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六鏡 玲人の暗躍――水野 希光の場合 ――(14) by.黒い枕

「うわぁぁ――超似あう!! 自前これ!? 凄い上手に出来てるよ!!」
「う、うん。一応、自前かな――?」

じゃれ付く二人の友達――ミヤコと楓希――を観察しながら、ユイは途方にくれていた。
ミヤコと楓希のグラマーな体が羨まし過ぎて。

(くそ…!私のプライドがズタボロだ!!――特に楓希は、なんでそんなに綺麗な形を保ちながら大きく育てられるんだっ!?ありえないだろ!!常識的にっ!!)

お互いが、乳をボールのように胸板の上で転がしている。
ユイとしては、実に面白くない。
しかも、これがミヤコぐらいの乳房なら、彼女もまだ我慢できた。
が――。

(ううっ…なんなのよ…あの胸は…本当に…)

親友である楓希のスタイルには、嫉妬を通り過ぎて殺意すらも抱いてしまう。
その大きさは正しく、持ち主の顔と同等か、それ以上の体積。
最初の頃は可愛い後輩として面倒を見ていたが、今ではスッカリ虐めっ子に成りたい衝動に駆られてしまう。

(確か、Iカップだっけ?本当にいるんだぁ…――んん?)

遠目で巨乳同士のコラボを鑑賞しながら、聞き流せない言葉にユイは憤慨するのを中断した。
聞き間違いではないかと、見つめ直すも、耳は正常だったらしい。
視界の中では、新しい衣装に身を包んだ楓希が、ミヤコを連れ去ろうとしているではないか。

「ちょっ――ちょっと!!楓希ィィ!?希光くんはどうするの!?」

確かに聞こえた。――待たないと、別の場所に行きたいと。

「ちょ…正気!?」

ユイは知っていた。
彼女がどれだけ希光を愛しているか。
否――もはや依存していただけに、かなり心配してしまう。

「ショ…ショウくんはいいのおおぉ!!さぁ、行こうミヤコっ」
「あっ――れェェェ――っ!?」

だが、それでもユイとミヤコが『知る楓希とは違う彼女』は、赤面しつつ、何処かへと消えていってしまう――ミヤコを連れて。
知り合い一人いない異世界じみた空間に一人置き去りにされるユイ。
しかし、彼女は、それでも親友の安否を気に掛け続けた。

「なにか……あった、の?」

彼女が呟いた声。
それは会場の熱気と喧しさに飲み込まれ――何処かへ消えた楓希には届かなかった。

~~~~

(ユイのバカぁ~~出来るわけないじゃない)

一瞬で――楓希は、希光に骨抜きにされてしまっていた。
悶々とする卑猥なイメージが後から後から、脳より漏れ出し、心拍数が異様なほど高い。
なんせ、着替え終わり、ドアを開けた瞬間に――『コロリ』だ。

(出てから直ぐ、可愛いだなんて――反則だああぁぁ!!)

『衣装を率直に褒める』――の威力で、難なく胸を焦がされた楓希。
股ぐらを擽られたみたいに、体がそわそわしてしまう。
会話も碌にしないまま飛び出すしか、正気を保てる方法を思いつかなかったのだ。

(――あっでも、放置して良かったのか?い、一応、私とショウくん――って恋人同士だし……)

ガシャガシャ。
重圧そうな鉄板の擦り合う音の中でも彼女は、乙女チックに咲き乱れる。
コロコロと表情が変わる様はとてもじゃないが、人形ではない。
――が、彼女こと【楓希・ふぶき】は紛れもない『物』だった。
今も、無礼を働いたのではないかという罪悪感に締め付けられている。

(ちがーうぅ!違うぞ!俺っ!!――俺が『水野 希光』なんだ!!)

その頭髪と同じくらいピンクの頬で、頭をぶんぶんっと、振り回す。
当然、彼女の足は止める。

「――ぅぅ、やっと、止まってくれた?」

すると、連れ回していることを忘れていたミヤコが、声を掛けてきた。
目を回している。
いや、彼女だけではなく、楓希自身も慣れない女体で疲れてしまっていたようだ。
二人して、肩で息をしていた。
そんなバテバテの美女コスプレイヤー二人を周辺のオタクは、無論、逃さない。

「あ、あの――写真取らして貰っていいですか?」

ナンパではなく、撮影を求められる二人。
楓希は、これ以上――『設定上』の【楓希】に慣れたくなかったので、丁重に断ろうとした。
だが、生憎と、ここにいる相方は、ミヤコ。
これがユイだったなら、未来が変わっていたかもしれないが、やはり今居るのはミヤコである。

「――はいはい!勿論ですぅ!ほら、さっさと息整えよ!楓希ちゃんっ!!」

つまり――どんなことになろうと、楓希はコスプレイヤーとして活躍しなければならなかった。

――

「えいっ!見よ!この美女剣士と美女海賊のコラボっ!!」
「あ、あのもう少し――」

ノリノリで、他人に己をアピールするミヤコ――と、そんな彼女に腕を組み付かれ、半ば強制的に体を張り出すような体勢を取る『暗黒騎士』。
滑らかな肩を守る漆黒の肩当。
胸当ては乳の上を露出した作りで、嫌なほど谷間を強調している。
ピッチリと張り付く布地の材質のため――特に股座が――恥かしいこと、この上ない。
黒を基調とした色合いのため、正しく魔性のビキニアーマーである。

「…う…あの…その…ごめん…やっぱり…無理ィですぅ」

もっとも、そのビキニ鎧を着ている着用者――楓希――が、瞳をウルウルとさせて、恥じらい、顔を真っ赤にしてなけらばの話だ。
これは、これでギャップがいいかも知れないが、コスプレイヤーとしては減点だろう。
周りの男たちは満足しても、コスプレ大好きなミヤコには通用しなかった。

「こらっ!ちゃんとキャラを演じなさいよ!!『――ふん、貴様たちはここで死ぬのだ!!』とかの台詞をいう感じにさぁぁ!!今の楓希ちゃんは黒騎士。可憐さじゃなくて、ツンデレのツンが必要なの!! さぁ、はい――!!」
「――っ!! むっ、無理だよぉぉ」

どうしても肌と布の擦れる感覚に不安になってしまう楓希。
無理もない。
服でも鎧でもなく、ただの拘束具のように生地が、体にイヤらしくこびり付いてくるのだから。
あまりにも体を刺激する仕様に、いよいよ本当に泣き出しそうである。

「――はぁぁ。やっぱ、希光くんがいないとダメね」
「そ、そんなことないもん!!――ほ、ほら」

バッと、腕の拘束から抜け出し、一人で凛然と胸を張る楓希。
体の機能または特性によって、比較的に上手に強気な女騎士と成る。

「ど…どう?…じゃなくて…どうだ!」

挿絵 1
挿絵 神山響

羞恥心と戸惑いを上手く隠せた――と、彼女は自画自賛した。
しかし――。

「ダメね、希光くんと仲直りなさい!今すぐに…っ」
「ええぇぇ!? なっ、なんでよ!?」
「いいから、これはコスプレの師匠としての命令です!!」

マスターである希光だけでなく、親友となっているミヤコにすらも、いい様に弄ばれている楓希。
苛立ちのままに、ミヤコに抗議する。
最初から喧嘩などしていないし、――出来るわけがないし、と。

「いっ、嫌ぁ!本当に何にもないのぉぉ!だから!いいの…っ!!」
「だったら、直ぐにでも連れてきなさいよお!!」
「それでも嫌なのぉおお――っ!!」

矛盾した憤慨を露わに、楓希はそっぽ向いた。
全てが戻る為だとしても、その行為は、どこまでも可愛い少女そのもの。
確実に楓希の体が、心を【楓希】へと変えていた。

「――っあぁぁ、もう!! お説教タイム!! いいからきなさい!!」
「あっ、ああぁぁぁ!!」

先ほどとは逆で、ミヤコが楓希を捕まえる。
そして、泣き喚く彼女を無視し、ミヤコは、女海賊は女騎士を引き連れて、人ごみの中へと進んだ。

(うわーん!! 余計なことしないでよぉぉ!!)

<つづく>

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