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おとラブ~女装美少年限定!~

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(2011/12/09)
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緊急の場合は 2-4 by.amaha

(4)

 光球騒ぎの記憶が消えぬうちに近くで起こった爆発炎上は大騒ぎになり、現場は一週間警察により封鎖された。
 事件は生活にも影響した。大騒ぎのせいで休校のうえ自宅待機のはめになる。

 学校が始まったのは封鎖が解除された翌々日からだ。ただ今も現場には、様々な報道機関や研究者や、怪しげな人たちが集まっている。
 ニャンコ先生に関しては完全に諦めたわけではない。彼にもコアに当たる部分があり、そこが無事なら再構成できるというのがホバーボード搭載AIの見解だった。まあ、まだ当分近づけそうにはないが。

 まあ、いろいろ心配事はある。しかし、とりあえずの懸案事項は、例のダブルデートのことだった。
 元の体に戻っていれば、実はそうなるのを期待していたのだが、荒木レイカとのデートになるので願ったり叶ったりとなる。しかし宇宙刑事からは、なんの連絡もない。となれば、俺は佳奈子として大山の相手をするはめになる。かんべんして欲しいぜ。

 よく分からないのは佳奈子が相手にバスケ部のキャプテンとか嶋さんを選ばなかったことだ。てっきりどちらかが相手だと思っていた。別に先輩のほうが気楽と言っているわけではないけどね。

 結局、俺のかすかな期待は裏切られ、現状のままデート当日がやってきた。佳奈子が選んだのは私鉄で三〇分ほどの距離にある海沿いのテーマパークで、まあ無難なところだろう。遊園地に水族館、それにキャラクターグッズを中心に扱う商業施設が充実していて一日飽きずに楽しめた。もっともそれは家族連れか、男女ペアの場合のことで、男同士なら無理ゲーである。

 集合場所の最寄り駅には佳奈子と二人で向かった。自宅が近いので自然な流れだ。
 レイカと大山は微妙な距離を保ち、すでに待っていた。俺達を見て二人がほっとした表情を浮かべたのが少し可笑しい。
 電車の中からレイカは積極的に佳奈子に話しかけて良い感じである。佳奈子にはあまり親しくなりすぎないようにと頼んであった。本物の俺に替わった時、レイカに違和感をもたれてはかなわない。
 逆に佳奈子からはこう言われていた。喧嘩はするな、手を握るまではオッケーだと。大山に手を握られたら、気持ち悪くて振り払ってしまいそうだが。

 雰囲気の良い加奈子とレイカと違い、俺と大山は微妙な雰囲気だ。大山は緊張してカチカチだし、それを間近で感じる俺は笑うのをこらえるのに必死である。
 それでも到着する頃には会話に加わり今日の予定を相談できるようにはなった。主に佳奈子の提案で、午前中は遊園地エリアでアトラクションを楽しみ、昼食後に水族館エリアに回ると決まる。

 最初に佳奈子が選んだのはゾンビに支配された町からの脱出をテーマにしたものだった。車の形をしたライド(乗り物)は横二座席で俺の横はレイカである。これは大山がおじけついた――ゾンビにではなく、いきなり俺の横だと緊張すると言ったためで、少し可哀想になった。いつかデートの相手の中身が俺だったと知ればショックで死ぬかもしれないな。

 不気味な音楽と共に暗闇に入る。湿った足音が聞こえたかと思うと……
「きゃー!」
「ひぇ~」
 最初の悲鳴は怯えたレイカ、次は抱きつかれて驚いた俺のものである。同性の親友の気楽さなのか、レイカは力いっぱい俺を抱きしめた。シートベルトがなかったら俺は気を失ったかもしれない。もちろん気分よく。
 人気アトラクションだけあって飽きさせない仕掛けが続き、レイカの悲鳴は続いた。
 あっという間の一〇分が終わり外に出る。眩しい太陽の光の下は別世界だ。
「女性陣はずいぶん楽しんだようだね」
と佳奈子が皮肉な視線で俺を見る。レイカは俺の手をまだしっかり握っていた。
「姫くん、いじわる。だって怖かったもの。ねぇー佳奈子」
「う、うん」
「どうだか」
「おい姫、なに言ってるんだ。とにかく冷たいものでも飲まないか」
 大山にしては珍しく気の利いたセリフである。
「賛成!」
という俺の返事にヤツは顔を赤らめた。どうやら佳奈子に本気で……
 やめてくれ! 元の体に戻るまで。

 木陰で休息をとっているとレイカは静かな乗り物にしようと提案した。
 最初の予定では次はジェットコースターで、一部海上のコースもある絶叫系だった。さっきのレイカの様子が芝居だったとは思えない。あれではムードはぶち壊しである。
 反対するものはいなかった。

 佳奈子が選んだのは、八〇八と言うアトラクション、小舟で江戸の下町を巡る旅というのがテーマになっている。ライドは和船の形で、一艘に二列一二人だ。

『水の都と言えばヴェネツィアを思い出される方が多いと思いますが、昔の東京、江戸の下町も多くの河川と運河で……』

 川筋にはアニマトロニクスで人々の生活が再現されている。また、ところどころには本物の人間がいて、寸劇を披露していた。
『桜川、通称八丁堀は開削された堀の長さが約8町(873m)であることから、こう呼ばれましたが、辺りが与力同心の住まいであったため、八丁堀が彼らの俗称となったのは時代劇がお好きな方ならよくご存知で……』

 俺と大山が最前列なので、後席の二人の様子は時々振り返る時しか分からないが、雰囲気はよさそうだった。俺達の方はいま一つだ。まあ、俺にとっては男同士なのだし、大山もいきなり違う環境に連れ出された猫のようなものなのだからしかたない。

 船はちょうど中間辺りで接岸する。そこは広場があり屋台が出ていた。銭一文三〇円のレートで両替しておくと買うことができる。

 レイカの目配せを二人にして欲しいと理解して少し離れる。大山は……ほら、ついて来た。
「森さん、なにか食べる?」
「じゃあ、お団子」
 のぼりを見ると一串六文とあるので一八文渡した。
 雑用なのに大山は嬉しそうにかけていく。
 大山とは中学も同じだ。部活が違うので始終一緒というわけではないけれど、親しいと言って問題ない。佳奈子とも比較的会話していたと思う。

 大山が戻ってきたので川沿いに置かれた縁台に座った。佳奈子たちはそば処の看板がある茶店にいるのが見える。それなりにいい雰囲気だ。レイカと並ぶとちょっと俺の外見が地味なのが目立つけど。
 早く元の体に戻りたいと考え込んでいると、
「仲良さそうだね、あの二人」
 間が持たないのか大山が話しかけてきた。
 別に大山に辛く当たろうとしてるわけじゃない。俺だって困っているんだ。
「二人の間に立っちゃった感じだから、うまくいってくれないと困るわ」
「なるほど」
「それに私達だってそう見えるんじゃないかしら。仲良く座ってお団子食べてるんだし」
「そうかな?」
「後で、ヒナに聞いてみれば?」
 ヒナと呼ばれるのは嫌いでも佳奈子がそう言っている以上ここでは仕方がなかった。
「うん。ところで手首はもう大丈夫なの?」
 大山の視線は皿を持つ俺の左手に向いていた。
「え、まあ。もともと日常生活には支障なかったし……もう握力も戻ったし……よく知ってるわね」
「うん、まあ……」
 女子柔道部のキャプテンの弟と部活が同じだという。ちょっと驚いたが、佳奈子がそれほど注目されているということだ。大会の練習が始まるまでにはなんとしても元に戻る必要がある。
 四人で合流して残った時間一緒に買い物をしてから船に戻る。後半は有名な時代劇が賑やかに再現され、けっこう面白かった。

 そのあとジェットコースターを含め三つのアトラクションを回った所で昼時になった。
 コインロッカーまで戻って弁当を取り出し中央広場でシートをひろげた。ここは弁当持ち込み禁止ではないので周りには家族連れが多い。
 女性陣で弁当を作るというのはレイカに相談を受けて俺がひねり出したアイデアだ。別に女は作る人、男は食べる人と決めつけているわけではない。女性の手作りに男は本能的に弱いだろうというのは俺の中の定説だ。だからといって本物の佳奈子の料理が食べたいわけじゃあない。長生きしたいからね。

 弁当作戦は成功したと思う。レイカの努力は、ちゃんと俺も食べたのだから決して無駄にはならなかったし、満員の食堂の行列に並ぶムダが省けたのだから。

 午後はあまり移動せず、海獣のショーを中心に回った。四人とも童心に戻り楽しくひと時を過ごした。

 良い雰囲気のまま俺と佳奈子は他の二人と駅で別れた。休日とはいえ夕刻なので人通りは多いので地は出せない。
「お疲れ様でした」
「でも楽しかった」
「レイカはどうだった?」
「感想としては、意外な面を見せてもらった――かな」
「たとえば?」
「それは秘密。例えあなたでも」
「どうして」
「感じない? なんだか騙しているような」
「それはずっと感じてる」
 漠然と探偵の帰還をまたず元に戻る方法を探ったほうが良いかもしれない。
 
 そのまま俺たちは黙りこんだまま歩いた。姫家が近いので玄関先で別れる。
 ドアが閉まるのを待って歩き去ろうとした時、声をかけられた。
「雛芳、なんという格好をしている」
 振り返ると祖父が立っていた。




(Ⅱはここまで)

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