税金は「裏ワザ」で9割安くなる

読了。
節税には計画性が必要ですねぇ。
小規模企業共済の存在は知っていましたが、個人情報でも使えるのでしたっけ。
入れるのであれば、オレの現状では結構美味しいなぁ。
→http://www.smrj.go.jp/skyosai/051296.html
サラリーマン（給与所得を得ている方）が副業的にマンション・アパートを経営している場合など
あたりが微妙っちゃ微妙ですねぇ。
いっぺん聞いてみようかしら。

税金は「裏ワザ」で9割安くなる (2007/11) 大村 大次郎 商品詳細を見る

ちょいデキ

読了。
ネーミングが良いですよね。
人よりほんの少しできたり差別化する。それも大事。
半歩先というか。
そういうスタンスを確認したり、ほんの少し役立つテクニックを楽しむのもよいでしょう。

ちょいデキ! (文春新書) (2007/09) 青野 慶久 商品詳細を見る

ゆびさきミルクティー 8 と 9

２００９年おかし製作所売り上げランキング（アマゾン）　第４９位

ゆびさきミルクティー 8 (ジェッツコミックス) (2009/10/29) 宮野 ともちか 商品詳細を見る

ゆびさきミルクティー 9 (ジェッツコミックス) (2009/10/29) 宮野 ともちか 商品詳細を見る

FULLMETAL SCHOOLGIRL by.isako 招かれざるもの(2)

（２）

　ウォームアップもそこそこに、合気道の形稽古、柔道の乱取りと続く。加古が見ているので俺はいつもより真剣だ。まさか本人じゃないとは想像も付かないにしても、怪しまれるのはまずい。ただ練習で未熟者とバレることはないだろう。特に相手がめぐみなら。

　それでも緊張したのか休憩の頃にはひどく疲れていた。
「おつかれさま」
と加古から渡されたタオルで汗をぬぐいながら、いやに楽しそうな理由をたずねる。
「だってさ。三木さんとあなた」
「私たちが？」
「性差を意識してないようだから」
「真摯な気持ちだからよ。まあ三木は紳士と言えるかもね」
「なんて言うかなあ。例えば三木さんがあなたの胸襟を捕って手首を捻る時」
「ええ」
「結構大胆だったから普通なら視線はあなたの胸に行くはずじゃない、男なら」
「三木は男じゃないってこと」
「そんな訳ないでしょうが」
実はそんな訳なんだが。
「そりゃね」
　そのあと後半の練習が始まり加古は嬉しそうに最後まで見学を続けていた。

　加古が三木に惚れる。それは、その外見、俺の肉体にと言うことなのだろうか。あるいは中身であるめぐみにであろうか。
　神秘的とか何とか褒めてくれたから多少は自信を持っていいとは思うけど、決定打は俺がウトウトしていた間の会話らしい。その証拠に道場からの帰り、加古はまた助手席を占有し、俺は会話の蚊帳の外だった。（蚊帳が何かは知らないが、表現は間違いないと思う）
　２人の会話は超高速になりついていけなくなったので、俺は自分の今後について考え始めた。元の体に戻す方法はあると説明を受けている。交換の目的はめぐみの頭脳を守るため、そして敵にその知識を与えないためだ。しかし入れ替わって数カ月、狙われている気配はない。めぐみは、監視下にあると言うのだが。
　それにしても、俺の戸惑はともかく、めぐみはいったいどう考えているんだろう。気楽で良いとはよく言っている。しかし男の肉体で、しかもこの国の感覚では人殺しの体で平気なのか。学校に行かなくてよいので研究が進むと言ったこともあるが、普通の生活を望んでいると言ったこともある。男として暮らすことが普通の生活とはとても思えない。もう少しのあいだ我慢して元に戻ろうと提案しよう。もともと危険からめぐみを守る自信はあるのかから。

　車が止まったので加古の利用する駅についたのかと思ったら、見知らぬ駐車場だった。
「ここは、どこ？」
「また話を聞いていなかったの？　あなたの服を見ようって」
「ずいぶん買ってもらったけど」
不満はあるが、もう充分な数がある。
「まあまあ、あなたって三木さん任せなんでしょう」
「ええ、まあ」
「友人のセンスを信じなさいって」
めぐみはもう車を降りていて選択の余地はありそうにない。
「じゃあ」

　ショッピングモールに入るとめぐみは別行動になり、俺は加古に手を引かれてある店の前についた。
「ちょっと、ここは」
「さあさあ、入った入った」
そこは女性用下着の店でディスプレイだけで目のやり場に困ってしまう。
　故郷の女性は顔さえ隠していることが多かった。そんな俺がこれほど風紀の乱れた国で女子として過ごす困惑はどれほどか。しかも今回は最悪である。
「し、下着は充分あるから」
「サイズは」
「え？」
「サイパンのさ、イギリスのい、ず…… ず？」
「意味はわかるって。でも知らない」
「もう！　すみません、採寸お願いします」
俺は店員に、もちろん女性だ、試着室に連れていかれた。なぜ下着屋に試着室が……ワケがわからない。
「服の上からじゃなく、脱がせちゃっていいですよ。私が選んできますから」
「かしこまりました」
あっという間に脱がされてしまう。
「これに換えてお待ちください」
「え～」
店員はさっと身を引きカーテンを閉める。俺の手の中には紙製らしいパンツが残った。試着はこの上にということなんだろうけど……
「もう良いかな？」
と加古。
「ちょっと待って」
慌てて紙のパンツをはいた。

　加古が選んできたのはいずれも大胆なデザインのもので目のやり場に困ってしまう。しかし拒否をしても、この場にいる時間が増えるだけだ。恥ずかしさをこらえ、加古の講評に反発しながらも、俺はさっさと下着のファッションショーを終えたい一心で出された下着を次々身につけた。

　結局、加古の選んだ六点とお礼に加古のものも二点を購入し、恥ずかしい買い物は終了した。時間を確認すると１時間以上もかけたことになる。
「三木さんを待たせすぎたかしら」
待ち合わせ場所にめぐみがいないのを見て加古は少し心配そうだ。
「意外に買い物好きだから……ほら来た」
ああ見えても中身は少女なのだから仕方がない。
　そばに来ためぐみの手の紙袋は、今や俺でも知っている有名ブランドのものだ。
「悪いな、待たせたか」
すっかりセリフが板についていやがる。
「私たちもいま来たところです、三木さん」
そう答える加古の視線は紙袋をさまよっている。さすがにめぐみは、すぐ気がついた。
「買い物に付き合ってくれたお礼です」
手にした小さな包はアクセサリーのものだ。
「めぐみに２つもらったのに」
「では、これは僕からってことで」
視線を受けて俺も付け足す。
「遠慮することないわ」
どうせ俺の金だと言うのはやめておこう。
「どうもありがとう」
いくら男女に鈍い俺でも加古の目の中にハートのマークが点灯するのに気づいた。さすがに後で文句を言おう。小うるさいとはいえ、俺を友人と言ってくれる加古をもてあそぶのはやめて欲しいと。

　３人そろって入ったのはフルーツパーラーだ。加古は『さすが三木さん』と上機嫌である。残念ながら雰囲気こそ慣れないが、今の俺の味覚にはぴったりの甘さである。
　めぐみはアイスコーヒーを（彼女の味覚もまた変化している）、加古と俺は甘さの金字塔と二つ名のつけられた巨大なパフェを注文した。これは俺の知る限りの果物をトッピングしたアイスクリームの化物なのだが、恐ろしいことに加古だけでなく俺もぺろりと平らげてしまった。
　俺より先に食べ終わった加古は通称空手部、実は総合格闘技だと言ういつもの説明をしながらめぐみ相手に俺の入部を勧め始めた。
　入れ替わり自体は好都合と考えているらしいめぐみも、俺が学校で目立たぬほうがよいだろうとたかをくくっていた。しかしその返事に俺は椅子から転げ落ちそうになる。
「親友の頼みなんだから引き受けてあげれば」
「三木さんは話がわかるわ」
「でも夕食の準備とか」
「クラブ活動が夜遅くまでってこてはないんでしょう、河内さん」
「最終下校は午後６時なので迷惑はおかけしないと思います」
「それなら良いんじゃないかな」
「ほら、三木さんもああ言ってくれてることだし」
会話の流れで断りにくい状況になっていた。それに女２人の口に俺がかなうはずもなく１０分ほどで陥落する。
「毎日って言うわけにはいかないけど」
「それで十分、走って五分」
俺の日本語が怪しいのに気づいている加古は時々妙な言葉で俺を惑わす。
「五分や十分で帰りはしないけど」
二人に笑われて俺はむくれた。

＜つづく＞