Latest Entries
「お金」のシークレット―人生を変える“感情”と“お金”の法則
読了。
お金について考えさせてくれる良書。
多くの人にとってお金は単なるお金ではなく、その裏にあるストーリーの存在が重要になっているのだ。
なるほど。
私はビジネス書だろがなんだろうが、取りあえずオレのブログに当て嵌めて考えるのですが、ウチのブログの読者さんたちも本当は『女の子になるお話』そのものではなく、その奥に『女の子によって得られる何か別のもの』を求めているのかもしれないですねぇ、などと思いました。
あなたの人生の中で、『女の子になる』事と引き換えに譲ってもいいものは何ですか?
お金について考えさせてくれる良書。
多くの人にとってお金は単なるお金ではなく、その裏にあるストーリーの存在が重要になっているのだ。
なるほど。
私はビジネス書だろがなんだろうが、取りあえずオレのブログに当て嵌めて考えるのですが、ウチのブログの読者さんたちも本当は『女の子になるお話』そのものではなく、その奥に『女の子によって得られる何か別のもの』を求めているのかもしれないですねぇ、などと思いました。
あなたの人生の中で、『女の子になる』事と引き換えに譲ってもいいものは何ですか?
![]() | 「お金」のシークレット―人生を変える“感情”と“お金”の法則 (2010/04/02) デビッド・クルーガー 商品詳細を見る |
人気ブログランキング重点攻略中です♪
人気ブログランキング重点攻略中です♪
2/27 官能小説部門第22位、小説部門271位
3/1 官能小説部門第 7位、小説部門 52位
3/7 官能小説部門第 2位、小説部門 15位! ご確認ください♪
人文部門では62位になりました!
3/14 官能小説部門、4位に転落ですw
4/6 官能小説部門、6位に転落ですw
4/30 官能小説部門、4位に浮上です。

チェンジ・ライフ・ラプソディー (11)
作.エイジ
キャラクター作成.倉塚りこ
直樹と勇助の二人が男達を叩きのめした後、俺達は表通りへと移動した。
「大丈夫か? 怪我は?」
開口一番に直樹が女の子に問いかける。
「あ、はい。平気です。何かされる前に助けてもらいましたし…」
そう言って女の子はちらりと俺を見る。
俺は苦笑いを浮かべて、
「その俺も助けられたけどな」
「感謝しろよ~? 俺達が来なかったら仁、間違いなくヤられてだろうからな~」
勇助が茶化しながら言ってくる。
…それは間違いなかっただろうな。あの時の男の瞳を思い出すと嫌悪感と恐怖で身体が震えてしまう。
だから、
「そうだな。二人共サンキューな。助けてくれてさ」
すると二人はそろって驚きの表情を浮かべた。
「…なんだよ」
「いや…そのだな…」
言いよどむ直樹と、
「いや~《以前》とは違って随分素直だなって思ってさ。それに可愛らしくなったな~と。こうも変わるもんかねぇ?」
「かっ!?」
可愛らしい!?
「だ、誰が可愛らしいんだ、誰が!?」
「もちろんお前だよ。『飛鳥 仁美』ちゃん?」
「~っ!!」
俺は恥ずかしさと怒りで拳をぶんぶんと振り回すが、勇助は笑いながらそれをかわしていく。
「はっはっは。当たらんなぁ~?」
「くっ! このっ!!」
「…そこまでにしておけ」
直樹がすっと割り込んで俺の拳を受け止めてしまい、動きが止まる。
「勇助もあまりからかうな。…見てて可哀相になってくる」
「でも可愛らしいってのは本当のことだぜ? 直樹だってそう思うだろ?」
問われた直樹は沈黙。そして俺をじっと見つめる。
それに俺も負けじと見つめ返した。
…頼む直樹。「そんなわけない」って否定してくれ!
しかし俺の願いとは裏腹に、直樹は視線をふいっと外してしまう。そしてその顔は若干赤い。
そんな…そんなバカな!?
直樹に裏切られ、俺はショックのあまりガクリと崩れ落ちた。
すると、
「大丈夫ですよ先輩! 先輩は前から十分可愛らしかったですから!!」
「雪緒…それフォローになってない…」
くすくすくす。
声に振り返ると、そこには笑っている女の子のがいた。
視線に気がつくと慌てて笑みを引っ込めて、
「あ。すみません。つい」
「いいよ。気にしないで」
笑えるならその方がずっといい。
「ところで君の名前はなんていうの? よかったら教えてくれない?」
そんな事を言ったのは勇助だ。
「勇助」
俺はたしなめるが、
「なんだよ。いいだろ? 名前くらい」
「…お前の場合、それだけで終わらないだろうが」
勇助は容姿もいいし、サッカー部のストライカー。それに今ではキャプテンといった立場でもあるため、女子からの人気は高いのだ。だからなのか女性経験は結構豊富で遊んでいる。
ちなみに同じような立場である俺達はというと…だ。
直樹は柔道一筋のバカ。俺は三姉妹達が張り付いていたため、いまだ彼女が出来たことはない。
「あ。すみません。私は桜井 春菜(さくらい はるな)っていいます」
だけどそんな事を知らない女の子はそう答えてしまう。
「お~、春菜ちゃんか。可愛い名前だね」
「ちょっ。いいの? そんな簡単に教えて?」
「構いません。どうせいつかはバレちゃいますから」
『…?』
そろって首を傾げる俺達。
「その制服―――」
桜井さんは俺達を―――正確には俺達の服装を見回し学校名を言い当てた。
なんでそんなことがわかるのか。まあ単純に考えるならそれは―――
「君はウチの学校の生徒か?」
その直樹の問いかけに、
「四月から、ですけどね。よろしくお願いします。先輩方」
ペコリと頭を下げる。
「こちらこそよろしくね。ちなみに俺は鳳 勇助っていうの」
「高島 直樹だ」
「御島 雪緒。会う時は二年生だね」
勇助。直樹。雪緒。それぞれが自己紹介を済まし、俺に視線を向けてくる。
…やっぱ言わなきゃダメだよな…。さて、なんて言うべきか…。
「…飛鳥 仁美。一応剣道部の主将をやってる」
…今はこっちが俺の名前だからな。誤解を与えないためにも俺が元男だということは秘密にしておいた方がいいだろう。
「鳳先輩。高島先輩。御島先輩。それに飛鳥先輩ですね」
「まあ別に覚えなくてもいいよ。特にこいつは」
俺が見たのは無論勇助だ。…まあ、勇助が放っておかないかもしれないが…。
「いえ。助けてもらいましたから、きちんと覚えます! 私記憶力はいい方なんですよ!」
そして律儀にしっかり覚えようとする桜井さん。
…いい子だなぁ。
「さてと。じゃあここらで解散だな。もうさっきみたいな事もないだろ」
今いるのは人通りの多い表通りだ。確かにここなら危険な目にも遭わないだろう。
「春菜ちゃん大丈夫? 一人で帰れる? もしよかったら俺が送って―――」
「やめんかい」
勇助を蹴飛ばして地面に転がせ、黙らせる。
「ごめん。こいつの事は忘れていいから」
「はあ…」
「とはいえ、確かに心配ではあるな。あんな事の後だし」
「む…」
直樹の言葉にも一理ある。
なら…
「じゃあ直樹が送ってやってくれ」
「俺が? そりゃ構わないが…いいのか?」
「私は構いません。むしろ助かります」
「じゃあ決まりだな。直樹、しっかり頼むぞ?」
「任せておけ。じゃあまた明日な」
「失礼します。今日は本当にありがとうございました」
二人の姿が見えなくなるまで俺達は見送り、
「…いつまで寝てんだよ。いい加減起きろ」
地面に寝ていた勇助を叩き起こして俺達は帰路へとついた。
…ちなみに勇助は、
「いいよな直樹は…。いつも美味しい所だけかっさらってよお…」
などと言っていじけていた。
<つづく>
キャラクター作成.倉塚りこ
直樹と勇助の二人が男達を叩きのめした後、俺達は表通りへと移動した。
「大丈夫か? 怪我は?」
開口一番に直樹が女の子に問いかける。
「あ、はい。平気です。何かされる前に助けてもらいましたし…」
そう言って女の子はちらりと俺を見る。
俺は苦笑いを浮かべて、
「その俺も助けられたけどな」
「感謝しろよ~? 俺達が来なかったら仁、間違いなくヤられてだろうからな~」
勇助が茶化しながら言ってくる。
…それは間違いなかっただろうな。あの時の男の瞳を思い出すと嫌悪感と恐怖で身体が震えてしまう。
だから、
「そうだな。二人共サンキューな。助けてくれてさ」
すると二人はそろって驚きの表情を浮かべた。
「…なんだよ」
「いや…そのだな…」
言いよどむ直樹と、
「いや~《以前》とは違って随分素直だなって思ってさ。それに可愛らしくなったな~と。こうも変わるもんかねぇ?」
「かっ!?」
可愛らしい!?
「だ、誰が可愛らしいんだ、誰が!?」
「もちろんお前だよ。『飛鳥 仁美』ちゃん?」
「~っ!!」
俺は恥ずかしさと怒りで拳をぶんぶんと振り回すが、勇助は笑いながらそれをかわしていく。
「はっはっは。当たらんなぁ~?」
「くっ! このっ!!」
「…そこまでにしておけ」
直樹がすっと割り込んで俺の拳を受け止めてしまい、動きが止まる。
「勇助もあまりからかうな。…見てて可哀相になってくる」
「でも可愛らしいってのは本当のことだぜ? 直樹だってそう思うだろ?」
問われた直樹は沈黙。そして俺をじっと見つめる。
それに俺も負けじと見つめ返した。
…頼む直樹。「そんなわけない」って否定してくれ!
しかし俺の願いとは裏腹に、直樹は視線をふいっと外してしまう。そしてその顔は若干赤い。
そんな…そんなバカな!?
直樹に裏切られ、俺はショックのあまりガクリと崩れ落ちた。
すると、
「大丈夫ですよ先輩! 先輩は前から十分可愛らしかったですから!!」
「雪緒…それフォローになってない…」
くすくすくす。
声に振り返ると、そこには笑っている女の子のがいた。
視線に気がつくと慌てて笑みを引っ込めて、
「あ。すみません。つい」
「いいよ。気にしないで」
笑えるならその方がずっといい。
「ところで君の名前はなんていうの? よかったら教えてくれない?」
そんな事を言ったのは勇助だ。
「勇助」
俺はたしなめるが、
「なんだよ。いいだろ? 名前くらい」
「…お前の場合、それだけで終わらないだろうが」
勇助は容姿もいいし、サッカー部のストライカー。それに今ではキャプテンといった立場でもあるため、女子からの人気は高いのだ。だからなのか女性経験は結構豊富で遊んでいる。
ちなみに同じような立場である俺達はというと…だ。
直樹は柔道一筋のバカ。俺は三姉妹達が張り付いていたため、いまだ彼女が出来たことはない。
「あ。すみません。私は桜井 春菜(さくらい はるな)っていいます」
だけどそんな事を知らない女の子はそう答えてしまう。
「お~、春菜ちゃんか。可愛い名前だね」
「ちょっ。いいの? そんな簡単に教えて?」
「構いません。どうせいつかはバレちゃいますから」
『…?』
そろって首を傾げる俺達。
「その制服―――」
桜井さんは俺達を―――正確には俺達の服装を見回し学校名を言い当てた。
なんでそんなことがわかるのか。まあ単純に考えるならそれは―――
「君はウチの学校の生徒か?」
その直樹の問いかけに、
「四月から、ですけどね。よろしくお願いします。先輩方」
ペコリと頭を下げる。
「こちらこそよろしくね。ちなみに俺は鳳 勇助っていうの」
「高島 直樹だ」
「御島 雪緒。会う時は二年生だね」
勇助。直樹。雪緒。それぞれが自己紹介を済まし、俺に視線を向けてくる。
…やっぱ言わなきゃダメだよな…。さて、なんて言うべきか…。
「…飛鳥 仁美。一応剣道部の主将をやってる」
…今はこっちが俺の名前だからな。誤解を与えないためにも俺が元男だということは秘密にしておいた方がいいだろう。
「鳳先輩。高島先輩。御島先輩。それに飛鳥先輩ですね」
「まあ別に覚えなくてもいいよ。特にこいつは」
俺が見たのは無論勇助だ。…まあ、勇助が放っておかないかもしれないが…。
「いえ。助けてもらいましたから、きちんと覚えます! 私記憶力はいい方なんですよ!」
そして律儀にしっかり覚えようとする桜井さん。
…いい子だなぁ。
「さてと。じゃあここらで解散だな。もうさっきみたいな事もないだろ」
今いるのは人通りの多い表通りだ。確かにここなら危険な目にも遭わないだろう。
「春菜ちゃん大丈夫? 一人で帰れる? もしよかったら俺が送って―――」
「やめんかい」
勇助を蹴飛ばして地面に転がせ、黙らせる。
「ごめん。こいつの事は忘れていいから」
「はあ…」
「とはいえ、確かに心配ではあるな。あんな事の後だし」
「む…」
直樹の言葉にも一理ある。
なら…
「じゃあ直樹が送ってやってくれ」
「俺が? そりゃ構わないが…いいのか?」
「私は構いません。むしろ助かります」
「じゃあ決まりだな。直樹、しっかり頼むぞ?」
「任せておけ。じゃあまた明日な」
「失礼します。今日は本当にありがとうございました」
二人の姿が見えなくなるまで俺達は見送り、
「…いつまで寝てんだよ。いい加減起きろ」
地面に寝ていた勇助を叩き起こして俺達は帰路へとついた。
…ちなみに勇助は、
「いいよな直樹は…。いつも美味しい所だけかっさらってよお…」
などと言っていじけていた。
<つづく>
わぁい!
関連記事(他所さまのサイトです)
噂の“男の娘”マガジン「わぁい!」土方編集長にお会いしました
アマゾンランキング、雑誌の部 2位ですねぇ。
いったい、どんな方が買われているのでしょうか……
って、オレが言うのは無しですか。
噂の“男の娘”マガジン「わぁい!」土方編集長にお会いしました
アマゾンランキング、雑誌の部 2位ですねぇ。
いったい、どんな方が買われているのでしょうか……
って、オレが言うのは無しですか。
![]() | わぁい! vol.1 (2010/04/24) 不明 商品詳細を見る |
奇人変人の食卓(4) by.黒い枕
「ケンにぃ、大丈夫?」
「ん、んん、―――紗千、‥か……」
行く手を遮る壁が消え、倒れ伏している健児を無理やり抱え起こし、呼びかける。
今までの派手なデモンストレーションが嘘のようにあっさりと意識を取り戻していく健児。
何だか、体中が柔らかい何かに包まれている感覚だが、今はそれどころじゃない。
(……何だか妙な感じだが、まぁそれよりもまずコイツを安心させないと、……にしてもよく俺のことを起こせるなんて、……火事場のクソ力って奴か、なあ………)
「ああ、だいじょう…ぶ……ぅ‥? ん、何だ?」
紗千に言葉を掛けようとして自身の声の異変に気がつく。
子供のころよりも、さらに高い声音に変わっていた。
何度も声を上げるがやはり、納得する声が出てこない。
そこで、次々と肉体の異変に気がつき健児は慌てふためいた。
紗千の方は既に違いに気付いていたらしくフリーズしている。
「な、なんだよ、これっ?! 手が小さい、肌が違う、む、胸まで……まさか………っっつつ?!!!――のぉおあああああぁぁぁっ!!!」
「…はは…は…どうかな、異性になった気分は?」
ムカつく笑い声が耳を突っついてくるが無視。と言うか視野にも入らない。気に留められるほど、精神が安定しないのだ。
健児の体は、言葉の主の言う通りに女になっていた。
顔つきはまろやかな女性のモノへと変わっているのは勿論のこと。
出るところは出て、引き締まっている部分は決めている。キッチリ、と。
男にとって一番重要な箇所は……涙目で股間を押さえている姿が。あまりにも哀れなので追求するのは止めておこう。
――見た目、的には可愛すぎる少女ではあるが。
「ん、きゃあっ?!!」
唖然としている健児の胸を弄ってくる突如の乱入者たる幼き乙女の腕。
襲い掛かる雷撃。
脱兎を思わせる声を上げて唖然から、硬直へと変わる。
「……ちょ、……や、め………あっ…」
(な、何だ、この感じ、……じゃない、何の…んん、…つ、つもりだ、紗千!?)
音が聞こえてくるほどの弾力を備えてしまった胸を弄られて、頭がショートして思い様に動けない。
そして、そんな彼を無視して後ろから、忙しく布地の上から小刻みに触れてくる無礼者は紗千であり、無言で乙女が乙女の胸を揉む姿は何とも言えないが不気味だった。
(――――――そそりゃあ、信じられ…んっ…ないのは俺、自身そうだが……胸揉むぅ、のはやめ……あっ)
男から女に変わる。
そんな、信じられないことが起きたなら、確かめたい気持ちは分かる……と言うより、健児自身も同じだった。
だが、方法が悪すぎる。
胸を弄られ続ける度に、未知の感覚が体を瞬時に回り、最後に脳内をゆっくりと侵蝕されていく。

挿絵.うつき滄人
そんな健児の思考とは違い―――。
「――――――――な、なん、でっ」
「……うぁ、………えっ? 」
「なんで――アタシよりも大きくなてっるのよおおぉっっ!!」
「………………はっ?」
今、紗千は何て言ったのか。
大きいって何。 胸のことか。 健児の脳はその言葉の意味を理解し始める。―――そして。
「ふざけんなああぁぁぁ――――――っ?!!」
盛大にお怒りになさった。
それはもう、凄まじく今まで迫られていたのが嘘のように拘束振りほどき180度周る。
紗千と同じぐらいのせ背丈で向き合ってる姿は彼が女に変えられたことを雄弁に語ってるようだった。
身長だけではなく、肩幅や足腰などが縮んでいる。
紗千の年上どころか同い年ぐらいの女の子だと思わせ、怒りを表現している顔は、小柄さと女らしさに溢れていた。
強張る意味がないほど『女』だった。
これでは男だったと言う事実のほうが嘘に思えてしまう。そんな変わり様だ。
(何考えているんだ、コイツは……? 俺が女にされて一番に考えることがソレかっ?)
本人にいたっては、正当な理由であったが、変わってしまった姿では凄んでも効果がないと理解して欲しいモノだ。
現に、紗千は彼の意向よりも自身が負けてしまったことで泣いている。
その証拠に、手から離れてしまった柔らかい球体の感触が忘れられず、指先を蠢かしていた。
さらに、こんな目に合わせている張本人の変態怪人……………もとい勝喜は。
「勝喜さま、お茶でございます」
「ん、あんがと。 おお、茶柱が立って……、っあ、沈んだ」
「良くないことが起こらなければいいのですが」
「まったく、だな」
……既に良くないことが起きているのにお茶をのんびり飲んでいた。
喉を通過する、ごくごくと言う音すらこちらまで聞こえてくるほど爽快に。
こんな、理不尽な状況に置かれてたら彼でなくても嘆き――。
「どいつも、こいつも……っつ!! なめとんのかあぁ―――??!」
当然の権利とばかりに健児は、暴発した。
健児がしたことは正しい。
正しいが、その身なりからはどんなことをしても可愛さしか伝わってこない。
――何度も述べてしまうが、外見が美しく可愛らしいからである。
<つづく>
「ん、んん、―――紗千、‥か……」
行く手を遮る壁が消え、倒れ伏している健児を無理やり抱え起こし、呼びかける。
今までの派手なデモンストレーションが嘘のようにあっさりと意識を取り戻していく健児。
何だか、体中が柔らかい何かに包まれている感覚だが、今はそれどころじゃない。
(……何だか妙な感じだが、まぁそれよりもまずコイツを安心させないと、……にしてもよく俺のことを起こせるなんて、……火事場のクソ力って奴か、なあ………)
「ああ、だいじょう…ぶ……ぅ‥? ん、何だ?」
紗千に言葉を掛けようとして自身の声の異変に気がつく。
子供のころよりも、さらに高い声音に変わっていた。
何度も声を上げるがやはり、納得する声が出てこない。
そこで、次々と肉体の異変に気がつき健児は慌てふためいた。
紗千の方は既に違いに気付いていたらしくフリーズしている。
「な、なんだよ、これっ?! 手が小さい、肌が違う、む、胸まで……まさか………っっつつ?!!!――のぉおあああああぁぁぁっ!!!」
「…はは…は…どうかな、異性になった気分は?」
ムカつく笑い声が耳を突っついてくるが無視。と言うか視野にも入らない。気に留められるほど、精神が安定しないのだ。
健児の体は、言葉の主の言う通りに女になっていた。
顔つきはまろやかな女性のモノへと変わっているのは勿論のこと。
出るところは出て、引き締まっている部分は決めている。キッチリ、と。
男にとって一番重要な箇所は……涙目で股間を押さえている姿が。あまりにも哀れなので追求するのは止めておこう。
――見た目、的には可愛すぎる少女ではあるが。
「ん、きゃあっ?!!」
唖然としている健児の胸を弄ってくる突如の乱入者たる幼き乙女の腕。
襲い掛かる雷撃。
脱兎を思わせる声を上げて唖然から、硬直へと変わる。
「……ちょ、……や、め………あっ…」
(な、何だ、この感じ、……じゃない、何の…んん、…つ、つもりだ、紗千!?)
音が聞こえてくるほどの弾力を備えてしまった胸を弄られて、頭がショートして思い様に動けない。
そして、そんな彼を無視して後ろから、忙しく布地の上から小刻みに触れてくる無礼者は紗千であり、無言で乙女が乙女の胸を揉む姿は何とも言えないが不気味だった。
(――――――そそりゃあ、信じられ…んっ…ないのは俺、自身そうだが……胸揉むぅ、のはやめ……あっ)
男から女に変わる。
そんな、信じられないことが起きたなら、確かめたい気持ちは分かる……と言うより、健児自身も同じだった。
だが、方法が悪すぎる。
胸を弄られ続ける度に、未知の感覚が体を瞬時に回り、最後に脳内をゆっくりと侵蝕されていく。

挿絵.うつき滄人
そんな健児の思考とは違い―――。
「――――――――な、なん、でっ」
「……うぁ、………えっ? 」
「なんで――アタシよりも大きくなてっるのよおおぉっっ!!」
「………………はっ?」
今、紗千は何て言ったのか。
大きいって何。 胸のことか。 健児の脳はその言葉の意味を理解し始める。―――そして。
「ふざけんなああぁぁぁ――――――っ?!!」
盛大にお怒りになさった。
それはもう、凄まじく今まで迫られていたのが嘘のように拘束振りほどき180度周る。
紗千と同じぐらいのせ背丈で向き合ってる姿は彼が女に変えられたことを雄弁に語ってるようだった。
身長だけではなく、肩幅や足腰などが縮んでいる。
紗千の年上どころか同い年ぐらいの女の子だと思わせ、怒りを表現している顔は、小柄さと女らしさに溢れていた。
強張る意味がないほど『女』だった。
これでは男だったと言う事実のほうが嘘に思えてしまう。そんな変わり様だ。
(何考えているんだ、コイツは……? 俺が女にされて一番に考えることがソレかっ?)
本人にいたっては、正当な理由であったが、変わってしまった姿では凄んでも効果がないと理解して欲しいモノだ。
現に、紗千は彼の意向よりも自身が負けてしまったことで泣いている。
その証拠に、手から離れてしまった柔らかい球体の感触が忘れられず、指先を蠢かしていた。
さらに、こんな目に合わせている張本人の変態怪人……………もとい勝喜は。
「勝喜さま、お茶でございます」
「ん、あんがと。 おお、茶柱が立って……、っあ、沈んだ」
「良くないことが起こらなければいいのですが」
「まったく、だな」
……既に良くないことが起きているのにお茶をのんびり飲んでいた。
喉を通過する、ごくごくと言う音すらこちらまで聞こえてくるほど爽快に。
こんな、理不尽な状況に置かれてたら彼でなくても嘆き――。
「どいつも、こいつも……っつ!! なめとんのかあぁ―――??!」
当然の権利とばかりに健児は、暴発した。
健児がしたことは正しい。
正しいが、その身なりからはどんなことをしても可愛さしか伝わってこない。
――何度も述べてしまうが、外見が美しく可愛らしいからである。
<つづく>
チェンジH yellow (TSコミックス)
TSコミックスの第三段!
→読みました。
色んなお話が読めて充実です。
これは是非買うべし。
性転換モノの比率は概ね半分ぐらい。
今村陽子先生のヒーローの秘密をプッシュしておきますね♪
→読みました。
色んなお話が読めて充実です。
これは是非買うべし。
性転換モノの比率は概ね半分ぐらい。
今村陽子先生のヒーローの秘密をプッシュしておきますね♪
![]() | チェンジH yellow (TSコミックス) (2010/04/26) 甘詰 留太 商品詳細を見る |
イギリスの年間性転換手術数、2000年と比べ3 倍に
http://geiro.org/2010/04/23/ukoperation3times/
統計数字はとりあえずメモります。
イギリスは補助出すんですねー。
統計数字はとりあえずメモります。
2000年にイギリス政府の援助を受けて行われた性転換手術は54件であったのに対し、2009年に行われた性転換手術は143件であった。
イギリスは補助出すんですねー。
TS批評 チャイルド・プリズナー(きお誠児)
1983年にコミックマルガリータ創刊号に収録された作品です。ボクの初体験が1976年に単行本ですから、TS漫画の中でもかなり初期のもので、掲載誌がマイナーな為にあまり知られていませんが、マイ評価はかなり若いときに脳内にインプットされた点も含めて上位に位置されているものです。
さて、商業作品TS漫画で中・短編となるとTSするタイミングによって3パターンに分類されます。すなわち、冒頭でTSするか、中盤か、オチかです。数えてみた訳ではないのですが、比率としては、4:1:5ぐらいでしょうか。とにかく中盤は少ないです。冒頭TSは該当ど真ん中ですんで、TS的に名作が多いです。TS的に名作の比率となると、100:1:2ぐらいでしょうか。これは当然の事で、TSの醍醐味を味わう時間が長いのが第一原因です。
で、このチャイルド・プリズナーなんですが、典型的なオチTSなんですね。しかし、私の評価は高い。この辺の原因を追究すれば上手なオチTSを書く参考になると思うのですよ。あっとちなみにわたしはオチTSは結構好きです。さっきゅばす れべる1も第一章書いた時点では長編化するなんて夢にも思わずオチTSでしたし、OUT or SAFEも、ゲームの王様なんかもオチTSですし結構書いてるんですよね。
で、良いオチTSとはどんな点がポイントかな、とか思いますに①女性化の伏線がちゃんと張られている。②女性化の手段が優れている③女性化した後の妄想が読者に自動的に浮かび、なおかつそれが甘美なものである。 と、この3点が重要なのではないかと想像するのであります。
では、チャイルドプリズナーを実際に著作権的に正しく適宜引用しながらお話を進めますね。正しい引用についてはウィキペディア参照のこと。なお、このコラム内の画像は題記チャイルドプリズナーから引用したものです。
まず作品タイトルページです。これは全部引用させてもらいます。何故かと言うと作品タイトルはその作品の顔であり、読者をして異空間に引きずりこむ入り口にして、この作品はこういう作品ですよ、と説明する名刺のようなものだからです。

今あらためて見てチャイルドプリズナーのスペルがCHILD PRISONEFRと誤植されてるのを発見しました。キャラ説明します。黒髪の女の子が主人公の2、遭難した宇宙船の唯一の生き残りにして野生化している女の子、です。ズボンを押さえているのが主人公1の宇宙飛行士。そんでずっこけてるのがそのアシスタントロボです。だいたい、コメディタッチのSFである事がよくわかる表紙かと思います。
コメディタッチのSFってのはこの「コミックマルガリータ」の雑誌コンセプトに沿ったものです。ああっと、「マルガリータ~丸刈りの美少女のこと」とか言うエンサイクロペディア・ファンタニカがあったのを思い出したのでメモしておきます。
基本的にはこの作品、遭難した宇宙船の謎を主人公1が解くが……てのがメインストーリーでTSはオチにすぎません。しかし、萌えるんですな、これが。何故か?
それは遭難した宇宙船の謎ってのがTSに密接にからんでいるからです。思いつきのオチではなく、ストーリーにしっかり絡んでいてなおかつ、伏線もある。この辺がかなり優れている点であります。
そして次にTSの手段です。これです。

はい。今の時代としては御約束にして定番ではありますが、当時1983年時点では新規性もそれなりにあり、なおかつ最強の手段である事は現在でも他の追随を許さない優れた手段、すなわちセックスであります。そして、重要な事は主人公1は容易くは美少女の誘惑に乗らないのです。美少女は子供で主人公1はオトナ。宇宙船を任されるぐらいのオトナなんです。ですから、美少女の誘惑があっても「そんな事してはいけない」と抵抗するのです。それが、すごく良い!まぁ、原文を正確に引用すると、「や、やめなさい そんな事してはい、いけないいいい…」なんですけど、兎に角抵抗した。だってだって、宇宙船の中は禁欲生活なんですよ。男一人、ロボット一人なんですよ。あんな女の子に本気で誘惑されたら抵抗できるわけないじゃないですか。ちなみにコミックマルガリータは成人指定と言う訳ではなく、エロ描写は今の目で見れば比較的淡白ではあります。でも、女の子のこの表情に「フフ…」なんて、たまんないでしょ?
そして、オチです。オチのコマです。これはもう見てもらうしかわたしの表現では追いつかないのです。


どうですか。
女の子になった恥じらいと戸惑い。さらに止めのセリフ「どお 気分は? 前よりずっと軽いでしょう すぐなれるわよ」か・ん・ぺ・き!パーフェクトですっ!これからの見知らぬ惑星での生活にわくわくどきどきしちゃうでしょ?
てな訳で、オチTSではあるものの良きオチTSの必要三要素を全て備えた「チャイルド・プリズナー」こそ、まさにっ!最強最高のTSコミックかもしれんのですっ!!
埋もれさすにはあまりにも惜しい作品だとは思いませんか?
単行本化を作者さんに懇願したりしましょう。
20061218初出
さて、商業作品TS漫画で中・短編となるとTSするタイミングによって3パターンに分類されます。すなわち、冒頭でTSするか、中盤か、オチかです。数えてみた訳ではないのですが、比率としては、4:1:5ぐらいでしょうか。とにかく中盤は少ないです。冒頭TSは該当ど真ん中ですんで、TS的に名作が多いです。TS的に名作の比率となると、100:1:2ぐらいでしょうか。これは当然の事で、TSの醍醐味を味わう時間が長いのが第一原因です。
で、このチャイルド・プリズナーなんですが、典型的なオチTSなんですね。しかし、私の評価は高い。この辺の原因を追究すれば上手なオチTSを書く参考になると思うのですよ。あっとちなみにわたしはオチTSは結構好きです。さっきゅばす れべる1も第一章書いた時点では長編化するなんて夢にも思わずオチTSでしたし、OUT or SAFEも、ゲームの王様なんかもオチTSですし結構書いてるんですよね。
で、良いオチTSとはどんな点がポイントかな、とか思いますに①女性化の伏線がちゃんと張られている。②女性化の手段が優れている③女性化した後の妄想が読者に自動的に浮かび、なおかつそれが甘美なものである。 と、この3点が重要なのではないかと想像するのであります。
では、チャイルドプリズナーを実際に著作権的に正しく適宜引用しながらお話を進めますね。正しい引用についてはウィキペディア参照のこと。なお、このコラム内の画像は題記チャイルドプリズナーから引用したものです。
まず作品タイトルページです。これは全部引用させてもらいます。何故かと言うと作品タイトルはその作品の顔であり、読者をして異空間に引きずりこむ入り口にして、この作品はこういう作品ですよ、と説明する名刺のようなものだからです。

今あらためて見てチャイルドプリズナーのスペルがCHILD PRISONEFRと誤植されてるのを発見しました。キャラ説明します。黒髪の女の子が主人公の2、遭難した宇宙船の唯一の生き残りにして野生化している女の子、です。ズボンを押さえているのが主人公1の宇宙飛行士。そんでずっこけてるのがそのアシスタントロボです。だいたい、コメディタッチのSFである事がよくわかる表紙かと思います。
コメディタッチのSFってのはこの「コミックマルガリータ」の雑誌コンセプトに沿ったものです。ああっと、「マルガリータ~丸刈りの美少女のこと」とか言うエンサイクロペディア・ファンタニカがあったのを思い出したのでメモしておきます。
基本的にはこの作品、遭難した宇宙船の謎を主人公1が解くが……てのがメインストーリーでTSはオチにすぎません。しかし、萌えるんですな、これが。何故か?
それは遭難した宇宙船の謎ってのがTSに密接にからんでいるからです。思いつきのオチではなく、ストーリーにしっかり絡んでいてなおかつ、伏線もある。この辺がかなり優れている点であります。
そして次にTSの手段です。これです。

はい。今の時代としては御約束にして定番ではありますが、当時1983年時点では新規性もそれなりにあり、なおかつ最強の手段である事は現在でも他の追随を許さない優れた手段、すなわちセックスであります。そして、重要な事は主人公1は容易くは美少女の誘惑に乗らないのです。美少女は子供で主人公1はオトナ。宇宙船を任されるぐらいのオトナなんです。ですから、美少女の誘惑があっても「そんな事してはいけない」と抵抗するのです。それが、すごく良い!まぁ、原文を正確に引用すると、「や、やめなさい そんな事してはい、いけないいいい…」なんですけど、兎に角抵抗した。だってだって、宇宙船の中は禁欲生活なんですよ。男一人、ロボット一人なんですよ。あんな女の子に本気で誘惑されたら抵抗できるわけないじゃないですか。ちなみにコミックマルガリータは成人指定と言う訳ではなく、エロ描写は今の目で見れば比較的淡白ではあります。でも、女の子のこの表情に「フフ…」なんて、たまんないでしょ?
そして、オチです。オチのコマです。これはもう見てもらうしかわたしの表現では追いつかないのです。


どうですか。
女の子になった恥じらいと戸惑い。さらに止めのセリフ「どお 気分は? 前よりずっと軽いでしょう すぐなれるわよ」か・ん・ぺ・き!パーフェクトですっ!これからの見知らぬ惑星での生活にわくわくどきどきしちゃうでしょ?
てな訳で、オチTSではあるものの良きオチTSの必要三要素を全て備えた「チャイルド・プリズナー」こそ、まさにっ!最強最高のTSコミックかもしれんのですっ!!
埋もれさすにはあまりにも惜しい作品だとは思いませんか?
単行本化を作者さんに懇願したりしましょう。
20061218初出
テーマ:二次元総合 エロゲーエロ漫画エロ小説など - ジャンル:アダルト
水曜イラスト企画 絵師:キリセさん(3) 名前:五反田 海優二
五反田 海優二(ごたんだ みゅうじ)『入れ替わりor変身』 絵師:キリセ
サーファーの青年。新婚旅行で南の海にきたら、ガイドに騙されて波に二人とも攫われてしまう。
気がついたら無人島に漂着して、妻は自分になっており、主人公は何故か見たこともない儚げな女(中学三年生くらい、目が儚げ)になっていた。何が起きたか分からないまま新婚旅行から、無人島生活が始まる。
絵師:キリセ

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。
キリセさんはエロOKです♪
20100428
サーファーの青年。新婚旅行で南の海にきたら、ガイドに騙されて波に二人とも攫われてしまう。
気がついたら無人島に漂着して、妻は自分になっており、主人公は何故か見たこともない儚げな女(中学三年生くらい、目が儚げ)になっていた。何が起きたか分からないまま新婚旅行から、無人島生活が始まる。
絵師:キリセ

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。
キリセさんはエロOKです♪
20100428
ニュースサイト、ブログで話題騒然!新世紀『オトコの娘』マガジン「わぁい!」遂に4月24日(土)発売!
ニュースサイト、ブログで話題騒然!新世紀『オトコの娘』マガジン「わぁい!」遂に4月24日(土)発売!
朝日新聞社さんのページ。50000部、ってのは一応定量データなので記録しておきましょう。
朝日新聞社さんのページ。50000部、ってのは一応定量データなので記録しておきましょう。
![]() | わぁい! vol.1 (2010/04/24) 不明 商品詳細を見る |
奇人変人の食卓(3) by.黒い枕
45分後。
「………………………………………」
「ごめん――ケンにぃ」
二人の女性が揚げている旗は両方とも青の旗。
そして青の方にいるのは上半身裸の変態仮面――如月 勝喜と言うことは……。
「俺が………こんな……変態に……?」
何が起きたのか健児は理解出来ず、ただ二つの旗を交互に見ていく。
(何でだ、何で負けたんだ………)
出したのは定食屋でも作っていた唐揚げセット。
確かに特別ではないかもしれないが、手加減抜きで食材も良質なモノを選んだ。
また、相手の過程を観察していれば、それなりに出来ていても一般人程度の実力。
しかも、出したのも自分と同じような簡単なチャーハン。
少なくとも、否、間違い無しに勝てると思っていただけにショックが大きい。
「……勝ったのに、…この敗北感は何だ……?」
一方、勝利の反応にしてはあまりな、対応とリアクション。それを見た健児は益々、心を痛め――紗千に詰め寄る。
「――紗千っ!! それ食わせてくれっ!!」
「えっ、もう全部食べちゃった」
「なぁ――――っ」
あっちの審査員ももう食べ終わっており、布巾で丁寧に口を拭いている。
納得出来ないのだから自身で確かめたいのに、それ自体が美少女たちの胃の中。
「お前………何かの変な術みたいなもんで操られているんじゃないか?」
「残念だけど、……違うよ、ケンにぃ…」
(じゃあ、何で俺が負けたんだっ!!)
納得できないのは当然と言えば、当然。
料理の旨さとは、食材の差もあるが実質的な料理人の実力で決まるものだ。
それが健児たち業界の常識である。
幾ら上質の食材を使われようが調理が、お粗末なら一万の食材が千円以内の材料に負けることもある世界。
健児はそう学び、そう技術を磨いてきた。
しかし、勝喜自身の動きを見ても大したモノはなかった。 ならば、勝敗の決め手は食材なのだろうか。
だが、そこまで実力さを埋める食材なのあるのだろうか――。
「おい、お前一体何をしたんだっ!?」
「ふっ、愚問だな。 誰が敵にそんなことを教えると思っている?」
「質問を質問で返すなっ、いいから答えろっ」
「ふふふ、まあいい。 どうせ真似できないからな………」
(腹立つな、この変態……っ)
しかし、堪えた。
負けてもなお、否――負けたからこそ健児は好奇心を止めずに、追求した。そして……。
「――――――でっ…"これ何?"」
唖然として勝喜に尋ねた。念の為に指を指して。
「?………何って、今回のチャーハンで使った食材の――妖精界名物のウエレの卵、
同じく名物のエレピックの舌、んでもってペガサスの角、さらに魔のトライアングル付近の異海よりくるキメラ・クラゲから取れた油、人の魂で育てたニンジン、玉ねぎ、そして秋田こまちだ!」
「もう、一度聞くぞ、これは何だ……っ」
「ふふふ、耳までとお、「っんな、モノを乙女に食わせたんかあぁ―っ?!!」……ぶごっ!!???」
予測スピード、おそらく時速210キロ・オーバーで勝喜の顔に打ち込まれた皿。
倒れる勝喜を無視して、来た方向に顔を向ける。
もっとも、犯人はすでに分かっているのだ。
心の底から湧き出す確信とは裏腹に、反射的に映してしまった光景――テーブルに勇ましく足を着け、腕を振り下げていた恋人がいた。
実に憤激してる
(まぁ、紗千の気持ちは分かる。――――つうか、食わなくてよかった………!)
自分のキッチンに出された大皿に盛られた食材――と称してきたゲテモノ。
否、もはやモンスターの残骸であり、肉片だった。
ペガサスと呼ばれた角や何かの油らしきモノはまだマシで。
ニンジンや玉ねぎなのに色が青・黄色・緑の三色カラー。
卵の殻の筈なのに柔らかそうな触手を蠢かしている濃い翠色をしたモノ。
舌と思われるモノでさえ色は普通なのだが真ん中に尖った部分が規則正しく三個並べられていて、それが左右の対象で生えている。
まさしくモンスター映画世界である。
――何を食わせたのだろうか、知りたいような知りたくないような。ベクトルの違う追求欲に苦悩する。
(唯一、まともなのが米しかないなんて………)
軽く現実逃避した。だが、一方では苛烈な話し合いがされていた。
「い、いきなり何をするっ! 何をっ!」
「何だじゃないわよ?! あんたそんなモノをアタシに食わせたのよお!!」
「ちょっ、落ち着け、確かに、見栄えは悪かろうが珍味だったろう?」
「確かに美味しかったけど、それ以前の問題でしょお、がぁぁっつつ!!」
(……つうか……アレ、……アレを見ても俺のよりも旨いのか………………)
ヒートアップする勝喜と紗千、そして落ち込む健児。
さっきから微動だせず、食後のお茶を楽しんでいるアリサが妙にシュールである。
「ええい、何にしても負けは負けだ!! ペナルティー発動っ」
「えっ!?」
「なぁっ!!?」
突然、魔方陣らしきモノが健児の足元で輝き、その光が体にまで感染していく。
全身が発光する。
そして閃光が強くなるほど、体が熱くなる。
まるで体そのものが光そのものになった気分だった。
脆弱ながらも膨れ上がっていく体温。
近づこうとする紗千だったが、見えない壁に進行が阻まれた。
「こら、変態!! ケンにぃに何すんのよぉ!?」
「ははは、そこで大人しく見ておけっ。 というか年上に敬語使えよお!!」
「あんた、何て変態で十分じゃないのよ。 むしろ変態そのもの?!!!」
「――っ、そ、そこまでいうかっ!!?」
(いや、そんなアホなこと、していないで…何とかしてくれよ、…ぉ…)
自分がこんな目に遭っているのにコントをしている恋人と張本人。
かなり殺意が沸いてくるが、それどころではない。
熱がいつしか炎の領域に達しているような錯覚さえも見舞われる。
とにかく、熱い。
爪を刺し、かき回したい衝動に手を動かす健児だったが、まるで幻のように体と手が交差してすり抜ける。
そして――。
「―――――――――――――――――――おぁっ!」
「ケンにいぃ――――!!」
健児の体から発せられる閃光が極限まで高まり、爆発する。
叫ぶ、紗千の声が遠のいていく。意識が――遠のいていく。
「は――はは、『楽しめよ』、辻 健児」
変態怪人、如月 勝喜の叫び声と共に彼の視界は真っ白に支配された。
<つづく>
「………………………………………」
「ごめん――ケンにぃ」
二人の女性が揚げている旗は両方とも青の旗。
そして青の方にいるのは上半身裸の変態仮面――如月 勝喜と言うことは……。
「俺が………こんな……変態に……?」
何が起きたのか健児は理解出来ず、ただ二つの旗を交互に見ていく。
(何でだ、何で負けたんだ………)
出したのは定食屋でも作っていた唐揚げセット。
確かに特別ではないかもしれないが、手加減抜きで食材も良質なモノを選んだ。
また、相手の過程を観察していれば、それなりに出来ていても一般人程度の実力。
しかも、出したのも自分と同じような簡単なチャーハン。
少なくとも、否、間違い無しに勝てると思っていただけにショックが大きい。
「……勝ったのに、…この敗北感は何だ……?」
一方、勝利の反応にしてはあまりな、対応とリアクション。それを見た健児は益々、心を痛め――紗千に詰め寄る。
「――紗千っ!! それ食わせてくれっ!!」
「えっ、もう全部食べちゃった」
「なぁ――――っ」
あっちの審査員ももう食べ終わっており、布巾で丁寧に口を拭いている。
納得出来ないのだから自身で確かめたいのに、それ自体が美少女たちの胃の中。
「お前………何かの変な術みたいなもんで操られているんじゃないか?」
「残念だけど、……違うよ、ケンにぃ…」
(じゃあ、何で俺が負けたんだっ!!)
納得できないのは当然と言えば、当然。
料理の旨さとは、食材の差もあるが実質的な料理人の実力で決まるものだ。
それが健児たち業界の常識である。
幾ら上質の食材を使われようが調理が、お粗末なら一万の食材が千円以内の材料に負けることもある世界。
健児はそう学び、そう技術を磨いてきた。
しかし、勝喜自身の動きを見ても大したモノはなかった。 ならば、勝敗の決め手は食材なのだろうか。
だが、そこまで実力さを埋める食材なのあるのだろうか――。
「おい、お前一体何をしたんだっ!?」
「ふっ、愚問だな。 誰が敵にそんなことを教えると思っている?」
「質問を質問で返すなっ、いいから答えろっ」
「ふふふ、まあいい。 どうせ真似できないからな………」
(腹立つな、この変態……っ)
しかし、堪えた。
負けてもなお、否――負けたからこそ健児は好奇心を止めずに、追求した。そして……。
「――――――でっ…"これ何?"」
唖然として勝喜に尋ねた。念の為に指を指して。
「?………何って、今回のチャーハンで使った食材の――妖精界名物のウエレの卵、
同じく名物のエレピックの舌、んでもってペガサスの角、さらに魔のトライアングル付近の異海よりくるキメラ・クラゲから取れた油、人の魂で育てたニンジン、玉ねぎ、そして秋田こまちだ!」
「もう、一度聞くぞ、これは何だ……っ」
「ふふふ、耳までとお、「っんな、モノを乙女に食わせたんかあぁ―っ?!!」……ぶごっ!!???」
予測スピード、おそらく時速210キロ・オーバーで勝喜の顔に打ち込まれた皿。
倒れる勝喜を無視して、来た方向に顔を向ける。
もっとも、犯人はすでに分かっているのだ。
心の底から湧き出す確信とは裏腹に、反射的に映してしまった光景――テーブルに勇ましく足を着け、腕を振り下げていた恋人がいた。
実に憤激してる
(まぁ、紗千の気持ちは分かる。――――つうか、食わなくてよかった………!)
自分のキッチンに出された大皿に盛られた食材――と称してきたゲテモノ。
否、もはやモンスターの残骸であり、肉片だった。
ペガサスと呼ばれた角や何かの油らしきモノはまだマシで。
ニンジンや玉ねぎなのに色が青・黄色・緑の三色カラー。
卵の殻の筈なのに柔らかそうな触手を蠢かしている濃い翠色をしたモノ。
舌と思われるモノでさえ色は普通なのだが真ん中に尖った部分が規則正しく三個並べられていて、それが左右の対象で生えている。
まさしくモンスター映画世界である。
――何を食わせたのだろうか、知りたいような知りたくないような。ベクトルの違う追求欲に苦悩する。
(唯一、まともなのが米しかないなんて………)
軽く現実逃避した。だが、一方では苛烈な話し合いがされていた。
「い、いきなり何をするっ! 何をっ!」
「何だじゃないわよ?! あんたそんなモノをアタシに食わせたのよお!!」
「ちょっ、落ち着け、確かに、見栄えは悪かろうが珍味だったろう?」
「確かに美味しかったけど、それ以前の問題でしょお、がぁぁっつつ!!」
(……つうか……アレ、……アレを見ても俺のよりも旨いのか………………)
ヒートアップする勝喜と紗千、そして落ち込む健児。
さっきから微動だせず、食後のお茶を楽しんでいるアリサが妙にシュールである。
「ええい、何にしても負けは負けだ!! ペナルティー発動っ」
「えっ!?」
「なぁっ!!?」
突然、魔方陣らしきモノが健児の足元で輝き、その光が体にまで感染していく。
全身が発光する。
そして閃光が強くなるほど、体が熱くなる。
まるで体そのものが光そのものになった気分だった。
脆弱ながらも膨れ上がっていく体温。
近づこうとする紗千だったが、見えない壁に進行が阻まれた。
「こら、変態!! ケンにぃに何すんのよぉ!?」
「ははは、そこで大人しく見ておけっ。 というか年上に敬語使えよお!!」
「あんた、何て変態で十分じゃないのよ。 むしろ変態そのもの?!!!」
「――っ、そ、そこまでいうかっ!!?」
(いや、そんなアホなこと、していないで…何とかしてくれよ、…ぉ…)
自分がこんな目に遭っているのにコントをしている恋人と張本人。
かなり殺意が沸いてくるが、それどころではない。
熱がいつしか炎の領域に達しているような錯覚さえも見舞われる。
とにかく、熱い。
爪を刺し、かき回したい衝動に手を動かす健児だったが、まるで幻のように体と手が交差してすり抜ける。
そして――。
「―――――――――――――――――――おぁっ!」
「ケンにいぃ――――!!」
健児の体から発せられる閃光が極限まで高まり、爆発する。
叫ぶ、紗千の声が遠のいていく。意識が――遠のいていく。
「は――はは、『楽しめよ』、辻 健児」
変態怪人、如月 勝喜の叫び声と共に彼の視界は真っ白に支配された。
<つづく>