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トイレに行こうとしたら大切なものがなくなっていたと思い込まされる催眠

他にももっとハイレベルなところでは、男性二人が催眠術にかけられて、妊娠して赤ちゃんを産んだり、自分がカンガルーだと思い込んだ男性がジーンズにベイビーカンガルーのための食べ物を詰め込んだり、トイレに行こうとした男性が自分の大切なモノがなくなった、と騒いだりしてました



催眠術にかかってみたい
(一般の方のブログみたいです)

確かにそんな催眠術になら掛かってみたい方はいっぱいいると思いますw

乱入イラスト企画! 神月 光

一行キャラ設定 神月 光  悪徳会社でラーメンを売ろうとして女の子に変身してバニーガールをやらされる。

主演作品:がんばれ!新入社員神月光!~豆乳こんにゃくダイエットラーメン編~

イラスト企画

絵師:巴 サイトはこちら

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。

本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。

TS小説第57番 がんばれ!新入社員神月光!~豆乳こんにゃくダイエットラーメン編~

イラスト企画
イラスト:

「神月さん、部長がお呼びです」
受付兼庶務の洋子さん(19)の呼びかけに、ぼく、神月光は顔を上げる。
広報部長の河合亜美さんは20代後半を自称するナイスバディのお姉さんだ。
なかなかのやり手で、強引な手段で仕事を取ってきて、強引に売り込むと評判だ。
我が、あむぁいおかしカンパニーはおかしを作って売るのが本業だ。
おかしと言っても食べるものではない。
脳や精神に作用して、トロトロに融かしたり、滋養強壮に良かったり。
中毒性があって、とっても甘くって、ちょっぴり苦い。
そんなおかしの製造を目指しているのだ。
おかしの販売には宣伝が重要だ。
一度食べれば中毒になって、食べ続け無ければ生きていけない素敵なおかしを作ったとしても、先ずはそれを食べてもらわないと話しにならない。
そして、食べてもらう前に知ってもらわなければいけない。
だから、ウチの会社では伝統的に広報部の地位は強いんだって、亜美さんは言ってた。
伝統も何も新興企業なのだが。

ぼくは部長の部屋のドアをノックする。
「どうぞ」
一礼して中に入る。
中にいたのは部屋の主の広報部長の亜美さんと研究開発部長の田中さんだ。
亜美さんは大きな胸を張って、足を組んで椅子に座ってる。田中さんはしわくちゃの白衣を羽織って、汚れたメガネをいじっている。
「来たわね、神月くん。今度の仕事は重要よ」
亜美さんの声に身構える。
机の上にはラーメンが置かれている。
お昼ごはん?それとも、、、
「、、、ひょっとして、ターゲットはラーメンですか?」
「流石ね、神月くん。その通りよ。提携第一号は豆乳こんにゃくダイエットラーメンで決まりっ、よ」
「と、豆乳こんにゃくダイエットラーメン?ですか」
おかしの製造販売が軌道に乗った事で、弊社はさらなるターゲットを探した。
多分野への拡張や進出も一つの手段ではあるが、それは我々広報部の仕事ではない。
弊社の既存リソースである顧客基盤ネットワークを元に、他の事業者の製品を販売する橋渡しをする、と言うのが広報部のミッションなのだ。
その為にぼくは採用された。
「で、キミならどう売る?」
「えっとですねぇ」
部長の問いにどう答えるかでぼくの今後の出世とかストックオプションとかに影響する。ぼくは頭を高速で巡らす。
ダイエットか。
確かにこんにゃくはカロリーが無いからな。
「ダイエットしたいあなたに朗報!超低カロリーの奇跡のラーメンがここに降臨っ!、、、とかやるのは下策ですね。それでは当たり前すぎて売れません」
「ふん」
田中部長が鼻を鳴らす。
「弊社の顧客基盤は、ニッチで濃い客層が中心です。男の子が女の子に変身してしまうというファンタジーを好む層なのですから顧客基盤にマッチした戦略を取る必要があります。そもそも、インターネットを使用した宣伝は如何にあるべきかっ!大体、同じような宣伝をするのなら、優秀なコピーライターが作ったコピーをあちこちに貼り付ければいいのです。二流、三流の素人に宣伝させるのなど下の下ですっ!」
ぼくは熱弁を奮う。
正直言うと、豆乳こんにゃくダイエットラーメンの宣伝をやるとは思って無かったが、ウチがインターネットを使った宣伝をやる事は前から分かってた。だからある程度の筋は考えてたのだ。
伊達にMBAは出ていない。
そして、仕事で大切なのは中身では無い。
上司に与えた印象なのだ。
「こいつは出来る」とか、「切れるな」と印象を与えるかどうか。その為には、プレゼン力が重要なのだ。
自分のプランを良く見せる為に、他人のプランを落とすのは道義的には良くないが、、、ぼくの出世の為だからしょうがない。
「サイトの客層はそれぞれ違います。お客様がサイトに来る目的も違います。そのサイトの客層に合わせた宣伝こそが求められるのです。ウチの客層は必ずしも豆乳こんにゃくダイエットラーメンを売る対象としては好ましくありません」
まずは状況の分析が大事だ。
ぼくは良く知らないのだが、ウチの客層は男の子が変身して女の子になる話は好きなのだが、女装とはちょっと違うらしいのだ。そして、ホモとも、ニューハーフとも違うらしい。
そして、更によく分からないのが、女の子に変身してから男にやられるのが良いと言う一派と、女とやるのが良いと言う一派がいるらしいのだ。
、、、わからん。
その辺はまだ勉強中だ。
「ふむ。それで?」
「ですが、豆乳こんにゃくダイエットラーメンと言うのは新規性のある製品です。おそらくほとんどの人は食べたことが無い。味を想像するのも難しい。弊社の顧客基盤は、想像力と好奇心にかけては一般人に比べて旺盛なのではないか、とぼくは思います。そこを突けば今回のプロジェクトにも勝算が出てくるのではないでしょうか」
状況の掘り下げ。しゃぺっている内にだんだんアイデアがまとまってくる。
「あなたの知らない新たな快楽が待っています。しかも、ローリスク。なるほど悪くないプランね、神月くん」
亜美さんも乗ってきた。もう一押しだ。
こんにゃくラーメンの触感、味。それらを想像させ、好奇心を刺激してやるのです。更に、オタクは基本的にみんな太ってますし、運動が嫌いです。女の子に変身するストーリーの一典型は、それまで平凡だった主人公が女の子に変身するだけで急に回りからちやほやされ出すのです。即ち、努力無しに得られる幸運。運動しなくてもやせられるラーメンと近い部分もあるのです。そこも的確についてやる。そうすれば思わず、クリックしてですね」
「ふむふむ」
 部長もノリノリだ。これでぼくの査定も。えへへ。
「先ずは実際に自分で経験した方が良いですね。やっぱりそれが広報の基本ですし」
「おお!」
言ってるうちにぼくも気になってきた。一体どんな味なんだ。
ぼくは亜美さんの机の上のラーメンに手を伸ばす。
その時っ。
ぼくの接近に気付いた“それ”らは一斉に鎌首をもたげた。
「へ?」
一瞬の躊躇が命取り。
“それ”らは一斉にぼくの口めがけてジャンプした。
ぼくはあわてて口を手で覆う。
「あ、そのラーメンは今回の豆乳こんにゃくダイエットラーメンとはまったく関係の無い、ウチの新製品の女性変身ラーメンじゃから」
田中さんがのんびり言う。
き、聞いてねー!
あ、鼻。
鼻は駄目っ。
鼻の穴からラーメンがぼくの中に入ろうと殺到する。
「うわぁー」
思わず漏らした悲鳴。
その隙を逃さず、女性化ラーメンはぼくの中に次から次へとずるずる入っていく。
「ごくん」
ぼくは全ての女性化うどんを飲み干してしまった。
「な、なんでこんなものがここにっ!」
亜美さんは冷ややかにぼくを見る。
急に汗がだらだらと出る。
体が熱い。
ラーメンが血管を通って蚯蚓腫れを作りながら走り回る。
そして体のあちこちや脳に作用する。
なんだか変な気分。
く、苦しい。
ぼくはネクタイを外して、ワイシャツのボタンを外す。
胸がどんどんどんどん大きくなる。
ああああ。
そして、下半身も変化を。
お尻がおっきくなり、ぼくの大切なものが消える。
とほほー。
ぼくはすっかり全身可愛い女の子になってしまう。
内股でもじもじするぼく。
「ふむ。実験成功っと」
田中さんは何事も無かったようにノートに何やら書き込む。
「女の子に変身する事と豆乳こんにゃくダイエットラーメンの販促と、、、はて?」
亜美さんが冷ややかに突っ込む。
いや、これは事故なんですけど。
だいたいなんでそんな紛らわしくて危険なものがこんなとこにあるんだ!?
「だからですね」
「おおっ。流石は神月くん。これの事も知っていたのか!?」

ピンクバニーガール【コスチューム専門店【COS-JAPAN】】


コスチューム専門店【COS-JAPAN】

うわわわーんっ。
「いや、その」
「自分で経験する為に、女の子に変身、か。流石は我があむぁいおかしカンパニーの期待の新人広報部員。偉いわ、神月くん」
「え、えええええー」
「では、実際に着てみて顧客の想像力を刺激するようなキャッチフレーズを考えてくれたまえ」
「あ、あのっ。亜美さんが着てみてはどうでしょうか?」
必死の反撃。
「ん?ウチの顧客は男ばっかりだから、参考にならんだろう」
くうううー。
き、着るのか!?
これを?
ぼくが?
「いや、ぼくは男なので、、、」
「神月くん。広報部の人間が軽々しくウソを言ってはいけないな」
亜美さんの冷たい視線。
あう。
「す、すいません」
「私は愚図は嫌いだ」
うわぁーん。
ぼくは視線に負けて、着替え始める。
こ、こんなのはっ。
気にしなければなんて事は無いんだっ。
「で、どんな感じでそれは宣伝するね?」
「あ、えとですね。網タイツの感触が新鮮でっ。すね毛とか全部無くなってて。頼りなくって。でも、すべすべで。ハ、ハイレグの切れ込みがなんか、すごくって。もう、訳が分からなくってですねっ。と、とっても恥ずかしくって。見られててですねっ。あっ、ダメです。止めてください亜美さんっ。ダメですったら」
「神月くん、こう胸の谷間にラーメンを挟んで。『私を食べて』なんてキャッチコピーで勝負しましょう。そうしましょう」
「お、オヤジか、あんたはーっ!」
ついにぼくは切れる。
けど、その声は高くってまるっきり女の子の声で。
結局、ぼくは谷間にこんにゃくラーメンを挟んで、にっこり笑ってポーズした写真でコンテストに勝負を賭ける事になったのだ。

<おしまい>

このお話は勿論フィクションであり、女性化ラーメンと豆乳こんにゃくダイエットラーメンは全くの別物です。商品の購入に関しましては、リンク先の内容をよく確認してなさるようにお願いします。基本的に商品へのクレーム等はお受けできませんが、「豆乳こんにゃくダイエットラーメンを食べたが女の子にならなかった」と言う類のクレームはしょうがないので当方へお願いします。

2005年4月1日付けの作品ですが、巴ちゃんにイラストを描いてもらいました♪ちなみにラーメンは一つも売れませんでしたorz

男装ユニットの初アルバム。色んなバージョンがあります。

絆(初回盤A)(DVD付)絆(初回盤A)(DVD付)
(2009/09/23)
腐男塾

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絆(初回盤B)絆(初回盤B)
(2009/09/23)
腐男塾

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絆
(2009/09/23)
腐男塾

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ぼいトレ!

ごりぽんさんからのタレコミ情報です♪

「Not lesbian(のーれず)」「Not lesbian SECOND(のーれずせかんど)」の2話が女装ものですね。
全校生徒憧れのお嬢様は、実は父(かなりの権力者)の趣味で女装させられ女子高に通っていた男の子で、それが下級生の女の子にバレて……という内容です。
どちらかというとラブラブえっちぃ系(もちろん成人向けなのでエッチ主体ですが)なので、脅されて陵辱とか期待しないように。



ぼいトレ! (ホットミルクコミックス 304)ぼいトレ! (ホットミルクコミックス 304)
(2009/09/10)
PONPON

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今までの人類女体化計画は・・・

今までの人類女体化計画はことごとく失敗した。
だが、今度の計画は違うっ!!!

シグルイ 13

毎回買っています。山口先生は良いですよね。
→買って読んだのですが、千加さんがふたなりですかね。
第七十一景 虎殺 で、藤木が妖刀を抜くシーンで女の子に変身してしまう展開・・・は、オレの解釈違いですか、やっぱりw

シグルイ 13 (チャンピオンREDコミックス)シグルイ 13 (チャンピオンREDコミックス)
(2009/09/18)
南條 範夫

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TS売れ線速報!(9/14~9/20)

先週の順位

1位 モテない僕が謎の美人女医に「ギャル変身薬」を飲まされて 超美形でエロいギャルの身体を手に入れた!
2位 Baby,I LOVE YOU.
3位 アスカはいぶりっど 1

さてさて、今週の1位は!?
おっとこいつは前代未聞!!BLじゃないっすかw
桃色☆王子―胸の秘密はミルキーピンク (プラチナ文庫アリス)が1位を取った!これはオレも買わねば!
桃色☆王子―胸の秘密はミルキーピンク (プラチナ文庫アリス)桃色☆王子―胸の秘密はミルキーピンク (プラチナ文庫アリス)
(2009/05/11)
神香 うらら

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2位は先週の1位!モテない僕が謎の美人女医に「ギャル変身薬」を飲まされて 超美形でエロいギャルの身体を手に入れた! [DVD]
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(2009/09/05)
不明

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3位は!混戦だ!なんだかわかんない理由でホイホイさんのフィギュアとか入っちゃってます!
大島永遠作品集・とわRemix (IDコミックス DNAメディアコミックス)
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(2009/07/25)
大島 永遠

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Baby,I LOVE YOU. (ホットミルクコミックス 293)
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(2009/06/10)
いしだ雅治&はまだ金之介

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一撃殺虫!! ホイホイさん LEGACY ホイホイさん (1/1スケールプラスチックキット)
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(2009/09/19)
壽屋

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よけいなひと言ハンドブック

読了。
ビジネス書成分がちょっぴり入ったエッセイ。
創作的にはよけいなひと言のせいで女の子になってひどいめにあう展開にしたい。

よけいなひと言ハンドブックよけいなひと言ハンドブック
(2009/08/27)
大谷 由里子

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きゅーきゅーキュート!SS

黒媛が理刀で、理刀が黒媛!?黒媛の体になってしまって戸惑う理刀。次の時間は体育の授業で―(第2話) が入れ替わりですね。男女入れ替わりで主役男と脇役女の子、かな。

きゅーきゅーキュート!SS (MF文庫J)きゅーきゅーキュート!SS (MF文庫J)
(2009/08/21)
野島 けんじ

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少年巫子姫と龍の守り人

身代わり女装モノ。見たところBL系。

内容紹介
「身代わりとして巫子姫になってください」
時は大正時代。忌むべき者として孤島の牢獄に閉じ込められていた少年・依月のもとに、ある日帝都から使者が来る。
その黒ずくめの凛々しい青年は、八神家の『巫子姫』に仕える守り人・九鬼龍牙。彼は妖魔に襲われ意識がない依月の双子の姉・美月の身代わりになってほしいと告げる。
自分を救い出し必要としてくれる九鬼を信じて、依月は巫子姫の身代わりとなる決意をするが――!?

少年巫子姫と龍の守り人 (一迅社文庫 アイリス か 1-2) (一迅社文庫アイリス)少年巫子姫と龍の守り人 (一迅社文庫 アイリス か 1-2) (一迅社文庫アイリス)
(2009/09/19)
華藤 えれな

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おっ、 おんなの子あつかいするな~っ!!(6)

作.isakoさん

(2)

 月曜日、いつものように途中でソラとココロが合流するので3人で教室に入った。ソラからは兄さんの話は出ないのでどうやら約束は守られたようだ。
 席替えは最初のLHR(ロングホームルーム)に行われた。幸いココロが怒り出す結果にはならずに済んだ。俺は窓際の後ろから2番目、前がココロで後ろがソラだ。どのくらいの確率で起こるのかは知らないが、偶然とは恐ろしいものである。
 青木とは昔話を少しした後は挨拶する程度だ。号外で騒がれたので話しにくいのもある。しかし俺にどんな顔で話せと言うのだ。結果的に男の子を好きになったわけじゃないと言うのはまあ良い。しかしあの時の俺は相手を男の子と信じきっていた。そして自分を女の子だと。一方青木はちゃんと自分を女と自覚していたそうである。楓に言ったら『そんな間抜けはあんたくらいよ』とからかわれた。女らしくしていたらアレは消えるものだと言ったのは楓なんだぞ。しかしよくよく思い返してみれば小さい頃からおてんばで有名だった楓についていないのは変だった。結局騙された俺が馬鹿だってことらしい。

 チャイムが鳴り担任の掘ったが元気良く入ってきた。今はいいが夏になったらさぞ暑苦しい存在になるだろう。ぼうっと聞いていると妙なことを言い出した。
「以上のようなわけで高等部は6,7月にプールが使えない。だからと言ってわが校伝統の水泳実習をやめるわけにはいかないので来週から開始することになる。安心しろ温水プールだ」
歓声と悲鳴の両方があがる。人それぞれの思いがあるに違いない。俺? 俺は全部欠席で。
「なお欠席は認めない。学校医の許可のない者はな」
「ぎゃ~!」

 水泳の授業も気になるが、その日の俺には片づけておかねばならぬ案件があった。健康診断だ。先週あった健康診断の本番を俺は欠席せざるを得なかった。内科検診をごまかすのはまず無理だし、半裸の女子の中で冷静さを保つのは不可能だ。この6年間、男らしくをもっとうに生きてきた俺の精神は男の中の男なのさ。
 それで今日は早退して校医の医院にいって診察してもらうってわけ。胸囲や体重も測定してくれるという情報は楓が調べてくれた。学校では服を脱がなくて済む身長や座高だけをあらかじめ測ってある。
 一度家に帰り制服を着替えて母さんに車で医院まで乗せてもらった。健康診断の用紙と一応診察券を窓口に提出すると待つほどもなく中に通される。都合のいいことに今年はもう風邪もインフルエンザも流行っていないので待合に人はいなかった。
 中年の女性看護師は手際よく俺の身長や体重を測り書類に記載する。
「さてと以上で終わり。先生の前に座って」
「はい」
初老の品のいいドクターはもう聴診器をつけている。診察も1,2分で終った。
「服を着なさい」
「はい」
ドクターは電卓を叩いている。
「えーっとBMIで17.5か、痩せすぎだぞ。もう少し太らんといかんな」
「はあ」
「何かスポーツをやってるかね」
「以前はバスケットを高校では野球をする予定です」
「そうか。男の子は元気でないといかんぞ」
 俺は男の服装で受診していた。ここは何度か受診したこともあり、診察券も持っている。学校書類の女に○は入学書類と同じでクリアできるとふんだのだ。万一ばれても女子生徒全員の前で男とばれるよりずっと気が楽だ。
「あの~水泳に問題ないですか?」
「大丈夫だ。私が太鼓判を押そう」
「やれやれ」
「なんだって?」
「なんでもありません」

 退出時も待合に人影はなく幸運に感謝しながら駐車場で待つ母さんの車に飛び乗った。
「無事終了」
「どうだった」
「先生は気がつかなかったよ」
「学校へ戻る?」
「この恰好では行けないって。着替えてると授業には中途半端な時間になるから部活の3時までに戻ればいいよ」
「じゃあこのまま買い物行って良いかしら」
「戻ってよ。近所でこの姿を見られたくないし」
「あらあら、男装が恥ずかしいのかしら」
「男に男装って言わないだろう」
「そうかしら。紅葉ちゃんにはぴったりな気もするけど」
なんてこと言うんだこの母親は。
「ひどいなあ」
「冗談よ」
どうだか。
「今日はたくさん買うから荷物持ちも欲しいし……この間できた校外のモールならいいかしら」
家の近所で母さんとうろつくのは問題だけど車で20分ほどかかるあの店なら問題ないだろう。それに甘井の生徒はまだ授業中だ。
「ああ、それなら」

 モールに向かう途中で母さんに水泳実習のことを相談した。
「インナーを工夫すれば、スタイル抜群とはいかないけれど、女の子に見えると思うわ。ただし」
「ただし?」
「紅葉ちゃんが欲望を膨らませなければね」
「欲望って」
「おちんちん」
「母さんは上品な人と信じていたのに」
「ひどいわ。紅葉ちゃんの質問に答えただけじゃない」
珍しく怒った顔で俺をにらみつけ……あっ!。
「母さん、前見て、それにハンドル!」

 鼻歌まじりの母さんが何とか無事にモールの駐車場に車を止めたときにはほっとした。
 母さんはご機嫌全開だ。どうして女性はこうも買い物が好きなんだろう。
「まず水着を見ましょうよ」
「え?」
「姉さんとくる?」
確かに女性水着のコーナーに1人で入る勇気はない。
「お願いします」
母さんは恥ずかしがる俺にお構いなく商品を選び始めた。時間が良かったのか他に客がいないのが救いだ。もっともその分店員の視線が熱い。
 母さんはインナーから吟味した。
「これでいいかしらね。下は男物と2枚重ねよ。締め付けすぎるかしら……はいてみる?」
「無理だよ。それに声が大きいって」
「この距離なら聞こえないわよ。それより甘井じゃ水着に指定はないんでしょう」
「濃い青、紺、または黒で肌の露出の少ないものだったよ」
「じゃあこれでどうかしら」
「なるほど」
母さんが選んだのはツーピース構造で上下の間に隙間ができないものだ。下は2分丈のスパッツになっていた。
 これ終わりと思ったのは俺だけでまだ吟味は続いている。
「これで良いと思うけど」
「私のも買おうと思って」
やれやれ。

 水着に時間をかけすぎたので食品は手分けして買うことになった。野球部の初日なので3時には戻りたい。
 メモを片手に俺が買うのは目利きのいらない調味料や冷凍食品などだ。レジカウンターを出てもまだ母さんはいないのでドライアイスをつめて荷物を車に置いてくることにした。歩きながら1階の中央広場の噴水前で待つとメールしておく。
 戻っても母さんはいないのでベンチに腰かけ大スクリーンを見上げた。テレビのワイドショーらしい番組が映っている。テレビはほとんど見ないのでキャスターの名は知らない。
『ところで例のおか市の事件の続報なんですが』
おか市と言うのは俺が住んでるここのことなので周りで休憩していた人の多くが視線をスクリーンに向けた。
『空飛ぶ超人の話ですか? 僕はちょっとそういう話は……』
『はい。これは先週末の話だったわけですが、目撃者が多かったのにこれまで写真が一枚なかったのですね』
『今の時代、大きな事件なら携帯で皆さん写されるでしょう? まあ、それが問題になることもあるわけですけど』
『それなんですけど、あの時皆さんはシャッターを押したと言われていた訳で』
『でも映っていなかった。一枚も。そりゃ集団妄想、いわゆる集団ヒステリーじゃなかったの?』
『それが後でよくよく調べてみると写真が撮れていなかっただけでなく、携帯やデジカメのメモリーの記録も消えていたことがわかったんですよ!』
『ちょっと待ってくださいよ。最初に写真があるって言いませんでした?』
『ええ、これは偶然フィルムカメラを持っていた方が撮ったものなのです』
『へぇ~、さっそくみせて頂戴』
『はい、これなんですけど』
『確かにこれは合成じゃないわな』
『この歩道に倒れているのが、顔はお見せできませんけど、助けられた少女。中央に映っているバスにひかれそうになったんですね。そして少しピンボケになっていますけど、バスの屋根のはるか上を飛び越えているのが』
『これも女の子だねえ』
『はい。現代に現れたスーパーガールってわけです』
『おしいなあ。顔がみえないじゃない。他にないの?』
『シャッターチャンスは一度しかなかったようです。撮られた方が近寄った時にはもう連れ去られていたようで』
『連れ去られるって?』
『はい、彼女には仲間がいるようなんです』
『ふーん。カメラさん写真アップにしてちょうだいね。お心あたりの方はぜひ当番組に連絡下さい』
 ピンボケでも着ている服ははっきりわかった。先週の土曜日に俺が着ていたものと瓜二つ……あれは俺だぞ!

 そのとき母さんがやってきた。
「ごめんね、待たせちゃったかな」
そう言いながら周りの視線に気づきスクリーンを見上げる。
「あら? あれは」
まずい。俺に気付いたか。
「ちょっと、かあさん!」
「時をかける少女だったっけ?」
さすが母さんだ。なんともないぜ。
「違うって。この町で起きた事件」
「ああ、テレビで騒いでる?」
お母様が今御覧になって見えるのがそのテレビジョンの番組なんですよ。
「荷物もつよ」
「ありがとう。持つべき者は息子ね」
「嬉しいな」
「でも普段は娘のほうがいいわ」
やれやれ。

 家に着いたときまだ時間に余裕があったので水着を試しておくことにした。母さんが股間をじっと観察するので恥ずかしいったらない。でも楓のいないうちに済ませておかないととんでもない目にあいそうなので我慢した。
 結果は母さんの言う通りで大人しくしててくれればごまかせそうだ。母さんからのOKも出たので制服に着替えて学校まで送ってもらった。

 健康診断の結果を保健室に提出してから新野球部にむかった。部室はもう旧校舎の空き部屋ではなく運動系の部室棟2階にある。2階は女子部ばかりなので少し緊張した。女性の中に混じって行動していたのは小学校三年生までなのだから、当たり前だろう? 
 真新しい名札のかかったドアを開けると狙い通り一番乗りだ。さっそく体操服に着替えた。次にきたのはソラとココロ、反発しあっている所があるのになぜ一緒に行動しているのかは謎だ。
 2人が豪快に脱ぎ始めたので慌てドアに向かった。
「待っててくれないの、紅葉」
と下着姿のココロが後ろから声をかけてくる。それを振り切り、
「先にアップ始めてるから」と飛び出した。
見たくないといえば嘘になる。しかしまもなく楓も来るはずだ。女と思われていることを利用して卑怯な振る舞いをしたとわかれば三角絞めの洗礼を受ける羽目になる。
 部室棟の前の広場にいると1階の男どもの視線が痛い。俺が男と知れたら袋叩きなんだろうなあ。しばらくしてスタイル抜群のソラとココロが降りて来ると目の保養係としての俺の役目は終了した。それにしても2人は男の目を気にしない。たまに睨み返すココロの目はまるでゴミを見るようだ。
 柔軟のペアの組み方でもめているうちに他のメンバーもそろった。もちろん一瀬さんも。集まったのは1年生は私たち3人、2年生は一瀬さん、楓、それに柔道部の2人とはじめて見る3人の計10人だ。今日は事情で2人欠席だから現状新野休部は12名ということになる。女子野球部という名でないのは男子の入部を拒否しないという建て前と、うちを女子野球部とするならもとの野球部を男子野球部にという提案を野球部が蹴ったためである。
 準備運動の後軽いキャッチボールが始まった。2年生は中等部でソフトボールをしていた人が多いらしくさまになってる。少し前から硬球になれる練習さえしていたらしい。
 野球初心者の1年生3人が練習している所へ一瀬さんと楓が寄って来た。
「なかなか上手ね。3人とも」
「紅葉たちは土曜に練習したんだって。ところで玲子」
「なにかしら」
「着替えているとき練習試合を早く組みたいって言ってたけどあれはどうするの。えーピッチャーとキャッチャーを」
「バッテリーね。硬式から引き抜くのも悪いし、軟式は人数ぎりぎりだそうだから……中学のときの経験者で他のクラブに所属している人を捜そうと思うの」
「なるほどね。でも今のメンバーで調達できればもっと簡単でしょう」
「そりゃそうだけど。さすがに投手は一朝一夕というわけにはいかないと思うわよ」
「紅葉できないの?」
「えぇ?」
突然振られて手元が狂いあらぬほうへボールは飛んでいく。しかしソラは嬉しそうな顔をして難なく取っていた。
「ノーコンね」
そういう単語はちゃんと知っているんだからなあ。
「姉さんが突然話しかけてきたからです」
「言い訳しないの。それより返事は?」
楓の目には男の子なら野球くらいできるでしょうとある。しかし残念ながら俺の場合多少なりともできるのはサッカーとバスケの2つだ。
「無理だよ。そのーどのくらいスピード出れば通用するのかな」
「あなた、そんなことも知らないの? それでどのくらいなの、玲子」
あのねー。
「そうねー、コントロールがあれば120km/hで地区大会レベルならエースだと思うわ」
「160いるのかと思ってたわ」
「それだと大リーグでエースね」
2人の漫才が終わるのを待っている間にソラを呼ぶ。当然のようにココロも側にきた。
「投げてみない、ソラ」
「私、120kmなの?」
「練習したバッティングセンターの早いほうよ」
「それなら」
「キャッチャーは、わた」
「キャッチャーに立候補します」
とココロ。
「じゃあまかせる」
 推薦する以上俺がやらねばと思っていたが、野球は得意じゃないので渡りに船だ。なぜだか2人はにらみ合っている。よくあることなので、アホなつっこみを入れている楓と律儀に答えている一瀬さんの側に戻った。
「じゃあ玲子、魔球はないの?」
おいおい。
「ナックルボールがそう呼ばれることがあるわ」
さすがです、一瀬さん。俺は付け焼き刃で知識だけは仕入れていた。
「紅葉、ナックルはどう?」
「どうって言われても……」
普通そんなもの投げられっこないだろう。楓なら説明を聞いただけで可能かもしれないけど。
「それよりソラならピッチャーできると思います」
ジャージの裾が引かれた。
「キャッチャーはココロが」
「わかったわ。でも試しに一応全員に投げてもらいましょう。ピッチャー1人というわけにもいかないの。女子の大会はチーム数が少ないから一日に2試合することもあるしね」
詳しくないので断言できないけど、一瀬さんが集めたメンバーは相当レベルが高い。少なくとも一瀬さんと楓、それにソラとココロは俺より上手だ。男として情けない。練習すべきだろうな。
 結果はエースがソラ、控えはコントロールで一瀬さん、スピードで馬鹿力の楓の2人。キャッチャーはココロ、控え兼ブルペン捕手はソラのご使命で俺になった。なんだかかっこよくないなあ。まあ一瀬さんの球も捕球できるらしいからよしとするか。

 予約した時間になったのでグランドに移動して練習を開始する。予定では筋トレのはずの野球部の何人かは残って金網の向こうから見ていた。偵察であるわけもなく女子見物の冷やかしなのだろう。

 硬球なので捕手は当然防具はフル装備だ。一瀬さんの調べた所では女子の参加を認める大会(主にジュニア)の捕手防具の規定に男女差がないらしい。というより登録選手全員セーフティーカップ着用と決まっているそうだ。つければ安全というメリットより、つけると動き難いというデメリットを平均化させるためかのしれない。練習試合を男子チームに申し込んだとき防具は同じものをと言われる可能性もあるから、とにかく慣れておきなさいという一瀬さんの提案を他の部員のくすくす笑いの中俺は喜んで受け入れた。球を潰されては楓の思うままだ。

 他のメンバーが守備練習をする間、俺はソラの投球練習に付き合うことになった。教えられたとおり遠投で肩を温めてからブルペンに向かう。冷やかし達の側である。笑い声で俺たちを向かえた男どもも俺が座って受け始めると黙ってしまう。120kmはそれなりに早いし、コントロールが良いのもすぐわかったのだろう。
 20球ほど投げた所で俺は妙なことに気付いた。今日はトータル40と言われているので確かめるなら急がないと。
 側まで行くと相変わらずソラは嬉しそうだ。知り合ってわずかなのにとても身近に感じる不思議な少女……裾を引かれた気がしたので頭の中で言い直した。ソラとココロと。
「球速がそろいすぎ……いや、落ちないね」
「120km」
「えっ? あ……120で投げてるんだ」
ソラはにっこりうなずいた。

 ソラには、ソラとココロには妙なところがある。電波の話じゃない。もちろんそっちもアンテナマークは3本立ったままだけど。
 一つは楓も驚く運動神経の持ち主なのにほとんどスポーツを知らないこと。ただ楓によれば格闘技に関しては多少心得はあるらしい。
 もう一つは先週の体育で行われた体力測定。2人は常にトップから5%ほど下、平均値±2標準偏差あたりにつけていた。なぜそんな記録とわかるかだって? 俺も下調べをしたからだ。楓ほどの天才じゃないにしても足は結構速い。女子の新記録でもだせば怪しまれる可能性が高い。かといって2人は女装しているわけじゃない。え~っと理由は聞くな。ともかく女装なら楓が見破っている。とにかく記録がほぼぴたりなんだ。

「魔球」
「ナックルのこと?」
「うん」
一夜漬けで知識はある。
「握りはいろいろあるらしいんだけど、えーっと親指と小指ではさんで3本をこんな感じでボールに突き立てる感じ。縫い目の使い方は人それぞれだって。結果、ボールはほとんど回転しないので不安定な動きをする。まあ風まかせってことかな?」
「風?」
なんだか気に入ったらしい。
「うん。投げてみる?」
ソラがうなずいたので元の位置に戻り構える。握りが特殊なのに結構さまになるフォームでソラは投げた。え? 120km/hなのか。
 突然変化したボールが下腹部直撃と思った瞬間ミットに収まった。俺だけでなく野次馬たちも呆然としている。普通ナックルの変化がわかるのはバッターとキャッチャーくらいのはずなのに。
 身の危険を感じたので再びソラの側に駆け寄った。
「私には捕球むりみたい」
「ココロなら」
「たぶんね。残りは直球でね」
「はい」

俺は何とか怪我をせずにこの日の練習を終えた。

<つづく>

トラブル・カルテット(まんだ林檎)

トラブルカルテット表紙


作者まんだ林檎さんはどっちかって言うとBL系の作家さんです。

表題作、トラブルカルテットはどっからみても女の子の男が女の子四人組の一人です。これは非該当女装のみ。表紙画像からどれが男の子か当ててくださいませ。

該当作デルタエンド、が大変に良い!これ一本で「是非買うべき」にランキング。主人公男は気がつけば女になって夜の街を走っていた。彼は親友洋二の彼女マリコになっていたのだ。彼の好みの女の子のマリコに。いつも学校で洋二に聞かされていた彼女の痴態。それを彼自身が経験する事にっ……て、すごく良い設定&展開ですから是非、本編をゲットするように!

短編なんで当たり前に短いのですけど、密度が濃くって堪能できます。エロの導入部分を引用しておきますが、このあとも美味しいので画風に嫌悪感が無ければ普通に抜けるかと。

他にも女装モノ短編1。

デルタエンド


(2006.6.24 初出)

おりりん☆レボリューション

カワイイ折原さんが男装の趣味がバレて脱がされてしまう女の子、を演じているらしい。
参考:http://www.oricon.co.jp/news/deview/69122/

折原みか おりりん☆レボリューション [DVD]折原みか おりりん☆レボリューション [DVD]
(2009/08/26)
折原みか

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シャングリラ(高松誠人)

質 上の中 量:短編16P エロ:エロエロ 好み:かなり良い

基本的に女の子が攻めのコミックが多くて良い感じです。
該当作はChangeling 16Pの短編ですが、全編エロで、なおかつ女の子が攻めてくれるので大変良いです。
これだけでもう、「是非買うべし」です。

……ちょっとだけ引用しときます。

「かなちゃんっ!? ほどいてようッ!!」
「だーめ!! あたしの体なんだから何してもいいでしょ!!」




ねっ!?

なおちなみに姫君遊戯は女装調教モノでこれもなかなか。

Shangrila Shangrila
高松 誠人 (2000/02)
ワニマガジン社

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(初出:2006.6.26)

おっ、 おんなの子あつかいするな~っ!!(5)

作.isakoさん

第2章 神も歩けば恋に落ちる

 はるか昔、地球の生命に初めて自我が芽生えたとき、2つのエネルギー生命体がそのきらめきに引き寄せられてやってきた。
 異なる宇宙で生まれた2体は一見そっくりであるが、性質は逆であり陰と陽に例えることができた。そして自我に触れた2体に意識が芽生え、互いの存在に気づくことになる。
 弱肉強食の宇宙で生き抜いてきた2体がきらめく存在を独占しようと相手を倒すため周囲のエネルギーを吸収したとき、惑星上は厳しい氷河期をむかえ2体は大切なきらめきが激減していくのを感じた。それ以降2体は敵対することを避け、あるときは協力しあるときは反発しながらも人類を援助し共に成長を続けた。
 人が言語を生み出し豊かな感情を持つようになると2体も感応して徐々に人間臭くなる。そして知恵をつけ意志の力で肉体を持つことさえ可能になった。人は彼らが特殊な力を持った存在と知ると、神と崇めたり悪魔と恐れたり時には妖怪として忌み嫌うこともある。
 善神としての陽の存在は光明神アフラ・マズダーであり、雷神ゼウスであり、太陽神である。また悪神としての名はルシファー、アスラなどであり雷神という妖怪扱いされることもあった。
 陰の存在はブラフマー、ダヌ、ブーリ、イシュタル、月神と尊ばれ、アンリ・マユ、アスタロートと恐れられた。妖怪としての名は風神などがある。
 陽と陰のイメージから陽を男神、陰を女神とする神話が多いが、実際には彼らは共に雄性であった。もちろん意志の力で受肉するので女体で降臨することも可能である。
 また地球への影響を避けるためエネルギーの吸収に時間をかけるので100年ほど活動するとその数倍の封印期間を必要とした。

(1)

 入学式、歓迎会そして始業当日と波乱万丈の幕開けとなった俺の高校生活も最初の週末近くには少し落ち着いた。ただどこへ行っても視線を感じるのは止むを得ない。学園新聞で号外まで出たし、なんと言っても神名楓の妹なのだ。
 柔道選手としての強さと国際大会への参加拒否で注目を集める楓が家族のことを公開したことはない。それは徹底的な拒否なのでマスコミも(調査はしたかもしれないが)報道しなかった。ただ妹がいることはずいぶん以前から口にしている。楓と親しい北沢さんや一瀬さんが最初から興味を持ってくれたのにはそういう理由もある。

 その日、土曜の午前中はソラとココロの野球に付き合った。週明けから始まるはずの新野球部の練習に備えるためだ。キャッチボールをしてバッティングセンターに案内するくらいなら俺でもできる。楓が誉めるだけあって2人は非凡な運動能力を持っており、半日で俺と代わらぬ技量を身につけた。もっとも俺は本格的に野球をしたことのない素人なんだけどね。

 昼には2人と別れ家に帰り食事のあと着替えを持って家を出た。着替えは母さんに頼んで出してもらった男物である。もみじの振りをしている間は油断なく女装を続けろというのが楓のアドバイスであり俺も同意して男物は母さんに預けた。何しろ甘井学園は家から近いので、どんなことでばれるかもしれない。それなのに今日男子の服装を準備したのは中学時代の友人宮崎から相談したいことがあるとメールがあったからだ。宮崎はクラブのチームメイトで長身の頼れるセンターだった。今はそのまま元の学校の高等部に進んでいる。
 私鉄で20分ほど移動し駅前のホテルの女子トイレでジーパンとトレーナーに着替え、2階の男子トイレで髪型を替えれば男らしい高校生の出来上がりである。駅のコインロッカーに着替えを入れて待ち合わせ場所に行くと奴はもう来ていた。
 座って話そうとハンバーガー屋を選んだ。相談事は話しにくそうなので近況を少し話し合う。俺の方は無論作り話だ。ここからさらに別の私鉄に乗り換えて30分の学校の生徒に成りすます。
「すると紅葉、バスケはしていないのか?」
「行きたい大学があるからな。俺の成績じゃ両立は無理。進学してから同好会で楽しめればいいよ」
「ふーん。でもたまにならどうだ。このあたりの草リーグに参加しているチームを知ってるぜ」
「面白そうだけど……それが今日の相談かい?」
「いや、そうじゃないんだな」
そういうと思い出したようにチーズバーガーを口に入れ食べ始めた。ざっくばらんな宮崎でも話しにくいことがあるらしい。俺はコーラしか頼まなかったのでストローを吸った。
 宮崎がチーズバーガーとポテトを食べつくしストローがずるずる音をたて逃げ場をなくしたところでもう一度聞く。
「それで相談って?」
「おまえが一緒に高校に進まなかったのを皆不思議がってるぞ」
どうも彼の悩み事とは迷路を抜けないと会えないらしい。
「今さら謝っても遅いだろうけど言いづらくてさ」
「学内ならいつでも会えるとお前に大事なことをいえなかった者もいる」
「遠慮なく言ってくれ。確かに悪いのは俺だ」
「いや俺じゃないんだよなあ。俺からはまた一緒にバスケしたいってくらいさ」
「さっきのチームのこと考えておくよ。それで誰なんだ」
「大山さんって覚えているか」
「大山香、お前が好きだった子だろう」
「あ、いや、よく覚えてるな」
「まだ4月に入って2週間だぞ。忘れるようじゃ病気だ」
「そりゃそうだな。で、中学時代大山さんは神名が気になっていたそうだ」
「ちょっと待ってくれ。お前はそういわれて自分の好きな人と俺のデートの橋渡し役をかってでたのか?」
「いや高校入ってすぐコクった」
「おお! それで」
「一応OKだった」
「一応って?」
「だから中学時代お前のことが気になっていたって話題が出たのさ」
「俺のことは気にするな。確かにお前が好きになっただけあって大山香は可愛いと思う。でもしょせん俺とは縁がなかったってことさ。遠慮する必要などない」
「二枚目のお前に遠慮なんかしないよ」
女顔のことはあまり触れたくない。
「男らしい顔の宮崎の方が好かれるさ――おい、俺に言われて顔を赤らめるな。気色悪い」
「す、すまん」
「それだけなら今日は」
「まて話はこれからだ」
やっと本論らしかった。
「それで?」
「俺に一つ年下の妹がいたのをおぼえているか?」
「近くで会ったことはないけど試合の時よく応援に来てくれていたよな」
「うん。あれもお前が好きらしい」
「そういわれても。それに本人が言うと厚かましいけどそれはファンじゃないのかな。第一妹さんは元々学校が違ったろう」
「それでも俺と同じチームなら応援に来れば会えたわけだ」
「俺にどうして欲しいんだ」
「一度でいいから妹とデートしてやってくれ」
「うーん」
「友情に免じて」
「2人きりでか」
「お前を信じているけど俺も行く」
「お目付け付き?」
「そうじゃなくって大山さんも来るからダブルデートさ。それに大山さんもお前と話したいかもな」
「うーん」
「どうだ?」
いろいろ疑問もあるけれど友人である宮崎の頼みを無下に断ることはできない。
「とにかく返事はしばらく待ってくれ」
「それって」
「入学したててお互い忙しいだろう」
「そういうことか。日は調節してみよう。場合によってはゴールデンウィークでもいいかな」
「たぶんな」


 来た時の逆で女装に戻った。髪をいじっただけで女性トイレに入っても何の不信感も持たれないのは男としてどうかとも思う。まあ悲鳴をあげられたらもっと困るのだが。
 ロビーでソラらしい人影を見たような気がしたので追いかけた。大きな柱を回ったところでぶつかりそうになる。相手は長身の男性で全くの人違いだった。彼は俺の勢いに驚いて飛び退る。
「申し訳ありません。ごめんなさい」
相手は長髪で瞳の色が薄い。が、外人かなあ。え~っと。
“Sorry, I mistook you for my frend. ”
“That's all right.”「君の友人に僕ほどの男がいるとは……会ってみたいね」
日本語が話せるのには安心したけどキザすぎて受け入れられないぞ。それにしても誰かに似ている。そうだ! こっちの方がずっと物静かだけどココロの親戚のジンとか言う賑やかな男を思い出させる。
「おどかしてすみませんでした。失礼します」
足早に立ち去ろうとすると追ってきた。
「袖振り合うも多生の縁って言うだろう」
なんだか古いぞ。明治生まれか、それとも日本語を習った外国人なのか
 俺が立ち止まると今度は彼がぶつかりそうになる。俺たちはホテルのエントランスを出て歩道の端に立っていた。
「これは失礼」
「何か御用なのですか?」
「おやおや、女性にこれほどつれなくされたのは初めてだなあ」
確かにもてそうな男だ。実際道行く女性の何割かは歩みを止めて彼を見ていた。
「用がないなら」
彼は妹の住まいを訪ねてきたのだが、この町が初めてで良くわからないと言うようなことを話し始める。しかし俺の注意は彼の後ろの方で行われている寸劇に向いていた。男女3人のグループの1人が先の帰るらしく手を振って他の2人から離れていく。帰り始めた少女が知り合いというわけではない。なんだかどこかで見た場面なのだ。
 デジャヴじゃなく――そうだ映画の一場面だ。たしか事故にあう飛行機に偶然搭乗せずに助かった高校生たちが、そのとき死すべき運命にあった存在として次々死んでいく……そのなかで歩道から踏み出したとたんバスに。
 おい、まさか、冗談だろう!
 それ以上考えずにダッシュしていた。あとで考えれば奇妙なことだ。俺は別に英雄思考もない平凡な人間なのだから。ただ路線バスの速度はそう早くない。映画の悲劇は防げるだろう。別れを告げた少女はいきなり振り向くと車道に飛び出し、バスはブレーキをかけ、少女の友人は悲鳴をあげた。駆け寄ったところで少女を歩道に突き飛ばし、その反動を利用して反対側に逃げる。不運だったのは急ブレーキをかけているバスを追い越そうという間抜けなドライバーがいたことだ。バスを避けたはずの俺は自分の体が宙高く舞うのをぼんやりと感じていた。ただ痛みはかんじない。歩道の植え込みの花の上に落ちたときも。
 一番先に駆け寄ってきたのは例の迷惑男だが、少しでも知った顔が来てくれたのは嬉しかった。
「大丈夫かい?」
「たぶん。怪我していないかしら」
血が出ているなら自分で見たくない。
「僕の見るところ軽い打撲さえないと思うよ。でも誰かが救急車を呼んでくれたようだから」
病院はまずい。男だということは簡単にわかるだろうし、姉がとんで来れば有名な神名楓の妹が男、あ、いや、弟が女装癖とばれて大スキャンダルになる。
 起き上がろうとしたけど力が入らない。男は俺が立ち上がろうとしたのに気付いた。
「ショックでいわゆる腰が抜けた状態だと思うよ」
嫌な野郎だが、今はこいつに頼むしかない。
「人目のないところまで運んでくださいませんか」
「心得た」
どうも侍の生まれらしい。

 男は俺を軽々と抱き上げる。男としては軽いのは確かだが、なんだか情けない。周りの人の『怪我人を動かすな』とか『救急車を待て』という叫びを無視して男は駆け出した。意見が正しいのは認めるけど俺には楓のスキャンダルの方が大問題だ。実力で阻止しようと動いた人も少数いたが、男は上手く避けて風のように走る。安心して目を閉じた所で少し寝てしまった。

 目を覚ますと小さな公園のベンチに腰かけていた。体を誰かが支え……うげぇーき゛も゛ち゛わるい。俺は例の男に肩を抱かれた形で座っていた。
 俺の体の震えに気付いたのだろう。男は腕を放した。
「お目覚めかな。これ荷物」
紳士的な態度に噛み付くわけにもいかない。
「あ、ありがとうございます」
それにしてもあの混乱の中で俺の荷物を持ってくるとは。たしか荷物は放り出して少女のほうに駆け寄ったからその時点から持っていたことになる。それにわずかな時間だとは思うけど少し寝た。中身は知られただろう。交通事故にあった人が眠ってしまえば頭部損傷の危険がある。そのうえ俺の願いを聞いて怪我人を群衆の中から連れ去ったのだ。どこの誰かを調べるのは当然と思えた。
「どうやら嫌われたかな」
「そんなこと……」
「別にいいさ。女性に嫌われることはめったにないんだけどね」
嫌味か? 男と知っての発言なのか。
「とても感謝していますから」
「信じるよ。じゃあ僕のお願いも」
「え!」
俺は思わず胸元を押さえた。
「いやいや変な話じゃないって。ほら事件の前にお願いした」
「え?」
「忘れた? それとも聞いていなかったりして」
なんだったっけ。そうだ!
「妹さんのことでした?」
「あたり! これが住所なんだけど」
「ここならわかると思います」
俺のうちの近所だ。
「案内をお願いできるかな」
男ということがばれてない可能性もあるので俺はこう言った。
「今回の事件を2人だけの秘密にしてくれるなら」
「2人だけの秘密なら大歓迎ですよ」
「ありがとう」
きざな奴。

 男が俺を運んできたのは最寄の駅の裏にある小公園だった。通りに出るとすぐ位置関係はわかる。女装したまま男と並んで歩くと自分が本物の女のような気がしてきて嫌な気分だ。かといって縦列で移動するのは可笑しすぎるだろう。というか喧嘩中の恋人同士に見えたりして……ぶるぶる。
「どうされました。寒いのですか。何なら上着を」
俺が男と知っているならこれっていじめに近いぞ。
「け、け、結構です」
「愉快な子だ」
「普通です」
ぷりぷりしている俺を男は気にせずにこにこと話し続けた。
 正直に言おう。彼の話は上手い。おそらく女あしらいも。俺は対一瀬作戦に備えて心の中に情報を刻み込んだ。

 駅から帰宅する道筋とは離れるが、大して遠回りにならないので俺は近くまで送っていくことにする。まあ今日は俺の方が恩を感じるべきだろうからな。
「えーっとこの住所だとあの角に見えるマンション……あれ?」
「どうされました」
「いや知り合いも住んでいるので」
「妹はメゾン光琳の402号」
「ソラのお兄さん?」
「兄の様なものです」
「どういう意味?」
「鏡の裏表というか」
「それって全然違う」
「あーっと互いが鏡像といえばいいですか」
「双子なの?」
「えーっとそう言ってもいいのかなあ」
「ねえ、今日のことソラには絶対内緒だからね」
「でもあなたがお友だちなら」
「絶対絶対絶対」
「まあこんな可愛い人に言われるなら」
「じゃあ」
「一度だけのデートで手を打ちましょう」
最悪だ!

<つづく>

1000万ヒット記念作品 神魔大戦ラグナゲドン3(25-ラスト) <18禁>

ラグナゲドンの一話はこちら

ラグナ3はこちらから


ラグナゲドン3 25

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あとがき

一週間に1枚というスローペースながらもここまでお付き合いいただいた方々、誠に有難うございました。 拍手&アンケートへの投票をしてくださった方にも大感謝です。 大変励みになりました。
本当はもっと長く壮大(?)な流れがあむぁいさんの中にあったようなのですが、私が長編を描けそうもなかったため、現行のプロットのように短めにまとめていただいた次第です。

個人的にもこの後が気になるところではありますので、またあむぁいさんと二人で小ネタなどを出し合って、時々漫画を作成していけたらなーと考えております。
今後とも、よろしくお願いいたします(^^)



連載中は色々とあったラグナゲドンですが、このようにきちんと終われましたのも愛する巴ちゃんと応援してくださった読者さんたちのお陰です。
お疲れ様、そしてありがとう。

これからも巴ちゃんとは相思相愛でがんばっていきます。

あむぁい

20090919





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アイドリング谷澤が土偶ヒロインに変身!主題歌は「誰だ!」


基本的にこういうの好き。
脱力系かしら?結構キャストは豪華だったり。(そのスジ的には)

疑似児童ポルノ:全国で初の摘発 容疑の写真家逮捕

疑似児童ポルノ:全国で初の摘発 容疑の写真家逮捕


「児童ポルノ禁止法が施行された99年以降は法に触れるので、一見少女っぽい女性を使って作品にしていた」と供述しているという。



一見少女っぽい男の子や一見少女っぽいおっさんを使って作品にしても摘発されうるのでしょうか・・・
本物の少女以外に適用するのは反対だなぁ。

ここ最近の拍手実績

強いぜラグナゲドン!
そしてりゅうのみやさんなど投稿陣も奮闘♪エモーショナルマーケティングは効率よく拍手されています。

拍手数
合計 今日 昨日 過去7日 過去30日
15725 52 46 467 1367

エントリー名 グラフ
1000万ヒット記念作品 神魔大戦ラグナゲドン3(25-ラスト) <18禁> 1% 13
1000万ヒット記念作品 神魔大戦ラグナゲドン3(21-24ページ目) <18禁> 0.8% 11
モテない僕が謎の美人女医に「ギャル変身薬」を飲まされて 超美形でエロいギャルの身体を手に入れた! 0.6% 8
男などと言う下等な生命体は、 0.5% 7
コミックアンリアル 2009年 10月号 Vol.21 0.4% 5
イラスト企画に投稿されたSSたち 0.4% 5
Bunny Girl Change! 0.4% 5
まるで 0.4% 5
水曜イラスト企画 絵師 倉塚りこさん(6) 仮名:綾瀬 徹平 0.3% 4
投稿TS小説 貧しいマント(1)  by.りゅうのみや 0.3% 4
男女の身体が入れ替わる赤い糸 4 つぼみ [DVD] 0.3% 4
おかし製作所1200万ヒット記念作品 TS論理パズル にぶんのいちっ!? オチ編 0.3% 4
投稿TS小説 貧しいマント(2)  by.りゅうのみや 0.3% 4
星の海で(4) ~トイブルクのエミリア~ (13) 0.3% 4
イラスト企画 キャラ一覧(2) 18禁なイラストもあります♪ 0.3% 4
Twin Change! 0.3% 4
何の努力もリスクも無しに 0.3% 4
水曜イラスト企画 絵師 都々子さん(4) 仮名:長谷川 剛 0.3% 4
新人種!? レディース男子!!! 0.3% 4
イラスト企画 キャラ一覧 0.2% 3
合計 1367

スレイブヒロインから闘神艶戯へ

タイトルが変わってもやる事はあまり変わらないです。

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魔女っ子戦隊パステリオン 3

青いのが男の娘でしたね。
太古の記憶なのでうろ覚えですが、女体化はしてなかったと思います。

魔女っ子戦隊パステリオン 3 (IDコミックス REXコミックス)魔女っ子戦隊パステリオン 3 (IDコミックス REXコミックス)
(2009/09/09)
松沢 夏樹

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魔女っ子戦隊パステリオン 4 (IDコミックス REXコミックス)魔女っ子戦隊パステリオン 4 (IDコミックス REXコミックス)
(2009/09/09)
松沢 夏樹

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9月の新刊チェック

9/4 サファイア リボンの騎士(4)
9/9 パステリオン(3)(4) (ヒロインの一人が女装)
9/2  ストップ!!ひばりくん!コンプリートエディション(2)
9/9 コスプリ!(1)
     女子高生鍵師 サキ(1)
9/10 とろける調教BODY
     脳子の恋(中川翔子)
9/12 今日からペット!
     おたくのメガミさん
9 中 魔王サマ育成日誌
9/17 女竿師 命わずか (未確認だが、タイトルと作者から要チェック)
     海皇記(41)
     絶対可憐チルドレン(18)
9/18 シグルイ(13) 
9/19 少年巫女姫と龍の使い 
9/23 NECROMANCER(1)
     けんぷファー(3)
9/24 メイド★はじめました ~初めてのご奉仕~
     オリジナル ファーストフード擬人化
     Baby(11) ドドM特集 
9/25 ユーベルブラット(9)
     アンシーズ(二式さんの作品♪)
9/28 RIRIKA★ビューティフル(1)
9/29 DEEPS 潜入捜査官 美姫(2)
9/30 さのたかよし作品集(仮) 三和出版
     ウシジマくん(16)
     エクセルサーガ(23)
     性別が、ない(7)

THE IDOLM@STER 4th ANNIVERSARY PARTY SPECIAL DREAM TOUR’S!!(仮) [Blu-ray]

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おっ、 おんなの子あつかいするな~っ!!(4)

作.isakoさん
オープニングはこちら 前回(3)はこちら

第1章 可愛い弟には女装させよ
(2)

 入学式は土曜日にあり週明けの月曜日は新入生歓迎会に当てられていた。明日からは平常どおりの授業である。
 楓は柔道部の準備のため早く家をでたので1人での登校だ。嬉しそうな顔の母さんに見送られて家を出た。甘井学園の生徒の大多数は鉄道かバスあるいは両方を使って通学する。俺の家は偶然近いので徒歩で充分、いや20分くらいだ。えー、これはしゃれだ。
 この年になってまた女装するとは思わなかったけど7月までの我慢だ。9月からは隣の市の高校に編入すれば良い。もちろんそれまでに一瀬さん情報をしっかり集めなければ。
 そのとき突然強い風が吹いたので慌ててスカートとウィッグを抑えた。鬘を使うのは女性らしく見せるため髪のボリュームを増やすためである。もともと長さは肩くらいまではあった。
 スカートの裾を治していると挨拶された。ココロとソラの2人である。
「おはよう2人とも」
 
 そうそう、そういえばココロと同じ字を書くジンという男はココロの従弟だそうだ。そしてジンとソラは許婚(いいなずけ)同士。ただし嫌でも無理やり結婚させられるというほどきつい縛りではないと説明された。
 2人とも何かの家元の家系なのだろうか。考えてみればいわくありげな姓と名だった。平凡な俺の周りでは、これまでそんな話を聞いたことがない。もっとも幼児期を自他共に(母さんと楓は別にして)女と信じきって育った男を世間では平凡と言わないかな。
 特に話題があるわけではないけど、俺は話し始めた。なぜかって? 女っていうのは、そういうものだからだ。だてに9年間少女時代をすごしたわけではない。
「ここで会ったということは2人とも我が家のご近所様?」
駅は学校の反対側だし、バス停はもっと校門の近くにある。だから至極当たり前の推論だ。
 俺の質問にソラは小首をかしげ、ココロはにやにや笑いを浮かべた。何事にも例外はある。男の俺よりも口が重い女も居ないわけではない。
 反応が鈍いので他の話題に移る。男なら論理的矛盾がある点をついて会話を続けても良いところだが、女の会話はそういう具合には進まない。
「そういえばココロにも許婚はいるの?」
「まあね」と答えたココロの視線はソラに向けられている。
「すてきな人なの?」
「どうかなあ」
2人の視線が絡み火花がちり冷たい風が吹きぬける――ような気がした。この話題もだめ……。ひょっとしてココロの許婚をソラが好きなのか。さてと、偽女脳では話題を見つけるのが難しいぞ。そうだ! なんとかソラの興味を楓の柔道部に引き付けることができないかなあ。
「でさあ、今日の歓迎会だけど2人は見学するクラブとか決めてるの?」
 歓迎会は午前中体育館に全員を集めて行われ、午後からは自由行動が許される。
 俺はソラに向かって言ったのでココロは興味はあるらしいが黙っている。
「もみじは?」
「私は――2年生に姉がいて楓と言うんだけど柔道部所属なの――最初に見に行くつもりなんだ」
「では私も」
案ずるよりなんとやら。ソラは意外に簡単に同意した。
「2人だけはずるいな。私も行って良いの?」
「え? ええ、もちろん」
妙に張り合う2人が一緒なのは少し気になるけれど楓なら何とかするだろう。

 歓迎会は生徒の自主運営だ。それなりに出し物が工夫されており見ていても楽しかった。文科系クラブは実演が多くミニ文化祭のようである。
 会の中ほどで学園のクラブや同好会の特徴の説明があった。壇上にたったのは生徒会副会長をしている憧れの一瀬さんだ。男子の席からため息が上がる。下がれ下郎! あのお方は俺のものだ。
 見ていて一つ気になることがあった。3年生の現会長が後ろにいて彼女を前面に押し出しているということは、9月に行われるはずの次期会長選に推薦しているに等しい。ひょっとして恋のライバルなのか。今のままでは圧倒的に不利だぞ。
 ああ、いけない一瀬さんの話を聞かなきゃ。
「以上のように運動クラブには高いレベルのものが多く、それに応じて赫々(かくかく)たる成果をあげています。でも当学園の課外活動の特色はクラブが一部のスポーツエリートのためだけにあるのではなく、誰でも参加できるようになっているところにあります。こう言ってしまうと私がまるで学園側の回し者のようですが」
後ろの方の席で見学していた教師たちから笑い声が上がる。楓に聞いたところによると現会長と一瀬さんは教師と激しくやり合って生徒会の自主管理の範囲を大きく進展させていた。
「後ろの大きなお友だち、ご静粛に。確かに経験のない方が強豪クラブに入ってもレギュラーの席を取れないかもしれません。でもこう考えてはいかがでしょう。全国レベルの選手と練習できると。各クラブとも練習試合を多く取るように工夫しており……。ああ、その前に複数のクラブに所属するように勧めていることをお話しておくべきでしょうね。ですからどのクラブも練習試合には充分な人数を集めることができるのです。たとえば私も陸上部のハイジャン、テニス、それと冬にはスノボのダウンヒルの練習をしているんですよ。もちろん高校に入ってから始めたものばかりです。それから文科系……」
そのとき両脇の2人が俺の方をじっと見詰めているのに気付いた。
「なにかな?」
「あの人?」
清んだソラの瞳は台風の目のようだ。
「もみじ、副会長さんと知り合い?」
ココロの目はスパークしたように輝いている。
「どうしてそんなことを」
返事が返ってきやすそうなココロに問いかけた。
「だって、もみじの様子がさ」
ばれてもしかたないかな。何しろ憧れの人なんだから。
「あのね、2人は来なかったみたいだけど去年の体験入学のとき案内してくれたのが一瀬さんなの。でも私は大勢の中の1人だったからもう覚えてくれていないと思うな」
 そのとき盛大な拍手を受けながら壇から降りて通路を歩いてきた一瀬さんが真横で足を止めた。
「そうだ、もみじちゃん」
「れ、玲子先輩?」
「クラブの見学が終ったら生徒会室に顔を出してね」
「は、はい」
「もみじ?」
「もみじ!」
「なはは。覚えてくれていたみたい」

 午前中の行事が終った所で食事にした。もちろん2人も一緒だ。俺はそれなりに2人を気に入っていた。確かにちょっと……かなり変な電波系ではある。しかしそれを言い出したら女装の俺は変態系だろう。
 少し出遅れたので人気のカフェテリアは満員である。だから購買でパンを買って噴水のある中庭にでた。巨大な胃袋をもつ高校生のためにここの購買は下手なコンビにより売り場面積が大きく中学のときのパン争奪戦が嘘のようだ。
「もみじ、噴水の側で食べよう」
「暑そうじゃない?」
「きっと涼しい風が。ねえソラ?」
「ええ」
春の日差しは風がないと汗ばむほどだったが、近くのベンチに座ると2人の言う通り涼しい風が吹き心地よい。2人はここでも俺を挟んで座った。一瀬さん一直線でなければ心ときめくような美少女2人が近くに寄ってきてくれるのは嬉しいのだけど張り合う2人に均等に視線を配るのは難しい。特に口数の少ないソラは体を密着させたり触ってくるので冷静さを保つのに苦労する。
 別にソラが異状というわけではない。第一俺は女と思われているはずだし、女同士のコミュニケーションでは手をつないだり触りあうのはよく見られる現象だ。ただ日本人の習慣とは馴染まない所もあるので全員が必ず行うわけではなかった。
 サンドウィッチ2個とカフェオレ、物足りないけど女子学生としてはこれ以上は食べづらい。帰宅してからたくさん食べればいいさ。
 ヨーグルトを食べながら2人の個人事情を聞き出そうと務めた。なんだか暖簾に腕押しでもやもやしたところが多い。ただ2人とも自宅が遠いので学生マンションを借りているのは確かだ。
「1人暮らしに興味あるなら、週末になら遊びに来てもらってもいいよ。今はまだ片付いてないから」
「私も」
「ありがとう2人とも。でも週末はたぶん予定で埋まるから。ちょっと姉さんと約束がね」
「そう」
「いつでもいいよ、また言って」
見上げると秋のように空が高い。そういえば昼からは降水確率100%って言ってたのに……。まあ予定じゃなく予報だからね
 2人も食べ終わっていたのでトイレに誘い、少し髪をなおしてから柔道場へ向かった。

 楓は道場の玄関で待っていた。男子はぼつぼつ集まっているが、女子は俺たち3人だけのようだ。いくら一瀬さんが気軽に参加できると言っても、団体でインターハイ、金鷲旗、全国高等学校柔道選手権の三大大会を制し、皇后杯で優勝する者がいるんじゃ敷居が高い。かといって強ければ良いというわけにもいかない。潤沢な予算が欲しければ、学園の方針通り競技自体を楽しむレベルの部員も必要である。おまけに国際大会を拒否して柔道連盟の覚えの悪い姉のいるこの学園に優秀な経験者は集まらなかった。
「あらもう1人もお友だち?」
楓は嬉しそうだ。
「もみじの友人の雷神(ライジン)です」
「ええ?」
「ちょっとココロ」
「雷神と書いてイカズチ・ココロって言います。よろしくお願いします、お姉さま」
「カザマソラです。よろしく」
2人が楓に挨拶している間、何となく男子部員の方を見ていた俺は凍りついた。別に視線を集めているからではない。入学式であれほど目立てばそのくらいは止むを得ない。驚いたのは中学時代のクラスメートがいたせいだ。
 女装の過去を隠すため中学は学区から少し離れた私立に通っていた。俺がそのまま高等部に行かなかったのは一瀬さんのことがあったためで、たいていはそのまま進学する。中条健史がここに進学するとはとても意外だった。
 数秒後中条の視線が他の3人の方に逸れ恐怖の瞬間は過ぎ去った。ばれなかったらしい。
「大丈夫?」
気がつくとソラが心配げに見ている。
「え?」
「顔色」
「心配ないわ」
ソラの優しさに感激するまもなく楓が割り込んできた。
「ちょっともみじ、説明聞いてた?」
「え」
「ほらあなたも、道着とアンダーそれにスパッツよ」
見ると2人とも同じものを持っていた。
「姉さん、壁際で見学だけならこのままでも」
「だめだめ、道場は神聖なんだから。着替えていらっしゃい」
「ちょっと姉さん」
俺は慌てて楓を脇に引き寄せた。
「え? ごめん妹が話ししたいらしいから、ちょっとそこの2人をロッカールームまで案内してやって」
「いいわよ」
楓と親しいらしい部員がソラとココロを案内して行った。
「で、なんなのよ紅葉。今さら逃げようって言うの。あんたがいなくなったらあの2人も間違いなく消えそうじゃない」
「もう小学生じゃないんだから、一緒に着替えはまずいよ」
「あ!」
「『あ』って?」
「あなたが男なの忘れてた」

kouyou_momizi.jpg
イラスト:春乃 月

 付属するコーチ用の個室で着替えて道場に入った。隅にいたココロは元気に手を振りソラは小さな笑みで迎えてくれる。手を軽く上げて2人の側に座る。
 この建物は1階にロッカールームやトレーニングルームがあり、2階が大道場そして3階は、普段は閉鎖されているが、観覧席になっていた。だから離れてはいるけれど男子の様子も見える。中条は道着に着替えており冷やかしではなさそうだ。
 大きな咳払いが聞こえたので慌てて楓の方に注目する。
 キャプテンの3年生の説明によると夏以降は8名の2年生が主体になるということだ。3年生は強豪ぞろいでレギュラーに食い込んだのは楓だけだったはずだから今年は厳しいだろう。先輩たちの自己紹介に続き俺たちも挨拶することになった。
 少し離れていたココロからすることになる。変なことを言わねばいいが。
「一年生のイカズチココロです。残念ながら柔道のことはよく知らないので今日の見学を楽しみにしています」
次は俺。
「神名楓の妹の紅葉です。姉が普段練習している道場を見たくて見学に来ました。私も柔道の経験はありません。よろしくお願いします」
先輩たちは一応拍手してくれたが、がっかりした様子は隠せない。スポーツがいかにもできそうなココロや楓の妹に柔道の経験がなく見学だけと言い切ったのが残念なのだろう。無論1人だけ例外がいた。楓である。しかし本当にソラに才能があるのか。
「カザマソラです。もみじと一緒にいるのが希望です」
おいおい。
 ただ1人めげない楓はさっさと手順を決め練習を始めた。柔道自体は俺には珍しい物ではないので2人の連れの様子をうかがう。驚いたことに2人は熱心に見ていた。
「2人とも好きなの?」
「そりゃまあ」
「ええ」
「意外」
「もみじを好きじゃへんなのか」
「そうなの?」
「いえいえ。柔道よ」
「はじめて見るけどこう言うのは嫌いじゃない」
「お姉さん、強い」
「お……ぃ妹が言うのも変だけど姉は天才よ。あのさ、神名楓って聞いたことないの?」
2人は知らないという。昨年の活躍で楓は再び全国的に注目を受けてマスコミにもよく名前が出ていた。まあ誰もがスポーツに興味あるわけではないからなあ。
 
 しばらくしてアップの終った楓がソラを誘いに来た。さっそく指導する気らしい。なぜか対抗意識を燃やし始めたココロも立ち上がった。見ていると2人は動きがいい。楓が感心しているのが遠目でも良くわかった。
 観客に徹して過ごそうとする俺のところへキャプテンがやってきた。中重量級の北沢さんは身長が俺と大して変わりないので肥満型ではなく、脂肪は胸と尻に限局していた。おまけに美人である。一瀬さんを知らなかったら心が動いたかもしれない。俺って年上が好きなのかな。
「もみじちゃんはやらないの?」
「えーっと」
「見学の方には先輩を思う存分投げ飛ばせるっていう特典があるのよ」
「遠慮しておきます」
「じゃあ私のほうから相手をお願いするわ」
「なぜですか私は素人なのに」
「あなたのお姉さんがこう言ったのよ。5分以内に一本取る自信がない相手が世界中に1人だけいるって」
「それが」
「あなたなの」
もう! 楓のやついらぬことを。

 自分が男であると言う驚愕の事実を知った後、強くて優しくいつも守ってくれた姉は姿を消し、意地悪で女装を強いるドSの姉が俺の目の前に立ちはだかった。まあ楓が言うには可愛い妹が消え、汗臭い小僧が現れたそうだからお互い様なのかもしれない。
 姉との喧嘩に負ければ女装させられるのは必至である。俺は戦い続け中学生のころにはどうにか逃げおおせるようになっていた。勝てないのかって? それは無理だと思う。姉は天才だ。俺が一度でも勝てばさらにその上の強さを身につけるのは目に見えている。俺はかわし逃げ続けるだけだった。

 北沢さんに手を引かれ止む無く立ち上がる。
「柔道の経験はないの?」
「ええ、正式に指導を受けたことはありません。でも」
「でも?」
「たぶん受身は大丈夫だと思います」
北沢さんは振り向いて楓に声をかけた。
「神名さん、もみじちゃんのこと私が投げても大丈夫かなあ」
「平気ですよ、きっと。思い切りやっちゃってください」
「了解」
「え~」
冗談じゃないぞ。いくら楓からは逃げおおせるといっても、これまで他人とやったことはなかった。通用するのかどうかも全くわからない。
「心配しないで」
「そう言われても」
「2分間逃げ切ったらもみじちゃんの勝ちよ」
そっちかよ。

 面白がってよってきた楓の合図で喜劇が始まった。といっても北沢さんは真剣だし、そんな相手を見ればこちらもふざけてはいられない。第一気を抜けば怪我をする可能性だってあった。
 始まってすぐにわかったのは楓の強さだった。北沢さんが高校柔道界で立派な結果を出したのは俺も知っている。驚いたことにその動きが余裕で見切れた。
 得意技といえば逃げるしかないこちらとしては延々と組み手争いを続けるのが唯一の作戦だ。それでも少しすると2分間しのげそうなことがわかる。もちろん相手にも。
 いっそう激しくなった攻めを余裕をもっていなしながら時計を気にしたとき手が北沢さんの胸に触てしまった。無意識につるぺったんの楓相手のつもりで体が動いたのだろう。
 うっ、ノーブラ?
 一瞬の隙を見逃さず北沢さんは俺を引き付け左足を送る。それをぎりぎりですかしたところで時間切れになった。
「それまで!」
「すごいわ、もみじちゃん」
すかされてバランスを崩した北沢さんを支えたので抱き合った形のままだ。男であることがばれそうな気がして慌てて離れた。
「偶然ですよ」
「私の内股の切れは悪くなかったもの。恐るべき素人だわ。柔道始めるべきよ」
「それはちょっと」
側に来た楓に助けを求める視線を向けたのだが、簡単に裏切りやがった。
「入部してくれないと困るわ」
「姉さん」
「あなたの友だち2人は、とても有望なんだけど、一緒じゃないと入らないって言うんだもの」
俺は慌てて楓の手を引いて道場の隅に連れて行った。女子柔道部員の期待に満ちた視線が痛い。
「まずいよ、姉さん」
「なにがよ」
この人はまた俺が男なのを忘れたのだろうか。
「女装だけでも問題なのに、女子として柔道をするわけにはいかないよ」
「あら私は男子とも乱取りするわよ。良い男なら」
「でも試合はさあ」
「うーん。確かに神名楓の妹が男だとばれるとまずいわねえ」
この際表現の微妙な歪みにこだわっている場合じゃない。
「だから無理だって」
「私に任せて」
「そりゃ姉さんに頼むしかないさ」
楓は俺を押しながら皆の下へ戻り予想外の話を始めた。
「妹の紅葉は北沢キャプテンの指導で柔道が好きになったようですが」
「え゛?」
「あら、うれしい」
「スポーツの上のこととは言え争いは嫌だとぬかすので対外試合免除ということで入部を許可していただければ」
「私は認めるわ。だってあなたの良い練習相手が務まるでしょうから」
そういう北沢さんの発言に楓はにんまり笑いながら俺の方を見た。
「計ったな」
姉の耳元でこうささやいたのが俺の唯一の抵抗だった。



 その後1時間ほどして道場を出た時には、すっかり疲れきってしまった。楓の発言で気を良くした北沢キャプテンのマンツーマン指導が原因だ。男としては待ってましたと言うべきなんだろう。2才年上のお姉さまが、しかも楓とは全く別の生物のような体のつくり(例えば胸とかバストとか乳……あ、なんでもない)のお方がこちらを女と信じて組み手をしてくださるのだから。しかし実際は男と見破られては大変と生きた心地もせず、楽しむどころではなかった。『私もよくよく運のない男だ』
 それに比べて同行の2人に疲れた様子はない。おまけになんだか楽しそうだ。
「2人とも元気そうだから興味があるクラブがあるならまわってみる?」
「もみじが行きたいところでいいわよ」
「私も」
「そうねー」
中学時代所属していたバスケや郊外のスクールに通っているテニスは行って見たい気もする。しかし見たいのは男子の部活であり、この姿では入部してもマネジだ。うーん、ぞっとしないぜ。かといって女子のクラブへ行けば柔道部の二の舞になる。それに対外試合は嫌などという勝手な条件は飲んでもらえそうになかった。
 それなら気になることを片づけよう。
「私、先に生徒会室に顔を出してくる」
「付き合うわよ、もみじ」
「え?」
「私も」
「あ、ありがとう」
2人が一瀬さんを見る目が険しかったのでできれば1人でと思ったのだけど無理らしい。2人は神名もみじに好意をもってくれていた。女同士なら親友になれたかも知れない。でも俺は男、彼女たちを裏切っている存在だ。だからどうも強く出れない。
 生徒会室は主に文科系の部室がある旧校舎の1階にある。渡り廊下を歩いていると後ろから駆け寄る足音とともに声をかけられた。
「早かったのね」
一瀬さんだ。
「柔道部に時間がかかったので他へまわる前にと思って」
「ありがとう。お友だちも?」
1人の方がよければという暇もない。
「嬉しいわ。部室にどうぞ」
「部室? ですか」
一瀬さんは生徒会室の前を通り過ぎて階段に向かっている。
「ええ。生徒会室は待ち合わせ場所よ。校内マップにも記載されていないから」
一瀬さんのクラブ活動で文科系の空き部屋を使っているとすればスキースノーボードだろう。シーズンオフにもオフトレなどで活動するなら会う機会を増やすチャンスだ。どうせ冬にはいないんだし。
「興味があります。アルペンの板で滑ってみたいなあ」
「なんのこと?」
突然一瀬さんが立ち止まり振り向いたので軽くぶつかってしまう。
「す、すみません」
顔が真赤になったのが自分でもわかる。
「そんなに緊張しなくても」
「あ、あ、あのー、てっきりスノーボードの勧誘かと」
「入ってくれるの? 嬉しいなあ」
「はい!」
「もみじが入るなら私も……たぶん2名追加ね」
「ええ」
「うんうん、冬も楽しくなりそうね。さて」
一瀬さんは鍵をあけドアをさっと開いた。
「1年生諸君、新野球部へようこそ」



 俺は狐につままれたような顔をしていたに違いない。甘井学園には今年も夏の甲子園へいけそうな野球部がすでにあった。
「女子野球部ということでしょうか」
「女子野球の大会参加も視野に入れているけど目標は男子チームの撃破ね」
「硬式でですか」
「もちろん。もみじちゃんは不可能と思うの?」
「相手によりけりでしょう」
「うん。一応ね男子チームとやる時はこちらも2名まで男子を先発させていいようにと交渉するつもりよ」
「バッテリーですか」
「詳しいわねえ。もちろん女子だけで戦いたいけど勝つのが目的だからね」
「交渉というと公式戦では」
「とりあえず公式戦は女子の大会のみで、男子との戦いは練習試合ってところが妥当じゃないかしら。それで参加してくれるかな?」
「野球の経験はありませんけど」
「そりゃそうでしょう。まだまだ野球をやっている女子は少ないからね。あなたが入ってくれれば後ろの2人も来てくれそうだし、それに何より神名楓も参加してくれるから強力よ」
「姉が?」
俺が一瀬さんに近づけるようにしてくれたのだろうか。
「ひどいのよ。親友の頼みを聞いてくれずに妹が入るならなんて言うんだから」
「親友」
結局俺の猛烈な受験勉強と女装は必要なかったってことか。さっさと紹介してもらえば……。いやいや俺はそれを望まなかっただろう。
「あら聞いてないの。私と神名は中1からずっと同じクラスなの」
「姉は柔道の特待生で入りなおしたんではないのですか」
6年コースにも形ばかりの進級テストがある。楓はそれを拒否した。
「形はそうだけど学校側も事情は知ってるから。あの神名だもの」
「はあ」
日本柔道会界の希望を踏みにじる女ということだろうか。確かに国際試合拒否は単なるわがままだ。でも出場するかどうかは個人の自由だろう。
「それに比べて妹さんの可愛いこと」
「そんなー」
2人きりの世界は2つの咳払いで打ち破られた。ソラとココロの質問を受け一瀬さんは簡単に状況を説明してくれた。
「あなた方3人と……入ってくれるのよね」
俺も2人もうなずく。
「うん! これで神名(可愛くない方のね)を入れて12名になるから今日クラブとして成立するわ。生徒会の手続きは終えてるし学校側の許可ももらってある。もちろん予算も確保済みよ。用具は今からそろえるから来週早々には練習開始ね。さてこの書類に署名してくれるかな。もみじちゃんの姉さんにも書いてもらって学校側に提出したいから」

 一瀬さんが書類を持って部屋を出て行ったあとあずかった鍵で部屋を閉めて事務室へ向かう。もちろん2人も一緒だ。渡り廊下まで戻ったところで突然ココロが話しかけてきた。
「あのさあ」
「何かしら」
「野球ってなんだ?」



 翌日からはもう授業が始まる。私たち3人は偶然みな4組だった。1年生は7クラス、AとBは内部生の6年制、1から4組が高校を受験した外部生で一部の一芸入試組を含んでいる。そして5組は高レベルの一芸入試組でなかにはスポーツのプロも含まれていた。ただ人数も少なく毎日授業を受けにくるわけでもない。生徒たちは通信教育クラスとかプロ組、あるいは星組と呼んでいる。

 教室に入ると黒板に五十音順に席の配置が書いてあった。ココロは機嫌が悪い。ソラと俺は、風魔(かざま)と神名で前後の席なのに彼女はイカズチだから窓際の2番目の席なのだ。すぐに席変えがあるはずとココロを慰めていると前の席の人が登校して来たので場所を空けた。
「おはよう神名さん」
「あ」
体験入学のとき一緒に昼食を食べた娘だ。俺に見覚えがあると言っていたっけ。そういわれて改めて見るとどこかで会ったような気もする。
「おはよう。どうして名前を」
「さっから校門のところで配っているわ」
彼女がとり出したのは俺が一面にでかでかと出ている学園新聞だ。ぎりぎりのところで通り抜けたらしい。しばらく注目を浴びそうだ。
「あなたのお名前は」
「青木、青木晶(しょう)」
4人でまわったクラブの話をしているうちに予鈴が鳴り担任が入ってきた。
 堀田という男性教師は20代らしいく元気な声で出席を取り始めた。
「青木ショウそれとも……アキラかな?」
俺は思わず叫んでいた。
「アキラ君!」
相手も思い出したらしい。
「そうだ、もみじちゃんだ!」
青木晶が小さいころ男の子として育てられていたのをこの時はじめて知った。

 そして翌日、学園新聞の号外が出た。
『神名紅葉、初恋の人と再会! 運命の彼氏は女の子?』

<つづく>

スクエニの新作 ニーアレプリカントのヒロインは両性具有

http://gamenyarth.blog67.fc2.com/blog-entry-6498.html

女性カイネは両性具有であり、って日本語として微妙ですね。
あと両性具有とふたなりも微妙にニュアンスが違うのですが、まぁ別にいいです。


【2010】 [PS3] スクエニ「NieR Replicant (ニーア レプリカント)」(2/3/4)
 ・ニーアの若い頃の物語
  『ゲシュタルト』は娘のためだが、本作では妹の病の治療法を求めて戦う。
  両作で主人公ニーアのパートナーとなる女性カイネは、左半身をマモノに侵されている『マモノ憑き』であり、
  両性具有でもある。そのことで幼少時代はイジメにあい、その反動と復讐心から必要以上に女性らしい衣装を
  纏うようになる。ただ、振る舞いに女性らしさはなく、口も態度も粗暴で大雑把、大食らいな側面も。

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