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翻訳性転換小説第67番 Driven ノセられて(その2)
原作 Driven 原作者 Topaz172 email:topaz172@aol.com
「起きてくださいませ。ご主人さま」
内股に僅かな痛みがあって、オレは目を覚ます。
あ、あれ?
この声は?
「白バイがすぐ後ろに来てます。あなたが居眠り運転をしてると思っているようですわ。警官を欺く為に、首と耳が悪い振りをしてくださいね」
え?
あ、ああ。
オレはウインドウを下げて言われた通りに警官に答える。
「すいません。もう少し大きな声でおっしゃって下さい」
「ああ。耳が悪かったんですか。寝ているのかと思いました。どうもすいません。それでは」
白バイは速度を上げて走り去る。
ふぅ。
って、ここどこ?
オレは路肩に車を止めて、声が出ていると思われる場所に向かってしゃべる。
「お前、だれ?」
「あなたの愛車、ルゥですわ。ご主人さまぁ」
可愛らしい女性の大きな声が響く。
「もう少し、小さな声で」
「かしこまりました、ご主人さま。申し訳ありません」
しょぼんとした声の感じにちょっと言い過ぎたかなと反省する。
「えーっと。どうなってんだ?」
「ご主人様が運転中に眠ってしまわれたのでぇ。仕方なく、自動モードを起動しましたぁ。だって、ご主人さまったら気持ちよさそうに眠ってらしたからしょうが無かったんですぅ。でもでも、警官の奴に見つかっちゃいましたのでぇ。仕方なく、起きて頂きましたぁ。ホンット、むかつくぅ」
「あー。そんで、ここ。どこ?」
「GPS表示!表示、拡大!ここでーす」
「インヴァネスだって!?」
オレは蒼ざめた。
「あたし、ご主人さまがどこに行こうとしてたのかな、って考えたんです。ハンドルは北に向いてたから、そのままずーっと北かなって思ったの。すごいでしょ」
「OH!MY GOD!」
オレは途方にくれた。
「そんな大げさな。有難う、で十分ですわ、ご主人さまぁ」
「あ、ありがとう」
はるか遠くに来てしまった。
どうしよう。
「えーっと、明日の午前8時までにブリストルに戻れるかな?遅刻したらスミスの奴に殺されるんだ」
「もちろん、大丈夫ですぅ。あたしにお任せ願えれば。ご主人さまはずーっと寝ていらっしゃって大丈夫ですよぉ。絶対、絶対大丈夫ですから」
「判ったよ。任せる」
「ありがとうございます。ご主人さま」
急に、彼女はトーンを下げてオレに囁く。
「ご主人さまはリラックスした睡眠状態に戻ると思います。あたしはご主人さまに聞いて頂くサウンドを調整致しますね」
「ああ」
オレは背中をシートに深く埋める。
眠い。
とても眠い。
すっと眠っていたのに。
ヘッドレストが自動的に調整されてオレの頭を包み込む。暖かいイヤホンがゆっくりと、しかし、しっかりと耳に挿入される。
かすかな音楽が聞こえる。
なかなか聞き取れない。
それを聞き取ろうと集中しているうちに。
オレは深い眠りに落ちた。
アキラが行方不明になった。
仕事に来ない。
あいつはそんな奴じゃ無い。
何かの事件に巻き込まれたのかもしれない。
探さなきゃならない。
行かなけりゃ。
オレは毎日仕事が終わればアキラを探しにルゥを駆って街を走り回った。
スミスの野郎はこのままだとアキラをクビにするだろう。
そう言うと、ルゥはアキラがいそうなところを探し回りましょうと提案してくれた。
その通りだ。
それが友達ってもんだ。
おまけにルゥとドライブもできる。
水曜日までアキラの捜索に自由時間を全部注ぎ込んだ。
ルゥは、あちらこちらにアキラのいた形跡が有る、と言う証拠を見つけて来てくれた。
そのどれもが、素敵な長旅となった。
ルゥに乗っての旅はまったく疲れることも苦痛も無かった。
最初は怪しい場所から回った。
行きつけのバーや酒場の類。
好きだったボクシングクラブ。
でもだんだん、可能性が低いところまで回るようになった。
優雅な歩き方の講習会。
ランジェリーの展示会。
エステティッククラブ。
アロマセラピー。
奴はこんな趣味だったのか?
謎だ。
奴は一体どうなっちまったんだ。
オレには分かる。
奴の身が危ないんだ。
木曜日の夜。
家へ帰ろうとしたら、ルゥに呼び止められた。
「待って。もう少しお話していたいの」
「オレもさ」
だから、オレたちは長い長い間語りあかした。
ルゥの中で寝た。
ルゥは素晴らしい。
魅力的だ。
とっても。
ルゥはまるでオレの為に作られたような。オレの欠けた半分であるかのようだった。そして、オレとの会話からさらにルゥは進化していくのだ。オレはもうルゥを手放せなくなっていた。
ルゥはオレが大好きなあの音をオレの為に流してくれる。
オレはあの音を聞いている時が一番気持ちよくって、落ち着くのだ。
うっとりと幸せな気分になるのだ。
それにルゥはオレの人生の全ての領域において、面白くて洞察に満ちた意見を持っているようだ。
まさか化粧をする事がこんなに複雑で面白い事だとは今まで思いもよらなかった。ファンデーションの塗り方一つで、見違えるように綺麗になるのだ。オレは化粧の楽しさに夢中になった。
なぜそんなことを知っているのか分からなかったが、ルゥはなんでも知っていた。そして、もちろん。彼女は最良の手段を知っていたし、それはとても魅力的だったのだ。
例えば、ストッキングとタイツのどちらが良いか?
「あら、試してみれば良いじゃありませんか」
まったく、その通りだ。なんでこんな簡単な事に気がつかなかったのか。
実際に、やってみた。
やっぱり彼女は正しかった。ストッキングの方が、断然、良いっ。すごく良いっ。
そして、サスペンダーを取り付ける事で、もっと。こんなにもセクシーになるんだ。
ああっ。
あたり前だが、この実験は科学的な正確さを期する為、足の毛を全て脱毛してから行った。念の為。
<つづきはこちら>
「起きてくださいませ。ご主人さま」
内股に僅かな痛みがあって、オレは目を覚ます。
あ、あれ?
この声は?
「白バイがすぐ後ろに来てます。あなたが居眠り運転をしてると思っているようですわ。警官を欺く為に、首と耳が悪い振りをしてくださいね」
え?
あ、ああ。
オレはウインドウを下げて言われた通りに警官に答える。
「すいません。もう少し大きな声でおっしゃって下さい」
「ああ。耳が悪かったんですか。寝ているのかと思いました。どうもすいません。それでは」
白バイは速度を上げて走り去る。
ふぅ。
って、ここどこ?
オレは路肩に車を止めて、声が出ていると思われる場所に向かってしゃべる。
「お前、だれ?」
「あなたの愛車、ルゥですわ。ご主人さまぁ」
可愛らしい女性の大きな声が響く。
「もう少し、小さな声で」
「かしこまりました、ご主人さま。申し訳ありません」
しょぼんとした声の感じにちょっと言い過ぎたかなと反省する。
「えーっと。どうなってんだ?」
「ご主人様が運転中に眠ってしまわれたのでぇ。仕方なく、自動モードを起動しましたぁ。だって、ご主人さまったら気持ちよさそうに眠ってらしたからしょうが無かったんですぅ。でもでも、警官の奴に見つかっちゃいましたのでぇ。仕方なく、起きて頂きましたぁ。ホンット、むかつくぅ」
「あー。そんで、ここ。どこ?」
「GPS表示!表示、拡大!ここでーす」
「インヴァネスだって!?」
オレは蒼ざめた。
「あたし、ご主人さまがどこに行こうとしてたのかな、って考えたんです。ハンドルは北に向いてたから、そのままずーっと北かなって思ったの。すごいでしょ」
「OH!MY GOD!」
オレは途方にくれた。
「そんな大げさな。有難う、で十分ですわ、ご主人さまぁ」
「あ、ありがとう」
はるか遠くに来てしまった。
どうしよう。
「えーっと、明日の午前8時までにブリストルに戻れるかな?遅刻したらスミスの奴に殺されるんだ」
「もちろん、大丈夫ですぅ。あたしにお任せ願えれば。ご主人さまはずーっと寝ていらっしゃって大丈夫ですよぉ。絶対、絶対大丈夫ですから」
「判ったよ。任せる」
「ありがとうございます。ご主人さま」
急に、彼女はトーンを下げてオレに囁く。
「ご主人さまはリラックスした睡眠状態に戻ると思います。あたしはご主人さまに聞いて頂くサウンドを調整致しますね」
「ああ」
オレは背中をシートに深く埋める。
眠い。
とても眠い。
すっと眠っていたのに。
ヘッドレストが自動的に調整されてオレの頭を包み込む。暖かいイヤホンがゆっくりと、しかし、しっかりと耳に挿入される。
かすかな音楽が聞こえる。
なかなか聞き取れない。
それを聞き取ろうと集中しているうちに。
オレは深い眠りに落ちた。
アキラが行方不明になった。
仕事に来ない。
あいつはそんな奴じゃ無い。
何かの事件に巻き込まれたのかもしれない。
探さなきゃならない。
行かなけりゃ。
オレは毎日仕事が終わればアキラを探しにルゥを駆って街を走り回った。
スミスの野郎はこのままだとアキラをクビにするだろう。
そう言うと、ルゥはアキラがいそうなところを探し回りましょうと提案してくれた。
その通りだ。
それが友達ってもんだ。
おまけにルゥとドライブもできる。
水曜日までアキラの捜索に自由時間を全部注ぎ込んだ。
ルゥは、あちらこちらにアキラのいた形跡が有る、と言う証拠を見つけて来てくれた。
そのどれもが、素敵な長旅となった。
ルゥに乗っての旅はまったく疲れることも苦痛も無かった。
最初は怪しい場所から回った。
行きつけのバーや酒場の類。
好きだったボクシングクラブ。
でもだんだん、可能性が低いところまで回るようになった。
優雅な歩き方の講習会。
ランジェリーの展示会。
エステティッククラブ。
アロマセラピー。
奴はこんな趣味だったのか?
謎だ。
奴は一体どうなっちまったんだ。
オレには分かる。
奴の身が危ないんだ。
木曜日の夜。
家へ帰ろうとしたら、ルゥに呼び止められた。
「待って。もう少しお話していたいの」
「オレもさ」
だから、オレたちは長い長い間語りあかした。
ルゥの中で寝た。
ルゥは素晴らしい。
魅力的だ。
とっても。
ルゥはまるでオレの為に作られたような。オレの欠けた半分であるかのようだった。そして、オレとの会話からさらにルゥは進化していくのだ。オレはもうルゥを手放せなくなっていた。
ルゥはオレが大好きなあの音をオレの為に流してくれる。
オレはあの音を聞いている時が一番気持ちよくって、落ち着くのだ。
うっとりと幸せな気分になるのだ。
それにルゥはオレの人生の全ての領域において、面白くて洞察に満ちた意見を持っているようだ。
まさか化粧をする事がこんなに複雑で面白い事だとは今まで思いもよらなかった。ファンデーションの塗り方一つで、見違えるように綺麗になるのだ。オレは化粧の楽しさに夢中になった。
なぜそんなことを知っているのか分からなかったが、ルゥはなんでも知っていた。そして、もちろん。彼女は最良の手段を知っていたし、それはとても魅力的だったのだ。
例えば、ストッキングとタイツのどちらが良いか?
「あら、試してみれば良いじゃありませんか」
まったく、その通りだ。なんでこんな簡単な事に気がつかなかったのか。
実際に、やってみた。
やっぱり彼女は正しかった。ストッキングの方が、断然、良いっ。すごく良いっ。
そして、サスペンダーを取り付ける事で、もっと。こんなにもセクシーになるんだ。
ああっ。
あたり前だが、この実験は科学的な正確さを期する為、足の毛を全て脱毛してから行った。念の為。
<つづきはこちら>
ひとりでできるもん ~オトコのコのためのアナニー入門~
電子化されました♪
電子化すべき書籍でしたね。いろんな意味で。
ひとりでできるもん ~オトコのコのためのアナニー入門~ DMM版
ひとりでできるもん~オトコのコのためのアナニー入門~ DLsite.com版
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![]() | ひとりでできるもん ~オトコのコのためのアナニー入門~ (2009/11/25) あぶひゃく 商品詳細を見る |
翻訳性転換小説第67番 Driven ノセられて(その1)
原作 Driven
原作者 Topaz172 email:topaz172@aol.com
日本語版 Driven ノセられて
日本語訳 あむぁい
キャラデザイン&挿絵 挿絵:東宵由依

オレがモてないのは車のせいだ。
ある日突然気付いた。
オレの名はジョン・ジェームス。
オレの愛車はスコーダ。
頑丈なだけが取りえの無骨な車。
オレ的にはかなりイケてるのだが、これじゃあ女の子は寄ってこない。
友達の三河アキラが良いトコがあるって教えてくれた。
「マスターのボディ改造・販売店」は薬品の流出とガス爆発の多さで有名なケミカルウェイストマネジメント社の右隣にあるホワイトホース公園の後ろにあった。
車のアップグレードなら、マスターの店におまかせっ!
アキラはそう主張した。
店自体は汚いバラックみたいだったけど。置いてある車は先鋭的なクールなものだった。
店の中には3人の綺麗な金髪のメカニックのお姉さん達が作業をしている。彼女達のオーバーオールはサイズが小さいかのように胸の部分がきつく引っ張られている。
オレはお姉さんの一人に声を掛ける。
「こんにちはっ!」
お姉さんの一人が軽くおじぎをして、奥の事務所に引っ込む。そして、しばらくして営業担当者とおぼしき美しい女性がさっきのメカニックを連れてやってくる。
「いらっしゃいませ。マスターの店へようこそ。如何なされました?」
「スコーダなんだけどさ。これをベースにカスタマイズとかできるかな?旧式だけど」
オレは尋ねた。
「お客様、マスターの店の名に賭けて、いかなる車であろうともご満足の行くように改造いたしますとも。お客様のために、個性的で目を引く車にしてごらんにいれます」
営業担当の女性はスコーダの外観をチェックして、それからエンジンを指差した。エンジニアの女の子は指示通りにエンジンに向かって屈む。彼女の胸がぷるんと揺れる。
彼女が指をならすと、もう一人のエンジニアの女の子がやって来て、俺の足のサイズを測る。
オレは彼女の胸元を上から見下ろす。
絶景。
なんてセクシーなおっぱいだ。
オレの股間がむずむずと動く。
と、思ったら女の子が股間のあたりまでメジャーをあてているではないですか。
「う。なにしてんの?」
「お客様のサイズに車を合わせるのです。お客様にぴったりフィットするように、皮職人に作らせるのです」
販売員が答える。
「もしも、よろしかったら。より精密な測定ができますが?」
販売員の言葉にメカニックがオレのジッパーに手を掛ける。
「う、うん」
オレが頷くと、彼女は更にオレの細部の測定をはじめる。おちんちんの長さまで。
二人の無口なエンジニアのお姉さんたちは販売員に結果を書いたシートを渡す。
無口なお姉さんたちだな。
「大丈夫です。もちろん、元がスコーダですから、大改造になりますし、内装もずいぶんいじらないといけませんが。きっとあなたに喜んで頂けるものを提供できると思います。ボディの外装のデザインには少々時間がかかります。コントロールパネルと内部装備の改造を今すぐにはじめましょう」
「おいくらですか?」
オレはなんだか大事になりそうだったのであわてて聞いた。
「最初の仕事に1000ドルです。1週間で改造できますよ」
全体ではいくらになるんだ。オレは不安になった。
でも、メカニックのお姉さん達と販売員の期待に満ちた目がオレを追い詰める。
「あー。お願いします」
「かしこまりました。タクシーをお呼びしますね。お客様」
オレはキーを彼女に渡してタクシーで帰った。
次の一週間は車が無くて不便だった。
さえない車であっても公共機関を使うよりはマシだ。
なんせ、この辺は最終バスが19時に出てしまうのだ。
何もできやしない。
アキラに乗せてもらうのをあてにしていたが、アキラは忙しそうで連絡が取れなかった。
だから、車を受け取る日が来てほっとした。
前と同じようにメカニックの少女は無口だがとってもセクシーで、販売員を呼んでオレの車が置かれている所へと連れて行ってくれた。
外は前と変わってないように見えた。でも、内側は。
なんと言う事でしょう!
無骨な古いダイヤルは最新鋭のタッチパネル付きコンピューターディスプレイに取り替えられていました。純白に僅かにピンクが入った皮のシートは熟練の職人が手作りで貼ったもので肌触りが最高。無数にある小さなディスプレイはまるで飛行機の操縦席のように、外と中の様子を運転手に伝える事ができます。さらには、スタートレックのエンタープライズ号の艦橋よりも快適にすごせそうな二つのシートには白い皮にマッチしたとても寝心地の良さそうなヘッドレストが装備されていて、休みたくなったらいつでもリクライニングシートに早代わり。まさに匠の技!
「おお!」
1000ドルは安い。
「進化したコマンドコンソールを扱うには少々慣れが必要ですわ。お客様」
ふむふむ。
「最先端の機能を最大限に使いこなすようになるまで、通常より長めに試運転をなさっていただきたいですわ」
「試運転ですか?」
「その通りでございます」
オレは車に乗り込む。
それとほぼ同時にエンジンが起動する。自動的に。
パネルの電源が勝手に入っていき、シフトギアがあった場所のパネルがファーストギアの表示を点ける。
おお。
オレが気にしなきゃならないのはハンドルだけって訳か。
スムーズに発進し、オレは快適なドライブを楽しむ。
少しだけ低いハム音が気になったけど。
なめらかで静かで。
今まで出した事の無いスピードで運転できた。
席は心地よくって暖かくって空気は良いし。
非常に快適。
快適で……
心地よいハム音が気持ちよい。
つづきはこちら
20050717 初出
20101230 イラストを追加して改装
原作者 Topaz172 email:topaz172@aol.com
日本語版 Driven ノセられて
日本語訳 あむぁい
キャラデザイン&挿絵 挿絵:東宵由依

オレがモてないのは車のせいだ。
ある日突然気付いた。
オレの名はジョン・ジェームス。
オレの愛車はスコーダ。
頑丈なだけが取りえの無骨な車。
オレ的にはかなりイケてるのだが、これじゃあ女の子は寄ってこない。
友達の三河アキラが良いトコがあるって教えてくれた。
「マスターのボディ改造・販売店」は薬品の流出とガス爆発の多さで有名なケミカルウェイストマネジメント社の右隣にあるホワイトホース公園の後ろにあった。
車のアップグレードなら、マスターの店におまかせっ!
アキラはそう主張した。
店自体は汚いバラックみたいだったけど。置いてある車は先鋭的なクールなものだった。
店の中には3人の綺麗な金髪のメカニックのお姉さん達が作業をしている。彼女達のオーバーオールはサイズが小さいかのように胸の部分がきつく引っ張られている。
オレはお姉さんの一人に声を掛ける。
「こんにちはっ!」
お姉さんの一人が軽くおじぎをして、奥の事務所に引っ込む。そして、しばらくして営業担当者とおぼしき美しい女性がさっきのメカニックを連れてやってくる。
「いらっしゃいませ。マスターの店へようこそ。如何なされました?」
「スコーダなんだけどさ。これをベースにカスタマイズとかできるかな?旧式だけど」
オレは尋ねた。
「お客様、マスターの店の名に賭けて、いかなる車であろうともご満足の行くように改造いたしますとも。お客様のために、個性的で目を引く車にしてごらんにいれます」
営業担当の女性はスコーダの外観をチェックして、それからエンジンを指差した。エンジニアの女の子は指示通りにエンジンに向かって屈む。彼女の胸がぷるんと揺れる。
彼女が指をならすと、もう一人のエンジニアの女の子がやって来て、俺の足のサイズを測る。
オレは彼女の胸元を上から見下ろす。
絶景。
なんてセクシーなおっぱいだ。
オレの股間がむずむずと動く。
と、思ったら女の子が股間のあたりまでメジャーをあてているではないですか。
「う。なにしてんの?」
「お客様のサイズに車を合わせるのです。お客様にぴったりフィットするように、皮職人に作らせるのです」
販売員が答える。
「もしも、よろしかったら。より精密な測定ができますが?」
販売員の言葉にメカニックがオレのジッパーに手を掛ける。
「う、うん」
オレが頷くと、彼女は更にオレの細部の測定をはじめる。おちんちんの長さまで。
二人の無口なエンジニアのお姉さんたちは販売員に結果を書いたシートを渡す。
無口なお姉さんたちだな。
「大丈夫です。もちろん、元がスコーダですから、大改造になりますし、内装もずいぶんいじらないといけませんが。きっとあなたに喜んで頂けるものを提供できると思います。ボディの外装のデザインには少々時間がかかります。コントロールパネルと内部装備の改造を今すぐにはじめましょう」
「おいくらですか?」
オレはなんだか大事になりそうだったのであわてて聞いた。
「最初の仕事に1000ドルです。1週間で改造できますよ」
全体ではいくらになるんだ。オレは不安になった。
でも、メカニックのお姉さん達と販売員の期待に満ちた目がオレを追い詰める。
「あー。お願いします」
「かしこまりました。タクシーをお呼びしますね。お客様」
オレはキーを彼女に渡してタクシーで帰った。
次の一週間は車が無くて不便だった。
さえない車であっても公共機関を使うよりはマシだ。
なんせ、この辺は最終バスが19時に出てしまうのだ。
何もできやしない。
アキラに乗せてもらうのをあてにしていたが、アキラは忙しそうで連絡が取れなかった。
だから、車を受け取る日が来てほっとした。
前と同じようにメカニックの少女は無口だがとってもセクシーで、販売員を呼んでオレの車が置かれている所へと連れて行ってくれた。
外は前と変わってないように見えた。でも、内側は。
なんと言う事でしょう!
無骨な古いダイヤルは最新鋭のタッチパネル付きコンピューターディスプレイに取り替えられていました。純白に僅かにピンクが入った皮のシートは熟練の職人が手作りで貼ったもので肌触りが最高。無数にある小さなディスプレイはまるで飛行機の操縦席のように、外と中の様子を運転手に伝える事ができます。さらには、スタートレックのエンタープライズ号の艦橋よりも快適にすごせそうな二つのシートには白い皮にマッチしたとても寝心地の良さそうなヘッドレストが装備されていて、休みたくなったらいつでもリクライニングシートに早代わり。まさに匠の技!
「おお!」
1000ドルは安い。
「進化したコマンドコンソールを扱うには少々慣れが必要ですわ。お客様」
ふむふむ。
「最先端の機能を最大限に使いこなすようになるまで、通常より長めに試運転をなさっていただきたいですわ」
「試運転ですか?」
「その通りでございます」
オレは車に乗り込む。
それとほぼ同時にエンジンが起動する。自動的に。
パネルの電源が勝手に入っていき、シフトギアがあった場所のパネルがファーストギアの表示を点ける。
おお。
オレが気にしなきゃならないのはハンドルだけって訳か。
スムーズに発進し、オレは快適なドライブを楽しむ。
少しだけ低いハム音が気になったけど。
なめらかで静かで。
今まで出した事の無いスピードで運転できた。
席は心地よくって暖かくって空気は良いし。
非常に快適。
快適で……
心地よいハム音が気持ちよい。
つづきはこちら
20050717 初出
20101230 イラストを追加して改装
水曜イラスト企画 絵師 東宵由依さん(13) キャラ名:ジョン・ジェームス
キャラ設定
原作:Topaz172 email:topaz172@aol.comさんの重イラスト付き翻訳性転換小説に改装する”Driven ノセられて”の主人公。
”Driven ノセられて”はこの年末年始、順次公開していきます。
絵師:東宵由依 光の砦

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。
本キャラは基本的にはTopaz172さんの専用です。
原作:Topaz172 email:topaz172@aol.comさんの重イラスト付き翻訳性転換小説に改装する”Driven ノセられて”の主人公。
”Driven ノセられて”はこの年末年始、順次公開していきます。
絵師:東宵由依 光の砦

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラは基本的にはTopaz172さんの専用です。
はやぶさ Ⅲ(3) by.isako
(3)
なぜこんなことになったのだろう。伊達には理解出来ない。確かに流れのままではあるけれど。あらためて思い返しているとドアがノックされた。
「どうぞ」
と言う返事に入ってきたのは姉の香緒里だ。
「いつまで閉じこもっているの。主役なんだからそろそろ出てこないと」
「姉さん、おかしいよ、やっぱり」
「ここで取りやめるのが無理なのは分かっているでしょう」
「でもさ」
「あなたも納得したじゃない」
「そうなんだけど……やっぱり間違っている気がして」
「映画が予想以上の大ヒットで風間薫はそう簡単に身を引くことができないんだから」
「それもわかってるけど」
「悩むのはわからなくもないけど、時間よ。さあ風間薫になりきるのよ」
「はい」
「どう、薫」
「なんだか緊張しちゃって。大丈夫かしら。変じゃない?」
「ウェディングドレス、とても似合ってるわよ」
「でも、やっぱり」
「本当に、お式を止めるとか言うんじゃないでしょうね」
「三十路間近の姉さんを差し置いて結婚しちゃうのが悪くって」
「あーのーねぇ」
式は滞りなく進み、誓いのキスに花嫁は顔を薔薇色に染めている。
香緒里は隣のエリに話しかけた。
「これでよかったのかしら」
「元々はお姉さんのアイデアからですし、二人もあんなに幸せそうですわ」
「伊達が女優として生きていけばと思って、彼と付き合えばと提案したんです。話題になればそう簡単に消えることはできないでしょう?」
「伊達くんの意思とは違います。これだけの人気の中、スムーズに引退するには主婦業に専念すると言うのが一番抵抗が少ない方法でしょう」
「だから弟も納得したんでしょうね。でも、あなたや事務所、立花会長はどうなの。てっきり女優化を望んでいると思っていたのに」
「その通りです。伊達くんの才能を開花させると言う意味でも、もちろん売り上げの面でも」
「それなのに引退の推進を?」
「芸能界に不義理をして強引に引退すれば復帰は困難です。本人は望むところでしょうけどね」
「でも、これじゃ少なくとも1、2年は」
「その代わり島村さんの前では風間薫として過ごすと言う約束があります。演技にブランクは生じません。それに伊達くんが満足するような男優としての仕事がそう簡単に見つかるとは思えない。女優風間薫なら選り取りみどりなのに」
「なるほど、お聞きしてみて良かったわ」
ここ数ヵ月伊達は日常でも風間薫を演じ続けたので、自然に薫として感じ考えることができるようになっていた。
芸能人としては質素な披露宴だが、知った顔ばかりで、その全員から祝福を受けて薫は幸せだった。そして隣には愛する島村がいる。自然に顔をほころばせている薫にその島村が声をかけた。
「監督さんだよ」
声のする方を向くと彼の顔が思いのほか近くにありぽっと頬が染まる。
「お熱いところを無粋だったかな」
小野寺は伊達に注ごうとビールを手にしていた。慌てて一番小さなグラスを差し出す。
「これで」
「ああ、風間ちゃんなら、そうだな」
お決まりの祝福のあと小野寺は新作の話題を口にした。
「まだシーズン初めなのに次の企画がもう決まってるんですか。今のも面白いのに」
「二桁の視聴率は日曜日朝としては充分だけど、隼の後なのでちょっと物足りないというのがスポンサーの見解でね。よければ出てみないか」
すでに名のうれた風間薫には価値がないが、伊達にはチャンスだ。
「決定しているのですか」
「正式に決まったら連絡するよ」
「ええ。それで題名は?」
「仮面ライダーT(twins) ふたりはプリティ・ライダー Full Throttle !」
「……」
「ご主人の許可が取れたらぜひ出て欲しいな」
おわり
なぜこんなことになったのだろう。伊達には理解出来ない。確かに流れのままではあるけれど。あらためて思い返しているとドアがノックされた。
「どうぞ」
と言う返事に入ってきたのは姉の香緒里だ。
「いつまで閉じこもっているの。主役なんだからそろそろ出てこないと」
「姉さん、おかしいよ、やっぱり」
「ここで取りやめるのが無理なのは分かっているでしょう」
「でもさ」
「あなたも納得したじゃない」
「そうなんだけど……やっぱり間違っている気がして」
「映画が予想以上の大ヒットで風間薫はそう簡単に身を引くことができないんだから」
「それもわかってるけど」
「悩むのはわからなくもないけど、時間よ。さあ風間薫になりきるのよ」
「はい」
「どう、薫」
「なんだか緊張しちゃって。大丈夫かしら。変じゃない?」
「ウェディングドレス、とても似合ってるわよ」
「でも、やっぱり」
「本当に、お式を止めるとか言うんじゃないでしょうね」
「三十路間近の姉さんを差し置いて結婚しちゃうのが悪くって」
「あーのーねぇ」
式は滞りなく進み、誓いのキスに花嫁は顔を薔薇色に染めている。
香緒里は隣のエリに話しかけた。
「これでよかったのかしら」
「元々はお姉さんのアイデアからですし、二人もあんなに幸せそうですわ」
「伊達が女優として生きていけばと思って、彼と付き合えばと提案したんです。話題になればそう簡単に消えることはできないでしょう?」
「伊達くんの意思とは違います。これだけの人気の中、スムーズに引退するには主婦業に専念すると言うのが一番抵抗が少ない方法でしょう」
「だから弟も納得したんでしょうね。でも、あなたや事務所、立花会長はどうなの。てっきり女優化を望んでいると思っていたのに」
「その通りです。伊達くんの才能を開花させると言う意味でも、もちろん売り上げの面でも」
「それなのに引退の推進を?」
「芸能界に不義理をして強引に引退すれば復帰は困難です。本人は望むところでしょうけどね」
「でも、これじゃ少なくとも1、2年は」
「その代わり島村さんの前では風間薫として過ごすと言う約束があります。演技にブランクは生じません。それに伊達くんが満足するような男優としての仕事がそう簡単に見つかるとは思えない。女優風間薫なら選り取りみどりなのに」
「なるほど、お聞きしてみて良かったわ」
ここ数ヵ月伊達は日常でも風間薫を演じ続けたので、自然に薫として感じ考えることができるようになっていた。
芸能人としては質素な披露宴だが、知った顔ばかりで、その全員から祝福を受けて薫は幸せだった。そして隣には愛する島村がいる。自然に顔をほころばせている薫にその島村が声をかけた。
「監督さんだよ」
声のする方を向くと彼の顔が思いのほか近くにありぽっと頬が染まる。
「お熱いところを無粋だったかな」
小野寺は伊達に注ごうとビールを手にしていた。慌てて一番小さなグラスを差し出す。
「これで」
「ああ、風間ちゃんなら、そうだな」
お決まりの祝福のあと小野寺は新作の話題を口にした。
「まだシーズン初めなのに次の企画がもう決まってるんですか。今のも面白いのに」
「二桁の視聴率は日曜日朝としては充分だけど、隼の後なのでちょっと物足りないというのがスポンサーの見解でね。よければ出てみないか」
すでに名のうれた風間薫には価値がないが、伊達にはチャンスだ。
「決定しているのですか」
「正式に決まったら連絡するよ」
「ええ。それで題名は?」
「仮面ライダーT(twins) ふたりはプリティ・ライダー Full Throttle !」
「……」
「ご主人の許可が取れたらぜひ出て欲しいな」
おわり
1月コミック チェックリスト
1/6
講談社 エンジェルフェイク 偽物天使 1 百瀬 武昭
1/7
講談社 じょしらく 2 ヤス
1/8
オークス (成)ラブエロとらぶる アンソロジー
1/14
ヒット出版社 (成)ちびっこ KEN
1/18
小学館 サムライハイスクール 4 柏葉 ヒロ
小学館 國崎出雲の事情 4 ひらかわ あや
1/19
集英社 カイチュー! 4 林 佑樹
1/20
秋田書店 フランケン・ふらん 6 木々津 克久
秋田書店 NIGHTMARE MAKER 3 Cuvie
1/25
オークス (成)男娘宴 2 アンソロジー
1/26
ヒット出版社 (成)メルティピーチ☆ふぇのめのん ぶるマ ほげろー
1/28
少年画報社 チェンジH 甘詰 留太 他
1/29
エンターブレイン発行/角川グループパブリッシング発売 マジキュー4コマ 処女はお姉さまに恋してる2人のエルダー 3 マジキューコミックス編集部
1/31
エンターブレイン発行/角川グループパブリッシング発売 あめのちはれ 4 びっけ
1/中
ワニマガジン社 (成)ぱら☆いぞ 道満 晴明
講談社 エンジェルフェイク 偽物天使 1 百瀬 武昭
1/7
講談社 じょしらく 2 ヤス
1/8
オークス (成)ラブエロとらぶる アンソロジー
1/14
ヒット出版社 (成)ちびっこ KEN
1/18
小学館 サムライハイスクール 4 柏葉 ヒロ
小学館 國崎出雲の事情 4 ひらかわ あや
1/19
集英社 カイチュー! 4 林 佑樹
1/20
秋田書店 フランケン・ふらん 6 木々津 克久
秋田書店 NIGHTMARE MAKER 3 Cuvie
1/25
オークス (成)男娘宴 2 アンソロジー
1/26
ヒット出版社 (成)メルティピーチ☆ふぇのめのん ぶるマ ほげろー
1/28
少年画報社 チェンジH 甘詰 留太 他
1/29
エンターブレイン発行/角川グループパブリッシング発売 マジキュー4コマ 処女はお姉さまに恋してる2人のエルダー 3 マジキューコミックス編集部
1/31
エンターブレイン発行/角川グループパブリッシング発売 あめのちはれ 4 びっけ
1/中
ワニマガジン社 (成)ぱら☆いぞ 道満 晴明
漢メイドさんと鬼畜な先生
![]() | 漢メイドさんと鬼畜な先生 (ジュネットコミックス ピアスシリーズ) (2010/12/24) 天城 れの 商品詳細を見る |
國崎出雲の事情 4 (少年サンデーコミックス)
![]() | 國崎出雲の事情 4 (少年サンデーコミックス) (2011/01/18) ひらかわ あや 商品詳細を見る |
はやぶさ Ⅲ(2) by.isako
(2)
伊達は結局ロケが終わるまで告白することができなかった。回りに人が多くて機会が少なかったこともある。そんなわけでいつもなら迷惑な食事の誘いを初めて嬉しく感じた。
島村はスタッフのお疲れさまの挨拶が終わるとすぐ話しかけてきた。
「今日こそ、食事でもどう」
「ええ、あのー、ではよろしく」
「スペイン料理で良いかな」
「特に好き嫌いは。それよりマネージャーの中山さんも一緒で良いですか」
「そうきたか」
「だめなら」
「いやいや勘違いしないで欲しいな。俺の方は全く問題ないさ。ただうちのマネージャーは同席させないぜ」
「それはもう」
願ったり叶ったりである。
「じゃあ君が着替えている間に車をまわすから。これは自前なんだ」
スタッフや共演者の囁きを背中に感じながら着替えのため近くに停められていたマイクロバスに乗る。
秋月が用意していたのは派手なオレンジ色のワンピースで胸や背の露出が大きい。
「ちょっと派手すぎますって」
「あら、でもエミさんのメールじゃスペインぽくって」
「エミさん」
男だと告白するのにこれはないだろうと非難の目でにらむ。
「今日はスタッフだけでなくロケを見学していた人もまだ大勢残っているもの」
そう言われてしまうと伊達は反論できない。おとなしく髪をまとめてもらい赤いサンダルの紐を結んだ。
待っている間も気が重い。伊達は島村が好きだった。無論香緒里がからかうような意味ではない。役者としてだけではなく、男としても尊敬できる人物であり、そばにいる人を飽きさせない気さくな人物でもあった。
悪い噂はある。舞台で活躍していた頃から女に手が早いと評判だったし、今回の作品で人気がブレイクしてからは何度か週刊紙を賑わせていた。しかし伊達に言わせれば、島村には女の方から、いや男だって、自然に引き付けられるある種のカリスマあるからそう見えるのだ。そんな魅力のある男だからこそ、これからも友人関係でいたかった。無理なら、せめて嫌われたまま別れたくはない。それには難しいのは覚悟のうえで、きちんと説明するしかないだろう。
外へ様子を見に行ったエミが車の到着をつげ、いまだに熱心に見ているファンのざわめきの中、島村のネイビーブルーのステーションワゴンの後部座席に滑り込んだ。
伊達はなかなか切り出せず、どうにかきっかけを作れたのは目的の地下駐車場に着いてからだった。もちろんいきなり信じてもらえるはずもない。
「なんの冗談なのかな」
運転席から振り向いた島村は怪訝な顔をしていた。
伊達はひたすら謝り頭を下げる。見かねたエミがそのあとを引き継ぎ、今までの経過を説明した。それでもどうにか信じてもらえたのは島村が小野寺と電話で話した後である。
「こいつは驚いたね、どうも。全国のファンばかりでなく、共演者や撮影スタッフ全員をも騙し通したわけだ」
「本当に申し訳ありませんでした」
伊達は謝るだけで頭をあげることができない。
「いや怒っている訳じゃない。むしろ感心してるのさ。プロの集団を騙し通した演技力にね」
「でも島村さんの気持ちを」
「まあ自分が風間薫に惹かれたのを今さら隠す気はないさ」
逆効果だったかと伊達は身をすくめる。
「ところで年齢も詐称なのかな」
伊達が返事をしないのでエミがプロフィール通りだと告げる。
「ふーん、演技についても僕よりずっと詳しいのに。舞台の発声方法を引きずっているって最初に指摘してくれたのは君だったろう」
舞台でデビューした島村はその劇団独特の発声と台詞回しが染み付いていた。それまで脇役とはいえ何作かテレビドラマに出たのにぱっとしなかった理由のひとつである。
「すみません。子役の頃、甘やかされていたせいか、先輩にもずけずけ言う癖があったので」
「子役って?」
しまったと思ったものの今さら隠せない。
「覚えて見えるかどうか、優は僕だったんです」
「you,your,ユウ。she,her,her,羽津(hers)優(you)ちゃん?」
「あの時もやむを得ない事情で」
「まいったなあ。好きになった娘二人が同一人物でしかも男だったとはね」
そう言うと視線を背けフロントガラスの方を向いて黙ってしまう。
なんだかわからないけど最悪らしいと伊達は思った。意図したわけはないにしても心証は最低だろう。
「伊達君だったっけ」
呼吸音が聞こえるほど静まった車中で島村がこう話しかけてくれたとき、伊達はほっとした。例えこの後罵詈雑言が続いても先程の沈黙の世界よりずっとましである。
「は、はい」
「そのー失礼かもしれないが、君はそういう趣味の人ではないの?」
「いえ全くちがいます。もちろん蔑視や偏見もないつもりですけど」
「俺もノーマルというか、多数派のつもりだったんだが、こうなると怪しいものだね、君のせいで」
「す、すみませんでした。お詫びでしたら」
「ちょっと伊達くん。契約の一部だったことは私から説明したんだし」
「でも」
「謝る必要はないさ。俺を騙したくなくて打ち明けてくれたんだろう?」
「そう言っていただくと助かります。では。エミさん」
「ええ。それでは私たちはここで」
「おいおい、ちょっと待ってほしいね。俺にも聞いてほしいことがある。それにここで逃げられたりしたら、いい笑いものだ」
伊達はエミと顔を見合わせた。
島村は伊達を見つめたまま話す。
「予約した店は、味ももちろん保証するけど、オーナーが知り合いでね。風間薫を連れていくって言ったから張り切って準備しているはずなのさ。彼も君のファンなんだ。それに個室を用意してもらったから話しもゆっくりできる」
こう言われてはさすがに拒否できない。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「ああ一つだけ」
「なんでしょう。僕にできることなら」
「それを止めてほしい」
「え?」
「俺の前では風間薫でいてくれなきゃ。伊達とか言う男の知り合いは今のところいないってことさ」
「わかりました」
個室は十人ほどでも利用出来る広さでゆったりとしていた。味も島村が自慢するだけのことはあり、伊達は薫になりきったまま食事と会話を楽しんだ。
食事が終わるとデザートのワゴンを押してオーナーが挨拶に来た。五十前後のいかにも好人物らしい男だ。
「とても美味しかったですし、お店の雰囲気も良いですね」
ファンであるオーナーは薫の言葉に今にも舞い上がりそうだ。そのオーナーの視線に促され島村は苦笑しながら薫に話しかけた。
「しばらく薫ちゃんと二人きりにしてやるって勝手に約束しちゃったんだけど」
「ええ、良いですとも」
オーナーは血圧がヤバイなどとつぶやきながら満面の笑みを浮かべた。
島村とエミが隣室に入ると、気がきく、もしくは少しでも長く薫と二人きりでいたいオーナーの手配だろう豪華なデザートとコーヒーの用意がしてある。島村はウェイターを下がらせると自ら二つのカップを満たした。
「実のところ俺もあなたと二人きりというのは好都合なんだ」
「あら、助けを呼ぶべきかしら」
「あなたはたしかに美しい。でも今日のところは隣にいる人物について聞きたいんだ。もちろん中年男の方じゃない」
「出来る限りお答えしますわ。伊達くん、というより風間薫にずいぶん気を使っていただいたようだし」
「車の中であなたが言っていた彼女と付き合うという件ですが」
「勝手なお願いなのは分かっています。お断りのなるのが当然……」
「それは引き受けようと思うんです」
「一歩間違えば島村さんをとんでもないスキャンダルに巻き込むかもしれませんよ」
「見破るのは無理じゃないかなあ」
「それはまあ、確かに」
「そして風間薫は引退に?」
「ええ、本人の希望ですから」
「風間薫の演技はたしかに素晴らしい。男優としてはどうなんです」
「演技力は一流なのでそこそこ売れるとは思います。しかし不思議なことに女優としてのほうが圧倒的に上でしょうね。子役の頃から知っているうちの事務所の会長、立花も同じ意見です」
「それで?」
「会長は2、3年好きにさせて納得するのを待つつもりのようです。伊達くんに甘いんですよ」
「なら良いアイデアがあります」
二人の相談はずいぶん時間がかかり、オーナーは楽しいひとときを過ごすことができた。
<つづく>
伊達は結局ロケが終わるまで告白することができなかった。回りに人が多くて機会が少なかったこともある。そんなわけでいつもなら迷惑な食事の誘いを初めて嬉しく感じた。
島村はスタッフのお疲れさまの挨拶が終わるとすぐ話しかけてきた。
「今日こそ、食事でもどう」
「ええ、あのー、ではよろしく」
「スペイン料理で良いかな」
「特に好き嫌いは。それよりマネージャーの中山さんも一緒で良いですか」
「そうきたか」
「だめなら」
「いやいや勘違いしないで欲しいな。俺の方は全く問題ないさ。ただうちのマネージャーは同席させないぜ」
「それはもう」
願ったり叶ったりである。
「じゃあ君が着替えている間に車をまわすから。これは自前なんだ」
スタッフや共演者の囁きを背中に感じながら着替えのため近くに停められていたマイクロバスに乗る。
秋月が用意していたのは派手なオレンジ色のワンピースで胸や背の露出が大きい。
「ちょっと派手すぎますって」
「あら、でもエミさんのメールじゃスペインぽくって」
「エミさん」
男だと告白するのにこれはないだろうと非難の目でにらむ。
「今日はスタッフだけでなくロケを見学していた人もまだ大勢残っているもの」
そう言われてしまうと伊達は反論できない。おとなしく髪をまとめてもらい赤いサンダルの紐を結んだ。
待っている間も気が重い。伊達は島村が好きだった。無論香緒里がからかうような意味ではない。役者としてだけではなく、男としても尊敬できる人物であり、そばにいる人を飽きさせない気さくな人物でもあった。
悪い噂はある。舞台で活躍していた頃から女に手が早いと評判だったし、今回の作品で人気がブレイクしてからは何度か週刊紙を賑わせていた。しかし伊達に言わせれば、島村には女の方から、いや男だって、自然に引き付けられるある種のカリスマあるからそう見えるのだ。そんな魅力のある男だからこそ、これからも友人関係でいたかった。無理なら、せめて嫌われたまま別れたくはない。それには難しいのは覚悟のうえで、きちんと説明するしかないだろう。
外へ様子を見に行ったエミが車の到着をつげ、いまだに熱心に見ているファンのざわめきの中、島村のネイビーブルーのステーションワゴンの後部座席に滑り込んだ。
伊達はなかなか切り出せず、どうにかきっかけを作れたのは目的の地下駐車場に着いてからだった。もちろんいきなり信じてもらえるはずもない。
「なんの冗談なのかな」
運転席から振り向いた島村は怪訝な顔をしていた。
伊達はひたすら謝り頭を下げる。見かねたエミがそのあとを引き継ぎ、今までの経過を説明した。それでもどうにか信じてもらえたのは島村が小野寺と電話で話した後である。
「こいつは驚いたね、どうも。全国のファンばかりでなく、共演者や撮影スタッフ全員をも騙し通したわけだ」
「本当に申し訳ありませんでした」
伊達は謝るだけで頭をあげることができない。
「いや怒っている訳じゃない。むしろ感心してるのさ。プロの集団を騙し通した演技力にね」
「でも島村さんの気持ちを」
「まあ自分が風間薫に惹かれたのを今さら隠す気はないさ」
逆効果だったかと伊達は身をすくめる。
「ところで年齢も詐称なのかな」
伊達が返事をしないのでエミがプロフィール通りだと告げる。
「ふーん、演技についても僕よりずっと詳しいのに。舞台の発声方法を引きずっているって最初に指摘してくれたのは君だったろう」
舞台でデビューした島村はその劇団独特の発声と台詞回しが染み付いていた。それまで脇役とはいえ何作かテレビドラマに出たのにぱっとしなかった理由のひとつである。
「すみません。子役の頃、甘やかされていたせいか、先輩にもずけずけ言う癖があったので」
「子役って?」
しまったと思ったものの今さら隠せない。
「覚えて見えるかどうか、優は僕だったんです」
「you,your,ユウ。she,her,her,羽津(hers)優(you)ちゃん?」
「あの時もやむを得ない事情で」
「まいったなあ。好きになった娘二人が同一人物でしかも男だったとはね」
そう言うと視線を背けフロントガラスの方を向いて黙ってしまう。
なんだかわからないけど最悪らしいと伊達は思った。意図したわけはないにしても心証は最低だろう。
「伊達君だったっけ」
呼吸音が聞こえるほど静まった車中で島村がこう話しかけてくれたとき、伊達はほっとした。例えこの後罵詈雑言が続いても先程の沈黙の世界よりずっとましである。
「は、はい」
「そのー失礼かもしれないが、君はそういう趣味の人ではないの?」
「いえ全くちがいます。もちろん蔑視や偏見もないつもりですけど」
「俺もノーマルというか、多数派のつもりだったんだが、こうなると怪しいものだね、君のせいで」
「す、すみませんでした。お詫びでしたら」
「ちょっと伊達くん。契約の一部だったことは私から説明したんだし」
「でも」
「謝る必要はないさ。俺を騙したくなくて打ち明けてくれたんだろう?」
「そう言っていただくと助かります。では。エミさん」
「ええ。それでは私たちはここで」
「おいおい、ちょっと待ってほしいね。俺にも聞いてほしいことがある。それにここで逃げられたりしたら、いい笑いものだ」
伊達はエミと顔を見合わせた。
島村は伊達を見つめたまま話す。
「予約した店は、味ももちろん保証するけど、オーナーが知り合いでね。風間薫を連れていくって言ったから張り切って準備しているはずなのさ。彼も君のファンなんだ。それに個室を用意してもらったから話しもゆっくりできる」
こう言われてはさすがに拒否できない。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「ああ一つだけ」
「なんでしょう。僕にできることなら」
「それを止めてほしい」
「え?」
「俺の前では風間薫でいてくれなきゃ。伊達とか言う男の知り合いは今のところいないってことさ」
「わかりました」
個室は十人ほどでも利用出来る広さでゆったりとしていた。味も島村が自慢するだけのことはあり、伊達は薫になりきったまま食事と会話を楽しんだ。
食事が終わるとデザートのワゴンを押してオーナーが挨拶に来た。五十前後のいかにも好人物らしい男だ。
「とても美味しかったですし、お店の雰囲気も良いですね」
ファンであるオーナーは薫の言葉に今にも舞い上がりそうだ。そのオーナーの視線に促され島村は苦笑しながら薫に話しかけた。
「しばらく薫ちゃんと二人きりにしてやるって勝手に約束しちゃったんだけど」
「ええ、良いですとも」
オーナーは血圧がヤバイなどとつぶやきながら満面の笑みを浮かべた。
島村とエミが隣室に入ると、気がきく、もしくは少しでも長く薫と二人きりでいたいオーナーの手配だろう豪華なデザートとコーヒーの用意がしてある。島村はウェイターを下がらせると自ら二つのカップを満たした。
「実のところ俺もあなたと二人きりというのは好都合なんだ」
「あら、助けを呼ぶべきかしら」
「あなたはたしかに美しい。でも今日のところは隣にいる人物について聞きたいんだ。もちろん中年男の方じゃない」
「出来る限りお答えしますわ。伊達くん、というより風間薫にずいぶん気を使っていただいたようだし」
「車の中であなたが言っていた彼女と付き合うという件ですが」
「勝手なお願いなのは分かっています。お断りのなるのが当然……」
「それは引き受けようと思うんです」
「一歩間違えば島村さんをとんでもないスキャンダルに巻き込むかもしれませんよ」
「見破るのは無理じゃないかなあ」
「それはまあ、確かに」
「そして風間薫は引退に?」
「ええ、本人の希望ですから」
「風間薫の演技はたしかに素晴らしい。男優としてはどうなんです」
「演技力は一流なのでそこそこ売れるとは思います。しかし不思議なことに女優としてのほうが圧倒的に上でしょうね。子役の頃から知っているうちの事務所の会長、立花も同じ意見です」
「それで?」
「会長は2、3年好きにさせて納得するのを待つつもりのようです。伊達くんに甘いんですよ」
「なら良いアイデアがあります」
二人の相談はずいぶん時間がかかり、オーナーは楽しいひとときを過ごすことができた。
<つづく>
男の娘×男の子
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TS売れ線速報!(12/20~12/26)
先週の順位
1位 魔法少女プリティ☆ベル(3)
1位 女体化保健室~Hな触診~+ぷらす!!(同人誌)
3位 ドリーズパーティー 2巻
オンナノコになりたい! もっともっと、オンナノコ編
さてさて、今週の1位は!
圧倒的大差で!!!予想通りにトランスガール―変質系少女―が持って行った!
2位は!期待の性転換モノ少年マンガのこれだ!めぐ(はーとまーく)みるく (1)
3位はこれだ!ドリーズパーティー 2巻
4位に並んだ3作も1位でもおかしくないぐらいに売れているのですが……うそつきリリィ 3 (マーガレットコミックス) けんぷファー 5 (MFコミックス アライブシリーズ) 女体化保健室~Hな触診~+ぷらす!!(同人誌) とにかく、今回はトランスガールが強かったです。
1位 魔法少女プリティ☆ベル(3)
1位 女体化保健室~Hな触診~+ぷらす!!(同人誌)
3位 ドリーズパーティー 2巻
オンナノコになりたい! もっともっと、オンナノコ編
さてさて、今週の1位は!
圧倒的大差で!!!予想通りにトランスガール―変質系少女―が持って行った!
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2位は!期待の性転換モノ少年マンガのこれだ!めぐ(はーとまーく)みるく (1)
![]() | めぐ(はーとまーく)みるく (1) (角川コミックス・エース 118-15) (2010/12/25) 日下 皓 商品詳細を見る |
3位はこれだ!ドリーズパーティー 2巻
![]() | ドリーズパーティー 2巻 (ヤングキングコミックス) (2010/12/20) 山本 和生 商品詳細を見る |
4位に並んだ3作も1位でもおかしくないぐらいに売れているのですが……うそつきリリィ 3 (マーガレットコミックス) けんぷファー 5 (MFコミックス アライブシリーズ) 女体化保健室~Hな触診~+ぷらす!!(同人誌) とにかく、今回はトランスガールが強かったです。
はやぶさ Ⅲ(1) by.isako
Ⅲ
テレビ局のスタジオ。
正面に椅子が二脚あり、仮面ライダー隼の監督とインタビュアーが座っている。後方のスクリーンには隼の映像が流れており、周囲にはパネルのほか、ライダーやダークネスの怪人の等身大フィギュアが立てられている。
イ「今日はスタジオに今大人気の仮面ライダー隼の監督小野寺さんをお迎えしております。撮影も終盤の追い込みですし、映画の企画もありお忙しい中、来ていただきました。監督よろしくお願いします」
監「こちらこそ」
イ「いや~、ともかくすごい人気ですね」
監「ありがとうございます。でもそれは脚本や役者さんの力といった方が良いですね」
イ「特に主演の風間薫さんの人気はブームとまで言われていますし……今日は来ていただけませんでしたが」
監「僕は代用品というわけですね」
インタビュアーは慌てて手を振り否定する。
イ「めっそうもない」
監督はニコニコ笑っている。
監「視聴者の方々の興味が彼女にあるのは当然ですし、構いませんよ」
イ「では、お言葉に甘えて。まず風間さんについておうかがいしたいのですが」
監「どうぞ。出来る範囲でお答えしましょう」
イ「インタビューに応じず、ドラマでしか顔出しされないので、ネットでは風間薫さんは実在しないCG、バーチャルアクトレスではないかという噂が飛び交っているようですが」
監「彼女は実在します」
イ「監督のお言葉ですが……」
監「僕やスタッフは実際に見ているわけですが……。そうだ! 彼女には悪いけど、番組の予算ではCGをあれだけ自在に操るのは無理ですよ。最新のソフトでもね」
イ「一切インタビューに応じないのはなぜなんでしょう」
監「一言で言えば契約です。彼女はとてもシャイなのでね。もう皆さんご存知だと思いますが、元々彼女の役回りは主演ではなく私たちも契約に同意したのです。本来後半は出番が減る予定だったので、そのころ解禁する予定でした」
イ「だとするともうすぐ我々も素顔を見ることができるのでしょうか」
監「どうでしょうか、事実上の主演になってしまいましたから……ただ映画版のプロモーションには出て欲しいと依頼しました。おそらく快諾してくれると思いますよ」
カメラは徐々にズームバックしていき、やや不鮮明になるり、それが大型液晶ディスプレーに映っていることが分かるようになる。
インタビューは続いている。
液晶ディスプレイのある場所は高級マンションのリビングで、伊達正和とマネージャーの中山エミ、それにもう1人若いきれいな女性、伊達の5才年上の姉香緒里が座っている。伊達と香緒里は三人がけのソファに。エミは少し離れた、二人とディスプレーが同時に見える位置にあるスツールに。伊達は青いポロシャツに白っぽいチノパンをはいているが、胸や腰が女性っぽいラインである。
(1)
「へー、映画のプロモは出るんだ」
と言って香緒里は伊達の方を見た。思いがすぐ表情に出るタイプなので、面白がっているのがすぐに分かる。
「スポンサー、玩具メイカーの意向は無視できないってさ。まあ、こっちもいろいろ無理を聞いてもらってるし」
「それにしても見事なものね」
そう言いながら香緒里は伊達の膨らんだ胸を鷲掴みにする。
「ちょっと姉さん、まだ撮影前なんだから」
「だって少々のことじゃ崩れないって特殊メイクさんが言ったんでしょう? ねえ中山さん」
「ええ」
「それよりなんだよ、いきなり押しかけてきてさ」
「あら、急にマンションで一人暮らしを始めた妹が心配で見に来たんじゃない」
「どさくさにまぎれて妹にするな」
「あなたの女優としての才能を見出したのは私なんだから」
「昔僕を騙して女装させた写真でオーディションに応募した件ですか」
「人聞きの悪い。あなたは自らすすんで着たじゃない」
「レアカードに釣られてしまったんです」
「ほら、取引は成立してるじゃないの」
「もういいです」
「まあ冗談はさておき、今日は島村さんと都内でロケなんでしょう」
「それが?」
「彼はまだあなたが女だと思ってるの?」
「ええ、まあ、たぶん」
「あのさあ、役者として生きていきたいなら変なしこりを残さないようにしないとね」
真剣な口調に姉の顔を見ると妹……いやいや弟を心配する幼いころから見慣れた表情が浮かんでいた。年が離れていたのでやや保護者っぽい姉だが、それだけに無視しがたい。
「どういうことさ」
「私は台本を読んだわけじゃないけどラブシーンなんでしょう?」
「子供も見る番組なんだからそんなことはしないさ」
「どうなの、中山さん」
「弟さんの言われるとおりそれほど激しいものではありませんが、ラブシーンといえなくもないですね」
「かなり接近するんでしょう?」
「それはまあ」
「だからどうだっていうのさ。第一クールで島村さんが兄の和也の役の時も似たようなシーンはあったんだぜ」
「あの時と違ってあなたは男装をしている。万一にも男と見破られないように特殊メイクを採用したんじゃないの」
「う~ん、そりゃまあ」
「それに私は映像でしか、しかも放映したところまでしか知らないけれど、島村さんがあなたに好意を持っている可能性はないのかしら」
伊達はちらっとエミを見てから答える。
「僕はまさかと思うけど、エミさんはその可能性が高いって」
一瞬エミと香緒里の視線が絡む。
「中山さんの意見を取り入れて対処を考えたほうが良いと思う」
「必要があれば男であることを言っても良いと監督の許可はもらってるんだ。もともとメイクや特殊メイクのスタッフに隠すのは無理だったしね」
「お姉さんの言われるように今日島村さんに説明したほうが良いですわ。きっと」
「ふたりともそう言うなら」
「なんだか歯切れが悪いじゃない」
「真実とはいえ今まで騙しておいて、実は男でしたって言い難いじゃなイカ」
「もっと後で分かったほうが、相手はショックでしょうに」
「そりゃまあそうだけど」
「伊達くんが言い辛いなら私の方からマネージャーを通じて」
「自分で話すよ。男らしく」
「えらいえらい、男らしくは余分だけど」
「また変なことを言う、姉さんは。女らしくおれは男だって言う方が変だって」
「もう1つ提案なんだけど、告白ついでに」
「告白って――誤解受けるだろう」
エミは伊達をさえぎり、香緒里に先を促す。
「真実を告白したついでに島村さんに風間薫とお付き合いしていただいてはどうかと思うの」
「他の男に言い寄られないようにするには良い方法ですね。映画の撮影もありますし」
エミが同意すると単なる冗談で済まなくなると伊達は慌てた。
「ちょっと二人でなに勝手なこと言っているんですか」
「だって男であることはなるべく長く隠したいっていうなら誘いは断り続けるしかないわけでしょう? かと言って全て断れば角が立つ。あなたの心づもりじゃ風間薫はフェードアウトさせて男優としてやっていきたいんでしょう」
「そりゃまあ、スポンサーのこともあるから」
「良い隠れ蓑じゃないの」
「バレたら彼に迷惑が」
「彼?」
「もう! 姉さん」
「どうかしら、中山さん」
「小野寺監督と立花会長に電話して相談してみます。いいですね、伊達くん」
「ええっ」
<つづく>
テレビ局のスタジオ。
正面に椅子が二脚あり、仮面ライダー隼の監督とインタビュアーが座っている。後方のスクリーンには隼の映像が流れており、周囲にはパネルのほか、ライダーやダークネスの怪人の等身大フィギュアが立てられている。
イ「今日はスタジオに今大人気の仮面ライダー隼の監督小野寺さんをお迎えしております。撮影も終盤の追い込みですし、映画の企画もありお忙しい中、来ていただきました。監督よろしくお願いします」
監「こちらこそ」
イ「いや~、ともかくすごい人気ですね」
監「ありがとうございます。でもそれは脚本や役者さんの力といった方が良いですね」
イ「特に主演の風間薫さんの人気はブームとまで言われていますし……今日は来ていただけませんでしたが」
監「僕は代用品というわけですね」
インタビュアーは慌てて手を振り否定する。
イ「めっそうもない」
監督はニコニコ笑っている。
監「視聴者の方々の興味が彼女にあるのは当然ですし、構いませんよ」
イ「では、お言葉に甘えて。まず風間さんについておうかがいしたいのですが」
監「どうぞ。出来る範囲でお答えしましょう」
イ「インタビューに応じず、ドラマでしか顔出しされないので、ネットでは風間薫さんは実在しないCG、バーチャルアクトレスではないかという噂が飛び交っているようですが」
監「彼女は実在します」
イ「監督のお言葉ですが……」
監「僕やスタッフは実際に見ているわけですが……。そうだ! 彼女には悪いけど、番組の予算ではCGをあれだけ自在に操るのは無理ですよ。最新のソフトでもね」
イ「一切インタビューに応じないのはなぜなんでしょう」
監「一言で言えば契約です。彼女はとてもシャイなのでね。もう皆さんご存知だと思いますが、元々彼女の役回りは主演ではなく私たちも契約に同意したのです。本来後半は出番が減る予定だったので、そのころ解禁する予定でした」
イ「だとするともうすぐ我々も素顔を見ることができるのでしょうか」
監「どうでしょうか、事実上の主演になってしまいましたから……ただ映画版のプロモーションには出て欲しいと依頼しました。おそらく快諾してくれると思いますよ」
カメラは徐々にズームバックしていき、やや不鮮明になるり、それが大型液晶ディスプレーに映っていることが分かるようになる。
インタビューは続いている。
液晶ディスプレイのある場所は高級マンションのリビングで、伊達正和とマネージャーの中山エミ、それにもう1人若いきれいな女性、伊達の5才年上の姉香緒里が座っている。伊達と香緒里は三人がけのソファに。エミは少し離れた、二人とディスプレーが同時に見える位置にあるスツールに。伊達は青いポロシャツに白っぽいチノパンをはいているが、胸や腰が女性っぽいラインである。
(1)
「へー、映画のプロモは出るんだ」
と言って香緒里は伊達の方を見た。思いがすぐ表情に出るタイプなので、面白がっているのがすぐに分かる。
「スポンサー、玩具メイカーの意向は無視できないってさ。まあ、こっちもいろいろ無理を聞いてもらってるし」
「それにしても見事なものね」
そう言いながら香緒里は伊達の膨らんだ胸を鷲掴みにする。
「ちょっと姉さん、まだ撮影前なんだから」
「だって少々のことじゃ崩れないって特殊メイクさんが言ったんでしょう? ねえ中山さん」
「ええ」
「それよりなんだよ、いきなり押しかけてきてさ」
「あら、急にマンションで一人暮らしを始めた妹が心配で見に来たんじゃない」
「どさくさにまぎれて妹にするな」
「あなたの女優としての才能を見出したのは私なんだから」
「昔僕を騙して女装させた写真でオーディションに応募した件ですか」
「人聞きの悪い。あなたは自らすすんで着たじゃない」
「レアカードに釣られてしまったんです」
「ほら、取引は成立してるじゃないの」
「もういいです」
「まあ冗談はさておき、今日は島村さんと都内でロケなんでしょう」
「それが?」
「彼はまだあなたが女だと思ってるの?」
「ええ、まあ、たぶん」
「あのさあ、役者として生きていきたいなら変なしこりを残さないようにしないとね」
真剣な口調に姉の顔を見ると妹……いやいや弟を心配する幼いころから見慣れた表情が浮かんでいた。年が離れていたのでやや保護者っぽい姉だが、それだけに無視しがたい。
「どういうことさ」
「私は台本を読んだわけじゃないけどラブシーンなんでしょう?」
「子供も見る番組なんだからそんなことはしないさ」
「どうなの、中山さん」
「弟さんの言われるとおりそれほど激しいものではありませんが、ラブシーンといえなくもないですね」
「かなり接近するんでしょう?」
「それはまあ」
「だからどうだっていうのさ。第一クールで島村さんが兄の和也の役の時も似たようなシーンはあったんだぜ」
「あの時と違ってあなたは男装をしている。万一にも男と見破られないように特殊メイクを採用したんじゃないの」
「う~ん、そりゃまあ」
「それに私は映像でしか、しかも放映したところまでしか知らないけれど、島村さんがあなたに好意を持っている可能性はないのかしら」
伊達はちらっとエミを見てから答える。
「僕はまさかと思うけど、エミさんはその可能性が高いって」
一瞬エミと香緒里の視線が絡む。
「中山さんの意見を取り入れて対処を考えたほうが良いと思う」
「必要があれば男であることを言っても良いと監督の許可はもらってるんだ。もともとメイクや特殊メイクのスタッフに隠すのは無理だったしね」
「お姉さんの言われるように今日島村さんに説明したほうが良いですわ。きっと」
「ふたりともそう言うなら」
「なんだか歯切れが悪いじゃない」
「真実とはいえ今まで騙しておいて、実は男でしたって言い難いじゃなイカ」
「もっと後で分かったほうが、相手はショックでしょうに」
「そりゃまあそうだけど」
「伊達くんが言い辛いなら私の方からマネージャーを通じて」
「自分で話すよ。男らしく」
「えらいえらい、男らしくは余分だけど」
「また変なことを言う、姉さんは。女らしくおれは男だって言う方が変だって」
「もう1つ提案なんだけど、告白ついでに」
「告白って――誤解受けるだろう」
エミは伊達をさえぎり、香緒里に先を促す。
「真実を告白したついでに島村さんに風間薫とお付き合いしていただいてはどうかと思うの」
「他の男に言い寄られないようにするには良い方法ですね。映画の撮影もありますし」
エミが同意すると単なる冗談で済まなくなると伊達は慌てた。
「ちょっと二人でなに勝手なこと言っているんですか」
「だって男であることはなるべく長く隠したいっていうなら誘いは断り続けるしかないわけでしょう? かと言って全て断れば角が立つ。あなたの心づもりじゃ風間薫はフェードアウトさせて男優としてやっていきたいんでしょう」
「そりゃまあ、スポンサーのこともあるから」
「良い隠れ蓑じゃないの」
「バレたら彼に迷惑が」
「彼?」
「もう! 姉さん」
「どうかしら、中山さん」
「小野寺監督と立花会長に電話して相談してみます。いいですね、伊達くん」
「ええっ」
<つづく>
はやぶさ Ⅱ by.isako
第16話 コードネームはOscar(オスカル)
(1) アバンタイトル
15話の『さらば隼』の最後の爆発シーンから入り、ホワイトアウト。
その後徐々に暗くしていく。
衛星軌道上、背景は黒い宇宙。
遠ざかる小惑星から青い地球にパン。
そのまま漂う隼1号の姿までズームインしていく。後方は太平洋。
地球に背を向けていた隼がゆっくり回転し、地球を向く。輝くヘルメット部分に地球が映る。隼は脳波通信機のスイッチを入れて糸川博士に連絡をとる。
隼『博士、終わりました。聞こえますか』
隼の残りエネルギーが少なく帰還できないことに気づいているせいで返事は遅れる。
糸『ああ、聞こえているとも。よくやった。小惑星はそれたよ』
隼『ありがとうございます。1つお願いがあるのですが』
糸『言ってみたまえ』
隼『落ちる場所を選ぶ程度のエネルギーはあります。必ずパワーブレイドを回収してください』
糸『待て、早まるな。隼の肉体なら生き延びれるかもしれない。JAXA、いやNASAにも連絡をとれば』
隼『エネルギーが切れれば変身は解けます。それにパワーブレイドを特定の国家に委ねれば、ある意味ダークネスのおかげでまとまった人類の団結にヒビが入るかもしれません』
博士は涙声になっていく。隼はさらに方向を変え日本列島の形がはっきりする。
糸『しかし』
隼『俺は満足してますから。何しろ地球を救った英雄になれたんですからね』
糸『あ、ああ、そうだな』
隼『もう時間がありません。伝言をお願いできますか』
糸『いいとも』
隼『弟に。借りた本はバイクのラッゲージボックスに入っていると』
糸『達也くんにだね。分かったそれから?』
隼『博士、熱くなってきました』
糸『一色君!』
隼『博士』
糸『なんだね』
隼『薫を知っていますね』
糸『ああ、素晴らしい女性だ。なにを』
隼『熱い。東京の夜空でも俺が見え……』
逆パンで星空を映し、ズームアウトするとそこはどこかの山中で長い髪の女性(風間薫)のシルエットが見える。
突然夜空が明るくなり、大きな流れ星があらわれすぅーっと消えていく。
(リバースショットで女性を映す)
その光で女性の顔が明らかになり頬をつたう涙がキラリと光る。
(2) オープニングテーマ
今までと同じ。ただし次回からはシナリオの変更に伴い映像を変えること。(風間を中心に)
(3) Aパート
東京湾に浮かぶ船の上、甲板の手すりにもたれ渋い顔で海面を見つめる糸川博士に軍服姿の男が近づいてくる。
曇天で海も暗い。
軍「博士。まだ見つからぬようですが、場所は確かなのですか」
博士は海を見たまま返事をする。
糸「落ちたとすればこの地点だと申し上げた。彼は燃え尽きたのですよ」
軍「我々の計算では大気圏突入くらいでは隼の体は平気なはずですが」
糸「敵と戦い、残ったエネルギーの全てを使い小惑星の軌道を変えたのです。我々を救うために」
軍「なるほど……だとしてもパワーブレイドは残るわけですね」
糸川は振り向き軍人を睨みつける。
糸「傍受していたのか、脳波通信を」
軍「たまたまアフラの技術で開発された機器の実験を行っていただけです」
糸「それを私に信じろと」
軍「好きにされるがいい」
糸川は口を歪め視線を海に戻す。
糸「ところで助手の一色達也の乗船を許可していただけないのはなぜです」
軍「はっきり申し上げれば、彼とパワーブレイドの親和性が高い可能性があるからです。それは博士もご存知のはずだ」
糸「彼もある程度は覚悟していると思いますが」
軍「素人に用はありません。軍人から候補者を募ります」
糸川は小声でつぶやく。
糸「パワーブレイドも人を選ぶと言っていたよ、和也くんは」
糸川は空を見上げ、カメラは糸川視点に。
視線が下に戻るとそこは信州の山の中で視点が変わると風間薫の姿がある。(風間は登山らしい格好で良いが女性を強調する。長い髪は上でまとめておくこと)
場所は第1回で一色和也がパワーブレイドを見つけ、第6回で風間薫がおとずれた洞窟がある山。
風間は迷わず洞窟を見つけて入っていく。しかし前回とは違い洞窟の深部は活動しており壁面の幾何学模様は光浮かび上がっている。
そして広間の中央の台座上には、光り輝くパワーブレイドが浮かんで回転していた。(パワーブレイドは第一回の青白い光ではなく、赤く拍動する光にすること)
拍動するパワーブレイドを見つめたまま薫がつぶやく。
薫「やはりここに戻ってきていたのね」
薫と和也の思い出をフラッシュバックさせる。戦闘シーンはなし。
薫「あなたはあの人の側で全てを見ていた……私の正体も知っているのかしら」
まるで返事をするようにパワーブレイドが光る。
薫「笑っているの? 愚かな私を」
突然薫がトランス状態になる。
《アイキャッチ》 仮面ライダー隼1号
(4) CM
《アイキャッチ》 風間薫
(5) Bパート
パワーブレイドの拍動がおさまり正気に戻った薫は笑い始める。
薫 「私に何をしろと。人の心を読めるあなたは私の正体も知っているのでしょう。あの人に近づいたのは仕事、スパイなのよ。彼は人類と宇宙のために命を投げ出 したけど、私は昇進と昇給のためにあなたを上司に届けようとここにきたの……トラップがあるなら早く発動させなさい。別に怖くないから」
その時山全体が震えるような振動が走った。
薫「なんなのいったい」
シーンは外に移り上空に開いた次元の歪みから黒い霧が広がってくる。
森の動物達は逃げまどい遅れて霧に巻き込まれたものは死んでいく。
霧は洞窟の前で集合し近くの植物と融合しながら実体化した。
怪物は黒い球体状で蔓の触手をふるい、たくさんの目を持ち、浮遊している。
洞窟からはアフラの防御兵器、バッタ型の多脚戦車が応戦する。
戦車は数を頼みにダークネスのモンスターを防ごうとした。しかし見る見るうちに倒されていく。
洞窟内の風間に切り替わる。目の前には外の状況が映し出されていた。
薫「ダークネスのお出ましか……あなたをあいつに奪われるわけにはいかないわね」
薫は髪をほどくと無造作につかみ腰のナイフで切る。ポケットからこぼれ落ちた通信機に偶然スイッチが入った。
声『オスカル、現状を報告せよ』
薫は黙って踏み潰す。
薫「これで良いでしょう。ただし今回だけ……と言っても勝たなきゃ無意味か」
薫がパワーブレイドを手に取ると融合が始まる。
薫「変身!」
変身過程は通常よりゆっくりと、新しいCGで女性であることを強くイメージさせる。
隼2号がダークネスの前に立ったところでメインテーマが流れ、
『つづく』と画面に表示。
(6) エンディング
今までのエンディングではなく、新ライダーが洞窟内の通路を抜けダークネスのモンスターの前に進んでいく映像を使用する。
(注)
* Oscarは、戦闘機隼の連合軍でのコードネームと、ベルサイユのばらの主人公男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(Oscar François de Jarjayes)から。
* 一式戦闘機、隼(はやぶさ)の開発には糸川英夫が関与した。偶然だがJAXAの探査機はやぶさの目的地は小惑星イトカワだった。
(1) アバンタイトル
15話の『さらば隼』の最後の爆発シーンから入り、ホワイトアウト。
その後徐々に暗くしていく。
衛星軌道上、背景は黒い宇宙。
遠ざかる小惑星から青い地球にパン。
そのまま漂う隼1号の姿までズームインしていく。後方は太平洋。
地球に背を向けていた隼がゆっくり回転し、地球を向く。輝くヘルメット部分に地球が映る。隼は脳波通信機のスイッチを入れて糸川博士に連絡をとる。
隼『博士、終わりました。聞こえますか』
隼の残りエネルギーが少なく帰還できないことに気づいているせいで返事は遅れる。
糸『ああ、聞こえているとも。よくやった。小惑星はそれたよ』
隼『ありがとうございます。1つお願いがあるのですが』
糸『言ってみたまえ』
隼『落ちる場所を選ぶ程度のエネルギーはあります。必ずパワーブレイドを回収してください』
糸『待て、早まるな。隼の肉体なら生き延びれるかもしれない。JAXA、いやNASAにも連絡をとれば』
隼『エネルギーが切れれば変身は解けます。それにパワーブレイドを特定の国家に委ねれば、ある意味ダークネスのおかげでまとまった人類の団結にヒビが入るかもしれません』
博士は涙声になっていく。隼はさらに方向を変え日本列島の形がはっきりする。
糸『しかし』
隼『俺は満足してますから。何しろ地球を救った英雄になれたんですからね』
糸『あ、ああ、そうだな』
隼『もう時間がありません。伝言をお願いできますか』
糸『いいとも』
隼『弟に。借りた本はバイクのラッゲージボックスに入っていると』
糸『達也くんにだね。分かったそれから?』
隼『博士、熱くなってきました』
糸『一色君!』
隼『博士』
糸『なんだね』
隼『薫を知っていますね』
糸『ああ、素晴らしい女性だ。なにを』
隼『熱い。東京の夜空でも俺が見え……』
逆パンで星空を映し、ズームアウトするとそこはどこかの山中で長い髪の女性(風間薫)のシルエットが見える。
突然夜空が明るくなり、大きな流れ星があらわれすぅーっと消えていく。
(リバースショットで女性を映す)
その光で女性の顔が明らかになり頬をつたう涙がキラリと光る。
(2) オープニングテーマ
今までと同じ。ただし次回からはシナリオの変更に伴い映像を変えること。(風間を中心に)
(3) Aパート
東京湾に浮かぶ船の上、甲板の手すりにもたれ渋い顔で海面を見つめる糸川博士に軍服姿の男が近づいてくる。
曇天で海も暗い。
軍「博士。まだ見つからぬようですが、場所は確かなのですか」
博士は海を見たまま返事をする。
糸「落ちたとすればこの地点だと申し上げた。彼は燃え尽きたのですよ」
軍「我々の計算では大気圏突入くらいでは隼の体は平気なはずですが」
糸「敵と戦い、残ったエネルギーの全てを使い小惑星の軌道を変えたのです。我々を救うために」
軍「なるほど……だとしてもパワーブレイドは残るわけですね」
糸川は振り向き軍人を睨みつける。
糸「傍受していたのか、脳波通信を」
軍「たまたまアフラの技術で開発された機器の実験を行っていただけです」
糸「それを私に信じろと」
軍「好きにされるがいい」
糸川は口を歪め視線を海に戻す。
糸「ところで助手の一色達也の乗船を許可していただけないのはなぜです」
軍「はっきり申し上げれば、彼とパワーブレイドの親和性が高い可能性があるからです。それは博士もご存知のはずだ」
糸「彼もある程度は覚悟していると思いますが」
軍「素人に用はありません。軍人から候補者を募ります」
糸川は小声でつぶやく。
糸「パワーブレイドも人を選ぶと言っていたよ、和也くんは」
糸川は空を見上げ、カメラは糸川視点に。
視線が下に戻るとそこは信州の山の中で視点が変わると風間薫の姿がある。(風間は登山らしい格好で良いが女性を強調する。長い髪は上でまとめておくこと)
場所は第1回で一色和也がパワーブレイドを見つけ、第6回で風間薫がおとずれた洞窟がある山。
風間は迷わず洞窟を見つけて入っていく。しかし前回とは違い洞窟の深部は活動しており壁面の幾何学模様は光浮かび上がっている。
そして広間の中央の台座上には、光り輝くパワーブレイドが浮かんで回転していた。(パワーブレイドは第一回の青白い光ではなく、赤く拍動する光にすること)
拍動するパワーブレイドを見つめたまま薫がつぶやく。
薫「やはりここに戻ってきていたのね」
薫と和也の思い出をフラッシュバックさせる。戦闘シーンはなし。
薫「あなたはあの人の側で全てを見ていた……私の正体も知っているのかしら」
まるで返事をするようにパワーブレイドが光る。
薫「笑っているの? 愚かな私を」
突然薫がトランス状態になる。
《アイキャッチ》 仮面ライダー隼1号
(4) CM
《アイキャッチ》 風間薫
(5) Bパート
パワーブレイドの拍動がおさまり正気に戻った薫は笑い始める。
薫 「私に何をしろと。人の心を読めるあなたは私の正体も知っているのでしょう。あの人に近づいたのは仕事、スパイなのよ。彼は人類と宇宙のために命を投げ出 したけど、私は昇進と昇給のためにあなたを上司に届けようとここにきたの……トラップがあるなら早く発動させなさい。別に怖くないから」
その時山全体が震えるような振動が走った。
薫「なんなのいったい」
シーンは外に移り上空に開いた次元の歪みから黒い霧が広がってくる。
森の動物達は逃げまどい遅れて霧に巻き込まれたものは死んでいく。
霧は洞窟の前で集合し近くの植物と融合しながら実体化した。
怪物は黒い球体状で蔓の触手をふるい、たくさんの目を持ち、浮遊している。
洞窟からはアフラの防御兵器、バッタ型の多脚戦車が応戦する。
戦車は数を頼みにダークネスのモンスターを防ごうとした。しかし見る見るうちに倒されていく。
洞窟内の風間に切り替わる。目の前には外の状況が映し出されていた。
薫「ダークネスのお出ましか……あなたをあいつに奪われるわけにはいかないわね」
薫は髪をほどくと無造作につかみ腰のナイフで切る。ポケットからこぼれ落ちた通信機に偶然スイッチが入った。
声『オスカル、現状を報告せよ』
薫は黙って踏み潰す。
薫「これで良いでしょう。ただし今回だけ……と言っても勝たなきゃ無意味か」
薫がパワーブレイドを手に取ると融合が始まる。
薫「変身!」
変身過程は通常よりゆっくりと、新しいCGで女性であることを強くイメージさせる。
隼2号がダークネスの前に立ったところでメインテーマが流れ、
『つづく』と画面に表示。
(6) エンディング
今までのエンディングではなく、新ライダーが洞窟内の通路を抜けダークネスのモンスターの前に進んでいく映像を使用する。
(注)
* Oscarは、戦闘機隼の連合軍でのコードネームと、ベルサイユのばらの主人公男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(Oscar François de Jarjayes)から。
* 一式戦闘機、隼(はやぶさ)の開発には糸川英夫が関与した。偶然だがJAXAの探査機はやぶさの目的地は小惑星イトカワだった。
目覚めると従姉妹を護る美少女剣士になっていた
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中国男性が“女性化”していくのは日本や韓国の悪い見本のせい―中国紙
中国男性が“女性化”していくのは日本や韓国の悪い見本のせい―中国紙
ぶぁれたかぁ!!
いかにも、その通り。我がおかし製作所の中国の可愛い男の子1000万人女体化五か年計画の輝ける成果なのである!かの国は2020年には2400万人の適齢期の男が余る。その解消の為の作戦なのだ!
お前も!お前も!お前も女体化するのだ!!!
うわーはははっ!!
なーんてね。
そんなに男が余ってたら自然に女体化希望者が増えるのではないか。
ぶぁれたかぁ!!
いかにも、その通り。我がおかし製作所の中国の可愛い男の子1000万人女体化五か年計画の輝ける成果なのである!かの国は2020年には2400万人の適齢期の男が余る。その解消の為の作戦なのだ!
お前も!お前も!お前も女体化するのだ!!!
うわーはははっ!!
なーんてね。
そんなに男が余ってたら自然に女体化希望者が増えるのではないか。