になる存在なんだから、すぐに自分の体で分かるでしょ』

魔女が指をぱちんと鳴らすと、鏡の中に望の像が現れた。

『これでよしと。じゃあいくわよ』
「な、何をするんですか……?器って……?」
『こう、するのよ』

そう言った魔女は、鏡の中の望の像にギュイイッと吸い込まれ、いや、望の背中から入り込むように自分を押し込み始めた。

「んっ、うううっ」

と同時に、望は背中から何かが押し込まれる感覚に襲われた。それは、望の体にグイグイと潜り込んでくる。手足がその衝撃で震えているかのように、ピクピクと痙攣する。さらに、中にはいった何かは、望の体を中から押し広げていく。

「んんっ……」

その感覚に呼応するように、望の手のひらが、痙攣しながらメキッメキッと大きくなる。腕全体も引き伸ばされるように長くなって、シャツの中からクイックイッと飛び出していく。足も長くなり、望の目線が上がっていく。ただ、伸びた手足には筋肉の代わりに薄く皮下脂肪が付き、まるで女性のような、柔らかい印象のものになっている。

「あ、頭が……」

望が痒みを感じて頭を押さえると、少し耳に掛かる程度だった髪がサラサラと伸び、背中にかかるほどまで伸長した。

「ボク、どうなってるの……?」

鏡に映る望の容姿は、ほっそりとした女性のそれとほとんど変わらなくなっていた。顔も、幼い子供の顔から、清楚な思春期の少女のものになっている。

「(きれいな体じゃないの……)」
「えっ」

望に、先ほどの女性の声が頭の中から聞こえたような気がした。と同時に、望の体が望の意思とは関係なく動き始めた。

「うふ、でもこれじゃ足りないわ……えっ、や、やだ、やめて……」

魔女の言葉が、望の口から直接飛び出てきた。望は恐怖に震えるが、体の自由は全くきかない。

「もうちょっと、魅力的にしなくちゃね……ん、んんっ……!」

胸の突起に指を当てると、それはプクッと膨れた。望は、自分を今の姿まで成長させた何かが胸に集まってくるのを感じた。

「ん、いい、いいわぁ……っ!」

望の胸の中の器官が、魔女の力に影響され、成長し始めると、平らだった胸板に膨らみが見え始め、シャツを盛り上げながら、トクン、トクンと育っていく。そしてたった数秒で、自分が見慣れた母親の小ぶりのものよりも、自分のもののほうが大きくなってしまった。それは、呼吸とともにフルフルと揺れるようになり、望の中で幼い性欲が掻き立てられていく。着ていたプリントシャツの文字が、丸みを帯びながら横に大きく広がり、その大きさを物語っていた。

「おっぱいだけじゃなくて、おしりも、太ももも大きく……っ!」

スレンダーだった足や腰回りが、ムチッ、ムチッと音を立てながら膨らみ、元の倍、いや3倍ほどまでに大きくなる。おかげで、履いていたトランクスやズボンがビリビリと破れてしまった。

「ぼ、ボク、女の人になっちゃうっ!!」
「(まだ男よね。だけど、あそこに付いてるものがなくなれば、それも分からなくなるわね!)」
「え、えっ……!?」

望は、自分の得物を見ようとするが、Gカップはあろうかという乳房に視界を遮られた。仕方なく鏡を使って、左右から引っ張られ千切れる寸前のズボンのジッパーを慌てておろし、破れたトランクスから突き立っていた男性器を確認した。

「よかった……」

消えているかと思われた男の象徴がそこにあると分かって、安心する望だったが、

「(ふふっ)」
「ぐぅっ!!?」

魔女の一声とともに、メキョメキョという音を立てて、それは潰れるように小さくなり、股間の中に押し込まれていってしまった。残ったのはスッと入った筋だけで、そこにペニスがあった跡など何もなかった。

「う、うぅ……!」
「(最後の仕上げねっ)」

望の中に、子宮が形作られていく。尻にもう一つの穴が空けられると、すぐに新しくできたヒダで隠された。最後に、潤んでいた望の瞳の色が、黒から燃えるような赤に変わり、顔の作りも、可憐な少女から、目はキッと長くなり、唇は厚くなって、魅惑的な美女のものに変わった。

【DL販売TSF小説】性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ ③

性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ DMM版はこちらから
性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ DLsitecom版はこちらから

作:kagami0235
絵:佐野昭様

「う、うーん」
柔らかなベッドの上で身を捩じり、長い黒髪を散らす”少女”がいた。
「澪さん……ああ。もっと、もっと……澪さんと……えへへ。セックス……したいですぅ」
口元に涎を垂らし、誰かに聞かれたらお嫁に行けないような寝言を零す。
容姿は妖精か、天使のように愛らしいのに、実に残念な雰囲気の”少女”だ。
「ああ……澪……キミの恋人になれて。ぐふっ……うふふ。ボクは幸せだァ……澪、みお……みおぉっ」
抱き枕をぎゅっと抱き締め、幸せそうに夢を見る。
だが、その幸福は唐突に終わった。
妙にコミカルな響きの銃声が、”彼女”の意識を揺さぶった。
「んぅっ、ふゎあ!?」
驚きに飛び上がり、きょろきょろと辺りを見渡す。
『起きな!朝の時間だぜ!!』
低い声と共に、もう一度パンと銃声が鳴った。
手と足が極端に短い、ほぼ真ん丸な奇形の影が、ベッドの脇で喚いていた。
それは、とあるアニメキャラを元にして作られた目覚まし時計であった。
「ふぁああっ。なんだよ……まだ眠いよ。それに良い夢で見ていたのに……」
時計を止めて、不機嫌そうに眼を擦る。
(――それにしても……我ながらセンスのないプレゼントをしちゃったなぁ。
今度……新しい物でも買って上げるか……)
それは数年前に、妹にプレゼントした目覚まし時計だった。
当時は冗談のつもりで送ったのだが、当の本人は思いの外気に入っており、今でも愛用している始末である。
軽い罪悪感を抱きながら、ひとつ伸びをした。
「……いい天気だなぁ。…………ん?あれ……髪が……なんだ、これ……?」
すると……。
「いた、イタタっ?えっ、本物……それに――ええっ!?な、なんだよ、これは!?手が……胸が……ひぃ、ぇええええ!!こ、股間がァ――っ!?ボクの股間が、なんかヘンだぁああ!?」
"彼女”は――いや、富永武司は、異変に気が付いた。
愛らしいベッドの上で、ぺたぺたと自身の体を触り捲る。
「なんで!ボク――ボクの体がっ!?」
短く切り揃えた頭髪は、艶やかなキューティクルが目立つ長髪となっている。
試しに髪一本を引っ張ってみると、確かにそれは頭皮に引っ付いており、痛みを覚える。
眉根をさらに顰めながら、頬に触れる。
柔らかな肌が、心地よく指を跳ね返した。
その手でさえ……男とは思えないほど小さく可憐なものである。
「ボク……ボクの体が……これは、男の体じゃない――ッ?」
華奢な肩、滑らかな肌触りの項。
腰は細く、胸には女性らしい膨らみが控え目に存在していた。
全体的に、やや痩せているような印象を覚える小柄な身体――。
形のいい鼻と唇、それから幼さを残す頬と顎。
手で触れても分かるくらいに、愛らしい造形の顔でもあった。
だが、石鹸の香りの如き甘い体臭には、少女と言うよりは、大人の……大人になりつつある女の色香が滲んでいた。
(あうぅ。はふぅ……な、なんでこんな恥ずかしい服を着て……こ、これは沙織のパジャマか?……は、恥ずかしい。兄のボクが妹の服を着ているなんて!)
気恥ずかしそうに身を捩じると、黒髪が擽ったく首裏を撫でる。
可憐な肢体を包むのは、少女趣味いっぱいに作られたピンクのパジャマ。
胸元のリボンとフリルが愛らしさを振り撒く。
けれども、むわん、と広がる臭気は……やはり、とても女らしかった。
(い、いや……それ以上に――――)
紅潮した顔で可愛らしいパジャマを見下ろす視線が、ゆっくりと降下。
スカートに隠された股間を見詰める時には、耳まで真っ赤に染め上がる。
そして……。
「あっ……ああッ!気のせいじゃないッ!ボク!ボクのが、ないッ、ッ!?」
驚愕と絶望に、飛び上がった。
恐る恐る恥骨に触れた指に伝わるのは、武司の『オトコ』の消失――。
慣れ親しんだ皺袋ふたつは見つからず、毎朝逞しくそそり立つ陰茎も、煙のように消えている。
(嘘だ!うそ、嘘だぁアア!……うあっ……ひゃんん!?)
それでも諦めたくなくて、と言うか、信じたくなくて柔らかな膨らみの恥丘を指で弄る。
すると、縦に割って入る粘膜筋を押し歪ませてしまった。
「…………ッ!」
背骨を走り抜ける、未知の痺れ。
甘いような、切ない様な刺激に、武司は息詰まらせ震えた。
「こ、これ――女の体だ。ボクは、女になったのか?……と言うか、まさか……まさか、なのかッ?」
へなへなと座り込み、自分が女体化した事実を受け止める。――だが、更なる驚きが彼を襲う。
(ここは沙織の部屋――沙織のパジャマに……さ、沙織のような体と顔……お、おいおい!)
周辺を見渡す。
これまた少女趣味で塗り固まれたような、可愛らしい部屋模様の空間。
机の上にはファンシーな絵柄のノートや、縫いぐるみ。
大きな姿見に、化粧品もある。
最愛の妹・沙織の部屋だ。
幾つもの事柄が、情報が武司の中で駆け巡り……ひとつの解に辿り着く。
「…………っ」
自分でも馬鹿だ、気が狂っていると思うのだが、それでも体が動いてしまう。
へばり付く唾液を飲み下し、大きな姿見――これまた武司が、沙織にプレゼントした品物――へと歩き寄った。

「…………ッ、ッッ!」

最愛の妹が、驚愕と絶望に瞳をウルウルと潤ませていた。

「……沙織」

ごくん、と一際大きく固唾を呑み、またも頬や肩を触り捲る。
赤ん坊のように瑞々しさを誇る白い肌、心細いほど可憐な両肩――。
「あっ……あ、ああっ……沙織……だッ……」
大きな黒目といい、愛くるしい頬や顎先といい――。
眉も、鼻筋も、唇だって、愛しき妹の造形<もの>だ。
「……うそ、嘘だ。ああ……でもっ、でもっ……」
ぺたぺたと無遠慮に、お構いなしに少女の全身を撫で擦る。
胸元の微かな膨らみが、柔らかな弾力で指を押し返し、もう片方の手には
サラサラとした長い黒髪が纏わり付いた。
不安に揺れる声ですらも……鈴のように高いソプラノ声。
その高い音色を、さらに情けなく震わせて富永武司は絶叫を上げた。
「ボクが――沙織?沙織にッ……妹になっちゃったのかッ!?」
鏡に映る黒髪少女も、眉を顰めて、唇を驚愕の形に開く。
もはや、間違いない。

今の武司は、妹の――『富永沙織』なのだ。

001_20170722171417e34.jpg

絵師:佐野昭様

(夢なのか……これも、あの澪さんと沙織との――夢の続きなのかっ?)

困惑に立ち尽くす武司を置き去りにして。
沙織のトレードマークとも言えるツーサイドアップに纏めた黒髪が――朝日の光りを浴び、艶やかと輝いていた。

◆ ◆ 続きは、ご購入後に宜しくお願い致します ◆ ◆

【DL販売TSF小説】性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ ① 

性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ DMM版はこちらから
性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ DLsitecom版はこちらから

性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~

作:kagami0235
絵:佐野昭様

【――第一章――】

雲が素早く地平線の彼方へと進む風の強さ。
そのお蔭で、今日の夜空は都心には珍しいほど星が綺麗に見えた。
雲一つない空では小さな星と、真ん丸の月が淡く輝いている。
ガタガタと強風で窓が鳴るマンションの一室。
そこでは――。
「沙織。おめでとう」
細やかに誕生日が、祝われていた。
主役である妹へ、兄――富永武司<たけし>が、プレゼントを渡す。
「ありがとう。兄さん」
微笑む姿は、兄の目から見ても可憐である。
古典的な大和撫子を思わせる長く艶やかな黒髪と、まだあどけなさが残る丸い顔が生み出す魅力は、きっと数多くの男たちを誘惑していることだろう。
「……沙織、学校で変な奴らに言い寄られていないよな?」
「もう武司兄さん!何を言っているのよ……そんな訳ないでしょっ!」
場違いな質問を思わず漏らし、妹の富永沙織<さおり>が頬を不満げに膨らませる。
眉を曲げ、上目遣いで睨む姿――やはり、お人形のように愛らしい。
(心配だなぁ。……しっかり者の沙織に限って、そんなことはないと思うけど。でも、沙織は女の子。無理やり男に言い寄られたら、抵抗できないし……
うぐわぁああ!心配だぁ!!)
知人友人には『シスコン』と揶揄される、沙織限定の過保護欲が爆発した。
本日の誕生日で、法的には結婚も出来る歳となったとはいえ――それでも、心配してしまうのは、武司が兄であり……同時に『親』でもあるからだ。
「澪さんも何か言ってよ!……私って……そんなに無防備に見えるのかな?」
「うふふ。そんなにカンカンになっちゃだめよ。お兄さん――武司さんも、沙織ちゃんが可愛いから、心配になっているだけなんだから……。そうですよね、武司さん」
「あっ……は、はいっ!」
不機嫌な沙織は、隣に座る女性に賛同を求め――その彼女の切れ長の瞳が、武司を貫いた。
魅惑たっぷりの美貌に、息を呑む。
(澪さん……綺麗だなぁ――)
“絶世の美女”と言う言葉を、一瞬で思い浮かべてしまうほど艶美な女性だ。
大人びた美貌に相応しく艶美に肉張り詰めた巨乳房と、悩ましく実ったむちむちの尻房。
腰も細く引き締まり、どんな服でもセクシーに着こなしてしまうようなプロポーション。
片目を隠す髪型と、肩布なしのノースリーブセーターが、さらに彼女の魅力を後押ししている。
ミステリアスであり、壮麗であり……妖しく微笑む艶姿に、感電したような感覚が、体を走る。
石塚澪<みお>。
一年前より沙織の家庭教師をしている彼女こそが、今武司が恋している女性である。
「……でも」
「……な、なんだ沙織?」
ぽうっ、と澪に見惚れていると、沙織がさらに怒ったように目を据えた。
そして――。
「武司兄さん……私の事……まだ子供だって思っているんでしょ?可愛いって言うのは――子供として。妹としてでしょ?」
こう口を開いたのだ。
そんな当然のことを聞かれても――武司の答えは決まっている。
「あ、当たり前だろ!……沙織は何時までも可愛いボクの妹だ!」
「……うん。そうだよね……やっぱり、そうなんだ…………」
「もう!ダメじゃない、武司さん。沙織ちゃんを悲しませちゃったらっ!――ちゃんと、ひとりの女の子として見て上げないと!」
「み、澪さん!?い、いや……あははは。おかしなことを言わないで下さいよぉぉ。沙織は、沙織です。ボクの可愛い妹なんだから……何時までも子供ですよ!」
「……はあぁ。……沙織ちゃん、元気出してね?お兄さん――全然、分かっていないみたいだから」
「……うん。分かってます、澪さん。――ごめんね、武司兄さん。折角祝ってもらっているのに、変な雰囲気出しちゃって」
「あ、うっ……いや。ボクこそ……え、ええっと。そのあっ、あれだ――!沙織は可愛いから、彼氏なんて直に作れるぞ!あ、あははは……はは、はは……
う、うぅぅ……」
二人の――なぜか、澪も交えた――視線が、痛かった。
心が、どんどんと削られる思いである。
だが、何が悪いのかも分からないので、笑って誤魔化すしかなかった。
(なんだっ。いったい何が不満なんだ沙織――可愛いって言ってるのに。
あれか、子供扱いがいけないのか!?でも、沙織はまだまだ子供だろ!?)
年頃の娘の気持ちなど、分かる訳もない。
大人扱いして!
ひとりの女性として――どう見える?
この頃は、そんなことをお願いされたり、聞かされたりするばかりだ。
(難しい年頃なんだなぁ。そう言えば……何時もだったら、友達を呼んで祝うのに――今日だけは何時もお世話になっているからって澪さんだけを招きたい、って言い出したり……まぁ、ボクには有難かったから……いいけど)
これが男と女の――いや、『兄』と『妹』の隔たりなのだろう。
思春期の女の子の行動を深く考えても、仕方ない。
そうひとりで勝手に納得した武司であった。……が。
「澪さん……私、覚悟決めました」
「私も……ますます許せなくなっちゃった」
「ふ、二人とも!頼むから、こそこそと話さないでくれっ!!」
まるで仲の良い姉妹のように寄り合い、小声で話す沙織と澪。
まさか、それが彼を恥辱と愛欲に貶める算段であるとは思いもせずに――。
「沙織!悪かったってばぁ!今度……欲しいモノ買ってやるよ!美味しい物でも食べに行こう――そうだ!よければ澪さんも、ご一緒に出掛けませんか!」

慌てふためき手を擦り合わせ、武司は二人の機嫌を取るのであった。



「んん~~っ。みずぅ」
珍しく夜中に目を覚ました武司は、フラフラと廊下を歩いていた。
(なんだぁ……?お酒でも飲みすぎたかァ?)
確かに普段よりも、アルコールを摂取したとは思う。
けれども、何時もの酩酊感とは違う。視界に白い靄が掛かっているのである。
(……ちょっと浮かれ過ぎちゃったかな。ボク……)
大切な妹の誕生日と、恋い焦がれる女性との触れ合いに、気分上々で酒を煽った。
その弊害だと思い、水をごくごくと飲む。
「……明日は休みだけど……早く寝よう…………」
不思議な感覚は、続いていた。
体の感覚だけは鋭いのに、視界に……意識に白いフィルターが被せられているような脱力に苛まされる。
『早く寝た方がいい』と再び廊下を歩いていた。
その時である。
「…………ん?」
明りがドアの隙間から漏れていた。
沙織の部屋である。
(――まだ、起きているのか?幾ら明日が休みだからって)
時刻は日付が変わる数十分前、うら若き女の子がこんな時間まで起きているのは感心しないなぁ――と思いつつ、武司はその場を去ろうとした。
……すると。
『あはっ、ンン――澪さぁ、ン!』
「…………えっ?」
色っぽい喘ぎ声が、廊下に漏れる。
淫らな嬌声が――愛しの妹の声だと気付くのに、数十秒も掛かってしまった。
ドアの向こう側。
沙織の部屋から、卑猥な声と肉音が艶やかに奏でられていく。
『いい、いいの!澪さっ、んん!もっと……もっとくっつけてぇ!!』
『かわいいっ!とっても可愛いわよ、沙織ちゃん!!』
背筋に……怖気が走った。
(……い、ま。今のは……いや、夢だ。そんなはずはない……っ)
異様な恐怖に急き立てられて、ドアノブに手が掛かる。
『あっ、ああ!素敵ィ!みっ――澪さん、んん!!』
『沙織ちゃん!かわいい……んっ、んん!』
「――っ!」
なぜか、体はかちこちに固まっていた。
まるで見えない何がか縛るように……止めようとするように、武司は動けなかった。……が、それでも。
「さっ……沙織!?」
愛する妹の為に、呪縛を打ち破って、兄は部屋へと突入した。
沙織がいた。
澪がいた。
ふたり一緒にベッドの上で――。
くちゃ、ぬちゃ……ぬちゅ、れろれろ。
艶やかな美唇と、小さく可憐な唇が悩ましく絡み合う。
そして、裸の女体が互いの恥部を重ね、腰を上下に振っている。
「あっ、ああん!あっ……た――武司っ、おにいちゃん?」
快感に蕩けた瞳が、武司を見つける。
少し恥ずかしそうに眉が寄ったのは一瞬だけ。
直に今まで見たこともないほど、妖しい微笑を張り付ける。
「あーあ。見つかっちゃったわね。沙織ちゃん」
「あっ、ああ!よ、予定……通りですねぇ。あふゥ……澪さんのキス。熱くて、柔らかくて……スキィッ。んっ、んん!」
くちゅ、ぬちゃ、と唇と唇が押し合い、舌と舌が擦れ、歯がぶつかり合う。
見たこともない――武司だってしたことがない――熱烈な口付けを見せられて、武司の激情は解き放たれる。
「なっ、何を……何をやっているんだ!二人とも!!」
当然の叫びに、小馬鹿にしたような鼻息がふたつ漏れる。
「武司お兄ちゃん――見て、分からないの?」
「セックスよ。セックスっ!……レズセックス!沙織ちゃんの体も、顔も……
すっごく敏感で……楽しいのよ!」
鮮やかな紅色の舌が、沙織の頬を舐める。そのまま耳裏、項も舐め擽った。
妹は……嬉しそうに震えて、喘ぎを振り撒く。
「あっ、あんっ。澪さんっ……だめぇ。気持ち……よくて……また。あっ、ああン!」
「見せつけてあげましょう。私たちの――”愛”を」
腰をくねらせ乙女の肉穴から愛液を噴き漏らす沙織を、澪は優しく抱き締めつつ己の恥骨を押し重ねて、双方の敏感粘膜を刺激する。
くちゃ、ぬちゃ、くちゃくちゃ。
愛液が撹拌される淫靡な音が……嫌でも耳へと入り込む。
限界……だった。
「さ、沙織ィィ――!!そんなっ……こんないかがわしいこと止めろぉ!み、澪さんもだ!あんたっ……人の妹に何をするんだぁ!!」
怒りが、足へと伝わり、一歩を踏み出す。
しかし……『ぐにゃり』。
唐突に、世界が歪んだ。
(……へっ?)
唖然と、宙を舞う武司。
何が起きたのかも分からない。
ただ気が付けば、空中で二回、三回と回転しながら、床へと沈んだのだ。
床下は粘土でもなければ、底無しの砂地獄でもない。
なのに、腕が、足が、尻が……そして、胴体が、ずぶずぶと飲まれる。
「うっ、うわぁあああ――っ!?」
数秒遅れて驚愕するも、手遅れである。
全身がほぼ床へとめり込み、首しか動かせない有り様だ。

性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ DMM版はこちらから
性転兄妹~富永武司の淫靡な妹ライフ~ DLsitecom版はこちらから

【投稿小説】牛上家の子供 ⑤

【投稿小説】牛上家の子供 ①
【投稿小説】牛上家の子供 ②

作.名無しのゴンベエ
イメージキャラ作成&挿絵:シガハナコ

ケンちゃんと別れた後、僕は自分の住む家へと歩いて行った。寂れた住宅街にポツンと建つアパート『薔薇荘』。僕の家はここにある。

ところどころ壁の塗装が剥がれてヒビが入っていたり、端の部屋にはツタがはびこっているが、見た目に反して四つも部屋がある上、ガスコンロ、水道、お風呂にトイレが完備されている。


「ただいま~…」

「あら、お帰りなさいアオイ。遅かったわね」

「ケンちゃんと遊んできたの、楽しかったよ」

「あら、よかったわね」
階段を上がり、部屋のドアを開けると、お姉ちゃんがエプロン姿で料理をしていた。甘い匂いからしてカボチャの煮物だろう。今日商店街でセールしていたのを見かけたから買ったのだろうか。何にせよ僕の好物だ

脇の水道で手を洗って一息つくと、背負っていたランドセルをダイニングの椅子に置いた。

そばのリビングではお兄ちゃんがソファに座り、テレビを見ながら雑誌を広げていた。

「お兄ちゃん、ただいま」

「……」

僕の言葉を聞いてもお兄ちゃんは何も答えず、僕に振り返らず黙って雑誌を読み続けていた。


「……」

背を向けたまま動かなくなったお兄ちゃんに、僕もそれ以上話しかけることはせず真っ直ぐ自分の部屋に戻った。

しばらくして、夕食の時間になった。ダイニングに並べられた夕食を囲みながら、アナログ時計が時を刻むのをぼんやりと聞いていた。

僕には両親がいない。祖父母とか叔父叔母も見たことがないし、年賀状もウチ宛てに届くのは広告ぐらいだった。物心がついた時にはすでにお姉ちゃんとお兄ちゃんしか家族がいなかった。

年の離れたお姉ちゃんは、二年前に短期大学を卒業し、OLとして社会人デビューを果たした。

いつも僕のことを気にかけてくれる人で、白い肌をからかわれて泣いた時、優しく抱いて慰めてくれたこともあった。

小学生の僕の他愛もない話を笑って聞いてくれるし、休みの日に二人で動物園とかに遊びに出かけたりと、母のいない僕には非常に大きな存在だった。

高校生のお兄ちゃんはかつて中学校でサッカー部をやっていたらしく、お姉ちゃんが言うには鍛え抜かれたエースだったらしい。

しかし、お兄ちゃんはめったに過去の話をしない。かつてのエースも今では黙って雑誌を広げる毎日だ。

そもそも高校生のお兄ちゃんと小学生の僕は家庭的にうまくいっていない。基本的に僕には無関心だし、さっきみたいに話しかけても答えない。

誤解しないでほしいけど、DVがあるという訳ではない。熱い熱湯かけられるとか、アザが出来るまで殴られることもない。

ただ僕と一切関わりを持とうとしない。一度もチラリと目を合わせようともしないし、話しかけられることもない。

━━━ 一度だけ学校で体調を崩したことがあった。学校から家に連絡が入っても全く迎えに来なかった。

数時間たって代わりにやってきたお姉ちゃんに病院に連れて行ってもらった後、帰って見ればお兄ちゃんは一人家でゲームをしていた。

その経験のため、お姉ちゃんがいないときは自分のことは自分でやらなくてはいけないと僕は感じ取った。

今ではネグレクトみたいには気にしてはいない。自分のことは最低限自分でできるようになったからは、お互いに触れ合わないことに慣れていた。それでもいつも心には高い壁を感じていた。

「あ、あのそういえばさ・・・」

僕は頃合いを見つけて例の肝試しの話を持ち出すことにした。

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2017-10