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ひとりぼっちのロビンフッド

ひとりぼっちのロビンフッド (きみとぼくの本)

今日の日経のレビューによると魂が飼い犬に入ってしまう模様。
おそらくオス犬ですが。

FULLMETAL  SCHOOLGIRL by.isako  太陽に挑む者(1)

太陽に挑む者

(1)

 与えられた標的の情報からさらに詳しく調べていく。追うのは中米のハンカ共和国総裁ミゲル・アンヘル・メンドーサの長男で後継者のカルロス一行なのだが、お忍びなので公式発表はない。ところが妙なところに突破口があった。カルロスはどうやら日本のポップカルチャーのファン――と言うよりオタクらしいのだ。もうすぐ30になろうかと言う大男がアニメキャラの人形を持ってご満悦な映像をみるとぞっとする。おまけにお父様は泣く子も黙る独裁者なのだ。まあ民主主義がどこでもベストと言うわけじゃない。例えばウンマは平等だけどアメリカの言うデモクラシーの入り込む余地はない。イスラームでは法は神が与えたもうたものだからだ。

 思い出話はともかく彼らの日程を把握した俺には、ある程度標的の動きが読めた。問題はどこで狙撃をするかである。秋葉原、築地、ネズミーランド、ボケモンセンター……うーん、ここか? ハローケロちゃんのケロケロランド。最近できたばかりの屋外型テーマパークで地図で見る限り他の施設より脱出が容易だ。更に調べると普段は行わないパレードをカルロスの滞在中に特別興行するとある。ここで、ほぼ決まりだ。一応裏をとるよう組織に依頼しておく。
 さて俺はどう侵入する――というか一般客として入ればいいわけだが。


「めぐみからケロケロランドに行こうって言ってくれるとは思わなかったわ」
加古は大はしゃぎだ。隠れ蓑に使う俺は少し後ろめたい。
「ほら、冗談だろうけど、加古がデートって言ってたから」
「冗談じゃないってば。この」
加古はいきなり俺の乳をつかんだ。
「胸に誓って」
「ちょっとみんな見てるって」
俺たちはケロケロランドのゲートに並んでいるところだ。周りは女性と子供ばかりで少し居心地が悪い。
「女子高校生同士のちょっとしたおふざけよ」
「小さい子も見てるし」
「あのお姉さんのような胸になりたいな~ってみてるのよ」
反論する気も無くなって視線を周りに巡らす。ゲートが開いたので人の列は動き始めていた。
「あれ、何の旗だろう」
加古の指差す方には、太陽とピラミッドの国章を中央に配し、中米連邦を示す青と白の縞が地の国旗がはためいている。
「ハンカ共和国の、中央アメリカの国の、国旗よ」
「あんたって変な知識はあるのね」
「変な知識『は』って」
「だって成績悪いじゃない」
「現在進化中なの」
勉学については、めぐみから特訓を受けていた。

 パスポートを見せてゲートをくぐると加古はすぐ近くの土産物の店をのぞく。
「もうお土産を?」
「先に見ておくものなのよ」
「へぇ~」
「常識でしょう」
常識があるかと問われれば、ないと答えるしかないので黙っていた。
「こ、これは!」
「どうしたの、加古」
「このケロちゃん」
「え?」
「要チェックや」
カバンや携帯に小さなカエルを付けていたのが今回声をかけたきっかけだけど、俺には今ひとつ可愛さが分からない。二頭身にすればなんでもいいのだろうか。それに加古が見つめているぬいぐるみは何の変哲もないデザインのケロちゃんである。
「どこが違うの」
「腰に瓢箪ついたのは、ここだけの限定商品なんだって」
「ふぅ~ん」
「こら、めぐみ」
電光石火、加古の右人差し指が俺の乳首を押す。
「ひぃ。胸は止めてって」
「あなたも三木さん用のお土産を見ておきなさい」
今日加古と俺は、めぐみの車で送ってもらった。
「いるかなあ」
一通り店内を確認したので話しながら外にでた。
「ちょっと立ち入ったこと聞いていい?」
「なにかしら」
「あなたの保護者のことなんだけど、2人の関係は?」
俺にはどこが疑問なのかよく分からない。
「保護者と被保護者」
「それはわかってるわ。あなたはあの人のことをどう思ってるかってこと」
「ちょっと子どもっぽい」
「好きだとかは? そのー男として」
ここはめぐみの名誉のためにも主張しておくべきだろうな。
「男としては全くダメね」
料理が下手で日本人的感覚からすれば女としてもダメなのは伏せておこう。
「ふぅ~ん。じゃあ私が立候補するからね」
「今度の生徒会長選に?」
「バカね。三木さんのお相手よ」
「気に入ったの?」
「あんなに優しそうで神秘的な男性に興味を持たないめぐみが変なのよ」
「そうかなあ」
「もうだめだよ。私が先約だから」
「う、うん」
その時私の視線は、数人のSPを引き連れて、名物ローラーコースターに向かうカルロスをとらえていた。
「ラテン系が好みなの?」
「いえ、あのコースター人気なのかしら」
「ケロケロ・ダイビング・ライドね。ここじゃ1,2を争う人気よ。時間が早い今なら……えーっと30分待ちだから並ぼうか」
「うん。ちょっと抜けてトイレと土産物屋にいってもいい」
「いいわよ。でも」
「次の行列じゃ私が並ぶから」
「契約成立。あらあら」
「どうしたの?」
「あなたのお気に入りのラテン系はVIPらしいわね。行列を無視して行くよ」
「ご一行様の振りをしてついて行く?」
「蹴飛ばされるのがおちよ。じゃあ並んでいるから。30分以内に戻るのよ」
「うん」

 指定しておいたトイレの植え込みの影にケースはあった。本来なら自分ですべて用意したいところだが、今の肉体では困難を伴うので準備は組織に任せた。
 今回は愛用のSV98ではなく、SIG SG550 Sniperを用いる。組織に入ってからの訓練ではよく用いたので慣れているし、放棄していくしかないので手に入りやすいものがよい。
 この銃はスイス・アームズ社のアサルトライフルSIG SG550の派生形の1つで警察や軍で多く採用されている。もともと精度が高くスコープを使用すれば600mでも命中する精度を持っている。今回のミッションには十分だ。
 ケースを担いで予定していたポイントに急ぐ。

 ローラーコースター上のカルロスを狙うなら最高高度に達する点が理想的だ。ここで動きが一瞬止まるし、園内でも観覧車を除けは一番高いのでどこからでも狙える。ただ逃走経路まで考慮すると狙撃点は3つに絞られた。1つ目は敷地内とはいえゲートの外の駐車場にある時計台、2つ目は海賊島の物見台、ケロケロパイレーツの船が浮かぶ池はそのまま海に通じていた。3つ目は東のまだ開発中の丘である。園内からは見えにくくしてあるが、逆に狙うのは問題ないし、工事車両の出入があるので逃走は楽だろう。しかも午前の早い時間なら太陽を背にすることができた。

 ケースと付属品を合わせると6kgを少し超えるので重い。普段からある程度は鍛えているのだが。
 ともかくあらかじめ選んでおいたニャンニャン・アドベンチャーの建物に向かう。外壁が修理中で足場が組んであり、落下物防止のネットが良い隠れ蓑だ。4つ目の狙撃点かって? 違うさ。俺の標的がカルロスだとは一言もいってないぞ。俺の受けた依頼はカルロスを狙うものを倒せと言うものだ。ここからは最初にあげた3つのポイントがすべて見えるんだ。ただ……
 3階相当の高さの足場に場所を決め素早く銃を組み立てる。そしてケースに入っている特性マットを慎重にひいた。伏射において俺のでかい乳房はクッションになるどころか、心地よい、いや間違った、集中を妨げる刺激で狙撃のじゃまになる。伏せるとマットの凹に胸はぴったり収まった。

 スコープを覗いた俺は思わずでる罵りを噛み殺す。射手は見つけた。東の丘だ。しかし相手が悪い。伝説にまでなっている東郷だった。しかもここからだと手前の木が大きな遮蔽物になり100%命中は難しい。並の相手ならとりあえず1発入れて慌てたところを仕留めればよいが、東郷なら動じることなくカルロスを仕留めてから行動を起こすだろう。
 すでにカルロスを載せた車台は動き始めていた。
 スコープから目をはなすとマットを外されたケースの内側のメタル部分に不安げな俺の顔が映っている。
 とっさにケースの内側を東に向けた。スコープの中の東郷は落ち着いたまま態勢をかえこちらに狙いをつけ始めた。彼のものといわれる伝説的な狙撃が頭に浮かぶのをこらえ息を整える。互いに狙いあった一瞬、俺は冷静に引き金を絞った。

<つづく>

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