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エレベーターと女装少年

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六鏡 玲人の暗躍――水野 希光の場合 ――(13) by.黒い枕

「はぁ、…はぁ――っ」

ココに至り、漸く楓希は自分の立場が分かった。
マスターという支配者に服従することを義務付けられた人形。
どうしようもなく、マスターである希光に従うこと――それが楓希の存在そのものだった。

(こんなの…抗い…ようが…ない…よ)

今なお揺れる巨大な乳。
形のよい極上の臀部と、お腹の中に、しっかりとある女性器の肉袋。
そこに繋がる肉穴から淫らな蜜が零れ、ショーツがベトベトである。
その全てが自分の物ではなく、自分のためでもなく――目の前の水野希光のためだけにある。
彼のためだけに、楓希は存在しているのだ。

「さぁ、謝れ――」
「うぅ――す、すみません。 許してくださいっ」

屈辱を感じても、体も、心も逆らえない。
仕方無しに、楓希は謝るが、納得できていない希光はさらに命じる。

「俺にじゃなくて、六鏡様にだ…っ。今後二度と暴言を吐かないといえ」
「は、はい。 も、もう二度と――六鏡…さまには…暴言を吐きません――っ」
「いい子だ」
「あっ――」

心が醜く汚れるが、同時に希光に頭を撫でられ、彼女は果てしない幸福感を得た。
とろんっと、マスターに見惚れる。
そして、心を蕩かせながら彼女は考えた。
本当に自分を支配しているのは目の前の主でなく――その先にいる六鏡 玲人ではないのか、と。
そう考えた途端、イメージの中の自分の、楓希の肉体が変わる。
手足に糸を付けられ、狂ったように愛嬌を振りまく自分。
そこに彼女の意思はない。
あるのは遥か高みから見下ろす、悪意の眼光――。

(違う…!俺は人形なんかじゃない!!)

自身の妄想を打ち破り、正気に留まろうと踏ん張る、楓希の中身。
まだ負けたわけじゃない。
希望を捨ててはいけないとばかりに、無理矢理ポジティブで心を武装した。
今なお、希光に押さえきれない高鳴りを感じながら、腰砕け気味になった体を支えながら――彼女は何とか元に戻ろうと考えた。
そして意外なことに、そのチャンスは希光から与えられた。

「ああー、いい忘れましたけど…ちゃんと元に戻れますから…」
「…っ!?本当か! それはあ――っ!?」
「ええ、本当ですよ」

『元に戻れる』――そのキーワードが、希光の口から零れた。
上唇を噛むことで、彼女は心拍数の上昇を誤魔化し、彼と目を合わせて、話に聞き入る。

「その体にいる今ならわかるでしょ? 私自身、元マスターの嫌がることはしたくないんです。でも、六鏡様が決めた【ルール】に触れてしまったから、罰ゲーム・モードに移行したんです。コレばっかりは私の方でも元マスターのことを優先する訳には行きませんから――」
「るーる、……ば、つ…げー、む」
「ほら――今なら頭の中を探れば説明が浮かび上がるんじゃないですか」
「説明って、そんなバカ…な、ぁ……――っ」

見えた。聞こえた。
確かに知りたいと、いう衝動が強まった瞬間――文字通り説明が、脳内に響いた。

(えっこれ…って…なら…っ!!)

眼球に直接刻み込まれたような説明に頭痛を起こしながら、彼女は僅かに頬を、にやけさせる。
バッ――と希望を隠さず、楓希は説明に該当する『新マスター』を見上げた。
応えるように彼が肯定する。

「分かりました?私自身は――楓希に戻ることを嫌がりませんから……」
「後は俺が望めば……――」

説明には、こう書かれていた。
元楓希は新たなるマスターとして、マスターだった新たなる楓希を所有するべし…正し、両者の合意があった場合、元に戻ることを許可する、と。
そして、戻るためには――融合してから体を、元に戻した状態で分離するには――日が落ちて、希光と楓希が二人っきりになる、と言う二つの条件も説明された。

なら簡単ではないか。

自分が、男に、人間に、マスターに――水野 希光という存在に返り咲くことは。

「そうですけど、簡単じゃないですよ? お分かりになってますか――?」
「えっ――? どうしてだ?」

しかし、目の前の味方だと思いたい希光は、あまりいい顔をしない。
むしろ不安げに見下ろしていた。

「な、なんだよ――っ」

その儚げな瞳にも心を奪われ、のぼせ上がりながら楓希は質問を返す。
見つめ合いから、抱き合いに変わりそうなほど顔を赤く染めている。

「今は私の意志で愛情の度合いをコントロールして最弱にしていますが――ぶっちゃけ、まだきついでしょ――っ?」
「――うぐッ!!」

核心を突く鋭い問いに、大げさなアクションで楓希は両手を胸に置いた。
そう確かに今こうして話しているだけで――嬉しい。
まさに無尽蔵の愛だった。
だからこそ、その人間では考えられない純粋な献身の愛を知っているが故に、彼は尋ねたのだ。
その身に内包している欲情に耐え切れるか、どうかを。

(ま、まけるか…俺が…希光だぁ…)

それは【楓希】の体を体験しなければ、分からない高揚感、義務感、そして幸福感。
敵は強大すぎる、自分自身の感情。
ある意味、目の前の希光よりも、六鏡玲人よりも、強敵である――が。

「……だっ、だい…大丈夫ぅ――だ…っ」

弱弱しくも、楓希は戦うことを選んだ。

「――そうですか。じゃあ、着替えてから、コスプレ会に戻ろうか――楓希」
「ちょ――っ!!な――っ!?」
「なに驚いているんだ?元に戻るまでマスターとして楓希を従えるのが、俺の義務なんだから――取り合えず、日が落ちるまでは俺が水野希光で、お前が楓希だ」
「そうかもしれないけど……っ」
「なんだ?それとも数時間、楓希を演じる――と、元に戻りたくないって考えそうで、怖いのかっ」
「そ、そんなこと……っ」
「なら、覚悟を決めろ!――ねっ、元マスター❤」

協力するが、あくまでも六鏡 玲人という絶対者に従う希光は、最低限度のフォローしかしない。
もっとも、今の楓希には、その最低限の救いの手でも有り難かった。

「わっ…分かりました…」
「違う、違う。――俺と楓希は恋人なんだから、もっと柔らかく、フレンドリィーに!後、ちゃんと『ショウくん』――と呼ぶ。《――さあ》」
「しょ、…ショウくぅんっ」
「ほら、照れてないで、さっさと着替える。 ショーツも変えないといけないし――《ほら、着替えろ!!》」

彼の命令に楓希の左腕と右腕が自然と上がり、煙と光と――衣装が出て来た。
これまた体が説明してくれた。
【楓希】には様々な衣装が収納されていると。
例えば、目の前に出現した――ビキニアーマー……とか。

「これ…えっ?」
「グズグズするな。着替え方が分からないなら、俺が着替えさせてやろうか?」
「ひぁん!!――ちょ、ちょ、ちょ」
「ほら、なんなら命令して動けなくしてから着替えさせてやろうか?」
「ひぃいぃ――!! わ、分かった!分かったから――手を股間に入れてくるなっ!」

着物のスカート状になっている辺りまで指が進行したところで、本気が伝わった。
そうなると、脱兎のごとく殿方用のトイレの個室を借りると鍵を閉めて、背中をドアに預け――かなり惜しかったなと思いながら、彼女は心を落ち付かせていく。
そして、楓希は胸に押さえつけていた手にある衣装と下着に意識を向ける。

「これを着るのかぁぁ――っ」

水着のビキニと、ほぼ変わらない衣装。
コスプレイヤーでも、戸惑うだろう――が、それでも楓希は着替えることする。
外にいる人を、『恋人』を待たせたくなくて。

『お~い、まだか? 本当に俺が着せようか?』
「ま、まってよショウくん!!直ぐ着替えるから――っ」

いそいそと、あるいはいじいじと、メタルチックなパーツを装着しつつ、彼女は張りのある布地を隠し所に宛がう。

「大丈夫…だよね…うん!」

そして、着飾りの出来栄えを三回チェックすると、楓希は恋人の待つドアを開けるのだった。

<つづく>

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