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ぼく、お兄ちゃんなのにっ!

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おなじみ恥辱庵さんが漫画にも進出♪こいつは負けていられませんね。

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モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

読了。
サイト運営に関しては非常に上手に、やとわれ仕事に関しても割と上手に、オレはやる気を維持しているのです。
自律性、熟達、没頭。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すかモチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
(2010/07/07)
ダニエル・ピンク

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僕の秘密日記(19)  by A.I.

僕の秘密日記(19)

挿絵:うずら夕乃

 脱衣所に入ると硫黄の臭いが鼻の粘膜を刺激した。この硫黄臭を嗅ぐと温泉に来たのだという実感が強まる。
「なになに、美肌と若返りに効果がある温泉か」
 浴衣を脱ぎながら効能について書かれていた板に目を通してみた。成人病予防にも効果があるらしいけど、気になるのは美肌効果だね。
 男だったときは股間をタオルで隠して浴場に入っていた。女になってからは股間だけ隠して入るわけにはいかない。
「ゆうきに銭湯に連れこまれた経験が役に立ったね」
 女性がどのように戸口から入っていたか僕はちゃんと確認していた。やや大きめの手ぬぐいで胸元を隠しながら下に垂らしておけばいい。何も隠さないで入る人もいるけどね。
「うわぁ、立派な温泉だね。広いなぁ」
 お湯がたっぷりと満たされた、メインの広々とした天然温泉のほかにも、薬草を入れた湯やサウナまで完備されている。温泉の色は透明度が低く乳白色をしていて、いかにも効能がありそうだ。
「さっさと体を洗ってゆっくりと温泉を堪能するかな」
 冬休みということもあってか大勢の人が温泉を楽しんでいる。子供の姿がちらほら見られたが、僕と同じ年ぐらいの女性もいた。あとでそれとなく近寄ってみるかな。
「高級感のあるソープだね。柑橘系の匂いが鼻をくすぐるよ」
 備えつけられているソープ類は、家で使っているものより質が高そうだ。爽やかな香りに包まれると、気分がすっきりとしてくる。
「お湯がぬるっとしているね」
 体を洗い終わって乳白色の温泉に入ると、ぬるぬるとした湯が肌にまとわりついてくるようだ。
「粘着質な感じがするね。温泉から出ればさらさらするようだけど」
 このお湯に浸かっていると、精液が頭に浮かんできてしまう。女子高生なら実際に精液なんか見たことないだろうけど、僕はその臭いも手触りも知っているからね。味まではさすがに知らないけどさ。
「あう、何を思い出しているんだか……」
 射精の感覚を思い出した僕は恥ずかしくなって、鼻の下まで温泉に潜ってぶくぶくと泡を吐いていた。温泉の味はすっぱい感じがして、美味しくはなかったね。
「ぶはぁ、ごほごほっ」
「すいません。こら、お姉ちゃんにちゃんと謝りなさい」
「……お姉ちゃん、ごめんなさい」
 温泉に飛びこんできた小さな女の子のあおりを受けて、津波のように押し寄せたお湯に僕は飲まれてしまった。鼻にお湯が入って痛い。
「別にいいですよ」
 お湯をしたたらせながら僕は頭を下げる母娘に軽く笑ってみせた。僕がお姉ちゃんか。そんな風に呼ばれるなんてね。おかしくはないのだけど、奇妙な感覚に捕らわれるよ。
 あの無邪気そうな女の子は、持って生まれた性に疑問を抱いたことはないだろうな。僕も最初から女性として産まれていれば、悩まなくて済んだのにと思う。
「気にしすぎだね。暗くなってもしょうがないな」
 せっかく温泉旅行に来たのに気持ちを沈ませてはどうしようもない。目の保養でもして気分を盛り上げるとしますか。僕はあまり歳の変わらない女性のほうへ目を向けた。
「あの子、顔は中学生ぐらいに見えるのに発育がいいね」
 白濁しているお湯では肩から下はあまり見えないけど、胸の大きさぐらいは何となくわかる。
「女子大生らしいおねーさん方は見事なおっぱいをしているね」
 美しいものを無料で見られるのは眼福ですよ。
「僕が胸の大きさで勝っているのは、さっきの子供ぐらいかね」
 中学生にも負けるナイ乳というのは、悲しいものがあるかもしれない。いやらしい感情を含んで見始めたのに、いつしかまた落ちこんでいた。僕のなかには男と女の相反する感情が混在しているからね。その時々で支配される感情が変わるのは仕方ない。
「ふぅ、長湯をしちゃったかな」
 手を見てみると水分を吸収して指の腹にしわができていた。そろそろ湯から上がらないとのぼせてしまいそうだ。女性と一緒のお風呂ということで、頭に血が上りやすくなっているかもしれない。慣れたほうがいいのだろうけど、元男としては慣れたくない気もする。
「温泉の効能のお陰かな?」
 湯からあがったばかりの肌は、しっとりとしてつるつるしていた。元からキメ細かい白い肌だけど、潤いが増して磨きがかかった気がする。美肌効果があるというのは本当らしい。部屋に備えつけられた専用の露天風呂にもあとで入ろうっと。
「旅館にいるときは髪をほどいたままにしておこうかな」
 ツインテールはやめて髪を後ろに垂らしたままにしておいた。浴衣で髪を下ろした姿というのは、湯上りの艶やかな顔と相まって色っぽい風情がある。
「喉が渇いたね。旅館で売られているものはそれなりの値段がするか。しょうがないね」
 通路に設置された自販機でオレンジジュースを買って、僕はよく冷えた液体を喉に押しこんだ。乾いた体に水分が染み渡り、胃が熱くなるような気がする。
「あれ? これってオレンジサワーじゃないか」
 ジュースにしてはやけに高いはずだ。アルコール臭い息を吐いて僕は缶を持て余した。まだほとんど残っているままで、このまま捨てるのも腹が立つ。お菓子の材料にする手もあるだろうが、持って帰るのも手間だ。
「どうしようかなぁ」
 缶を持ったまま部屋に戻るとまだとおるの姿はなかった。ほぼ壁一面の窓からは夕陽が差し込み、部屋が橙色に染まっている。雪山も同じようにオレンジ色に浮かび上がり、神秘的な風景を前に僕は目を奪われていた。
「温泉に入りながらこの光景を目に焼きつけるというのはいいかもしれないね」
 手に持った缶を無意識に置き去りにすると、僕の中ではその存在は忘れ去られた。浴衣を脱いで真っ裸になるとバルコニーに足を踏み入れる。
「さぁぁむぅぅっ。早く入らないと凍えちゃうよ」
 山風が吹きつけてきて、僕の体温を奪っていく。髪が後ろになびいた。僕は慌てて岩作りの露天風呂に足を突っこんだ。熱い湯に体を馴染ませつつ、ゆっくりと肩まで浸かる。
「ふぅ、絶景かな、絶景かな」
 日が沈むに従って、白い雪山が刻一刻と色を変えていく。露天風呂ならではの醍醐味だ。
「一人でこの光景を独占するのはもったいないかな」
 そう思っていると、とおるが部屋に戻ってきた。
「とおる、露天風呂に入ってこいよ。いい眺めだよ」
 僕から誘うなんて、一口飲んだオレンジサワーの酔いがあったかもしれない。せっかくの眺めを共有したかったしね。
「……混浴になるがいいのか?」
「お湯は濁っているから僕の裸は見られないよ。それに僕の裸なんて見飽きているだろ」
「飽きるということはないぞ」
 とおるは露天風呂に入る前に、水筒に温泉のお湯を詰めていた。早く入って欲しいのだけどね。山風が吹くたびにタオルがはためいて股間のものが見える。
 とおるとは小中ずっと同じクラスで、修学旅行も一緒だったから、お互いの裸は見慣れているはずだった。そのはずなのだけど、やはり意識の変化はあるよね。
「お湯なんてあとでいくらでも汲めるじゃないか。今はこの景色を眺めようよ」
「……あきらの入ったお湯は今しか汲めないからな」
「すっぱくて飲めたものじゃなかったけどね」
 そんなものを飲んでも腹を壊すだけだよ。とおるがトイレの住人になれば、カニ料理を独占できるかもしれないけどね。
「ほら、いい景色でしょ」
 露天風呂は二人が入っても充分な広さがあった。少し前までは同じ男湯に入るのが当たり前だったのに、今ではこんな機会でもなければ一緒のお湯に浸かることはない。とおるが望んだ結果だろうけど、距離ができたといえなくもなかった。
「雪山がオレンジからピンクに染まっていくな」
「美しい光景だね」
 太陽が沈みかけて光が弱まると、山肌は桜色に色づいていた。僕は飽きることなく山の雄大な景色を目で捉えている。感嘆の声を漏らす僕の顔をとおるは横で眺めていた。
「ああ、完全に日が沈んでしまったね」
 地平線の向こうに夕陽が隠れてしまうと、空が青みを増して暗くなり始めた。漆黒の闇の帳が落ちるまでは、群青色の寒空が天を覆っている。
「湯だってしまいそうだけど、このまま星空を見上げるというのもいいね」
「一番星が出たな」
「え、どれかな?」
 僕が一番星を探している間に夜空には星の輝きが増えてどれがそうだったかわからなくなった。旅館を除けば周りに人工の明かりがないために、全天に星の瞬きを見られる。
「オリオン座がよく見えるね。その上にある星はなにかな?」
「カストルとポルックス。ふたご座を構成する星だな」
 学校の勉強だけでなく雑学にもとおるは詳しかった。僕がわかる星座なんて片手で数えられる。
「あきらと双子なら良かったのにな」
「とおるの面倒をずっと見るのは遠慮したいね。それに兄弟だとその関係はずっと変わらないよ」
 面倒見のいい弟や妹なら欲しかったけどね。
「それは困るな。俺はあきらと一緒になると決めたんだ」
「せいぜい頑張ることだね」
 含みを持たせた言い方では無駄に期待させてしまうかもしれないが、可能性がゼロとは言わないよ。
「ふぅ、あつぅ。長湯しすぎたかな」
 僕は露天風呂で段差となっている岩に腰かけた。火照った体に夜風が心地よい。腰までお湯に浸かっていればさほど寒さも感じなかった。
「僅かだが成長しているな」
 隣のバカはぽとぽと鼻血を流している。とおるの周りだけ温泉が鉄臭くなりそうだよ。掛け流しだから新しいお湯がどんどん入ってくるけどね。
「あ、流れ星だ!」
 尾を引いて輝きながら落ちる星の欠片。願いを三回言おうかと思ったけど、願い事を考える間に流れ星は消えていた。

僕の秘密日記 挿絵2

「なかなか願い事を三回言うのは難しいね」
「流星が発光している時間はたいてい一秒前後だからな。願いが決まっていても、三回言葉に出すのは大変だぞ」
 流れ星にする願掛けを考えてみたけど、これといったものが思いつかない。即座に思いつくのは、家内安全、健康長寿といったところかな。
「とおるが流れ星に願うとしたら何かな?」
「恋愛成就」
「……聞いた僕が悪かったよ」
 僕はお湯をちゃぷちゃぷと蹴りながら星空を見上げていたけれど、流れ星は再び訪れなかった。もう一度くらいは見たかったけど、お湯にいるのもそろそろ限界だ。
「僕は先にあがるね」
 浴衣に着替えなおしている間に、ガラス窓に紅い花が咲いたけど気にしない。羞恥心がないわけじゃないけど、とおる相手にわざわざ隠そうとするのもね。
 入院中に体を散々見られているし、研究資料として薬を飲み始めてからの画像データも渡した。あの画像は僕の裸が写っているからね。とおるには神経質に体を隠す気になれないんだよ。秘密を共有しているわけだしね。
「仲居さんが来る前に窓を洗い流しておけよ」
「ああ、わかった。湯上りのあきらはとても色っぽかったぞ」
 とおるが露天風呂からあがるまで、僕は客間にあるテレビを見ていた。雪だるまを作って体を動かしたしお腹はぺこぺこだ。カニ料理が待ち遠しかった。

<つづく>

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