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アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-5〉


「……それでは今日はメイドと主人ごっこと言うことで――どんな命令でもお申し付けください。い、イヤらしいメイドのナタリーは、お二人のどのような命令でも実行しますっ!」
ニタニタと笑う男二人の前で、深く跪くと、アスランは震える声を発した。
ナターシャも続けて言う。
「私たちはご主人様の命令に絶対です――さあ、ご命令を」
「へぇ、どんな命令も?どうするエリオット?」
「そうだなぁ……んん、迷うなぁ!」
ナナミとナタリーの舐め回すような視線が、アスランの体を襲う。
「……っ」
恥ずかしさと不安に体が竦む。
(やっ、ぱり……こんなの間違っている。ああ――それなのに私の体は……ん!)
色欲に支配された、怠惰な生活だと言うしかない。
否、それどころか――もはやケダモノたちの卑猥な営みと言ってもいい。
だが――しかし。
ジュンっ、くちゅ。
「……んっ」
既に目覚めた子宮が、熱い飛沫を放ち、内腿が愛液によって濡れる。
喉が乾き、お尻がソワソワと落ち着かない。
(あっ、ああ!だ、だめ……なのに!え、エリオットとアスランに……興奮しちゃう!んんっ……!)
胸元の谷間も、甘い当惑を放ちながら揺れ弾む。
視線が愛撫のように感じられて、乳首がツンと反り返る。
「それじゃあ……二人でキスをしてくれないか?」
まずはナナミからの――『エリオット』からの命令だった。
「畏まりました。ご主人様……」
「……あっ、はい。ご、ご主人様」
二人は立ち上がり、お互いを見つめた。
そして、ゆっくりと真紅の唇同士が重なり合う。
くちゅ、ぬちゅ、くちゅり。
「んっ……んん!」
「あむっ……くちゅっ……ん」
「んむっ……あむっ、くちゅ!」
舌と舌とが絡み合い、甘酸っぱい喜びで口の中に広がる。
ザラザラの表面同士が擦れ合う歯痒さに、早くも意識が眩んだ。
(ああ!ナターシャの甘い体臭が……鼻の中に入ってくる!)
自分の体から匂い立つものとは別の女の香りに、胸がドキドキと高鳴ってくる。
「ほら!もっと激しくやれよ!」
上から目線の命令が下る。
ご主人様の命令に、アスランとナターシャは従順に従った。
「あむ……んぶっ!んんっ……くちゃ、くちゃ!」
「むぅーっ!んんっ!あむっ……ごく、んぐっ!ごくごくっ!」
相手の歯茎を舌先で穿り、お互いの唾液をジュースのように飲みあった。
倒錯的な喜びが胸を打ち、肌の火照りが加速する。
清潔だったメイド服に、ふたりの女の発情汗が染み渡る。
(ナターシャ……どんな気分なんだろう?私はこんなに恥ずかしくて……妙な興奮を覚えているけど……)
少なくとも嫌がっている素振りは見えない。
微かに頬を赤く染め、言われたままにアスランとの口づけを繰り返している。
「あむっ、ごくごく!くちゅっ……ん!」
「んむっ……んっ!」
「よし、じゃあ次は俺の命令だ。キスは一旦中止!」
「はぁ、はぁ……はい」
「んっ、はぁあ……か、かしこ……まりました」
漸くキスから解放された二人は、ナタリーへと振り返る。
今度はどんな命令なのかと身構える、と……。
「ナターシャ……ナタリーのスカートを捲れ」
「はい」
「う、あ……そんな!」
簡素ながら、途轍もなく恥ずかしい命令を下してきた。
思わず演技を忘れるアスランの体に、ナターシャが組み付く。
「ご主人様の命令だから……動かないで」
「あ、あう――は、はい。分か……り、ました」
甘い毒のように意識を支配する言葉。
毎夜のごとく女として抱かれる度に、彼の狭い世界は打ち壊されていく。
(ああっ、ふんん!スカート捲られて!わ、私の恥ずかしいお汁塗れの股間見られちゃう!ああっ、ああ!だめぇ、すごくき、気分が……高揚するゥゥ!!)
どんなに恥ずかしいことでさえも、仲間たちに期待されてしまうと、それに応えずにはいられないのだ。
恥辱に声を漏らしながら、ハァハァと吐息を零し、ジッと堪える。
「ぷっ……なんだこれ?もうこんなに濡れてんの?」
「飛んでもない淫乱女――いや、淫乱メイドだな」
「あ!ああ!も、申し訳ありません!!んあっ、ああ――!」
まるで父親に謝る娘のようにふたりの主人に謝罪しながらも、その責める言葉と視線に、狂おしい疼きを覚える体は、破廉恥な反応を引き起こす。
ぷしゅ、しゅわ、しゅわあああ!
「や、やっ……あっ、ああ!」
仲間の前で、恥ずかしいほどの愛液を漏らしてしまう。
ショーツには淫靡な濡れ跡がくっきりと浮かんでいた。
「う、うう!」
啜り泣いて悶えるアスランに、ナタリーが次の命令を言い放つ。
「それじゃあ……自分の性器の状況を俺たちに説明してくれナタリー」
「は、い……ご、しゅ……ご主人様!」
恥ずかしさのあまりに体がバラバラになりそうだと言うのに、命令を拒む言葉が出てこない。
スカートを自ら捲り上げ、しゃくり泣きながら説明する。
「わ、私の……あそこは……お、おまんこ!まんこは……すごく興奮しています!発情していて……牝の証汁を……たっぷりと!たっ、垂れ流している有様です!ご主人様!」
真っ赤な顔で屈辱に悶える可憐な容姿を、ナナミとナタリーは愉悦感たっぷりに嘲笑う。
「ぷははは!最高!本当にやるなんて!」
「これだからナタリーを可愛がるのをやめられないんだ!」
「――っ!」
息すらも詰まる屈辱。けれども。
(あっ、ああ!わたし……本当にとんでもない変態だわ!こんな恥ずかしいことさせられているのに……子宮も、体も!熱くて仕方ない!死にそうよぉ!)
悩ましい熱に意識が奪われて――子宮が、洒落にならないほどの疼痛に見舞われた。
「さてと……じゃあ二人共」
「ベッドに横になって貰おうかな?」
「畏まりました。ご主人様」
「は、はひぃ……は、はい。ご主人様!さ、まぁ!」
脳裏が甘く切ない当惑に包まれて、もう何がなんだか分からない。
体がふら付いて、まっすぐ歩けもしなかった。
「ほら!こっち……それで姿勢は……こうよ、ナタリー!」
「は、はい!」
まるで本当のメイドのように従順に返事をすると、ナターシャの取った姿勢を真似る。
ごろんとベッドに背中を預け、大きく足を開く。
丁度、滑らかな恥骨をご主人様たちに見せつけるような形で。
「あっ、ああ――!」
破廉恥な姿勢に、全身がガクガクと震え上がった。
同時に恥骨の下にある肉花弁より、濃厚な粘液がこぽこぽと溢れ返る。
「それじゃあ、さっき決めた通りに……俺がナターシャで」
「俺がナタリーだ。あはは……今日は連続で俺のものだな、ナタリー」
「は、はい!仰るとおりで!」
重たく伸し掛る『エリオット』の硬い胸板に、禁断の思いを拭えない。
どくん、どくん。
心臓が破裂しそうなほど、狂い騒ぐ。
「えへへ……なんだ。じゃあさっきすることなかったじゃないのよ、ご主人様」
「いや、でもナタリーはナタリーで。ナターシャはナターシャで素敵だからさ……全然飽きないよ!むしろ、またこれを慰めてくれ!」
「しょうがないご主人様ね!」
横ではもうひとりの主人とメイドが、穏やかな口調で会話している。
(や、やっぱり帰った後、してたんだ。ナタリーとナターシャが男と女の情事を……ああ!もう気が狂いそう!)
前までは少しは隠そうとしていた筈なのに、今では秘密にする素振りすらも見せずに、勝手に情事を繰り返しているナタリーとナターシャ。
そして自分がナタリーに抱かれている時は、ナナミとナターシャの組合せでも情事を行っていた。
もう滅茶苦茶だ。
だが――なぜだろう。
(ああっ……わ、私のだった体で……べ、別の女の体を抱かれている!もう本当に……わ、私の物じゃないみたい!ああ、なのにどうしてなの!?せ、切ない気持ちに……心臓が煩い!お、おまけに……私の子宮がキュンキュンと暴れるよぉおお!!)
倒錯的な歓喜が胸いっぱいに広がって、子宮は狂おしい脈動を悪化させた。
「さあ……命令だ!イヤらしく俺を誘え!淫乱なお前に相応しい言葉で!態度で!さあ早く!!」
どくん、どくん――とくん。
そんな乱暴な言葉で命令されてしまう、と……。
(あ、ああ――体があつく!うずいて……イイッ!)
理性も知性も、簡単に弾け飛ぶ。
自らの太ももをぎゅっと握り締めると、アスランは小さな声で強請った。
「ご主人様……このナタリーに!こんな淫らな女であるナタリーに……ご主人様のおちんちんをく、ください!この変態おまんこ穴へと……差し込んでくださいましぃいい!!」
涎を垂れ流し、絶叫する顔には、恍惚の表情しか存在しない。
はぁ、はぁ、と浅く荒い息を繰り返す、媚びるような眼差しで見やる。
ご主人様であるナナミを、『エリオット』を。
「……そうか!なら入れてやる!この淫乱女めぇ!!」
ずぶぶっ、じゅぶんっ、ずぼぼっ、ぬじゅ、ジュコジュコ!!
「んはぁ!はぁあああ――!!」
粘膜を押し広げ、激った男根がアスランの膣内へと侵入を果たす。
その感触に、もはや歓喜の声しか振り絞れない。
「くふふ!柔らけえな!ナタリーの胸は!あむっ、んんっ!」
「ふあぁあ!なめ!乳首……舌で!あっ、ああ!気持ち、いいですぅ――!」
乱暴に衣服を剥がされて、大きな手のひらで転がされて、潰される剥き出しの生乳房。
豊満すぎる、その肉房を窄めた唇で吸い込まれると、歓喜のあまりに背筋がビクンと揺れた。
(やっぱり!太くて固くて!最高よぉおおお!わたし!エリオットのモノも、アスランのモノにも――メロメロよぉおおお!!あはんんっ!)
さらには『ナターシャの可愛いムスコもいいわ』と思うアスランは、もう『男』へと戻れないかもしれなかった。
ナナミの激しい腰使いに、可愛い声を上げて身悶える。
「あんっ!いい!いいです!ご主人様!素敵……あ、あんっ!あああンン!」
「そうか!そうだろう!そうだろう!」
「は、はいぃいい!」
膣を掻き分けて肉穴を拡張する壮絶な感触に、理性があっという間に崩壊する。
(私のなかを!あん!抉って!ひいい!子宮が……押しつぶされて!あああン!)
容赦のない勃起ペニスの突進が、早くも子宮に届いてしまう。
くぱくぱと締まりなく開閉を繰り返す壷型性器の扉に、ぐりぐりと悩ましい亀頭が押し寄せる。
「んんっはああ!」
挿入された男根を捕食するかのように、肉洞穴が細く狭まった。
「すごいキツキツで!おおほおお!まったく極上すぎる品物だ!」
「う、嬉しい!嬉しいです!ご主人様!もっとナタリーの変態おまんこを褒めてくださいませぇ!はぅンン――!!」
ぷしゅ、しゅわああ!
ナナミに、ご主人様に褒められるのが嬉しくて仕方がない。
ますます女陰の痙攣が激しくなり、侵入している男根を根元から絞り上げる。
「おお!いいぞ!くうう!いい感じで!狭くて!熱い!」
「あっ、ああ!ナタリー!お馬鹿になちゃうぅ!ご主人様ちんぽ――すごすぎ、でしゅぅうう!!あはぁンン!!」
涙や汗、鼻水――そして、愛液。
体中の穴から体液を噴き出して、アスランは甲高い奇声を張り上げる。
(イクイク!もうイクぅううう!――あはぁんん!!)
襞壁で男根を一際強烈に締め付けつつ、腰をくねらせる。
そして、全身を激しく痙攣させた。
「あはぁ……んはぁ!!」
ぷしゅ、しゅわあああ!しゅわああ!
アスランの股座より、失禁よりも壮絶な量と勢いで愛液が噴出した。
「お、おおおお!」
「んっ――くはぁっ!はッ!ぐうううう!」
どぴゅ、どぴゅるぅううう!どぴゅ、ぱっ、どぶぶ!ずぶっ!!
牡の雄叫びと共に極太ペニスの先端から、大量の孕ませ汁が発射される。
小刻みに震える子宮に精液が、限界以上に注がれてゆく。
(すごいぃ!もう……最高ぅ!!ああ!し、幸せえぇ――!)
絶頂した影響で、緩んだ思考を繰り返し、胸いっぱいの幸福感に浸る。
満面に恍惚の表情を浮かべ、ぐったりと横たわった。
(あっ……ナタリーとナターシャも絶頂して……それでもっ……もう一度……するんだっ!)
ナナミと自分だけの世界から一時的に解放されて、横を伺い見れば一度は昇天したであろう二人が、姿勢を変えて、再度情事を結ぼうとしていた。
そんな光景を見せられると、つい思ってしまう。
『負けて……居られない』と。
(私だって……ナナミと……エリオットともっとするもん!今だけは……私は女。ただのナタリー……だからお、男に抱かれても問題ないんだから!!子供を!孕まなけばいいんだもんっ!!)
滾る性欲に収まりが付かない。
股間と股間が繋がったままゆっくりと起き上がる。
そして、アスランは極上の笑みを浮かべてナナミに甘えた。
「ご主人様……お願いします。わたくし、を……ナタリーをもっと!激しく!荒々しく……犯してください!お願いです……ご主人様!」
男に戻るのを諦めた訳ではない。
元の肉体に戻りたくない訳でもない。
しかし、今だけは――再び元の肉体を取り戻す刹那の間ぐらいは、ただの女のナタリーでいたい。
それは彼の紛れもない本心であり、確かな望みでもあった。
「はあ、はあっ……あはは――しょうがないなぁ。じゃあ、自分から尻を振れよ!シリを!」
パシンっ!
「あっ、ひンン!は、はああいいい!!」
軽快に臀部を叩かれる。その痛みに、恥ずかしさにますます気分が高揚した。
「わたしぃ!イヤラシ!変態メイド!な、ナタリー!あっ、あああ!ご主人様のちんぽが!わたしのナカぁ!ナカを抉ってきてっ!きてぇ!気持ちいい!!」
ぐちゅっ、ぐぽっ、じゅこじゅこ、ぬぶぶっ、ぐちゅんっっ!!
責めたてるように――根元から吸い取るように――中腰の姿勢でナナミの上に跨り、アスランは尻を上下に動かす。
みっちりと肉棒で塞がれた陰唇の隙間より、出したばかりの精液と絶えず滲み出ている愛液が混ざり合いながら、狭い肉穴より掻き出された。
「あっ、あああ――!」
「あはは!ほんと!ナタリーは!おちんちんが!大好きだなぁ!!」
「あっ、ああん!はいぃい!お、仰る通りです!あっ、ンン!子宮がちんこの先につっ、潰されるのが――とっても気持ち、ィィ!」
己の体重を自身の足だけで支えなければならない体勢。
そして、ナナミの股間と陰唇がより濃密に重なり合うだけに、狂おしい閃光が脳裏に巻き起こるほど
発情子宮が勃起ペニスの先端に押し潰される。
「んはぁああ!い、いきますうう!!」
ぷしゅっ、しゅわぁあああ――ぶしゅううう!!
男の唾液で汚れた生乳房をぶるんぶるんと揺らしながら、恥ずかしい牝声で泣き叫ぶ。
涙も涎も堪え切れない、情けない美貌。
その下で窮屈に男根に抉られている肉割れ目から濃厚な愛液を噴き漏らしつつ、グッタリと座り込みそうになった。
すると、当然のように男根が、深くアスランの体内を抉り取り――。
(ひゃあンン!だめぇ、だめぇえ!!終わらない!す、少しもエッチな気持ちがおっ、おさまらない!!も、もう――だめぇえええ!!)
再び、意識が絶頂へと押し上げられようとする。
正に際限が、ない。
終わらない女の快感に、理性や知性よりも、もっと大切な物が無くなりかける。
(ああっ!んはぁああ――こんな気持ちいいなら!も、もう男に戻れなくても、い、いいかも。ああっ、みんなが居てくれるなら!皆がずっと私を犯してくれるなら!お、女でいたいィィ――!)
体格と釣り合うように、ほぼ絶倫と言っていいほど、恐ろしい持続力を持つナナミのペニス。
一度射精したにも関わらず変わらぬ硬さと太さが膣内を削り落とし、子宮が切ない熱でジンジンと疼いた。
「あっ、ンンっ……あっ、ああっ!また……イクイクゥ――!イクゥウ!!」
ぺたんと尻餅を付くようにナナミの下半身に座り込むと、胸元の巨大房が弾け飛びそうなほど、
アスランの総身はガクガクと戦慄くのだった。

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挿絵:松園


【-完-】

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-4〉


結局、アスランとナナミが宿泊先に返って来たのは、三時間以上も後のことだった。
犬耳や尻尾を元に戻して貰い、後は風呂で体を綺麗にし、そのままベッドで休みたかった。
――深い眠りの中に、逃げ込みたかった。
けれども、そんなことは彼を溺愛する仲間たちが許しはしない。
「へえ……ご主人様と牝犬プレイか。それも悪くないなぁ」
「そうだろ?まあ今度試してみればいいよ」
「まあナタリーなら犬でも猫でも……兎に角、なんでも似合うから。今から楽しみだ」
ごくごくっ。がつがつっ。
用意した食事と酒を、とても豪快に食べながらナナミとナタリーが会話を弾ませていた。
「でも……やっぱり、一番は皆で犯す……じゃなくて、抱くのがいいよな!」
「分かる、分かる。あの綺麗な顔を精液塗れにして、恥ずかしさと快感に歪ませる高揚感は他では味わえないよ。その上、どっちのちんこに向かえばいいのか一瞬迷う表情が……くぅー最高じゃねぇ!?」
はっきり言うが、とてもじゃないが女同士が交わす内容ではなかった。
食事の仕方といい、普段の態度といい、そして今盛り上がっている会話といい。
もはやどっちが『男』で『女』か、まるで分からない。
「なあ、ナターシャも今度はこっち側で参加しろよ」
「そうそう、ナタリーを犯すの気持ちいいだろ?」
もはや公然と犯すといいながら――しかも、本人が居るにも関わらず――ナタリーが、目の前の席にいるナターシャに語りかける。
アスランは、もう恥かしくて、情けなくて堪らない。
「……」
プルプルと肩を震わせ、涙目でナターシャを睨んだ。
お酒の影響で、少し頬を染めながら、彼女は言う。
「あたしは……保留かな?……男のセックスも気持ちいいけど……もう少しは自重するつもりよ」
「ちぇ……面白くないなぁ」
「集団で回すから楽しいのにィ!」
赤毛の魔術師の、素っ気ない返答に二人はあからさまに不機嫌になった。
(な、なんでこうなったんだよぉ!アスランもエリオットも――い、いやいや!違う!名前が違う!え、えっと……ナタリーも、ナナミも……お願いだから元の性格に戻ってくれッ!!)
その中身が礼儀正しい少女であったことや、この国の王女であったことが、遠く昔のような感覚に陥った。
「……ぐすっ、私の安心と平和は……どこにあるのよぉ」
すっかりと口調が定着――無理やり男言葉に直せないほど――したアスランが、思わず涙を流す。
すると、そんな彼を行き成りナナミとナタリーが囲んだ。
「うわ!や、やめてよぉ!はなし……て!」
ほぼ同時に二人のゴツゴツした指が、胸元を包み込む。
ぬぎゅ、ぬぎゅ。
甘く切ない疼きを齎しながら、ゆっくりと肉房が揉まれた。
「や、やめ……い、いや!」
「ナタリーが悪いんだぞ?俺たちがこんなに愛しているのに、そんな愚痴をこぼすから」
「そうだ。俺たちの行為はお前への愛情が原因なんだからな!」
『ただその思いが強すぎて、辱めたくなちゃうんだけどな!あはは――』と仲良く笑う二人。
「そ、そんな……あっ、やん!ご、ごめんなさい!!」
堅固な、鍛え抜かれた男の体がふたつ。
しかも、お酒の勢いで、普段以上に責める気満々の二人に、アスランは謝るしかなかった。
悔しさと恥ずかしさで震える唇を必死に動かして、ナタリーとナナミのご機嫌を取る。
「も、勿論……私も……皆が大切よ!だ、大好きなんだから!」
それは偽りのない本音である。
ただ――。
「そうか、そうか!なら……今日もよろしく頼む」
「今日はどんな服装なのかな?どんなプレイなのかな?俺たち期待して待っているぜ!」
少しでもアスランの本音を漏らすと、この二人は調子の乗るのであった。
恐る恐る目線を下に向ける。
すると、元は男である彼でさえ引くほど二人の股間が、男性器の勃起に盛り上がっている。
「もうヤル気まんまなのね……仕方ないわ、ナタリー」
「あっ……うん。そ……そうみたい…………ぐすん」
「じゃあ、あたしたちは準備して、部屋に行くから大人しく待っていなさい。ほら、真っ赤な顔で涙目になっても無駄なんだから……立ちなさいナタリー」
「わっ、分かってるわよ!あっ……ナターシャ待って!」
もう止まらない空気を察し、アスランは渋々ながらナターシャの背中を追った。



ほぼ毎夜行われていることとは言え、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
アスランは、メイド服に身を包み、鏡の中の自分を見て、そう思った。
「はあぁ……」
「また溜め息?少しは慣れないと駄目よ、ナタリー」
「た、溜め息ぐらい出るわよ!本当は私が男でナタリーなのに!なんでこんなことを毎日しないといけないのよぉ!――あっ、間違えた!?わ、私は……い、いやお、おお!俺がアス……アスランなのに……なんでこんな……あの二人に肉体奉仕してあげないといけないのよ……い、いけないんだっ!?」
女として抱かれる度に、自身がナタリーと言うひとりの『女』になってゆく事実。
不安だし、恐ろしい。
泣きたくなるのも、叫びたくなるのも、当然だ。
「うふふ。仕草や口調だって女の子そのものなのに――変なところで強情なのね、ナタリーは」
だが、同じくメイド服に着替えたナターシャはクスクスと笑ってくる。
可愛い妹か、娘をからかっているような雰囲気で。
『それに関しては同感ね!』
「う、うるさい!そこには触れないでよ!だ、誰のせいだと思っているのよ!み、みんなのせいじゃないの!」
ベアトリスにまで指摘される。
アスランは咄嗟に仲間たちに責任を押し付けた。
「あ、あんなに犯されたら……女の子として滅茶苦茶にされたら……じ、自分が男だったことなんて忘れちゃうわよ!こ、こんなことならお、お城にいた方が良かったわよ!!」
そして、つい言い過ぎてしまう。
目尻に涙を溜めて、ギンと拗ねたように睨むアスラン。
けれども、ナターシャは優しく彼の癇癪を抑え込む。
「本当にそう思うナタリー……いいえ、アスラン」
「え?だ、だって……」
「薬や魔法で自我を奪われた状態で、ただ犯し孕ませるだけしか考えていないナタリーと一緒になる方が幸せだった。違うでしょ?」
「そ、それは……違う、と思う」
「ナタリーやナナミに抱かれて……少しでも絶望した?幸せを少しも感じなかった?」
「で、でも……気持ちいいけど……私、男だもん。ほ、本当はナタリーじゃなくて……あ、あす……アスランだもんっ」
ナターシャの子供をあやすような口調で――その実、叩き付けるように――事実を確認されると、眉を曇らせて黙り込むしかない。
愛らしい頬が、恥じらいと戸惑いに赤らんだ。
「何時かは元に戻るにしても今は間違いなく、その体はナタリー……つまり女の子。その事実は変わらないじゃない。だからアスランも女の子の体を楽しみなさい!」
「……ち、ちが……か、からだはナタリー……でも、こ、こころは――」
「ほら……あの鏡を見て」
「あっ……うう、ああっ……」
優しい口調ながら、拒むことを許されない力強さがあった。
戸惑いながらも、アスランは鏡を見やった。
そこには絶世の美女が、メイド服を身に纏い、恥じらいの表情を浮かべていた。
綺麗な『ナタリー』の姿。
これが自分だと思った途端――胸がドキドキと高鳴った。
「……可愛いわね。そう思わない」
「そう思う……けど……」
「ベアトリスも、そう思うでしょ?」
『うん、思うわ!』
「あっ……ああ……それは事実だけど――う、うう……っ」
確かに目の前に映る人物を、美女と呼ばない神経の方が狂っているだろう。
(これが……今のわたし。わたしは……女。ナタリー……その事実は変わらない……い、今は女の子だから……お、男になったエリオットとアスランの性欲を受け入れないと……ダメなんだっ!)
甘酸っぱい当惑が胸いっぱいに広がって、今までの葛藤が嘘のように弱まってくる。
そして、そんな心情を、この赤毛の魔術師は見逃さなかった。
「あの二人のことは――ナナミも、ナタリーも好きでしょ?なら、彼女たちの性欲も受け止めなきゃダメ。絶対に……それが今は女であるあなたの役目なのよ!」
「う、うん……そ、そうよね……そうなのよね」
「元に戻れば今までの分、たっぷりと男の快感を教えてもらえばいいのよ。それに妊娠は絶対にしないんだから。ねっ、ベアトリス!」
『本当はダーリンの子は孕みたいけど……私が子宮を守っているかぎり、妊娠は絶対しないわよ。安心しなさい!』
「もう……しょうがないわね――分かったわよ。今は……私がナタリー。お、女なんだから……それに……あっ、あぁ……!」
二人の言葉は、単なる切っ掛けに過ぎない。
ドクン、ドクン。
心臓が官能的な喜びに脈打ちを強め、アスランは自身の本音を認め始める。
(私も……やっぱりエリオットやアスランに……抱かれたい!おちんちんが生えたナターシャにも抱かれたい!ああどうしよう思考が……もう完全に発情したメスだよ、これ――け、けど恥ずかしいと思いながらも、体の疼きが止まらないっ!)
仲間たちの勃起ペニスの全て――硬さや、太さは無論の事、その脈動や精液の香り――を思い返して、生唾を飲み込む。
うずうずと全身が疼き、お腹の中では狂おしい熱が生じていた。
「はやく……行きましょう。あの二人の部屋に――」
「うふふ、了解。……あたしも付き合うから……今日も一緒に楽しみましょう!」
「え、ええ……」
眉尻を可憐に曇らせながら、彼はこくんと頷き返す。
ジュン。
「……んっ!」
股間より漏れた、熱い湿り気によってショーツを濡らしながら。
(あっ、ああ……拒めない!わ、わたしも……あの二人が……この仲間たちで過ごす!あのエッチな時間が好きすぎるから!お、男なのに!お、女の子の気持ちに――なちゃうぅう!)
ナナミやナタリー、ナターシャ――そして、アスランもまたこの夜の時間を楽しみにしている。
それは否定しようもない事実であった。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-3〉



ぷしゃぁッ!ぶしゅっ……!
(ダメェ……だめよぉ!こんなの……逆らえる訳が無いじゃない!)
理性を希薄にさせる快感の波が、お腹の奥より伝わってくると、太ももに引っかかるほど女の愛液が勢いよく噴出した。
「お、お願い……ほ、欲しい。欲しいの……」
恍惚の笑みを満面に浮かべ、アスランはナナミの体を抱き締める。
ぎゅっ、むぎゅっ。
彼女の顔を包みながら、巨大乳房が盛大に揺れ弾む。
「ほんと……イヤらしいおっぱいだ。それにもうここが準備万端の……お漏らし状態なのか?まったく、とんでもない淫乱娘だなぁ!」
「あっ、ああ!い、意地悪……しないでぇ!」
豊満な乳を堪能しつつ、彼女は手馴れた手付きでアスランの股座を弄ると、二本の指を秘部の奥へと、奥へと差し入れる。
(あっ、あああ――気持ちよすぎてぇ!変になりそう!わ、わたしぃ!)
熱く濡れ浸った粘膜の中、ずぶずぶっ、と指の先が沈んでゆく。
切ない疼きに悩まされていた膣内が一斉に窄まって、全身から汗が溢れ返った。
「あ、あつい!奥が……子宮が熱いわ!!」
灼熱の喜びを走らせて、壷型性器が悩ましく覚醒する。
襞壁が二本の指を、途轍もない力で締め付けた。
「あはは……すごい反応だな。まるで大飯食らいのモンスターだ!」
からかい気味の言葉にさえも、反応できない。
耳がぴくん、と立ち、尻尾は力なく垂れる。
(もう……我慢できない!男のモノを――エリオットの一物が欲しい!!)
ハァ、ハァ、と浅く早い吐息を繰り返し、アスランはお尻をナナミに向ける。
「お、お願い……します。はやく、私の中に……エリオットのおちんぽをい、入れて!!」
淫靡な熱に苛む瞳は、既に彼女の股間にしか向いていない。
「んあっ……ああ!あん……あぁ……!」
「……そうだな。うん、じゃあ……俺のことをご主人様って言えばいいよ」
「えっ?何を考えているのよっ!?ば、ばぁ……そんなこと言えない――んっ!」
「いいじゃないか……こんなにも可愛くて、エッチなナタリーが悪いんだ。もっと……俺を……俺のちんこを興奮させてくれよぉ!なぁなあ!なああ!」
ぐちゅ、くちゃ、ずぶぶっ、ぐちゃっ!!
「はぅンン――!?」
捲し立てるような口調で命じると、ナナミは濡れ浸った女の園を二本の指で穿り返す。
すっかりと発情し熱い粘液に満たされた肉穴と、二本の指が、淫靡な糸で繋がった。
「あっ、あふぅ!んは……はひぃ!」
激しい差し入れに、膣壁が悩ましく捲り返る。
意識を掻き乱す歓喜が頭を襲い、冷静な判断など不可能だ。
アスランは媚びるような眼差しを背後に向けると、弱々しい泣き顔で言い放った。
「ご……ご主人様ぁ!」
その健気な姿に、ますますナナミは調子に乗る。
イヤらしい水音を響かせながら、秘部に差し入れた指を回転させる。
そして、もう片方の手で、充血した勃起乳首を捻り潰した。
ぷしゅわ、しゅわああ!
「あはっ、んん――ご、ご主人さ、さま!さ、さま!」
壊れた玩具のように大きな痙攣を引き起こし、アスランはシーツの上に崩れ落ちた。
(あひぃ!ご主人様ぁ!え、エリオットさまぁ!は、はやく私を――ナタリーを犯してぇ!!)
まるでナナミに差し上げたいと言わんばかりに、お尻を天高く突き出した。
「は、はやく……死んじゃう。ご、ご主人さまぁ……」
その姿はまさしく主人に媚びまくる牝犬そのものだった。
「あああ!お前はどうしてそう!――俺を暴力的な男にしてしまうような可愛い仕草ばっかり取るんだよおお!?」
「あっ、ああ!んはぁ!きゃぅうううう――!」
ずぶ、ぬぶぶっ、じゅぶ!パンパンパン!
濡れ熟した肉花弁を翻し、ナナミの熱い勃起ペニスが内蔵を掻き分ける。
重なり合った股間から淫靡な音色が木霊して、途方もない悦楽が脳裏を打ち上げる。
「あ、あふん!ああ!ご、ご主人――さまぁ!!」
未だに慣れることが不可能な、圧倒的喜びに、アスランは感謝すらも覚えて、吠える。
「いい!イイっ!最高う!あっ、ああ――!!」
ハァハァと熱い息を吐き、はしたなく唇から舌先をこぼして、腰をくねらせる。
ぐちゅ、すぶぶっ、ぐちゃ!
より深く股間と股間がひとつになると、膣内(ナカ)が激しく歪んだ。
「あ、ああ!エリオットの……ご主人さまの!一物……おっきくて!くるしひぃ!んは……ああ!んんっ、くぅううう――!」
伸縮する肉洞穴が、侵入する男根を強烈に絡み取る。
けれども、突進の勢いは止まらない。
亀頭の先が、子宮にまで届く。
あまりにも固くて、太い、極悪ペニスが――グリグリとアスランの壺型性器を辱めた。
「あんん!すごい……あたま!ああ!ばか!ばか!にぃ!ああ――!!」
ナナミが腰を前後する度に、子宮が男根に弾き上げられる。
途端、頭の中を雷のような悦楽が襲いかかった。
(ああ!もう……ゆるして、ください!ああ――だめぇ!いく、いくぅ!!)
ぷしゅ、しゅわああ!!じゅぁあああ!ぶしゅっ、ぷしゅしゅっっ――!!
「い、いくぅ!い、いちゃいますぅ――!ご、しゅじん!ご主人さまぁあああ!!」
膣内が伸縮し、ギュルンギュルンと肉棒を締め付ける。
アスランは四肢を強ばらせながら、弓なりに仰け反ると、夥しいほどの愛蜜を肉花弁の奥より噴出させた。
「あ、ああ!んっ……くうう!」
ガクガクと激しい痙攣に襲われる。
「う!俺の……精子を受け取りやがれ!!」
「あ、ひぃいい――っ!!」
どびゅるぅううう、どびゅ!びゅううぅ!ずぶぶっ、ぶっ!
絶頂の余韻すらなく、ナナミの射精。
常識では考えられないほどの量と濃厚さに、再びアスランの意識は昇天する。

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挿絵:松園

(あが……ひいい!し、死ぬぅうう!)
ぷしゅ、しゅわ、じゅわあああ!!
まるで放たれた精液と競い合うかのように、大量の牝体液が再び、膣内より溢れ返った。
「あっん……ああ!」
ぐったりと力が抜けて、アスランは四つん這いの格好のままシーツに蹲る。
だが、お腹の奥底では一層のこと子宮が切ない疼きを発していた。
(も、もっと……欲しい!も、もっと……気持ちよくなりたい!)
淫蕩の色を隠さない、締まりのない表情でナナミを見上げる。
恥ずかしがる素振りも見せずに――本当に男らしい有り様で――彼女は口を開く。
「はあ、はあ……どうする。……もう一度するか、ナタリー?」
その提案を、拒む理由はなかった。
「お、願い……します。この……イヤらしい……はぁ、はあ!え、えっちな……牝犬ナタリーに…‥あなたのおちんぽを、もう一度……ください!ご主人様ぁああ!!」
ぐちょりっ、と男の孕ませ汁を垂れ流す女陰を見せつけながら、アスランは媚びた眼差しで、ナナミを誘った。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-2〉


王都での騒動から、早くも数ヶ月が過ぎていた。
その間にも追っ手を振り切りながら、取り敢えずはアスランとナタリーの魂――さらに言えばナナミの体――を元に戻す方法を探し求め、四人はとある古びた神殿へと来ていた。
「ね、ねぇ……本当にするの?こんな……場所で?」
第一の目的は、三人が元に戻せる魔法や、マジックアイテム作成に必要な鉱物の探索。
第二の目的は、旅の資金調達。
一つ目は見事に空振りであったものの、二つ目の目的に関しては、そこそこ金目の物を見つけられた。
だから、本来ならばさっさと退散するのが普通なのだが――。
(ううっ……は、恥ずかしぃッッ!)
首筋にくすぐったい感触が巻き起こる。
仲間の一人であるナナミが、鼻先を擦りつけて来たのだ。
「何言ってんだよ……逆にこう言う場所だから燃えるんだろ?」
「ひゃんっ!」
先程、打倒したダンジョンのボス――吸血鬼――が使用していたであろう豪勢なベッドの上で、不謹慎にも、軽口を叩きながらナナミが、アスランのお尻を撫で回す。
「あ、アスラン……ナターシャ!お願い……止めて!ナナミを!えっ……エリオットを……止めて!」
自分では退けられないので、残りのメンバーに助けを求める。
しかし、返って来たのは冷ややかな対応だった。
「先に戻るけどほどほどにしなさいよ?」
「そうそう。夜にも楽しむんだから――三ラウンドだな。それ以上はやめとけよ」
「ひどい……助けなさいよぉ!ば、ばかぁ!んあっ……んんっ!」
耳元でキャンキャンと吠えたのが悪かったのか。
悲鳴のような声を発する唇が、ナナミの分厚い唇で塞がれた。
(あ、ああン――なんで、こんなことに……!)
口付けによる甘い痺れが脳裏を満たす。
まるで頭に湧き上がった疑問も、不安も塗り潰すかのように。
「はいはい。分かってる……まあ少し楽しんだら追いかけるからさ」
「それじゃあ行きましょうか、アスラン」
「ああ……そうだ」
やはりここに彼の味方など存在しない。
金目の物をリュックに仕舞うと、ナターシャも、ナタリーも出口に向かって歩き始める。
ぴちゃ、ぬちゃ。
目の前の人物が、頬に蠢く舌を擦り付けた。
「な、ナナミ……はぅんん!」
「ナナミじゃないだろ?今の俺は……エリオットだよ。ナタリー……!」
「あっ、ああ――!」
荒々しく胸を撫で回されながら、首筋にも舌が踊り掛かってくる。
甘く切ない疼きと共に、歯痒いネバつき感が、息詰まる興奮を齎した。
(ああっ!すっかり男だわ、ナナミ!もう新しい名前にも――エリオットって言う名前にも慣れているし……あはンン!)
一度でも『男』と『女』と言う性別の境界を踏み越えてしまった罰なのだろうか。
毎日のように情事を繰り返すたびにナナミも、ナタリーも、その魂の本質さえも男であるかのように振る舞い始めた。
今ではもう恥ずかしがることなく、アスランの艶かしい女体を求めてくるのだ。
「え、エリオット!んあっ、ああ――!」
「はぁ、はあ……やっぱり気持ちいい……チチだなぁ!くっくく!」
「ああ!」
特にナナミの変化は、劇的だった。
男の身体に合わせるように、その中身も粗暴な男の人格へと変貌している。
それこそ生まれた時から『エリオット』と言う男だったみたいに振る舞うのだ。
「うう!へ、変態……っ!!」
「うるせぇ!そう言うナタリーだって……十分に変態じゃないか!」
「んっ――あっ、ン!」
そう言われてしまうと、言葉が詰まってしまう。
巨大なバストを捏ね繰り回されるだけで、甘い悲鳴を上げていることもそうなのだが、ナナミやナタリーに犯されるたびに、彼自身もまた女の子のような仕草と口調が自然と身に付いている有様なのだ。
薬も、魔法も使っていない。
けれども、女の快感によってアスランは徐々に認め始めていたのだ。
自身がひとりのナタリーと言う名の『女』であると言うことを。
「柔らかいなナタリーの体は!すごくイヤらしい肉付きだ!」
「は、恥ずかしいこと!い、言わないでぇ……!んぁ、あぁ……!」
今ではもう仲間たちに本来の名前で呼ばれることも殆どない。
なのに、なぜだろうか。
『ナタリー』と呼ばれる度に、背徳的な喜びが胸の中で育ってゆく。
(ああ!女になるのが嫌で!元に戻りたいから逃げてきたのに――ナナミ……いえ、エリオットやアスランに抱かれるたびに……私は女なんだって思っちゃう!)
今だって、そうだ。
本気で拒めばナナミも、ナタリーも無理強いはしないのに、どこかで彼女らとの情事を期待している自分が存在するのだ。
なんて――イヤラシ、イヤらしい『女』なのだろうか。
『うふふ……どうせ直ぐに発情して、甘えちゃうんだから。ダーリンにお願いしちゃいなさいよ!』
「べ、ベアトリス……あっ、ああン!おっぱい……い、弄られて……ひゃン!」
文字通り一心同体になったベアトリスが、優しく諭して来る。
意地になる必要がないと少しでも思ってしまう、と……。
(あっ、ああ――私のナカが、すごく熱い!なんて、イヤらしいのっ!くふンン――!)
ギュルン、ギュルン。
男のペニスを受け入れる準備が、早々に完了した子宮。その神聖な壺型性器が破廉恥な音を立てながら、蠢いている。
(おっぱい!ちくびぃ!電気が……走りっぱなしだよぉ!)
アスランの一際巨大な乳房が荒々しく揉み砕かれて、甘美な快感の波が全身を包み込む。
頭の先は無論の事、むっちりとした尻房さえもピクピクと震わし、切なげな表情で悶える。
ぷしゅっ、と熱い疼き捲る牝肉唇より、悩ましい汁が噴き零れた。
(べ、ベアトリスの言う通りだ、わぁああ!あっ、ああ!わたしは……お、おんなぁ!おんななの!だ、だから……え、エリオットに!だ、抱かれたい!優しく!!)
艶めかしい体臭が上気する雪肌を、逞しい男の体に押し付ける。
「あんっ……エリオット!や……優しくして!」
甲高い音色で、アスランは甘えた。
すると、頭を撫でながら、ナナミが頬にキスを当てる。
「可愛い……その姿も、すっごくイヤらしくて!」
「うあっ、ちょっ――と!ば、馬鹿なことい、言わないでよ!」
頭部に生えている慣れない部分を――獣耳を弄りながら、ナナミが囁いた。
(可愛いなんて……言われても……うっ!嬉しくないんだから!)
うそ。
本当は、胸がドキドキするほど嬉しかった。
頬は恍惚の表情を刻み、お尻から生えている獣の尻尾が、左右に揺れ動いた。
「さあ……俺をもっと楽しませてくれ。子犬ちゃん」
「こ、子犬って……ばか。だから……変な風に……呼ばないでよ!あっ、ああ!」
嬉しさと恥ずかしさに苛んで、アスランは頬を可憐に赤らめる。
ぷいっ、と目線を一時的に逃がす。
すると、部屋の隅に置かれた姿見に瞳が引き込まれてしまった。
(……あっ!これが……今の私の姿なんだよね……!こ、こんなイヤらしいメスっ……牝イヌの姿をしたのがわ、わたし……ああっ!だめぇ、どうしても…興奮しちゃゥ!)
犬の耳と尻尾を生やし、体には犬の毛を模した衣装――布地は極端に少ない――が、豊満な肉体に張り付いている。
そして、首は鉄製のリングによって拘束されていた。
野獣の動きと、強靭な嗅覚が備わる衣装と姿らしいが、どう見ても淫らな店で働く娘でしかない。
(ああ!こんな恰好させられて!おっぱいも、お腹も!お、お尻や股間だって丸見えのなのに!皆に女の子として変態な目で見られちゃうのに!わ、わたし――それが気持ち良くなちゃってる!ああ汗が止まらない!喉が渇いて!息が苦しいし……こ、股間が嫌な汁でびちゃびちゃだぁああ!!)
事実、彼の身体能力を高めると言うのは建前に過ぎない。
単に仲間たちが、このエッチな姿のアスランに劣情を募らせたいだけなのだ。
「……こんな格好ばっかりさせて」
思わず眉を曇らせ、愚痴をこぼす。
「ん、その姿のことか?……そう言いながらもナタリー。お前だってイヤじゃないんだろ?なぁ?」
「んっ……だって恥ずかしいわよ!こんな姿……少しは普通の格好で冒険を――って言うか、セックスさせてよね!!…………あっ…………あああッ!?」
「え?」
完全に油断していた。
瑞々しく潤った唇より、アスランは本音を漏らしてしまう。
途端、ナナミが意地悪く笑って――。
「ぷっ……あはは!そうか、そうか!セックスはして欲しいのか、ナタリーは!」
「ち、違うの!今のは言い間違えただけ――私は、はぅンン!」
ナナミの両の手のひらが、優しく双乳を揺さぶった。
そして、房を握り潰しながら、頂点の肉芽にも指を当ててくる。
「んっ、んん――!」
はしたない声が、勝手に漏れる。
おっぱいより生じた甘い当惑に、理性が痺れてゆくのを感じ取った。
(は、反則……よぉお!)
硬く尖った乳首。
くりくり、と衣服の上から弄られると、全身が悶えるほどの歓喜が巻き起こる。
「あっ、あん!ゆるしてぇ――ひぃ、ンン!」
ナナミの愛撫より、逃れる術などありはしない。
乳房がぎゅうっと絞られて、乳首を布地より引っ張りだされた。
そして、凶悪的に冷たいベロの先端を当ててくる。
「――んほぉ!ああっ!!」
特盛バストの先より、途方もない喜悦が迸る。
思わず息を詰まらせ、びくん、びくん、と背中を仰け反らせた。
「え、エリオットぉ……やめ!んんっ……!」
ぴちゃ、ぬちゃ……くちゃ、ぺろり!
「お、おほぉお!んんっ!」
下品に聞こえる破廉恥声で、アスランは喜びに啜り泣いた。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-1〉



王都とは言わないまでも、人で賑わう街。
その街のあるひとつの喫茶店で、二人の人物が密談を交わしていた。
否、『人』と言うのは語弊がある。
片方は世界の平和と秩序を司るエルフ。そして、もう一人は先日勇者一行を襲った魔王軍の残党――ラミアのナーガだった。
今は人間の姿に化けている彼女が、口を開く。
「それで首尾はどうなのかしら――ルート?」
問われたエルフの少年――ルートは、普段通りの微笑で言う。
「問題ありません。こちらの予定通りに勇者一行は国から逃亡しましたよ」
「そう。ならこれで人間たちも、エルフたちもあちらに意識を向けるしかない。――あたしたちが活動するのには都合のいい状態ね。……流石ね」
「当然ですよ」
『まあ、もっとも勇者たちが危うく捕まりそうで、こちらの筋書きが狂いそうでしたがね』と締めくくりながら、ルートは頼んだお茶に手を伸ばす。
そんな彼にナーガは、軽い口調で労った。
「――二重スパイ、お疲れ様」
「……魔王様とは違い、上が馬鹿ばかりでそれだけが悩みの種ですよ。エルフの女王は傲慢で、人間の新国王は小心者の二流王。……私たちにとっては有難いのですが……心労が絶えませんよ」
「頑張りなさいよ、魔王様からの勅命なんだから」
「……勿論です。全ては敬愛すべき我が主のためなのですから」
エルフの女王の忠実な部下である筈のルート。
彼はナーガと同じ、魔王の配下の者だった。
敵側の内部に侵入し、相手の情報を収集しつつ、その思考を上手く誘導する。
首尾は上々のようで、一先ず人間の国と、エルフの国は、今のところ驚異にならないようだ。
「で、どうだったの?勇者たちの実力は……」
「……正直な感想としては、流石の一言ですね。ナナミにナターシャ、ナタリー……そしてアスラン。彼らは警戒に値します」
「……え?あの坊やも……?今は無力な小娘でしかないんじゃないの?」
唯一の懸念。
自分たちの囮となって逃亡しているであろう勇者たちに関して問いかけると、ルートの口から意外な言葉が漏れてくる。
「宝具こそないですが、今の彼らの実力は、他の人間とは比べられないほど高い次元にいます。それに勇者……あのアスランに関しては、どうも妙な力を手に入れたようです」
「……え?力……?何よ、それ?」
「どうも魔王様の遺産の力を取り込み、変身する能力を身に付けたようです。身体能力も、上がっていましたよ」
「変身……身体能力の向上……?どこかで聞いたことあるような……ないような……うーん」
「本来の剣術を取り戻した彼の腕に、私は驚きを隠せませんでした。お陰で体中が傷だらけですよ」
「――そうあなたにそこまで言わせられるなんて、確かにあの坊やは……いいえ、あの勇者は確かにあたしたちの敵ね」
ルートの戦闘能力は魔王にも一目を置かれている。
そんな彼を一時的とは言え、追い詰めるアスランの力。
危険である。
今、ナーガの中で再び彼が、勇者として認められた瞬間だった。
「……でも、勇者たちだって逃げなければならないし、恐らく入れ替わった魂を元に戻そうとしているんじゃないかしら?なら当分の接触は必要ないわね――時期を見て、今度こそケリを付けてやる」
「……そうでないと私が苦労して、彼らを囮にした計画が台無しですよ」
「うふふ、確かに――あっ、それで念の為に確認するけど連中は今、どこにいるのかしら?」
ぴくっ。
仮面のように不動な顔が、僅かばかりに強ばった。
「ルート?」
「いや……それが!その……流石と言うか……」
「まさか……追跡出来てないの!?」
「……はい」
ほぼ完璧な仕事を遂行しているルートにしては、信じられない失敗である。
ナーガの責めるような目線に、慌てて彼は言い訳を放った。
「いや……連中は変装……または変身魔法を使い……こちらが混乱するよう敢えて情報をばら撒いているみたいなんですよ!」
「どういう意味……?」
「ええ……実は部下に情報収集をさせているのですが――」
ルート曰く、ここ数ヶ月――王都での騒ぎから――『ナタリー』と言う娘の目撃情報が後を立たないのだ。
しかも、その情報もところどころ全てが噛み合っていない。
金髪の女剣士が山賊を蹴散らしたと一人の部下が聞いてくれば、今度は別の部下から魔物の巣を退治した魔道士の娘がいた。
致し方なく自分で調べてみれば、魅惑の踊り子が辺境の町の祭りに参加した等――。
その全ての女が、『ナタリー』名乗っているのだ。
「でも、それなら虱潰しで探せば――」
「考えても見てください。勇者たちの捕縛はあくまでも秘密に処理しなければならないんですよ?そのため人為は限られてきます。相手もそれが分かっているんでしょう。だからこそ敢えて情報をこちら側に与えているんです。事実、彼らを見失ってしまいましたよ……はぁあ」
疲れたように吐息をこぼし、ルートがカップに口を付ける。
「ほんと、あの王女も、あの国王も文句ばっかりは一人前で。……そもそもナタリーなんて名前はさして珍しい名前でもないですしね。他の三人に関しても……変装やら、行動する人数を変更しているやらで……毎回調べる度に容姿や、人数……果ては性別すらも違っているんです!……それを分からずに、ネチネチと!……ああ!あの頭をかち割りたくて死んでしまいそうだ!」
勇者たちへの追跡の失敗。
そのことをエルフの女王と人間の新国王に、小言を言われ続けているらしい。
仮の上下関係だからこそ、堪え難い物があるのだろう。
「あっ……そ、そうなんだ。……ルート、頑張ってね?」
初めて見るかもしれない、憤慨するルートの顔に、ナーガは言い掛けた文句を引っ込める。
(……しかし、やっぱり油断のならない人間たちね。……でも、エルフや人間たちを翻弄するには、それくらいやってくれた方がいいのかしら?)
ルートには申し訳ないが、勇者たちにはまだ利用価値がある。
それまでは逃げ続けて貰った方が、こちら側には都合がいいのだ。
魔王軍の再建、そして魔王の復活のために。
そして、その後こそ――決着をつける時だ。
「……あら?」
彼女らの絶対の神――魔王を封印した憎き怨敵への殺意を胸の内にしまったナーガの瞳に、街路を歩く一人の娘が見える。
なかなかの魔力を持っている貴重な『人材』だった。
「……仕事は迅速かつ素早くお願いしますね」
「分かっているわよ」
ルートの任務は敵勢力への情報収集とかく乱。
そして、ナーガは来るべき時に備えての戦力拡大。
にゅる、と漏れ出した舌先で、唇を舐め上げる。
「……お会計は済ませておきます」
「お願いね」
「いえ――全ては魔王様のためですから」
料金を支払いに行くルートに一瞥だけ済ませると、先ほどの娘を追いかけるナーガ。
(……よしよし。順調、順調……これで三十二体目――!)
人混みが溢れ返る道を、何故かスムーズに歩き、やがて裏路地に入る。
瞬く間に本来の姿に戻ると、狭い路地の壁を上へ、上へと登っていった。
「さぁ、いらっしゃい――新しい私の妹!」
その声に、どんな力が、どんな魔力が込められていたのかは定かではない。
だが、その大きな瞳に見据えられたある女性は、フラフラと人気のない裏道へと歩いてゆく。
そして――。
「あれ、わたし……なんで」
「頂き――まーす!!」
「えっ?」
がぶりっ!ぐちゅ、ぐちゅ――げぷっぅ!
数秒足らずの出来事だった。
後に残されていたのは、大型獣の唾液らしき汚濁に塗れた女性の髪飾りだけだった。

魔王の封印による、魔王軍の崩壊、下級魔物の弱体化および鎮圧化に成功した王国。
だが、大規模な人的被害は嘘のように無くなりながらも、唐突な行方不明者は、以前にも増して報告されるようになっていた。
だが、王国は密かに行っている勇者捕縛に力を注いでいるため、そのような報告に対する調査は大したこともせずに処理される。

魔王軍の残党――ラミアのナーガによって、既に多くの国民が、人外なる者へと改造されているとも知らずに。

今日も王国全土は、魔王討伐に浮かれきっているのだった。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-8〉



「これまた……激しくやったわね」
音が聞こえてなくなったので、様子を伺いに来たナターシャ。
その視界には、はしたなく男性器を露出して倒れているナナミとナタリーが映し出されていた。
「ん……すごい匂い。どんだけ盛っているのよ」
自分だって性欲処理を――本番こそしていないが、手淫や口淫等で――手伝っていた筈なのに、充満する精液の匂いから、どれだけ激しい情事をしたのか、簡単に推測出来た。
(やっぱり、これもベアトリスの――あの淫魔の姿の力が原因なのかしら?たっ……確かにこの数日でうまく思考を誘導して、二人とも男の体で女のアスランを愛しても問題ないって納得してくれていたけど……それでも、これはちょっと引くわねぇ)
男となっているナナミの体を女へと変えているペンダントが壊れたのは、偶然だった。
しかし、その偶然をチャンスに変えないほどナターシャも馬鹿ではなかった。
アスランが不在な今、心は女なのに体は男――その上、愛しい人を抱く喜びを知った――二人の愛情を導いてあげるのは自分しかいない。
そんな使命感を元にして、二人に徐々に男の快感の良さを教え込んでいたのだが――。
「……もしかしなくても……やり過ぎた?あ、あはは……どうしよう」
ベアトリスの隠された能力と合わさって、思う以上に暴走してしまったようだ。
(アスラン……大丈夫よね、これ……多分)
自分がけしかけておいてなんだが、彼の有様は一言で言えば悲惨の一言で済む。
股間に至らずお尻の穴からも精液を垂れこぼし、髪や顔――と言うか、全身に生乾きの精液がこびり付いている。
「あ、アスラン――お、おーい!生きている!ねぇ、アスランっ!」
心配して、思い人に声を掛けた。が、しかし――。
「……ひゃあ!?」
ナターシャは思わず驚きの声を上げてしまう。
何故なら、気絶しているとばかりに思っていたアスランが、無言で立ち上がってきたからだ。
「……っ」
男の孕ませ汁特有の激臭を放ち、豊満な胸元にも精液がへばり付いている。
「あ、アスラン?」
てっきり文句や、恨み言でも言うのかと身構える。
だが、彼の視線は一点しか向いていなかった。
「……ど、どうした?アスラン、大丈夫?ねぇ……?」
「……ちんっ……」
「え?なに?」
次に発せられた言葉に、流石のナターシャも飛び上がった。
「ちんこ……もっと欲しい」
「えっ!ちょっと!アスラン……待って!あっ、ああ――!!」
無断で下半身にしがみ付くと、彼はナターシャの腰を隠していた布を剥いでゆく。
あっという間の出来事である。
ナターシャの生身の股間が、アスランの前に現れた。
「あは…………あはは!うふふ……やったぁ!やっぱり……ちんこあった!」
そして、普通よりも、やや頼りない小さな男性器が出現した。
「えへへ、これも私のおちんこぉ!ナタリーや、ナナミと同じ……わたしのモノだよねぇ!えへへっ」
「アスっ――アスランが壊れている!?」
無邪気に、と言うか、理性が飛んでいる顔で男根を弄る姿に、思わず背筋が凍った。
(いや……まあ確かに。二人だけ男になってアスランとセックスするのも、ずるいと思っていたわよ?でも、まさか実験で生やしたこんな、ちんちくりんなちんこを嗅ぎ取るなんて!……あたくしことナターシャ!今、人生で一番後悔しています!猛烈に反省しています!)
試験的に性別反転の魔法を作り、自身の体に試していたナターシャ。
しかし、流石の彼女でも完全に性別を変えるのは、それ相当の準備と手間――例えば稀少な結晶等を使った特殊なマジックアイテム――が必要だ。
故に体つきも、性器も女のままで――股間の割れ目より、男の性器の一部だけが生えているだけに終わってしまう。
しかも、サイズはとても小さく、感度も今一だ。
実際に、アスランの指で弄られているにも関わらず血が少しも集まる気配がない。
すると――。
「うーっ……なんで大きくならないんだよぉ!」
彼の不満げな囁きも、聞こえて来た。
「あっ……アスラン。もっ、申し訳ないけどこれ……勃起しないと思うわよ?」
「うう……手でダメなら……口なら、どうだ!」
「ええ!?アスラン!待って!!」
ダメと言い聞かせても、言葉の意味が分からないとばかりに諦めないアスランは、飛んでもないことを考える始末だった。
駄々を捏ねる子供みたいな姿に、彼女の反応が遅れてしまい――。
「あっ、ああ!だめぇ!な、なめ……ないで!」
「あむ……レロレロ!くちゅ……んんっ!」
唇を大きく開き、その皺も少ない男根を口腔で転がし始めた。
「やめて!……あっ、ぁあっ!」
ぺろぺろ、くちゅっくちゅ、ぐちゃ、ぬちゃ!
舌先で唾液をたっぷりと染み込ませる。
すると、徐々にだが感度が上がり、ナターシャは腰をビクンと震わせた。
「ちょっ……と!流石に今日はするつもりは……あっ、ああ!」
目の前の現状と、頭のネジが外れている愛しい男の姿に、ナターシャは消極的な姿勢だった。
しかし、それもアスランの舌と口に己のペニスをしゃぶられるまでの話である。
「あっ、ああ!」
次第に血が集まってゆくに比例し、未知の快感が亀頭の先に溜まってくる。
彼女の脳裏から徐々に理性が離れてゆく。
「あむっ……んっ!ちゅぷ……わーい!大きくなった!」
「はぁ、はぁ……アスラン!」
ナナミとナタリーに比べたら、それこそ笑ってしまうほど貧弱な勃起である。
けれども、それでも彼は嬉しそうにナターシャの男根に鼻先を啜り付けた。
「ねぇ……ナターシャ、しよ?エッチなこと……しようよ?」
「……」
もう逃げることも、拒むこともできない。
そんな無垢な瞳でお願いされたら、未体験の喜びを受け入れるしかないではないか。
(もうアスラン、それ反則!――仕方ないか、こんなエッチな娘になった彼をあたしが……いや、あたしたちが可愛がってあげないと!)
ナターシャのお腹の奥が、キュンと熱くなった。
脈打ちを強めるペニスと、お腹の奥で熱く疼く子宮。
男でも、女でもない姿になった赤毛の魔術師が、身も心も淫魔になった元少年を優しくベッドの上に誘導する。
「もう……邪魔よナタリー、ナナミ!そこで寝てなさい!」
気絶し、裸で倒れているナタリーとナナミを床に落とし――
「さて……じゃあ、何しようかしらアスラン?」
アスランの巨乳を揉み解しながら、肌と肌を重ね合わせる。
ハァ、ハァ、と二人の女の吐息が近距離で絡まった。
「あっ、ああン!ナターシャ!気持ちいい!おっぱい、気持ちいい!」
「うふふ、今のあなた……とってもイヤらしくて素敵だわぁ!」
「なっ、ナターシャ!おっぱい弄るのもい、いいけど……はあはあ!あんっ、ああぁ!ナターシャのちんこをしゃぶらせて。おちんこも、精液も……あっ、ああ!私、わたっ、し……大好きなんだもんっ!ねぇ、お願い!ナターシャ!」
「うふふ、いいわよ。あなたの好きなようにしなさい」
「うん!あむっ……んっ、ちゅっ、ちゅ!くちゅっ!」
「あンっ――くあっ!ああ男の快感――いいわぁ、くふふ……あははっ、うふははっ!!」
熱心に勃起した男根を舐めるアスランの頭を撫でつつ、ナターシャは高らかと笑うのだった。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-7〉



(あっ、はぁンン――!はぁ、ンンっ、ああぁ!来た!来た!きたぁぁ!!)
彼の淫蕩に染まった顔が、ますます情けなく緩んだ。
そして……。
「くううっ――入ったぁあ!」
「はああっ――ンン!ひゃううぅ……きゃううう!」
アスランの女陰と、ナナミの股間が重なった。
猛烈な水音を立てながら、ガチガチに固まったペニスが柔らかな肉花弁を突き進み――トロトロの牝壺を、その逞しい弾力で跳ね上げる。
「くひゃあああ!?んはぁああ!あんんっ……あっ、ああ!あっ……ンっ!!」
巻き起こる落雷のような歓喜に、アスランは悶え狂った。
すすり泣きのような嬌声を張り上げながら、両足でナナミの腰を捕まえる。
「すごい!やっぱり、このちんこ!すごすぎる……うああ!きゃううう!」
「ああ!一回しか味わったことがなかったけど――ここ数日、何度も何度も思い出しては、射精していたこの感覚!!そしてこの充実感!!やっぱり女の人のナカは……アスランさんのナカは反則なほど気持ちいいです!」
「あっ、ああ!ナナミ!ゆっくり!ゆっくり……動いて!あっ、ひンン!こ、壊れ!ちゃぁ――うう!!あっ、あンン!」
ナナミの肉槍が、恥骨の裏側を悩ましく突き上げる。
その度に、アスランは甲高い悲鳴で泣き続けた。
下品な笑みを浮かべながら。
(や、ばいい!男戻れないほど!やばくて……気持ちひぃ、ひい!気持ち、イイ!!)
そこには勇者の面影も、男であった事実も存在しない。
今の彼はまさしく一人の――否。
「気持ちいい!最高……最高だぁああ!!わたしぃ!し、シワセェ――!!)
肉欲に飲まれた一匹の牝だった。
(お腹の中を抉られたら!あっ、ぁぁ!し、幸せだっておもちゃう!わた、わたし――あっ、ああ!おれぇ、どうしちまったんだ!ああ!もう戻れないッ!!男……にはッッ!)
極太の肉槍が、逞しい弾力で膣壁を押し上げると、脳裏が爆発してしまいそうな快感が迸る。
官能的な声が唇より溢れ、ナナミの体を抱き締める腕と足の力がますます強まった。
「あっ、ああ――ん!も、もっと!お腹の……ナカに!さ、差して!ぶっ、ぶっこんでぇ!な、ナナミのおちんちんをぉ!あひンっ……ああ!気持ち、いい!!」
狂おしい喜びに、全身が小刻みに痙攣する。
「可愛い……っ!アスランさんが可愛いですっ!!」
「あむっ!んっ……んむっ……んんむうう!」
重なり合う二人の唇。
(あっ、ああ!キス拒めないぃいい!)
簡単にナナミにキスを強要されてしまう。
筋肉で覆われた巨体に押さえ付けられると、か弱い女の体は支配されるしかなかった。
「あむっ!ナナミのきしゅっ!上手ぅ!あっ、あむっ、れろれろ!だめぇ、キスで女にさ、されちゃう!あんっ、あむっ……んんっ――!」
だが、それでも恐怖よりも、ナナミの意のままに操られ、犯されることに被虐の快感が湧き上がる。
(ああ!意識が……飛ぶぅ!!)
しかも、狂おしいキスの連続の中でも、ナナミの腰使いは速度と力を加速的に跳ね上げてくるものだから、意識がクラクラと昇天し始める。
「ナナミ!激しぃ!激しいぃ!あっ、ああ!勘弁……ひぃ、あああ!」
元は女の子だからなのだろう。
ナタリーだけではなく、ナナミも女の弱点を攻めるのが旨すぎた。
熱く濡れている肉花弁の頂点。
肉割れ目に隠れている小さな肉豆を押し潰し、子宮の入口へと勃起ペニスの先を擦り付ける。
(あふぅ!はうっ……ん!頭がばかになるぅ!)
子宮がジュンと燃え上がり、狂おしい喜悦が脳裏を突き崩した。
ナナミの恐ろしいまでに強い腰使いに合わせて、アスランも腰を扇情的にくねらせる。
「あっ、ああ!ナナミのちんこぉ!怖い……くらい!すごい!気持ちよすぎるぅう!!」
感極まって肉洞穴を縮めると、その直径の太さが分かってしまう。
元の肉体よりも大きくて、硬い。
そして何よりも腰が砕けてしまいそうなほど弾力が、凶悪過ぎる。
「あふっンン!ナナミのおちんぽが元気すぎてぇ!私の子宮が壊れちゃいそう!あっ、あ――ひぃうううっ!」
砲弾級のおっぱいを弾ませて、自然と逞しい胸板に抱き付く。
その衝撃に、ただでさえ雄肉棒に押し潰されていた子宮がより醜く歪み、意識が吹き飛ぶほどの悦楽が背筋に走った。
「あっ、ひぃ――あっ、ぐぅうう!わたしぃ!あっ、ああンンっ――!」
最早、女として絶頂することは避けられない。
ナナミの巨体にしがみ付いたまま、アスランは全身をガクガクと震わせて――。
ぷしゅ、しゅわ、じゅわぁあああ!じゅぶっ、ぷしゅううう!!
(わたしぃ!わたし――い、いくぅうう!あ、あはぁっ、っンン!!気持ちいいよぉおお!!)
みっちりと男根が嵌り込む、肉割れ目。
絶頂に身悶えながら、その甘美に煮詰まった肉穴より、灼熱の牝粘液を噴き上げる。

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アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-6〉


(ナタリーが喜んでる!よ、よし……これなら……どうだ!!)
ちろちろ、と尿道へと繋がる極小穴を舌先で穿り出した。
「あっ、ああ!すごっ――くううう!!」
全身が激しく痙攣し、ナタリーの勃起ペニスが面積を膨張させる。
先走った粘液が、口の中で自分の唾液と共に、ぐちゃっ、ぐちゃっ、と混ざり合う。
「んぶっ……くさっ……い!あぶっ……ひぶうう!」
強くなる汚臭に、涙が枯れることはない。
恥ずかしさに全身が引き裂かれそうなほどである。
(でも……女の体には、これが……これが最高のご馳走なんだ!ああ!止められない!止められないよぉおお!!)
だが、性欲は羞恥心すらも凌駕し、アスランの胸の中で育っていた。
彼女が嬉しいなら、と。
彼女が歓喜に戦慄いてくれるなら、と。
「あぶっ……んふっ!ぐちゅ!んじゅぼっ……じゅちゅっ!」
「おあっ!?あああ――!!」
唇を細く閉じ、根元まで包み込むと、アスランは充血した男根を吸い込んだ。
悩ましく、そして甘美なバキューム攻撃。
その衝撃に、ナタリーは、はしたない――王女とは思えないほど下品な顔付きで――雄叫びを張り上げた。
「アスラン!ひ、卑怯もの!こんなの……たっ、たえられないぃいいい――!!」
どじゅっ、じゅぶうッッ!じゅぶぶぅうう!どびゅるぅうう!!
「むごっ!?むぐっ、ばぶぅうう!んぐっ――ひがっ、ぶうううぅ!」
アスランの可憐な唇に、大量の精液がぶち込まれた。
顎が外れてしまいそうな破壊力に、唇の隙間より精液が溢れ返る。
「あむっ……むうう!あっ、んはぁあああ――ッ!」
「ああもう!アスラン……最高ですわぁ!そ、その唇ぅ……」
「ひゃぁあンン!せ、精液……俺のだった精液が……全身にィ――!!あンンっ、あっああぁ!」
射精の勢いは止まらない。
唇から飛び出たペニスの先端より、濃厚な牡汁が顔面に降り注がれる。
が、何故か不思議と嫌ではない。
否、むしろ、体がふわんと弛むほどの喜びが巻き起こった。
(あっ……ああ!すごい!股間が……疼いて!んんっ……!)
精液に触れている部分がカァと熱くなり、悩ましい疼痛が全身を包み込む。
陰唇が落ち着きなく、ピクンピクンと打ち震え、濃厚な牝汁のシャワーを噴き上げる。
「あっ、ああ――!」
男であることも忘れ、アスランは膨大な快感の渦に理性を預け切った。
(んっ……精液……ねっとりしてて!ぐちゃぐちゃしてて……まずいし、くさい!ベトベトして飲みにくい……と思っていたけど……な、なにこれぇ……すっごく……ごくっ……んんっ、おいしいぃ!)
吐き気も、嫌悪も嘘のようになくなって、濃密な精液に心奪われる。
くんかくんかと鼻を動かしつつ、ベロと喉奥に絡まる精子を無我夢中で飲み下す。
「……ごくっ!んんっ……あむっ……げふっ!ごふぅう!げほっ……飲むのが、大変だぁ!あむ……くちゅっ、くちゅっ!ごくんっ!!」
とても性欲処理を欠かせていなかったとは思えない、量と濃さである。
だが、それでも彼は口腔にしつこく残留する精液を胃の中へと落としてゆく。
命じられた訳でも、お願いされた訳でもない。
女の、と言うか、淫魔の本能に支配されての行動だった。
(お、おれ!ああっぁあ――!わ、わたし!どうしちゃったのぉ!わ、わたし……精液がとっても美味しい!し、幸せぇ!ナタリーの精液を全身に掛けられて!し、幸せになっちゃうぅ!!)
無尽蔵の喜びが禁じ得ないアスランは、頬や唇に付着していた精液さえも舌先を伸ばし、掬い上げ、くちゅくちゅと口の中で生唾と共に反芻した。
ナタリーが吐き出した欲望汁を噛み締めるかのように、ゆっくりと。
そして――出来る限り、長く。

くちゅっ、くちゅる……くちゅる、ごくっごくごくっ、ごくり――じゅるちゅぅ、くちゅくちゅ!

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アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-5〉


「それにしても……随分とイヤらしい姿になりましたねぇアスランさんっ!」
「ああッッ!わ、私――自分の体なのに!興奮しますゥウ!あ、甘い香が、はぁああん!すごくいいです!」
『うふふ。この状態の体臭には、男女関わらず催淫効果があるのよ!』
「あ、あの……ナナミ、ナタリー……分かったから。お、お前たちが興奮しているのは……よくわかったから……お願い、だぁ。早く……抱いて!お、おお……俺を!」
ベッドに腰を掛けたアスランを、ナナミとナタリーが鼻息を荒くして凝視する。
胸の谷間や、黒い布地が食い込む股間を熱心に見られるだけで、蠱惑の快感が体を襲う。
二人を見上げている顔に淫蕩の緋色を浮かばせ、彼は股をぎゅっと抑え込む。
(う、うずうずしちゃう!お、俺のここが……女の証が……こんなに濡れて!ああっ、はやく――ふたりのおちんぽが、ここに欲しいよぉ!!)
淫魔の出で立ち――尖った耳や角、羽や尻尾、そして露出度の高い衣装――になったことなど、些細な問題だった。
時間が経つと共に、体の火照りが酷くなる一方だ。
喉が渇いているのに、生唾が唇より溢れ返り、心音が怖いくらいに昂ぶっていた。
そして、そして――。
(ああ!はやく!はやく……男の人と……ひとつになりたい!)
無意識に心が、体が、男のモノを欲していた。
うずうずと落ち着きなく動く内股より、濃厚な牝汁をぷしゅぷしゅと漏らしつつ、二人に負けず劣らず、イヤらしい顔つきで、アスランはナナミとナタリーの股間を見詰めた。
(ああっ……俺男なのに――ナタリーの、いや……この姿だともう……女のようにしか考えられない!はやく……お、男のヒトといっ、いっしょに……なりたいッ!!)
お腹の奥底で壷型性器が脈打つ度に、蕩けるような快感が脳裏に走り抜ける。
すると、さらに心がイケない境地へと登り詰めて行く。
この衝動は、止められなかった。
「が、我慢……出来ない!お、お願い……ナナミ!ナタリー!は、はやく……おれを……犯してぇ!」
「ああ!アスランさん!!……すごく辛そうですね!」
「ああっ!あふンっ、っ!」
目の前に分厚いナナミの胸が現れる。
ぎゅっ、と抱きしめられると、天国にいるかのような歓喜が胸を満たした。
(ああ!男の匂い……いい!頭の中がぐちゃぐちゃになるほど……いいっ!!)
理性も、知性も関係ない。
逞しい男の体に、女の体はイヤらしい反応しか示さない。
サキュバスの特性だからなのか。
いつも以上に股ぐらが熱く、そして切ない疼痛に染まっていた。
「ねぇ……はやく!はやく!おれ……この体だと……え、エッチだから!だから早くしようよぉおお!!」
恥ずかしさに眉尻を曇らせながらも、赤く染まった淫蕩の顔で、彼は自ら二人に擦り寄った。
すると、ナタリーの股間が前に躍り出る。
「うふふ……それじゃあ、まずは私から――いいですよねナナミ。前は……譲りますので」
「はい。ナタリーさん」
「あっ、あふぅうう!」
パンパンに張り詰められた男根が、ありのままの姿で現れた。
元は自分のイチモツなのに。
硬い筋が浮かび上がった恐ろしい姿が、油のように照り光る体液塗れの表面が。
とても魅力的に、アスランの瞳に映ってしまう。
「んあっ、はぁ……はぁあ……元は俺の……ちんこなのに……こんなに……ドキドキしちゃうなんてっ……あはンンっ!」
お腹の奥より、身悶えるほどの快感が舞い上がった。
(ああ!汗臭い香りが……体をアツくさせるぅ!)
汗と精液の匂いが混ざり合う蒸気が鼻腔を襲い、意識がクラクラと点滅する。
「では……アスラン!舐めてくださいっ……元はあなたのものを!そして、今は私のものであるちんこを!」
恥辱の命令に、何故か余計に胸が熱くなる。
(ばか……野郎。お城では……正気に戻ったら、謝ってきたのに!こんな……俺の知らない三日間で……でも!う、ううう!)
もしかしたらお城で襲われた時よりも、今のナタリーは興奮しているようだ。
――が、やはり何処かが違った。
洗脳されている訳ではなく、自らの意思でアスランとの情事を望むナタリー。
「お、お願いします……私は……あなたの口でして欲しいんですっ!!」
ハァ、ハァ、と荒い吐息を繰り返す、その顔。
不覚にも、ドキっとときめいた。
(あんっ……ナタリーが男の顔で……でも、目だけは……何時ものように優しくてぇ!ああだめぇ、だめええ!そんな瞳で見られると俺――わたし、すっごく感じちゃうウウ!!)
牡犬のように成り果てながらも、しかし彼女なりの『愛』を瞳の奥に感じ取る。
その途端、体が狂おしい弛緩に包まれる。
(あふぅ……んぁああ――!)
ぷすっ、ぷすっ、しゅわぁああ、と愛液のお漏らしが盛大に巻き起こる。
「アスラン……お願い、します!」
期待と不安で揺れる瞳が、熱烈に向けられる。
(だ、ダメだ!か、可愛いと思っちゃう……それに俺の方も――我慢できない!)
覚悟を決めるしかない。
無責任にキュンキュンとはしゃぐ胸元に堪えながら、アスランの顔と指が引き合うように、ナタリーの勃起ペニスへと近寄った。
「……ううっ!く、そ……ちくしょう……んっ!あ、あつい!あっ、はンン……!」
勃起した男性器――しかも、元は自分の一物――に、細く嫋かな指を絡めた。
直後、ナタリーが歓喜の声を上げる。
「ふあ!ああ!いいです……ナターシャよりも!気持ち、いい!」
「しゃ、喋るな……!うう、本当は……嫌なんだぞ!でも……」
男の身勝手な欲望だけではなく、そこに思いやりや愛を感じたら、もうどうにもならない。
少なくともアスランはそうだった。
恥かしさのあまりに真っ赤に染まり、涙がポロポロと溢れ返る顔で、ナタリーを仰ぎ見る。
期待と不安に揺れ動く両目と、自身の視線が絡み合い――覚悟がより一層固まった。
「……あむっ!んっ――んんっ!」
勃起ペニスに向けて、アスランは大きく唇を開ける。
そして、キスをするかのように唇を、ちゅっ、ちゅっ、とその肉槍の先端に這わせた。
「ああ!ああああっ!!」
もはや王女であった面影はどこにもない。
男の性欲に支配され、ナタリーは奇声と共に激しく腰を振り上げる。
「んぶっ、ふぁぶううう!んんっ――ぐるっ、し……んああ!」
「ごめんなっ、さい!でも気持ち良すぎでぇ!と、止められません!アスランが私のものを舐めてくれていると思うだけで……自制がっ!あう!おおお!」
「むっ、ごっ!あぶぶっ……むじゅるっ、ぎゅぼぼっ……んんっっ!!」
呼吸困難に陥るほど――先端が喉奥に届くくらい――男根が、口腔を辱めた。
舌の上で男性器が弾力豊かに狂い踊り、味蕾に屈辱の塩気が染み渡る。
汗と精液の味だ。
(あうっ!ううう!男なのに……自分のちんこを食べている!これが男のモノの!精液の味……ああ!どうして!どうして、こうもきっ、気持ちイイんだ!ああっ、最高に……胸が昂ぶるぅ!!)
正直に酷い味だと思う。
情けなさと恥かしさで、嘔吐感さえも覚えている。
「あむっ……んあっ!ナタリーあっあ!あむっ、じゅぶっ、ちゅう……あむれろぉ!れろれろ!ナタリーのちんっ、あむっ……ちんこぉ!いい!いいのぉお!」
だが、ぬちゃ、ぷちゃ、と舌をナタリーの男根に擦り付ける度に、嫌悪感を忘れられた。
そして、次第に心には、全身が戦慄くほどの愉悦が満ちて来る。
「あっ、ひいい!んはぁっ、んんっ――!」
ぷしゅ、しゅわああ!
「うわ……アスランさん。ちょっとはしたないです!」
「――くひンンっ!だってぇ……だってぇえ!あんっ、じゅぷじゅぷン!!」
曇った顔で、ナナミに苦言されても文句を言えない。
股座より溢れ出た牝汁が、シーツに巨大な水溜まりを作っているのだから。
「あぶっ!んあっ……んんんっ!」
恥辱に悶えるも、やはりナタリーの男根を慰めるのは止められない。
隙間より唾をダラダラと零しながら、一生懸命に舌を動かした。
「くわあ!そこ!そこぉおお!もっと……してください!」
「んぶっ!あぶっ……んん!」
頭部を押さえつけられたまま、腰が容赦なく彼の唇を襲う。
じゅぼっ、ぬじゅぼっ、ぬじゅぬじゅ、ぼじゅぅうう!
下品な水音が、口の中で響き渡る。
(くるし、いい!も、もっと優しくして……す、するから!こ、ここが……いいんだろう!!?)
息苦しさに涙と鼻水を垂らしながら、舌先をクネクネと動かす。
唇いっぱいに差し入れられた肉槍の先端。
さらにその裏側から付け根までの部分に狙いを付ける。
ここを刺激されて喜ばない『男』はいない。
「んっ……あむっ!ぶぼっ……くぶぅ!へぶぅうう――!」
アスランは、もうナタリーのことを一人の『男』と思いながら、裏筋を重点的に舐め上げる。
舌のザラザラを押し付けて、右へと左へと揺さぶった。
「くふぁああ!いいです!とても……いいです!!」
蕩けるような歓喜を味わって、ナタリーが悶え苦しんだ。
その表情に、また何とも言えない優越感が胸を満たし始める。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-4〉



「私……我慢できません!いいでしょ、アスランさん!」
「アスラン!お願いします!私たちの……この昂ぶりをあなたの体で慰めて下さい!」
「だ、だからこれぇ……ナタリーのキミのか、からだだぁ……お、俺のホントの体がそ、そっちなのに――あっ、ああ!ふあっ!やめ……潰れるぅ!あ、あうう!」
ぎゅ、ぎゅ!
前と後ろから、逞しい男の肉体に挟まれる。
息苦しさを覚える圧迫感。
けれども、何故かそれほど不快ではない。
むしろ、汗の香りに、筋肉の分厚さに、頬が緩みかけてしまう。
(お、俺は男――でも、今は確かにナタリーの体で!お、女の子……ああ!体中が……気持ちいい!だめ……なのにぃ!)
男としての自我が崩壊し始める。
全身が性感帯である女体から沸き立つ、甘い痺れに精神が抗えなかった。
「ああ!いい匂い!アスランさんの香りを嗅いでいるだけで……私、もうだめです!む、むちゃくちゃにしたいです!アスランさんのことが!!」
「私もアスランを犯したい!この甘い香りが……ますます股間を興奮させるんです!あの、その……自信はありませんが……子供は孕まないように注意しますので……安心して下さい!アスラン!!」
「あっ……あひ?えっ……え?……に、おい?」
くんくん、とまるで飢えた狼のように彼の肌に鼻先を擦りつけてくるナナミとナタリー。
言われてみれば、魅惑の発情臭が己を包み込んでいた。
(まさか……こ、これのせいで?ナタリーも、ナナミも余計におかしくなっているのか!?)
今、彼の体は豊満な乳房や肉感たっぷりな尻房、そして美麗な顔だけではなかった。
その汗に紛れる牝臭さが、異性を――『牡』を誘惑する武器となっていたのである。
「そう言えば……変身が終わった当たりから、ちょっと甘ったるい香りがプンプンしていたわね。この様子だとかなり強力な催淫効果があるみたいね」
「な、ナターシャ……お前!知っているなら……助けろよ!っていうか、普通は助けるだろ!この状況は!?頼むから……助けて!」
恐らくこの部屋で唯一まともな状態であるナターシャに、泣き言交じりの悲鳴をぶつける。
けれども――。
「普通……?あはは、アスラン。あなた何年あたしと付き合っているのよ。こんな面白い展開――あたしが台無しにすると思うのかしら?」
「あ、悪魔ァ――!ナターシャなんて大っ嫌いだぁああ!!」
彼女に普通を、そして常識を求めては行けなかった。
ナナミとナタリーの暴走の理由を知りつつも、傍観を決め込むらしい。
「いいじゃない。ナナミには処女を、ナタリーに至っては何回も犯されているんでしょ?男の子なら覚悟を決めるべきよ!うん……何よりも可愛らしく悶えるアスランは最高なんだから……ここは二人の思いに……いえ、ベアトリスも含めて、三人の娘の気持ちに応えるべきよ!」
『流石はナターシャ!人格者!わかってるぅ!――という訳で、一緒にダーリンと甘い時間を楽しみましょうよ!お嬢ちゃん!!』
「おっ、お嬢ちゃん!いうなぁああ――!!」
ナターシャとベアトリス。道理で気が合う訳である。
どちらも他人の都合等――この場合、アスランの名誉とか尊厳とか――など、お構いなしだ。
最悪の組み合わせの誕生だった。
「ううう!も、もう誰でもいいから……助けてくれぇえ!あっ、ふん!ナナミ……そ、そこは……ああァ!」
突如頭部に甘く切ない電気が発生し、情けない悲鳴を上げてしまう。
「アスランさん……この角本物なんですね!」
「や、やめ……んふぅ!あっ、ん……!」
ナナミが興味津々にふたつの角に触り、突っついてくる。
脳髄と繋がっているのか、切ないむず痒さが神経に走った。
「んあっ!ひゃああ!やめ……あは……ん!やめろっ!怒るぞ!」
「そう言う割には、尻尾がブンブンと動いていますわよ?まるで犬みたいに……私も尻尾を触ってみましょうかしら?」
「お、おい――あっ!」
ぎゅむ。
容赦なく、ナタリーが尻尾の付け根を握り締める。
途端、途轍もない悦楽の衝撃がお尻を貫いた。
(や、やぁ……ああ!ビリビリ……す、するぅうう――!)
怒鳴る気力すらも、一瞬で奪われる。
びくん、びくん、と全身を悶えさせながら、アスランはナナミへと寄りかかった。
「アスランさん!ああ……ごめん、なさい!私……やっぱり、アスランさんが……好きです。例えナタリーさんの姿でも……アスランさんが好きです!」
「あ、ああ!ま、待って!」
「……待てません」
接近するナナミの顔。
愛らしい少女のものではなく、歴戦の戦士を思わせる凛々しい男の顔。
接吻するつもりだ。
(あ!ナナミにキスされちゃう!に、逃げないと……って!くふぅんん!な、ナタリー……やめろぉ!今度は……羽か!?)
ナタリーが羽の付け根を優しく触れてくる。
すると、歯痒い切なさが全身を駆け巡り、さらにナナミへと崩れ落ちてしまった。
「くすっ……ダメですよ。アスラン……もうお互いに覚悟を決めましょうよ」
「――な、ナタリー!?」
どうやら確信的に、アスランの羽を弄ったらしい。
「アスランさん……それでは……いきますね!」
「お、お願い……ゆるし……んんっ!」
音を立てて、アスランとナナミの唇が重なり合った。
舌と舌とが触れ合って、ぬちゅぷ、ちゅぷ、ぬちゃ、と淫靡な水音が響き渡る。
(あ!ああ!ナナミの口づけ……前と変わらない……むしろ、もっと激しいようなっ……ああ!もう……何もかもがどうでもいいような――ああンン!)
処女を奪われた屈辱と恐怖。
処女ではけして味わえない快感と幸福感。
その相反するふたつの感情が、ナナミの口付けによって蘇る。
(恥ずかしいし……怖い。怖いんだ。――けど)
一生懸命に唇を奪うナナミの眼を見つめると、体が自然と汗を掻く。
心臓が早鐘のように脈打って、お尻がソワソワと落ち着かない。
(ああ!どうしよう……女として感じてる!お、おれ……喜んでる。こ、股間から……あの恥ずかしい体液を漏らしちゃっているよォ!!)
股間の肉割れより、恥ずかしいお汁が濡れ出してきた。
「あむっ……ちゅぷ!」
「なんだ……アスランも、気持ちいいんじゃないですか。ここ……濡れていますよ?」
「――っんあ!い、いわ……ひゃう!あああ!」
悩ましいキスの連続に、呼吸困難になりそうな彼を、ナタリーが背後より辱める。
本人にはその気はないのだろうが、言葉で軽く意地悪すると、甘く香る女の肉穴へと自身の指を下ろしていった。
「あっ、ひっ……い、やぁ……あっ……ああ!」
汗で濡れ光る太ももを撫でつつ、股座の奥へと指一本を突き入れる。
ぐちゅ、ぬちゅっ!
十分に濡れ浸った肉割れが、簡単にナタリーの指先を受け入れた。
「あっ、あひっ――!!」
今までで一番、強い快感の波に驚きが隠せない。
(そんな……さっきまでとは全然違う。ま、まさかまだ本調子じゃなかったのか!?こ、こんなの……抗える訳がないじゃないか!?)
反則だ、インチキだ――理不尽すぎる。
幾ら胸の中で呪っても、淫魔と化したナタリーの体は普段の何十倍も性感帯が敏感だ。
「うわぁ、ますます香りが強くなってきたわね。このままだとあたしも、おかしくなりそうだから……あたしは自室の方に戻るわ」
「お、おね……がい、ま!まってぇ……いま置いてかれたらっ!」
色情に狂ったナナミ、ナタリー、そしてベアトリスの中に放り込まれた、哀れな贄――と言うか、哀れな『小娘』であるアスランを放置するなど、あまりにも鬼畜な所業である。
彼の涙で揺れる瞳が、赤毛の魔術師を見詰める。
最後の希望を期待して。
だが、その僅かな希望はいとも簡単に裏切られることになった。
「あっ、ベアトリス……後でどんなに激しいセックスしたかは教えてよね。後、出来ればアスランやナタリー、ナナミをからかう話のタネもお願いね!」
『勿論よ!あっ、ただしダーリンを苛めるのだけは許さないわよ!お義姉さま!!』
「ああっ……ひ、ひどい!」
もう義姉妹のつもりで会話を済ませると、ナターシャは本当に自分の部屋へと入ってしまう。
「お願いします、アスランさん!」
「いいですよね、アスラン!」
「んはぁあ――!」
二人掛かりで押さえつけられたばかりか、ふたつのぶ厚い唇はアスランの体にキスを振らせる。
首筋や鎖骨は勿論のこと頬や瞼。
そして、角や羽の付け根にまでナタリーとナナミの唾液を染み込まされる。
「あっ、ああ――こんなの……たえられないっ!きゃうううぅ!」
自身の汗と雄の唾液でびちゃびちゃの女体より、さらに濃厚な悦楽が走り抜ける。
ガクンガクンと危険な痙攣まで引き起こし、流石のアスランも覚悟を決める。
――と言うか。
(うう!も、もう……どうにもなれって言うんだぁあああ!!)
ついにアスランも、諦めたのだ。
男であると言う虚勢を捨て去り、自分がひとりの女であると――発情した一匹の淫魔であると認めたのだ。
(で、でも……さ、流石に……こ、ここは……こんな場所ではぁ……!)
ただそれでも、僅かばかりの意地が残っていた。
せめて、こればかりは言ってやるぞ、とアスランはナナミの服を掴み……。
「べ……べっ……と」
「え?なんですか?」
「だ、だから……せめて……べ、ベッド!ベッドの上で……してくれ。こ、ここでは……嫌だ。こんな……場所は……ベッドの上で……俺を抱いてくれ!」
それは、それは可憐な声色で、ベッドでの情事を申し出た。
その姿に心惹かれない者はいない。
ナナミとナタリーはくすり、と微笑みを交わすと、同時に彼の体を誘導してゆく。
「了解しました」
「それではこちらですよ――姫様」
「……っ」
あまりにも恥ずかしくて、姫と呼ばれたことに文句が言えないアスラン。
顔を炎のように真っ赤に染め、言葉を詰まらせるばかりの彼を、二人は優しくベッドへと連れ去ってゆくのだった。


アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-3〉



「ダメだってば……こんなの!やっぱりおかしいぞ!ナタリーも!ナナミも!!」
「まあ当然よねぇ」
「ナターシャ!?どう言う意味だ!つーか、助けろ!馬鹿!!」
八つ当たり気味の大声を上げると、赤毛の魔術師はニシシっ、と笑いながら語り始めた。
「だって三日間の間、二人共男の性欲に悩まされていたんですもの。そんな状態で愛しい人にあんな可愛い態度取られたら、もう興奮するしかないわよっ!!」
「お、男の性欲!?悩まされていた!?」
「ええそうよ!お陰で私も寝不足よ――まぁ、その分たっぷりと潤わせて貰ったから……お互いさまかもねっ!」
「えっ、ええ!?ね、寝不足って……ま、まさか!?」
彼女の言おうとしていることが分かり、信じられないとばかりにナタリーとナナミに見やった。
すると、二人は真っ赤な顔で言い訳を口にする。
「あ、あんなの我慢出来るワケがないじゃないですか!あの妙な薬と魔法を受けてから……普段以上に簡単にアソコが充血するんです!す、少しでも欲望を解消しないと……はっ、発狂しそうでした。わ、私……女の人の体がないと!もう私……生きていけませんっ!!」
「ち、違いますよ!私は……まだナタリーさんほど重症じゃありません!私は姉さんに、襲われて!ナタリーさんを羨んでいた訳じゃありませんからっ!姉さんに無理やり……しゃ、射精させられたんです!!あ、あの……あのナカじゃないですから!手と胸だけですから……私はギリギリセーフですよねアスランさん!」
「なんですか、そのずるい言い方は!?私だってナナミの男根を慰めるのを助言とかして手伝ったじゃないですか!!それに……私だってナターシャの手や胸でして貰っただけですよっ!?……後は、足の指でねっとりと……責めて貰っただけですぅ!!」
「ううう!と、兎に角、アスランさん――私のこと嫌いにならないで下さい!」
「私も!私も嫌わないで下さい!あ、アスランのこと好きなんですからっ!!」
「……う、あああ!頼むから!二人とも!落ち着いてくれぇええ――ッッ!?」
自分の知らない間に、すっかりと『牡』に染まっていた二人。
当人たちは真剣なだけに質が悪い。
そして、二人とも男の欲情に堪えきれないから――始末に負えなかった。
恥じらいつつも、欲情の眼を向け続ける二人に、アスランは拒絶の言葉を紡げなくなる。
(ああ!そんなこと言ったら俺も……俺も!あの硬くて太い……男のちんちんが――欲しくなっちまうう!お、男なのにぃ……ううう!)
むしろ、ナタリーとナナミに感化されて、生唾を飲みながら、男の一物を想像してしまう。
気分は、もうほぼイヤらしい『女』そのものだった。
「……アスランさん」
「……アスラン」
「な、ナナミ……ナタリー……あっ、ああン……あっ、ん」
破廉恥な喘ぎ声が、口から漏れる。
アスランの透き通った肌に――衣類越しであるものの――二つの硬い感触が、擦り付けられて。
(ひゃああ!ふ、ふたりの……ち、ちんこがぁあ!勃起した……こんな硬くて……大きくて……変態なおちんぽが……お、俺を狙って……あうう!こ、怖くて、恥かしいのに……胸がドキドキ騒いでるゥ!!)
ただでさえ敏感な女体が、悩ましい汗を滲み出しながら火照り出す。
二人の興奮に引き摺られて、性感がますます鮮明になる。
「あっ……ん!やだ!やめ、ろぉ……!」
揺さぶられる豊満なバスト。
ゆさゆさと動かされていると思いきや、次には硬い胸板で形が歪むほど押し潰される。
(んっ、おっぱいが……熱い!)
悩ましい愉悦が胸全体に広がり、アスランは肩を小さく震わせた。
『ああダーリンの体がすごく、いい!最高……この筋肉!この硬さ……もう身も心も捧げたくなっちゃう!』
「な、何を勝手なことを――!お、お前のせいだろ!な、何とかしろぉ!」
『もう覚悟を決めようよ、お嬢ちゃん!』
「そ、そんな――い、嫌なものは嫌なんだ!!」
『ムッ――そこまで反対するなら、私にも考えがあるんだからッ!!』
「あっ、ああ!?な、なにィィ――――!?」
悪魔でも男の意地を守ろうとした態度が、気に入らなかったのか。
否、早く愛しのダーリン――男のナナミ――と一つになりたかったのか。
気合の入ったベアトリスの叫びを合図にアスランの体が眩しい光に覆われる。
「アスランっ?」
「うそ……!?」
ナタリーとナナミの顔に、驚愕の色が現れる。
「う、うわあっ!」
しかし、彼には彼女らを心配する余裕はなかった。
(ふ、服が――!)
眩しい光の中で、美しい豊満な女体を守っていた衣服が消失する。
まるで淡い光の泡が、風に吹き飛ばされてゆくかのように。
「んっ……くう――!」
動作を起こそうとする時間はない。
嫋やか女の身体が、一糸纏わぬ姿に晒される。
「ひゃあ……っ!」
恥ずかしげに頬を染め、パッと胸元を庇う。
「なっ――!」
だが、彼を襲う変化はそれで終わらなかった。
むしろ、これからは本番なのだろう。
消え去った衣服の代わりに、黒い輝きがアスランの双房に現れる。
渦を巻くように回転し続ける漆黒の粒子。
その形が上と下へと伸ばしてゆく。
「あっ、ああ!」
彼の両手を素通りして、ふたつの球体をゆっくりと包み込んでゆく。
暖かい、と思った。
すると、そのまま黒い輝きは物質へと変化する。
「ひゃ……ん!こ、これって……うわあ!」
冷たい質感と、強靭な弾力。
おっぱいを隠しているつもりが、『さらさら』ないのか。
ふたつの肉勃起だけを布地で覆っている有様に、彼の羞恥心は跳ね上がる。
(う、うああああ!や、やめろぉ……こ、こんな恥ずかしい姿……あひぃいい!!)
首には革製の首輪が、両手首には鎖の付いた鉄枷が。
そして、脚の付け根からしなやかな足先までには、ピンク色のストッキングが。
虚空より出現し、アスランの柔らかな乙女肌をぴったりと締め付ける。
(これって……この姿って……ああ!あの淫魔の服にそっくりじゃないか!)
それは一度だけ見たことがある服装に、そっくりだった。
魔王軍の幹部にして、どこかミスが多い淫魔の衣装の特徴と類似していた。
『鎧姿だけではなく、こんな姿にもなれるのかっ!?』と驚きと怒りが、体を襲う。
「――って!まさかっ!?」
そして、同時に肝が冷えるほどの悪寒が沸き起こった。
(まさか!そんなまさかだよな!衣服だけではなく、力も向上するからって言って――そんな、まさか!これ以上……変化がある訳が……っ!)
あのお城での戦いでは、身体能力すらも向上していた。
まるで鎧に合わせるように。
しかし、だからと言って――淫魔のような出で立ちに似合った能力が自分に現れると考えるのは、考えすぎなのだろう。
そう自身の姿が、身体が淫魔のように成り果てるなどと。
少し妄想が飛躍し過ぎているのかもしれなかった。
だが――しかし。
「ふぇええ!み、耳が!な、なぁあああ!?い、いやぁああああ――!!」
その杞憂を後押しするかのようにアスランの耳が、『ニュウ』と伸び出してゆく。
「や、やだ!やめっ……ああ――!か、髪まで!?」
ボリュームたっぷりの銀髪が一斉に揺らめいたと思いきや、毛先よりピンクの煌めきが毛根まで広がった。
妖しい桜色の光りを宿した細い髪が、鋭く尖った耳に絡みつく。
「そ、そんな――こ、これ以上は……ひゃぁ?あんっ……く、ふぅンン!?」
どくん、とまるで炎に包まれるような衝動に駆られるアスランは、恥ずかしい声を上げて、身悶えた。
その間にも、変化は――肉体の変化は止まらない。
鋭く尖った耳、妖艶で濃厚なピンクの輝きを宿す頭髪。
そして、今度は頭部の両脇より、鉱物を思わせる硬く黒い角が二本突き出て来た。
それは特徴的に入って――悪魔の角だった。
「そ、そんな……だめぇ……ああ!」
角が生え出てくると、今度は背中の方で切ない熱が生じ始めた。
それは瞬く間に、黒い花の蕾と化して、ゆっくりと――だが、確実に肥大化してゆく。
(あっ、あん!お、お尻まで……あつい!)
ジン、と背中とは違う灼熱の痺れがお尻に集まってくる。
「ふ、ぁ……ぁあ……ん!」
背中の黒い蕾が、弾けるように……咲き乱れた。
「あ、あふぅ!んっ……は、ね?羽が……俺に!?」
角に続き、悪魔の羽が、アスランの背中に現れる。
さらにほぼ同時にお尻より先端が逆ハート型の尻尾が生え出て来た。
「……そんな。し、尻尾まで……!」
悪魔の羽が揺らめき、悪魔の尻尾がクネクネとダンスを踊っている。
その淫らな服装――魅惑の谷間を惜しげもなく曝け出し、股間は申し訳程度にしかない前張り、両足には艶かしく輝くストッキング――から見るに、立派な淫魔である。
「ああっ!ちが……み、見るなぁ!三人とも見るんじゃない!こ、こんなは、恥ずかしい姿――お、俺はお、男なのにぃ!こんな……淫魔の姿なんて!あっ、あんまり!あんまりだぁああ――ッ!!」

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アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-2〉



「……っで、ナナミは結局どうしたんだ?なんで部屋から出ないんだ?」
「……どうしますナターシャ?伝えますか、あのこと?」
アスランからの問いに、ナタリーは気不味そうに目線を逸らすと、ナターシャへと言葉を投げかける。
まるで『後は任せました』と言わんばかりに。
「ナタリー?何か隠してないか?」
「――えっ!そ、そんなこと……あり、ません!?」
途端、今まで格好いい顔をしていた彼女の表情が、トマト顔負けに赤くなる。
「おい――絶対に何か隠しているだろ!?」
「いや!本当に……なんにもないですよぉ!」
「伝えるも何もないじゃない!何時までも部屋に引き篭ってはいられないんだし――ほら、ナナミ!アスランが心配しているんだから、顔を出しなさいよ!!」
ナタリーを問い詰める横で、ナターシャが妹を呼び付ける。
しかし、返事はない。
「もう……しょうがない娘ねぇ」
『あれー?……そう言えば、私もナナミって娘と暫く合っていないわね?ここに泊まって直ぐだっけ?あの娘が部屋に篭ったのは?』
「おい!本当にナナミの奴は大丈夫なのか――!?」
「ほら見なさい!アスランをこれ以上、心配させるつもりなの!?いい加減にしないと――あのことも包み隠さず話しちゃうぞ!」
「――ね、姉さん!卑怯者!?秘密って言ったのに!!」
最後に付け足した言葉の効果は絶大だった。
ナナミが沈黙を打ち破る。
『――ねえ、お嬢ちゃん?ちょっと聞いてもいい?』
「お嬢ちゃん言うな!……で、なんだよ?」
『いやーあの娘とは数回しか言葉を交わしていなかったけどさぁ……声が違うわよね?今の声……どう聞いても男の人のモノじゃない?』
「……え?」
指摘されて初めて気が付いた。
今までの彼女の声とは、まるで違う。
次元が――と言うか、”性別”が違う声である。
(いや、待てよ?今の声は前に聞いたことが――お、おい、おいおい!ちょっと待て!!)
まるで男のような響きの声に、アスランの頭脳が予想を打ち立てる。
最悪の予想を。
「うっ……ううぅ……お、驚かないで下さい……アスランさんっ!」
その考えを肯定するかのようにナナミが、その姿を現した。
黒子が残る瞳には面影が残るものの、涙で濡れている顔はどう見ても『女の子』ではなかった。
「あっ、ああ……ナナミ!その……姿!?」
実に男前な顔立ちと、泣き虫のような表情が恐ろしく似合っていない。
けれども、アスランの元の肉体よりも頭ひとつ分大きな巨体は、まさに筋肉隆々といった有様で。
浅黒い褐色色の筋肉の鎧を見ていると、思わず息が詰まりそうになる。
例えば元の体だとしても、こんな『彼』と出会ってしまえば間違いなく道を譲ってしまうだろう。
(ああ!間違いない……これナナミの男姿!あ、あの時の……かっこいい!ナナミの姿!)
男から見ても惚れ惚れしてしまうほどの――雄々しい青年。
そして、それこそが今のナナミなのだ。
「あううぅ……アスランさん……申し訳ありません。……この姿を二度と見せたくなかったのですが……実は姉さんの魔法石が……ペンダントが故障したらしくて」
「恐らくルートのあの剣と、ペンダントの魔法がお互いに干渉したのが原因ね。直ぐには直せない……と言うか、一から作り直さないといけないから、暫くはこのままよ」
「そ、そんなぁ――!」
見た目が格好良すぎるためだろう。
本人には悪いが、涙を浮かべれば浮かべるほどナナミが滑稽に見えてくる。
もっとも、そんなシュールな光景が、以前に起きてしまった『事故』の記憶を、否応が無しに呼び起こしてしまう。
(そんな……なんで今のタイミングで!その姿を……ああっ!ダメだ!体に……変なスイッチが入るぅぅ!)
どくん、どくん。
忘れる訳が無い。
女として初めて犯され、辱められた『男』のことを。
(子宮が……お腹の奥が……熱い。ひ、ひぃいンン――や、やだぁ!)
とくん、とくん。
忘れる筈も無い。
女としての喜び、高揚感を教えてくれた『牡』のことを。
甘く切ない気持ちが胸いっぱいに広がって、お腹の奥が悩ましく蠢いた。
「……うっ、あ……ん!」
体が火照り、頬も炎のように熱かった。
「はぁ、はあ……あんっ……」
ナナミの顔から、何故か目を逸らせない。
そして、引き寄せられるようにして体が、腕が動いた。
(はぁ、はぁ……すごく胸がうるさい――って、何だか本当に勝手に動いていないか!?俺の体!?お、おい!待て……!!)
確かに男となったナナミに、少なからず興奮を覚えたのは――恥ずかしい限りだが――事実だ。
しかし、行き成りその体に触れようとするほど色情に狂っているわけでもない。
なのに――。
「え!?」
「アスラン!?」
「ええ!ちょっと大胆すぎぃ――!」
皆の前でナナミに抱き付いてしまった。
その上――。
『ダーリンっ!!』
何とも低俗な言葉を吐き出してしまった。
「アスランさん!?ダーリンって!?う、うえええ!!私がダーリンで!いいんですかァ――!?」
「ちょっと待って下さい!な、なんでそうなるんですかぁ!?……そんなアスランがナナミを好きだったなんて!しかも、男の姿の方を――そ、そんなのダメですぅうう!!」
「わーお!まさかの超展開!ここはアスランにお義姉さまって呼ばせるべきかしら!!」
「待て!皆ちょっと待ってくれぇえええ――!!」
『ダーリンっ!もう一生離さない!!』
「って犯人はお前か、ベアトリス!!」
一瞬、己の口が放った発言と錯覚したものの、犯人はベアトリスだった。
『なんていい男!こんないい男がいたなんて!私の馬鹿!馬鹿!馬鹿!一緒にベッドまで行きましょう!ダーリンッ!!』
「ええ!そんなアスランさん――わ、私まだ覚悟が……でもアスランさんが望むなら!!私は……お、男でも!この姿でも!!」
「そんな……ず……ずるいです!私の体なのに……アスランと交尾するなんて!!」
「二人共気づけ!俺じゃない!か、体が動いているのも!変なことを言っているのも―― 
っていうか、ナタリー!こ、交尾って!そんな破廉恥な言葉を使うのはダメだろ!?王女なんだから!!」
まだ勘違いしている二人が――中身はともかく、外見は『男』であるわけで――とても恐ろしい。
鍛えられた男の体に挟まれる威圧感に、息苦しさを覚える。
「んはぁはぁっ……お、落ち着いてくれよ。ふたり、ともぉ……!」
潤んだ瞳を向けて、弱々しい声で懇願した。
すると、ナナミとナタリーは同時に顔を赤らめた。
「反則ですよ!その顔……!」
「アスラン……可愛すぎますぅ!!」
アスランにとって彼女らが『男』であるように、彼女らにとってアスランは『女』なのだ。
その事実に気付けない彼は二人の様子に首を傾げるが――何もかもが遅かった。
「……え?あ、あれ?」
「アスランさん!がぁ!わ、悪いんです!そ、そんなに可愛いから!」
「はぁ、はあ……ああ!そうですわ!そんなにい、イヤらしいから私――私たち!う、おお!」
「ひぃいい!?」
上気した顔で、愛らしい瞳に涙を浮かべ見上げられると、もう二人は止められない。
ギラギラと、仲良く瞳を輝かせながら、二人掛かりでアスランの身体を抑え付けて来た。
「た、タンマ――!や、やだぁあ!やめ……あっ、あああ!あんっ……!」
『うふふ。いいわ!ダーリンだけじゃなくて、こんな可愛い男の子ともセックス出来るなんて!中身が女なんて些細な問題よ!お嬢ちゃん、私たち女の力で彼らを楽しませてあげましょうねぇ!あははッ!』
「お、俺は男だ!い、嫌だ!……俺は男なんだ!!」
アスランは必死に言い聞かせる。
自分は男であると。
だから、おいそれと『女』として抱かれるのは御免である、と
『イヤー!我慢出来ない!我慢無理ぃ!お願いよぉお!一目惚れなんだからっ!この人とセックスさせてぇえええ――!』
「い、イヤダァああああ!!」
だが、ベアトリスの方も一切妥協しない。
男になったナナミに心底惚れているらしい。
どうにも困った状況である。
(第一にまたナナミに犯されたら……その上な、ナタリーにも犯されたら!!うううっ!今度こそ女の快感から抜け出せなくなる!い、今だって……見ただけで!)
ベアトリスの影響なのか、散々ナタリーに犯された後遺症なのか。
はたまた秘薬と魔法の力が、まだ体に残っていたのか。
精悍な顔を欲情で歪ませているナナミ。
そして例え元は自分の顔だとしても――興奮し息を荒げているナタリー。
二人の様子を、その雄々しい顔を見ているだけで、胸が熱くなる。
「ああ!まっ、まって……本当に!せ、せめて心の準備を……はうぅ!あううっ!」
「か、かわいい!かわいい!だ、駄目です!私……我慢無理みたいです!ナタリーさんの体を――抱きたい!アスランさんを抱きたい!」
「ひゃうう!まっ、待ってぇ!」
「ナナミ……そうですか。分かりました……男の性欲の強さは私も理解があります。いいです、私の体をどうか好きにして下さい!」
「や、やだぁ!早まるなぁ!お、落ち着いて!二人ともッ!!」
「な、ナタリーさん?い、いいんですか!?」
「あ、あの……ですが!そ、それに……その……私も一緒に参加させて頂きたいのですが……宜しいでしょうか!?」
「はいっ!勿論です!!」
「そんな気持ちのいい返事をするなナナミ!ナタリーも……そ、そんな体をくっ付けて来て……頼むから話を聞けよぉ。そ、そんなお、俺……俺だって――こんなの我慢なんて……あっ、ああぁ!!」
二人は妙な友情を育みながら、今のアスランよりも遥かに高い巨体で近寄ってくる。
ジリジリ、と。
「あっ……あっ!だめぇ……こんなの……おっぱい歪むゥー!お、お尻をさ、摩らないでぇ!」
外見は男な乙女たちが、ますます彼の体を包み込んだ。
(な、なんだよこれぇ!い、幾らなんでも……ナタリーも、ナナミも様子がおかしいぞ!?俺が寝ている間にいったいなにがっ、っ!!)
ナタリーも、ナナミも、異性の欲情に免疫が出来ているように思えてならない。
男の激情を開放したくてウズウズしているのが、文字通り肌で分かった。
(ああ!お、男の逞しい筋肉が……俺の体に擦り付けられて……ああっ!お、俺の方も体がも、もっと柔らくなって――ほ、火照ってる!や、やばいよぉ!こ、これぇ……!)
洒落にならないほど、男の欲望を受け入れているナタリーとナナミ。
二人の無茶苦茶な行動に、しかしアスランの女体は悩ましい疼きを走らせる。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-1〉



「……ん、あれ……ここは?」
重たい瞼を手で擦り、ゆっくりと辺りを見渡す。
質素な家具に、自身が横たわっていた小さなベッド。
どんな町にもありそうな宿屋の一室が、そこにはあった。
(俺……なんで、こんなところに……?)
ベッドから降りる。
すると、胸元のバストが盛大に弾む。
(うぅっ……朝からこの重さは……やっぱり気が滅入るなぁ)
存在を主張し過ぎる乳房の波打ちに、彼は――アスランは起きて早々に眉尻を曇らせる。
「はぁあ……早く男に戻りたい。いや……ナタリーの体が嫌ってわけじゃないけど……それでもなぁ……」
『――へぇ。もう聞いているから驚かないけど……本当にお嬢ちゃんって中身が男の子だったのね』
「うわっ!?だ、誰だ――!?」
返事を期待していた訳ではないのに、己の愚痴に反応する者がいた。
急いで辺りを見やる。
けれども、部屋の中にいるのは彼だけである。
「……?な、なんだ?」
『え?ちょっと!?もしかして私のこと忘れちゃったの!?ここよ!ここ!』
いや、違う。
姿形はない。影も見当たらない。
それでも、己の意思で甘ったるい声を発する存在が、確かにここに居た。
アスランの『中』にいたのだ。
「なぁ――ッ!?」
声が聞こえてくる方向に、と言うか、下に目を向ける。
不本意ながら見慣れてしまった乙女の胸元。
ナタリーの豊満すぎる胸部と鎖骨の間辺りに、艶めかしいピンク色の紋章が浮かんでいた。
(なんだ、これ?)
アスランには、瞳に映る紋章に覚えがなかった。
そもそも大切にしなければならない借り物の肉体に、このような刻印を付ける訳もなく――。
「――え?な、なんだコレ!?」
軽くパニックに陥る。
すると、再び謎の声が語り掛けて来た。
『ハァァ……もう。すっかり忘れているのね……いいわもう一度教えて上げる!私よ、私!私の名前は――ベアトリスよ、お嬢ちゃん!』
「べ、ベア?ベア……トリス?――ああッツ!?」
記憶が、一気に舞い戻る。
(お、思い出した!?ベアトリスだ!じゃ、じゃあ――あのお城での出来事は全て本物で……あううう!お、俺……ナタリーに犯されたんだ!しかも何回も!)
真っ先に何度も何度もナタリーに犯された恥辱の記憶が、意識を支配した。
逃亡することに夢中になって、深く省みることはなかった。
けれども、寄りにも寄って自分の体を持った王女に女として抱かれた事実は、アスランの心に複雑な心境を齎す。
(ああ!ナタリーにどんな顔をすればいいんだ!それにナナミやナターシャにも知られちゃったし!!うう……俺が何の抵抗も出来ずに、恥ずかしく乱れた姿も!男なのに!し、しかも……気持ちよくなってきて――って!俺は何を考えているんだ!!)
ただ無抵抗に力尽くでモノにされてしまう恐怖、悔しさ。
今、思い出しても恥ずかしさのあまりに死んでしまいたい。
――が、同時にナタリーに胸を撫でられた感触や強く包容された際の心地よさ。
そして、女陰を執拗に男根によって刺し貫かれた灼熱の悦楽。
それらを考えてしまうと、どうしても体が火照り出してしまう。
嫌で、恥ずかしかった筈なのに。
(く、薬のせいだ!魔法陣のせいに決まっている!……抱かれるのが……頭が馬鹿になるくらい気持ちよかったなんて!うう……気の迷いだ!)
胸に確かな喜びを感じてしまう自分。
やはり死にたいほど恥ずかしい。
だが、それでも『女』の悦楽が頭から離れられないのだ。
『もうしっかりしてよ、お嬢ちゃん。幾ら三日間眠っていたとは言え、ボケっとし過ぎているわよ?』
「う、うるさい!お嬢ちゃんじゃない!俺は男――お、おい?ベアトリス、今なんて言った……三日間?俺は三日間も気を失っていたのか!?」
『そうよ。ドラゴンに乗って暫くしてから、あなた気を失ったのよ』
「……ほんとう、なのか?」
『恐らく私の力を使った影響ね。まあ慣れればそんな心配もないと思うけど』と言うベアトリスの説明も、耳には入らない。
(本当に……あれから三日が経過しているのか?ナタリーやナターシャ!それにナナミは!?ナナミの怪我は!?確かめないと!)
仲間の安否を気にかけて、アスランは部屋の外へと飛び出した。
「ナタリー!?ナターシャ、ナナミ――!!」
大声を叫ぶ。
すると、返って来たのは思っていた以上にのほほんとした声だった。
「あっ、アスランっ!?」
「目が覚めたのね!こっちよぉ!」
「そっちか!?」
声のする方に、足を進める。
椅子に腰を掛けているナタリーと、ナターシャがそこにはいた。
(な、ナナミがいない!?)
唯一ナナミだけが、その場にいなかった。
アスランは早速、二人に問いかける。
「な、ナナミはどうしたんだ?大丈夫なのか?そ、それとあれからどうなったんだ!?」
「えっと、それはその私の口から説明するのは――ちょっと難しいのですが」
「あの子は大丈夫、命に別条はないわ。むしろ、元気すぎるくらいで。まったく問題はないわ」
困った風に顔を顰めるナタリーと、ニタニタと笑うナターシャの態度に疑問を抱く。
だが、それよりも前に壁より謎の音が響いてきた。
ドン!
「い、今のって……」
「ナナミ!?ダメですよ!壁が壊れます!!」
「そうよ!壁の修理費なんて出したら、それこそ貯金がそこを付いちゃうんだからね!それでもいいの!?」
「やっぱり今のナナミ!ナナミなのか!?」
正体不明の音の原因が、心配しているナナミであると知ったアスランは、急いで壁の向こう側へと――彼がいた小部屋とは別の部屋へと向かおうとした。
しかし、それをナターシャに引き止められる。
「ダメよ!アスラン!今はまだ……あの子の体調はあたしが保証するから、安心して!」
「だ、だが――!」
「まずはあたしの話を聞くの!ほら、座りなさい!!」
「……わ、分かったよ!」
取りあえずは、ナターシャの言葉を信じることにした。
渋々ながら椅子に座る。
「そ、それで……俺が気絶した後のことを話してくれ」
「――そうですね。まず私たちが、致し方なく火竜で飛びだった後になりますが……私が意識を取り戻してから暫くして今度はアスランが意識を失いました」
「それで、一旦どこかで体を休めようって話になったの。クーちゃん適当な場所に降りてもらって、今は宿屋に滞在中。で……アスランが起きない間に」
『――私との自己紹介済みよ。お嬢ちゃん』
「そ……そうだったのか」
意識を失ったアスランを、ナターシャが調べるのは当然の流れだった。
その過程で例の力――鎧を身に纏い、身体能力が向上した出来事――を引き起こしたベアトリスと奇妙な交流を済ませていたのだ。
「いや。最初はどんな如何わしい存在かと思ったけど、話せばとっても趣味がいい子で助かったわ。お陰で今じゃ意気投合よ!ねっ、ベアトリス!」
『勿論よ。ナターシャ!』
「……」
自分の胸元にウィンクをするナターシャと、それに元気な声を返すベアトリス。
何だろう、アスランは嫌な予感しかしなかった。
「あっ、そ、その!ナタリー……ベアトリスの件なんだけど!」
しかし、今はそれどころではない。
彼は申し訳なさそうな顔で、ナタリーを見やる。ビクビクと怯えながらに。
「あっ……それはその……もっ、もういいです!緊急事態でしたし、ベアトリスのお陰で助かったのは事実ですから」
「……でも……ナタリーの体を勝手に……その悪い言い方だけど……売ったようなものじゃないか」
本来激怒してもおかしくない筈のナタリーは、予想に反して微笑みを浮かべていた。
「……もう気にするのはやめましょう。私たちが置かれた状況が状況ですから。それにアスランや皆を守れるなら、これくらい平気です!」
「そ、そうか――!」
彼女らしい真っ直ぐな決意に圧されて、アスランは少し気恥ずかし気分になった。
(ますます男らしくなったなナタリー……って、だめ!変なことを考えるな!ナタリーは女
!ナタリーは女!!そして、俺は男だ!!)
危なく心臓がキュンキュン、と高鳴りかけた。
まだ本調子ではないのだろうか。
彼女のことを『男』と見てしまう。そして、思考が『女』みたいになっている。
(気を付けない!これ以上、女っぽくなって堪るか!!)
折角、城から脱出したのだ。
これまで失ってしまったモノ――男としてのプライドや、男としての名誉――を取り戻す勢いで、ピンク色に染まりかけた心を叱咤する。
だが、今尚も王女の体と言う、若々しい上に濃艷な体付きの女体に精神を封印された男に、そう簡単に甘い展開は訪れない。
彼は直ぐに悟る。
城から逃げ出し、ナタリー、ナターシャ、ナナミ……そしてベアトリスと旅をすることこそが、本当の受難の始まりだと。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-8〉

「な、ナターシャ?」
「何を言っているのですか?」
恐る恐るアスランとナタリーの瞳が、紅色の魔術師へと向かう。
「ん、だから壊すの。ここの天井を――」
トラブルを引き起こすのが奇跡的に上手い天才魔術師ナターシャへ、と。
もう二人は空いた口を閉じられない。
だから、代わりにナナミが絶叫した。
「姉さん!何を考えているんですか!?ダメ!ダメダメ!ダメです!」
「えーっ!いいじゃん!もういちいち戦うのが面倒くさい!どうせ逃げるなら、ド派手な方がカッコイイし!」
「カッコイイとかの理由でお城の地下を壊さないで下さい!第一に私たちが生き埋めですよ!?」
「私も……その、このようなことに巻き込んでしまって申し訳ないのですが……そのような理由で城を壊されるのは……遠慮したいのですがっ……」
「そ、そうだぞ!まず何か色々考えてからにしよう!破壊からは何も生まれないぞっ!?」
三人が、必死に引き止める。
だが、反対されればされるほど燃えてしまう性分なのだろう。
「やっ!もう決めました!決めたもん!やるよ、あたしは!!」
「ああもう!!危険です!生き埋めです!」
「いやいや!そこはちゃんと対策を考えているし……要するに生き埋めになるほどの瓦礫も――跡形もなく吹き飛ばせばいいんでしょ?」
「――って!どれほど危険な魔法を使う気なんですか!?」
「余計に悪いですよ!?」
「ちょっ、本気で待て!上には人がいる可能性が高いんだぞ!?死人だけはダメだ!」
「流石はアスランさん!?すごい常識的なご意見!……だっ、そうなので、姉さん。別の方法を考えましょう――!」
「ううっ……そこまで言うなら……っ!」
死人と言う言葉だけは流石に無視できなかったようだ。
ナターシャは渋々と引き下がろうとした。
だが……。
「……大丈夫ですよ?」
悪魔の囁きが、ナターシャの耳に入り込む。
「一応、武具の暴走も想定して、ここは中庭の下に作られているらしいので……上を破壊しても恐らく死人はでないと思いますよ?」
ナナミたちの会話を――妨害も、挑むこともせず――傍観していたルートが、聞いてもいない情報を漏らしてきたのだ。
「あ、あなた――!何を言ってくれているんですか!?私たちに逃げられたら困るのはそちらでしょ!?」
「いえ、確かにそうなのですが……あのナターシャ様が、どのようなことをするのか是非、拝見したくて」
「お前!余計なことを言うなよな!!」
「そっかー……人がいないのか。えっと……この時のための用意したオリジナルの破壊魔法が……」
「ナターシャ!?そんな危険なものをいつ作っているんですか!?」
本格的に、不味い。
確かに現国王の意向は、アスランたちにとっては相容れないものである。
だが、しかし、だからと言って、彼らは王国のお城を損壊させる度胸も覚悟もしていないのだ。
ナターシャを除いて。
「うう!お、おお!そうだ!そんな強力な魔法使ったら、ここの道具が――魔王の遺産が暴走するんじゃないのか!?」
「ナイス!ナイスです、アスラン!」
「むしろ、天才です!そ、そう危ないから!だから止めて下さい!!」
二度目の妙案――ナターシャの暴走を止められそうな説得理由――を考え抜いたアスランに、ナタリーとナナミから称賛が送られる。
「いえいえ……封印も二重、三重にしているんで、余程のことがない限り大丈夫と申し上げます。先ほどは控えるように言いましたが、あれは嘘です」
「あ、あなたは――!!」
「いい加減にして下さい!!」
「こいつは――ナターシャはやると言ったら、とことんやる奴なんだぞぉ!!」
「うわ!危ないじゃないですか!まったく……!」
「お前には言われたく……ない!!」
自分にとって不都合なことを何故かペラペラと喋るルートに、遂にアスランは握り締めた剣で制裁を加える。
剣と剣がぶつかり合う光景を背中に、ナナミが再度姉を説得する。
「姉さん……な、何か別の方法があると思うから……そんな威力を考えるのも恐ろしい魔法を使うのはやめましょう!ねっ、ね!!」
誠意が、今度”こそ”伝わったのか。
ナターシャの口から、三人が待ち望む言葉が出た。
「分かった。やめる」
その瞬間、ナナミとナタリーは嬉しさのあまりに互いを抱き締め合った。
そして――。
「魔法で壊すのは止めて。物理的に破壊するね!……念には念を入れて!!」
意気揚々と喋る内容と、その手に持つ赤い水晶玉を見やった瞬間、三人は同時に思った。
『誰か、こいつを何とかして欲しい』と。
「ね、姉さん――!」
「その水晶玉は、確か――!」
「あ、アルバ火山で封印した――あ、あの!あの火竜の!?」
「えへへ。ずっと可愛がって上げたから、あたしの命令なら絶対に聞くはずよ!……多分――そういう訳でルート」
「はい?なんですか?」
「あんたたちの敗因はアスランたちに構い過ぎたこと。私とナナミを侮ったこと――そして私の所持品を同じ地下牢の部屋に管理していたことよ!!あーはっはは!と、言う訳で――」
「ま、待てェェエエ――っ!!」
アスランが走った。
ナタリーと、ナナミが、赤毛の魔術師の体に抱きついた。
けれども、遅い。
何もかもが遅かった。
ぱりん、と彼女の手より溢れた水晶が地面で割れる。すると、眩しい光と共に……。
「――早く、逃げますよ!!」
ルートが、いち早く踵を返した。
閃光の中より現れる存在(モノ)を認識して。
「ま、待って下さい!?」
「ルート様!?」
「貴方たちはあれを見ていないのですか!?あれは……危険すぎます!!」
凄まじい速度で部屋を飛び出したルートを追いかける部下たち。
敵が部屋から消えた直後――扉の向こう側より増援部隊とルートの会話が響いてきた。
「おお!ルート様!勇者様たちはどこに――ってどこへ!?どこへ行くんですか!?」
「逃げるんです!貴方たちも早く逃げた方がいいですよ!!死にたくなかったら!!」
「えっ!どう言う意味ですか――!?それは!?」
怒鳴り合うように話し合う彼らの言葉を聞きながら、三人は激しくルートに同意していた。
「あ、ああ!ナターシャの馬鹿!大馬鹿野郎!!」
もっとも、逃げたくても逃げられないために、ただその状況を見守ることしか出来なかった。
「ああ!お城が……いえ、国が……大変なことに!」
「ナタリーさん!気をしっかり保って下さい!ああ!誰か私の姉を何とかしてくださーい!!」
三人は三人ともが絶望の顔色を浮かべながら、首が痛くなるほどの急角度で、『上』を見やった。
天井に近い、巨大な背丈。
真紅の二つ目に、巨大な牙。
爪は、冗談かと言いたくなるほど凶悪な鋭さを持っている。
そして、なんと言っても印象的なのは真っ赤な身体である。
マグマのように赤く、そしてマグマのように熱い。
赤黒い鱗に隙間なく覆われている体躯より、蒸気が噴出していた。
「グルルゥウウ!!」
ソレ――が、背中に生えた翼を羽ばたかせながら、苦しげに唸った。
水晶玉より解放された巨大な肉体は、天井も壁も圧迫しながらも、さらに大きく成長していく。
いや、元に戻っているのだ。
ピシっ、メキ!ゴゴゴッ!――ゴキ、メキャっ!
部屋の至る所にひび割れが発生してゆく。
低い獣声が鳴り響くたびに、小さい破片が天井より落ちて来た。
その光景に歓喜の声を上げる者がひとり。
無論――ナターシャだ。
「いっけー!クーちゃん!!」
「グっ、グォオオオ……ッ!!」
羽ばたきを一層加速させ、尾に生えた丸太のような尻尾を跳ね上げる勇ましい姿。
低い呻きはいつの間にか、獣の――否、魔獣の遠吠えへと変わっていた。
そして、遂に地下空間全体を巨大な体躯が押し上げてゆく。
後は、あっと言う間である。
「グォオオオ!グルルゥ!!」
灼熱の蒸気を全身より噴き出しながら、ナターシャに呼び出された火竜――以前、仲間たちで封印したドラゴン――が、天も壁もぶち破る。
ガラガラと落石が落ちてくるが、関係ない。
人間とは比べ用もなく強力な外皮で受け止めると、背中を突き上げて石や土を跳ね返してしまう。
「あ、あはは……もう……滅茶苦茶ですぅ……あは、はぁ……」
「クーちゃん!偉い、よくやったわ!ほら……皆行くわよ!」
「もうヤケクソだ!馬鹿野郎!!」
「ね、姉さんの馬鹿!やり過ぎですよぉ――!!」
もうここまで来たら覚悟を決めるしかないだろう。
ナターシャを追いかけながら、仲間たち全員が巨大な背中に飛び移る。
「ああ!?ナタリーさん、しっかりして!?」
「……もう私……ダメそうです……」
「な、なな!ナタリー!?」
その中で、約一名だけがダメだった。
精神的に。
目の前の現実、と言うか、誰もいない中庭とは言えお城の花壇を巨大なドラゴンが踏み荒らす光景に、ナタリーの意識は限界を迎えた。
意識を手放し、倒れた彼女を必死にナナミとアスランが支える。
「さあ!クーちゃん!飛びたてぇ!!」
「――がっ、グオオオオオオオォォォ!!」
おぞましい雄叫びが、城を――否、国を襲い、火竜が四人を乗せて飛び立った。
「グルルゥ――♫」
久しぶりの自由な空に、火竜は上機嫌。
「ふふんっ♪ふふっ♪」
ナターシャも鼻歌なんかを口ずさんでいる始末だ。
だが、それに比例してナナミたちの心は浮かばれない。
「……どうしよう。今の叫び声で下が――国民がパニックになってるぞ!?」
「ごめんなさい!姉さんがごめんなさい!あんな姉さんでごめんなさい!!――皆さん、すみませーん」
聞こえないとは分かりつつも、姉のせいで大きくなった騒ぎに対して、ナナミは謝罪を叫ばずにはいられなかった。


アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-7〉

(……くう!や、やばい……!意識が……っ!)
強制的に断ち切れそうな意識を気合だけで繋ぎ留めつつ、ナナミは顔を下に向ける。
鋭いルートの刃が腹を切り裂いていた。
肉体は傷ついていない。
けれども、精神にだけ干渉する魔法剣の力によって彼女は途轍もない激痛に悶える。
「ナナミ!?どきなさい!この……!」
「あんた――ぶっ殺す!」
仲間たちが急いでナナミの元に向かおうとする。
だが、それを数人のエルフの剣士が妨害していて、合流が出来ないでいた。
(ナタリーさん、姉さん……くう!)
二人の焦りで歪んだ顔が霞んでくる。
怒号も、どこか遠くから響いてきているようだった。
「おや……あなた、体に変な魔術でも掛けているのですか?私の魔法剣と互いに干渉し合って……妙な反応を引き起こしていますね?」
それなのに、敵の言葉と顔だけがヤケに鮮明だった。
ニヤリと弱者を嬲るような嫌な微笑みに、冷たい悪意が篭った声色。
剣と体の狭間で生じる青い火花の揺らめきに、ルートが興味津々に乗り出してくる。
「――っ!」
ナナミは思った。チャンスだと。
「く――ぅ!うおおおッッ!」
エルフの少年ルートへと、蹴り上げた。
「――ほう。まだ反撃してくるとは……しかし!」
反撃があるとは思っていなかったため、顔こそ僅かに歪んでいる。
しかし、その身のこなしは只者ではなかった。
まるでギロチンのように鋭い蹴りを、彼はギリギリのところで回避した。
「あ、あああッ!ハァ、ハァ……くうう!」
腹に刺さっていた剣先は離れた。
だが、痛みは消えない。――むしろ、酷くなる一方だ。
(苦しいぃ……熱いし……視界が……ぼやける!や、やばい……ッ!)
物理的な負傷は、伺えない。
だが、その代わりに発生する雷のような激痛と灼熱の苦しみに、ナナミの意識が刻々と疲弊していた。
顔いっぱいに、脂汗を描き、碌な構えさえも取れないでいる。
「何かしら、常に体に掛けている魔法の影響でしょうね。私の剣の効果も僅かばかり弱めているようです――いやしかし……それにしても素晴らしい精神力だ!同時に賞賛すべきタフネスさ!蹴りの鋭さにもヒヤヒヤしましたよ!」
「も、もう……勝った気なの?な、舐めないで……くださいっ!」
明らかに強がりだった。
確かに自分の腕には多少、自信があるものの。
負傷した身で勝てるほど、ルートは甘い剣士ではなかった。
今の彼女に出来ることは、彼の行動を抑えつつ、ナタリーやナターシャの横槍を待つだけである。
しかし、それは敵側も重々承知だった。
先ほどの蹴りが最後の力と看破し、ルートが瞬く間に距離を詰めてきた。
「――っ!」
反応できない。
「ハァ!」
「ぐ、あああ!?」
女性として、あまりにもはしたない悲鳴を上げてしまったナナミ。
しかし、それに恥じ入る暇はなかった。
尋常ではない痛みに苛むお腹を、思いっきり蹴り飛ばされたのだから。
「ナナミ!?」
「ちょっと!?あんた人の妹に何をしてくれているのよぉ!コロス!絶対にぃ!!」
友と姉の悲鳴のような声が聞こえてくる。
(……っ?あれ……私は何をされて……?姉さんと、ナタリーさんがあんな心配そうに見つめている……あっああ!いたい!?いた、い……っ!)
内蔵が潰れてしまいそうなほどの一撃を腹部に受け、意識が混濁する。
「んああ!おぷぅ……くうう!……きゃあっ!」
激しいむせ込みに襲われて言えるナナミの顔を、ルートの足が踏み付けた。
ぐりぐりっ、と床に額を押し付けられる。
「くううっ!」
「そこまでです!お二人共!武器を手放して、投降しなさい!」
「だ、だめぇ!あっ、ああ!」
「予定とは違う人が人質になりましたが――まあこれでいいでしょう!さあ、早く!」
――『ダメです。二人共諦めないで』と伝えたいが、顔面を容赦なく踏みつけられているナナミには声を上げることも出来ない。
(姉さん、ナタリーさん!あ、ああ!そんな……!)
涙で潤んだ瞳だけを動かす。
そこには絶望しか映らなかった。
ナタリーが、ナナミが己の武器を床に捨てて、降参している場面だった。
(わ、わたしのせいで……ご、ごめんなさい。ごめんなさい――アスランさんっ!!)
己の無力さ故に、愛する人を守れなかった悔しさ。恥ずかしさ。
激痛とは別の――ある意味、それ以上に熱く激しい、灼熱の渦が胸の中で暴れていた。
だが、彼女は天に見放されていなかった。
少なくとも、白銀の『天使』にだけは愛されていた。そして、守られていたのだ。
「……こんなものですか。もう少し暴れられることを期待していたのですが……しょうがないですね。さあ……ナタリー様を――っな!なにぃい!?」
ルートが驚くのは無理もなかった。
突然、アスランを閉じ込めていた筈の部屋の扉が、綺麗に二つに分れ、吹き飛んだ。
そして、白く輝く鎧を纏った女騎士が、刹那の速さで切り付けてきたのだから。
「ナナミから!離れぉおお!」
「く、ううっ!?」
終わりかけていた戦場に乱入した女騎士が、斬撃を繰り出す。
縦への一線、横への一線。
そして、無数の突き。
「がぁ、はあっ!く、ううう……っ!」
ぶしゅうっ!ぷしゅわぁっ!
今までどんな攻撃にも対応できていた筈のルートの体が、立ちどころに傷を刻んでゆく。
(ふぇえ……ぇ!――今の攻撃って!今の剣術って!)
見忘れる訳が無い。
ナナミがずっと見守っていた少年の剣技であり、ナタリーが目標としていた勇者の技。
自分の大切な思い人――アスランの技である。
それも、ナタリーと体が入れ替わる前の。
(えぇ、えええっ!?あ、アスランさん?えっ、でも体はナタリーさんのまま、ですよね?う、うう?でもでも!今の動きは――!)
自分が苦戦していたルートを颯爽と打ち負かした、白く輝く女剣士。
「ナナミによくも……お前は絶対に許さない!!」
――その正体が、自分が恋するアスランだった。
もはや目玉を落としかねないほど仰天し、そしてその気高い鎧姿に彼女は胸を高鳴らせる。

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(アスランさん……ナタリーさんの体でも……やっぱり好き。大好きです。…………って、私は馬鹿ですか!?今はドキドキしている場合じゃないでしょう!?)
正気に戻り、ナナミはアスランへと詰め寄った。
「あ、アスランさん!?その姿は!?それにその力は……どうしたんですか!?」
「い、いや!やっぱり、驚くよな!俺も……かなり驚いているんだけど。……あ、あはは」
「――アスラン?どうしたんですか?その鎧はいったい?」
「ナタリーも――悪い。気になるとは思うけど……後で説明するから。今は……それどころじゃない!」
「確かに……その通りね」
決まりが悪そうに苦笑するアスランに同意し、ナターシャが厳しい目付きになる。
「……やってくれましたね」
その先に居たのは傷だらけの戦士。
顔を除き、腕や体に鮮血の痕が滲んでいた。だが――。
「ふふっ……この感覚――傷を負うのは本当に久しぶりです」
ぺろり。
痛がる素振りを見せず、むしろ、まるで己が傷ついたことに興奮しているのか。
ルートは己の腕に伝い落ちた血を舐め取り、暗く笑う。
「しつこい奴……まるで蛇みたい」
「一気に倒すか……ナナミ、大丈夫か」
「はい……んっ、なんとか」
「ナナミ!無理をしてはいけません。後ろに下がっていてくださいね」
「しかし――いえ、そうですね……分かりました」
無傷な三人が、戦闘の構えを取る。
先頭は、謎の姿、謎の力を宿したアスランだった。
ナナミを守るように陣形を取りつつも、アスランとナタリーが前に向かって駆け出した。
「喰らいなさい!」
中距離より、特大の炎の玉をナターシャが打ち出す。
「やぁあ!」
その炎の玉を、まるで盾のようにしながら、アスランが突進。
煌く刃を放ち、二人の敵との距離を詰める。
「ぐあああ!」
「ぬっ、ぬあああ!?」
体を切られなかったものの、その斬撃の威力によって敵が壁へと吹き飛んだ。
大した威力である。
それこそ今のアスランの力は、ナタリー――つまり、元々の彼の体――と同じくらいだった。
「はあああ!でやぁあああ!」
「こ、これは……この力はっ!?」
否、違った。
技の冴えによって、斬撃の威力は格段と跳ね上がる。
速度も、力も。
神秘的な加護を受けているかのように、剣で敵を――ルートさえも――圧倒していた。
「く――ッ!この!」
「当たるか!ナナミのお返しだ!」
ナタリーとは違う――次元が一段階上の――アスランの強さに、ルートは追い詰められる。
「喰らえ――!」
「かっ――ハ!?」
大振りの横薙ぎの一閃を躱したアスランが距離を詰め、甲冑に守られた拳が、溝内を直撃。
今度はルートの体が、勢いよく壁に激突し、衝撃によって壁の破片が舞っていた。
「げほっ!ごほっ……い、今のは……効きました。しかし……だからこそ!面白い!くふふっ、あはは――!」
アスランの実力に、素直に感嘆の声を漏らすルート。
そんな彼に止めを刺そうとする白き女戦士ことアスラン。
だが――。
「この足音は……」
「嫌になるわ。ほんと……別の追っても来るなんて!」
部屋の外より、大勢の足音が聞こえて来た。
仲間たちの動きが一瞬止まる。
「国王陛下の増援部隊……?」
非常に不味い状態と言える。
個々の質なら、例え国の兵士たち相手でも遅れを取るつもりはない。
だが、限られた空間での戦闘の上、多勢に無勢。
ナナミは何時も通りに戦えないし、まだルートも戦える状態。
そして、こちらは一人でも人質に取られれば、終わりだ。
あまりにも、アスランたちに不利であった。
「――チッ!あの小物が……勝手に手を出すなとあれほど言ったのに。折角、楽しんでいるところを――その上、こちらの計画も狂うじゃないかッ!」
「――え?」
それはアスランだけしか気付けなかった。
しかし、確かに聞いたのだ。
ルートの不機嫌そうな舌打ちを。
(なんで?味方が増えたのに……?)
その発言の意味を問い詰めようと剣先を突きつけようとした――が、その前に。
兵士たちの足音が、部屋の直傍まで響いてきた。
「アスランさん!もう敵が、兵士たちがすぐ近くまで来ています!」
「――っ!くうう!不味い」
「ねえ……もう色々と面倒くさいから……出口を作っちゃおうか?――上に」
『えっ』、とナナミ、ナタリー、そしてアスランの声が重なった。
三人の顔が、同時に青ざめる。
敵勢力の増加、とは別の意味で。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-6〉


『なんで!なんで!?この私で――扉を叩くのよ!』
「うるさい!斧は持ち上げられなかったんだよ!?」
『じゃあ!他の物にしてよ!兎に角、私を使うはやめてぇええ!』
「うるさいうるさい!バカ!お前が丁度持ちやすいし、硬そうなんだよ!後、いい八つ当たりになるしな!この役立たずの古本め!!」
『ひどいわ、ひどいわ!この悪魔娘ぇ――って!わぁああ!待った!ストップ!ストップよぉおおお!私に考えあるから!!ストップしてちょうだーい!!』
無機質の、本の苦痛など知ったことではないとばかり腕を大きく掲げ、後は叩き下ろすだけの瞬間。
ベアトリスが、悲鳴混じりの提案を投げかけてくる。
『方法ならある!扉を打ち破る程度なら!私に考えがあるわあああ!』
「本当か、それは――!」
『う、うん。だから、その……腕をゆっくり下ろしてぇ!お願いっ!』
「……」
彼は無言のまま、腕を下ろしてゆく。
そして……鋭くつり上がった瞳で、ベアトリスを睨む。
『顔が……怖いわよぉ』
「いいから、言え!早く!どんな方法だ!!」
『もうせっかちねぇ。簡単よ……ただ私をあなたの体に入らせてくれればいいのよ』
「……は?」
口を間抜けに開き、困惑するアスラン。
その一方で、ベアトリスは猫撫での口調で話を続けた。
『私、実は元は本じゃないのよ。訳あって魂を、この本に封じられているの。だからこの本じゃなくて別の器――つまり、あなたの体に入らせてくれたら、私の力を貸して扉を破ってあげるわ。どう?悪くない提案よ?』
「元はって……じゃあお前は元々いったい何なんだ?」
『それが……実は覚えていないのよ』
「……はい?」
『それがひどい話なのよ!深い眠りに落ちていた私をここの研究者たちが無闇に弄ってくれたものだから、記憶が飛んじゃっているのよ!だから、私が覚えているのは自分の能力と名前だけなの!はぁあああ……もう最低よぉ!』
嘘か、誠か。
長いため息を吐きつつ、ベアトリスは自分の記憶が失われた経緯を言う。
「そ、それを信じろと?俺の体に移って、まさか体を乗っ取るつもりじゃないのか?」
『信じる、信じないはあなたの自由よ。お嬢ちゃん……けど、いいの?扉を破らなくても?一刻も早く出たいんじゃないの?』
「そ、それは――しかし」
アスランは悩む。
本当に、この本を――否、ベアトリスと言う存在を信じていいものなのか。
間近にいても邪悪な気配はしない。
だが、相手は魔王の遺産である。
(そ、そもそも……俺の体って言っても――本当はナタリーの体なんだし……俺ひとりで決める訳には……!)
おまけに、この体はあくまでも借り物である。
今は確かにアスランが使い、感じている肉体ではあるものの、その全ての決定権は本物のナタリーにしかないのだ。
『私に、その体を乗っ取るつもりはないわ。そうね、その体に私の魂が同居するって考えれば、少しは気が軽くなるかしら』
「べ、ベアトリス!他の方法は――何か、ないのか?た、頼む……何か、あるだろう?」
やはり、安易に受け入れられる提案ではなかった。
切実な思いを胸に抱き、アスランは弱々しく問い直した。――が。
「きゃう!ぐうッ!!きゃああ!?」
「なっ――ナナミ!?ナナミなのか!?」
扉の向こう側、アスランが視認できない戦場で、仲間の悲鳴が聞こえて来た。
「――く、くそぉ!おい!ベアトリス!はっ、早くしろ!今、直ぐにでも……力を貸してくれ!!」
尋常ではない悲鳴に、アスランの覚悟が決まる。
『いいの?私を……信用して?』
「ああ……信用する。ど、どうすればいいんだ、俺は――」
『うふふ……あなたって面白い娘ねぇ。いいわ、簡単よ……私をおでこに付けて、瞼を瞑るの。そしたら、見えてくるはずよ。瞼の裏側に私の魂が、このベアトリスの魂の輝きが!それをただ受け入れるだけ……』
「……分かった」
相手の正体も、ハッキリとしない。
訳のわからない第三者を、この大切な体に受け入れる行為。
明らかに愚行だ。浅い考えだ。
けれども――。
(ナナミを!仲間を助けるためなら――すまない、ナタリー!キミの体なのに……けど、わかってくれ!!)
仲間が傷つき、もしかしたら死んでしまうかもしれない場面に、ひとり安全で居られるわけがない。
この命を投げ打ってでも助けたい人たちがいるのだ。
心の中で思い描いたナタリーへと謝罪を済ませると、アスランは言われた通り、額にベアトリスをくっ付ける。
(これが……ベアトリスの、魂……すごい、ピンク色……をしている!)
やはりと言うべきか。
退廃的な、妙に色っぽい女の声をしているベアトリスの魂の輝きは、濃厚なピンクを宿していた。
そのピンクの輝きに、彼の意識が包まれてゆく。
擽ったいような、ゾクゾクと背筋が震えるような、表現しがたい感覚だ。
(くあああ……すごい!これは……力が!これなら――いける!!)
胸の奥より、力が沸いている。
まるで光の鎧を纏ったような、心強さを覚えた。
いや、実際にアスランの――正確には、ナタリーの――体は、真っ白な輝きに覆われていた。
それまで着ていた艶かしい真紅のドレスが、泡のように消えてゆく。
代わりに現れたのは、全身を守る白銀の鎧。
手には、先ほどの斧よりも長く、鋭い剣が握り締められている。
「う、うぉおおお――!」
しかし、ナタリーの体では明らかに扱いきれないだろう長剣を、アスランは優雅な体捌きで、振りかぶった。
今の彼は、既に守られるだけの、無力な姫ではない。
例えるなら――。
「ハァ――!!やあああ!!」
戦場を一刀両断する――戦乙女(バルキリー)であった。
あれほど強固に道を阻んでいた扉を一刀両断の元、粉砕すると、流れ落ちる星のような速さで、アスランは仲間たちの前に躍り出るのだった。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-5〉


「ナタリー!開けろ!おいっ!!」
握った拳で、叩く。
けれども、扉は固く閉じられたままだった。
「ごめんなさい!けど、あなたの安全を考えるとこれが一番なんです!」
「そ……そんなぁ!た、頼む……開けてくれ!」
今、仲間の中で一番弱いのはアスランである。
宝具と言う特殊な武器もなければ、魔法の杖もない。
確かに自分は足手纏いの何者でもないのだろう――が。
(こ、こんなのって――ないだろう!俺だって何かできる……はずだ!)
理性が、納得出来る訳がない
自らの非力さを自覚できたとして――自分の仲間が頑張っているのに、何もしないなど考えられない。
(くそ!くそくそ!俺は男……いや男や女なんて関係ない!)
このままただ守られるだけの姫役なんて、冗談ではない。
ナターシャやナナミ、そしてナタリーに保護されたまま終わる――それは男とか、女とか関係ない。
実に最低なことだ。
今後も彼女らの仲間を名乗るなら、何かしなければならなかった。
「俺だって……ッ!」
キョロキョロと辺りを見渡す。
あまり整理されていない部屋には、残念ながら役立ちそうな物はなかった。
(研究器具や、本だけ……?古文書だけじゃ……いや、あれは!)
一番大きな――同時に、一番散らかっていた――机の上に、光を反射する物体を発見する。
それは斧だった。
何かの古代魔法陣の上、人の赤ん坊ぐらい大きな書物の横に戦斧が置かれていた。
(こ……これなら――!)
これも危険な魔王の遺産のひとつではないのか、と使うのを躊躇うのも一瞬。
アスランは、その細くたおやかな指で柄を掴むと、勢いよく――。
「んぎゃッ!?」
振りかぶろうとした。
だが、失敗だった。
かなりの重さだった斧に腕を引っ張られ、床に転倒してしまったのだ。
「い、いた……い」
しかも、強かに額を床にぶつけてしまった。
涙腺の緩い女の瞳から、大きな雫が溢れた。
(何をやっているんだ!俺は……情けない!)
一人勝手に空回りしている自分が、あまりにも滑稽だった。
(こんなことしている内に、ナタリーやナターシャ!ナナミも危険な目にあっているかもしれないのに!!)
扉の向こう側で、どんな戦いが繰り広げられているのかは分からない。
無論、三人の実力は知っているし、信頼している。
けれども、それで戦いを楽観するほどアスランも馬鹿ではないのだ。
(特にあのルートは……危険だ!何か……危険な感じがする!)
見た目は少年のようなエルフに、アスランは言い知れない不安を抱いていた。
いや、恐らくだが彼だけではない。
ナタリーやナナミ、そして仲間内で一番敵を甘く見る癖があるナターシャでさえも、不吉な匂いを嗅ぎ取っているのだろう。
だからこそ三人は、ルートから出来る限りアスランを離そうとしたのだ。
「でも……俺だって!あんな奴を三人に任せていられるわけが――うわッ!?」
ドゴン!
もう一度、斧を振り被ろうとしたアスランに、壁の向こう側より強い衝撃が襲いかかった。
「な、ナターシャ!ナタリー!ナナミ!大丈夫なのか!」
部屋を激しく揺らす、大きなエネルギー。
ナターシャが、攻撃魔法を放ったのだろう。
「大丈夫です!アスラン!けど……まだダメです!まだ……!」
「今のは……少し焦りました!けど……周りは危険な物ばかりなんですから、少しは魔法を控えて下さい!……ハァ!」
「ふん!ちゃんとセーブしているわよ!……ってきゃあ!?へ、ヘルプ!ナタリー!」
「ナターシャ!くぅっ!こ、この――!」
「ああもう!ルート以外も、結構強い!さっさと倒れなさいよ!脇役ども!」
「姉さん!集中して!」
だが、敵は健在らしい。
それどころかアスランの問い掛けにも、満足に答えられないほど三人は追い詰められているようだった。
「ナタリー!?ナターシャ!ナナミ!開けろ!頼むから!くぅうう……あっ、やっぱり、だめぇ!?」
居ても立っても居られずに、斧で扉を破ろうと試みた。
だが、華奢な腕がそれを許さない。
どんなに踏ん張っても、アスランの体の方が重量に引っ張られる。
特盛のおっぱいが滑稽に弾み、体力があっという間になくなってしまう。
「う、うわぁ……だめ、かぁ……」
ヘナヘナと床に座り込む。
(こ、こんな……情けない俺が、今更飛び出たところで……いや!足手纏かもしれないけど、一人だけ安全でいられるか!俺だって……魔王を倒した一人だ!勇者アスランは――俺なんだ!)
斧ひとつ満足に扱えない屈辱と情けなさに、心が折れそうになった。
けれども、その度にアスランは自分に言い聞かせてきた。
自分は勇者であると。
こんな自分でも国のため、いや、仲間の為に何かが出来るはずだと。
不慣れな女の体に成りながらも、勇気を振り絞り、抗い、もがき――。
そして、魔王すらも討伐したのだ。
(そうだ!こんなピンチくらいで……負けるわけにはいかないんだ!)
魔王に比べたら、大したことのないピンチである。
アスランは再び、腰に力を入れた。
腕を固く閉じた扉へと、振り下ろす。
ただし……。
(これくらいなら……ナタリーの体でも持ち上げられる!)
今度は斧ではない。
斧の隣に置いてあった、大きな古文書に持ち替えて、ガンと扉を叩いた。
「この!このぉ!」
一度での破壊は、まず無理だ。
二発、三発と加えても、扉は壊れない。
だが、そんなの関係なかった。
(諦めない!諦めて、堪るか!壊れるまで、続けてやる!)
ガン、ガン……ガンガン!ゴンッ!!
十発でも、やはりダメだった。
けど、百発以上、叩けば流石に少しは破損する筈である。
「はっ、はあ!んっ……はぁはぁ!こ、この!やぁあああ!!」
目の前の扉が、悲鳴を上げ、壊れるまでアスランは続けるつもりだった。
すると、その彼の耳に甲高い音色の声が入ってくる。
『キャアア!なに!なんなのよぉおお!?痛いわぁあああ!?』
「…………は?えっ?」
一瞬、訳が分からなくなる。
(な、なに今の……ドアが壊れる音……な、訳ないよなぁ……じゃあ誰の悲鳴だ?)
鼓膜が正常ならば、それは明らかに女性の声だった。
思わずキョロキョロと部屋を見渡すが、ここにいるのはアスランだけだ。
だが、またも声は響いてくる。
『ちょっと!あなた!乱暴に扱うのは辞めてくれる!?本って言うのは読むために扱うものよ!?』
彼の――手元より。
「う、おおおっ!?」
己の手に瞳を向ける。
すると、ギョロリ、と大きな一つ目に睨まれた。
心臓が止まるほど驚き、思わず本を落としてしまう。
『きゃあん!だっ、だから!本を粗末に扱うんじゃないわよ!なんなのよぉ!ひどいわぁ!』
「お、お前!な、なんだ!?」
まるでサイクロプスを連想させる巨大な瞳が、涙を流しながら睨んできた。
恐る恐る問いかけると、妙に退廃的な響きを宿した甘い声が返ってくる。
『私……のこと?私はベアトリス……この本に宿っているのよ!』
「本に宿っているだと?ただの本じゃない?魔王の、遺産なのか?」
どうやら、ただの書物ではないらしい。
「お前……?あっ、……おい、お前!?」
そこでイケナイと思いつつも、アスランは妙な期待を抱いてしまう。
この本の力なら扉を打ち破れないか、と。
『なぁに?声を荒げちゃってどうしたのよ、お転婆なお嬢ちゃん?』
「お嬢ちゃんって――」
お嬢ちゃんと呼ばれて、赤面するものの――。
「いや!今はそんなことよりも、お前!何か出来ないのか!?」
意識を切り替えて、切望の眼差しで謎の本を問い詰める。
『えー、何かって何よ!ベアトリス、分かんない』
「だから!炎の魔法とか!雷の魔法とか!兎に角、この扉を破れる魔法か、何かだよ!!俺はここから出たいんだ!」
『もう可愛い顔して、粗暴ねぇ。男の人みたいよ、しかも……俺って』
「できるのか!?出来ないのか!」
『ど、怒鳴らないでよぉ!怖いぃ……ベアトリスは、攻撃魔法なんて出来ないわ!』
「あーもう!役立たずめ!」
『ちょっと!痛い!やめて!痛いわぁああ!!』
折角、希望を持てたのに何にも役に立たなかった古文書。
少々、と言うか、かなり大人げないが八つ当たり気味で再度扉を叩くことに使用する。
バン、バン!
扉は、ビクともしない。
――が、ベアトリスの悲鳴は大きく、そして余裕のない物へと変わってゆく。
『やぁああ!痛い!ひどい!ひどい!やめてぇえええ――!』
表紙に現れた巨大な瞳から、大粒の涙を流しながら。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-4〉



「ふにゃぁああ――ッ!?」
突如、悪寒に襲われたアスランは、可愛らしい悲鳴――まるで昼寝していたら尾を踏まれてしまった猫のような――を上げてしまう。
たぷるん、ゆさッ。
真紅のドレスから溢れ出そうなほど大きな胸を揺らしながら、辺りを見渡した。
「……はぁ、はぁ……あぁン。……あぁ……アスラン……じゃ、じゃなくて……ナタリーは、いない……のか?」
またもドレスは新調されており、性行為で汚れ切った体は綺麗にされていた。
但し、女性特有の壷型性器には、未だに牡の欲望汁が吐き出されたままだ。
(今……ナターシャの玩具にされる時みたいな悪寒が走ったけど……まずはナタリーを正気に戻さないと。……いや、その前にここから逃げなきゃダメだ!)
辛うじて自我を保っているものの、繰り返し犯されることによってアスランの精神は摩耗していた。
元は自分のモノの筈なのに、あの逞しい肉棒が体内に入り込む度に喜びはしゃぐ肉体。
「んふぅ……あふぅ!」
体に残る女の喜びに、アスランは甘いため息を零してしまう。
「はぁ、はぁ……にしても……この格好は……!」
頬を赤く染めつつも、四肢に力を込めて立ち上がろうとする。
けれども、両腕を絡み取り、両足の付け根を天高くに吊り上げている拘束具は簡単には緩まない。
(は、恥ずかしい……こんな股間を誰かに見せているような姿勢――くっ!!)
両手をバンザイの形に固定されてまま、大きく開脚を強いられている股間では、恥ずかしい汁で濡れているショーツが丸出しになっていた。
「は、恥ずかしい!く、くそぉおお!」
あまりにも恥ずかし過ぎる。
魔法陣の中央、身動ぎも許されずに、艶めかしいドレス姿を晒す彼は、まるで生贄の少女のようであった。
「だ、誰か……助けてぇ!ううっ……!」
理性が感情を抑えきれず、か細い声で泣いてしまう。
丁度、その時だった。
部屋にある唯一の扉が、ゆっくりと開かれてゆく。
「ひゃあ!」
ナタリーが戻ってきたと、情けない悲鳴を上げるアスラン。
「――あっ!」
しかし、彼の瞳に映ったのは、真紅の髪を揺らす二人の少女たちだった。
「アスランさん、無事ですか!」
「アスラン、無事!?大丈夫?妊娠は――していないわよね!」
「ナナミ……ナターシャ!」
待ち望んでいた二人の登場に、アスランは歓喜の声を上げる。
「……って、あれ?」
しかし、二人は何故か、部屋の中央で立ち止まってしまう。
顔を赤くして。
何か気まずそうに目線をさ迷わせながら
「――ハッ!?」
そこでアスランは思い出した。
自身がどんなに破廉恥な姿を晒していたかと言うことに。
反射的に甲高い悲鳴を張り上げる。
「きゃあああぁぁ!?ちがっ――!違う……違う!!こ、これは!これには訳が……うううっ!み、見ないでくれぇええ!!」
しかし、どんなに弁解しても卑猥な姿が解消される訳もない。
たぷんっ、と巨大乳房は悩ましく打ち震え、ねっとりと濡れ滴っているショーツは二人の視線の前に晒し出したままである。
「はうううぅ――!も、もういいから!後で何でも質問に答えるから、早く俺を解放してくれよぉおおお!!」
顔を真っ赤に燃え上がらせて、震える声で絶叫した。
「あっ……はい!」
「うん……そ、そうね!」
自暴自棄になって張り上げた声によって、双子たちも漸く動き出す。
ナナミが両腕を、ナターシャが両脚を。
それぞれが分担して、囚われていた肉体を解放する。
「あぐっ……くうう!た、助かったァ……ううう!」
不安定な姿勢を強要されていたために――その上、散々犯され続けていたので――肉体の節々が、かなり痛い。
「大丈夫ですか?アスランさん」
「有り難う。……ナナミ」
その痛みに堪えながら、ナナミに支えられて立ち上がる。
「……それで何がどうなっている訳?その姿から考えると……ナタリーってば洗脳されちゃっている訳?」
「……うん。もう自分のことを俺だと思い込んでいて……」
「……じゃ、じゃあ!やっぱり、もう既に犯されちゃって――!?」
「……はうッ!」
『犯されているどころか、もう既に数えられないほど体を重ね合わせている』などと言える訳もないアスラン。
顔をトマトのように真っ赤にさせて、恥ずかしそうに顔を臥せる。
けれども、その仕草だけで十分だった。
「まあ……しょうがないわよ、ナナミ。ナタリーも随分、男の体に染まっていたし、そもそもアスランのこと好きだったし……」
「……これは、少しお仕置きが必要かもしれないです!」
「ちょっ、ちょっと待って!ナナミ――待ってくれ!」
ナターシャは兎も角、ナナミの反応が物騒過ぎた。
目が据わり、ぐぐっと拳に力を込めている。
アスランの知っている中で怒らせたら一番恐ろしいだろう――彼女の『お仕置き』は、何が何でも止めなければならなかった。
「ナタリーも被害者なんだから!頼むから!穏便に!」
「で……でも!」
「そうよ。あんたのお仕置きは、ほんと洒落にならないんだから!」
「……そ、そうですね。今回、ナタリーさんは悪くないですよねぇ……でもっ!ちょっと……腑に落ちません!」
二人の説得で、渋々ながら体から力を抜いてゆくナナミ。
その姿に安堵の息を漏らした――が。
「ナターシャにナナミ……俺の可愛いナタリーをどこに連れて行くのかな?」
三人の背後より、ナタリーが、部屋の中に入ってくる。
その手には凶悪な光を放つ長剣が握り締められていた。
「な、ナタリー!?」
「ナタリー?……何を言っているんだ?ナタリーはキミだろ?俺は――アスランだ!待っていろ。今俺が悪い双子からお前を助け出してやる!」
「――ッ!」
やはり、未だに彼女の精神は狂ったままだった。
仲間である筈――しかも、親友でもある――ナターシャとナナミに本気の殺気を飛ばしている。
鋭い剣先を向け、腰を低く落とす。
彼が教えた剣技の構えだった。
「な、ナタリーダメだ!二人は仲間なんだぞ!?正気に戻れッ!!」
「……正気だよ。俺は!さあ二人を倒したら……さっきの続きをしよう!くくっ……しかしさっきまでのお前は本当に可愛かったよ!俺のちんちんをアソコに嵌め込んで!アンアンと悶えてさ!」
「――ぶっ、はぁあ!?な、何を言っているんだ!」
正気に戻そうと呼び掛けたものの、性行為のことを持ち出されて、アスランは恥かしさのあまりに噴き出してしまった。
慌てふためいて弁明しようと、唇を動かそうとする。が、しかし。
びきり――ッ!
何だか非常に嫌な音が響いてきた。
具体的には自分を庇うようにして前に飛び出したナナミの方から。
「……」
「ナナミ?」
アスランとナターシャが、不安げな視線を妹に向けた。
「……アスランさんと……いえ、私の後ろにいるナタリーさんと何回……セックスしたんですか?自称、アスランさん?」
畏怖に染まった二人の視線を無視し、ナナミが静かに問いかける。
すると、自分を『アスラン』だと思い込んでいる王女は、下品な言葉で返答した。
「うーん、正直覚えていないや。けど……俺のちんぽが何回も何回もナタリーの子宮にぶつかって、俺の精液を受け止めてくれる感触は最高だったぜぇ!温かくて、ゴリゴリして!くうう!口にするだけで、また入れたくなってきたぁアア!!」
「――――」
その瞬間、ナナミの瞳から光が消失した。
人として大切な何か――慈悲とか愛とか――を失ったような、死んだ眼。
「もう……無理ね。これは」
「な、ナナミ――まっ!」
ナターシャはナタリーに同情し、アスランはこれから起きるであろう惨劇を、最後まで回避しようと努力する。
「さあナタリー早く、こいつらを倒して!もう一度、ベッドで愛し合――!」
性欲で淀んだ瞳で視姦しつつ、アスランにキザな台詞を吐こうとするナタリー。
しかし、その言葉が最後まで言われることはなかった。
「――ハァアア!!」
「な、に?」
油断などしていなかっただろう。
アスランからの教えをしっかりと守っていたナタリーは、例え洗脳されているとは言え、微塵の隙もなく剣を構えていた。
だが、その一流の戦士にも劣らない技術を体得していた彼女であっても対応が遅れてしまったのだ。
それ程、ナナミの本気の踏み込みは――早かった。
「くっ!」
慌てて剣を振るうものの、二人の距離は余りにも近い。
拳の間合い――つまり、ナナミの独擅場である。
ぐるん。
ナタリーに攻めも、守りも許さない。
腰を回転させて、体内から捻り出したエネルギーを脚へと重ねて行く。
そして――。
「何を――羨ましいことをしているんですかぁあああああ!!」
「えぇええええええ!?」
「ナナミ!?本音が漏れてるわよォオオ!?」
口走ってはいけない言葉を吐き出しながら、ナナミの脚が跳ね上がる。
首を跳ね飛ばす凶刃にも引けを取らない。
常識破りのスピードと、鋭さを持った一撃が、ナタリーの体を吹き飛ばす。
「――――ッンゴオオォ!?」
……股間から真上に叩き上げるような形で。

「あぎっ……ヒガァ!!あぶふっ、っっ!?」
結果、彼女は王女として、否――人として出してはいけない不気味な悲鳴を漏らした。
瞳は一瞬で白目を剥き、大きく開いた口からは細かい泡が溢れ出た。
「お、俺の体ぁああああああ――!?」
「ナタリー!?」
「――――っ!」
完全に意識を失っていた。
アスランとナターシャの叫びを切っ掛けに、応えることも出来ずにナタリーは床へ崩れ落ちる。
そして、アスランの方も限界だった。
(ぐしゃっって聞こえた!ぐしゃって鳴った!?あっ、ああああ――俺の俺の、あそこ!俺の、からだぁああああ!?うぇえ……頭が……いたい、よぉおおお!!)
自分の体に襲い掛かった不幸。
その痛み、苦しさを我がことのように感じ――さらには今まで犯された疲労感も合わさって、彼の意識は限界を迎えたのだ。
「アスラン!?しっかりして!大丈夫よ!潰れていてもあたしが魔法で何とかしてあげるから!い、生きなさい!?」
ナターシャに身体を支えられながら、ナタリーと共にアスランは意識を手放した。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-3〉

「しょ、しょうがないでしょ?私は魔法封じられているし、あんたも女のままだったらその拘束具破れなかったでしょ!?」
「だ、だからって――こんな、こんなッ!せめて覚悟させてからやって下さいよぉお!」
「だってあんた絶対に嫌がるじゃないのよ!覚悟なんてさせていたら時間の無駄よ!無駄!!」
「うう、でも……でもぉお!はぅううう――もう二度と男のカラダなんて成りたくなかったのにぃぃ!」
「ま……まあまあ。……どうどう」
「くうう!わっ、私は……うっ、馬じゃない!う、うぇえーん!」
乙女にとって屈辱的な姿から解放されたものの、今度は乙女そのものでなくなったナナミは、メソメソと涙ぐんでしまう。
そんな妹を慰めつつも、姉のナターシャは笑いを堪えるので必死だった。
(だめ!笑っちゃ……でも。くっ、くぷぷ……そんな姿で泣かれても気色悪いだけだわ!!)
先程までの姿なら、まだ良かった。
けれども、今のナナミの姿はとても女には見えない。
歴戦の戦士を思わせるような逞しい肉体であり、精悍な顔立ちなのだ。
(く、くははっ……お腹が痛いっ!)
だからこそ、そんな外見のナナミがナヨナヨと涙ぐんでいると、余計に可笑しさが際立ってしまう。
(くふふ!うふふっ……今のアスランとナタリーを見ていても飽きないけど……男に”戻った”ナナミも非常に面白いわね。……ペンダントの不調を偽って暫く男のままにでもしておこうかしら?)
慣れない男の体に不安がっている妹を観察しつつ、ナターシャは恐ろしいことを考える。
そもそもナナミは男の体を嫌がっているものの、今の姿こそ彼女の本来の姿だと言えるのだ。
少なくとも魔王軍に妙な術を掛けられてからは。
(……あの魔王軍の幹部も……サキュバスの女の子も本来は別の術を掛けるつもりだったんだろうけど……うん。いい仕事してくれたわ!思わず感謝しちゃう!)
それは旅の途中の出来事だった。
魔王軍の幹部を名乗るサキュバスの攻撃によって、ナナミの体は男になってしまっていた。
それをナターシャは可愛い妹のために――勿論、十分にからかった後で――どうにか元の姿に戻れるようにしたのだ。
その結果、ナナミは魔術を仕込んだペンダントを身に付けている間は女の子に姿になり、ペンダントを失えば、立ちどころに男の肉体へと変身する体質になってしまったのだ。
「……なんですか、姉さん。その非常に気になる目付きは」
「……へ?」
不意に気が付けば、何時の間に妹――今は『弟』と言うべき――が半眼で睨んでいた。
「……まるで私が男の体で困っているのを楽しんでいるような目なんですか?……と言うか、暫く男のままにして遊んじゃえと思っているような目なんですけどもォォ!?」
「あ、ちょっと!お、落ち着きなさいッ!!」
流石は双子の妹である。
姉の考えなど、怖いぐらいにお見通しだった。

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(ああもう――だからそんな顔されると、ますます……からかいたくなっちゃうんじゃないのぉ!!)
もっとも、それで反省するナターシャではなかった。
まあまあと宥めつつも、口元をニタァと釣り上げる。
「でもさぁ、男の体を嫌がっている割に……発情期の犬みたいにアスランの処女を奪っちゃったのはどこの誰かしら?」
猫がネズミを嬲る。
……と言うか、ドラゴンが人を嬲る光景が見えるくらい――酷く意地悪な声で、言い放つ。
途端、ナナミは真っ赤な顔で狼狽した。
「なっ、なああ!?誰がアスランさんの処女を奪ったって言うんですか!?な、ナタリーさんの体の処女を奪ったんです!……うわああ!?私は何を口走って!!」
男にされたナナミ。
偶然その場にいたナタリーの体をしたアスラン。
そして、相対していたのは性を弄ぶ魔性の存在――サキュバス〈淫魔〉。
どれかでも欠けていたら、あるいは違う未来になっていたのかもしれない。
けれども、男になってしまったばかりのナナミにはサキュバスの精神攻撃に抗う術を持たず、男として――否、牡として発情し、暴走してしまった。
後は語らなくても分かることだろう。
別人の体とは言え、女となっている好きな人が目の前にいれば、本能すらも牡になったナナミは、もう止まらない。
男の劣情のまま、妹はナタリーの肉体のアスランを犯してしまったのだ。
「どっちでも変わらないでしょ?ナタリーの体にいるアスランをアンアン鳴かした事実は変わらないんだから。あーあ、可哀想なアスラン!幼馴染の女の子に、女として陵辱されるなんて!なんて悲惨なのかしらねぇ……!」
「うう、だって……あの時は仕方なくて!男の体が凄すぎて……と、兎に角そのことは忘れてくださいぃ――!」
今でこそアスラン、ナタリー、ナナミの中ではあの時のことは忘れることにしている。
だが、そう簡単に割り切れるものではないだろう。
事実、ナナミは過去を振り返り、恥ずかしさに顔を赤く染めている。
「で、でも……ナタリーさんのナカ、とても気持ち……よくて。泣き喚くアスランさんも……すごく可愛くて……ああダメ!忘れなきゃ!忘れなきゃダメ!!」
もはや姉の視線すらも意識していないのか。
ボソボソと本音を漏らしている妹。
その姿がますますナターシャの加虐心に勢いを付けた。
(ああ――もう最高!鼻血が出ちゃいそう!アスランといい、ナタリーといい!!ナナミといい!どうしてこうあたしを興奮させるような態度や言葉を取るのかしら!?もうこれは……あたしへの挑戦よね!うんっ!!)
女の子としてアスランに確かな好意を抱いているナターシャ。
けれども、常人とは一味違った思考回路を持つ彼女は、思い人が女の子として犯されようが、問題とは思っていなかった。
それどころかナタリーやナナミどちらとくっついてもいいと考えていたのだ。
(恋人、妻――そんな肩書きに興味はないわ!愛人でも構わない。あのアスランが困ったり、恥ずかしそうに涙ぐんでいる姿だけで……ああ体がゾクゾクするほど興奮するわ!!)
誰と結ばれてもいい。
……否。
もうこの際、彼が『男』でも『女』でも構わない。
代わりに――。
(うふふ。アスラン――覚悟しなさいよ!ナナミも……そしてナタリーもあなたが好き。そして私もあなたが……いいえ、あなたたち三人が――大好きなんだから!絶対に……逃がさない。くすっ!ここまで来たら……全員の想いに対して責任をとって貰うんだから!あははッ!……うふ、ふんっ)
一生逃がさないと心に誓う。
「ほらっ!何時まで気持ち悪くクネクネしているのよ!その無駄にパワーアップした腕力でさっさと牢屋を破壊してよね!ナナミ!!」
「ううう……絶対……ぐずんっ。後で……仕返ししてやりますぅっ!!」
紅の魔女は静かに微笑みながら、独りで悶えていた妹を正気に戻すと、アスランとナタリーの救出に向けて動き出した。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-2〉

――納得できない。
ナナミ・エクシィ・ダースホルは自分に対する理不尽な仕打ちに、静かな怒りを溜め込んでいた。
魔王を討伐するという過酷な旅。
その道中で起きた出来事も、大概が理不尽だったが、今の状況もそれに匹敵するくらい――二番目に匹敵するほど――酷いものだった。
「……どう思う。ナナミ」
「――」
姉であるナタリー・エクシィ・ダースホルが、声を掛けてくる。
ナナミは応えない。
しかし、それでも姉は言葉を続けてゆく。
「……まったくややこしいことになったわよ。まさかアスランとナタリーが入れ替わった状態で、子供を作らないと魔王が復活してしまうなんて。……はあ」
エルフの女王による予言。
現国王の口から伝えられたその内容は、双子の姉妹に衝撃を与えるのに十分な内容だった。
「……色々突っ込みたい内容の予言よねぇ。……その癖、微妙に的外れじゃないって言うんだから嫌になっちゃうわよ」
魂が入れ替わった者同士――アスランとナタリーが、混じり合い子供を産むことが、どうして魔王の復活に関係するのかは分からない。
エルフの女王も詳細までは予知出来なかったという。
だが、その兆しの証明なのか。
本来なら滅びるか眠りに入るはずの魔王軍の幹部が生き延びている。
「あー!もうっ!!あの時、魔王だけじゃなくて幹部どもも全て倒しておくべきだったわ!まさかこんな面倒くさい事態になるなんて!!」
『そんな馬鹿な話など有り得ない』と否定が出来ればよかった。
けれども、ナーガの襲撃――魔王軍の残党の存在――によってエルフの女王の予言に、ある程度の信憑性を与えていたのだ。
「――」
魔王復活を考えれば、少しは国王たちの行動も理解出来るかもしれない。
実際に魔王と対峙したナナミたちの不安と恐れは殊更に強い。
だが、しかし。
「――――ッ!」
それでも心が納得しなかった。
ぴきり。
目尻に太い血管を浮き上がらせて、ナナミが吠える。
「――ムゴォオオオ!!ムブウウゥ!!」
頬が膨らむほど口に詰め物を詰め込まれた姿で。
分厚い布を体に幾重にも巻き付けられた姿で。
(なんで私だけ――こんな扱いなんですかぁあああああ!?私はなんですか危険人物ですか!?魔物!?化物扱いなんですか!?)
過剰に巻き付けられた布地によって、モコモコと膨らんでいる下半身。
もはや何処が腰でお尻かも分からない状態――噛み付き防止の為なのか、猿轡まで咥え込まされている――で牢屋の地べたに転がっている有様は、うら若き乙女にとっては屈辱的な姿と言えた。
(こんなのあんまりですぅ――ッ!!)
その姿は正に芋虫〈イモムシ〉であった。
魔封じの手枷しかされずに、簡素なベッドに腰を下ろしている姉とは天と地との差だ。
「うぐっ!うぐぐっ!!」
先程から渾身の力を込めて、腕や足を動かしている。
けれども、無駄だった。
特殊な素材で出来ているのか。頑丈な拘束具はナナミの力をもってしてもビクともしない。
「……ちょっとあんた、私の話を聞いているの?ねぇ?」
まるで陸に上がった魚のように飛び跳ねている妹を見下ろしながら、姉は表情ひとつ変えず言葉を投げかけて来た。
ぴきりッ。
それがますますナナミの怒りに油を注ぐ。
(姉さん!私の姿を見て何か言うことはないんですか!?――って言うか、私よりも絶対に姉さんの方が危険人物じゃないですか!?この対応の違いは納得出来ませんよォォ!)
大きな鼻息を吹き上げて、ナナミがナターシャを睨み付ける。
「……まあいいか。あれこれ考える前に、まずはアスランとナタリーを助けないとね」
ナターシャはそんな鋭い目線など気にも止めずに右腕と左腕を繋いでいる鎖を鳴らしながら、床に倒れている妹へと近づいてきた。
(そ、そうですよ!だから早くこの拘束具を――こんな恥ずかしい姿を何とかしてくださいぃいいい!!)
性格に多々問題ある――自分が楽しむためなら実の妹も、己の思い人も平気で玩具にする――姉であるものの、その実力は本物である。
完全に無力化されている自分とは違い、きっと何か対応策を持っているのだろう。
期待した瞳で、ナターシャを見守る。……が、しかし。
「うふふ……ごめんね。これしか手がないのよ」
「むふっ――!?」
姉は徐にナナミの首へと手を伸ばしてきた。
「うっ、うんしょ。……ふう良かった。どうにか取り出せた!」
そして、ナナミの自由を奪う拘束具の隙間より青く煌めくペンダントを取り出した。
(ま、まさかッ!?い、いや!なんてことを考えているんですか!?)
むぐっ、ぶふぅ――!
もはやうら若き乙女が出してはいけないような――それほど下品に思える程の――鼻息を出しながら、ナナミが姉に抗議する。
だが、遅かった。
(いやぁ……やだぁ!やめてぇええ……!)
そして……無意味だった。
「じゃあ……頑張ってこの牢屋を破ってね!」
ウィンク一回。
その直後、青い宝石が埋め込まれたペンダントが、ナナミの首より奪われる。
どくん、どくん――とくん。
「――んぶぅううう!?」
すると、恐れていた変化が、早々にナナミの体に襲いかかる。
(い、いやぁああ!やだぁあ!やだぁああああ!!)
恐怖と不安に襲われて、ぎゅっと瞼を閉じる。
けれども、襲いかかる体の変調は止まらない。
汗が滝のように溢れ出て、心臓が炎のように熱くなる。
(あっ、ああっ!あああ――ッ!)
全身が炎に包まれているようだった。
灼熱と化した心臓が送り出す血はさながらマグマのように、骨格ごとナナミの体を溶かしているようだ。
いや、実際に骨を、肉を溶かしている。
真っ赤に硬直した肌の中で、彼女を構成する全てが溶け出し、全く別のモノへと変貌しているのだ。
(く、苦しいぃぃ!)
息を詰まらせ、身悶える。
びきっ、ぶちっ!
すると、あれ程丈夫だった拘束具が不吉な音を立てながら破れてゆく。
「んふぅ――!」
モコモコの布地より現れたのは、可憐な乙女の胸――などではなかった。
まるで熟練の戦士を思わせる筋肉隆々な胸板がそこにはあった。
変貌する肉体に合わせて服装すらも――魔法によって――男のモノへと変わっている。
(ああ!あああっ!!)
ぐぐっ、と広がった肩に、がっしりと肉付き良くなった腰。
あどけない可愛さが残る顔付きさえも、数秒前とは全く違う。
今ではもはや別人である。
綺麗な紅色の髪すらも、漆黒を思わせる黒髪へと変貌していた。
「……ふああッ!あっ、ああ……あそこに……また……できている。お、男の人のもの……が!……お、ちんちんがぁああ!!」
顔の形が変わり猿轡も破れ落ちたため、低い声色の悲鳴が漏れる。
ナナミはヘナヘナと、その場に座り込んだ。
(ひゃうう!やっぱり、ある……あるよぉおお!)
床に座ると、何か柔らかい玉ふたつと棒がナナミの股間で動き回っていた。
「ね、姉さん……!」
すっかり低くなってしまった声で、言う。
「酷い、です!な、なんで私を――!!男にしたんですかぁああああ!!」
男となった彼女の声が、地下牢に響き渡った

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