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勇者ウィルの冒険

作.amaha
絵師: そら夕日さん いちご色素

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Ⅰ 妻をめとらば勇者様

 勇者ウィル・サンダースは剣をおさめたまま前方を凝視している。
 ここはダンジョンの最深部、目的の宝箱を守る竜ももういない。何を迷うことがあろう。しかしウィルの視線は宝箱に刻まれた呪いの文字を見つめていた。そこには彼の父と戦った悪竜ファフナーの名もある。いやな予感がしたが、ウィルは手ぶらで引き返すわけにはいかない。この冒険に参加し、彼を先に進めるため強敵を引き受けてくれた3人の仲間になんといいわけをするのだ。ウィルは母親から贈られた護身のネックレスについたクリスタルを握り防護の呪文を唱えると思い切って蓋を開けた。

(1)

 ウィルの3人の仲間たちはそれぞれの方法でダンジョンを脱出して入り口の近くに集まった。力のロックは岩を砕いて、智のシマラは既知のポイントへの帰還魔法で、技のアトランは空間をくりぬいたのだ。いずれも往きには使えない技なのが惜しい。
「遅すぎないか、ウィルの奴」
雑のうから取り出したワインを他のものに勧めながら、ロックが最初に口を開いた。
「経験こそ浅いが、あいつの勇気は折り紙つきさ」
アトランは自分に言い聞かせるように答える。
「その経験こそ、ダンジョンの奥で必要なものじゃないのかな」
皮肉な口調で答えたのはシマラである。
「シマラの言う通りだ。それに力なら俺が、魔法ならシマラが、剣技ならアトランのほうが上だろう」
「くそ、どうしろというんだ。1人で行かせねばその経験もつめないじゃないか」
そういうと杯の酒を飲み干して地面に投げつける。ロックとシマラは顔を見合わせた。冷静なアトランがこれほど感情を見せるのは珍しい。酒のせいではない、彼はとても強いのだ。
「悪いアトラン、僕もウィルのことが心配なのはかわらないんだ」
自分の非を認めてシマラは詫びた。
「それなら捜しに行こうぜ!」
「まあ待て」
「なぜ止めるんだアトラン。君だって心配なんだろう?」
「最後の関門を越えたとき妖精は消えたから案内するものがいない。それに私たちが今捜しに入ればウィルを信じなかったことになるだろう」
「それはそうだが……。おい、シマラ」
「僕はアトランに賛成だな。ウィルの為にお祈りをしよう」
「え~い、縁起でもない」

 誰も話さなくなり、杯だけが重ねられた。4本目の栓をロックが抜いたとき矢が空気を切り裂くような音がした。
「ウィルか?」とロック。
「彼の脱出魔法の疾風(はやて)だな」
冷静なシマラも既に立ち上がっている。彼も心配していたのだ。
「無事だったか……」
アトランの口調はその内心を示していた。
 しかしいつもならぴたりと3人の前で止まるはずの風切り音が巡回を始めた。
「おい、こりゃあ」
「暴走じゃないのか、シマラ」
「アトランの言う通りらしいな」
「おい!」
「もう始めてる」
シマラは素早く呪文を唱えて印をきった。音が止みもうもうと土ぼこりが舞い上がる。
ひどいなあとぼやき始めたロックも視界が戻ると黙り込んだ。そこに倒れているのは会ったこともない少女だ。いや3人ともどこかで会った気はしていた。
 素直なロックが最初に沈黙を破る。
「ウィルに妹がいたっけ?」
「やれやれ、着ている男物の服に見覚えがあるな」
「アトランの指摘は正しい。それに手にあるのはこのダンジョンの宝物らしいぜ」

(2)

 ウィルが目を覚ますと頼りになる3人の仲間が心配そうに覗き込んでいた。
「ああ、不思議な夢をみたよ……あれ?」
慌てて手を上げ繊細になった指を見る姿を見て3人は心配が的中していることを知った。
 ロックが直ぐに思いを口にする。
「やっぱりお前さん」
「ウィルか……」とアトランは思案顔。
「その変化、変身魔法にしては強力だぞ」
シマラの言葉に不審を感じたアトランが聞きただす。
「どういうことだ」
「僕だって一通り魔法の勉強はしている。自分の力で解けなくても普通解法の糸口くらいは見えるものさ」
「むぅ」

「ど、どうしよう。女の子になっちゃったよ」
ウィルには3人の会話を聞く余裕はなかったらしい。3人でしばらくなだめてやっとウィルは冷静さを取り戻した。
「君が質問した方が良さそうだな」
とアトランはシマラに言った。
「光栄な指名だね。さあウィル、起こったことを順序だてて話してごらん」
ウィルは守護竜を倒す所までを簡単に話してから宝箱のことを詳細に説明した。最後まで聞き終えてからシマラはたずねる。
「その書かれていた言葉はわかるかい?」
「細かい意味はわからないけれど書けるよ」
ウィルはシマラから筆記用具を受け取り可愛い手でのろいの言葉を書き始めた。
 頬を赤らめたシマラを横目で見ながらアトランはそっとつぶやいた。
「やれやれ、やっこさん、女性化したウィルにもうご執心かな」
シマラは女に手が早い。
 ウィルの書いた文章を読んだシマラは首を捻った。
「これは確かに強力な呪いだけど、変だなあ」
「俺も変だと思うぞ。その字は読めないけどな」
「確かにそうだな」
「えーアトランには俺の考えがわかるのかい。まだ説明してないのに」
ロックのいつもどおりのとぼけた様子を見てウィルに笑みが戻った。
「そりゃあロック。敵を女性化しても宝の守りにはならないって言うんだろう?」
「ウィルにもわかるのかよ」
「ところでその内容は?」
「ああ、アトラン。こいつは宝を奪おうとしたものを魔物に変えようという恐ろしい魔法さ。悪から奪い返すという名目があっても盗みは盗みだ。どんな英雄もその瞬間だけは神のご加護を受けられなくなる。暗黒面に落ち易く落としやすい一瞬を狙ってそのものを宝を守る魔物にするわけさ」
「どうりでダンジョンの守りがかたいわけだ」
「おいおい俺たちは人間と戦ったのか?」
「魔物と化した者は永遠の闇の中にある。あれは慈悲だよ。彼らの魂の為に祈ろう」
「えー僕は魔物なの? じゃあ早く3人で殺してよ」
「馬鹿言え、邪気が感じられん」
「敵の魔手に落ちたなら、宝を奪ってくることはないだろうさ」
「2人の言う通りだ。ところでウィルは何かしたのか。そのー変身の前に」
「母上にいただいた護身のネックレスを握って呪文を唱えただけだよ」
「守りきれなかったということかな、超強力なそのネックレスの魔法でも。落ち着いたら一度君の母上の所に伺った方が良さそうだな」
「直ぐに行きましょう」
「そうはいかないよ」
「なぜです」
答えたのは珍しくロックだった。
「このクエストは王家の依頼なんだろう」
「ええ、まあ」
「報告が先だ」
「で、でもー」
「勇者の苦難だ。後の世の名高い伝説になるだろう」
「えー女の子になったことがですか?」
「ほら古の英雄ヘラクレスも女になる苦難を乗り越えただろう」
「それって女装じゃないですか?」
「なあに男の心を失わなければ同じことさ」
「そうかなあ」
「もう女々しいぞ」

(3)

 まず都へ向かうことで意見が一致すると、アトランが毛布に包まったままのウィルを見つめながら言った。
「さてそうなるとウィルの着替えがいるな」
「旅の間の名前も要るだろう。ウィルじゃ変だし」
これはロック。
「着替えならたくさん持っていますし、名前まで変えなくても」
「2人の言うことが正しいと思うな。王家の方には真実を話すにしても道々勇者ウィルが女性化したと宣伝して歩く必要はないだろう? それに着替えの件は試してみればわかるさ。さあ僕たち3人は背を向けているから」

 ウィルは毛布から抜け出して自分の荷物の側まで歩いた。着慣れたはずの鎧下がこすれて痛い。
 3人が背を向けているのを確認して旅装を取り出して着替えてみる。上着の前は合わず、ゆきは長い。ズボンはお尻でつかえてはけなかった。なんだか悔しくて悲しくて涙が目からあふれ出す。
 長い沈黙の後聞こえてきたすすり泣きに3人は背を向けたまま顔を見合わせる。無言のやり取りがあり代表してシマラが話しかけた。
「どうだい」
「無理です。裸で旅しなきゃいけないらしいです。グスン」
「慌てるなって。俺の鞍嚢の横の包みを開けてみろ」
「シマラの方が僕より、元の僕より背が高いから無理ですよ」
「まあ、見てみろ。そして聞け。そのー俺には1人の従妹がある」

 横のアトランが困ったようなため息をついたのでシマラはその足を踏んだ。
「痛いな」
「ため息は止めろよ」
「お前、あれは自分の女のために買ったんだろう」
「女のことはウィルに秘密にしてくれ」

「シマラ、これって女性の衣装ですよ」
「従妹の背格好は今のウィルと同じくらいなんだ。この前の町でなかなかデザインの良い外出着を見つけて買ったのさ、従妹のためにね。そのーとりあえず着てみろよ」
「女物を?」
「裸で旅を?」
「わかりましたってば」
 ウィルはしばらく下着を持ち上げたまま固まっていたが、思い切って着始める。
「着方わかるか?」
「僕だって子供じゃありません。知ってますよ。えーっと」
「前ではめてから後ろへ回せ」
「あ、はい。え!」
「見てないってば」
確かにシマラが盗み見した気配はない。
「じゃあどうして」
「音でわかるのさ」
「蛇の道は蛇ってね」
「おいロック」
「シマラは女装の趣味が?」
「そのサイズじゃ僕は着れないって」
「ああ、そうか……」
しばらく衣擦れの音だけが続いた。
「外套以外は着ました。いいですよ、こっちを見ても」
振り向いた3人は地上に降り立った天使を目の前にして声が出なかった。

<つづきはこちら>

イラスト企画、勇者ウィルにお二方からSS投稿がありました。

あまり反応が芳しくなく、挫けそうになっておりましたが、SS投稿があり気を取りなおしました。
投稿、まことにありがとうございました。
この上は100人ぐらいTS娘を並べてしまおうかと!!←極端。

明日そうそう戦士フレッドがお目見えですので、あわせて他の作家さんたちもよろしくお願いします。

投稿されたSS ①『捌け欲の精霊』 DEKOIさん <いちおう18禁>
          ②勇者と魔王の嫁入り修行 DEKOIさん
          ③SAY YES あむぁい <18禁>
          ④勇者ウィルの冒険 amahaさん

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勇者と魔王の嫁入り修行(その1)

作. DEKOI
絵師: そら夕日さん いちご色素
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勇者ウィル

世界は破滅の道を進んでいた。


この世界には勇者と魔王がいる。

勇者の名前はウィル。
前魔王を倒した勇者とこの世界において最大の領土を誇る国の姫との間に出来た
、由緒正しき血統を持つ青年。

魔王の名前はルゲイス。
ウィルの父親に倒された前魔王の実の息子であり、現在は魔族の頂点に立つ男。


本来、偉大な前任者の息子の実力がボンクラなのが世の常だ。
「晴れた日には布団を干す」位に決定付けられた世界の理の1つと言ってもいい
だろう。

だが彼ら2人は違った。
強いのだ。それも半端でなく強過ぎる位、強いのだ。
強国の親衛隊長や魔族の上級将官の強さが三○無双の雑魚兵士クラスと当てはめ
たら、彼らの実力は武者ガ○ダムクラスの強さだ。
彼らは生まれもって優れた才能を持ち、そして幼少の頃から「1日30時間の特
訓」クラスの修行を続けてきた。
その為にお互いに「勇者」「魔王」を名乗る頃には、彼らの強さは周囲の者に比
べて飛びぬけていた。
それこそ、手がつけれない位に。

そして問題なのは2人共、自分の理念についてはとてつもなく真面目なのだ。
勇者ウィルは魔族から人類を守ることを信念として貫いていた。
魔王ルゲイスは世界の覇権を人類から奪い取り、魔族による世界征服を至上の目
的としていた。

そして更に悪いことに2人の実力は拮抗していた。それこそ全く差異がない位に

片や仇敵の息子。片や人類を脅かす魔族の王。
お互いに相手を倒す事に一切の躊躇はない。

2人の心根は超真面目。実力は完全な拮抗状態。自分の目的達成の為に、最優先
で倒すべき相手同士。
そんな2人だからこそ、直接対決する事が多々生じているのだ。
そして常に戦闘は手加減一切なしのマジモード。
お互いがお互い、背水の陣でもひいているのではないかと思われるほどの、真剣
勝負。

そして極めつけに悪いことに2人とも戦闘になると周りの状況が一切目に入らな
くなってしまう。
よっていざ戦闘になると、周りに対する影響に関して、一切考慮せずに暴れまわ
る。

そんな訳で。
勇者と魔王が戦うことは、周囲に大災害が発生したのではと疑いたくなるような
壊滅的な破壊状態を撒き散らす。
大地が割れ、天を引き裂き、森は火で焼き払われ、山は崩れ落ち、川は干上がり
、空からミート君が降ってきて、ポール・○が指を折る。
世界にとって、2人の一騎打ちは「天災」クラスの大問題なのだ。

こんな周りにとってはた迷惑な戦闘が1週間に1回は起こっている。
ちなみにこの世界の1週間は、我々の世界の3日間にあたる。
常に場所を変えながら頻繁に発生するこの災害は、世界中に大きな被害をもたら
していた。
あまり大きくないまっ平らなこの世界において、それは自己治癒能力をはるかに
上回る大破壊行為であった。



世界は破滅の道を進んでいた。
それがたった2つの存在による大喧嘩が原因であることは、周知の事実である。

<つづきはこちら>

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  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
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