FC2ブログ

Latest Entries

マコちゃん誕生 (1) by.isako

makoto_20080905232718_20110124233812.jpg
キャライラスト.うずら夕乃

(1)

「木下、もう帰るのか?」
 そう呼びかけられたので振り向く。聞きなれたその声は高村まことのものだ。2年になってクラスは異なってしまったが、小学校からの顔見知りだ。
「ああ」
「わが校ではクラブ活動は必須のはずだぞ」
 友人にしては偉そうな話し方は彼の性格もあるし、この春から生徒会長様に就任したのも影響しているのだろう。
「今日は調理部は休みだ」
「調理部? バスケはどうした」
「肘の調子が悪くてね」
「そうなのか。それなら良い――」
「今日は急ぐんだ。またな」
「ああ」
 軽く手を振って乗降口に向かう。彼は生徒会室の方向に行った。高村は尊大な所はあるものの悪いやつじゃない。きっと良いスポーツ医でも紹介しようとしたのだ。
 実のところ僕の肘に問題はない。バスケをやめたのは単に時間がないためだ。調理部は時間の融通がきくし、1年からのクラスメイトのユカリがいるのでやりやすい。
 途中でテニススクールに顔を出して3時間ほど汗を流す。
 10年以上前親に無理やりスクールに連れて行かれ始めたテニスに今さらながら夢中になっていた。勝手に放り込んだくせにプロになりたいと言うと、高校は出ておけという親の意見に振り回されているかっこうだ。まあいいさ、卒業後自由な時間を4年ももらえれば自分が世界で通用するかどうかわかる。
 自宅から近いので練習後そのまま帰ると学校のクラブ活動より帰宅時間は早い。いつもどおり母親と二人の食卓だ。父は今日も遅いらしい。
 僕が一言二言話す間に母は喋りまくる。母親は張り合いがないと嘆くが、そんなものだろう男の子は。
 食後自室のベッドに寝転んでいると何となく高村のことが気になった。1年の時はよく話をしていた。ちょっと堅物だが、悪いやつではない。ただ生徒会長になってからの評判は悪い。うちの高校は執行部の権限が大きく会長の判断が部活の臨時予算に大きく影響する。高村はそれに大鉈を振るった。
 2年になってからはクラスが違うこともありほとんど話をしたことがなかった。なぜ今日話しかけて来たのだろう。世間話程度とはいえあまりにも唐突過ぎた。
 まあ考えても結論の出ることではない。少し英語の予習だけして寝た。英語は必要だろうからこれだけは力を入れている。


 翌朝、母親から渡された弁当の袋に変な人形がついていた。
「なにこれ?」
「ああ、それはブードゥー人形よ。先日買い物に行った時見つけたの。タイのお土産らしいわ」
「ブードゥーって西インド諸島じゃない?」
 西インドと言ってもインド洋じゃないぜ。カリブのハイチ辺りだ。
「そうだけど、タイの人形も有名なんだって。可愛いでしょう?」
 嬉しそうに説明する母親の方が可愛いと思う。僕の反抗期はテニスが好きになったことで終了していた。母親にめんじて人形はつけたまま鞄にしまう。何でも強力な魔力を秘めていて、お守り代わりなるそうだ。

 英語以外は居眠りをして過ごすのは、ふだん通り。試験前にユカリのノートを読めば赤点を取ることはない。
 午前中の授業が終わり弁当を持って部室に行く。今日は会議の日だ。
 部室にはユカリしかいなかった。各学年二人ずつの小規模クラブだけど他のメンバーがいないのは珍しい。
「あれ、お前だけなのか?」
「ええ。嫌なの、木下君」
「とんでもない。光栄に思っていますよ」
 次期部長当確のお方に逆らう気はない。対立候補は僕しかいないのだから。
「もう!」
 弁当を広げながら話を続けた。
「会議は延期なのか?」
「いえ。どうせ買い出し部隊は私たちでしょう?」
 普段の雑用をお願いするかわりに材料購入時の荷物持ちを引き受けている。
「そうだな。じゃあ予定通り今度の日曜に?」
「うん。姫も良いって」
 姫とは顧問の島津亜津子のことだ。日本史の教師でもあり以前からそう呼ばれていた。まだ若いとはいえ落ち着いているので奥方様の方が似合っているけどね。
「了解」
 定期的な週1度の活動以外に調理部は2ヶ月に1度日曜日に大量に作品を作って翌日販売していた。昨年ユカリが企画して始めた。その活動のおかげなのだろう、今年は予算が大幅に増えたのでますます次期部長様は張り切っていらっしゃるのだ。
「今回はフルーツをテーマにしたお菓子なの。二年生はプリンアラモードにするわ」
 二年生は当然僕とユカリのことだ。
「鮮度が落ちないか?」
「月曜は朝錬よ」
 朝盛り付けさせる気らしい。
「おいおい」
「嫌なの?」
「早朝出勤させていただきます」
「どうしても嫌なら別にいいけど一人でも。予算たくさんもらえただけでも感謝してるから」
「予算と僕にどんな関係がある?」
「木下君、会長の高村君の親友なんでしょう」
「親友かどうかは微妙だし、あいつが私情を挟むとは考えられないな」
「どうかしら。権力に憧れる者はそれを使いたくなるんじゃないかしら」
「さすがにそれは可愛そうだろう」
「あら、そのドールは?」
 母親から聞いた説明を繰り返す。
 突然の話題変更はよくあることだ。ユカリだけに限ったことなのか、女子の傾向なのかは知らない。他の女子と会話する機会は限られていた。
「でもこれは普通の願かけ人形とは違うようよ。私、父の仕事の関係でハイチにいたことあるから」
「そうだっけ?」
「ええ。指輪を3つしてるでしょう」
「ああ」
「これはエジリ・フレーダだと思うわ」
「なに、それ」
「愛の聖霊よ」
「へー」
「なんだか霊験あらたかな気がする。身につけておきなさいよ」
「ええ!」
「嫌なの?」
「従います」
 ユカリは上着の内側に手早く人形を縫い付けた。小さいものなので外からはわからないのが救いだ。
 その後は買出しの打ち合わせをして解散になった。ユカリは買い物リストをもう1度チェックすると言うので1人で部屋を出た。
 部室棟から教室のある南棟への通路に向かって歩いていくと途中に生徒会室がある。その前を通りかかったとき部屋の中で重いものが落ちるような音がした。あるいは人が倒れたような……。
 慌ててドアを開けて部屋に飛び込む。床に人が、高村が倒れていた。なんだか体から煙が出ているような気がする。
「おい、大丈夫か!」
 手をかけたとたん閃光で目がくらむ。一時的に視力を失った僕に誰かが話しかけて来た。
「大丈夫、木下君」
 少し舌足らずの女子の声だ。廊下には誰もいなかったから元々部屋に居たのだろう。それにしても全く聞き覚えのない声だった。しかし相手は僕を知っている?
 徐々に見えてきた。僕の目の前にいるのは見知らぬ少女、とても可愛いのにどういう趣味なのか男物のシャツと学生服をはだけて着ている。
 襟に生徒会長の徽章――生徒会長? 
「君は?」
「え、私?」
 メガネに見覚えがあるぞ。
「おまえ高村か? どうしたんだその恰好」
「突然服が男物になっちゃったの」
 そっちかよ!

 女性化した高村の発言は冗談ではなく、女として育った記憶を持っていた。しかも僕を友人として認識している。
「何が起こったのかわからないけど、とにかくロッカーから体操服を持ってきてくれない?」
 高村は胸元が開いているのに気付き慌てて学生服の前をあわせながら続けた。
「わかった」
 周りをよく見ると少し離れたところにズボンが落ちていた。サイズが合わなくて脱げたらしい。その証拠にベルトがそのままだ。
「これキーだから」
「ああ」
「赤いスポーツバッグに入ってるの」
 混乱したまま部屋から出た。いったいどういうことなのだ。ともかく女の頼みを引き受けたからにはそれを優先するしかない。幸いわが校のロッカーは広い通路に男女並んで置いてあり、更衣室は体育館に付属していた。
 午後の授業時間が近いので人も少ない。高村のロッカー札には高村マコとある。赤いバッグを出して生徒会室へ急ぐ。いったいなんなのだ、これは。ブードゥーの聖霊の魔法とか――まさか。それより僕の記憶が変になったのだろうか。しかしそれではあいつの学生服の説明がつかない。
「おい、入るぞ」
 返事を待ってから入る。高村はそのままの姿で待っていた。
「これでいいのか?」
「うん」
 なんだか男のときと違って素直で可愛い。
「そのー中身は変化してないか?」
 男女では短パンのデザインが異なるし、学生服から見てサイズがかなり違うはずだ。
「え! あっ、大丈夫」
「じゃあな」
「あ、あのー」
 これ以上は付き合いきれないと部屋を出た。高村の女性化なんて未だに信じられない。

<つづく>

クロスドレッシングナイト

買って読んでみました♪
強い子が女の子を助けるために女装させられてって、いいですねぇ。
微妙に好みとはずれる展開ではありましたが、これはこれでよろしいんじゃないでしょうか。
「同人としては値段分の価値がある」と評価。
恥辱庵さんも色々展開してくれて嬉しいですねぇ。

クロスドレッシングナイト DMM版
クロスドレッシングナイト DLsite.com版

クロスドレッシングナイト

ちんドル☆マスター(1)(2)

これとLatest Entries 男×女×男 ナブラレダンシ(2)を両方買うなら、雑誌形態のCOMIC XO 絶! Vol.09と値段があんまり変わらないのでそっちが良いかもしれません。

ちんドル☆マスター(1)
COMIC XO 絶! Vol.09 DMM版

ちんドル☆マスター(1)

ちんドル☆マスター(2)

ちんドル☆マスター(2)

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

 

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2011-01