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5月のコミックチェックリスト

してませんでしたが、一応チェックw

05/07  竹書房  慾嬢フェティシズム   安達 拓実  \650    
05/07  竹書房  パラノイヤフェティシズム   安達 拓実  \840    
05/09  少年画報社  マンガで分かる心療内科 3  ソウ  \680    
05/10  海王社  転向、性   新也 美樹  \630    
05/10  海王社  殿下の家電   宮下 キツネ  \630    
05/18  小学館  ハヤテのごとく! 28  畑 健二郎  \440    
05/19  少年画報社  女装子女 1  佐野 タカシ  \650    
05/20  秋田書店  みのりスキャンダル 2(完)  速野 悠二  \580    
05/21  講談社  セレスティアルクローズ 2  塩野 干支郎次  \630    
05/21  少年画報社  ブロッケンブラッド VII  塩野 干支郎次  \580    
05/25  一迅社  LOVELESS 10  高河 ゆん  \580    
05/25  スクウェア・エニックス  フダンシフル! 1  もりしげ  \560    
05/25  メディアックス  (成)征服×制服×男の娘   アンソロジー  \1200    
05/25  メディアックス  (成)偽りの彼女   命 わずか  \1000    
05/下  新書館  まじかる☆チェンジ 1  ホームラン・拳  \620  書籍扱  

屁理屈劇場「セクハラ対策」 作.真城 悠 イラスト.神山響 (後編)

作.真城 悠(Mashiro Yuh)
「真城の城」http://kayochan.com 
「真城の居間」blog(http://white.ap.teacup.com/mashiroyuh/)

 どうやら意思に逆らって声を出すことは出来るらしく、必死に抵抗するが身体は相変わらずお尻をなでまわしたりし続けている。

「正にセクハラの現行犯なんですがどうです?」
 社長が勝ち誇った様に言い放つ。
「こ、これは…」
 こんなの一体どう裁判すればいいというのか?というかこれは一体何なのか。夢か現実か?

「もう二度とこないで頂けますか?」
 と、勝手に動いていた身体の拘束が緩まった。社長がコントロールを解いたということらしい。
「しかし…」
「はい。もう二度と来ません」
 鈴の鳴るような声が近くで響いた。
 自らの身体のコントロールを取り戻したらしいベテラン監督官が、OLに成り果てたその姿で気丈に答えたのだ。
「でも!」
 その顔を見ると、完全に別人ではあるのだが、その美女が目を見て頷いた。
 要するに「これはどうしようもないから引き上げよう」ということらしい。
 確かにその判断は当たっているかもしれない。
 もうこれは監督署がどうこうといった次元の話ではない。

「そうですか。それは何より。では…」
 しゅるしゅる…と音がしたわけでは無いが、そう形容するのが相応(ふさわ)しい様子でベテラン監督官の着ていた服が元のドブネズミ色のスーツになり、身体が元の壮年の男性に戻っていく。
 この会社の社員は日常的にこういう「セクハラ」の被害に遭っていたと考えられる。

「引き上げるぞ」
「…はい」

「ちょっと待ってください」
 社長が呼び止めた。
「二度と来ないと一筆書いてもらえますかね。あと出来ればウチにはセクハラ被害は無かったことを証明する一筆も欲しいんですが」
「それは…」
「いいですよ。書きましょう」
 ベテラン監督官が言った。
 実は「契約書」は内容が違法であれば履行する必要は無い。双方が合意していても殺人依頼の契約書は殺人が法律で禁止されている以上、効力を認められないのである。
 ベテラン監督官はそれを承知していた。
 「二度とセクハラ調査でこの会社を訪れない」ことなど、一監督官が確約出来る訳が無い。だから何を書いても抗弁出来ないのである。

「ペンはありますか」
 数分と掛からずその書類は完成した。
「ふむ…」
 社長が中身を吟味している。
「ま、これはあくまでも覚書ですわ。あなた方の口から直接伺いたいんですが…」
 そう来たか、と若手監督官は思った。
「生憎(あいにく)、そういう訳にはいかない」
「ほう…」
「馬鹿!よせ!」
「どんな法律を使えばいいのか分からんが、セクハラ被害を見過ごすことは出来ない。何が何でもあんたを追い詰めて見せる!」
 ベテラン監督官が頭を抱えた。どうにかやり過ごしてこの場を離れるのが一番優先されるべきなのに…。
「見上げた正義感ですな」
「当然だ」
「自分でセクハラしておいてですか…?」
「それは…」
 先ほどの行為である。
 元・男だからといって言い逃れを許すことになればそれはこの社長がやってきたことと同じになる。つまり、「共犯者」というか「同じ罪を犯したもの」という立場に置いたのだ。
 一種の催眠術で無理矢理行わされたものという言い草が通るんだろうか。
 というか今日の報告書には一体何と書けばいいというのか…。
「なら、折角なので貴方にも被害者になってもらいましょう」
「…何?」
 次の瞬間だった。
「うおおおおっ!」
 乳首の部分が熱くなってきたかと思うと、内側から噴出するようにその部分が盛り上がっていく。頭皮中がかゆくなり、毛穴から毛髪が湧き出してきた。
 股間が収縮するときゅっ!と脚が内股になり、ズボンのお尻がキツくなった。
 身体が細くなり、背も少し縮む。
「ほうほう…元がいいと違いますなあ」
「き、貴様…」

 その声が普段よりも甲高いことに気付いて慄然(りつぜん)とした瞬間、生まれたばかりの乳房を何かがぎゅっ!と締め付けた。
「ああっ!」
 同時に下腹部を大雑把に覆っていたガラパンがぴっちりと肌に張り付いて面積を小さくした。
 服の下のシャツがブラジャーになり、ガラパンがパンティになった瞬間だった。
 服の下、胸の辺りから太腿にかけて胴部分を柔らかくてすべすべしたものが覆っていく。
 それは女性用の肌着、スリップだった。
 カッターシャツがブラウスになり、上着がベストになる。
 ズボンはその丈を縮めて膝より少し高いだけとなり、一本に繋がってスカートへと変化した。
 思わず動くと、全身が官能的な女物の肌着の感触に撫でられ、ぞわりという悪寒が背中を駆け上がる。スカートの中でむき出しになった脚の内側が直接するりと触れ合った。
「ひゃあっ!」
 スカートとベストは今度は薄いブルーだった。
 髪の毛はセミロングとなり、髪留めが施され、耳にはピアスの感触がし、化粧の甘い香りが鼻腔をくすぐる。

「こ…これは…」

 間違いなかった。
 今度は自分がOLに変えられてしまったのだ。肉体も、着ている服もである。

 見下ろした身体の正面の平べったいスカートには本来あるべき突起などあるわけが無かった。
 だが、その感慨に耽(ふけ)る暇は無かった。
 お尻がする~りと撫で上げられたのだ!

「きゃあああっ!」

 ぞぞぞぞぞ~っという悪寒が背中を駆け上がり、思わず女みたいな悲鳴を上げてしまった。肉体的には女に間違いないのだが。

「す、すまん!だが、手が勝手に…」

 今度はベテラン監督官が言い訳をする番だった。
 間髪入れずに抱きついてきた監督官は先ほどと同じく、背中を撫で上げてブラジャーのホックを服の上からいじり、お尻を撫で回し、胸を軽く鷲づかみにした。

「いや…やめて…下さいっ!」

 実はこの台詞も自分は言っていなくて勝手に口から出て来る。社長はそこまでコントロールしていたのだ。

「もう一度確認します。二度と来ないでもらえますか?」
 何と言うことだろう。
 彼は己(おのれ)の能力を使って脅迫しているのだ。

「誰が…お前の言うことなど…」
 更に強気発言をするOLと成り果てた若手監督官。見た目は可憐な女性にしか見えない。

「では…そこまでやらせてもらいますかな」
 次の瞬間、まぶたが勝手に降り、目の前が真っ暗になった。
 そして、唇に生暖かいものがむにゅりと押し付けられた。
「…っ!!!…っ!!!」
 同時にお尻と背中に回された手が優しく全身を撫で回す。
 キスされたのだ!
 何と言うことだ、同僚のベテラン監督官に女にされた状態でキスさせられてしまった!

「よろしいですかね?もう二度と来ないで下さいな。でないと…これ以上のこともありますよ?」
 やっと唇が離れた。
 目も開く。
 目の前には勝手に動く身体に困り果てたベテラン監督官の表情があった。
 確かにこれは困るだろう。どうしていいのか分からない。

 今の自分の姿を確認する術(すべ)が無いが、多分かなり可愛い女になっているだろうと若手監督官は思った。

 今度は手が首筋に近づき、髪の毛と首の間に差し入れられる。
「あ…」
 どうやら女としての自分は首筋の後ろ側が性感帯らしい。
 全身を覆う官能的な女物の感触と相俟って、なにやら気分がぼ~っとしてきた。

 そして、社長の言う「これ以上」の意味はもう明白だった。
 自分の白魚のような手が、ゆっくりとブラウスのボタンを外しかかる。

「分かった…」

 肉体も衣類も、下着すらOL姿にされ、動きをコントロールされていながら男言葉で若手監督官は言い放った。
「もう二度とこんなところには来ない」

「そうですかそうですか…それは何より」

 コントロールが開放された。
 思わずその場にへたり込む若手監督官…だったOL。
 タイトなスカートによって動きを制限されているので、思わず不恰好になってしまう。

「すぐに帰るから彼を元に戻してくれ」
「ええ勿論です。ところで質問させてください」
「…なんだ」
 先ほどのキスのため、若手監督官が変化した姿の口紅が少し移って赤くなっているのが間抜けである。
「あなたは、労働基準監督署勤務ですよね?」
「…そうだが」
「この頃は言い伝えられていないんですか?行ってはいけない事業所の話って」
「何を…っ!!」
 ベテラン監督官は思い出していた。
 確かに「あそこには手を出すな」と言われていた事業所の噂を聞いたことがあった。
 ただ、理由を聞いても場所を聞いても先輩は決して教えてくれなかったのである。
 それが…ここだったというのか!
「お仲間にも改めて伝えてもらえますか?」
「そうしよう」
「お願いしますよ。私は遠隔操作も可能ですから」
「ああ」
 伝える積りではあるが、事実をそのまま言う訳にもいかない。
「とりあえず今日は直帰してもらえますか?」
「しかし…」
「そういう風に電話しなさい。二人ともです」
「できない」
「確か貴方には娘さんがいらっしゃいましたね」
「どうしてそれを…」
「もうそろそろOLとして就職なさるお年頃だとか…お父様がOLとなってお尻をまさぐられているのを見たらどう思うでしょうなあ…」
「…すぐに電話する」
 ベテラン監督官は二人が調査を終えて直帰すること、問題は無かった事を監督署に電話した。
「さあ、開放してもらおう。彼はまだOLのままだ。戻すんだ」
「勿論戻しますよ…ただ…」
「ただ…何だ?」
「折角ですから今宵(こよい)はお二人の歓迎会と参りましょう。ウチの自慢の社員たちによる接待をお楽しみくださいな」
「お断りします。公務員は接待禁止です」
「ほう、娘さんにあられもない姿をさらしたいと…」
 それを言われると弱い。
「どうすればいいんだ」
「どうもする必要はありません。ただ、身を任せればいい」
 その瞬間、折角男に戻っていたベテラン監督官がまた女体化し始めた。
「うわ…あああっ!」
 今度は全身が赤く染まっていく。
 床を掃きそうな長いワンピーススカートはノースリーブとなり、細い身体に巻きついて美しい体型を浮き立たせる。
 身体の脇にスリットが入り、全身に金色の縁取りの刺繍と鮮やかな模様が入っていく。
 それはチャイナドレスだった。
「こ…これは…」
 いつの間にか履いていた靴はドレスに合わせた赤いハイヒールとなり、長く伸びた髪はお団子状にまとめられ、マニキュアのほどこされた手には羽毛の縁取りの扇が握られ、重そうなイヤリングと濃いメイクに彩られていた。
「うう~ん、これは素晴らしい」
「き、貴様あ!」
 水色のOL姿のままの若手監督官が立ち上がる。
「そっちもだ。それっ!」
「ああっ!」
 若手監督官は既に女体化していたので、服装が変わるだけだった。
 ベテラン監督官と同じ衣装…ロングのチャイナドレスだった。ただ一点、全身が鮮やかなブルーだったことが違いである。
「あ…これは…」
 お尻の大きさと形がより目立つこの衣装は意外なほど体型を浮き立たせる。
 ふわふわと扇で胸元と顔を隠そうとする若手監督官。
「ほらほら、突っ立ってちゃつまらんぞ?」
 そういうと二人の身体は勝手に動き、腰をひねりつつその場で左右に往復を始めた。
「ああっん!」
 大胆なスリットがめくれ上がり、一瞬裸に見えた下半身の脚線美が見えては隠れる。
 ずっと見えているよりも遥かに刺激的だった。
 剥きたての卵みたいなつるつるの素脚がスカートの内側で滑りあい、官能的な感触を脳髄に伝えてくる。
「さっきは男と女だったから、今度は女同士でどうだ?」
「お、おい…まさか…」
 だが、逆らうことは出来なかった。
 赤と青のチャイナドレスに身を包んだ美女二人と成り果てた監督官たちは、お互い正面から抱きしめあい、服の上から乳房を押し付けあった。
「あ…」
「だ…めぇ…」
 目の前で頬を赤らめて悩ましい表情を浮かべるチャイナ美女がお互いにいる。
 お互いの手は勝手に動き、相手のお尻を、胸を、ウェストを撫で回した。
「ああっ!…あっ!あっ!」
「駄目…でも…手が…勝手に…」
「ひゃーははは!いいねえ!やっぱり若い女に限るよ!うん!」
 中身は若くも無いのも含めた男なんだが、男だとセクハラに当たらないとでも言いたいのだろうか。
 スリットもめくれ上がり、お互いの殆(ほとん)ど露出した素脚がからみあい、なすりつけあった。
「ああっ…ああああっ!!」
 上半身にチャイナドレスの薄い生地を通して相手の体温が伝わってくる。そして下半身は直接相手の体温を感じる事が出来る。
 そして目を閉じたまま、お互いの真っ赤な唇が触れ合った。
 接吻は長く続き、数十秒に及んだ。
 ぐったりとその場にチャイナドレス美女ふたりがへたりこんだ。

「ふむ…ちとやりすぎたか…ま、二人ともこっちに来て座りたまえ」
 ソファの両側に社長を囲んで座るように促される。
 男だらけのハーレム気分というところか。流石にワンマン社長とはいえ、今本物の女性を相手にそういうことをするのは問題が多い。だが、男なら問題ないわけだ。…そうか?
 社長のコントロールに逆らえるわけもなく、監督官二人はチャイナドレス美女のまま、社長を挟むように座った。

「セクハラ対策」(後編)イラスト
イラスト.神山 響


 両脚は綺麗に揃えられ、正面から見ても乱れない様に勝手に身体が仕草を調節してくれる。

 社長が内線ボタンを押した。
「今日は歓迎の宴だ!いつもの奴の洋風で行くぞ!」
 答えまでは聞き取れなかったが、どうやら接待メニューがあるらしい。
 すると、数分後には男性社員がぞろぞろと入ってきた。
 年齢もまちまちだが、みんな浮かない顔である。
 そして、社長の横にチャイナドレスの美女が二人いることも全く気にならない風だ。
 どうやら似たようなことはしょっちゅうあるらしい。
「じゃ、行くぞ」
「お願いします」
 代表してか一人が口を開いた。
 その瞬間だった。
 その彼が苦しみ始めると、見る間に細身の女性へと性転換してしまう。
 自分たちも被害真っ最中とはいえ、新たな犠牲者を見るのはやはり戦慄が走るものがある。
 一人を残して全員が性転換すると、今度は着ている服が変化を始めた。

 肩から上が大胆に露出し、長くなった髪が頭上にまとめられてうなじが全て露出する。
 下着のように肩ひものみを残してむき出しになった腕。
 胴に巻きつくようにレオタードのような薄い生地が張り付くと、下半身も同様に純白に染まり、そしてキラキラと輝く白銀に変化した。
 ズボンは既に消えうせ、腰周りから周囲に向けて真横にスカートがグングンと生えて来て止まる。真横から見るとパンツ部分が丸見えのままでスカートの変化は終了した。
 王冠のような装飾品が頭部に付され、毒々しいほどに濃いメイクがその顔に乗っていく。
「ああ…あああっ!」
 他人の前で女に性転換させられるばかりか、女装までさせられる恥ずかしさに耐え切れなくなったのか一人から声が漏れる。
 頬を赤らめ、悩ましい表情で身をくねらせるその姿はさきほどまでの自分たちだった。

 そこには一瞬にして1人の男性バレエダンサーと5人の美しいバレリーナがいた。
 どこからともなく音楽が流れ始め、それぞれのバレリーナやダンサーたちが華麗に舞い始める。
 監督官ふたり…だったチャイナドレス美女たちは、バレエには全く詳しく無いが、それでも見事な踊りであることは分かった。

 その表情などから、彼らが望んでこんなことをやっているのかは一目瞭然だった。
 社長の趣味につき合わされ、望まない性転換と女装、そして踊りを強要されているのだ。
 たった一人男のままで残った彼は多くのバレリーナたちを支え、持ち上げてフォローに徹していた。
 さきほどまで同僚だった男に女として一緒に踊らされるのだからこれはたまったもんではあるまい。こちとらOLにされてその状態で男としてキスまでされたけどな。

 だが、見ていると男のダンサーも楽じゃない。
 というのは、ある程度踊ると彼もまたバレリーナへと変化し、バレリーナの一人が男性ダンサーになる。
 そして先ほどまでバレリーナを支えていた彼もまた、すぐに自らバレリーナとなって男の手の中でくるくると回転しているのだ。
 どうやら「男役」をローテーションしているらしい。
 短時間で男女の役割を行き来させられる彼らの胸中やいかばかりか…。

「社長」
 青チャイナたる若手監督官が口を開いた。
「何かな?」
「これが洋風ってことは和風もあるんですか?」
「ああ。和風は芸者や舞妓遊びだよ。はっはっは!」
 笑えない。
 彼らは今日はバレリーナだが、社長の気分次第で芸者や舞妓にさせられて踊らされているのだ。

 ひとしきりバレエが済むと彼らはその場でサラリーマン風の外見に戻って去っていった。
 社長室以外で変身すればここで何をやっているのかが女子社員たちに露見してしまう。それを防ぐためであろう。

 日が暮れてくると、今度は社長は酒を飲み始めた。
 もう会社はその日の営業を終えて社員たちも帰途に就いた頃である。

 女に囲まれて飲む酒はさぞ美味いことだろう。
 監督官たちは未だ男に戻してもらえず、チャイナドレスのまま酒の席で接待させられていた。
 無論、セクハラはし放題である。
 女相手には問題になるが、男相手だから全く遠慮が無い。
 服の上から胸をもみ、むき出しになったスリット内の脚を撫で回す。
 二人とも歯を食いしばって必死に耐えた。
「ん~…しかし、その格好もいいが…もっと酒の出る店っぽい格好はねえのか?」
 酔いの回ってきた社長はムチャクチャなことを言う。自分で着せたチャイナドレスである。
「さあ…」
「なら…これはどうだぁ!」
「…きゃああっ!」
 ベテラン監督官のチャイナドレスがしゅるしゅると縮んで行き、ごく僅かしか身体を覆い隠さなくなる。ノースリーブではあったが、首だけは隠されていたものも全て開放され、胸から上がむき出しになる。髪の毛がお団子から開放され、ストレートロングになる。
 同時にむき出しになった脚線美にタイツが被さっていく。
「あっ…あっ…あああっ!!」
 頭の上にウサギの耳を模したカチューシャが出現し、何が起こったか一目瞭然となった。
 ベテラン監督官は真紅のバニーコートに身を包んだバニーガールへと変貌してしまったのだ!
「ん~いいねえ。たまらんよはぁはぁ!」
「いやっ!やめて…やめて…下さい…いやああっ!」
 セクハラのレベルは更に上がり、半分見えているおっぱいをもみほごし、お尻を撫で回し、ウェストを抱き寄せる。
 遂には頭を掴んで顔を引き寄せてきた。強引にキスする積りなのだろう。
 面影もないベテラン監督官だった可愛らしいバニーガールの目には涙が浮かんでいる。
「よせっ!」
 スカートが流れ落ちてスリットの裂け目から脚線美が露出するのも厭わず、合間に入ろうとする若手監督官。
「うるさい邪魔だ!お前もなっとけ!」
「何を…あああっ!」
 ベテラン監督官を襲ったのと同じ現象がおき、若手監督官もまた、チャイナと同じ色のブルーのバニーガールとなってしまった。
「そーれお前もおっぱいもみもみ!」
「きゃああああっ!」
 もう社長はやりたい放題だった。

 その狂態は深夜まで続き、二人はバニーガールのまま全身をまさぐられ、あちこちを嘗め回された。キスもされたみたいだがもうどうでもよかった。
 お互いにバニーガール同士でくんずほぐれつも強制させられた。

 深夜になってやっと開放され、予(あらかじ)め手配してあったらしいタクシーに乗せられて自宅まで送り届けられた。
 その時点で分かれたので向こうがどうなったかは若手監督官は知らなかった。
 悪夢…いや、白昼夢みたいな出来事だった。
 まるで現実感がない。
 いや、確かにきつきつのバニーガールの衣装の上からお尻を触られる感触や、OLやチャイナドレスのスカートの中で素脚が触れ合う感触も確かに身体に残ってはいる。
 残ってはいるが…そんな馬鹿なことが現実に起こるものなんだろうか。

 若手監督官は小汚い自宅の部屋に戻ると、風呂にも入らず倒れこむ様に布団に突っ伏し、その場で気を失った。


 翌朝…。
 携帯電話の目覚まし機能が鳴り響いているのに気が付いて目が覚めた。
 窓の外はすっかり夜が明けている。
 あれは…夢だったのだろうか。
 だが、何やら胸騒ぎがする。
 というか全身を締め付けるこの感触…これは一体…!?

 若手監督官は起き上がってみた。
「わあああああっ!」

 そこには昨日の夜に散々もてあそばれた女体と、そしてバニーガールの衣装があった。
 周囲を見渡す。
 長い髪がその度にブンブンと空中を舞い、耳元でイヤリングが鳴り響く。
「そ…そんなぁ…」
 その場に「とんび座り」でへたりこんでしまうバニーガール。
 女性ならではの柔らかい股関節で下腹部も綺麗に床に密着している。
 目の前にはきつく締め付けられたバニーコートから溢れんばかりの胸の谷間があり、そこに添えられている手にはマニキュアが塗られている。

 すると、そこに今度は普通の通話音がした。
 見たことのない番号が光っていたが、細かい操作が難しい長い爪に苦戦しながらボタンを押す。

「もしもし?」
『お目覚めの気分はどうかな?』
 あの社長だった。
「あんたは…」
『ふふふ…その声だとうまく行っているみたいだな。どうかね?今の気分は』
「約束が違うぞ。もうオタクの会社には二度と行かないと誓っただろうが」
『確かにね。だがそれだけではちと足らんのだよ。今度は別の法令違反を見逃して欲しいんだ』
「馬鹿な!それとこれとは話が違う!」
 可愛らしい声で気丈に振舞うバニーガール。男言葉が似合っていない。まるで小娘が虚勢を張っている様にしか聞こえなかった。
『そうかね…そうなると、今度は自宅でバニーガール程度じゃあ済まなくなるかもしれないよ?』
「…脅迫か」
『そうさ脅迫さ』
「もうそんな脅しには屈しない。昨日あそこまでやられたんだ。もう怖いものなどありはしない!何でもやってみろ!」
『いいのかなそんな事を言って』
「法令違反は見逃せない。大体、これ以上どうしようってんだ。監督署の中で見る見る俺を女に変えて見るか?んなもん単なる見世物に過ぎん。脅迫はやりすぎると相手が開き直るだけだぞ!」
『ふむ…確かに正論だ。だが、私は君と取引する気は無い』
「何だと?さっき言った事と違うじゃないか」
『ああ。というか単に断ろうと思っただけなんだよ』
「言っている意味が分からない」
『これから君にはウチがなんの問題も無かったという報告書を書いてもらう』
「お断りだ」
『後で会おう。話はそれからだ』
 電話は切れた。
 ふと見ると、自分の身体は昨日出勤時に着ていたスーツ姿の男に戻っていた。

 その日以来、彼の姿を見たものはいない。
 最後の目撃記録として、問題の会社に行った翌日、夢遊病者の様な表情で出勤してくると手際よく書類を作成し、そのまま行方不明となった。
 同じ事業所に視察に行ったベテラン監督官はこの件について何一つ話そうとしない。

 ただ、長年男やもめが続いていた問題の事業所の社長は還暦を前にして突如現れた若い嫁と結婚し、驚くべきことに二人の子供を設けて幸せに暮らしたという。
 ベテラン監督官の机には、年の行った花婿の隣で幸せそうに微笑む純白のウェディングドレス姿の若い花嫁の写真が何故か飾られ続けていたという。



あとがき
 劇中で屁理屈を全部言っているので今さら解説することはありません。
 これは「アシスタント」でも書いたんですけど、セクハラって男が女に職場の力関係を利用して性的関係を迫る行為を言うことが多いわけですが、この頃では単なる性的な軽口とかチカン(わいせつ)行為も、それが職場で行われると「セクハラ」と言われることが多いみたいです。
 上司がOLの尻を撫でるのは、それだけでは「セクシュアル・ハラスメント」にはなりません。この違いがお分かりでしょうか。

 ただ、それならば女性の人権を尊重して男を女にしてその女にセクハラすれば女性の人権を守りながらセクハラ対策にもなるんでは?と考えてみたのがこの短編。
 もしかりにこの社長みたいに他人を自由自在に性転換&女装のみならず強制的に行動を操作することまで出来たら世界征服が出来そうですが、仮にこんな形で「セクハラ」をやった場合、それを法的に罰することは可能なのかな?と考えてみたんです。

 恐らく、余りにも荒唐無稽なので警察は相手にしてくれないでしょう。
 幾ら現場の警官が行く都度婦警さんにされて尻を撫でられてもこの「社長」を逮捕することは出来ないでしょう。

 男(オス)ってのは生物的に言うと女(メス)を守る義務があります。
 女が嫌がっているんならば、女に代わって女としてセクハラを受けてやって女を守る…というのはどうかな?というかこの社長は明らかに保身が目的ですけどね。
 本当は屁理屈を突きつけてそこで一発オチみたいにして放り出す予定だったんですが、思いのほか長引いて余韻を残す(ったって解釈は一つしかないでしょうけど)ラストまでたどり着いてしまいました。
 これからもTS的に使えそうな「屁理屈」を見つけたらやってみます。

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(2011/05/25)
もりしげ

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マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか? クーポン・オマケ・ゲームのビジネス戦略

読了。
若者に親しみやすい題材でビジネス(販売)戦略を語った好著、ですね。

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(2010/11/26)
吉本 佳生

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屁理屈劇場「セクハラ対策」 作.真城 悠 イラスト.神山響 (前編)

作.真城 悠(Mashiro Yuh)
「真城の城」http://kayochan.com 
「真城の居間」blog(http://white.ap.teacup.com/mashiroyuh/)

「こんにちは!労働基準監督署の者です!」
 突如その声が響き渡った。
「…いらっしゃいませ。アポイントはお取りでしょうか?」
 入り口の案内に座っていた女性社員が恭しく応対する。
「裁判所の礼状がありますので、立ち入り検査をさせていただきます!」

 社長室。
「ということで、この事業所内において、セクシュアルハラスメントの被害が出ているとの通報がありましたので調査にお伺いしました」
 社長が応対した。
 五十台も半ばを過ぎており、小柄でビール腹、禿げ上がった頭はてかてかと脂ぎっており、漫画に出て来る様な「おっさん」然とした人物である。
「何を言っとるんですか。ウチの社にはセクハラなんてありませんよ!」
「それをこれから調査させてもらいます」
「業務妨害だ!出て行ってくれ!」
「労働基準監督署には逮捕権も認められています。これから聞き取り調査をさせていただきます」
 労働基準監督署は一部の警察権も認められている非常に権能の強い組織である。
 労働基準法違反を発見すれば、被疑者を逮捕・拘禁することも認められている。

 大学を出たてで初めて現場に出動したであろう若くて凛々しい新米監督官は社内中の女性従業員に聞き取り調査をした。
 しかし、全員がセクハラ被害を否定した。
 それも隠していると言う風ではなく、余りにも意外すぎる質問に「きょとん」としている風情である。

「いかがですかな?」
 勝ち誇った表情の社長が現れる。
「セクハラ被害は確認されましたかな?」
「…」
 従業員への直接聞き取り調査もまた監督官に認められた権限である。そうした場合、従業員への口止めや暴露による報復措置などは法律で禁止はされているが、横行しているのが実際のところである。
 ただ、この会社の女性社員たちはそもそも社長との接点自体が殆(ほとん)ど無いらしく、まるでそれらしい様子が無い。
 一緒についてきたベテラン監督官も「これは違うな」という表情を浮かべている。

「この落とし前はどうしてくれるんですかな?」
「職務上の権限です」
 それは強がりにしか聞こえなかった。
「…そういえば、この会社の秘書は男性が交代で勤めていますね」
「それが何か?まさかそれがセクハラだとでも?」
「場所を変えましょう」

 再び社長室。
「社長…ご存知かと思いますが、セクハラ被害は男性が加害者、女性が被害者でなくても成立するんですよ」
「貴方は何をおっしゃっているんです?名誉毀損で訴えることも出来るんですぞ」
「無論、女性が加害者で男性が被害者の事件もあります。これは映画にもなりました」
「ほほう、羨ましい話ですな」
「茶化さないで下さい!セクシュアルハラスメントというのは、職務上の条件を盾にとって望まない性的行為を強要することを言うんです。たんなるスケベではなく、人事や降格を盾にして迫るのが罪なんですよ。女性上司が男性の部下をセクハラするのは難しいことではない」
「私は男なんですがね」
「見れば分かります」
「男性社員への聞き取り調査をしても構いませんか?」
「ウチの会社を潰す気ですか?そんな事をすれば人間関係が最悪になる。あんた、自分の職場で「男にやられたか」って聞いて回られたらどう思いますか?」
「君…」
 ベテラン監督官が肩に手を置いた。「この辺にしておけ」という合図だ。
 確かに、余りにも常軌を逸している。ここは引き下がるしか無さそうだ。
「このまま帰る気ですか?」
 社長が強気になった。
「ええ。用は済んだので帰ります」
「悪いんですけど、もう二度とこないと確約してもらえませんか?」
「そうした要求は受けられません」
 調査に入った会社からのクレームなどにいちいち対応していては一種の警察権を振り回す組織としてはやっていられない。
「何度も言いますが、ウチの会社は女性社員に女性としてセクハラはしていません」
「…その様ですね」
「そちらのベテランの方、ちょっとお伺いしたいんですが」
「何でしょう?」
「男性が女性に女性としてセクハラをした場合は問題になりますよね?」
「当然です」
「男性が…仮にですが…男性に対して男性としてセクハラをした場合も…当然問題になりますよね?」
「その通りです」
 わが国ではまだそれほど例を聞かないが、現実問題としてありえない話ではない。
「では、男性が男性に女性としてセクハラをした場合は問題になりますか?」
「…?」
 質問の意味が分からない、という顔である。
「すいません。おっしゃっている意味が分からないのですが」
「もう一度言いましょう。男性が男性に対して女性としてセクハラをした場合にはセクハラになりますか?」
「『女性として』というのは、精神的にと言う意味ですか?関係としてと言う意味ですか?」
「違います。物理的な意味です」
「…それは無理でしょう。男性は男性ですから」
「ということは、法律に書かれていないので罰する根拠は無いことになりますね」
「…え…と…???それはそうですが…」
 法律には物理的に可能な行為しか犯罪として看做(みな)され、罰則が適用される事が無い。
 例えば、ワラ人形に五寸釘を打ち込んだ直後に呪いの対象者が死亡したとしても、刑法ではこれを「有効な殺害方法」と規定しないので、刑罰の対象にならない。
「そうですか。それなら安心しました。おーい!」
 社長が内線で外部に声を掛けた。
 すると、若い男性社員がお茶を運んできた。
「あ、お構いなく。もう帰りますので」
 公務員は接待や賄賂の授受が禁止なので、お茶を飲むことも原則としては禁止となる。
「まあまあ、そう言わずに。おい!扉を閉めろ」
「…はい」
 消え入りそうな声で男性社員が言う。確かに本来なら女性秘書がやりそうな仕事を男性社員がやらされているが、お茶を運ばせた程度ではこれといった法律違反にはならない。
 すると、その男性社員は入り口の扉をがちゃり!と施錠した。
「…っ!あの…私たちはもうおいとまします」
「いいじゃないですか。疑いも晴れたところで」
「…何の話ですか?」
 その瞬間だった。
「…っ!ああっ!」
 男性社員が苦しみ始めたかと思うと、背は縮み、身体は細くなり、髪が長くなったかと思うと豊かなバストが形成され、臀(でん)部が張り出し、一瞬にして性転換してしまった。
「…っ!!!」
 余りのことに硬直していた監督官二人の前で、彼…だった彼女…の衣服はピンク色のOLの制服へと変貌する。
 髪の毛は綺麗にまとめられ、その顔にはうっすらとメイクも乗っている。
 社長は慣れた手つきでそのOLに近づくとか細い肩を抱き寄せ、髪の毛に顔を埋めて匂いをかぎ始める。
「あ…」
 頬を紅潮させて嫌がるOL。この人物はさっきまで確かに男性だったはずだ。
「男性が男性を女性としてセクハラする場合はセクハラにならないんでしたね?だったら問題ないですな」
「…はあぁあっ!!??」
 余りにもムチャクチャな論理だった。
 そうこう言っている間にも社長は丸いお尻をするりと撫で上げる。
「…っ!」
 その感触になんとか声を出さずに耐えている若手社員。
「社長!なんてことするんですか!止めて下さい!」
 セクハラ現場を目の前で見せ付けられて黙っている監督官ではない。
「え?でも男が男を女としてセクハラする場合はいいんでしょ?」
「そういう問題では…」
 そういう問題とかなんとか言う以前に、この社長に見る間に男を女にして更に女装までさせる能力があるほうが大問題なのだが、問題が余りにもデタラメなので気にしている暇すらない。

「も、もしかして男性社員が全員で社長秘書を持ち回りしているのは…女性社員だとセクハラが問題になるから、男性社員を女性化してセクハラしてたんですかぁ!?」

「ああ。それなら問題にならないから」
 といって、ピンクのOLのおっぱいをもみしだく社長。
「きゃああああっ!」
 髪を振り乱し、泣いて嫌がるOL。
 はだけ掛けたブラウスの谷間からブラジャーの一部が見えている。下着まで女物に変えられているらしい。
「や、やめなさい!強制わいせつの現行犯で逮捕します!」
 間に割って入る若手監督官。
 意外に知られていないことだが、逮捕権は警察だけが持っている訳ではなく、現行犯ならばその場に居合わせた一般人でも逮捕することが可能である。

 無理矢理OLを社長から引き剥がしてベテラン監督官に委(ゆだ)ねる。

「どんな権限でそんなことを?」
「やかましい!現行犯に言い訳なんぞあるか!」
「裁判になったら何て言うんですか?男を女にしてセクハラしたと?」
「…う、うるさい!」
 確かに社長の言うとおりだった。
 事実をそのまま報告するしかないのだが、一旦そこに非現実的な現象が入ってしまうと証言として甚(はなは)だしく信憑性に欠けるものにしかならない。つまり、公判が維持出来ず、有罪と出来ない可能性が高い。
 恐らくこのまま検事に話せば不起訴釈放になってしまうだろう。

 若手の監督官は必死に考えた。
 どうにかしてこの社長を罰しなくてはならない。
 このままだとこの会社の男性社員は延々セクハラ被害を受け続けることになる。
 そして、余りにも非現実的であるため、誰に話しても信用されない。現実的にこの社長は法の管轄外あることになってしまう。
 馬鹿馬鹿しいことだが、罰するとしたら「男を女にしてはならない」という法律を国会で成立させる必要がある。だが、その見込みはゼロだろう。
 可能性としては、「強制わいせつ」には違いないので、そっちの方向で責めるしかない。

「まあ、そんなに難しく考えることは無いじゃないですか…おい、もう帰っていいぞ」
 そう言った瞬間、ピンクのOL姿だった若手社員は瞬時に元の男性の姿に戻った。
 半ば抱き寄せる形だったベテラン監督官が慌てて手を離すと、すぐに施錠したドアを開けて外に出た。
 そして、今度は外からがちゃり!という音がする。
「…っ!まさか!」
 若手監督官がドアノブをひねるが、びくともしない。外側から施錠されてしまった。

「もう一度お伺いしますが、二度と来ないで頂きたい。よろしいですか?」
 社長が迫力を持って迫ってくる。
「そんな約束は出来ない」
 強気に言い返す若手監督官。
「現行犯で目撃しています。観念なさい」
 ベテラン監督官も言うが、若干声が震えている。
「そうですか…ならばもう一度セクハラ場面を目撃…いや、体験してもらいましょうか」
「な…何を…」
 その瞬間だった。
「う…うおおおおっ!」
 ベテラン監督官が胸を押さえて前方に蹲(うずくま)る。同時にその頭髪がばさりと前方に流れ落ちた。
「あああっ!!」
 若手監督官が絶叫した。次に何が起こるか、いや今何が起こったかが容易に予想できたからである。
「こ…これは…」
 目の前で節くれだった手がすべすべの細く白魚のような手に変わっていく。
 全身が若返り、そして控え目な体型の女性へと変貌した。
 今度はピンクではなく、白いブラウスに紺色のベストとスカート姿のOLがそこにいた。
 ベテラン監督官の変わり果てた姿である。
「あ…あ…」
 酸欠の魚の様に口をパクパクさせている若手監督官。
 すると、手が勝手に動いてベテラン監督官だったOLのお尻をする~り!と撫で上げた。
「きゃああっ!」
 背中をのけぞらせて黄色い悲鳴を上げるベテラン監督官だったOL。
「ち、違うんです!手が勝手に!」
 その通りだった。
 若手監督官の身体が勝手に動いて二十代とおぼしきOL姿となってしまったベテラン監督官を正面から抱きしめ、背中をつつーっと指でなぞった。
 柔らかい感触に、ブラジャーらしき堅い部分が当たる。
 次の瞬間、両手で強くその身体を抱きしめた。
 暖かい体温がOLの制服を通じて伝わり、豊かなバストが二人の身体の間で押しつぶされた。

「い…いやあっ…やめ…てえっ!!」

「セクハラ対策」(前編)イラスト

 羞恥に頬を紅く染めながらベテラン監督官だったOLは身体をのけぞらせる。
 目の前のその顔から化粧とシャンプーのものらしい甘い香りが漂ってくる。

「き、きさまあ…なんて…ことをおおっ!」

(続く)

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