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CARAMEL BOX

CARAMEL BOX (ポプリコミックス 49)CARAMEL BOX (ポプリコミックス 49)
(2009/06/25)
くまこう

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言葉知られても受け入れ進まず=「性同一性障害」で意識調査

言葉知られても受け入れ進まず=「性同一性障害」で意識調査

YAHOOのみんなの感想が無理解と無思慮な意見が多いように感じます。

星の海で(4) ~トイブルクのエミリア~ (7)

コーナー:ありすの不思議な国

(7)-------------------------------------------------------

 コックピットにはいると、ヴァンデル士長はチェックリストを見ながら、モニター類のチェックを行っていた。

「准尉殿はコ・パイ席へお願いします。その子はジャンプシートにでも座らせておいてください。非常脱出の手順はご存じですか?」
「シミュレーションでなら」
「じゃ、よく思い出しておいてください。操縦はすべて私がやりますのでご心配なく。衛星軌道へはブースターを使いますので、舌をかまないように。そちらのお嬢さんにも」

 エミリアはジャンプシートに座らせた、エルザのシートベルトを確かめながら言った。

「エルザ、私が“いいよ”って言うまで、口をきちんと閉じておくのよ。いい?」

 エルザはぎゅっと口をつぐんで、うなずいた。

「とりあえず発進します。衛星軌道へあがったら、フライトスーツに着替えてください。戦闘の可能性もありますから」
「そんなに事態は緊迫しているの?」
「とにかく発進します!」

 ヴァンデル士長はコ・パイ席のエミリアがシートベルトを締めたのを確かめると、直ぐにメインエンジンを始動させて、タキシングを始めた。
 誘導路をショートカットして、一番近いリニアカタパルトへ乱暴に接続された戦闘艇は、管制塔からの指示を待たずにブースターに点火した。
 緊急発進と同じ手順に、エミリアは不安を感じた。

 少佐は、轟音とともにブースターの白く太い煙を引きながら上昇していく戦闘艇を見送ると、司令部へと走り出した。 

 格納庫を出てから、10分とたたないうちに、エミリアたちを乗せた駆逐艇は衛星軌道の周回を始めた。
 自動操縦に切り替えたヴァンデル士長は席から離れ、コックピット後方のパネルをチェックし始めた。

「准尉殿、着替えてください。子供用のフライトスーツがないので、その子は脱出カプセルにでも」
「ねぇ、敵はまだ星系外縁にいた筈じゃなかったの?」

 エミリアもコ・パイ席を立って、ジャンプシートのエルザのベルトを外しながら尋ねた。

「良くわかりませんが、恒星系内を強引にワープしてきたみたいなんです」
「ワープ? 無謀だわ。小惑星のどれかにぶつかるかもしれないというのに」
「何隻かはやはり、損害を出したようです。実はそれで敵の襲撃が早まったことが、わかったのですが……」

 ヴァンデル士長が言いかけたところで、まばゆい光がコックピット内を満たし、同時に艇を激しい衝撃が襲った。
 けたたましい警告音が鳴り響き、艇内の照明が非常灯に切り替わった。
 咄嗟にエルザに覆いかぶさるようにシートにつかまったエミリアは無事だったが、ヴァンデル士長はパネルに激しく頭を打ちつけて、額から血を流していた。

「士長! ヴァンデル士長、大丈夫?!」
「え、ええ。まぁ何とか、気は失わずに済みましたが……」
「コーションパネルが真っ赤なの。どうすればいいの?」

 士長はパネルに目をやり、すばやくチェックすると言った。

「至近弾を食らったようです。外装の一部が脱落しています。畜生! こっちに敵はいなかったはずじゃ」
「補助エンジンは1番、2番ともアウト。メインエンジンは生きているようだけど……」
「これじゃ、基地への帰還は無理ですね」
「少佐は『帰還の必要はない』といっていたわ。護衛艦隊のいる方向へ脱出しろと」
「そうでしたね。だが、それもこんな状況では難しいかもしれません。とにかく損害箇所を確かめないと……」

 ヴァンデル士長を支えながら操縦席に戻ると、二人はコックピットの外に広がる眼下の光景に絶句した。

「こ、これは……、いったい!」
「外惑星軌道からの艦砲射撃でしょう。さっきの衝撃は、われわれを狙ったものではなかったんです」
「そ、そんな! 基地は、トイブルク5は?」

 星全体を覆い尽くす勢いで広がっていく業火に、エミリアは心臓が潰される思いがした。

「妨害電波が激しくて、通信不能ですが……多分、全滅かと」
「全滅?」
「敵が降下させたのは揚陸艦ではなくて、おそらく無人の輸送艦だったのでしょう」
「無人の……?」
「輸送艦には防護核を外した縮退炉が積んであった筈です。そしてそれを暴走させるために、艦砲射撃で……」
「そんな、それじゃ基地は? 少佐や、駐留部隊は……?」
「生存は、絶望的かと……」
「そんな……、だって!」
「惑星攻撃に縮退炉暴走を使うのは、完全な条約違反です。我々はいち早く、この事実を味方に知らせなければなりません」

 とめたはずの警告音が再び鳴り響いた。

「今度は何?」
「敵が来たようです。さっきの衝撃でセンサの機能が低下していて、数はわかりませんが、おそらく1隻2隻という数ではないでしょう。直ちに星系外縁に向かいます」
「わかったわ。直ぐに着替えます。エルザ、こっちへ!」
「准尉殿は着替える必要はありません。その子と一緒に、脱出ポッドに入ってください」
「どういうこと? 私だって、少しぐらいなら手伝えるわ」
「わかりませんか? 敵は複数です。まともにやりあって勝てる見込みはゼロです」
「だからって」
「外縁に向けて加速したら、ポッドを直ちに射出します」
「じゃ、士長も」
「私は囮になって、この艇で敵の目をかく乱します」
「駄目よ! そんなの。囮ならTACOM(戦術コンピュータ)にパターンをセットして、あなたも脱出を!」
「この艇は練習用なので、そんなものは積んでいません。それに、ポッドは2名用なんです」
「詰めれば、何とかなるでしょう? この艇は直線航行でも何でも、いいじゃない!」
「それでは囮の意味がありません。敵は条約違反の行為が発覚するのを防ぐために、執拗にこの艇を追いかけるに違いありません。それに隊長からは、“可能な限り2人を守ってくれ”と」
「だからって!」
「准尉殿にはなんとしても脱出して、敵が卑劣な方法を使ってトイブルク5へ攻撃を行った事実を、艦政本部に伝えて戴かなくてはなりません」
「……」
「議論の余地はありません。直ぐに加速の準備に入ります。ポッドへ!」
「わ、わかったわ……。でも約束して頂戴。無理はせずに、いざとなったら投降して。“生きていれば必ずまた会える”と、少佐は言っていたわ」

 ヴァンデル士長はその言葉には答えず、笑顔で敬礼すると、二人を脱出ポッドへと促した。
 ポッドに入ると、スピーカーを通じて士長の声がした。

『全力加速開始30秒後にポッドを射出します。外縁軌道に達したら、ポッドは自動的にトイブルク恒星系のカイパーベルト天体軌道に載ります。念のため、コールドスリープに入ってください』
「目覚めたらおばあさんになっていた、なんてことになっていないことを祈るわ」

 エミリアが冗談めかして言うと、加速のショックを感じた。

『最後に、隊長から伝言です。准尉殿の傍を離れるような事態になったら、伝えるようにと……』
「伝言? 少佐はなんて?」

 エミリアはエルザをコールドスリープ装置に寝かせながら、士長に尋ねた。

『“兄らしいことを何一つしてやれなくて、すまなかった”と。隊長と准尉殿は、ご兄妹だったのですか?』

 エミリアは見えるはずの無い基地の方角を振り向いた。
 “兄”という言葉に、エミリアは動揺していた。
 この基地に配属され、少佐のファイルを見た時から、漠然と感じていた予感。
 微かに残されていた記憶が、この人は自分の知っている人だと告げていた。
 だが、まさか自分の兄だったとは、思ってもいなかった。
 少佐は、アルフレート兄さんは、いつからそのことを知っていたのだろうか?

『准尉殿、射出します。衝撃に備えてください!』

 士長の声がエミリアの思考を止めた。
 直後に衝撃がポッド全体を震わせ、長い加速Gを感じた。
 ポッドの窓からは急速に遠ざかっていく、トイブルク星系第5惑星が見えた。
 陸地部分が多かったとはいえ、緑の多かった星はいまや全体が灼熱に輝いていた。
 その惨状に、エミリアの視界から遠ざかるよりも早く、涙で滲んで見えなくなっていた。

 「兄さん……」

<つづく>

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