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呪いはわが身に (2) by.isako

(2)
 

 長尾と別れたあと電話で仕事をキャンセルして帰宅した。
 私は加賀美しおんという偽名で広告モデルをしており、イベントコンパニオンを中心に活動している。
 また、あまり選り好みをせずバンケットの仕事も引き受けていた。
 これには幾つか利点がある。
 最大のものは捜査対象と裏でつながっている犯罪組織の幹部に疑われず近づける点だ。例えば、一番最近の仕事では、襲名披露のパーティーで知り合った若頭に近づくことで、某国のスパイ網を芋づる式に検挙できる証拠を集めた。ニュースにならなかったのはこれが外交取引に使われたからに過ぎない。
 小さな所では、収入が良いので捜査に際して資金に困らない点だ。今は警視庁の備品にすぎない私に給与はない。資金が欲しければ嫌味な担当係のご機嫌をとるしかなかった。それは二度としたくない。

 家は浜松町駅から七分ほど、増上寺近くの2LDKで家賃は四〇万、比較的新しいマンションなので少し高い。

 部屋に入った私は別れ際に長尾から渡された二つの箱をそっとテーブルに置き、バスルームに入った。
 久しぶりの居酒屋は楽しかったけれど、臭いがひどい。
 熱い湯で徹底的に洗った。脱衣場で水滴を拭き取り髪にタオルを巻いて、裸のままリビングへ戻る。一人ぐらしは気楽なものだ。
 姿見に全身をうつしてみた。
 身長一七三cm、そしてモデルとして理想的なプロポーション。それでも機械人間なら普通体重は九〇kgを超える。高価なバイオ組織を多用しているので私は約五〇kgに抑えられていた。また、そのおかげで通常の検査装置では機械化率二〇%台になる。職場では備品の私が捜査中は人、しかも美女として扱われるのはなんとも皮肉であった。

 二課(警視庁公安部外事二課)に定時連絡をし、新しい情報を受け取る。機密保持のため外部記憶装置へのダウンロードは禁止されているので、データを人工網膜に映す。見やすいように天井を見るのは癖だ。
 特に新しい事件はない。長尾の心配が当たっているなら、この国は危ないというのに……

 下着を身につけ、ボーダー柄のルームウェアに袖を通してから、箱の置いてあるテーブルの席についた。
 大きい箱には今一番売れているデジタルメディアプレーヤーが入っていた。もちろん楽しむためのプレゼントではない。長尾の情報にあるアンドロイドの通信を妨害するジャミング装置である。
 小さい箱の方は指輪型の装置で、人と見分けがつかぬ敵のアンドロイドが出す微弱な電波の検知装置になっている。なんとなく左手の薬指にはめてみた。
 眺めていると、腕を組んだ時、カウンターで体を寄せた時、長尾の皮膚温が上がり脈が速くなったことを思い出して可笑しくなった。私のセンサーは高性能なのだ。
 そう言えば勘定が終わり、長尾が箱を渡すのを見ていた親父の目が批判的だったのは、こんな所でプロポーズするなという意味だったのかもしれない。

 私の夢想はエントランスからの内線で中断された。声に聞き覚えがある。
『加賀美さん? 中島陸人ともうします』
「はい」

 彼は私の同期で、部署は違うが、捜査対象に面は割れていない。口頭での連絡係に使われる可能性があった。
 ただ同期といっても、どちらかと言えばライバル、しかも出世が早かった私に彼は良い感情を持っていなかった。当然私も。

 ロックを解除して待つと三分ほどでドアホンがなる。
 ドアを開けると記憶どおりの男がいた。今は身長が逆転しているので少し見あげなければならない。
 リビングに案内するときょろきょろと見回してから私に視線を向けた。
「なかなかいい部屋じゃないか」
「指示は?」
「指示……ああ、任務できたんじゃない」
「では、なんのよう? 忙しいんだけど」
「どうしてるかと思ってさ。同期の俊英がね」
 私は死んだことになっており、こんな姿でこの世に留まっているのを知っているのは上層のごく一部だけだ。アンドロイドの調査のため極秘事項に触れる権利をえた長尾は例外中の例外である。
「知っているのか」
「偶然知ったのさ」
「そんなことはありえない」
「否定はしないんだな」
「上司に報告する」
「今のお前に内部告発する権利はないだろう」
「だから報告だ」
「俺はデータを覗いた痕跡など残しちゃいない。誰も信じないぜ。人恋しくなった機械女が昔の知り合いに連絡してきたといえば、信じる奴もいるだろうな」
 嘘だ。こいつは、こんな事で経歴を棒に振る男ではない。
「さっさと帰れ」
「つれないなあ。捜査対象とは寝るんだろう」
 中島は私の指輪をあざ笑うように睨めつけ続ける。
「人と同じ、いや、それ以上の名器らしいじゃないか。減るもんじゃあるまいし、やらないか?」
「私をからかいにきたのか」
 押すと抵抗もせず玄関に戻る。
「そうそう最近上司から縁談を勧められたんだが、バツイチなんだ。一年前に殉職した男の元妻らしいぜ。どうしたものかな。コブ付きだし」
「消えろ」
 ドアを閉めると廊下から笑い声が聞こえた。

<つづく>

孤高の女騎士が憧れのお姫様とHしちゃう方法をTS的に考えてみた

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