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特別捜査官間藤衛次の受難4-4 <完>

<4-4>

『やってしまった』――後悔の念に押し潰され、円香はシーツの奥に隠れた。
「…………っ」
恥かしすぎて、赤く上気した顔を見せられない。
恥辱の犬コスプレを脱がず、起き上がろうともしなかった。
(わたしは……私はなにをして――いや、僕は何をしているんだ!)
絶対、元の姿に戻る。
男に戻って、何もかもを取り戻す。
確かな決意で峰円香となり、婦警の立場でも捜査に加わった。
今日は、その初陣の日。なのに――。
「可愛かったわよ――円香ちゃん」
「…………っ、っ」
帰宅すれば、同棲している婚約者に……身も、心も、牝にされてしまった。
それも、自ら喜んで、彼女に絶頂させられたのだ。
悩ましい淫熱が、未だにお腹の奥で疼いていた。
(う、ううっ……恥ずかしいっ。死にたい、死にたいよぉお!僕は……なんて、ことを言ったんだ。犬のマネに飽き足らず……ご主人様だなんてっ!)
愛する人には、死んでも知って欲しくない淫乱な有り様――少なくとも、円香がそう思うほどの痴態――を、彩香の前で晒してしまった。
(ぼくっ、ぼくっ――ああ!こんなの間違っている!!)
恥辱に女体を赤く染める。
……すると、淫らな汗に塗れた肌へと、彩香が吸い付いた。
「ご主人様って……認めてくれたね。私、嬉しい……これからも姉妹として――仲良く暮らそうね」
「えっ、うそ……ちょっと!?」
「あはは、冗談だよ――けど」
洒落になってない言葉に、思わず飛び上がった。
……が、それが不味かった。
「んっ……!?」
「あむっ……ンっ!」
涙ぐむ円香と、彩香の微笑みが重なった。
ちゅぱっ、ちゅぷりっ、ぬちゅっ。
「うふふ……ちゅぷっ、あむっ、れろっ!」
「ひゃっ!まっ、てぇ……くふっ――ふぇ、ぇえ……ンっ、はぁ、ンンっ……!」
「うふふ。私が円香ちゃんのご主人様なのは――覆せないよね?」
「そっ……そんなぁっ。あれは……私……正気じゃっ、なかったのぉ――あ、はンっ」
言い訳を口にする自由も、彩香が奪う。
軽い口付けだけで歓喜に萎える女体を押さえ付け、首筋にもキスを数回降らせる。
「はぁ――ンっ!ヤっ……はっ、あっ、ぁ……んっ」
淫熱が抜けない膣襞から、ぷしゅっ、と熱い飛沫が吐き漏れる。
浅ましいほど淫らな女体に、円香は恥ずかしそうに身を縮ませた。
「うっ、ううぅ……もっ、もう……許して!このままだと……円香――わ、わたし……気が狂いそうなのっ!」
元の体に戻りたい気持ちと、彩香に調教されていく背徳の悦感の間で、女体化捜査官は身悶える。
戦慄き震える柔肌を、彩香の指が撫で解した。
「あっ、ああ……!やめっ……ひゃ、ンっ!」
「男に戻れば、あなたは……間藤衛次。けど……女のままなら、あなたは峰円香……私の妹。そして、私の可愛い可愛い……恋人。牝犬という名の恋人!」
「あっ、ああ!いやぁ、いや――違う!ちが、うのぉ!」
「うふふ……ふぅー」
「んはっ、はぁ……!」
円香の乳房を捏ね繰り回しながら、彩香が熱い息を耳に吹き掛けた。
「私に逆らうの?ご主人様に……逆らうの?答えなさい、円香――!」
「あっ、あうぅ!?ひゃ、はぁ……くっ、ふぅぅ!」
頬に両手を当て、快感と恐怖に揺れる円香の瞳を、彩香が覗き込む。
(彩香さん――綺麗だ。すごく……綺麗だっ)
思考が麻痺した。
魂すらも引き込まれるような魔性の美貌を持つ女……自分の愛する女。
(あぅ……だめっ!なのにぃ……ッ!!)
ガクガクと体が震えた。指も、思うように動かない。
後悔など、もう無意味だった。
峰円香の女体は、既に彩香を『主』と認めていて。
心すらも、彼女に――”ぞっこん”だ。
「円香――私に従いなさい!あなたは、私の牝犬なのよ!」
高圧的な声。冷たい眼差し。
上品な女の、狂おしい体臭……彼女の全てに、円香は牝となった。
「は……はいっ。彩香……さっ、さま……ご、ごしゅっ……ご主人様――」
「ねっ……分かったでしょ?もうあなたは……円香は私なしじゃ生きられない。私の命令には逆らえない……牝犬ちゃんなの」
「はっ、はい。ご主人様」
「うふふ。ねぇ、円香。私、あなたの無様な牝犬姿をもっと見たいの。だから・・・・・・おちんちんしなさい。そして……ワン、と鳴きなさいっ。……命令よ!」
冷たい眼差しに、ゾクゾクと女体が歓喜する。
牝犬の生き方が骨の髄まで染み付いた円香は……逆らえなかった。
「――わんっ♡」
無様な服従ポーズを取り、犬らしく円香は鳴いた。
満面に、蕩けるような笑みを浮かべて。

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挿絵:れいとうみかん

(ぼくっ……私ッ。もう……駄目かも。元に戻りたい以上に――彩香お姉ちゃんに!ご主人様に……あっ、ああ!もっと苛められたい!情けなく、浅ましい変態痴態を見られて……愛して、貰いたいっ!くふぅ、はぁああ――!)
男に戻るのが先か。
彩香という主人を得た女体が、調教を完成させるのが先か――。
狂おしい官能に染まった脳裏でも、それぐらいは分かる。分かってしまう。
けど……やはり、逆らえない。
冷たく、けれども、どこか慈愛に満ちた彩香の瞳が、哀れな牝犬を見下ろした。
「うふん♡。もう一度、もう一度よ、円香!」
「わっ、わう!わんっ、わぅンン……わんっ♡わっ、わんっ♡」
牝犬のように吠えて、媚びて……甘えて。
彩香を少しでも喜ばせようと、円香は甲高い鳴き声を振り絞るのであった。


【-完-】

特別捜査官間藤衛次の受難4-3

<4-3>

「円香ちゃん!お姉ちゃんと――ひとつになりましょう!」
「はいっ!あっ、ああン!さ、さや……彩香お姉ちゃん!……あっ、あう!わっ、わぅ……きゃうぅううう!!」
息を詰まらせる円香の女陰を、ペニスバンが貫く。
歯痒い熱に満たされた襞穴を硬く、太い異物が押し上げた。
その感覚に――どうしようもない喜びを覚え、びくん、と体が跳ねる。
「くひゃっ!わらひぃ、ぃ……やッ……んはっ!ひゃうっ!らめぇ、なのにぃ……恥ずかしい筈……だけど!ひゃはっ、くふぅぅンン!幸せすぎて……熱くて!気が狂う!わ、わたし!――んひゃっ、はあっ、はあっ、ああっ!!」
媚びているのか、無意識なのか。
盛った牝犬そのもの――そんな喘ぎ声を漏らしながら、円香はさらに身を捩じる。
ずぶ、にゅぶぶっ、じゅぼっ!!
(はぁあ!わたしっ、のナカ!いっぱいぃ、いっぱいぃいい――彩香さん……彩香お姉ちゃん――い、いや!ご、ご主人様の愛で……いっ、いっぱいぃいい!!)
嘗ての円香の『ご主人様』は――犯罪組織のボスだ。
その時は婚約者への想いから、完全に意識は牝に染まらなかった。
けれども、今は違う。
彩香に――とてもサディスティックではあるが――肉体の隅々までを愛されて、身も、心も、悦びを覚えた。
(んふぅ!もっと!もっと奥を激しく突っついて!ご、ご主人サマッ――わふぅっ!)
牝となることに、何ら抵抗を覚えない。
「あひっ……しっ、幸せぇ!まどかっ……あっ、ああ!わふぅっ、ンン――!」
知性も、理性も、掻き消えた。
彩香の指に、言葉に……被虐の悦楽を湧き上がらせ、腰を上下に動かす。
「んふぅ……ふぁぁああ!はうっ……ご、ご主人さまぁ――!!」
豪快に膣襞を突き上げる人工男性器の感触――に加え、彩香の手が、肉房を捏ね繰り回す甘美に、円香は卑猥な悲鳴を張り上げた。
子宮や膣管が引き攣って、ますます重々しい異物感が脳裏に押し寄せる。
「あはっ、そうだね。衛次君の――いや、円香ちゃんのご主人様は私だよっ!」
「んっ、ふぅ……ふぅうう――!!」
「ほらっ、返事は!返事をしなさい……この駄犬っ!ああっ、ゾクゾクするッ!どうしよう!衛次くんを……牝犬扱いすると!わ、私ッ!……すごく気持ちいいィ!!」
「んはっ、はっ、はひぃ!はいっ……くはっ、ナカっ、ナカ!すごっ、いですぅ!」
「――駄目よ、駄犬!あなたは牝犬なんだから……ちゃんとワンって鳴きなさい!」
「あっ、あう。……くふっ、ふぇ……はふぅ――わっ、わんっ……きゃうっ、キャンっ……わっ、ワン!わんっ……わふぅぅッ!」

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挿絵:れいとうみかん

甘美な脱力に四肢を萎え震わせながら、円香はご主人様の命令に従った。
膣管が狭まり、ペニスバンと牝穴が狂おしく絡み合う。
(んはぁ――もっと犯して!もっと――言って!め、牝犬だから!み、淫らな……淫乱な駄犬のメスだから!もっとぼくっ、を……ああ!わたしを貶して!ご主人様――!!)
ぷすっ、しゅわっ、ぷしゅうゥゥ!!
狂おしく脈打つ子宮から濃い愛液が迸り、膣襞に染み落ちる。
すると、潤滑剤を得た悩ましい異物が、ずぶ、ずぶぶ、と敏感襞穴の奥を抉った。
「あはっ、はぁ――ンン!!」
涙と鼻水を拭き漏らす無様な絶頂顔――。
赤く上気した牝顔で醜く喘ぎ、円香の体は弓なりに仰け反った。
「あっ、ああ!イク!イク、のね?イキ、なさい――私の手で!牝犬円香はイクのよぉおお!!」
「くふっ!ハァ、はっ……はぅ!キャゥ!くぅンンン――!!」
ぷしゅわっ、ぶしゅわっ、ぷしゅぅぅ!!
(んはぁあ!気持ちいいよ!気持ちイイよォォ!わたしのご主人様の……愛が……愛がっ!すごく……スキィィ!!)
円香の意識が、真っ白に染まる。
絶頂に達した女性器がピクピクと激しく引き攣って、子宮に、膣管に――灼熱の電撃が駆け巡る。
「んはぁ……はぁ、わぅ……わんっ、わっ……ワンっ♡」
悦感に意識を飛ばし、ぷしゅ、ぷしゅっ、と愛液を噴き漏らしながら、円香は牝犬の役割を全うする。
その人の姿をした淫らな牝犬の頭を……彩香は優しく撫でる。
「可愛い、可愛いわ。私の円香……衛次くんでも、円香ちゃんでも……私は構わない。好き……わたし、大好きなの!」
熱い告白を言い放ち、額にキスをする。
まるで子供にするような、慈愛の口付け――それが今の円香には、とても気持ち良かった。
そして、嬉しかった。
「わっ、わぅぅ……んはっ……うう……ご主人様……わたしは……円香は……ご主人様の――彩香の……ものです!ご主人様のもので……円香、幸せですっ……」
壮絶な悦感に意識がフワフワと浮いている円香は、つい本音を漏らす。
その健気な様に、また……ちゅっ。
彩香の愛と優しさに満ち溢れた唇が、彼女の額に降り掛かる。
熱く、嬉しい感触が、最後に覚えた物だった。
(……あっ、ああ!わたし……わたしは……彩香さまの……ご主人様のものぉぉ!)
ぷしゅわっ、ぷしゅッ!
忠誠を誓うようにして、股間の濡れ穴から愛液が噴き上がり……そのまま円香の意識は、闇に呑まれた。


★ ★ ★


特別捜査官間藤衛次の受難4-2

<4ー2>

「歯の痕も、もっと付けちゃぇ!あむっ、はむむッ!」
「イヤァ!はぁ、ンン――わたしっ、おかひくぅっ、んひぃぃ――!」
かぷり、ちゅぷっ、と甘噛みも交えながら……。
(くはぁあ!き、気持ちいい!体が喜んじゃう!淫らになっちゃうッ!!)
押し寄せる、狂おしい悦感。
冷たい舌のザラザラが、柔肌の上を通るたびに、愛液がお漏らしのように溢れ出る。
「ひっ、ひぃ!ゆ、ゆるしてぇ……こんな激しいィの……あっ、あひっ!」
熱く激しく沸騰する肉欲に、円香ははしたなく脚を開く。
その様を、くすり、と笑い、彩香は言った。
「もう円香ちゃん――何を言っているのよ?この程度……貴女がひとりエッチしていた時よりも、全然……ソフトじゃない。うふ、ふふふ!」
「あはっ、くふぅぅ!!」
乳房を混ぜるように解す彩香の言葉が、背徳の喜悦となって円香を襲う。
「あ、あれは――あれはっ、っ……ンっ!」
「私は言ったわよね?女になっても円香ちゃんが……衛次くんが好きだって。だから、女の体でも構わない……愛し合おう、って。なのに……衛次くん私の言葉を無視して……ひとりで、内緒で――オナニーしちゃっているんだもん。私の……怒り分かるかな?」
ぬぎゅっ、ぎゅにゅりっ。
弾力豊かな爆乳が、彩香の指に押し拉げる。
熱く痛い衝撃に、意識が苛む。
「ごめっ……んなっ、ひゃぁあ――!許してぇ、くだっ、さい!お、お姉ちゃんっ、っ!」
「私ね、ショックだったの。婚約者の私よりも……あんなアダルトグッズの方が……イヤらしいバイブの方が、良かったなんて。酷い話よね?」
「そ、そんなつもりじゃっ……なかった。わたしっ、わたっ、しぃ……ひぐっ!!」
気持ちいいのか、激痛に悶えているのか。
円香さえも分からない。
ポロポロと涙を流しながら、上目遣いで彩香を見上げた。
(だって……い、言える訳ないじゃないかっ!か、体が火照るからって……疼いて仕方ないからって!彩香さんとエッチしたいだなんて言えなかったんだよォ!!)
監禁されていた際の教育の弊害なのか。
円香の体は、とても敏感だ。――淫乱という言葉が、ぴったり、なほど。
そのため意地や、恥かしさで彩香との肉体接触を拒んだが――それでも沸き立つ肉欲には勝てず、こっそりと自らの手で発情の女体を慰めていたのだ。
「ゆ、許してぇ……もう二度とあんなことしっ、しないからっ!」
「だーめ!こうなったら私の手で……円香ちゃんを滅茶苦茶にしてあげるのっ!!円香ちゃんが、私を愛してくれるように――激しく犯しちゃうの!!」
「ひゃっ、おっぱいっ!いたっ……んほっ!ンン――!」
巨乳房を激しく捏ね繰り回しつつ、彼女の顔が唇に吸い付いた。
口腔に、彩香の舌が侵入する。
くちゅり、ぬちゃっ、ぬちゃちゃ!
荒々しくうねって跳ねる舌の感触に、息をするのも忘れて、歓喜に震える。
(あっ、ふぅ!も、もう既に彩香さんの――彩香お姉ちゃんの虜だよォ!僕を……こ、これ以上……女としてっ!あっ、ああ!い、イジメないぇでぇ!!)
こっそりと自慰<オナニー>していた事実を、彩香に知られてしまった。
嫌悪されると覚悟した。軽蔑されると恐れた。
だが、彩香は怒ったのだ。
自分の愛が――男性器を模した破廉恥な道具に負けたのか、と。
妙な対抗心を燃やしたのだ。
やはり、常人とは異なる思考回路。
歪な愛が生まれ、その標的は――円香の淫乱女体だった。
「はぁ、はああ……はぅ、はうう!」
見た目通り犬のように突っ伏して、円香は腰をくねった。
卑猥な風勢。男に媚びる牝の仕草。
体に、骨に……本能に染みついていた。
恥辱に苛みながらも、止められない。肉欲は、狂おしく燃え上がるばかりであった。
(ぼくのっ――わたしの……おまんこぉ!ぼっ、く!ぼくの――わたしの、ココが……あつい!あつく、脈打って……か、硬くて太いのが……欲しいッ!!)
意識がクラクラと瞬くほど、膣襞が切迫的な疼きに満ち、激しい蠕動を引き起こしている。
股間の肉割れ目の上部では、ちっぽけな肉粒が赤く充血していた。
「はぁ、はぁ……彩香お姉ちゃん。わ、わたしっ……もう……!」
極小の、クリトリスから発信される歯痒い疼きに、理性がさらに掻き乱される。
「ま、まどか……我慢できない。お、お願いだから……彩香おっ、お姉ちゃん!」
早く、早く、と円香は腰をくねった。
「はぁ、はあ……お、おねがい……おねがい――だから」
「……まったく、道具に頼りなくないのに。円香ちゃんのここは……太くて、硬くて――ぶっちゃけて男のモノが欲しいのね?」
「はぅ、くふふ!……んんっ!」
こくり、こくりっ!
盛った牝犬のように頭を振るって、皮肉交じりの言葉を、円香は認めた。
「うふふ。最初は指や……貝合わせで満足していたのに……直に太くて硬いものを求めて。淫乱……円香ちゃんは、とっても淫乱ねっ!」
「はぁ、はあンっ!はっ……はい!わたし、まどかっ!い、淫乱です!」
「はい。お利口ね」
「んっ、ンン――!」
ご褒美の口付け。
唇から伝わる彩香の吐息の振動、匂い。悩ましい熱感。
割って入る舌先が、口蓋や歯茎を舐め擽る。
脳が痺れるほど、気持ちいい。
けれども、下半身いっぱいに広がった淫熱は、むしろ、歯痒さを増すばかりである。
「んふぁっ、あはっ……ん!は、はやく……つらい!つらいっ、よぉぉ!」
火照った女体に駆け巡る悦感に、息詰まらせながら、淫らに願う。
途端、ますます笑みを深めた彩香が耳元で囁いた。
「いいわよ。ただし……かわいい、かわいい牝犬の……マネしてくれたらね?」
彩香の細い指が、柔肌を撫でる。乳房を揉み、尻房を抓った。
「あはっ、ひぁ……やっ、やぁ!嫌っ……恥ずかしいっ!ンっ、くぅっ!!」
恥辱に身悶え、赤く火照る女体。
ぷしゅっ、しゅわぁ、ぷしゅりっ!
股間の肉割れより、愛液が迸る。
牝壺が切迫的に疼き捲り、蠕動を激しくさせた。
(だめぇ――もう、だめぇ!わたしっ……もうだめぇえ!!)
理性が崩れ落ちた。
悔しさも、恥かしさも――どこか、遠くへと飛んでいく。
ただ……ただただ、燃え上がる肉欲を慰めて貰おうと、円香は尻をくねった。
「わ、わぉ……わぁんっ。きゃぅ……ハッ、ハァッ……わん!わんっ、わぅんんっ……♡」
蠱惑的なほど、媚びた牝声。
くねくねと迫り上がった肉尻が、纏わり付くように彩香の股間に触れる。
「うふ、うふふ――円香ちゃん。もうしょうがないわね……私が……お姉ちゃんがあなたを楽にしてあげるっ!」
彩香は股間に手を当てた。
黒い影が、彼女の腰に巻き付く。男性器を模したイヤらしい性具だった。
(んふぅぁ、はぁあ――わっ、わんっ♡)
彩香にとっての男性器――ペニスバンの切っ先が、円香を狙う。
尻房を、股間を……そして、濡れ蕩けた淫乱陰唇を。
キュルン、キュルン。
太く逞しい異物に満たされる感触を思い出し、牝壺器官が狂おしく浮かび上がった。

特別捜査官間藤衛次の受難 4-1

<4ー1>

婚約者の男性が性転換してしまったら、普通は別れを切り出す筈だろう。
だが、峰彩香という人物は、見た目の妖しい美しさ通りに――常人では理解できない、思考回路を持っていた。
「うふふ……似合うわよ。円香ちゃん」
パシャ、パシャ。
下着姿で写真を取り、彩香がにっこりと微笑む。
その熱い眼差しの先に、破廉恥極まりない服装で、円香は落ち着きなく立ち尽くしていた。
「…………さ、彩香さん。もう……許してぇ」
情けない声を漏らし、涙ぐみながら、上目遣いに婚約者を見詰める。
すると……恍惚の極みとばかりに、彩香の表情は輝いた。
「あっ、ああ!かっ……可愛いっ!!」
脚先から頭部に至るまでを、ふるふると震わせ、小柄な円香に組み掛かる。
「きゃああっ!」
脚が縺れ、避けられない。
どんっ、とぶつかって来た彩香を、円香は細腕で受け止めた。
「さ、彩香さん……あンっ」
むぎゅりっ、と乳房を揉まれた。
甘美な痺れが背筋を走り、可愛らしい声が漏れる。
「やめっ……んふぇっ、はぁ……!」
「うふふ……円香ちゃん?お姉ちゃんに、そんな口を叩いていいのかな?」
「んんっ……ふぁ!やっ、はぁ……はンっ!」
ずっしりと自身の重みに波打つおっぱいを、底の方から掻き回す。
肉房いっぱいに切ない疼きが染み広がって、とてもじゃないが堪えられない。
「あっ、ひゃぁ――お、お姉ちゃん!彩香お姉ちゃんっ!!」
甘く上擦った音色で叫び、彩香の腕の中で項垂れた。
「はぁ、はぁ……」
「そうよ。偉いわよ――いい、今のあなたは峰円香。私の妹――そう決めたよね、衛次くん?」
「んふぁっ、はぁ――は、いぃ!」
「じゃあ……続き、しようか」
「…………っ」
婚約者の声に、円香な黙ったまま頷いた。
(はぁ、はぁ……ぼく……我慢、できっ……ないっ!)
馬鹿げた巨乳房を少し弄られただけで、狂おしい熱が体を苛む。
美しい肌に玉のような汗が浮かび上がる。
全身がカァと上気して、くね、くね、と腰が淫らな風勢でうねった。
「さ、彩香……お姉ちゃん。わ、わたし……あっ、ああ!」
一度灯った肉欲の炎を慰めて欲しくて、円香は『姉』に擦り寄った。
上品な、いい香り。柔らかな肢体。
長くすらりと伸びた手が、ぎゅうっと自身の肌を抱き締める。
(あっ……ああ!僕……も、もう……熱くて、熱くて!た、堪えられないっ!)
すると、火照った女体が打ち震え、股間から愛液が吐き垂れた。
ぷしゅ、しゅわぁ!
「うふふ……円香ちゃんも、随分と興奮しているのね」
「だって……だって、こんな恰好……させるか、からぁ……!」
峰円香の格好は……一言で言えば『犬』である。
犬耳を模した髪飾り。
大型犬用の丈夫な首輪。
魅惑の谷間を強調させる胸元の、大胆過ぎる構造――に加え、股間には茶色の生地が恥かしいほど食い込んでいた。
(あっあ、ん。こ、こんっ……こんな恥ずかしい姿――してるから!ぼくっ、ぼくぅうう!!体が熱く疼いて……ああ!堪らない……興奮が抑え切れないっ!!)
蠱惑の悦感を伴って、エッチな服がさらに股間に食い込む。
尻房も、同じだった。
極薄の布地が糸のように細まって、歯痒い疼きを与えながら、柔らかな尻の奥へと沈んでいく。
「あはっ……んんっ!!」
華奢で小さな女体を、円香はくねらせた。
「いいじゃない……その姿――とても可愛いんだから。それに、何よりも円香ちゃん――貴女だって、楽しんでいるじゃないっ!」
「んあっ……くふぁあああ――!」
彩香の言葉が、胸を抉る。
悔しさと、恥かしさに体が熱を発した。
――けれども。
ぷしゅっ、プシュシュッ!
(んふぁああ!だめぇ、気持ちいっ、いい――!!)
お腹の奥が狂おしく脈打ち、円香はうっとりと息を吐いた。
誤魔化せない。
女の悦びを教えられた女体は、貪欲に快感を欲し求めていた。
(あっ、あうっ!さ、さやかさん……彩香さんが――まさか、こんなサドになっ、なるぅ!なんてぇええ――!)
彩香が主<サド>で……円香が奴隷<マゾ>――。
そんな歪な愛情を、二人は密かに育んでいた。
「ねぇ、ちゃんと答えてよ!ちゃんとお話しようよっ!姉妹でお喋りを楽しみましょう!――でないと……気持ちよくしてあげないよ?」
濡れ火照る女陰を、にゅぷり、と彩香は指で掻き回した。
瞳に涙を浮かべ、はしたない悲鳴を円香は漏らす。
「イっ……イヤっ!お、お姉ちゃん――や、やだ!わたし……気持ちよくっ、なりたい!な、なりたいよぉ……くふぁ!はぁあ!!」
ちゅぷっ、ぬじゅる。
折れ曲がった指が、様々な角度で膣口を抉り、快感の嵐が巻き起こる。
「あっ、ああ!あはぁ、ンン――♡」
膣襞が嬉しそうに窄まって、円香は腰を淫らに迫り上げる。
(これぇっ、いい!恥ずかしけど……これぇ、いいッ!!)
切迫的な疼きが増すばかりの敏感粘膜を、彩香の手に愛でられる。
脳が、理性が、駄目になりそうなほどの恍惚感――。
子宮が激しく窄まり、夥しい量の蜜液が股間の肉割れより噴き上がる。
「どう……私の指は気持ちいい?お姉ちゃんの指は?」
「気持ちいいの!とっ、とっても!」
「どう……キスされたい?お姉ちゃんの唇を味わいたい?」
「は、はいっ!欲しい……彩香っ、お姉ちゃんのキスで……トロトロになりたいっ!!」
円香のイヤらしい願いを、『姉』――彩香は迷うことなく叶えていく。
「んんっ、はあっ……ン!」
彼女の片手に陰唇を激しく扱かれながら、口腔が舌先に掻き混ぜられる。
絡み合うふたつの美唇。
彩香の舌が蛇のように蠢き、うねっていた。
ねっとりとした口付けに……意識が熱く蕩けていく。
「あはっ、はぁ……ひゃあ!なめっ、すぐぃっ……かまっ、なひっ――ひゃ、はぁンン!!」
そのまま首筋を、胸元の爆乳を……舐め擽られる。
「円香ちゃん……すごく甘いっ。甘いよっ!!」
「ひゃぁあ!かぷって嚙まないでぇ!かまっ、ないでぇ……か、噛まれただけで私……し、幸せ感じちゃう!くぅ、ああ……だから、ダメって言ってるのに!お、お姉ちゃんっ!!」
悩ましく火照る肌に、歯が突き立てられた。甘噛みだ。
細やかな肩口。二の腕や、鎖骨。
上半身に彩香の歯形が薄く残る。
ぞく、ぞくりっ――。
(あふぅ!ダメになるぅ!熱くて、幸せで……恥ずかしい汁、漏れちゃうッ!)
痛いのに、恥ずかしいのに、心地いい電撃が脳を揺さぶった。
(この体が……い、淫乱……すぎるぅぅ!それも彩香さんが相手だと……今までの薬品漬けが馬鹿馬鹿しくなるほど!ひっ、ひぃいい――オンナッ!オンナッが気持ちいい、のォォオオ――!!)
性別が変わっても、愛してくれた。
――のみならず、新しい戸籍が必要になった際、自らの戸籍を貸してくれた。
紆余曲折あったが、峰彩香の妹。
峰円香として……『衛次』は生まれ変わったのである。
恩を返したくても、返せない。
愛する婚約者であると同時に――大恩人だった。
それが……今では。
「うふふ……ふふっ。脇も、お臍も……ペロペロしましょうね!」
「あひっ、ひああ!お姉ちゃん!さ、やかっ……お姉ちゃん!ぺ、ペロペロは!待ってぇ!私っ、ペロペロされちゃうっ――とっ!あっ、あはっ、ひぃ、はぁあンン!!」
無理やり万歳させた円香の脇を、婚約者の舌が舐める。
柔らかそうなお腹にも、赤く濡れた舌先が、ツンツンと突っついた。
……舐める。
兎に角、舐める。
腕も、指も、股関節さえも――彩香の舐め責めが、円香の生肌を蹂躙した。

特別捜査官間藤衛次の受難 3-2

<3-2>

(二年前の……あの悪夢は忘れたくても、忘れられない。もしあのまま調教を受け続けていたら、きっと僕は……心が壊れていたっ!)
女の口調と仕草を洗脳によって植え付けられた円香――だが、それでも、微かな正気を保ち続け、心だけで抗った。
それが組織のボス……あの黒髪を結わえた眼帯の男の何かに触れたのだろう。
窒息死に追い詰めながらも、止めを刺さず、完璧な性奴隷になるまで監禁し続けたのだ。
「……キミの気持ちは……その。……分かる。部下を、仲間を失い――そんな姿にされたんだ。早く例の組織と男を掴まえたいのは……私も同じだ。けれども……何度も言うように、キミは以前とは違う。そのことを忘れるなっ!」
過去を思い出していた女体化の捜査官を現実へと引き戻したのは、警部の声だった。
何度も同じことを言うのは、つまり、それだけ心配されていると言う事だ。
それが分からないほど、円香は疎くはなかった。
「はい……私は……峰円香です。少なくとも今は……ふっ、婦警の円香として――精一杯、皆のために働きたいと思います!」
姿形を変えられた無様な刑事を再び採用してくれた――それもかなり強引に推薦してくれた――、一ノ瀬警部や、病院でお世話になった医師たち。
そして、何よりも……。
(そうだ。落ち込んでいる場合じゃない……自分で決めたことだ。一刻も早く――僕は元の姿に戻って見せるっ。……彩香さんのためにもっ!!)
今でも自分を支える、ひとりの女性を思いながら『衛次』は……否。
峰円香は、びしっ、と敬礼した。
たぷるん、ぷるん。
(うわっ、わああっ!で、でも……これ以上、大きなサイズはなかったのか!?おっぱいで、婦警の制服がやっ――破れるっ、っ!?)
制服のボタンが弾け飛ばしそうなほど、巨乳房が波打った。
「うあっ……うぅっ。はぅううっ……」
その情けない姿に気恥ずかしさを覚え、円香の頬はほのかに赤らんだ。




「はぁ……お酒が飲みたい……」
ごくんっ。
乾く喉を、アルコールで癒したい欲求に駆られた。
(でも……お酒はダメって言われているし……はぁああ)
謎の薬品によって肉体は性別を変え、脳さえも悦楽の虜に成りつつあった。
懸命のリハビリで、日常生活は送れる。
定期的な検診は欠かせず、アルコールやたばこは無論の事――過度な運動も控えられた。
「はぁあぁっ。でも……飲みたい――すごく飲みたいの……わ、私っ」
喉から悩ましい響きの声が漏れる。
円香は、ぐったりと、ソファに倒れた。
(辛いけど、頑張らないと……僕が……自分で決めたことなんだ。これ以上……何もしないでいるのは嫌だっ!!)
救助されてから円香は、捜査に加われなかった。
ごく一部の人にしか、彼女の正体は知られていない。本来の自分――『間藤衛次』は殉職扱いである。
犯罪組織から助け出された、ただの哀れな娘に、捜査権が与えられる訳もない。
事情を知る人たちも、まるで本当の箱入り娘のように、円香を扱った。
守り……可愛がった。
だが、それが何よりも彼女を苦しめたのである。
(――僕は……絶対に戻って見せる。僕自身に……間藤衛次という人間に――その為なら、どんなことでもする覚悟はあるんだ!)
ある時、円香は医師に言われた。
希望とも、可能性とも言えない未来を。
『元の体に戻る薬品が、あるかもしれない』。
『体を変えた薬品を手に入れられたら……あるいは――』
諦めるな、と言う言葉ではない。
“諦めた方が、楽になれる“――と医師は、言い放ったのだ。
(警部のお蔭で、組織には大打撃を与えられた。けど、肝心のボスには逃げられて、あの妖しい薬や道具も……ほとんど見つけられなかった。……けど、あれら実物や関連データを手に入れれば……可能性は……あるんだっ!ある……筈なんだ!!)
理屈では分かっている。
無駄だと、理性が叫んでいる。
だが、それでも円香にとって――『間藤衛次』は自分自身なのだ。
捨てたくない。見捨てたくない。
絶対に……。
「わたし……わたしっ、ぼっ……くぅ……ふぅ!」
熱く激しい決意を胸に秘めながら、円香は暗い顔を上げた。
頬を強張らせ、満面を苦渋の色に染めながら、言葉を吐こうとする。
「……ぼっ、ぼぉ――わ、わたし……あっ、あぅ。やっぱりで、出来ないっ!」
結果は、失敗。大失敗だ。
『僕』というたった一つの言葉も使えず、失望を露わにして、円香はソファに崩れた。
「……はぁあ」
漏れる吐息が、妙に色っぽい。
二年前の調教は、今尚も彼女の体を支配していた。
「わたしっ……本当は男なのに……っ」
仕草も、口調も、強制的に女らしくなる。その事実に涙が、ぽろり、と瞳から溢れた。
(ダメだ……ひとりだと暗くなる。……それでなくとも今日は散々だったんだから……)
同僚の男たちのイヤらしい視線。破廉恥極まりない過度な接触。
帰宅途中の電車でも、痴漢にも襲われた。
性犯罪者に目を付けられ、体を揉み回されたのは――今月で三回目だ。
う、ううっ、と悔しそうな顔で、円香は涙ぐむ。
「だめっ。も……もう嫌っ――!」
盛大に乳房を波打たせ、円香は立ち上がる。
健康も、言いつけも、頭の中には存在しない――ただアルコールの力に頼ろうと、冷蔵庫の中を開けた。
「…………っ」
瞳を細め、冷えたビールの缶を見詰める。
押し黙ったまま、数秒が経過した。
(これぐらい――いいよね?)
女体化の苦しみを紛らわせようと、嫋やかな指が缶を開けた。
プシュッ。
こぷこぷ……シュワァアア!
グラスの中で輝く黄金の液体、麦酒<ビール>。
アルコールの香りが、鼻孔を誘惑する。
「……よ、よし!」
ごくり、と物欲しげに喉を鳴らす。グラスを傾け、円香は唇を開けた。
その直後――。
「……ただいま、衛次くん!」
玄関から轟いた、透き通るように甲高い声。
期待と背徳に心臓をときめかせていた体が、一瞬で凍った。
極寒地獄に堕ちてしまったかの如く、ゾクゾクと背中が粟立つ。
「……衛次くん?いないの?」
「あっ、だめ――さやっ!」
同居人の名を叫び前に、リビングの扉が動いた。
「…………」
洋服が似合う、日本人離れした長い手足を誇る絶世の美女。
艶やかに光りを反射する髪を腰よりも下に引っ提げ、片目を隠している。
胸では目立って極まりない――それでも、円香よりは小ぶりな――美乳が震えていた。
ミステリー小説から飛び出したような、どこか妖しげな美貌であった。
「……うふっ、ふふ……衛次くん?それは――なに?」
ただでさえ切れ長の瞳を、さらに細め、笑みを浮かべた。
世の男どもを瞬く間に堕落させてしまうような、蠱惑的すぎる魔笑。
それが絶対零度を宿している。
ぐさり、と視線が体に突き刺さり、ますます円香は固まった。
「あ、あの……これ――これは、その……」
「……円香ちゃん」
赤点のテスト用紙を見つけられた子供のように、慌てふためく円香を、女性は冷ややかに……呼び直す。
怒っている。かなり、滅茶苦茶に。
呼び直しているのが、その証拠だ。
「…………」
「まずは、手に持っている物を置きなさい」
「はい」
「……お仕置き、覚悟できているわよね?」
「はい。……彩香さん」
ミステリアスな美貌を振り撒く女――峰彩香は、微笑んだ。
許しの、慈悲の、類ではない。
「うふ、ふふ。……復帰して早々にイケないことをする人には……きついお仕置きが必要のようね!」
加虐の悦に、満ち満ちた貌。彩香が、実に嬉しそうに近づく。
(た、頼むから!お、お手柔らかに頼む――頼むよォ!さ、彩香さんっ!!)
借りて来た猫のように震える円香の顔が、彩香の胸元に抱き寄せられた。

特別捜査官間藤衛次の受難 3-1

<3-1>

……二年後。

ひとりの『女性』が、特別捜査官の部屋の前で立って居た。
女性といっても、そこまで大人ではない。
いや、確かに肉体は蠱惑的なほど肉感に溢れ――特に胸元は、馬鹿々々しいほど巨大な乳房であった。たぷんッ、と盛大に波打っている。
短いスカートから零れ出ている太腿は、男だったら食らい付きたいほど、むっちりと震えていた。
臀部の形も、誰が見ても安産型だと分かる。途轍もなく見事な美尻。
近くを通る男性の視線が、Gカップを軽く超えている乳房か、柔らかく浮き出た尻房か……そのどちらを観察しようかと迷うほど、完熟された肢体。
だが、それでも……大人と断言は出来ないだろう。
「…………」
唇を噛み締め、扉の前で立ち尽くす。
精一杯に強張っているつもりなのだが、大きな黒目。幼さの残る童顔。
迫力というものが欠片もない、女子高校生としか思えない若々しい美貌だ。
身に纏っている服が――婦警の制服が、陳腐なコスプレにしか見えないほど、その顔は妖精か、人形のように、とても可愛らしい。
(――覚悟を決めろ。これが……これが、僕の……いや、”ワタシ“の第一歩なんだっ!!)
固唾を呑み、首に下げたIDカードを使い、扉を開ける。
そして……視線の雨に晒されながら、慣れ親しんだ、嘗ての職場に歩を進めた。
「……っ」
たぷるん、ぷるん、と波打つ爆乳に突き刺さる視線に堪えながら、揺れ動くスカートの感触に頬をカァと赤らめながら――よたよたと危なげな足取りで、突き進む。
「――では、皆に紹介する。今度から……ここを手伝う」
特別捜査官を纏め上げる警部の声に、出来る限りの笑みを浮かべる。
胸元で、有りえないほど巨大な肉房が激しく揺れ弾み……首に掛けていたIDカードも、派手に揺れ跳ねた。

そこには――こう記載されていた。

≪――”峰 円香”――≫

それこそが、彼女の名前だった。

「みっ……峰 円香と言います。本日から皆様の手伝いをすることになりました。よっ、宜しくお願いします!」

黒髪を揺らし、大きな瞳で、にっこりと微笑む。
すると、厳つい顔の捜査官たちは、一斉に鼻の下を伸ばした。
もっとも……。
「……以上だ。皆仕事に戻ってくれ」
「……人手不足とは言え。こんな娘に手伝って貰って大丈夫なんですかねぇ……」
大きな声で不満を口にする者がいた。
(まぁ、そうだよなぁ……)
気持ちは分かる。
見た目、女子高校生か、良くて女子大生にしか見えない――おまけに箱入り娘のような無垢な美貌の――娘なのだ。
能力を疑うのは当然だ。
しかも、二年前には内通者のせいで複数の殉職者を出しているだけに、用心深いのは、むしろ、偉い。……筈だった。
「山根、言いたいことがあるならはっきり言え……」
「……いえ、警部が決めたことならオレはいいですよ。それに――まどかちゃん。ちょー可愛し、オレは大歓迎!じゃあ、宜しくね!まどかちゃん!」
「ひゃあっ!」
警部の睨みに、呆気なく意見を引っ込めた捜査官は、擦れ違いざまに円香の尻を撫でた。
セクハラだ。
それも尻の房に指を深々と食い込ませる、冗談では許されないレベルであった。
もっとも……。
(こ、この男はぁああ――さっき感心したのは撤回だ!この馬鹿っ!!)
怒りを胸の内に仕舞い込み、天使の微笑みを浮かべ、円香は苦言を漏らす。
「も、もう……やめて下さい。山根……さん。セクハラ……セクハラですよっ!」
「いいじゃん、いいじゃん。円香ちゃん、胸だけでなく尻もちょーエッチィんだからっ!……ねぇ、真面目な話。俺と付き合わない――あいたッ!?」
この職場に不釣り合いなナンパ師のような刑事は、先輩に頭を叩かれた。
「馬鹿やっていないで行くぞ!このセクハラ野郎っ!それと、円香ちゃん……今日の週末に歓迎会するから、お酒飲める?」
「必ず、着てくれよ――じゃあ、詳しい話はまた後で!」
「わっ、分かりました」
「ううう……歓迎会で返事……聞かせてね!」
「…………っ」
ぎゅっ。
密かに拳を握る円香の前で、捜査官たちが駆け足で仕事に向かう。
ある者は書類作成、ある物は現場へ。
そして……。
「……大丈夫か?まどう……じゃないっ、峰……くん」
「……は、い。大丈夫です……一ノ瀬警部」
仕事に励む彼らを見やり、遣る瀬無い気持ちが胸を満たす。
誤魔化したつもりだが、この上司には――円香の事情を知っている一ノ瀬は、部下の変調を直に察した。
「……私の部屋に来なさい」
「……了解しました」
上司からの命令に……婦警は素直に従った。





ぱたんっ、と背後で扉が閉まる。
それを合図に、婦警は深い溜め息を漏らした。
「――はぁああ」
たぷんっ、と目立って極まりない爆乳が揺れ弾む。
婦警の制服が、ぶちっ、と裂けそうになった。
(……最悪だ。初日から……はぁああっ)
世界中の不幸が一斉に降り掛かったように、小さな美貌を曇らせる。
「……やはり、無理じゃないのか?」
「い、いえ……やります!やらせて下さい……!」
ばんっ。
思わず机を叩き、上司からの助言を拒む。
だが、警部はさらに唇を尖らせ、釘を刺して来た。
「そうは言うが……明らかに無理だろ。今の君では……峰円香では――」
「…………っ」
純然たる事実を尊敬する上司に突き付けられて、円香は声を詰まらせる。
(そ、そんなことは分かってる!けど……それでも僕は――っ!)
思わず叫びそうになった唇を噛み締め、ブルブルと遣る瀬無い怒りに震えた。
(くそっ、くそぉ……違うのに。こんな女の体は……僕じゃないのにぃ!)
お淑やかで、ほっそりとした指。
痛みが発生するほど強く、激しく拳を握り締める。
揺れ弾む常識外れの乳房。完熟したメロンを連想させる肉感たっぷりの美尻。
そして、股間には女の証が――女陰が、存在している。
自身の体の筈なのに、気恥ずかしさが拭えなかった。
「……だ、大丈夫です。わたしは……大丈夫……や、やれますっ!」
誰が見ても嘘だと分かる強がりを、円香は口にした。
「…………ふぅ。しかし……こうして見ても未だに信じられないよ。キミが――」
聞き分けのない娘への説得を諦めた父親のように、警部が頭を振る。そして……。
「あの……間藤衛次だとは。いや、生きていてくれたのは……嬉しいのだが……」
円香の――『本当の名前』を漏らした。
「……警部」
胸を騒めかせるのは、歓喜の気持ち。
その名を呼ばれて嬉しくない訳がなく――けれども、今は呼ばれる訳にはいかなくて、円香喜びに輝かせた顔を直に歪ませ、苦言した。
「だ、大丈夫なのですか……?私の名前を漏らしても……誰かに気付かれるのでは?」
「なに、構わないさ。内通者は掴まえたし……キミの体のことは極秘そのものだ。事情を知る関係者以外で峰円香と、殉職した捜査官……間藤衛次が同一人物だと考える奴などいない。例えホームズや、ポアロでも、ね」
ミステリー好きな警部は、名探偵の名を例に、正体がバレる危険性の低さを説く。
だが、その一方で――。
「……ただ、キミをそんな姿に変えた組織は別だ。警戒し過ぎるのは心身ともに支障をきたすが……それでも重々に気を付けるんだ」
「はい。警部……。警部には……頭を下げるばかりです」
危うい、かつ、複雑な円香の立場を思い、助言する。
その心遣いに、じんっ、と胸が痺れた。
(まったく、この人は……本当に素晴らしい人だ。この人が居なければ……僕はどうなっていたんだろう――?)
円香は……いや、薬品により女へと変えられて、性奴隷として売られる寸前だった捜査官――『間藤衛次』は生きていた。
魅惑の肢体と、愛らしい美貌をそのままに、救助されていたのである。
全ては目前の上司が、成した奇跡。
執念の成果だった。
「一ノ瀬警部――本当にありがとう御座いました。私がこうして生きて居られるのも……そして、こうして婦警としてですが……職場に戻れるのも……全て貴方のお蔭ですっ!」
『よせ、照れるじゃないか』とほのかに頬を染め、顔を逸らす警部。
自身の感謝がどれほど伝わっているのか分からないが、相も変わらず生真面目な一ノ瀬の姿に、くすり、と円香は笑みを浮かべた
(まったく、この人は――たった一人で内通者を掴まえて、僕が捕らえられた場所を突き止めてしまったんだから、もっと自分を評価すればいいのに……!)
信頼できる部下を失いながらも、一人で内部調査を突き詰め、遂に内通者を捕らえた警部は、その勢いのままに監禁されていた円香の場所をも発見――突入。
ボスこそ逃がしたものの、組織員をかなり検挙し、組織に大打撃を与えた。
そして、疲弊しきったひとりの女性を助け出したのだ。
……殉職したと思われた捜査官だと、知らぬまま。

特別捜査官間藤衛次の受難 2-4

<2ー4>

「ご主人様っ――激しいィ、です!い、いたいっ、いたいです!や、優しく……あっ、ああ!ひぃ、うう!!」
ぐふふ、がはは、と醜悪な笑みを晒す男。
その声を聞き、激しさを増す腰使いに、衛次は堪えなければならなかった。
「うあぅ……いたっ!くるひぃ――らめっ……んはぁ、はァァ、っ!」
涙が止まらない。
悔しさと恥かしさに、さらに頬が上気する。
(う、うう!誰か……助けて!あんまりだ――幾らなんでも!こんなのはっ!!)
男だったのに、犯罪者を逮捕する捜査官だったのに。
今の衛次は、そのどれでもなかった。
女であり、犯罪者たちの性の捌け口――性奴隷。
処女膜を勃起ペニスに突き破られた痛みが、その証拠。
やはり、悔しい。
恥ずかしくて、堪らない。
瞳は大きな涙を流し、ううっ、と切なげな呻きを上げた。
(あっ、あっ!そんなっ!これっ――ぼくの意思じゃ、ないぃぃ!や、やめろ……こんなにちんぽ!キュンって締め付けたら……あっ、ああ!あはっ、ンン――!?)
膣壁が悩ましい圧力で、勃起肉を包み込んだ。
異物の感触が重々しく下半身を打ち跳ねて、意識が眩む。
「ごっ、しゅじんっ……ご主人様っ!あっ……アアァ!んはっ、はぁあ!」
まるで衛次の苦悩も、恥辱も嘘であるかのように、唇がはしたない声を吐く。
そればかりか、萎え震えていた脚が、くくっ、と曲がり、男の体を抑え付ける。
さらに奥へ、悩ましく、狂おしく。
勃起した肉槍が、壮絶な痛みと悦感を伴いながら、子宮を突き跳ねた。
「……よし、よし。もう完璧な牝だ……男に媚びるしかない……性奴隷と言う名の牝だ!衛次っ、お前は牝なんだ!!」
ずどんっ。
容赦のない一撃が、子宮を押し潰す。
ぷしゅ、ぷしゅ、と牝壺いっぱいに液汁を噴き垂らし、灼熱の甘美が女体を包む。
知性などない蕩けた顔を晒し、衛次はこう言い放った。
「あっ、ああっ……はっ、はいぃ!ご、ご主人様ァっ!!う、嬉しいっ……でっ、でふぅうう!ンっ、あっ、ああ!はぁ――くぅぅッ!!」
人間らしい知性も、誇りもない。
男に尽くし、男の為だけに存在する。
イヤらしい”牝”――それが今の間藤衛次なのだ。
(あっ、はぁ……はぁああ!!ぼっ、ぼくぅ……わっ、私!私、私っ……もう、だめぇ!)
恥辱に身を焦がしながらも、やはり、腰は淫靡にくねり上がる。
その震動で、二人の股間は激しく重なり合った。
ずぶっ、じょぼっ――ドビュルゥゥゥ!
ぷしゅわっ、ぷしゅっ、ぴゅあっ、プシュァア!!
「あっ、ひあ!ひああっ!ご主人様の……せーしぃっ!くふぅ、ぅうう!!」
煮え滾るような灼熱を宿した精液が、塊となって子宮を叩く。
脳がシェイクされたような、直接掻き回されたような、極上の悦感が子宮から沸き立ち、膣襞が一斉に引き締まった。
まるでさらなる精液を欲するように襞のひとつひとつが、肉幹の悩ましい弾力をねっとりと咥え込む。

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挿絵:れいとうみかん

(あうっ、うう!ちくっ、しょう……あっ、はぁ……んっ、ん……!)
狂おしい恥辱に苛みながらも、恍惚感を押し殺せず、衛次の意識は点滅する。
……真っ白な世界。
ふわふわと浮かび上がるような、気持ち良さ。
そして――どうしようもない甘美に満ちた脱力感。
「あはっ、はぁっ……ふぅ、ああっ!……ん、ん……あんっ……!」
うっとりと衛次は息を吐く。
どびゅるっ、ずぼっ、と男根が、股間の肉割れより引き抜かれた。
膣襞が切なげに打ち震えた。
愛液が、信じられないほど激しく噴き漏れる。
「うぐっ、ふぐぅ……くううっ――はぁ、はぁあ……っ」
ほのかに可憐な笑みを浮かべ、シーツの上で弱弱しく震える。……と。
「さぁ――衛次。いや、私のペット!忠誠を誓え!私のために働け!!……そうすれば、暫くは客に売らずに飼ってやる!」
名も知らない男が、衛次の屈服を求めた。
理性が弾けた脳に、悦感に蕩けた意識に――その言葉は蠱惑的に染み入る。
(ぼくっ……ぼくは頑張った。がんばった……よね。だから――わたし……ご主人様の……ペットになっても……構わないよ、ね。あっ、ああ……ごしゅっ、じん――さ、まぁ!)
ぷしゅっ、ぷしゅりっ!
膣襞から、愛液が噴き漏れる。
男根が消え去った後でも、浅ましい肉欲は衰えない。
いや……そればかりか、切迫的な疼きは高まり続ける。
「わ、わたしっ……わたしっ――ご主人さま……のぉ……私はっ!」
我慢出来ない。
とても、堪えられない。
唇が、恥辱の屈服を宣言しようとした――その直後。
(……あっ。だ、だめだ……ぼくっ……僕にはっ!!)
自分には勿体ないほど、美しい人。
その人の、婚約者の笑みが脳裏を過る。
火照り続ける肉体は、情けないほど甘美に弛緩したままで、腰を淫らにくねらせている。
けれども……例えそうでも、衛次は正気を取り戻した。
「わたし……わたしは――お、おとこぉ!男ですぅ……ご主人様のモノにはなりませんっ!わ、わたしは……わたしはあなたの……ものにはなっ、なりませんっ!」
強制的に口調も、仕草も女らしくなる女体では、これが限界だった。
惨めにも大きな黒目から涙を流し、赤く上気した鼻先を啜り鳴らす。
だが、確かに衛次は言ったのだ。
……己の誇りを取り戻して。
「私に……逆らうだと?…………冗談じゃない!あれほど手を掛けて調教したのにっ……性奴隷の分際でっ……ワ・タ・シに逆らうだと!?この不良品めぇええ!!」
整った顔を醜く歪ませ、男が激昂した。
荒々しく息を乱し、衛次に組み掛かる。
「はぐっ、ぐうう……っ!?」
お淑やかな首筋が、壮絶な力で絞められる。
男の手、大きな力――少しも、逆らえない。
ぎゅうっ、ぎゅうっ、と柔らか過ぎる肌に指が食い込む度、骨が軋む。
(ぼく――これで終わるのか?……し、死ぬのか?)
窒息死か、それとも首の骨を折られてか――。
濃厚な死の香りの前に、衛次は何もできない。
何も抗えなかった。
細やかな指が、ぴく、ぴく、と緩慢的に震え……そして、落ちた。
ベッドの上に。
それから……少しも動かなかった。
(……さ、やか……さんっ。ご、ごめん……なさい――)
最愛の人を最後まで思いながら、まるでスイッチを消したかのように……そこで衛次の意識は断ち切れた。
「――ハァ、ハァ、ハァ!ハァ……まさか、こんな結末になるとは……ね。……くふ、くははは!あははははっ!――ふざけるな!?……私に屈服しない牝などいないんだァ!!見てろよ、絶対に私に服従を誓わせてやる!!くっ、ははははは!!」
嵐のように吹き荒れる、どこか虚しさを覚える哄笑の中で――黒髪の少女の肉体が、意識を取り戻すことは、最後までなかった。

特別捜査官間藤衛次の受難 2-3

<2-3>

「あはは、あれだけこっちの商売を邪魔していた捜査官が、この様か――いいね。売り出さずに、私のペットにでもしようかな!記念すべき十人目の!ペットだ!!」
「あっ、ひぃ!い、いたいっ……痛いです!ご主人様……わたしのおっ、おっぱい!い、痛いですゥ!おっぱいはっ、優しく――扱ってぇ、ぇ!」
仕草さえも、男に媚び捲っている。
巨大な乳房を揉み回されて、思わず彼に抱き付いてしまった。
「あふっ、はぁ……んんっ!」
「よしッ。感度も悪くないっ!大きいおっぱいは、鈍感だっていうけど……お前のデカおっぱいは特別だ!おい、命令だ!そのおっぱいをもっとイヤらしくしろ!」
「は――はいィっ、っ!」
勝手に両の腕が動いた。
馬鹿げたくらい巨大な肉房の谷間が強調され……むわん、と生臭い牝臭が上気する。
(あっ、ああ!こんなエッチな臭い……僕が……僕がエッチな女?ひ、ひいいっ!)
あまりにも淫靡な香りに、残った理性が狂い乱される。
その隙を、眼前の男は見逃さなかった。
衛次の乳房を再び揉み拉げながら、高慢な口調で命じる。
「おい……言ってみろ!お前はなんだ?」
散々教えられたことを――嫌悪と吐き気に苛みながら――震えながらに衛次は、答えた。
「わっ、私。私……わたっ、しはっ……私はごしゅじんっ、さまの……組織の――所有物です。組織のために……ご主人様のために尽せることが、私の幸せ……でっ、すぅ!」
半端ではない恥辱に、衛次の心は悲鳴を上げた。
赤く上気する顔を、盛大に引き攣らせる。……が。
すっかりと調教された牝肢体は、主と認めた目前の男に、嫌というくらい――従順を示す。
「さあ……こっちに来るんだ」
「はっ、はい」
手招きされて、従順に歩んだ。
そこからは、夜景が一望できた。星のように輝く街頭。ブリキの玩具のような車の群れ。
そして蟲のように小さく蠢く、人の波――。
衛次は、外にいた。
組織の秘密の施設ではなく、普通の――、地上の高級ホテルの一室だ。
助けを呼ぼうと思えば、きっと助けは来る。
……しかし、それでも女の体は、彼の意思に逆らい続けた。
叫ぼうとする度に、全身が麻痺し、口籠もってしまうのだ。
(なんで……こ、こんなことに――これじゃあ死んだ方がマシじゃないか!?)
意思はありながらも、人形のように脚が動かない衛次を、後ろから抱き締め、男が撓わな巨乳房を揉み潰す。
「あ、ああ!おやめ、下さい!ご、ご主人様……だ、だめぇ!あ、ひっ!ああンっ!」
房を面白おかしく掻き乱し、ツンと充血し始めた乳首にも淫らな刺激を与える。
赤く硬い乳首が指で突っつかれる度に、甘美な脱力が沸き立ち、四肢が萎え震えた。
「どうだ……この光景――綺麗だろ?」
「……はいっ」
「私は……何時か、ここに映る全てを手に入れたい。金を稼ぎ、組織をもっと大きくして……他の犯罪組織も、警察も……全てを支配して、ここに立ってやる。それが私の――野望だ」
「あはっ、ンン!」
名も知らない男の狂言めいた告白も、どこか遠い。
揉まれれば揉まれるほど熱く柔らかく火照り、弾力も悩ましく張り詰める爆乳の恐ろしい甘美に、意識が焼け焦げた。
ぴくん、ぴくん、と真紅のドレスを纏う女体が断続的に戦慄く。
(い、嫌だッ。こんなの――ぼくっ、じゃない!!)
男の腕力で組み付かれ、女の力では敵わない。
それ以前にすっかりと受けた洗脳調教のせいで、衛次は憎い相手であっても暴力を振るえなかった。
豊満な乳房が、握り潰される。
頬を、首筋を、耳たぶを、ぬちゃり、ぬちゃっ、と舐められた。
背筋から脳裏へと沸き立つ快感に、狂おしく身悶える。
「あっ、あふぅ……くふぅぅ!」
熱く、悩ましく……どうしようもない甘美に、抗いようがない。
(あっ……あっ、いっ……いいっ!!)
ぷしゅ、しゅわぁあ!
深紅のドレスのスカートの下。
自ら選ばされた女らしいピンクのショーツに、ねっとりと液汁が噴き掛かる。
灼熱の息吹で、脈打つ女陰。
そこから噴き出すように溢れ返った愛液に、衛次の体はますます退廃的に牝臭くなった。
「いっ……いぃ!い、いいっ……くふぅンっ!」
「気持ちイイか?私に――抱かれたいか?」
「あっ、あっ、ああ――」
美しい球体が醜く歪むほど房を揉み拉げられて、衛次の唇は、ふわりっと弛んだ。
言いたくないのに、伝えたくないのに、それでも浅ましく男に媚びる甲高い音色が、喉の奥より響き漏れた。
「お、お願いっ……し、しますっ。だ、だっ、だあ……抱いてっ、ください!ごっ……ご主人様っ!!」
ぷしゅっ、ぷしゅわぁああ!
「あはっ、ン――ふぁあっ、はぁ!!」
漸く言えたと、火照る女体が歓喜したのか。
股間の肉割れより夥しい量の愛液が噴き零れ、四肢が力を失った。
(あうっ、あうぅぅ!殺したいのに、殺したくて堪らないのに……僕はなんでっ。こ、こんな男に……こんなに惨めな言葉を吐いているんだっ!?)
手が、足が、萎え震える。
乱れた吐息を繰り返し、男の腕の中で蹲る。……と。
「あっ……ひあっ、ひぅうう――!」
ドレスが、引き裂かれた。
鮮血のように、赤い破片が宙を舞う。
「ああっ、ご主人様――わたしのおっぱい!そんな激しくすっ、吸うなんてぇ!やめ、やぁああ!!」
そして、ベッドに柔らかな肌を押し倒されると、男に生乳を吸われてしまう。
「んふぁっ、はぁあああ!!」
可憐で、か弱い体が……けれども、感覚だけは鋭敏過ぎる女体が悶え、のたうち回る。
冷たさと、熱い激感が混ざり合った恍惚感に息も出来ない。
(嫌だッ!嫌だッ!だれか……助けて!こんなのっ……くふぅ、はぁああ!!)
息を詰まらせながらも、赤く上気した発情肢体は、蠱惑的に腰を浮かび上がらせる。
そこに衛次の意思はなかった。
本能だけだ。
女の……牝の本能を満たすことだけを欲し求め、この少女の体は狂い乱れた。
「あむっ……んんっ!いいおっぱいは……ただ柔らかいだけじゃない!大きいだけでも駄目だッ!弾力もあって……見事な調和が取れているのが、極上のおっぱいだっ…あむっ!衛次……キミのおっぱいは、最高だっ!あむっ、れろれろっ!!」
「ひぃ、ぁっ、はぁンン!やめっ……てぇ!くだっ、はぁ……ひ、やぁああ!」
こんな辱めはなかった。
死にたかった。
華奢な体に、文字通りに食らい付く、この男――殺したいほど憎い。
ぷしゅっ、しゅわっ!
(あっ、おなかの奥っ!ひぃぃ!あつくっ、疼いてッ……気が狂う!)
だが……灼熱の飛沫が、敏感な襞管に染み渡る。
熱く息衝く牝壺の狂おしい脈打ちが激しさを増して、下半身を苛む。
「くふっ、ふぁ――はぁ、ンン!」
男の腕がドレスを破り捨てながら、ショーツを剥ぎ取る。
純粋な姿を晒した恥骨に――断りもなしに――指を走らせた。
ぬちゅっ、ぷちゅりっ。
(ひぃ、ああ!だ、だめぇ!イヤだ!やめ……ろぉぉ!!)
悩ましい水音が、股間から発生した。
敏感な肉花弁を指先が穿る。
背筋に、ぞくっ、と悪寒が噴き出す。
だが、同時に意識が眩むほどの悦感も神経を駆け巡り……衛次が情けない顔で、自失する。
「んふぁっ、はぁ――んんっ……はぁっ、はぁあ!」
親にも、知人にも見せられない無様で、エッチな媚び牝顔。
無論……と言うか、当たり前だが、婚約者には死んでも見られたくない。
「綺麗だ……本当に勿体ないほど――いや、元が男だった癖に……言う方が、正しいかな?ぷふッ、あはははは――!!」
鼻を啜り、咽び泣いている可憐な顔が……黒髪を結わえた眼帯の男に、どう映ったのか。
衛次は知らない。知りたくもない。
そして――男の顔が、唇に吸い付いた。
「……ンっ、んふぁっ!くふぁ、ふぅ!!」
潜り込んで来た男の舌が、歯茎を、味蕾を、舐め削る。
一瞬、嚙み切ろうと思い付いたが、やはり体は麻痺し、荒々しい口付けに堪えるしかない。
(あっ、いやっ……キスっ。このキス……なんだか、き、気持ち……悪い!)
同性に、男に口付けされているのだから、気分が言い訳はなかった。
……が、それだけではないのだ。
生理的な嫌悪感よりも……焼き焦げる様な恥辱よりも、もっと大きな。
蠱惑的で、悩ましく……そして、灼熱の……味。
ディープキスが齎す甘美に、不覚にも火照る女体が弛緩する。
その事実が、堪らなく嫌であった。
「さぁ――いよいよだ」
キスを止めて、男は宣言する。ゾッと衛次は戦慄いた。
「……ひい、ぃ。い、や……イヤ……です!お、お止めくださいぃ……っ!いっ、いやだぁっ……わたしっ、男――なのに!せ、性奴隷だなんてぇぇ!ひぃ、ぁあああっ……!」
情けないほど狼狽えて、悲痛な叫びを上げた。
けれども、返って来たのは、男の微笑。
そして……。
「んはっ――ひぃ、ぐぅほっ!はぁあ、ぁああああ!!」
ずぶぶっ、にゅぶっ、ずぼっ、じゅぼぼっ、ぬずぼっ!!
(入ってっ!はっ、ははっ、入って来た――ぼくの、ナカっ!お、男なのに……ボクの股間に、牝穴に……男の、ちんこぉ!ひ、やぁああああ!!)
狂おしい衝撃と共に、男が腰を振る。
牝穴を、壮絶な勢いで亀頭が翻す。
滲み垂らした愛液を、じゅぼっ、じゅぶりっ、と掻き出され、恥骨の裏を激しく打たれた。
体が敏感になっていたためか。
それとも、行き成り深々と勃起肉が、膣襞の奥まで突き上げたからか――。
「くふぅ、はぁ――ひぃ、ああ!!」
狂おしい悲鳴を漏らし、衛次は大きく背筋を仰け反らせた。
びくん、びくん。
柔らかく、か弱い、発情の女体が打ち震える度、狂おしい弾力が敏感粘膜を削った。
(んふぅ……これが……入れられる感覚ぅ!はぁ、いたいぃ、いた――気持ち、イっ、いい!んはぁ、はああ!!)
括れた腰が、くねり、と動く。
熱く茹っていた膣壁が、ぎゅっと窄まった。
女の本能に突き動かされた体が、淫らな反応を引き起こす。……すると、ますます勃起ペニスの衝撃が、激しく下半身を揺さぶった。
脳裏では火花が上がり、意識が何回も点滅する。
そして、痛みと悦感に苛む股間の肉割れから、血混じりの体液が音を立てて噴き漏れる。
「こ、これっ――ひ、ぅ!」
「あはは、おめでとう!処女、喪失だ!くふ、ぐははっ!」
「あっ、あう!そ、んなぁっ……きゃう!激しいッ、激しいィ、です!い、痛いです……ゆっ、ゆっくり……んはっ、はぁああ!」
処女喪失の痛みに呆けている最中も、男の腰が動き、壮絶な感触が膣内をみっちりと満たす。
あまりの狂おしさに、うっとりと息を吐き、ベッドに項垂れる。

特別捜査官間藤衛次の受難 2-2

<2-2>

結局、大した対策も――何一つ打開策も――見出せず、着実に衛次は性奴隷へと、成り果てていく。
それは彼が、女としてますます蠱惑の美貌に磨きをかけることと直結していた。

ある時は……複数の化粧品の中から、ひとつを選ばされた。

「まあっ、まあまあ!素敵――数ある中から、これを選ぶなんて!これを付けて、専用の機械でじっくり、ねっとりとマッサージすれば……肌がさらに艶々になりますよ。それにお顔だって、今よりもっと女らしく変わる筈です」
「えっ、嘘だろ!?やっぱりやめろっ!違うのにする――うわっ、ぷふぅ!?」
「うふふ……だーめ。選んだら、覚悟を決めなきゃだめですよ?」
「んくっ、はぁあっ、ああ――あふぅ、んぁあああっ!!」

女性フェロモンの分泌を促すオイルを、豪雨のように顔から足先に至るまで塗りたくられた挙句に、人を丸ごと呑み込むほど巨大な謎の装置に放り込まれた。
結果、本当に肌が艶めき……。

「う、嘘だっ。あっ、ああ、そんな――こんなことってっ!?」

丸みを増し、瞳も柔らかくなった童顔よりの美貌を手鏡で覗き、衛次は情けなく涙ぐんだ。

その上、それで終わりという訳でもなかった。
監視されていると知りながらも、この異常な監禁生活に堪えられず、決死の脱出に挑んだ。
……が、結果は廊下にすら出られなかった。

そして、待っていたのは苛烈な『ペナルティー』――。

「くうっ、うくぅぅ……ま、まだ……ぁ。まだ……ひっ、ううぅ。つ、着けてないと……あっ、ああっ!だめぇ、なっ、のぉぉ――!」

ずぶぶっ、ずぶうううっ、ずぼぉおお――!
慎ましい双乳に付けられた機械。
それは雌牛の乳を摂取する圧搾機そのもので、強烈な吸引力が衛次の胸元を吸い上げる。

(あっ、なんでぇ!どうしてぇ……乳が……おっ、おっぱいになるぅ!大きなおっぱいにぃぃ!ひぃいい、もう止めてくれぇええ!!)

見る見るうちに、房が大きくなる。
本来なら痛いだけで、胸の形が変わるなど有りえない。
けれども、特殊な薬品を再度打たれた体は、まるで粘度のように吸引されればされるほど豊かな乳房を作り上げた。

「そのスイッチ止めても構いませんよ?……でも峰彩香さんが、どうなるか――私は保証しませんけど……」
「そんっ、なぁ……あっ、ああ!ひぃ、ぅうう――!」

ローラの言葉に、弛みかけた指をぎゅっと閉じる。
装置の電源は、衛次の手の中にあったが、婚約者のためにスイッチを押し続けるしかなかったのだ。

(あっ、だめぇ!こんなっ、くうう!僕のむねっ、こっ、こんな――おっぱいがっ!デカっ、おっぱい、がぁあああ!!)

たぷるん、ぷにゅん。
弾力豊かな肉房が、胸の上で波打つ。
けれども、機械は動き続け、さらに乳房は肥大化した。

「んふぁ、はぁああ――はぁ、ンンっ!おっ、終わったぁ、ぁあ」
「うふふ……いいおっぱいです。牛にも負けないエッチなおっぱいは、きっと需要ありますよ。……牛のコスプレでもご用意しましょうか?」
「うっ、ううぅ……」

有りえないほど巨大化した肉房には、ヒリヒリと疼痛が巻き起こっていた。

(あう……こんな彩香さんよりも、大きいおっぱい。男の僕に付いているなんて……はぐぅ、うう。まだ痛いし……へ、変にビリビリしてっ……ひゃぁ、ンン!?)

可憐な身体には不釣り合いな爆乳を揺らし、情けない表情で衛次が喘ぐ。
その様は、あまりにも卑猥で、無様だった。

「……あっ、ああ!や、やだっ……やめて……やめて、ください!い、いやだ――!!」

ローラの調教が終盤になると、もう男の威厳もあったものではない。
電気椅子と類似した――使用者を固定する四つの枷と、聴覚と視界を遮るヘルメットが備わった――重々しい装置へと繋がれた衛次は、子供のように咽び泣く。
その滑らかな頬を撫でて、ナース姿の少女は言った。
「――分かっていますね?拒めば……婚約者の命はありませんよ?」
「あぅ――う、ううぅ!」
子供をあやす聖母のような声が、衛次を追い詰める。
泡立った唾液を噴き漏らしながら……やがて、観念したように彼は頷いた。
「う、うっ、うぅぅ……お、おねっ……しまっ……す」
「もう一度……よく聞こえませんよ?」
「うっ、うう――っ!お、お願いします!……僕、ぼくを……立派な……女性に……なれるようっ!ちょっ……調教して下さい!!」
恥辱に声を乱しながらも、大切な人のために、衛次が言葉を吐き出した。
涙が溢れ出る。
体が炎のように火照って仕方がない。
悔しすぎて、ガクガクと嫋やかな女体が戦慄いた。
「はい。分かりました――ご主人様のために、私が立派な性奴隷へと仕立てて上げますね!」
ガシャンっ。
装置の電源が、ローラの手によって入る。
「あっ、ああ!あっ、あがあぁっ――ひっ、がぁああああ!!ァ、ァアアアア!!」
ヘルメットの裏側が、青と白の閃光を繰り返す。
耳部分に内蔵されたスピーカーからも――音読不可能と思えるほどのスピードで、声が響き始めた。
「あひっ、ひぃ!ぎぃ、ひひっ!ンっ、ンホォ!ァアアア――ン、ヒィ!アアアアっ!!」
ぷしゅ、プシュワァ、ブシュウゥゥ!
人とは思えない絶叫を張り上げる衛次の股座から、黄金の液汁が勢いよく噴き上がった。
脳にかかる負担に、下半身の括約筋が制御不能に陥ったようである。
ぷしゅ、ぷしゅわぁっ、ずぶぶっ、プシュゥ――!!
黄金の熱い飛沫と、ねっとりと煮詰まった粘液が混じりながら、肉割れ目より噴き漏れて、足元に卑猥な水溜りが出来あがった。

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挿絵:れいとうみかん

「あぐっ、ぼっ、ぼくぅ!ぼくっ!あっ、ああっ!ワタシ……ワタシっ!ワタシはぁあああ――!!」

刃物に体を切り裂かれたような、女性の甲高い悲鳴が部屋に轟き……消えた。




そして――現在。

「…………」
衛次の前には、あの眼帯をした優男が立ち構えていたのである。
「……見違えるように可愛くなったな。私も、とても嬉しいよ。これなら高く売れることだろう」
「…………」
名も知らない――ずっと追っていた組織のボスを名乗る男に、衛次が沈黙を守る。
にたにた、と忌々しく頬を緩ませた男の顔が……首筋に寄った。
「…………っ」
漏れそうな声を何とか押し留め、後ろに下がる。……と。
「あうっ!?」
衛次は滑稽に尻餅を付いた。
それはある意味当然だった。
身に纏う着慣れない真紅のドレスに加えて、足にはバランスの取り難いハイヒール。
(あうっ、くふぅ……んんっ。近寄るなぁ……この屑男めぇ!)
化粧とドレスに合わせたアクセサリーで輝く自分自身の美貌が……どうしようもなく、恥かしかった。
心身ともに最悪な状態――細足が、脆くバランスを崩すのは、誰が見ても当然だ。
くすりっ、と眼前の男が噴き出す。
「くふっ、あはは!あの……捜査官が随分……変わったものだ。いいぞ……実験は大成功だ!これは金になる!さらに大金を稼げるぞ!くはははっ――!」
野心的な哄笑を漏らしながら、男が手を伸ばして来る
その手を跳ね除け、眉根に深い皺を刻み、衛次は立ち上がった。
大胆に開けた胸元が、激しく波打つ。
「…………ッ」
たぷるん、ぷるん。
巨乳房の揺れ動きにも堪え、やはり彼は無言だった。
頑なに。
頬を真っ赤に染めながら、意固地なまでに声を出さない。
その様子が、またおかしいのか。
名も知らない青年は、衛次の華奢な体を抱き竦めた。
「や、やめっ……くっ、ふぅう!あ、ああ……っ!」
揺れ弾む房が、男の硬い胸板に押し拉げる。
(やめっ……はなせぇ!おっ、おっぱいに潰すなあ!う、ああぁ!あひぃ、ンン!)
深紅のドレス姿で、くねくねとのた打ち回る。
(あ、ああ!そんな首に……そんな!キス……なんてっ、するな!く、屑!この犯罪者めぇええ!!)
すると、男は結わえた黒髪を靡かせながら、衛次の首筋にキスをする。
甘く痺れるような感触が、肌を走り抜けた。
力が、がっくりと抜ける。
「くふっ、ふぅう!」
鼻孔を広げ身悶える衛次は、さらにぎゅっと抱き抱えられた。
逃れられない。
嫌なのに、抗う術を持たない――か弱い『娘』。
そう脳が観念すると、ますます体が屈辱的に弛み捲くる。
「あひっ、ああ!」
ちゅっ、ちゅっ、と唇が肌を嬲る。硬く、分厚い唇の感触が、悩ましい悦感へと変わり、肌から脳へと押し寄せた。
ぶるり、ぶるぶる。
体が、快感に戦慄き。そして……そして。
「ほーら。素直になれ……お前はもう私のものだ!」
実に身勝手極まりない言葉を吐かれた直後、耳たぶを噛まれた。
痛みが、電気に……快感に変わる。
噛み締めた唇が、今までの頑固な態度をかなぐり捨てた。
「お、お……お許し……下さい。わたしっ、わたしはぁ……っ!」
可憐と言わずにはいられない、甘く甲高い泣き声が漏れる。
咄嗟に、唇を手で押さえるが、もうどうしようもなかった。
そう……どうしようもないほど、衛次は性奴隷として開発されていたのだ。
(こっ……殺してやりたいのにぃっ!!)
怒りを通り越した殺意に、衛次の脳は満たされている。
けれども、小さな口から漏れ続けるのは、無様な泣き声だけだ。
おまけに……。
「あっ、あん!お……お許し。……下さいっ!ご、ご主人様……や、やめてぇ!嫌ですっ……わたしはぁ……本当は、おっ、おとこ――なのにぃっ!!」
嫌でも女らしい口調に変わる。くね、くね、と腰が淫らに動いた。

特別捜査官間藤衛次の受難 2-1

<2-1>

「ふざけるなっ!?これはいったい――どういうことだ!!」
ある組織の、秘密の施設。
被験者を観察、閉じ込めるための部屋の中で、『少女』が声を張り上げた。
美しい容姿だった。
透き通るような黒髪。宝石のように輝く、黒目。
素肌に病衣という姿が、滑らかで色っぽい肢体を妖艶に引き立てている。
胸の膨らみは――残念と付け加えるべきか――慎ましく、腰まで伸びた髪の乱れさえ整えれば、どこかのご令嬢だと言っても信じられる。
それほど美麗な『少女』だった。
けれども……。
「うふふ……見ての通りです。あなたは女になって、私たちの組織の売られるのです!」
「――そんな馬鹿なっ!戻せっ!!嫌だ……そんなのっ!」
優雅さの欠片もない。
路地裏にでもいる不良のように、ナース姿の少女に組み付く。
「いいのですか――峰彩香さんが、どうなっても?」
「そ、それは……で、でも……」
「どちらにしても、もう後戻りできませんよ?うふふ……その姿で、仲間の元に……警察の元に駆け込みますか?」
口を閉ざすしかなかった。
『少女』は怒りそのものといった有様で、頬を赤らめ、睨み続ける。
しかし、それでお終い、だった。
「…………」
悔し気に唇を噛み締めたまま、ずるりっ、と腕を下す。
(……従うしかないのか。僕は……)
意気消沈と頭を垂れる『少女』に向けて、ナース姿の娘……ローラは、嬉しそうに言った。
「ご自身の立場を理解しましたね?では……今日から本格的な性奴隷としての教育を始めようと思います――間藤衛次さん……覚悟は宜しいですね?」
「…………」
覚悟など出来てない。けれども、逆らえない。
最愛の人を人質に取られ『少女』は……いや、今や黒髪黒目の娘となった捜査官――間藤衛次は、腹立たしそうに眉尻を吊り上げた。

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挿絵:れいとうみかん

(……信じられないけど。まさか……本当に僕が――女になるなんてっ!)
長く成長した髪が靡き、肩に、背中に降り掛かる。
いい匂いがする。
石鹸など付けていないにも関わらず、上品な香りが立ち昇る。
腕も、脚も細い。
腰は心許なく括れ、胸には小さいながらも乳房が備わっていた。
そして、何よりも……陰毛も、陰茎も、消失した股座。
綺麗さっぱりと滑らかに整えられた恥骨の上に、ほのかに生える陰毛と、縦筋に割って入った肉割れ目。
――まさに、今の衛次が『女』である証だった。
「ううっ……くぅっ……!」
確かに存在する肉洞に、落ち着かない疼きが絶えず生じ、彼を不安にさせた。
「ほらっ……今の衛次さん。とても綺麗です。可愛いです……でも、さらに素敵になっちゃいましょうか。お客様に気に入られるように――」
「……」
『お客様に気に入られる』――その言葉の意味に気付けないほど、彼は馬鹿ではなかった。
女に変えられた、その麗しき――はたまた愛らしく若返ったと言うべき――美貌が、下衆な金持ちたちの欲望の捌け口にされてしまうのだ。
(……嫌だ。そんなの僕は……男だ。必ず逃げてやる……っ!)
今は従う。
婚約者を守るため。
けれども、けっして身も心も少女へと――性奴隷へと成り下がるつもりはなかった。
「はい。そこに座って下さい」
「…………」
言われたままに、椅子に腰掛ける。
目の前には、大きめの姿見。
可憐な容姿の黒髪黒目の美少女が、不安げな表情でこちらを見返して来た。
(違う。こんな……姿……僕じゃない。僕は男だっ!)
恥辱に打ち震える美貌を、キッと睨む。
その最中、ローラは鼻歌を口ずさみながら、楽しそうに衛次の黒髪を梳かす。
まるで新しいお人形で遊ぶ女の子のように。
「はい。衛次さん――どんな髪型がいいですか?この中から選んでください」
「……え?な、なに?……え?」
本当に嬉しそうに瞳を細めながら、ローラが用紙を差し出した。
カタログだった。
ページ数は五枚。女性の髪形が、写真付きで供えられていたそれを鼻先に当たるほど、詰め寄せられる。
「ご自身の髪型くらい、自由にさせて上げますよ。私って……いえ、ご主人様はなんてお優しい方なのでしょうか!」
「この中から選べ、と?――そ、そんな!嫌だった!」
切羽詰まった声で、衛次が喚く。
記載されている髪型は、女性らしい物ばかりだったからだ。
「短くて、いいだろ?い、いや……この際、坊主にしろよ!僕はそれでいい!」
「衛次さん……我儘はいけませんよ?私が連絡すれば、それだけで――彩香さんは、どうなるのでしょうか?」
美容室で使われるようなマントを掛けながら、ローラは釘を刺した。
やはり、天使のような微笑みで。
「……っ!」
沸騰する怒りが、一瞬で冷え切る。
どれだけ嫌でも、どれだけ拒んでも、ここに衛次の自由などなかった。
監禁されている限り……そして、婚約者を人質に取られている限り。
「……く、そっ……これで……いい!」
結果、衛次が選んだのは、髪が肩に触れる程度のミディアムヘア。
前髪を切り揃えられた、お嬢様に似合いそうな髪型である。
「うふふ……あなたの黒髪に、実に似合っていますよ。――衛次さんも、やはり可愛くなりたいのですね」
「かっ、勝手なこと言うな!……ふざけやがって!!」
恥かしさに、頬が赤らむ。
自棄になって考えずに指差しただけなのに、自らの意思で『女らしくなろう』としている――と、思われたらしい。
(くそっ、くそっ……覚えていろよ!)
冗談ではなかった。
恥辱で、顔を含めた全身が熱く火照った。
「じゃあ、切りますから。動かないでくださいね」
彼女がハサミと櫛を持ち、何てことはないと言いたげに微笑んだ。
あまりの無力で、情けない自分に……文句の言葉さえも奪われる。
「……っ、っ」
シャキン。
ぱらりっ、ぱらぱら。
シャキン、ジャキンッ。
ぱら、ぱらぱら……ぱらりっ、ぱらら。
美容師と見間違いそうになるほど、巧みな手付きで髪が切り揃えられていく。
髪先の乱れが残念だった黒髪が、瞬く間にあるべき姿に――美しい形に、整っていく。
(こんなの……僕じゃない。僕じゃないけど……う、ううっ!)
鏡の中、ぴくぴくと打ち震える美少女。
可憐で、儚い……。
髪が切り揃えられていく度に、ますます息を呑み込んでしまうほどの美貌に磨きが掛かる。
目が、離せなかった。
ドキドキ、と衛次の胸はときめきを覚える。
「はーい。完了です。うふふ……綺麗ですよ」
「あっ……」
思わず息が漏れる。鏡に映る自分自身に、時が経つのも忘れていた。
そして……。
(これが……僕?)
完璧な、『お嬢様』だ。
誇り高き日本の血を受け継いでいるだろう、大和撫子のお嬢様が、困り顔で突っ立っていた。
髪型が違うだけだというのに、ソワソワと落ち着かない。
自身の美貌の変わり様に……その清楚な美しさに驚愕する。
自然と指が、黒髪を梳かす。
いい香りと共に切り揃えられた髪が、肩口を撫でた。
(ボクは――どうなって……しまうんだろう?)
衛次は不安を募らせ、その美貌を曇らせた。
だが……トクン、トクン。
心臓ではない。
血の脈打つとも違う。
もっと熱く、そして妖しい熱感が――衛次の腹の奥で、渦巻いた。

そして……彼の嫌な予感は見事に的中してしまうのだった。


★ ★ ★

特別捜査官間藤衛次の受難 1-2

<1-2>

「……お目覚めですか?」
衛次は目を開けた。
途轍もない脱力に全身が苛む中で見たのは、愛らしい桜色の制服――ナース服を着た少女だった。
淡い赤髪と、色濃い青瞳が印象的な可愛らしい娘。
服装にぴったりな、天使の微笑みが意識を揺さぶる。
けれども、少しも安堵は出来ない。
(ここは……どこ、なんだ?)
特徴的な部屋だった。
長方形に開けた部屋にひとつのドアと、大きなガラス板が嵌めこまれている。
恐らくマジックミラーなのだろう。
窓はない。
床も、壁も、天上さえも真っ白だ。
センスという物が抜け落ちた、簡素過ぎる部屋を無数の電球が照らしている
「…………」
明らかに、病院ではなかった。
「どうですか?気分でも悪いですか?」
沈黙する衛次に、少女が首を傾げた。
「……ここは、どこなんだ。キミは――あの男の仲間なのか?」
「仲間……?いえ、私はあの方の……ご主人様のペットです」
花が咲くような可憐な声色で、ナース服の少女はそう宣言した。
「……ぺ、ペットって」
年端もいかない、十五、六程度の娘が言う言葉ではない。
だが、同時に思い出す。
衛次たちが追い掛けていた闇組織は、麻薬を中心に人身売買、危険な人体実験など黒い噂が絶えない危険な集団。
彼女も、その犠牲者のひとりなのだろうか?
「キミの……名前は?」
「……ローラといいます。あなたの教育係です」
流暢な日本語だった。
ローラは、やはり朗らかな笑みで応える。
「教育……係り、だと?なんだ、僕に……何をさせようって言うんだっ?」
「うふふ……覚えていますか、間藤衛次さん?あなたが組織の殺し屋を返り討ちにしたことを……」
「…………」
忘れる訳が、なかった。
銃弾を受けた腹には、治療が施されている。
けれども、部下を失った痛みと後悔は胸が……否、魂が覚えていた。
悔しさに手を握り締め、衛次は肩を震わす。
「感謝して下さいね。あのままだったら数分で死んでいるところを、ご主人様が助けたんですから。――例え返り討ちに合うかも知れなくても、あの方はご自身の不利益を……殺し屋を撃ち殺した分の代償を、あなたに支払ってもらうつもりなんです。良かったですね!助けて貰って!」
勝手な言い分に、怒りが沸き立った。
「ふざけるなっ!お前たちのせいで、どれだけの人達が苦しんでいると思うんだ!僕の部下たちも……くそっ。絶対に許さないっ!!」
「うふふ。そんなことは知りません……ご主人様さえ満たされれば。……他のことなど大した問題ではありません」
真っ直ぐな口調で、ローラは言う。
欠片の迷いすらもなかった。
まるで人形と話しているような――ひとり相撲しているような気分である。
「くっ……ぼっ!……僕が、お前たちに協力するとでも思うのかっ!?」
身勝手極まりない少女の言い分に、衛次が荒らしく言葉を吐く。
だが、次の彼女の言葉に……声を失い、青ざめた。
「……峰彩香さん」
「なっ――」
「あなたの婚約者……素敵な女性ですね。うふふ……」
胸のポケットから、一枚の写真を取り出す赤髪の少女。
その姿が魔女に見えたのは、錯覚ではないだろう。
「この素敵な方を……傷つけたくはないでしょう?大人しくご主人様に従えば、この方も、あなたも……みんな幸せですよ?」
天使の微笑みで、蛇のように獲物に牙を剥く。
衛次のことは名前から、人間関係まで調べ上げているようだ。
(やっ、やはり――内通者がいるのか?僕たちの中にっ……!)
自分の、そして、警部の考えが的中していた確信を持つ。
巨大で、深い組織だった。
情報操作を徹底し、ほとんどの証拠を残さない。
さらには、こちらの捜査も鮮やかと言うぐらい回避している……不自然なほどに。
そこで特別捜査官の一部――警部や、衛次を含めた少数――は、内通者の存在を考え、秘密裏に内部調査を進めていたのだ。
信頼の置ける部下たちと、至急に売人を保護しようとしたのも、内通者に気取られないためだ。
そして、それが裏目に出た。
(くそっ、くそっ!すまない……片岡、田尻。……そして、塚本!)
信頼できる部下たちは死に、衛次も捕らえられた。
「……内通者が教えたのか?そいつは……内通者は誰なんだっ!?」
「秘密です。そんなことよりも――どうします?守るのは……あなた自身ですか?それともあなたの婚約者ですか?好きな方を……選んでください。」
婚約者のことも知られては、どうしようもなかった。
(すみません……警部、みんなッ)
衛次の両親は、幼い頃に他界している。
彼は孤児だった。
人との関りを避けながら、どこかで暖かい温もりを欲し――そして、与えてくれたのが婚約者の峰彩香だった。
だから……。
「分かった……僕に……何をさせたいんだ?」
悪を憎み正義を信じる捜査官が、憤りに顔を赤く染めながら、犯罪者に屈した。
「……警察内部の情報集め。……と言いたいところですけど、既にいます。……それに優秀なあなたには殺し屋を殺された他にも、かなり私たちは煮え湯を飲まされて来ました。そこでご主人様は考えました。あなたには……組織の品物になって貰う、と」
「な、ん……だ、と?」
言葉の真意を掴めず、唖然と漏らす衛次。
その眼前に、ローラは注射器を持ち出した。
少女の手にすっぽりと収まる、銃器の形をした特殊な形状だ。
「……これを……注射しろ、と?」
「はい。首に、お願いします」
「…………」
毒かもしれない、死ぬかもしれない。
けれども、死んだ方が楽になれるかもしれない――そう考えながら、恐る恐る針先を首筋に当てた。
「――っ!」
婚約者をを思い、指を折る。
ぷすんっ。
針先が肌を突き破り、謎の薬品を体内に注ぐ。注ぐ。
そして――。
「……くっ、くふっ、がぁあああ!!」
世界が、変貌した。
いや、変化が起きたのは衛次の体だった。中身だった。
視界が青から、黄色へ……赤や、紫へと駆け巡り、激しい痛みが頭を襲う。
激痛だ。
(くううっ、はああ!体があつ――い!体が弾け飛び、そうだッ!!)
嫌な汗を、べっとり、と掻き流す。
骨が歪む、肉が焦げる。
皮膚の内側が、狂おしく体温を跳ね上げた。
「あぐっ、ぐふぅうう!!」
べきっ、ぐじゃっ、ベキキッ!
鉄骨が折れるような、聞いているだけで痛々しいような音が体内から響く。
意識が、強烈な閃光に包まれた。
けれども、何故か気絶できない。
(な、なんだっ……これぇ、ひはぁあ……っ!)
灼熱の苦痛に堪えるしかなかった。
やがて肩が、小さく縮み始めた。
腰が内側へと、美しいカーブを描く。
手は細く、柔らかく、形を変える。
同じく先に行くほど細くなった足。
だが、太腿に掛けては、むっちりと色っぽい肉が実を結んだ。
「あっ、ひあっ……くぅうう!」
美味しそうな弾力は太腿だけではなかった。
尻がずっしりと重たく、肥大化する。安産型を思わせる、美しい双臀だ。
(な、なんだっ!僕は……僕はいったい、何をしてしまったんだっ――!?)
注射を打ったのは、自分の意思だ。
けれども、直後に引き起こった体の異変は、衛次の覚悟を容易く打ち壊す。
凄い変わり様だった。
訓練で鍛え上げた逞しい体が、少女のように嫋やかに縮まる。
「はぁ、くふぅ、はぁあああ!」
獣のような絶叫を吐き絞り、衛次が悶え苦しむ。
ボキっ、バキ、ぐじゃ、ぬじゅあ、バキバキッ!
その間にも、おぞましい音は鳴り止まない。
何だか顔の内側も、肉が蠢き、波打ち、蠕動して……姿を変えていく。
兎に角、熱い。
意識が灼熱に苛み、果てしない吐き気が胸を襲う。
だが、やはり気絶できない。
(んはぁっ、くぅ!……し、しぬぅ!死んでしまうぅ!!)
大きく開けた口より唾液を噴き垂らし、衛次は、びくん、と跳ねた。
背中が弓なりに、反り返る。
その直後に胸元に僅かな膨らみが生じた。
乳首が、ピクピクと浮き上がる。
(くはぁああ!髪がッ、かみっ、がぁあああ!!)
急速に伸びた髪が、氾濫する川のような風勢で、儚いほど可憐となった肢体に降り掛かる。
そして――。
「ひほぉっ――はほぉおお!?」
狂おしい、激感が意識を焼いた。
痛みとも、快感とも呼べない。今まで体感したことのない、体が文字通りに爆散しそうな衝撃が、股間を中心に巻き起こる。
ぷしゅ、ぶしゅわぁああ!
くねり上がった股間より、黄金の液とは違う体液が激しく迸る。
ねっとりしていて甘い香りの粘液が、ベッドのシーツに染み込んだ。
(……くはっ、はあああッ!!な、なんだ……僕は、どうなって……はぁ、はくっ、うぅ!)
何か大切なモノを無くしてしまった喪失感を抱いているのに――その『大切なモノ』が、良く分からない。
混濁した意識を立て直そうとするが、結局は熱くて、悩ましい脱力に負けてしまう。
「はぁ、はぁ……くはぁああ――っ!」
乱れた吐息を繰り返し、衛次はベッドに倒れると……そのまま意識を失った。

特別捜査官間藤衛次の受難 1-1

作.黒い枕
挿絵:れいとうみかん

<1-1>

――『運命の日』とは、誰にでも存在する。
あるひとりの捜査官にとっては、今日だった。


時刻は、午後二時を過ぎた頃。
表通りから追い出されたように古いビルが密集する地帯。
人通りも都心とは思えないほど少ない裏路地に……黒い車が止まった。
「……ここだな。いいか油断する!」
部下三名と共に、間藤衛次(まどう えいじ)は問題の建物を見上げた。
『はいっ』
重々しい声で、部下たちが応じた。振り返らず、衛次は歩を進める。
一際、破損が目立つビルだった。
壁は至る所で剥がれ落ち、地上からでもくっきりと分かるほど大きな罅が入っている窓ガラスまであった。
全く持って出来過ぎた――いかくに、悪党が潜伏しそうな――有様だった。
目的地は三階。
そこに今回の容疑者〈ターゲット〉が隠れていた。
(今回の男を確保できれば……例の組織に大打撃を与えられる!)
髪は短く、鋭く尖った瞳。
――そして、まるで獲物を静かに狙う大鷲のような雰囲気。
衛次は、刑事だった。
それも、ただの刑事ではなかった。
近年、ますます多様化し、国際的にも増加する組織犯罪に対抗するべく、集められたエリートで構成された特別捜査官だ。
新人警官とは違い、浮き足を立てず、だが、素早く階段を上がる。
「…………」
事前の情報通りに建物に侵入して、数分後。
目の前、ドアが現れた。
固唾を呑み、そして、ノックする。
(……しかし、運が良かった。組織に関わる人間から保護を求められるなんてっ……)
組織の金に手を付け、裏切りがバレてしまった売人自らが、連絡して来たのだ。
期待に手が微かに、震えていた。……が。
「……まてっ。何だか……様子がおかしいぞ」
返事がない。一刻も早く保護されたい筈なのに。
「……どうします?」
「直に警部に連絡をいれろ。他は僕と一緒に――突入する!」
ばんっ!
部下への指示と行動が、同時に起きた。
衛次の脚が、ドアを破り、連絡係り以外が部屋に踏み込んだ。
「…………」
目を見開く。
アルコールの缶。灰皿いっぱいのたばこ。
机に大きく積み重なったゴミ山の臭気と、嫌な……死の腐臭が、鼻孔を貫く。
男は……通報者は、死んでいた。
背もたれが壊れかけた椅子に、鎮座。
額には、赤い穴。
そこより溢れ出た死の川が下へと流れ、男の顔を横断していたのだ。
「そんな……遅かったなんて!」
「くそ……助けられなかった。折角……あいつらの情報を得られると思っていたのに!」
「…………」
後ろから悲壮な響きで、部下が漏らす。
場数を踏み、優秀であったとしても、人間の死はそう簡単には受け止められない。
まして、長い間捜査していても中々尻尾を出さなかった犯罪組織の情報を得られる機会を失ったのだから、その失意は大きい。
だが、衛次だけは違った。
人の死よりも、貴重な情報源の消失よりも――もっと大きな違和感が、理性を急き立てる。
(なんだっ?……何かが、おかしい?)
山積みの缶を崩さぬように、歩み寄る。
氷のように固まった肥満気味の体。
凝固したまま動かない血。
そして、気力を削り取る、どうしようもないほど深く、濃厚な――死の香り。
死後硬直は、死んでから一日以上だと推測できる。
けれども、通報は……一時間も経っていない。
ぞっと、悪寒が背骨から脳天へと突き抜けた。
「……っ!や、やばい!」
叫び、振り返る。だが、手遅れだった。
パン、パン……パンっ!
「うぐっ……!」
「がっ……!!」
乾いた音が連発し、部下が血を噴いて倒れる。
突如現れた、覆面の男の前で。
その最中――。
「くうっ……おっ、おおォォ!!」
銃を抜き出し、神業とも思える速度で安全装置を外し、狙いを定め……衛次も、反撃した。
バンッ!
重厚な炸裂音に相応しく、一発で……襲撃者の額が、赤く弾けた。
力なく崩れ落ち、サイレンサー付きの拳銃が、くるくる、と回転しながら地面に落ちる。
「はあっ……はあっ、くそ……くそぉぉ!!」
通報は罠だった。
駆け付けた捜査官を始末しようと、暗殺者が牙を剥いていたのだ。
(そ、捜査官まで狙うなんて……!やはり相当、凶悪な組織だ!……それに……僕たちの――警部の懸念は、もう間違いないッ!)
後悔しながら、倒れた部下に駆け寄る。
だが、しかし……
「片岡っ!田尻っ!しっかりしろ……だめだ!し、死ぬな……っくそたれぇ!」
二人とも反応はしなかった。
息も、瞬きも、もう出来ない――二人は死んだ。呆気ないほど簡単に。
そして、暗殺者が部屋に踏み込んだと言うことは連絡係として廊下に残っていた一人も……既に、この世にはいないだろう。
(はぁ、はあ……くう……はやく、れっ、連絡を――!くぅううっ……!)
激しい痛みが、込み上がった。
脇腹に触れる。
どろりっと血が溢れ、手を赤く染めた。
いち早く襲撃に気付き、熟練の動作で反撃しようとも、無傷では済まなかった。
懐から携帯を取り出しつつ、壁を背凭れに崩れ落ちる。
「はぁ、はあ……くぅうっ!」
連絡先に『警部』と表示され、通話をしようと試みる。が……。
「……これは少し予想外だ。……まさか、返り討ちに合うなんて……使えない奴だなぁ」
「……っ!だ、誰だっ……ぐぅう!」
更なる侵入者が、死と血に満たされた空間に現れた。
歳は、二十代後半ほど。
漆のような艶やかな黒が、結わえられた長髪に染み込んでいる。
恐ろしいほど美麗な顔立ちと合さって、夢物語の世界から飛び出したような貴公子の風勢。
……右目が、黒い眼帯に隠されてなければ。
「お前は……な、なんだ……組織の殺し屋のひとり――なのかっ!」
苦し気に身を捩じりながら、問い掛ける。
握り締めたままの拳銃を向けて。
「殺し屋?まぁ、そう思うのが普通だろうが……違うね。名前こそ教えないが……私はボスだよ。……お前たちが探している組織の」
「くっ、はっ…………こっ、こんなところに……はぁっ、はぁっ。そんな大物が来るはずがないだろ……っ」
「うん、私も出て来るつもりはなかったよ。けど――まさか殺し屋の腕を確認しに来ただけなのに、こんな風に働かせられるとは……やっぱり実際に見てみないと優秀か、無能かは判断付かないなぁ。その点お前は……まだ利用価値がありそうだ」
粘っこい視線に、衛次は圧迫感を覚えた。
まるで蛇に呑み込まれるような恐ろしさが、男の瞳に宿っている。
「はぁ、はあ……何をいって?――ぐふぅ!!」
直後、強烈な衝撃が顎を打ち貫く。
油断していた訳では無い。
けれども、想像以上の蹴りの速度に対応が遅れた。
いや、そもそも……腹に受けた銃弾の傷が、思ったよりも深かったのだ。
意識が、霞のように消えていく。
(…………彩香さんっ!!)
最後に思い浮かべたのは、愛する女性の顔――その姿を意識に焼き付けながら、衛次は昏倒した。


★ ★ ★

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-5〉


「……それでは今日はメイドと主人ごっこと言うことで――どんな命令でもお申し付けください。い、イヤらしいメイドのナタリーは、お二人のどのような命令でも実行しますっ!」
ニタニタと笑う男二人の前で、深く跪くと、アスランは震える声を発した。
ナターシャも続けて言う。
「私たちはご主人様の命令に絶対です――さあ、ご命令を」
「へぇ、どんな命令も?どうするエリオット?」
「そうだなぁ……んん、迷うなぁ!」
ナナミとナタリーの舐め回すような視線が、アスランの体を襲う。
「……っ」
恥ずかしさと不安に体が竦む。
(やっ、ぱり……こんなの間違っている。ああ――それなのに私の体は……ん!)
色欲に支配された、怠惰な生活だと言うしかない。
否、それどころか――もはやケダモノたちの卑猥な営みと言ってもいい。
だが――しかし。
ジュンっ、くちゅ。
「……んっ」
既に目覚めた子宮が、熱い飛沫を放ち、内腿が愛液によって濡れる。
喉が乾き、お尻がソワソワと落ち着かない。
(あっ、ああ!だ、だめ……なのに!え、エリオットとアスランに……興奮しちゃう!んんっ……!)
胸元の谷間も、甘い当惑を放ちながら揺れ弾む。
視線が愛撫のように感じられて、乳首がツンと反り返る。
「それじゃあ……二人でキスをしてくれないか?」
まずはナナミからの――『エリオット』からの命令だった。
「畏まりました。ご主人様……」
「……あっ、はい。ご、ご主人様」
二人は立ち上がり、お互いを見つめた。
そして、ゆっくりと真紅の唇同士が重なり合う。
くちゅ、ぬちゅ、くちゅり。
「んっ……んん!」
「あむっ……くちゅっ……ん」
「んむっ……あむっ、くちゅ!」
舌と舌とが絡み合い、甘酸っぱい喜びで口の中に広がる。
ザラザラの表面同士が擦れ合う歯痒さに、早くも意識が眩んだ。
(ああ!ナターシャの甘い体臭が……鼻の中に入ってくる!)
自分の体から匂い立つものとは別の女の香りに、胸がドキドキと高鳴ってくる。
「ほら!もっと激しくやれよ!」
上から目線の命令が下る。
ご主人様の命令に、アスランとナターシャは従順に従った。
「あむ……んぶっ!んんっ……くちゃ、くちゃ!」
「むぅーっ!んんっ!あむっ……ごく、んぐっ!ごくごくっ!」
相手の歯茎を舌先で穿り、お互いの唾液をジュースのように飲みあった。
倒錯的な喜びが胸を打ち、肌の火照りが加速する。
清潔だったメイド服に、ふたりの女の発情汗が染み渡る。
(ナターシャ……どんな気分なんだろう?私はこんなに恥ずかしくて……妙な興奮を覚えているけど……)
少なくとも嫌がっている素振りは見えない。
微かに頬を赤く染め、言われたままにアスランとの口づけを繰り返している。
「あむっ、ごくごく!くちゅっ……ん!」
「んむっ……んっ!」
「よし、じゃあ次は俺の命令だ。キスは一旦中止!」
「はぁ、はぁ……はい」
「んっ、はぁあ……か、かしこ……まりました」
漸くキスから解放された二人は、ナタリーへと振り返る。
今度はどんな命令なのかと身構える、と……。
「ナターシャ……ナタリーのスカートを捲れ」
「はい」
「う、あ……そんな!」
簡素ながら、途轍もなく恥ずかしい命令を下してきた。
思わず演技を忘れるアスランの体に、ナターシャが組み付く。
「ご主人様の命令だから……動かないで」
「あ、あう――は、はい。分か……り、ました」
甘い毒のように意識を支配する言葉。
毎夜のごとく女として抱かれる度に、彼の狭い世界は打ち壊されていく。
(ああっ、ふんん!スカート捲られて!わ、私の恥ずかしいお汁塗れの股間見られちゃう!ああっ、ああ!だめぇ、すごくき、気分が……高揚するゥゥ!!)
どんなに恥ずかしいことでさえも、仲間たちに期待されてしまうと、それに応えずにはいられないのだ。
恥辱に声を漏らしながら、ハァハァと吐息を零し、ジッと堪える。
「ぷっ……なんだこれ?もうこんなに濡れてんの?」
「飛んでもない淫乱女――いや、淫乱メイドだな」
「あ!ああ!も、申し訳ありません!!んあっ、ああ――!」
まるで父親に謝る娘のようにふたりの主人に謝罪しながらも、その責める言葉と視線に、狂おしい疼きを覚える体は、破廉恥な反応を引き起こす。
ぷしゅ、しゅわ、しゅわあああ!
「や、やっ……あっ、ああ!」
仲間の前で、恥ずかしいほどの愛液を漏らしてしまう。
ショーツには淫靡な濡れ跡がくっきりと浮かんでいた。
「う、うう!」
啜り泣いて悶えるアスランに、ナタリーが次の命令を言い放つ。
「それじゃあ……自分の性器の状況を俺たちに説明してくれナタリー」
「は、い……ご、しゅ……ご主人様!」
恥ずかしさのあまりに体がバラバラになりそうだと言うのに、命令を拒む言葉が出てこない。
スカートを自ら捲り上げ、しゃくり泣きながら説明する。
「わ、私の……あそこは……お、おまんこ!まんこは……すごく興奮しています!発情していて……牝の証汁を……たっぷりと!たっ、垂れ流している有様です!ご主人様!」
真っ赤な顔で屈辱に悶える可憐な容姿を、ナナミとナタリーは愉悦感たっぷりに嘲笑う。
「ぷははは!最高!本当にやるなんて!」
「これだからナタリーを可愛がるのをやめられないんだ!」
「――っ!」
息すらも詰まる屈辱。けれども。
(あっ、ああ!わたし……本当にとんでもない変態だわ!こんな恥ずかしいことさせられているのに……子宮も、体も!熱くて仕方ない!死にそうよぉ!)
悩ましい熱に意識が奪われて――子宮が、洒落にならないほどの疼痛に見舞われた。
「さてと……じゃあ二人共」
「ベッドに横になって貰おうかな?」
「畏まりました。ご主人様」
「は、はひぃ……は、はい。ご主人様!さ、まぁ!」
脳裏が甘く切ない当惑に包まれて、もう何がなんだか分からない。
体がふら付いて、まっすぐ歩けもしなかった。
「ほら!こっち……それで姿勢は……こうよ、ナタリー!」
「は、はい!」
まるで本当のメイドのように従順に返事をすると、ナターシャの取った姿勢を真似る。
ごろんとベッドに背中を預け、大きく足を開く。
丁度、滑らかな恥骨をご主人様たちに見せつけるような形で。
「あっ、ああ――!」
破廉恥な姿勢に、全身がガクガクと震え上がった。
同時に恥骨の下にある肉花弁より、濃厚な粘液がこぽこぽと溢れ返る。
「それじゃあ、さっき決めた通りに……俺がナターシャで」
「俺がナタリーだ。あはは……今日は連続で俺のものだな、ナタリー」
「は、はい!仰るとおりで!」
重たく伸し掛る『エリオット』の硬い胸板に、禁断の思いを拭えない。
どくん、どくん。
心臓が破裂しそうなほど、狂い騒ぐ。
「えへへ……なんだ。じゃあさっきすることなかったじゃないのよ、ご主人様」
「いや、でもナタリーはナタリーで。ナターシャはナターシャで素敵だからさ……全然飽きないよ!むしろ、またこれを慰めてくれ!」
「しょうがないご主人様ね!」
横ではもうひとりの主人とメイドが、穏やかな口調で会話している。
(や、やっぱり帰った後、してたんだ。ナタリーとナターシャが男と女の情事を……ああ!もう気が狂いそう!)
前までは少しは隠そうとしていた筈なのに、今では秘密にする素振りすらも見せずに、勝手に情事を繰り返しているナタリーとナターシャ。
そして自分がナタリーに抱かれている時は、ナナミとナターシャの組合せでも情事を行っていた。
もう滅茶苦茶だ。
だが――なぜだろう。
(ああっ……わ、私のだった体で……べ、別の女の体を抱かれている!もう本当に……わ、私の物じゃないみたい!ああ、なのにどうしてなの!?せ、切ない気持ちに……心臓が煩い!お、おまけに……私の子宮がキュンキュンと暴れるよぉおお!!)
倒錯的な歓喜が胸いっぱいに広がって、子宮は狂おしい脈動を悪化させた。
「さあ……命令だ!イヤらしく俺を誘え!淫乱なお前に相応しい言葉で!態度で!さあ早く!!」
どくん、どくん――とくん。
そんな乱暴な言葉で命令されてしまう、と……。
(あ、ああ――体があつく!うずいて……イイッ!)
理性も知性も、簡単に弾け飛ぶ。
自らの太ももをぎゅっと握り締めると、アスランは小さな声で強請った。
「ご主人様……このナタリーに!こんな淫らな女であるナタリーに……ご主人様のおちんちんをく、ください!この変態おまんこ穴へと……差し込んでくださいましぃいい!!」
涎を垂れ流し、絶叫する顔には、恍惚の表情しか存在しない。
はぁ、はぁ、と浅く荒い息を繰り返す、媚びるような眼差しで見やる。
ご主人様であるナナミを、『エリオット』を。
「……そうか!なら入れてやる!この淫乱女めぇ!!」
ずぶぶっ、じゅぶんっ、ずぼぼっ、ぬじゅ、ジュコジュコ!!
「んはぁ!はぁあああ――!!」
粘膜を押し広げ、激った男根がアスランの膣内へと侵入を果たす。
その感触に、もはや歓喜の声しか振り絞れない。
「くふふ!柔らけえな!ナタリーの胸は!あむっ、んんっ!」
「ふあぁあ!なめ!乳首……舌で!あっ、ああ!気持ち、いいですぅ――!」
乱暴に衣服を剥がされて、大きな手のひらで転がされて、潰される剥き出しの生乳房。
豊満すぎる、その肉房を窄めた唇で吸い込まれると、歓喜のあまりに背筋がビクンと揺れた。
(やっぱり!太くて固くて!最高よぉおおお!わたし!エリオットのモノも、アスランのモノにも――メロメロよぉおおお!!あはんんっ!)
さらには『ナターシャの可愛いムスコもいいわ』と思うアスランは、もう『男』へと戻れないかもしれなかった。
ナナミの激しい腰使いに、可愛い声を上げて身悶える。
「あんっ!いい!いいです!ご主人様!素敵……あ、あんっ!あああンン!」
「そうか!そうだろう!そうだろう!」
「は、はいぃいい!」
膣を掻き分けて肉穴を拡張する壮絶な感触に、理性があっという間に崩壊する。
(私のなかを!あん!抉って!ひいい!子宮が……押しつぶされて!あああン!)
容赦のない勃起ペニスの突進が、早くも子宮に届いてしまう。
くぱくぱと締まりなく開閉を繰り返す壷型性器の扉に、ぐりぐりと悩ましい亀頭が押し寄せる。
「んんっはああ!」
挿入された男根を捕食するかのように、肉洞穴が細く狭まった。
「すごいキツキツで!おおほおお!まったく極上すぎる品物だ!」
「う、嬉しい!嬉しいです!ご主人様!もっとナタリーの変態おまんこを褒めてくださいませぇ!はぅンン――!!」
ぷしゅ、しゅわああ!
ナナミに、ご主人様に褒められるのが嬉しくて仕方がない。
ますます女陰の痙攣が激しくなり、侵入している男根を根元から絞り上げる。
「おお!いいぞ!くうう!いい感じで!狭くて!熱い!」
「あっ、ああ!ナタリー!お馬鹿になちゃうぅ!ご主人様ちんぽ――すごすぎ、でしゅぅうう!!あはぁンン!!」
涙や汗、鼻水――そして、愛液。
体中の穴から体液を噴き出して、アスランは甲高い奇声を張り上げる。
(イクイク!もうイクぅううう!――あはぁんん!!)
襞壁で男根を一際強烈に締め付けつつ、腰をくねらせる。
そして、全身を激しく痙攣させた。
「あはぁ……んはぁ!!」
ぷしゅ、しゅわあああ!しゅわああ!
アスランの股座より、失禁よりも壮絶な量と勢いで愛液が噴出した。
「お、おおおお!」
「んっ――くはぁっ!はッ!ぐうううう!」
どぴゅ、どぴゅるぅううう!どぴゅ、ぱっ、どぶぶ!ずぶっ!!
牡の雄叫びと共に極太ペニスの先端から、大量の孕ませ汁が発射される。
小刻みに震える子宮に精液が、限界以上に注がれてゆく。
(すごいぃ!もう……最高ぅ!!ああ!し、幸せえぇ――!)
絶頂した影響で、緩んだ思考を繰り返し、胸いっぱいの幸福感に浸る。
満面に恍惚の表情を浮かべ、ぐったりと横たわった。
(あっ……ナタリーとナターシャも絶頂して……それでもっ……もう一度……するんだっ!)
ナナミと自分だけの世界から一時的に解放されて、横を伺い見れば一度は昇天したであろう二人が、姿勢を変えて、再度情事を結ぼうとしていた。
そんな光景を見せられると、つい思ってしまう。
『負けて……居られない』と。
(私だって……ナナミと……エリオットともっとするもん!今だけは……私は女。ただのナタリー……だからお、男に抱かれても問題ないんだから!!子供を!孕まなけばいいんだもんっ!!)
滾る性欲に収まりが付かない。
股間と股間が繋がったままゆっくりと起き上がる。
そして、アスランは極上の笑みを浮かべてナナミに甘えた。
「ご主人様……お願いします。わたくし、を……ナタリーをもっと!激しく!荒々しく……犯してください!お願いです……ご主人様!」
男に戻るのを諦めた訳ではない。
元の肉体に戻りたくない訳でもない。
しかし、今だけは――再び元の肉体を取り戻す刹那の間ぐらいは、ただの女のナタリーでいたい。
それは彼の紛れもない本心であり、確かな望みでもあった。
「はあ、はあっ……あはは――しょうがないなぁ。じゃあ、自分から尻を振れよ!シリを!」
パシンっ!
「あっ、ひンン!は、はああいいい!!」
軽快に臀部を叩かれる。その痛みに、恥ずかしさにますます気分が高揚した。
「わたしぃ!イヤラシ!変態メイド!な、ナタリー!あっ、あああ!ご主人様のちんぽが!わたしのナカぁ!ナカを抉ってきてっ!きてぇ!気持ちいい!!」
ぐちゅっ、ぐぽっ、じゅこじゅこ、ぬぶぶっ、ぐちゅんっっ!!
責めたてるように――根元から吸い取るように――中腰の姿勢でナナミの上に跨り、アスランは尻を上下に動かす。
みっちりと肉棒で塞がれた陰唇の隙間より、出したばかりの精液と絶えず滲み出ている愛液が混ざり合いながら、狭い肉穴より掻き出された。
「あっ、あああ――!」
「あはは!ほんと!ナタリーは!おちんちんが!大好きだなぁ!!」
「あっ、ああん!はいぃい!お、仰る通りです!あっ、ンン!子宮がちんこの先につっ、潰されるのが――とっても気持ち、ィィ!」
己の体重を自身の足だけで支えなければならない体勢。
そして、ナナミの股間と陰唇がより濃密に重なり合うだけに、狂おしい閃光が脳裏に巻き起こるほど
発情子宮が勃起ペニスの先端に押し潰される。
「んはぁああ!い、いきますうう!!」
ぷしゅっ、しゅわぁあああ――ぶしゅううう!!
男の唾液で汚れた生乳房をぶるんぶるんと揺らしながら、恥ずかしい牝声で泣き叫ぶ。
涙も涎も堪え切れない、情けない美貌。
その下で窮屈に男根に抉られている肉割れ目から濃厚な愛液を噴き漏らしつつ、グッタリと座り込みそうになった。
すると、当然のように男根が、深くアスランの体内を抉り取り――。
(ひゃあンン!だめぇ、だめぇえ!!終わらない!す、少しもエッチな気持ちがおっ、おさまらない!!も、もう――だめぇえええ!!)
再び、意識が絶頂へと押し上げられようとする。
正に際限が、ない。
終わらない女の快感に、理性や知性よりも、もっと大切な物が無くなりかける。
(ああっ!んはぁああ――こんな気持ちいいなら!も、もう男に戻れなくても、い、いいかも。ああっ、みんなが居てくれるなら!皆がずっと私を犯してくれるなら!お、女でいたいィィ――!)
体格と釣り合うように、ほぼ絶倫と言っていいほど、恐ろしい持続力を持つナナミのペニス。
一度射精したにも関わらず変わらぬ硬さと太さが膣内を削り落とし、子宮が切ない熱でジンジンと疼いた。
「あっ、ンンっ……あっ、ああっ!また……イクイクゥ――!イクゥウ!!」
ぺたんと尻餅を付くようにナナミの下半身に座り込むと、胸元の巨大房が弾け飛びそうなほど、
アスランの総身はガクガクと戦慄くのだった。

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挿絵:松園


【-完-】

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-4〉


結局、アスランとナナミが宿泊先に返って来たのは、三時間以上も後のことだった。
犬耳や尻尾を元に戻して貰い、後は風呂で体を綺麗にし、そのままベッドで休みたかった。
――深い眠りの中に、逃げ込みたかった。
けれども、そんなことは彼を溺愛する仲間たちが許しはしない。
「へえ……ご主人様と牝犬プレイか。それも悪くないなぁ」
「そうだろ?まあ今度試してみればいいよ」
「まあナタリーなら犬でも猫でも……兎に角、なんでも似合うから。今から楽しみだ」
ごくごくっ。がつがつっ。
用意した食事と酒を、とても豪快に食べながらナナミとナタリーが会話を弾ませていた。
「でも……やっぱり、一番は皆で犯す……じゃなくて、抱くのがいいよな!」
「分かる、分かる。あの綺麗な顔を精液塗れにして、恥ずかしさと快感に歪ませる高揚感は他では味わえないよ。その上、どっちのちんこに向かえばいいのか一瞬迷う表情が……くぅー最高じゃねぇ!?」
はっきり言うが、とてもじゃないが女同士が交わす内容ではなかった。
食事の仕方といい、普段の態度といい、そして今盛り上がっている会話といい。
もはやどっちが『男』で『女』か、まるで分からない。
「なあ、ナターシャも今度はこっち側で参加しろよ」
「そうそう、ナタリーを犯すの気持ちいいだろ?」
もはや公然と犯すといいながら――しかも、本人が居るにも関わらず――ナタリーが、目の前の席にいるナターシャに語りかける。
アスランは、もう恥かしくて、情けなくて堪らない。
「……」
プルプルと肩を震わせ、涙目でナターシャを睨んだ。
お酒の影響で、少し頬を染めながら、彼女は言う。
「あたしは……保留かな?……男のセックスも気持ちいいけど……もう少しは自重するつもりよ」
「ちぇ……面白くないなぁ」
「集団で回すから楽しいのにィ!」
赤毛の魔術師の、素っ気ない返答に二人はあからさまに不機嫌になった。
(な、なんでこうなったんだよぉ!アスランもエリオットも――い、いやいや!違う!名前が違う!え、えっと……ナタリーも、ナナミも……お願いだから元の性格に戻ってくれッ!!)
その中身が礼儀正しい少女であったことや、この国の王女であったことが、遠く昔のような感覚に陥った。
「……ぐすっ、私の安心と平和は……どこにあるのよぉ」
すっかりと口調が定着――無理やり男言葉に直せないほど――したアスランが、思わず涙を流す。
すると、そんな彼を行き成りナナミとナタリーが囲んだ。
「うわ!や、やめてよぉ!はなし……て!」
ほぼ同時に二人のゴツゴツした指が、胸元を包み込む。
ぬぎゅ、ぬぎゅ。
甘く切ない疼きを齎しながら、ゆっくりと肉房が揉まれた。
「や、やめ……い、いや!」
「ナタリーが悪いんだぞ?俺たちがこんなに愛しているのに、そんな愚痴をこぼすから」
「そうだ。俺たちの行為はお前への愛情が原因なんだからな!」
『ただその思いが強すぎて、辱めたくなちゃうんだけどな!あはは――』と仲良く笑う二人。
「そ、そんな……あっ、やん!ご、ごめんなさい!!」
堅固な、鍛え抜かれた男の体がふたつ。
しかも、お酒の勢いで、普段以上に責める気満々の二人に、アスランは謝るしかなかった。
悔しさと恥ずかしさで震える唇を必死に動かして、ナタリーとナナミのご機嫌を取る。
「も、勿論……私も……皆が大切よ!だ、大好きなんだから!」
それは偽りのない本音である。
ただ――。
「そうか、そうか!なら……今日もよろしく頼む」
「今日はどんな服装なのかな?どんなプレイなのかな?俺たち期待して待っているぜ!」
少しでもアスランの本音を漏らすと、この二人は調子の乗るのであった。
恐る恐る目線を下に向ける。
すると、元は男である彼でさえ引くほど二人の股間が、男性器の勃起に盛り上がっている。
「もうヤル気まんまなのね……仕方ないわ、ナタリー」
「あっ……うん。そ……そうみたい…………ぐすん」
「じゃあ、あたしたちは準備して、部屋に行くから大人しく待っていなさい。ほら、真っ赤な顔で涙目になっても無駄なんだから……立ちなさいナタリー」
「わっ、分かってるわよ!あっ……ナターシャ待って!」
もう止まらない空気を察し、アスランは渋々ながらナターシャの背中を追った。



ほぼ毎夜行われていることとは言え、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
アスランは、メイド服に身を包み、鏡の中の自分を見て、そう思った。
「はあぁ……」
「また溜め息?少しは慣れないと駄目よ、ナタリー」
「た、溜め息ぐらい出るわよ!本当は私が男でナタリーなのに!なんでこんなことを毎日しないといけないのよぉ!――あっ、間違えた!?わ、私は……い、いやお、おお!俺がアス……アスランなのに……なんでこんな……あの二人に肉体奉仕してあげないといけないのよ……い、いけないんだっ!?」
女として抱かれる度に、自身がナタリーと言うひとりの『女』になってゆく事実。
不安だし、恐ろしい。
泣きたくなるのも、叫びたくなるのも、当然だ。
「うふふ。仕草や口調だって女の子そのものなのに――変なところで強情なのね、ナタリーは」
だが、同じくメイド服に着替えたナターシャはクスクスと笑ってくる。
可愛い妹か、娘をからかっているような雰囲気で。
『それに関しては同感ね!』
「う、うるさい!そこには触れないでよ!だ、誰のせいだと思っているのよ!み、みんなのせいじゃないの!」
ベアトリスにまで指摘される。
アスランは咄嗟に仲間たちに責任を押し付けた。
「あ、あんなに犯されたら……女の子として滅茶苦茶にされたら……じ、自分が男だったことなんて忘れちゃうわよ!こ、こんなことならお、お城にいた方が良かったわよ!!」
そして、つい言い過ぎてしまう。
目尻に涙を溜めて、ギンと拗ねたように睨むアスラン。
けれども、ナターシャは優しく彼の癇癪を抑え込む。
「本当にそう思うナタリー……いいえ、アスラン」
「え?だ、だって……」
「薬や魔法で自我を奪われた状態で、ただ犯し孕ませるだけしか考えていないナタリーと一緒になる方が幸せだった。違うでしょ?」
「そ、それは……違う、と思う」
「ナタリーやナナミに抱かれて……少しでも絶望した?幸せを少しも感じなかった?」
「で、でも……気持ちいいけど……私、男だもん。ほ、本当はナタリーじゃなくて……あ、あす……アスランだもんっ」
ナターシャの子供をあやすような口調で――その実、叩き付けるように――事実を確認されると、眉を曇らせて黙り込むしかない。
愛らしい頬が、恥じらいと戸惑いに赤らんだ。
「何時かは元に戻るにしても今は間違いなく、その体はナタリー……つまり女の子。その事実は変わらないじゃない。だからアスランも女の子の体を楽しみなさい!」
「……ち、ちが……か、からだはナタリー……でも、こ、こころは――」
「ほら……あの鏡を見て」
「あっ……うう、ああっ……」
優しい口調ながら、拒むことを許されない力強さがあった。
戸惑いながらも、アスランは鏡を見やった。
そこには絶世の美女が、メイド服を身に纏い、恥じらいの表情を浮かべていた。
綺麗な『ナタリー』の姿。
これが自分だと思った途端――胸がドキドキと高鳴った。
「……可愛いわね。そう思わない」
「そう思う……けど……」
「ベアトリスも、そう思うでしょ?」
『うん、思うわ!』
「あっ……ああ……それは事実だけど――う、うう……っ」
確かに目の前に映る人物を、美女と呼ばない神経の方が狂っているだろう。
(これが……今のわたし。わたしは……女。ナタリー……その事実は変わらない……い、今は女の子だから……お、男になったエリオットとアスランの性欲を受け入れないと……ダメなんだっ!)
甘酸っぱい当惑が胸いっぱいに広がって、今までの葛藤が嘘のように弱まってくる。
そして、そんな心情を、この赤毛の魔術師は見逃さなかった。
「あの二人のことは――ナナミも、ナタリーも好きでしょ?なら、彼女たちの性欲も受け止めなきゃダメ。絶対に……それが今は女であるあなたの役目なのよ!」
「う、うん……そ、そうよね……そうなのよね」
「元に戻れば今までの分、たっぷりと男の快感を教えてもらえばいいのよ。それに妊娠は絶対にしないんだから。ねっ、ベアトリス!」
『本当はダーリンの子は孕みたいけど……私が子宮を守っているかぎり、妊娠は絶対しないわよ。安心しなさい!』
「もう……しょうがないわね――分かったわよ。今は……私がナタリー。お、女なんだから……それに……あっ、あぁ……!」
二人の言葉は、単なる切っ掛けに過ぎない。
ドクン、ドクン。
心臓が官能的な喜びに脈打ちを強め、アスランは自身の本音を認め始める。
(私も……やっぱりエリオットやアスランに……抱かれたい!おちんちんが生えたナターシャにも抱かれたい!ああどうしよう思考が……もう完全に発情したメスだよ、これ――け、けど恥ずかしいと思いながらも、体の疼きが止まらないっ!)
仲間たちの勃起ペニスの全て――硬さや、太さは無論の事、その脈動や精液の香り――を思い返して、生唾を飲み込む。
うずうずと全身が疼き、お腹の中では狂おしい熱が生じていた。
「はやく……行きましょう。あの二人の部屋に――」
「うふふ、了解。……あたしも付き合うから……今日も一緒に楽しみましょう!」
「え、ええ……」
眉尻を可憐に曇らせながら、彼はこくんと頷き返す。
ジュン。
「……んっ!」
股間より漏れた、熱い湿り気によってショーツを濡らしながら。
(あっ、ああ……拒めない!わ、わたしも……あの二人が……この仲間たちで過ごす!あのエッチな時間が好きすぎるから!お、男なのに!お、女の子の気持ちに――なちゃうぅう!)
ナナミやナタリー、ナターシャ――そして、アスランもまたこの夜の時間を楽しみにしている。
それは否定しようもない事実であった。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-3〉



ぷしゃぁッ!ぶしゅっ……!
(ダメェ……だめよぉ!こんなの……逆らえる訳が無いじゃない!)
理性を希薄にさせる快感の波が、お腹の奥より伝わってくると、太ももに引っかかるほど女の愛液が勢いよく噴出した。
「お、お願い……ほ、欲しい。欲しいの……」
恍惚の笑みを満面に浮かべ、アスランはナナミの体を抱き締める。
ぎゅっ、むぎゅっ。
彼女の顔を包みながら、巨大乳房が盛大に揺れ弾む。
「ほんと……イヤらしいおっぱいだ。それにもうここが準備万端の……お漏らし状態なのか?まったく、とんでもない淫乱娘だなぁ!」
「あっ、ああ!い、意地悪……しないでぇ!」
豊満な乳を堪能しつつ、彼女は手馴れた手付きでアスランの股座を弄ると、二本の指を秘部の奥へと、奥へと差し入れる。
(あっ、あああ――気持ちよすぎてぇ!変になりそう!わ、わたしぃ!)
熱く濡れ浸った粘膜の中、ずぶずぶっ、と指の先が沈んでゆく。
切ない疼きに悩まされていた膣内が一斉に窄まって、全身から汗が溢れ返った。
「あ、あつい!奥が……子宮が熱いわ!!」
灼熱の喜びを走らせて、壷型性器が悩ましく覚醒する。
襞壁が二本の指を、途轍もない力で締め付けた。
「あはは……すごい反応だな。まるで大飯食らいのモンスターだ!」
からかい気味の言葉にさえも、反応できない。
耳がぴくん、と立ち、尻尾は力なく垂れる。
(もう……我慢できない!男のモノを――エリオットの一物が欲しい!!)
ハァ、ハァ、と浅く早い吐息を繰り返し、アスランはお尻をナナミに向ける。
「お、お願い……します。はやく、私の中に……エリオットのおちんぽをい、入れて!!」
淫靡な熱に苛む瞳は、既に彼女の股間にしか向いていない。
「んあっ……ああ!あん……あぁ……!」
「……そうだな。うん、じゃあ……俺のことをご主人様って言えばいいよ」
「えっ?何を考えているのよっ!?ば、ばぁ……そんなこと言えない――んっ!」
「いいじゃないか……こんなにも可愛くて、エッチなナタリーが悪いんだ。もっと……俺を……俺のちんこを興奮させてくれよぉ!なぁなあ!なああ!」
ぐちゅ、くちゃ、ずぶぶっ、ぐちゃっ!!
「はぅンン――!?」
捲し立てるような口調で命じると、ナナミは濡れ浸った女の園を二本の指で穿り返す。
すっかりと発情し熱い粘液に満たされた肉穴と、二本の指が、淫靡な糸で繋がった。
「あっ、あふぅ!んは……はひぃ!」
激しい差し入れに、膣壁が悩ましく捲り返る。
意識を掻き乱す歓喜が頭を襲い、冷静な判断など不可能だ。
アスランは媚びるような眼差しを背後に向けると、弱々しい泣き顔で言い放った。
「ご……ご主人様ぁ!」
その健気な姿に、ますますナナミは調子に乗る。
イヤらしい水音を響かせながら、秘部に差し入れた指を回転させる。
そして、もう片方の手で、充血した勃起乳首を捻り潰した。
ぷしゅわ、しゅわああ!
「あはっ、んん――ご、ご主人さ、さま!さ、さま!」
壊れた玩具のように大きな痙攣を引き起こし、アスランはシーツの上に崩れ落ちた。
(あひぃ!ご主人様ぁ!え、エリオットさまぁ!は、はやく私を――ナタリーを犯してぇ!!)
まるでナナミに差し上げたいと言わんばかりに、お尻を天高く突き出した。
「は、はやく……死んじゃう。ご、ご主人さまぁ……」
その姿はまさしく主人に媚びまくる牝犬そのものだった。
「あああ!お前はどうしてそう!――俺を暴力的な男にしてしまうような可愛い仕草ばっかり取るんだよおお!?」
「あっ、ああ!んはぁ!きゃぅうううう――!」
ずぶ、ぬぶぶっ、じゅぶ!パンパンパン!
濡れ熟した肉花弁を翻し、ナナミの熱い勃起ペニスが内蔵を掻き分ける。
重なり合った股間から淫靡な音色が木霊して、途方もない悦楽が脳裏を打ち上げる。
「あ、あふん!ああ!ご、ご主人――さまぁ!!」
未だに慣れることが不可能な、圧倒的喜びに、アスランは感謝すらも覚えて、吠える。
「いい!イイっ!最高う!あっ、ああ――!!」
ハァハァと熱い息を吐き、はしたなく唇から舌先をこぼして、腰をくねらせる。
ぐちゅ、すぶぶっ、ぐちゃ!
より深く股間と股間がひとつになると、膣内(ナカ)が激しく歪んだ。
「あ、ああ!エリオットの……ご主人さまの!一物……おっきくて!くるしひぃ!んは……ああ!んんっ、くぅううう――!」
伸縮する肉洞穴が、侵入する男根を強烈に絡み取る。
けれども、突進の勢いは止まらない。
亀頭の先が、子宮にまで届く。
あまりにも固くて、太い、極悪ペニスが――グリグリとアスランの壺型性器を辱めた。
「あんん!すごい……あたま!ああ!ばか!ばか!にぃ!ああ――!!」
ナナミが腰を前後する度に、子宮が男根に弾き上げられる。
途端、頭の中を雷のような悦楽が襲いかかった。
(ああ!もう……ゆるして、ください!ああ――だめぇ!いく、いくぅ!!)
ぷしゅ、しゅわああ!!じゅぁあああ!ぶしゅっ、ぷしゅしゅっっ――!!
「い、いくぅ!い、いちゃいますぅ――!ご、しゅじん!ご主人さまぁあああ!!」
膣内が伸縮し、ギュルンギュルンと肉棒を締め付ける。
アスランは四肢を強ばらせながら、弓なりに仰け反ると、夥しいほどの愛蜜を肉花弁の奥より噴出させた。
「あ、ああ!んっ……くうう!」
ガクガクと激しい痙攣に襲われる。
「う!俺の……精子を受け取りやがれ!!」
「あ、ひぃいい――っ!!」
どびゅるぅううう、どびゅ!びゅううぅ!ずぶぶっ、ぶっ!
絶頂の余韻すらなく、ナナミの射精。
常識では考えられないほどの量と濃厚さに、再びアスランの意識は昇天する。

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挿絵:松園

(あが……ひいい!し、死ぬぅうう!)
ぷしゅ、しゅわ、じゅわあああ!!
まるで放たれた精液と競い合うかのように、大量の牝体液が再び、膣内より溢れ返った。
「あっん……ああ!」
ぐったりと力が抜けて、アスランは四つん這いの格好のままシーツに蹲る。
だが、お腹の奥底では一層のこと子宮が切ない疼きを発していた。
(も、もっと……欲しい!も、もっと……気持ちよくなりたい!)
淫蕩の色を隠さない、締まりのない表情でナナミを見上げる。
恥ずかしがる素振りも見せずに――本当に男らしい有り様で――彼女は口を開く。
「はあ、はあ……どうする。……もう一度するか、ナタリー?」
その提案を、拒む理由はなかった。
「お、願い……します。この……イヤらしい……はぁ、はあ!え、えっちな……牝犬ナタリーに…‥あなたのおちんぽを、もう一度……ください!ご主人様ぁああ!!」
ぐちょりっ、と男の孕ませ汁を垂れ流す女陰を見せつけながら、アスランは媚びた眼差しで、ナナミを誘った。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-2〉


王都での騒動から、早くも数ヶ月が過ぎていた。
その間にも追っ手を振り切りながら、取り敢えずはアスランとナタリーの魂――さらに言えばナナミの体――を元に戻す方法を探し求め、四人はとある古びた神殿へと来ていた。
「ね、ねぇ……本当にするの?こんな……場所で?」
第一の目的は、三人が元に戻せる魔法や、マジックアイテム作成に必要な鉱物の探索。
第二の目的は、旅の資金調達。
一つ目は見事に空振りであったものの、二つ目の目的に関しては、そこそこ金目の物を見つけられた。
だから、本来ならばさっさと退散するのが普通なのだが――。
(ううっ……は、恥ずかしぃッッ!)
首筋にくすぐったい感触が巻き起こる。
仲間の一人であるナナミが、鼻先を擦りつけて来たのだ。
「何言ってんだよ……逆にこう言う場所だから燃えるんだろ?」
「ひゃんっ!」
先程、打倒したダンジョンのボス――吸血鬼――が使用していたであろう豪勢なベッドの上で、不謹慎にも、軽口を叩きながらナナミが、アスランのお尻を撫で回す。
「あ、アスラン……ナターシャ!お願い……止めて!ナナミを!えっ……エリオットを……止めて!」
自分では退けられないので、残りのメンバーに助けを求める。
しかし、返って来たのは冷ややかな対応だった。
「先に戻るけどほどほどにしなさいよ?」
「そうそう。夜にも楽しむんだから――三ラウンドだな。それ以上はやめとけよ」
「ひどい……助けなさいよぉ!ば、ばかぁ!んあっ……んんっ!」
耳元でキャンキャンと吠えたのが悪かったのか。
悲鳴のような声を発する唇が、ナナミの分厚い唇で塞がれた。
(あ、ああン――なんで、こんなことに……!)
口付けによる甘い痺れが脳裏を満たす。
まるで頭に湧き上がった疑問も、不安も塗り潰すかのように。
「はいはい。分かってる……まあ少し楽しんだら追いかけるからさ」
「それじゃあ行きましょうか、アスラン」
「ああ……そうだ」
やはりここに彼の味方など存在しない。
金目の物をリュックに仕舞うと、ナターシャも、ナタリーも出口に向かって歩き始める。
ぴちゃ、ぬちゃ。
目の前の人物が、頬に蠢く舌を擦り付けた。
「な、ナナミ……はぅんん!」
「ナナミじゃないだろ?今の俺は……エリオットだよ。ナタリー……!」
「あっ、ああ――!」
荒々しく胸を撫で回されながら、首筋にも舌が踊り掛かってくる。
甘く切ない疼きと共に、歯痒いネバつき感が、息詰まる興奮を齎した。
(ああっ!すっかり男だわ、ナナミ!もう新しい名前にも――エリオットって言う名前にも慣れているし……あはンン!)
一度でも『男』と『女』と言う性別の境界を踏み越えてしまった罰なのだろうか。
毎日のように情事を繰り返すたびにナナミも、ナタリーも、その魂の本質さえも男であるかのように振る舞い始めた。
今ではもう恥ずかしがることなく、アスランの艶かしい女体を求めてくるのだ。
「え、エリオット!んあっ、ああ――!」
「はぁ、はあ……やっぱり気持ちいい……チチだなぁ!くっくく!」
「ああ!」
特にナナミの変化は、劇的だった。
男の身体に合わせるように、その中身も粗暴な男の人格へと変貌している。
それこそ生まれた時から『エリオット』と言う男だったみたいに振る舞うのだ。
「うう!へ、変態……っ!!」
「うるせぇ!そう言うナタリーだって……十分に変態じゃないか!」
「んっ――あっ、ン!」
そう言われてしまうと、言葉が詰まってしまう。
巨大なバストを捏ね繰り回されるだけで、甘い悲鳴を上げていることもそうなのだが、ナナミやナタリーに犯されるたびに、彼自身もまた女の子のような仕草と口調が自然と身に付いている有様なのだ。
薬も、魔法も使っていない。
けれども、女の快感によってアスランは徐々に認め始めていたのだ。
自身がひとりのナタリーと言う名の『女』であると言うことを。
「柔らかいなナタリーの体は!すごくイヤらしい肉付きだ!」
「は、恥ずかしいこと!い、言わないでぇ……!んぁ、あぁ……!」
今ではもう仲間たちに本来の名前で呼ばれることも殆どない。
なのに、なぜだろうか。
『ナタリー』と呼ばれる度に、背徳的な喜びが胸の中で育ってゆく。
(ああ!女になるのが嫌で!元に戻りたいから逃げてきたのに――ナナミ……いえ、エリオットやアスランに抱かれるたびに……私は女なんだって思っちゃう!)
今だって、そうだ。
本気で拒めばナナミも、ナタリーも無理強いはしないのに、どこかで彼女らとの情事を期待している自分が存在するのだ。
なんて――イヤラシ、イヤらしい『女』なのだろうか。
『うふふ……どうせ直ぐに発情して、甘えちゃうんだから。ダーリンにお願いしちゃいなさいよ!』
「べ、ベアトリス……あっ、ああン!おっぱい……い、弄られて……ひゃン!」
文字通り一心同体になったベアトリスが、優しく諭して来る。
意地になる必要がないと少しでも思ってしまう、と……。
(あっ、ああ――私のナカが、すごく熱い!なんて、イヤらしいのっ!くふンン――!)
ギュルン、ギュルン。
男のペニスを受け入れる準備が、早々に完了した子宮。その神聖な壺型性器が破廉恥な音を立てながら、蠢いている。
(おっぱい!ちくびぃ!電気が……走りっぱなしだよぉ!)
アスランの一際巨大な乳房が荒々しく揉み砕かれて、甘美な快感の波が全身を包み込む。
頭の先は無論の事、むっちりとした尻房さえもピクピクと震わし、切なげな表情で悶える。
ぷしゅっ、と熱い疼き捲る牝肉唇より、悩ましい汁が噴き零れた。
(べ、ベアトリスの言う通りだ、わぁああ!あっ、ああ!わたしは……お、おんなぁ!おんななの!だ、だから……え、エリオットに!だ、抱かれたい!優しく!!)
艶めかしい体臭が上気する雪肌を、逞しい男の体に押し付ける。
「あんっ……エリオット!や……優しくして!」
甲高い音色で、アスランは甘えた。
すると、頭を撫でながら、ナナミが頬にキスを当てる。
「可愛い……その姿も、すっごくイヤらしくて!」
「うあっ、ちょっ――と!ば、馬鹿なことい、言わないでよ!」
頭部に生えている慣れない部分を――獣耳を弄りながら、ナナミが囁いた。
(可愛いなんて……言われても……うっ!嬉しくないんだから!)
うそ。
本当は、胸がドキドキするほど嬉しかった。
頬は恍惚の表情を刻み、お尻から生えている獣の尻尾が、左右に揺れ動いた。
「さあ……俺をもっと楽しませてくれ。子犬ちゃん」
「こ、子犬って……ばか。だから……変な風に……呼ばないでよ!あっ、ああ!」
嬉しさと恥ずかしさに苛んで、アスランは頬を可憐に赤らめる。
ぷいっ、と目線を一時的に逃がす。
すると、部屋の隅に置かれた姿見に瞳が引き込まれてしまった。
(……あっ!これが……今の私の姿なんだよね……!こ、こんなイヤらしいメスっ……牝イヌの姿をしたのがわ、わたし……ああっ!だめぇ、どうしても…興奮しちゃゥ!)
犬の耳と尻尾を生やし、体には犬の毛を模した衣装――布地は極端に少ない――が、豊満な肉体に張り付いている。
そして、首は鉄製のリングによって拘束されていた。
野獣の動きと、強靭な嗅覚が備わる衣装と姿らしいが、どう見ても淫らな店で働く娘でしかない。
(ああ!こんな恰好させられて!おっぱいも、お腹も!お、お尻や股間だって丸見えのなのに!皆に女の子として変態な目で見られちゃうのに!わ、わたし――それが気持ち良くなちゃってる!ああ汗が止まらない!喉が渇いて!息が苦しいし……こ、股間が嫌な汁でびちゃびちゃだぁああ!!)
事実、彼の身体能力を高めると言うのは建前に過ぎない。
単に仲間たちが、このエッチな姿のアスランに劣情を募らせたいだけなのだ。
「……こんな格好ばっかりさせて」
思わず眉を曇らせ、愚痴をこぼす。
「ん、その姿のことか?……そう言いながらもナタリー。お前だってイヤじゃないんだろ?なぁ?」
「んっ……だって恥ずかしいわよ!こんな姿……少しは普通の格好で冒険を――って言うか、セックスさせてよね!!…………あっ…………あああッ!?」
「え?」
完全に油断していた。
瑞々しく潤った唇より、アスランは本音を漏らしてしまう。
途端、ナナミが意地悪く笑って――。
「ぷっ……あはは!そうか、そうか!セックスはして欲しいのか、ナタリーは!」
「ち、違うの!今のは言い間違えただけ――私は、はぅンン!」
ナナミの両の手のひらが、優しく双乳を揺さぶった。
そして、房を握り潰しながら、頂点の肉芽にも指を当ててくる。
「んっ、んん――!」
はしたない声が、勝手に漏れる。
おっぱいより生じた甘い当惑に、理性が痺れてゆくのを感じ取った。
(は、反則……よぉお!)
硬く尖った乳首。
くりくり、と衣服の上から弄られると、全身が悶えるほどの歓喜が巻き起こる。
「あっ、あん!ゆるしてぇ――ひぃ、ンン!」
ナナミの愛撫より、逃れる術などありはしない。
乳房がぎゅうっと絞られて、乳首を布地より引っ張りだされた。
そして、凶悪的に冷たいベロの先端を当ててくる。
「――んほぉ!ああっ!!」
特盛バストの先より、途方もない喜悦が迸る。
思わず息を詰まらせ、びくん、びくん、と背中を仰け反らせた。
「え、エリオットぉ……やめ!んんっ……!」
ぴちゃ、ぬちゃ……くちゃ、ぺろり!
「お、おほぉお!んんっ!」
下品に聞こえる破廉恥声で、アスランは喜びに啜り泣いた。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈5-1〉



王都とは言わないまでも、人で賑わう街。
その街のあるひとつの喫茶店で、二人の人物が密談を交わしていた。
否、『人』と言うのは語弊がある。
片方は世界の平和と秩序を司るエルフ。そして、もう一人は先日勇者一行を襲った魔王軍の残党――ラミアのナーガだった。
今は人間の姿に化けている彼女が、口を開く。
「それで首尾はどうなのかしら――ルート?」
問われたエルフの少年――ルートは、普段通りの微笑で言う。
「問題ありません。こちらの予定通りに勇者一行は国から逃亡しましたよ」
「そう。ならこれで人間たちも、エルフたちもあちらに意識を向けるしかない。――あたしたちが活動するのには都合のいい状態ね。……流石ね」
「当然ですよ」
『まあ、もっとも勇者たちが危うく捕まりそうで、こちらの筋書きが狂いそうでしたがね』と締めくくりながら、ルートは頼んだお茶に手を伸ばす。
そんな彼にナーガは、軽い口調で労った。
「――二重スパイ、お疲れ様」
「……魔王様とは違い、上が馬鹿ばかりでそれだけが悩みの種ですよ。エルフの女王は傲慢で、人間の新国王は小心者の二流王。……私たちにとっては有難いのですが……心労が絶えませんよ」
「頑張りなさいよ、魔王様からの勅命なんだから」
「……勿論です。全ては敬愛すべき我が主のためなのですから」
エルフの女王の忠実な部下である筈のルート。
彼はナーガと同じ、魔王の配下の者だった。
敵側の内部に侵入し、相手の情報を収集しつつ、その思考を上手く誘導する。
首尾は上々のようで、一先ず人間の国と、エルフの国は、今のところ驚異にならないようだ。
「で、どうだったの?勇者たちの実力は……」
「……正直な感想としては、流石の一言ですね。ナナミにナターシャ、ナタリー……そしてアスラン。彼らは警戒に値します」
「……え?あの坊やも……?今は無力な小娘でしかないんじゃないの?」
唯一の懸念。
自分たちの囮となって逃亡しているであろう勇者たちに関して問いかけると、ルートの口から意外な言葉が漏れてくる。
「宝具こそないですが、今の彼らの実力は、他の人間とは比べられないほど高い次元にいます。それに勇者……あのアスランに関しては、どうも妙な力を手に入れたようです」
「……え?力……?何よ、それ?」
「どうも魔王様の遺産の力を取り込み、変身する能力を身に付けたようです。身体能力も、上がっていましたよ」
「変身……身体能力の向上……?どこかで聞いたことあるような……ないような……うーん」
「本来の剣術を取り戻した彼の腕に、私は驚きを隠せませんでした。お陰で体中が傷だらけですよ」
「――そうあなたにそこまで言わせられるなんて、確かにあの坊やは……いいえ、あの勇者は確かにあたしたちの敵ね」
ルートの戦闘能力は魔王にも一目を置かれている。
そんな彼を一時的とは言え、追い詰めるアスランの力。
危険である。
今、ナーガの中で再び彼が、勇者として認められた瞬間だった。
「……でも、勇者たちだって逃げなければならないし、恐らく入れ替わった魂を元に戻そうとしているんじゃないかしら?なら当分の接触は必要ないわね――時期を見て、今度こそケリを付けてやる」
「……そうでないと私が苦労して、彼らを囮にした計画が台無しですよ」
「うふふ、確かに――あっ、それで念の為に確認するけど連中は今、どこにいるのかしら?」
ぴくっ。
仮面のように不動な顔が、僅かばかりに強ばった。
「ルート?」
「いや……それが!その……流石と言うか……」
「まさか……追跡出来てないの!?」
「……はい」
ほぼ完璧な仕事を遂行しているルートにしては、信じられない失敗である。
ナーガの責めるような目線に、慌てて彼は言い訳を放った。
「いや……連中は変装……または変身魔法を使い……こちらが混乱するよう敢えて情報をばら撒いているみたいなんですよ!」
「どういう意味……?」
「ええ……実は部下に情報収集をさせているのですが――」
ルート曰く、ここ数ヶ月――王都での騒ぎから――『ナタリー』と言う娘の目撃情報が後を立たないのだ。
しかも、その情報もところどころ全てが噛み合っていない。
金髪の女剣士が山賊を蹴散らしたと一人の部下が聞いてくれば、今度は別の部下から魔物の巣を退治した魔道士の娘がいた。
致し方なく自分で調べてみれば、魅惑の踊り子が辺境の町の祭りに参加した等――。
その全ての女が、『ナタリー』名乗っているのだ。
「でも、それなら虱潰しで探せば――」
「考えても見てください。勇者たちの捕縛はあくまでも秘密に処理しなければならないんですよ?そのため人為は限られてきます。相手もそれが分かっているんでしょう。だからこそ敢えて情報をこちら側に与えているんです。事実、彼らを見失ってしまいましたよ……はぁあ」
疲れたように吐息をこぼし、ルートがカップに口を付ける。
「ほんと、あの王女も、あの国王も文句ばっかりは一人前で。……そもそもナタリーなんて名前はさして珍しい名前でもないですしね。他の三人に関しても……変装やら、行動する人数を変更しているやらで……毎回調べる度に容姿や、人数……果ては性別すらも違っているんです!……それを分からずに、ネチネチと!……ああ!あの頭をかち割りたくて死んでしまいそうだ!」
勇者たちへの追跡の失敗。
そのことをエルフの女王と人間の新国王に、小言を言われ続けているらしい。
仮の上下関係だからこそ、堪え難い物があるのだろう。
「あっ……そ、そうなんだ。……ルート、頑張ってね?」
初めて見るかもしれない、憤慨するルートの顔に、ナーガは言い掛けた文句を引っ込める。
(……しかし、やっぱり油断のならない人間たちね。……でも、エルフや人間たちを翻弄するには、それくらいやってくれた方がいいのかしら?)
ルートには申し訳ないが、勇者たちにはまだ利用価値がある。
それまでは逃げ続けて貰った方が、こちら側には都合がいいのだ。
魔王軍の再建、そして魔王の復活のために。
そして、その後こそ――決着をつける時だ。
「……あら?」
彼女らの絶対の神――魔王を封印した憎き怨敵への殺意を胸の内にしまったナーガの瞳に、街路を歩く一人の娘が見える。
なかなかの魔力を持っている貴重な『人材』だった。
「……仕事は迅速かつ素早くお願いしますね」
「分かっているわよ」
ルートの任務は敵勢力への情報収集とかく乱。
そして、ナーガは来るべき時に備えての戦力拡大。
にゅる、と漏れ出した舌先で、唇を舐め上げる。
「……お会計は済ませておきます」
「お願いね」
「いえ――全ては魔王様のためですから」
料金を支払いに行くルートに一瞥だけ済ませると、先ほどの娘を追いかけるナーガ。
(……よしよし。順調、順調……これで三十二体目――!)
人混みが溢れ返る道を、何故かスムーズに歩き、やがて裏路地に入る。
瞬く間に本来の姿に戻ると、狭い路地の壁を上へ、上へと登っていった。
「さぁ、いらっしゃい――新しい私の妹!」
その声に、どんな力が、どんな魔力が込められていたのかは定かではない。
だが、その大きな瞳に見据えられたある女性は、フラフラと人気のない裏道へと歩いてゆく。
そして――。
「あれ、わたし……なんで」
「頂き――まーす!!」
「えっ?」
がぶりっ!ぐちゅ、ぐちゅ――げぷっぅ!
数秒足らずの出来事だった。
後に残されていたのは、大型獣の唾液らしき汚濁に塗れた女性の髪飾りだけだった。

魔王の封印による、魔王軍の崩壊、下級魔物の弱体化および鎮圧化に成功した王国。
だが、大規模な人的被害は嘘のように無くなりながらも、唐突な行方不明者は、以前にも増して報告されるようになっていた。
だが、王国は密かに行っている勇者捕縛に力を注いでいるため、そのような報告に対する調査は大したこともせずに処理される。

魔王軍の残党――ラミアのナーガによって、既に多くの国民が、人外なる者へと改造されているとも知らずに。

今日も王国全土は、魔王討伐に浮かれきっているのだった。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-8〉



「これまた……激しくやったわね」
音が聞こえてなくなったので、様子を伺いに来たナターシャ。
その視界には、はしたなく男性器を露出して倒れているナナミとナタリーが映し出されていた。
「ん……すごい匂い。どんだけ盛っているのよ」
自分だって性欲処理を――本番こそしていないが、手淫や口淫等で――手伝っていた筈なのに、充満する精液の匂いから、どれだけ激しい情事をしたのか、簡単に推測出来た。
(やっぱり、これもベアトリスの――あの淫魔の姿の力が原因なのかしら?たっ……確かにこの数日でうまく思考を誘導して、二人とも男の体で女のアスランを愛しても問題ないって納得してくれていたけど……それでも、これはちょっと引くわねぇ)
男となっているナナミの体を女へと変えているペンダントが壊れたのは、偶然だった。
しかし、その偶然をチャンスに変えないほどナターシャも馬鹿ではなかった。
アスランが不在な今、心は女なのに体は男――その上、愛しい人を抱く喜びを知った――二人の愛情を導いてあげるのは自分しかいない。
そんな使命感を元にして、二人に徐々に男の快感の良さを教え込んでいたのだが――。
「……もしかしなくても……やり過ぎた?あ、あはは……どうしよう」
ベアトリスの隠された能力と合わさって、思う以上に暴走してしまったようだ。
(アスラン……大丈夫よね、これ……多分)
自分がけしかけておいてなんだが、彼の有様は一言で言えば悲惨の一言で済む。
股間に至らずお尻の穴からも精液を垂れこぼし、髪や顔――と言うか、全身に生乾きの精液がこびり付いている。
「あ、アスラン――お、おーい!生きている!ねぇ、アスランっ!」
心配して、思い人に声を掛けた。が、しかし――。
「……ひゃあ!?」
ナターシャは思わず驚きの声を上げてしまう。
何故なら、気絶しているとばかりに思っていたアスランが、無言で立ち上がってきたからだ。
「……っ」
男の孕ませ汁特有の激臭を放ち、豊満な胸元にも精液がへばり付いている。
「あ、アスラン?」
てっきり文句や、恨み言でも言うのかと身構える。
だが、彼の視線は一点しか向いていなかった。
「……ど、どうした?アスラン、大丈夫?ねぇ……?」
「……ちんっ……」
「え?なに?」
次に発せられた言葉に、流石のナターシャも飛び上がった。
「ちんこ……もっと欲しい」
「えっ!ちょっと!アスラン……待って!あっ、ああ――!!」
無断で下半身にしがみ付くと、彼はナターシャの腰を隠していた布を剥いでゆく。
あっという間の出来事である。
ナターシャの生身の股間が、アスランの前に現れた。
「あは…………あはは!うふふ……やったぁ!やっぱり……ちんこあった!」
そして、普通よりも、やや頼りない小さな男性器が出現した。
「えへへ、これも私のおちんこぉ!ナタリーや、ナナミと同じ……わたしのモノだよねぇ!えへへっ」
「アスっ――アスランが壊れている!?」
無邪気に、と言うか、理性が飛んでいる顔で男根を弄る姿に、思わず背筋が凍った。
(いや……まあ確かに。二人だけ男になってアスランとセックスするのも、ずるいと思っていたわよ?でも、まさか実験で生やしたこんな、ちんちくりんなちんこを嗅ぎ取るなんて!……あたくしことナターシャ!今、人生で一番後悔しています!猛烈に反省しています!)
試験的に性別反転の魔法を作り、自身の体に試していたナターシャ。
しかし、流石の彼女でも完全に性別を変えるのは、それ相当の準備と手間――例えば稀少な結晶等を使った特殊なマジックアイテム――が必要だ。
故に体つきも、性器も女のままで――股間の割れ目より、男の性器の一部だけが生えているだけに終わってしまう。
しかも、サイズはとても小さく、感度も今一だ。
実際に、アスランの指で弄られているにも関わらず血が少しも集まる気配がない。
すると――。
「うーっ……なんで大きくならないんだよぉ!」
彼の不満げな囁きも、聞こえて来た。
「あっ……アスラン。もっ、申し訳ないけどこれ……勃起しないと思うわよ?」
「うう……手でダメなら……口なら、どうだ!」
「ええ!?アスラン!待って!!」
ダメと言い聞かせても、言葉の意味が分からないとばかりに諦めないアスランは、飛んでもないことを考える始末だった。
駄々を捏ねる子供みたいな姿に、彼女の反応が遅れてしまい――。
「あっ、ああ!だめぇ!な、なめ……ないで!」
「あむ……レロレロ!くちゅ……んんっ!」
唇を大きく開き、その皺も少ない男根を口腔で転がし始めた。
「やめて!……あっ、ぁあっ!」
ぺろぺろ、くちゅっくちゅ、ぐちゃ、ぬちゃ!
舌先で唾液をたっぷりと染み込ませる。
すると、徐々にだが感度が上がり、ナターシャは腰をビクンと震わせた。
「ちょっ……と!流石に今日はするつもりは……あっ、ああ!」
目の前の現状と、頭のネジが外れている愛しい男の姿に、ナターシャは消極的な姿勢だった。
しかし、それもアスランの舌と口に己のペニスをしゃぶられるまでの話である。
「あっ、ああ!」
次第に血が集まってゆくに比例し、未知の快感が亀頭の先に溜まってくる。
彼女の脳裏から徐々に理性が離れてゆく。
「あむっ……んっ!ちゅぷ……わーい!大きくなった!」
「はぁ、はぁ……アスラン!」
ナナミとナタリーに比べたら、それこそ笑ってしまうほど貧弱な勃起である。
けれども、それでも彼は嬉しそうにナターシャの男根に鼻先を啜り付けた。
「ねぇ……ナターシャ、しよ?エッチなこと……しようよ?」
「……」
もう逃げることも、拒むこともできない。
そんな無垢な瞳でお願いされたら、未体験の喜びを受け入れるしかないではないか。
(もうアスラン、それ反則!――仕方ないか、こんなエッチな娘になった彼をあたしが……いや、あたしたちが可愛がってあげないと!)
ナターシャのお腹の奥が、キュンと熱くなった。
脈打ちを強めるペニスと、お腹の奥で熱く疼く子宮。
男でも、女でもない姿になった赤毛の魔術師が、身も心も淫魔になった元少年を優しくベッドの上に誘導する。
「もう……邪魔よナタリー、ナナミ!そこで寝てなさい!」
気絶し、裸で倒れているナタリーとナナミを床に落とし――
「さて……じゃあ、何しようかしらアスラン?」
アスランの巨乳を揉み解しながら、肌と肌を重ね合わせる。
ハァ、ハァ、と二人の女の吐息が近距離で絡まった。
「あっ、ああン!ナターシャ!気持ちいい!おっぱい、気持ちいい!」
「うふふ、今のあなた……とってもイヤらしくて素敵だわぁ!」
「なっ、ナターシャ!おっぱい弄るのもい、いいけど……はあはあ!あんっ、ああぁ!ナターシャのちんこをしゃぶらせて。おちんこも、精液も……あっ、ああ!私、わたっ、し……大好きなんだもんっ!ねぇ、お願い!ナターシャ!」
「うふふ、いいわよ。あなたの好きなようにしなさい」
「うん!あむっ……んっ、ちゅっ、ちゅ!くちゅっ!」
「あンっ――くあっ!ああ男の快感――いいわぁ、くふふ……あははっ、うふははっ!!」
熱心に勃起した男根を舐めるアスランの頭を撫でつつ、ナターシャは高らかと笑うのだった。

アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-7〉



(あっ、はぁンン――!はぁ、ンンっ、ああぁ!来た!来た!きたぁぁ!!)
彼の淫蕩に染まった顔が、ますます情けなく緩んだ。
そして……。
「くううっ――入ったぁあ!」
「はああっ――ンン!ひゃううぅ……きゃううう!」
アスランの女陰と、ナナミの股間が重なった。
猛烈な水音を立てながら、ガチガチに固まったペニスが柔らかな肉花弁を突き進み――トロトロの牝壺を、その逞しい弾力で跳ね上げる。
「くひゃあああ!?んはぁああ!あんんっ……あっ、ああ!あっ……ンっ!!」
巻き起こる落雷のような歓喜に、アスランは悶え狂った。
すすり泣きのような嬌声を張り上げながら、両足でナナミの腰を捕まえる。
「すごい!やっぱり、このちんこ!すごすぎる……うああ!きゃううう!」
「ああ!一回しか味わったことがなかったけど――ここ数日、何度も何度も思い出しては、射精していたこの感覚!!そしてこの充実感!!やっぱり女の人のナカは……アスランさんのナカは反則なほど気持ちいいです!」
「あっ、ああ!ナナミ!ゆっくり!ゆっくり……動いて!あっ、ひンン!こ、壊れ!ちゃぁ――うう!!あっ、あンン!」
ナナミの肉槍が、恥骨の裏側を悩ましく突き上げる。
その度に、アスランは甲高い悲鳴で泣き続けた。
下品な笑みを浮かべながら。
(や、ばいい!男戻れないほど!やばくて……気持ちひぃ、ひい!気持ち、イイ!!)
そこには勇者の面影も、男であった事実も存在しない。
今の彼はまさしく一人の――否。
「気持ちいい!最高……最高だぁああ!!わたしぃ!し、シワセェ――!!)
肉欲に飲まれた一匹の牝だった。
(お腹の中を抉られたら!あっ、ぁぁ!し、幸せだっておもちゃう!わた、わたし――あっ、ああ!おれぇ、どうしちまったんだ!ああ!もう戻れないッ!!男……にはッッ!)
極太の肉槍が、逞しい弾力で膣壁を押し上げると、脳裏が爆発してしまいそうな快感が迸る。
官能的な声が唇より溢れ、ナナミの体を抱き締める腕と足の力がますます強まった。
「あっ、ああ――ん!も、もっと!お腹の……ナカに!さ、差して!ぶっ、ぶっこんでぇ!な、ナナミのおちんちんをぉ!あひンっ……ああ!気持ち、いい!!」
狂おしい喜びに、全身が小刻みに痙攣する。
「可愛い……っ!アスランさんが可愛いですっ!!」
「あむっ!んっ……んむっ……んんむうう!」
重なり合う二人の唇。
(あっ、ああ!キス拒めないぃいい!)
簡単にナナミにキスを強要されてしまう。
筋肉で覆われた巨体に押さえ付けられると、か弱い女の体は支配されるしかなかった。
「あむっ!ナナミのきしゅっ!上手ぅ!あっ、あむっ、れろれろ!だめぇ、キスで女にさ、されちゃう!あんっ、あむっ……んんっ――!」
だが、それでも恐怖よりも、ナナミの意のままに操られ、犯されることに被虐の快感が湧き上がる。
(ああ!意識が……飛ぶぅ!!)
しかも、狂おしいキスの連続の中でも、ナナミの腰使いは速度と力を加速的に跳ね上げてくるものだから、意識がクラクラと昇天し始める。
「ナナミ!激しぃ!激しいぃ!あっ、ああ!勘弁……ひぃ、あああ!」
元は女の子だからなのだろう。
ナタリーだけではなく、ナナミも女の弱点を攻めるのが旨すぎた。
熱く濡れている肉花弁の頂点。
肉割れ目に隠れている小さな肉豆を押し潰し、子宮の入口へと勃起ペニスの先を擦り付ける。
(あふぅ!はうっ……ん!頭がばかになるぅ!)
子宮がジュンと燃え上がり、狂おしい喜悦が脳裏を突き崩した。
ナナミの恐ろしいまでに強い腰使いに合わせて、アスランも腰を扇情的にくねらせる。
「あっ、ああ!ナナミのちんこぉ!怖い……くらい!すごい!気持ちよすぎるぅう!!」
感極まって肉洞穴を縮めると、その直径の太さが分かってしまう。
元の肉体よりも大きくて、硬い。
そして何よりも腰が砕けてしまいそうなほど弾力が、凶悪過ぎる。
「あふっンン!ナナミのおちんぽが元気すぎてぇ!私の子宮が壊れちゃいそう!あっ、あ――ひぃうううっ!」
砲弾級のおっぱいを弾ませて、自然と逞しい胸板に抱き付く。
その衝撃に、ただでさえ雄肉棒に押し潰されていた子宮がより醜く歪み、意識が吹き飛ぶほどの悦楽が背筋に走った。
「あっ、ひぃ――あっ、ぐぅうう!わたしぃ!あっ、ああンンっ――!」
最早、女として絶頂することは避けられない。
ナナミの巨体にしがみ付いたまま、アスランは全身をガクガクと震わせて――。
ぷしゅ、しゅわ、じゅわぁあああ!じゅぶっ、ぷしゅううう!!
(わたしぃ!わたし――い、いくぅうう!あ、あはぁっ、っンン!!気持ちいいよぉおお!!)
みっちりと男根が嵌り込む、肉割れ目。
絶頂に身悶えながら、その甘美に煮詰まった肉穴より、灼熱の牝粘液を噴き上げる。

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アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈4-6〉


(ナタリーが喜んでる!よ、よし……これなら……どうだ!!)
ちろちろ、と尿道へと繋がる極小穴を舌先で穿り出した。
「あっ、ああ!すごっ――くううう!!」
全身が激しく痙攣し、ナタリーの勃起ペニスが面積を膨張させる。
先走った粘液が、口の中で自分の唾液と共に、ぐちゃっ、ぐちゃっ、と混ざり合う。
「んぶっ……くさっ……い!あぶっ……ひぶうう!」
強くなる汚臭に、涙が枯れることはない。
恥ずかしさに全身が引き裂かれそうなほどである。
(でも……女の体には、これが……これが最高のご馳走なんだ!ああ!止められない!止められないよぉおお!!)
だが、性欲は羞恥心すらも凌駕し、アスランの胸の中で育っていた。
彼女が嬉しいなら、と。
彼女が歓喜に戦慄いてくれるなら、と。
「あぶっ……んふっ!ぐちゅ!んじゅぼっ……じゅちゅっ!」
「おあっ!?あああ――!!」
唇を細く閉じ、根元まで包み込むと、アスランは充血した男根を吸い込んだ。
悩ましく、そして甘美なバキューム攻撃。
その衝撃に、ナタリーは、はしたない――王女とは思えないほど下品な顔付きで――雄叫びを張り上げた。
「アスラン!ひ、卑怯もの!こんなの……たっ、たえられないぃいいい――!!」
どじゅっ、じゅぶうッッ!じゅぶぶぅうう!どびゅるぅうう!!
「むごっ!?むぐっ、ばぶぅうう!んぐっ――ひがっ、ぶうううぅ!」
アスランの可憐な唇に、大量の精液がぶち込まれた。
顎が外れてしまいそうな破壊力に、唇の隙間より精液が溢れ返る。
「あむっ……むうう!あっ、んはぁあああ――ッ!」
「ああもう!アスラン……最高ですわぁ!そ、その唇ぅ……」
「ひゃぁあンン!せ、精液……俺のだった精液が……全身にィ――!!あンンっ、あっああぁ!」
射精の勢いは止まらない。
唇から飛び出たペニスの先端より、濃厚な牡汁が顔面に降り注がれる。
が、何故か不思議と嫌ではない。
否、むしろ、体がふわんと弛むほどの喜びが巻き起こった。
(あっ……ああ!すごい!股間が……疼いて!んんっ……!)
精液に触れている部分がカァと熱くなり、悩ましい疼痛が全身を包み込む。
陰唇が落ち着きなく、ピクンピクンと打ち震え、濃厚な牝汁のシャワーを噴き上げる。
「あっ、ああ――!」
男であることも忘れ、アスランは膨大な快感の渦に理性を預け切った。
(んっ……精液……ねっとりしてて!ぐちゃぐちゃしてて……まずいし、くさい!ベトベトして飲みにくい……と思っていたけど……な、なにこれぇ……すっごく……ごくっ……んんっ、おいしいぃ!)
吐き気も、嫌悪も嘘のようになくなって、濃密な精液に心奪われる。
くんかくんかと鼻を動かしつつ、ベロと喉奥に絡まる精子を無我夢中で飲み下す。
「……ごくっ!んんっ……あむっ……げふっ!ごふぅう!げほっ……飲むのが、大変だぁ!あむ……くちゅっ、くちゅっ!ごくんっ!!」
とても性欲処理を欠かせていなかったとは思えない、量と濃さである。
だが、それでも彼は口腔にしつこく残留する精液を胃の中へと落としてゆく。
命じられた訳でも、お願いされた訳でもない。
女の、と言うか、淫魔の本能に支配されての行動だった。
(お、おれ!ああっぁあ――!わ、わたし!どうしちゃったのぉ!わ、わたし……精液がとっても美味しい!し、幸せぇ!ナタリーの精液を全身に掛けられて!し、幸せになっちゃうぅ!!)
無尽蔵の喜びが禁じ得ないアスランは、頬や唇に付着していた精液さえも舌先を伸ばし、掬い上げ、くちゅくちゅと口の中で生唾と共に反芻した。
ナタリーが吐き出した欲望汁を噛み締めるかのように、ゆっくりと。
そして――出来る限り、長く。

くちゅっ、くちゅる……くちゅる、ごくっごくごくっ、ごくり――じゅるちゅぅ、くちゅくちゅ!

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