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水曜イラスト企画 絵師:シガハナコさん(6) 仮名:小海 歩陸(あゆむ)
小海 歩陸(あゆむ)【憑依】
化け猫ルビアをペットにしている青年。ルビアのイタズラで、妹の体(メガネ、青が掛かった黒髪、そこそこグラマーで、可愛い系)に憑依してしまう。
絵師:シガハナコ

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。
化け猫ルビアをペットにしている青年。ルビアのイタズラで、妹の体(メガネ、青が掛かった黒髪、そこそこグラマーで、可愛い系)に憑依してしまう。
絵師:シガハナコ

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3月発売コミックのチェック
03/01 エンターブレイン発行/角川グループパブリッシング発売 ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 1 はる 桜菜 \651 書籍扱
03/01 徳間書店 シージェッター海斗 1 早瀬 マサト \800
03/02 集英社 To Loveる ダークネス 4 矢吹 健太朗 \460
03/03 角川書店発行/角川グループパブリッシング発売 エコー/ゼオン 3 六道 神士 \588 書籍扱
03/05 ぶんか社 性別が、ない! 11 新井 祥 \780
03/06 講談社 賭博堕天録カイジ 和也編 8 福本 伸行 \590
03/07 講談社 ばけものくらぶ 2 コダマ ナオコ \590
03/07 講談社 蹴球少女 5 若宮 弘明 \570
03/10 オークス (成)さいみん アンソロジー \1000 書籍扱
03/13 講談社 海月姫 9 東村 アキコ \440
03/15 集英社 チア男子!! 1 まつもと あやか \440
03/16 講談社 修羅の門 第弐門 5 川原 正敏 \460
03/16 講談社 賭博覇王伝 零 ギャン鬼編 3 福本 伸行 \560
03/16 講談社 AKB49~恋愛禁止条例~ 7 宮島 礼吏 \440
03/17 竹書房 寄性獣医・鈴音 5 春輝 \650
03/17 日本文芸社 快感トリップ凛 1 秋口 幸迅 \780
03/19 秋田書店 ばくおん!! 1 おりもと みまな \580
03/19 秋田書店 エクゾスカル零 2 山口 貴由 \580
03/19 集英社 NEEDLESS 14 今井 神 \630
03/19 集英社 ねじまきカギュー 4 中山 敦支 \540
03/19 集英社 カイチュー! 9 林 佑樹 \540
03/23 メディアファクトリー えむえむっ! 7 氷樹 一世 \570
03/24 スクウェア・エニックス ニコイチ 10(完) 金田一 蓮十郎 \560
03/26 角川書店発行/角川グループパブリッシング発売 これはゾンビですか? いいえ、ってかコレ誰? 木村 心一 \609 書籍扱
03/26 角川書店発行/角川グループパブリッシング発売 オトコのコはメイド服がお好き!? 2 ホビージャパン \609 書籍扱
03/26 大洋図書 ジョそぉ部 クロマメ オトコの娘作品コレクション クロマメ \680
03/27 一迅社 女装少年アンソロジーコミック(仮) アンソロジー \680
03/27 一水社 (成)男の娘▽はいつでもモテ期♪ 宵野 コタロー 他 \1000
03/01 徳間書店 シージェッター海斗 1 早瀬 マサト \800
03/02 集英社 To Loveる ダークネス 4 矢吹 健太朗 \460
03/03 角川書店発行/角川グループパブリッシング発売 エコー/ゼオン 3 六道 神士 \588 書籍扱
03/05 ぶんか社 性別が、ない! 11 新井 祥 \780
03/06 講談社 賭博堕天録カイジ 和也編 8 福本 伸行 \590
03/07 講談社 ばけものくらぶ 2 コダマ ナオコ \590
03/07 講談社 蹴球少女 5 若宮 弘明 \570
03/10 オークス (成)さいみん アンソロジー \1000 書籍扱
03/13 講談社 海月姫 9 東村 アキコ \440
03/15 集英社 チア男子!! 1 まつもと あやか \440
03/16 講談社 修羅の門 第弐門 5 川原 正敏 \460
03/16 講談社 賭博覇王伝 零 ギャン鬼編 3 福本 伸行 \560
03/16 講談社 AKB49~恋愛禁止条例~ 7 宮島 礼吏 \440
03/17 竹書房 寄性獣医・鈴音 5 春輝 \650
03/17 日本文芸社 快感トリップ凛 1 秋口 幸迅 \780
03/19 秋田書店 ばくおん!! 1 おりもと みまな \580
03/19 秋田書店 エクゾスカル零 2 山口 貴由 \580
03/19 集英社 NEEDLESS 14 今井 神 \630
03/19 集英社 ねじまきカギュー 4 中山 敦支 \540
03/19 集英社 カイチュー! 9 林 佑樹 \540
03/23 メディアファクトリー えむえむっ! 7 氷樹 一世 \570
03/24 スクウェア・エニックス ニコイチ 10(完) 金田一 蓮十郎 \560
03/26 角川書店発行/角川グループパブリッシング発売 これはゾンビですか? いいえ、ってかコレ誰? 木村 心一 \609 書籍扱
03/26 角川書店発行/角川グループパブリッシング発売 オトコのコはメイド服がお好き!? 2 ホビージャパン \609 書籍扱
03/26 大洋図書 ジョそぉ部 クロマメ オトコの娘作品コレクション クロマメ \680
03/27 一迅社 女装少年アンソロジーコミック(仮) アンソロジー \680
03/27 一水社 (成)男の娘▽はいつでもモテ期♪ 宵野 コタロー 他 \1000
2月コミック チェックリスト
02/08 秋田書店 りびんぐでっど! 2 さと \440
02/08 秋田書店 琉神マブヤー 1 丸山 哲弘 \440
02/09 富士見書房発行/角川グループパブリッシング発売 せんごくっ!? 4 悠久乱世恋華譚 或十 せねか \609 書籍扱
02/09 講談社 セレスティアルクローズ 4 塩野 干支郎次 \630
02/09 講談社 さんかれあ 5 はっとり みつる \440
02/09 講談社 怪物王女 17 光永 康則 \580
02/09 少年画報社 ブロッケンブラッド エイト 塩野 干支郎次 \580
02/09 スクウェア・エニックス ユーベルブラット 11 塩野 干支郎次 \560
02/上 久保書店 (成)びしょ濡れスイッチ 亜麻木 硅 \1000 書籍扱
02/上 久保書店 (成)コスプレ娘は変態中 月森 雅十 \1000 書籍扱
02/13 大洋図書 オトコの娘コミックアンソロジー ~恥ぢらひ編~ アンソロジー \680
02/中 キルタイムコミュニケーション (成)褐色ヒロインアンソロジーコミックス にゃご丸、天道まさえ \990 書籍扱
02/17 三和出版 巨大娘研究 鳥山 仁 \1500
02/17 集英社 東京喰種トーキョーグール 1 石田 スイ \540
02/17 集英社 F.Pアゲハ 石田 力也 \540
02/17 集英社 カイチュー! 8 林 佑樹 \540
02/17 竹書房 満潮!ツモクラテス 5 片山 まさゆき \680
02/20 秋田書店 フランケン・ふらん 8(完) 木々津 克久 \580
02/20 秋田書店 アイドルプリテンダー 1 晴瀬 ひろき \580
02/20 一迅社 オンナノコときどきオトコノコ ひねもす のたり \900
02/20 少年画報社 ヒーローの秘密 今村 陽子 \650
02/20 白泉社 オレンジ チョコレート 8 山田 南平 \420
02/20 メディアックス (成)オトコノコHEAVEN 2 アンソロジー \1200
02/23 メディアファクトリー まりあ†ほりっく 9 遠藤 海成 \500
02/23 メディアファクトリー にょたいかっ。 4 龍炎 狼牙 \580
02/25 白泉社 ガラスの仮面 48 美内 すずえ \420
02/25 ワニブックス のぶながっ! 4(完) 東 皓司 \714 書籍扱
02/27 一水社 (成)ドM改造計画 かかし 朝浩 \1000
02/27 アスキー・メディアワークス発行/角川グループパブリッシング発売 妄想少年観測少女 3 大月 悠祐子 \599
02/29 少年画報社 デスレス 4 六道 神士 \550
02/29 白泉社 出勤!!市役所ファイブ 1 稲田 恭明 \630
02/29 白泉社 まおまりも 4(完) 谷澤 史紀 \650
02/下 久保書店 (成)やらせてっBUNNYS The Amanoja9 \1000 書籍扱
02/08 秋田書店 琉神マブヤー 1 丸山 哲弘 \440
02/09 富士見書房発行/角川グループパブリッシング発売 せんごくっ!? 4 悠久乱世恋華譚 或十 せねか \609 書籍扱
02/09 講談社 セレスティアルクローズ 4 塩野 干支郎次 \630
02/09 講談社 さんかれあ 5 はっとり みつる \440
02/09 講談社 怪物王女 17 光永 康則 \580
02/09 少年画報社 ブロッケンブラッド エイト 塩野 干支郎次 \580
02/09 スクウェア・エニックス ユーベルブラット 11 塩野 干支郎次 \560
02/上 久保書店 (成)びしょ濡れスイッチ 亜麻木 硅 \1000 書籍扱
02/上 久保書店 (成)コスプレ娘は変態中 月森 雅十 \1000 書籍扱
02/13 大洋図書 オトコの娘コミックアンソロジー ~恥ぢらひ編~ アンソロジー \680
02/中 キルタイムコミュニケーション (成)褐色ヒロインアンソロジーコミックス にゃご丸、天道まさえ \990 書籍扱
02/17 三和出版 巨大娘研究 鳥山 仁 \1500
02/17 集英社 東京喰種トーキョーグール 1 石田 スイ \540
02/17 集英社 F.Pアゲハ 石田 力也 \540
02/17 集英社 カイチュー! 8 林 佑樹 \540
02/17 竹書房 満潮!ツモクラテス 5 片山 まさゆき \680
02/20 秋田書店 フランケン・ふらん 8(完) 木々津 克久 \580
02/20 秋田書店 アイドルプリテンダー 1 晴瀬 ひろき \580
02/20 一迅社 オンナノコときどきオトコノコ ひねもす のたり \900
02/20 少年画報社 ヒーローの秘密 今村 陽子 \650
02/20 白泉社 オレンジ チョコレート 8 山田 南平 \420
02/20 メディアックス (成)オトコノコHEAVEN 2 アンソロジー \1200
02/23 メディアファクトリー まりあ†ほりっく 9 遠藤 海成 \500
02/23 メディアファクトリー にょたいかっ。 4 龍炎 狼牙 \580
02/25 白泉社 ガラスの仮面 48 美内 すずえ \420
02/25 ワニブックス のぶながっ! 4(完) 東 皓司 \714 書籍扱
02/27 一水社 (成)ドM改造計画 かかし 朝浩 \1000
02/27 アスキー・メディアワークス発行/角川グループパブリッシング発売 妄想少年観測少女 3 大月 悠祐子 \599
02/29 少年画報社 デスレス 4 六道 神士 \550
02/29 白泉社 出勤!!市役所ファイブ 1 稲田 恭明 \630
02/29 白泉社 まおまりも 4(完) 谷澤 史紀 \650
02/下 久保書店 (成)やらせてっBUNNYS The Amanoja9 \1000 書籍扱
2100万ヒット記念 イラスト企画るねさんす ①~⑤
この企画、2008年2月からやっているのですね。足かけ4年で200人ですか。
絵師さんにリクエストきくか微妙ですけれど、創作ネタを考えてみましょう♪
水曜イラスト企画① 絵師 そら夕日さん(1) 仮名:鳳げんじ
一行キャラ設定 苛めっ子の問題児。性格悪し。
Genji Ohtori is a problem child and had bad character. But he has become a girl.
鳳源氏是一个难管教的儿童并有坏人了。但是他变成一个女孩。

絵師: そら夕日さん いちご色素
初出080220
水曜イラスト企画② 絵師 そら夕日さん(2) 仮名:天上ひとし
一行キャラ設定:天上ひとし お金持ちの美少年だが逆境に弱い。
Hitoshi Tenjou is a rich. And he is a good-looking boy. but he is poor at adverse circumstances. He will become a girl for a certain reason.
天上仁是一富有。并且他是一个好看的男孩。但是他不擅长逆境。他会因为一种某些特定的原因变成一个女孩。

絵師: そら夕日さん いちご色素
初出20080227
水曜イラスト企画③ 絵師 stemさん(1) 仮名:松本ゆうすけ
一行キャラ設定 松本ゆうすけ 苛められっ子。常に人の顔色を伺う。
Yusuke Matsumoto was tormented. He always asked you about the complexion of the person.He became a girl for a certain reason.
松本雄介被折磨了。他总是向你询问人的面色。他因为一种某些特定的原因变成一个女孩。
このキャラが主人公のSS 製作所へようこそはこちら

絵師: stemさん roam
初出20080305
水曜イラスト企画④ 絵師 まさきねむさん(1) 仮名:大槻しゅうじ
一行キャラ設定 大槻しゅうじ 秀才。東大A判定で禁欲生活だが……
Shuji Otsuki was a genius boy.He practiced asceticism with an examinee.But suddenly he turned into a pretty girl.
大槻秀二是一个天才男孩。他和一名考生一起练习禁欲主义。但是忽然他变成一个俊秀的女孩了。

絵師:まさきねむ みうみう
初出080312
水曜イラスト企画⑤ 絵師 KAZU-Tさん(1) 仮名:石井 剛毅
一行キャラ設定 石井 剛毅 少年刑事
He is detective boy.
他是侦探男孩。

絵師:KAZU-T freebird
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20080319初出
絵師さんにリクエストきくか微妙ですけれど、創作ネタを考えてみましょう♪
水曜イラスト企画① 絵師 そら夕日さん(1) 仮名:鳳げんじ
一行キャラ設定 苛めっ子の問題児。性格悪し。
Genji Ohtori is a problem child and had bad character. But he has become a girl.
鳳源氏是一个难管教的儿童并有坏人了。但是他变成一个女孩。

絵師: そら夕日さん いちご色素
初出080220
水曜イラスト企画② 絵師 そら夕日さん(2) 仮名:天上ひとし
一行キャラ設定:天上ひとし お金持ちの美少年だが逆境に弱い。
Hitoshi Tenjou is a rich. And he is a good-looking boy. but he is poor at adverse circumstances. He will become a girl for a certain reason.
天上仁是一富有。并且他是一个好看的男孩。但是他不擅长逆境。他会因为一种某些特定的原因变成一个女孩。

絵師: そら夕日さん いちご色素
初出20080227
水曜イラスト企画③ 絵師 stemさん(1) 仮名:松本ゆうすけ
一行キャラ設定 松本ゆうすけ 苛められっ子。常に人の顔色を伺う。
Yusuke Matsumoto was tormented. He always asked you about the complexion of the person.He became a girl for a certain reason.
松本雄介被折磨了。他总是向你询问人的面色。他因为一种某些特定的原因变成一个女孩。
このキャラが主人公のSS 製作所へようこそはこちら

絵師: stemさん roam
初出20080305
水曜イラスト企画④ 絵師 まさきねむさん(1) 仮名:大槻しゅうじ
一行キャラ設定 大槻しゅうじ 秀才。東大A判定で禁欲生活だが……
Shuji Otsuki was a genius boy.He practiced asceticism with an examinee.But suddenly he turned into a pretty girl.
大槻秀二是一个天才男孩。他和一名考生一起练习禁欲主义。但是忽然他变成一个俊秀的女孩了。

絵師:まさきねむ みうみう
初出080312
水曜イラスト企画⑤ 絵師 KAZU-Tさん(1) 仮名:石井 剛毅
一行キャラ設定 石井 剛毅 少年刑事
He is detective boy.
他是侦探男孩。

絵師:KAZU-T freebird
水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。
20080319初出
2100万ヒットを達成しました!!
しかし、特にキリ番扱いでは無かったりしますw
ああ、でも折角ですし黒い枕さんのアレを記念作に認定しちゃいましょう♪
少々お待ちくださいませー。
ああ、でも折角ですし黒い枕さんのアレを記念作に認定しちゃいましょう♪
少々お待ちくださいませー。
チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (4)
作.エイジ
2-4
そんなこんなで剣道部に入部した鷹野だが、部活動については予想外に真面目だった。
朝練にもきちんとくるし、練習そのものにも真面目に取り組んでいる。
その姿からはなんであんなことをしたのか想像できないくらいだ。
鷹野がそんな調子なので後輩達もなにも言うことができない。でも妙な距離感があって気持ち悪いというかなんというか………微妙な感じ。
だけどそんなこう着状態も長くは続かなかった。後輩達がついに動いた。
「やっぱり我慢できない! 鷹野先輩、勝負です!!」
そう言ったのは花穂だ。
「勝負?」
「そう。私達とそれぞれ勝負して、私達が勝ったら剣道部から出ていって!」
「私が勝った場合はどうなるのですか?」
「もう私達は何も言いません。鷹野先輩がなにをしても結構!」
その言葉に後ろにいた後輩達全員が頷く。
それを見て鷹野がニヤリと口元に笑みを浮かべ、
「そう。それは美味しいですね」
「ちょ、ちょっと待った!」
俺は慌てて割り込む。
「そんな事は認めない! 絶対ダメ!!」
完全な私闘による退部の有無なんて認めるわけにはいかん!
―――それにだ。
「あら。心配しています? 優しいですね。でも―――」
そこで鷹野は言葉を切り、
「いったい『どちらの』心配ですか?」
その言葉に後輩達は目を鋭くし、俺は押し黙った。
そう。俺が心配しているのは鷹野じゃなくて後輩達の方。
理由は簡単。鷹野の方が後輩達よりも強いからだ。それも圧倒的に。
おそらく四人全員を同時に相手にしても勝てるに違いない。
直接剣を交えたからわかる。力量は嫌というほど思い知らされた。
「それとも………飛鳥さん。あなたがやります? この子達の代わりに。あの時とは違って今度はいい勝負ができるでしょうし」
『なっ!?』
驚愕の声はいったい誰から漏れたのか。
そして怒りのあまり鷹野に詰め寄ろうとするが、
「!? 先輩!?」
俺はそれを止めた。
そして言う。
「………ごめん。ここは譲って」
「―――っ!!」
「お願い」
「―――好きにすれば!?」
花穂はそっぽを向き、
「部長、ファイトです!」
春菜ちゃんは胸の前で両拳をぐっと握り締め、
「………」
雪緒は無言で俺を見つめ、
「………勝って」
月夜はその一言を残した。
両者防具を身にまとい、面を被り、竹刀を持ち、立ち上がる。
そして前に進み、開始位置にて止まる。
「―――では。只今より飛鳥仁美 対 鷹野蘭の試合を始めます。両者、礼!」
審判―――今回も雪緒だ―――の言葉に従い、俺達は互いに礼をし、竹刀を構える。
それを確認すると、
「はじめ!」
こうして試合が―――闘いが始まった。
だけど俺達はお互い動かない。ただ相手の様子を伺っているだけ。
正確には俺は『動かない』じゃなくて『動けない』だ。
なにしろ打ち込む隙がまったくない。かといって隙を作ろうと迂闊に打ち込みにいけばまず返されて終わりだ。
この数日間、こいつと練習してわかったことがいくつかある。その一つがこいつの剣の型は『後の先』であるということだ。
すなわち相手を誘い、その隙をつくという方法。
もちろん自分から攻めることだってできる。だけどいわゆるこいつの『必殺の型』は相手の攻撃を受け流し、その隙をついての面打ち。これだろう。後輩達がこの流れで倒されるのを何度も見てきた。
それに対して俺の攻め方は『スピードとパワーによる乱打』だ。それによって相手の防御を崩し、そこを打つというのが俺のスタイル。
鷹野とは対照的な上、相性はあまりよくない。しかも今の俺は男の時とは違ってスピード、パワー両方共に落ちている状態。
練習によってスピードは完全じゃないしろ取り戻してはいる。だが圧倒的にパワーが足りない。
とにかく真正面から打ち合うのは論外。となれば―――!
「―――胴!」
俺は姿勢を低くして、すくい上げるように胴を打つ。
鷹野はそれを防ぎ流すと、その勢いを利用してがら空きの面へと竹刀を振り下ろした。
だけどそうくることはわかっている事。俺は竹刀を引き戻してその一撃を防ぎ、小手を打ち込む。だがこの一撃も鷹野の体さばきによってかわされてしまう。
そのまま連撃にもっていく事もできたが、深追いは危険と判断して俺は間合いを開けた。
「………ふうん………」
その時、鷹野のつぶやきが俺の耳に入る。どうやら今の一連の動きで俺の狙いがバレたらしい。
俺の狙い―――それはあえて頭部に隙を作ることによって相手にそこを攻めさせ、それを捌いて攻撃するというものだ。
どれだけその攻撃が速くて鋭かろうが、攻めてくる場所が前もってわかっていれば防ぐことはできる。まして相手はそこを攻めるのが大好きなんだ、隙があれば当然打ってくる。
だが俺の狙いは最早バレバレ。そうなると次に打ってくる手は恐らく―――
「っ!!」
鷹野がこちらに仕掛ける為、開いた間合いを一瞬で詰めてくる。さっきも言ったが鷹野は自分から仕掛ける事ができないわけじゃない。ただやらないだけだ。だから必要とあれば容赦なくやってくる。
だけどこれはむしろ望むところ。正直あれは何度も通じる方法じゃない。いずれ裏をかかれて倒される。
だからこれは好機。鷹野を倒すことができる最大のチャンス。
「はああああっ!」
「やああああっ!」
お互いの裂帛の気合。縦横無尽に舞い、相手を倒そうと襲い掛かる竹刀。それらを流し、受け止め、弾き、繰り返し相手を襲う。
両者は完全に互角―――のように見える。
でもそうじゃなかった。その均衡は少しずつ、確実に崩れていた。
「くっ! ううっ!!」
押され始めたのは俺だ。だんだんと、でも確実に鷹野の竹刀を捌けなくなってきている。
(なん………で………っ!?)
胸中で呟く。
スピード。パワー。両者共に互角なはず。差があるのは技量だが、この乱打戦においてはそれもほとんどなかったはず。そうなると残りは純粋な体力差だが、それも考えづらい。
じゃあなんで!?
「っ!!」
鷹野が面を打とうと振りかぶる。すると両胴がガラ空きになった。
チャンス―――!?
俺がそう考えたのはほんの一瞬。身体は反射的にその胴に向かって一撃を放っていた。
狙いは逆胴。これなら―――!!
その時、鷹野と視線が交錯する。鷹野の目は―――笑っていた。
(しまっ―――!)
もう、遅い。
俺の一撃は後ろに跳んでかわされ、
「面!」
踏み込みと共に振り下ろされた竹刀は、俺の面を打ち抜いた。
勝負、あり。鷹野の、勝ちだ。
<つづく>
2-4
そんなこんなで剣道部に入部した鷹野だが、部活動については予想外に真面目だった。
朝練にもきちんとくるし、練習そのものにも真面目に取り組んでいる。
その姿からはなんであんなことをしたのか想像できないくらいだ。
鷹野がそんな調子なので後輩達もなにも言うことができない。でも妙な距離感があって気持ち悪いというかなんというか………微妙な感じ。
だけどそんなこう着状態も長くは続かなかった。後輩達がついに動いた。
「やっぱり我慢できない! 鷹野先輩、勝負です!!」
そう言ったのは花穂だ。
「勝負?」
「そう。私達とそれぞれ勝負して、私達が勝ったら剣道部から出ていって!」
「私が勝った場合はどうなるのですか?」
「もう私達は何も言いません。鷹野先輩がなにをしても結構!」
その言葉に後ろにいた後輩達全員が頷く。
それを見て鷹野がニヤリと口元に笑みを浮かべ、
「そう。それは美味しいですね」
「ちょ、ちょっと待った!」
俺は慌てて割り込む。
「そんな事は認めない! 絶対ダメ!!」
完全な私闘による退部の有無なんて認めるわけにはいかん!
―――それにだ。
「あら。心配しています? 優しいですね。でも―――」
そこで鷹野は言葉を切り、
「いったい『どちらの』心配ですか?」
その言葉に後輩達は目を鋭くし、俺は押し黙った。
そう。俺が心配しているのは鷹野じゃなくて後輩達の方。
理由は簡単。鷹野の方が後輩達よりも強いからだ。それも圧倒的に。
おそらく四人全員を同時に相手にしても勝てるに違いない。
直接剣を交えたからわかる。力量は嫌というほど思い知らされた。
「それとも………飛鳥さん。あなたがやります? この子達の代わりに。あの時とは違って今度はいい勝負ができるでしょうし」
『なっ!?』
驚愕の声はいったい誰から漏れたのか。
そして怒りのあまり鷹野に詰め寄ろうとするが、
「!? 先輩!?」
俺はそれを止めた。
そして言う。
「………ごめん。ここは譲って」
「―――っ!!」
「お願い」
「―――好きにすれば!?」
花穂はそっぽを向き、
「部長、ファイトです!」
春菜ちゃんは胸の前で両拳をぐっと握り締め、
「………」
雪緒は無言で俺を見つめ、
「………勝って」
月夜はその一言を残した。
両者防具を身にまとい、面を被り、竹刀を持ち、立ち上がる。
そして前に進み、開始位置にて止まる。
「―――では。只今より飛鳥仁美 対 鷹野蘭の試合を始めます。両者、礼!」
審判―――今回も雪緒だ―――の言葉に従い、俺達は互いに礼をし、竹刀を構える。
それを確認すると、
「はじめ!」
こうして試合が―――闘いが始まった。
だけど俺達はお互い動かない。ただ相手の様子を伺っているだけ。
正確には俺は『動かない』じゃなくて『動けない』だ。
なにしろ打ち込む隙がまったくない。かといって隙を作ろうと迂闊に打ち込みにいけばまず返されて終わりだ。
この数日間、こいつと練習してわかったことがいくつかある。その一つがこいつの剣の型は『後の先』であるということだ。
すなわち相手を誘い、その隙をつくという方法。
もちろん自分から攻めることだってできる。だけどいわゆるこいつの『必殺の型』は相手の攻撃を受け流し、その隙をついての面打ち。これだろう。後輩達がこの流れで倒されるのを何度も見てきた。
それに対して俺の攻め方は『スピードとパワーによる乱打』だ。それによって相手の防御を崩し、そこを打つというのが俺のスタイル。
鷹野とは対照的な上、相性はあまりよくない。しかも今の俺は男の時とは違ってスピード、パワー両方共に落ちている状態。
練習によってスピードは完全じゃないしろ取り戻してはいる。だが圧倒的にパワーが足りない。
とにかく真正面から打ち合うのは論外。となれば―――!
「―――胴!」
俺は姿勢を低くして、すくい上げるように胴を打つ。
鷹野はそれを防ぎ流すと、その勢いを利用してがら空きの面へと竹刀を振り下ろした。
だけどそうくることはわかっている事。俺は竹刀を引き戻してその一撃を防ぎ、小手を打ち込む。だがこの一撃も鷹野の体さばきによってかわされてしまう。
そのまま連撃にもっていく事もできたが、深追いは危険と判断して俺は間合いを開けた。
「………ふうん………」
その時、鷹野のつぶやきが俺の耳に入る。どうやら今の一連の動きで俺の狙いがバレたらしい。
俺の狙い―――それはあえて頭部に隙を作ることによって相手にそこを攻めさせ、それを捌いて攻撃するというものだ。
どれだけその攻撃が速くて鋭かろうが、攻めてくる場所が前もってわかっていれば防ぐことはできる。まして相手はそこを攻めるのが大好きなんだ、隙があれば当然打ってくる。
だが俺の狙いは最早バレバレ。そうなると次に打ってくる手は恐らく―――
「っ!!」
鷹野がこちらに仕掛ける為、開いた間合いを一瞬で詰めてくる。さっきも言ったが鷹野は自分から仕掛ける事ができないわけじゃない。ただやらないだけだ。だから必要とあれば容赦なくやってくる。
だけどこれはむしろ望むところ。正直あれは何度も通じる方法じゃない。いずれ裏をかかれて倒される。
だからこれは好機。鷹野を倒すことができる最大のチャンス。
「はああああっ!」
「やああああっ!」
お互いの裂帛の気合。縦横無尽に舞い、相手を倒そうと襲い掛かる竹刀。それらを流し、受け止め、弾き、繰り返し相手を襲う。
両者は完全に互角―――のように見える。
でもそうじゃなかった。その均衡は少しずつ、確実に崩れていた。
「くっ! ううっ!!」
押され始めたのは俺だ。だんだんと、でも確実に鷹野の竹刀を捌けなくなってきている。
(なん………で………っ!?)
胸中で呟く。
スピード。パワー。両者共に互角なはず。差があるのは技量だが、この乱打戦においてはそれもほとんどなかったはず。そうなると残りは純粋な体力差だが、それも考えづらい。
じゃあなんで!?
「っ!!」
鷹野が面を打とうと振りかぶる。すると両胴がガラ空きになった。
チャンス―――!?
俺がそう考えたのはほんの一瞬。身体は反射的にその胴に向かって一撃を放っていた。
狙いは逆胴。これなら―――!!
その時、鷹野と視線が交錯する。鷹野の目は―――笑っていた。
(しまっ―――!)
もう、遅い。
俺の一撃は後ろに跳んでかわされ、
「面!」
踏み込みと共に振り下ろされた竹刀は、俺の面を打ち抜いた。
勝負、あり。鷹野の、勝ちだ。
<つづく>
ちんドル☆マスター
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管理会計の基本がすべてわかる本
データによるマネジメントなのだ!みたいな気合で読了。
本業の方には役立たなくもないと思うけどおかし製作所にはあんまし固定費とか変動費とかいう概念が合わないのだな。
少なくとも変動費はない。
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チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (3)
作.エイジ
2-3
激突は、一瞬。それだけで勝者と敗者。二つにわかれた。
勝者は―――
「私の勝ち。でよろしいかしら?」
鷹野だ。
俺は叩かれた左手を押さえながら頷く。
「………ああ」
「では約束通り、通らせていただきます」
言って鷹野は歩き出す。その歩みを止められる人間はいない。
「その必要はない」
―――いや。一人だけいた。
直樹だ。
直樹はいつの間にか外に出ていて、こちらに向かって歩いてくる。
そして直樹の姿を見つけた途端、鷹野の表情に笑顔が広がる。
だけどそれはすぐに凍りつく。直樹が鷹野を無視して通り過ぎたからだ。
直樹は俺の目の前で止まると、打たれた左手を持ち上げ、
「平気か?」
「………あ、ああ。これくらいなんてことない」
「―――そうか。まあ念のためだ。保健室に行って診てもらおう」
「わ。ちょ、ちょっと直樹!」
俺の右手をつかみ歩き出す直樹。俺は抵抗できず引っ張られていく。
だが、直樹は不意に足を止め、
「鷹野さん」
今まで聞いたことがない声で鷹野に呼びかけた。
「は、はい………」
応じる鷹野の声は震えていた。
だけど直樹はまったく容赦しなかった。淡々と言葉を紡ぐ。
「すまなかった。俺が君を避けていたから、こんなことになったんだな」
「………」
鷹野は答えられない。
そんな彼女に直樹は、
「これからは君を避けないことを約束する。………でも、覚えておいてほしい」
鋭い槍を突き刺した。
「友達に手を出すな。出したら………許さない」
その直後、誰かの走り去る音が俺の耳に響いた。
それからというもの、今までが嘘だったかのように鷹野の直樹へのアプローチはなくなっていた。ただ遠巻きに直樹のことを切なそうに見ているだけだ。直樹はそんなのどこ吹く風で受け流しているけど。
一応言っておくと、直樹は鷹野のことを無視しているわけじゃない。むしろ今まで以上に親切に対応しているくらいだ。―――怖いくらいに。
例えば、
「あの、高島さん。少しよろしいですか?」
「なに?」
「この前のことで少し………」
「ああ。気にしなくていいよ。俺も気にしてないからさ」
「そ、そうですか………」
「話はそれだけ? じゃあ俺は用事あるからこれで」
「は、はい………」
立ち去る直樹。うなだれる鷹野。
………あれ? こうやって改めると直樹も親切に対応しているとは言い難いな。
ま、まあそれはともかく。こんな状態だ。
日に日に落ち込んでいく鷹野を見ると、自業自得とはいえ同情してしまう。
今回のことを勇助に話すと勇助も、
「………そりゃ、かわいそうに………」
と言って同情していた。
でもまさかここで諦めるような女じゃないだろう。直樹が好きな気持ちは間違いなく本物だろうし。
これから鷹野がどう行動するのか、大変興味深い。
そして鷹野は意外と早く行動を開始した。
剣道部。いつもの放課後。いつもの練習風景。そこに一つの異物が存在していた。
そう。それは最早予想通り、鷹野 蘭である。
その鷹野の言葉に俺、唖然。周りの皆も唖然。
「………ごめん。もう一度お願い」
俺は手を上げ、再度確認。
鷹野は頷いて、
「私を剣道部に入れてください」
………聞き間違いとかじゃなかったよ………
「あ~………」
さて。どう答えるべきか。
そう考えていると、
『ダメです! 絶対ダメ!!』
後輩達が見事な四重奏(カルテット)で叫んだ。
「あなた、この前自分がなにをしたか忘れたんですか!?」
「高島先輩に迷惑をかけるだけじゃなく、飛鳥先輩まで傷つけて!」
「その上剣道部に入部なんて!」
「………まだ懲りないの?」
後輩達の言葉に鷹野は、
「―――高島さんには謝りました。苦労しましたが………」
へえっと感嘆する。よく謝れたもんだ。
「ですが飛鳥さんとは互いに合意した上での勝負。その結果です。―――ですよね?」
「―――まあね」
俺は頷く。
あの時は頭に血が昇っていたとはいえ、正式な勝負だった。それを翻すつもりは毛頭ない。
鷹野は後輩達を相手にしていても仕方ないと思ったのか視線を俺に移し、
「それでどうなのかしら? 実力的には文句は言わせませんし、入部届けも持ってきたのですけど」
パラリと入部届けの紙を広げてみせる。
むむ………
「………一つだけ、いい?」
「なにかしら?」
「本気………?」
「勿論」
鷹野、即答。その態度に迷いも嘘も見られない。なら―――
「………わかった。剣道部へようこそ。鷹野 蘭さん」
「こちらこそ。これからお世話になりますわ。飛鳥 仁美さん」
後輩達の不満気な声を受けながら、俺達は握手を交わした。
<つづく>
2-3
激突は、一瞬。それだけで勝者と敗者。二つにわかれた。
勝者は―――
「私の勝ち。でよろしいかしら?」
鷹野だ。
俺は叩かれた左手を押さえながら頷く。
「………ああ」
「では約束通り、通らせていただきます」
言って鷹野は歩き出す。その歩みを止められる人間はいない。
「その必要はない」
―――いや。一人だけいた。
直樹だ。
直樹はいつの間にか外に出ていて、こちらに向かって歩いてくる。
そして直樹の姿を見つけた途端、鷹野の表情に笑顔が広がる。
だけどそれはすぐに凍りつく。直樹が鷹野を無視して通り過ぎたからだ。
直樹は俺の目の前で止まると、打たれた左手を持ち上げ、
「平気か?」
「………あ、ああ。これくらいなんてことない」
「―――そうか。まあ念のためだ。保健室に行って診てもらおう」
「わ。ちょ、ちょっと直樹!」
俺の右手をつかみ歩き出す直樹。俺は抵抗できず引っ張られていく。
だが、直樹は不意に足を止め、
「鷹野さん」
今まで聞いたことがない声で鷹野に呼びかけた。
「は、はい………」
応じる鷹野の声は震えていた。
だけど直樹はまったく容赦しなかった。淡々と言葉を紡ぐ。
「すまなかった。俺が君を避けていたから、こんなことになったんだな」
「………」
鷹野は答えられない。
そんな彼女に直樹は、
「これからは君を避けないことを約束する。………でも、覚えておいてほしい」
鋭い槍を突き刺した。
「友達に手を出すな。出したら………許さない」
その直後、誰かの走り去る音が俺の耳に響いた。
それからというもの、今までが嘘だったかのように鷹野の直樹へのアプローチはなくなっていた。ただ遠巻きに直樹のことを切なそうに見ているだけだ。直樹はそんなのどこ吹く風で受け流しているけど。
一応言っておくと、直樹は鷹野のことを無視しているわけじゃない。むしろ今まで以上に親切に対応しているくらいだ。―――怖いくらいに。
例えば、
「あの、高島さん。少しよろしいですか?」
「なに?」
「この前のことで少し………」
「ああ。気にしなくていいよ。俺も気にしてないからさ」
「そ、そうですか………」
「話はそれだけ? じゃあ俺は用事あるからこれで」
「は、はい………」
立ち去る直樹。うなだれる鷹野。
………あれ? こうやって改めると直樹も親切に対応しているとは言い難いな。
ま、まあそれはともかく。こんな状態だ。
日に日に落ち込んでいく鷹野を見ると、自業自得とはいえ同情してしまう。
今回のことを勇助に話すと勇助も、
「………そりゃ、かわいそうに………」
と言って同情していた。
でもまさかここで諦めるような女じゃないだろう。直樹が好きな気持ちは間違いなく本物だろうし。
これから鷹野がどう行動するのか、大変興味深い。
そして鷹野は意外と早く行動を開始した。
剣道部。いつもの放課後。いつもの練習風景。そこに一つの異物が存在していた。
そう。それは最早予想通り、鷹野 蘭である。
その鷹野の言葉に俺、唖然。周りの皆も唖然。
「………ごめん。もう一度お願い」
俺は手を上げ、再度確認。
鷹野は頷いて、
「私を剣道部に入れてください」
………聞き間違いとかじゃなかったよ………
「あ~………」
さて。どう答えるべきか。
そう考えていると、
『ダメです! 絶対ダメ!!』
後輩達が見事な四重奏(カルテット)で叫んだ。
「あなた、この前自分がなにをしたか忘れたんですか!?」
「高島先輩に迷惑をかけるだけじゃなく、飛鳥先輩まで傷つけて!」
「その上剣道部に入部なんて!」
「………まだ懲りないの?」
後輩達の言葉に鷹野は、
「―――高島さんには謝りました。苦労しましたが………」
へえっと感嘆する。よく謝れたもんだ。
「ですが飛鳥さんとは互いに合意した上での勝負。その結果です。―――ですよね?」
「―――まあね」
俺は頷く。
あの時は頭に血が昇っていたとはいえ、正式な勝負だった。それを翻すつもりは毛頭ない。
鷹野は後輩達を相手にしていても仕方ないと思ったのか視線を俺に移し、
「それでどうなのかしら? 実力的には文句は言わせませんし、入部届けも持ってきたのですけど」
パラリと入部届けの紙を広げてみせる。
むむ………
「………一つだけ、いい?」
「なにかしら?」
「本気………?」
「勿論」
鷹野、即答。その態度に迷いも嘘も見られない。なら―――
「………わかった。剣道部へようこそ。鷹野 蘭さん」
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後輩達の不満気な声を受けながら、俺達は握手を交わした。
<つづく>
オトコのコHEAVEN Vol.2
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23年度確定申告に目途が立ちました
準備はしっかり進めていたので確定申告の方は最後の仕上げのみでフィニッシュできました。
国には文句の言いたいところもありますが、追加で納税できる立場である事に感謝いたします。
折角大阪に出てきましたので、クリエイターさんとの打ち合わせなども増やして、より良いコンテンツの充実に力を入れていこうかな。
さて、確定申告期間には税金関係の本が溢れて、買いたい気持ちも増えるので下記本を買ってみました。
税務調査などの体験談・エピソード系の話は参考になるのですが・・・
P.20 『フリーランスの1年の稼ぎとは1月から12月の間に入金された金額の合計額だ。もし、昨年6月に納品して、入金が今年1月であれば今年の売り上げとなり、今年の分として申告する』
⇒あれれ、納税は発生主義が原則ですやん。注釈なしにこんな断言を冒頭でやっちゃって良いんでしょうか。
昨年6月の納品は昨年6月に売上に計上しつつ、未収金の扱いにする方がまっとうなんじゃないかな。
このブログの読者で税務署員か、税理士か、フリーランスの方はいらっしゃいませんか?
フォロープリーズ!
P.221 『交際費の個人の扱い:経費にならない。給料扱いになる』
⇒おろろ、個人の交際費は無制限であって、法人化でデメリットになる数少ない分野ではありませんか。
あんまり交際費使わない私だって、使った分は計上してますし、この誤記はちょっと見逃せませんね。
と、こんな感じで内容の正確性に疑問がありますね。
専従者の取り扱いとか経費の認定について緩く甘い記載が個人的には心地よいものの、やっぱりしっかりした監修がされた本を買った方が良いように思います。
国には文句の言いたいところもありますが、追加で納税できる立場である事に感謝いたします。
折角大阪に出てきましたので、クリエイターさんとの打ち合わせなども増やして、より良いコンテンツの充実に力を入れていこうかな。
さて、確定申告期間には税金関係の本が溢れて、買いたい気持ちも増えるので下記本を買ってみました。
税務調査などの体験談・エピソード系の話は参考になるのですが・・・
P.20 『フリーランスの1年の稼ぎとは1月から12月の間に入金された金額の合計額だ。もし、昨年6月に納品して、入金が今年1月であれば今年の売り上げとなり、今年の分として申告する』
⇒あれれ、納税は発生主義が原則ですやん。注釈なしにこんな断言を冒頭でやっちゃって良いんでしょうか。
昨年6月の納品は昨年6月に売上に計上しつつ、未収金の扱いにする方がまっとうなんじゃないかな。
このブログの読者で税務署員か、税理士か、フリーランスの方はいらっしゃいませんか?
フォロープリーズ!
P.221 『交際費の個人の扱い:経費にならない。給料扱いになる』
⇒おろろ、個人の交際費は無制限であって、法人化でデメリットになる数少ない分野ではありませんか。
あんまり交際費使わない私だって、使った分は計上してますし、この誤記はちょっと見逃せませんね。
と、こんな感じで内容の正確性に疑問がありますね。
専従者の取り扱いとか経費の認定について緩く甘い記載が個人的には心地よいものの、やっぱりしっかりした監修がされた本を買った方が良いように思います。
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勇者と魔王の嫁入り修行(その10) by.DEKOI
人間の勢力圏において最大級の建物の1つに「ベッケンハイム城」がある。
この城は人間の間ではトップ3の権力を持つ皇族ベッケンハイム一族が住む王城だ。
ベッケンハイム城の高さ、敷地面積は平面世界リーザスに存在する建物の中でも確かに有数クラスなのだが、しかしこの城はある1点において最大であったりする。
この城、崖の上に建っているわ夜な夜な崖の穴から這い出てきた巨大こうもりが奇声をあげながら飛び回るわ、雷がよく落ちる地域なのでいびつな形の避雷針はそこら中に建っているわ夜襲を考えて全体が黒ずくめだわ、何故か城門にはでっかいドリルがついてるわ周囲の森から時折「イア、イア、ハ〇ター!」とかいう妖しげな叫び声が聞こえてきたりする。
そう。ベッケンハイム城は「怪しさ」という点において世界最大の建物なのである。
誰が言ったか「悪魔城」。その怪しさたるや、(元男)魔王である筈のルゲイズにしてドン引きするクラスであった。
魔王であるはずのルゲイズが悪魔城、ならぬベッケンハイム城を訪れたのには訳がある。
それは本日、遂にあの憎き勇者と雌雄を決する勝負をする事になるからだ。
問題は、戦いの内容が料理勝負、裁縫勝負、そして人魔混合宮廷ダンスという訳分からん勝負の3つだという事。ぶっちゃげて言えばお嫁さん、お姫様勝負である。
ついでに言うとルゲイズがこの勝負を受けた最大の理由は、勝たないと男に戻れないと脅されているからだ。幾ら親友のヴァンデルオンに毎日「美人だ」「クールだ」「可憐だ」「一発やらせろ」とか褒められまくっていても、ルゲイズ本人は自分は男だという気持ちが強い。正直胸の重さと股間の涼しさおよび女性特有の下の世話には慣れようがないのが現実だ。
しかしこの勝負、負けたら男に戻れない処か嫁入りさせられるらしい。その結末だけはルゲイズ本人としては断固として拒否したいし、恐らく勇者ウィルも同様であろう。そういった意味ではこの戦いの場に参加する事そのものが高いリスクを負う事になりかねない。
だがしかし。勝者が敗者を服従させる最も効果的な方法は敗者を自分の下につけさせるのも確かな事であり、その派生として奪った国の王の后もしくは娘を自分の妻に娶る事はよく耳にする話である。そういった観念から考えれば、負けた方は勝った方に嫁ぐという行為はあながち間違ってはいない、とも言えなくもない。
「まあアイツを娶るかはどうかはともかく、男に戻る為にはまずこれからの勝負に勝たないとな。」
ルゲイズは思わず独白した。そう、まずはそこからである。男に戻ること。少なくともルゲイズにとってはこれが最優先事項であり、勇者が自分の下に嫁ぐだどうだとかは取り合えず置いておく事にしていた。これが特訓の期間に得たこれから始まる戦いに対するルゲイズの考え方だ。目的を多様化せず、1点に向ける事で戦いに対しての集中力を高めているのだ。
この戦い、絶対に負けられない。勝って男に戻るんだ。
ルゲイズは内心でそう強く、だが表には出さずに決心を固めた。
一方その頃。
ベッケンハイム城の別室もとい自室にて(元男)勇者ウィルは呑気に紅茶を飲んでいた。
「ふう、やっぱり味覚が甘くなっている。」
形の良い眉毛を少し寄せると、近くにあった砂糖粒を2つ手にし紅茶が入っているカップのなかに放り込んだ。カップの中身をスプーンで何度かかき混ぜた後に再度紅茶を口にすると、納得したかのように首肯した。
「しかし、困ったな。思った以上にボク、『染まってしまった』みたい。」
そう口にしながらも、満更でないとも取れる微笑を浮かべるウィル。その口調と仕草は男性よりも女性を、具体的に例を挙げるならば「ボクっ子」を連想させる。
そう。ウィルは3週間のお嫁さん修行をした結果、「女性」として下地が出来上がっていた。今や心の中の言葉までも女性らしさが出てきている始末。
実際のところ「男性に戻れたらそれでもいいけど、女性のままでいても別に問題ないよねー」がウィルの本心だったりする。それすなわち、現状に全く不便を感じてないのだ。
「でもだからと言って、ルゲイズに負けるのは癪なんだよね。何より彼の妻になるのは幾ら今のボクでも避けたい事態だし。」
天然ボケキャラの象徴とも言うべき行動を頻繁に取るウィルとはいえ、自分が人間族最強の戦士である事くらいは自覚している。そんな自分がルゲイズに嫁ぐという事態は、人間と魔族のパワーバランスが大きく魔族側に傾くだろう程度な事くらいは、ウィルでも予想できた。
実はウィル自身は世界の勢力争いについてはあまり強い関心を持っていない。どちらにパワーバランスが傾こうが世界そのものが平和になるならそれでもいいのではないか、というお気楽な考えが根底にある。
では何故ウィルは魔王ルゲイズと積極的に戦っていたかというと、ルゲイズが極端な魔尊人卑主義者だからである。それも人間と仲良くしようとする同族すら痛めつけかねない程の極端な思考の持ち主、とルゲイズの事をウィルは認識していた。
実際ルゲイズはそこまで酷い人物ではなく、参謀役であるヴァンデルオンがルゲイズに敵対する魔族(のかなり尖ったタカ派のみ)を見せしめの為に一族郎党皆殺しにした事が大きく誇張された内容の噂が広まったのが原因だが、そんな事はウィルは知りようがない。
それはともかく。
いま魔族側にパワーバランスが大きく傾くと、間違いなくルゲイズは人間達を蹂躙し始めるだろう。そうなると真っ先に狙われるのは人間の中でもとりわけ強い発言力を持っているベッケンハイム皇族、すなわちウィルの家族達だ。
幾ら変人奇人集団であるとはいえ大切な実の家族。そんな彼等が殺傷される可能性がある以上、ウィルはルゲイズを倒す事を試みるのは当然と言えよう。
「その結果がこれなんだけどね。」
ハァ、とため息をつきつつ胸元に目をやるウィル。見事にまっ平らに見えるが、その手が大好きな人が見ればAAカップクラスの貧乳である事が分かるだろう。その事が何となく悔しく感じるのは、やはりウィルの女性化が進んでいる為か。
それはともかく、それはともかく。
ウィルが魔族にパワーバランスが傾くのを危惧しているのはルゲイズが魔族の頭(かしら)に存在しているからであり、だからこそウィルはこれから始まる戦いに負ける訳にはいかないのである。大切な家族を守る為にも。
この戦い、絶対に負けられない。大切な家族はボクが守るんだ。
ウィルは口をきつく噛み締めると気合を入れた。
些細な差である2つの戦う意味。
これがほんの少しだけこれからの戦いの結果に影響するとは、この時点では誰も知りようがなかった。
<つづく>
この城は人間の間ではトップ3の権力を持つ皇族ベッケンハイム一族が住む王城だ。
ベッケンハイム城の高さ、敷地面積は平面世界リーザスに存在する建物の中でも確かに有数クラスなのだが、しかしこの城はある1点において最大であったりする。
この城、崖の上に建っているわ夜な夜な崖の穴から這い出てきた巨大こうもりが奇声をあげながら飛び回るわ、雷がよく落ちる地域なのでいびつな形の避雷針はそこら中に建っているわ夜襲を考えて全体が黒ずくめだわ、何故か城門にはでっかいドリルがついてるわ周囲の森から時折「イア、イア、ハ〇ター!」とかいう妖しげな叫び声が聞こえてきたりする。
そう。ベッケンハイム城は「怪しさ」という点において世界最大の建物なのである。
誰が言ったか「悪魔城」。その怪しさたるや、(元男)魔王である筈のルゲイズにしてドン引きするクラスであった。
魔王であるはずのルゲイズが悪魔城、ならぬベッケンハイム城を訪れたのには訳がある。
それは本日、遂にあの憎き勇者と雌雄を決する勝負をする事になるからだ。
問題は、戦いの内容が料理勝負、裁縫勝負、そして人魔混合宮廷ダンスという訳分からん勝負の3つだという事。ぶっちゃげて言えばお嫁さん、お姫様勝負である。
ついでに言うとルゲイズがこの勝負を受けた最大の理由は、勝たないと男に戻れないと脅されているからだ。幾ら親友のヴァンデルオンに毎日「美人だ」「クールだ」「可憐だ」「一発やらせろ」とか褒められまくっていても、ルゲイズ本人は自分は男だという気持ちが強い。正直胸の重さと股間の涼しさおよび女性特有の下の世話には慣れようがないのが現実だ。
しかしこの勝負、負けたら男に戻れない処か嫁入りさせられるらしい。その結末だけはルゲイズ本人としては断固として拒否したいし、恐らく勇者ウィルも同様であろう。そういった意味ではこの戦いの場に参加する事そのものが高いリスクを負う事になりかねない。
だがしかし。勝者が敗者を服従させる最も効果的な方法は敗者を自分の下につけさせるのも確かな事であり、その派生として奪った国の王の后もしくは娘を自分の妻に娶る事はよく耳にする話である。そういった観念から考えれば、負けた方は勝った方に嫁ぐという行為はあながち間違ってはいない、とも言えなくもない。
「まあアイツを娶るかはどうかはともかく、男に戻る為にはまずこれからの勝負に勝たないとな。」
ルゲイズは思わず独白した。そう、まずはそこからである。男に戻ること。少なくともルゲイズにとってはこれが最優先事項であり、勇者が自分の下に嫁ぐだどうだとかは取り合えず置いておく事にしていた。これが特訓の期間に得たこれから始まる戦いに対するルゲイズの考え方だ。目的を多様化せず、1点に向ける事で戦いに対しての集中力を高めているのだ。
この戦い、絶対に負けられない。勝って男に戻るんだ。
ルゲイズは内心でそう強く、だが表には出さずに決心を固めた。
一方その頃。
ベッケンハイム城の別室もとい自室にて(元男)勇者ウィルは呑気に紅茶を飲んでいた。
「ふう、やっぱり味覚が甘くなっている。」
形の良い眉毛を少し寄せると、近くにあった砂糖粒を2つ手にし紅茶が入っているカップのなかに放り込んだ。カップの中身をスプーンで何度かかき混ぜた後に再度紅茶を口にすると、納得したかのように首肯した。
「しかし、困ったな。思った以上にボク、『染まってしまった』みたい。」
そう口にしながらも、満更でないとも取れる微笑を浮かべるウィル。その口調と仕草は男性よりも女性を、具体的に例を挙げるならば「ボクっ子」を連想させる。
そう。ウィルは3週間のお嫁さん修行をした結果、「女性」として下地が出来上がっていた。今や心の中の言葉までも女性らしさが出てきている始末。
実際のところ「男性に戻れたらそれでもいいけど、女性のままでいても別に問題ないよねー」がウィルの本心だったりする。それすなわち、現状に全く不便を感じてないのだ。
「でもだからと言って、ルゲイズに負けるのは癪なんだよね。何より彼の妻になるのは幾ら今のボクでも避けたい事態だし。」
天然ボケキャラの象徴とも言うべき行動を頻繁に取るウィルとはいえ、自分が人間族最強の戦士である事くらいは自覚している。そんな自分がルゲイズに嫁ぐという事態は、人間と魔族のパワーバランスが大きく魔族側に傾くだろう程度な事くらいは、ウィルでも予想できた。
実はウィル自身は世界の勢力争いについてはあまり強い関心を持っていない。どちらにパワーバランスが傾こうが世界そのものが平和になるならそれでもいいのではないか、というお気楽な考えが根底にある。
では何故ウィルは魔王ルゲイズと積極的に戦っていたかというと、ルゲイズが極端な魔尊人卑主義者だからである。それも人間と仲良くしようとする同族すら痛めつけかねない程の極端な思考の持ち主、とルゲイズの事をウィルは認識していた。
実際ルゲイズはそこまで酷い人物ではなく、参謀役であるヴァンデルオンがルゲイズに敵対する魔族(のかなり尖ったタカ派のみ)を見せしめの為に一族郎党皆殺しにした事が大きく誇張された内容の噂が広まったのが原因だが、そんな事はウィルは知りようがない。
それはともかく。
いま魔族側にパワーバランスが大きく傾くと、間違いなくルゲイズは人間達を蹂躙し始めるだろう。そうなると真っ先に狙われるのは人間の中でもとりわけ強い発言力を持っているベッケンハイム皇族、すなわちウィルの家族達だ。
幾ら変人奇人集団であるとはいえ大切な実の家族。そんな彼等が殺傷される可能性がある以上、ウィルはルゲイズを倒す事を試みるのは当然と言えよう。
「その結果がこれなんだけどね。」
ハァ、とため息をつきつつ胸元に目をやるウィル。見事にまっ平らに見えるが、その手が大好きな人が見ればAAカップクラスの貧乳である事が分かるだろう。その事が何となく悔しく感じるのは、やはりウィルの女性化が進んでいる為か。
それはともかく、それはともかく。
ウィルが魔族にパワーバランスが傾くのを危惧しているのはルゲイズが魔族の頭(かしら)に存在しているからであり、だからこそウィルはこれから始まる戦いに負ける訳にはいかないのである。大切な家族を守る為にも。
この戦い、絶対に負けられない。大切な家族はボクが守るんだ。
ウィルは口をきつく噛み締めると気合を入れた。
些細な差である2つの戦う意味。
これがほんの少しだけこれからの戦いの結果に影響するとは、この時点では誰も知りようがなかった。
<つづく>
乙女心?の自由形
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チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (2)
作.エイジ
キャラクター:倉塚りこ
2-2
「あ~………唐突だが転校生を紹介するぞ」
翌日。朝のHRで本当に唐突に担任がそう言った。
途端ざわざわと辺りが騒がしくなる。
「ちなみに性別は女子な。男共は喜べよ」
おおっと男共が騒ぐ。………あほらしい。
「なんだよ。興味ないのか?」
そんな俺に勇助が声をかけてくる。
俺は、
「特には。転校生とやらがどんな奴だろうが俺達と深く関わることはないだろ。………正直どうでもいいな」
俺のそっけない言葉に勇助はがっくり肩を落として、
「そうだよな………お前や直樹はそういう奴だよな………」
ため息一つ。
………変なこと言ったか? つーかため息まで吐かれるほどか?
そしてそんな雑談を尻目に扉は開かれ、一人の女生徒が姿を現した。
その途端周囲のざわめきが大きくなる。
………なるほど。確かに騒ぐのも無理ないかもしれないな。
俺でさえそう思える人間がそこにいた。
印象を一言で表すなら『お嬢様』だ。容姿といい、立ち振る舞いといい、纏う空気といい清楚で可憐。そんな感じか。
だけどそれだけじゃないような………なにか違和感を感じる。一体なんだろうか。
そんな俺の視線を感じ取ったのか、転校生はこっちに視線を向けると、すっと目を細めた。―――まるで睨みつけるように。
―――え?
疑問に思った時にはすでに転校生は違う方向をむいていて確かめようがなかったけど………今のは………。
そして転校生は自己紹介もなにもせずにズンズンと歩いていき、一人の男子生徒の前で止まる。その男子生徒は―――直樹だった。
転校生は緊張した面持ちで息を吸い、

「私の名前は鷹野 蘭(たかの らん)。高島 直樹さん。あなたの事が好きです。付き合ってください!」
………………
『えええええぇぇぇぇ!?』
たちまち教室は阿鼻叫喚の渦に包まれた。
「ほら遅い! もっと速く! もっと鋭く!!」
「は、はい!」
俺の言葉に従って春菜ちゃんは面打ちのスピードを上げる。
でも、
「ほら腕だけで振らない! 足運びもちゃんと意識する!」
「はい!!」
春菜ちゃんはそう返答するが、言葉とは裏腹に手足の動きはバラバラだ。
………仕方ない。
「よし。やめ!」
「あ、ありがとうございました………」
そう言うのが精一杯だったようで、彼女はペタンと床に尻もちをつく。
それに慌てて雪緒が駆け寄り、水を渡し、こっちに視線を向け、
「先輩。ちょっとやりすぎです」
その目に浮かんでいるのは非難だ。
「春菜ちゃんはまだ剣道歴一ヶ月ですよ? そんな子にこの訓練は無茶です」
「………」
「最近の先輩変ですよ? なにかあったんですか?」
「………」
俺は答えない。なぜなら自分でもよくわかっていないからだ。
「きっとあれだよ」
そんな俺の代わりに口を開いたのが花穂だ。
指をピッと立て、
「先輩のクラスに来た転校生。その人が高島先輩にまとわりついてるからだと―――」
ギロリ。
俺は花穂を睨みつけて黙らせると、そっとため息を吐いた。
そう。花穂の言葉はまさしく図星なのだ。
ズバリ俺のここ最近の苛立ちはあの転校生―――鷹野 蘭にある。
あの衝撃のHR告白。直樹はその時にすでに返答を返していた。すなわち「ごめんなさい」と。「付き合えない」と。
だけどあの女はそれだけでは諦めなかった。ふられたその翌日から直樹につきまとうようになったのだ。直樹もなんだかんだで甘いから鷹野にずっと押されっぱなし。
そんな状態がここ数日ずっと続いている。
………まあ、最近は直樹も鷹野から逃げ回っているようだけど。
とにかく。うっとうしいのだ。あの女は。
はっきり言って、目障りだ。
そこまで思って俺は不可解に思い首を傾げる。なんでここまで不愉快なのか。別に直樹がどんな目に遭おうが構わないじゃないか。現に苛立っているのは俺だけで、勇助は完全に傍観者だ。
俺もそれでいいはず。横からおもしろおかしく眺めていればいいのだ。
「仁! いるか!?」
「っ!? な、なんだ? どうした?」
いきなり直樹の声が響き俺は振り向く。
そこには息を切らした直樹の姿が。
直樹はそんな俺には構わず駆け寄って、
「かくまってくれ!」
………………
「は?」
「鷹野さんだ! 頼む!!」
それだけでなにがどうなっているのかを把握するのは十分だった。
俺は頷いて、
「わかった。部室に隠れてろ」
「す、すまん」
直樹はそう言い残し、部室へと消えていく。
そしてそれとほぼ同時に、
「高島さん!」
ここ最近で聞きなれた声が響く。そしてその声が響くのと同時に、俺の表情が曇るのが自分でもわかった。
俺はそのままの表情で、
「………なにか用?」
「………別にあなたに用はありません」
「じゃあ帰って。練習の邪魔」
「そうはいきません」
「………なんで?」
「ここに高島さんが来られたでしょう? 私は高島さんに用があるのです」
「………一体なんの用? よかったら伝えておくけど?」
「お気遣いありがとうございます。ですがあなたには関係ないことですわ」
………睨み合う。
周りも不穏な空気を感じ取り、固唾を呑んでこちらを見守っていた。
そして先にしびれを切らしたのは俺の方だった。
「………あのさぁ………」
深くため息を吐き、言ってやる。
「直樹にまとわりつくの、いい加減やめてくれる?」
「なぜあなたにそんな事を言われなくてはならないのです?」
そんなの決まってる。
「友達だから。友達の心配するのは当たり前でしょ?」
その言葉に鷹野はむっと押し黙る。
「あんたが直樹の事が好きなのはよ~く知ってる」
なにせいきなり直樹に告白したからな。
「あんたが直樹にアプローチするのは勝手。でもね、相手の事もちゃんと考えなさいよ」
「私が高島さんの事を考えてないとでも!?」
鷹野は俺の言葉に激昂するが、
「考えてないでしょうが」
俺は冷ややかに言葉を返す。
「あんたがやっていることは直樹にとって迷惑でしかないの」
「迷惑!?」
「じゃなかったら優しいアイツがあんたから逃げ出すわけがないでしょ。証拠なんてそれだけで十分」
その言葉がトドメになったのか、鷹野はなにも言うことができなくなり、俯いた。
だが、
「………そこをどいてください………」
「………嫌」
「………もう一度言います。そこをどきなさい。どかないなら―――」
「なら?」
「力ずくで押し通ります」
ぞくりと背筋が泡立つ。この女は本気だ。
なら―――
「雪緒」
「は、はい!?」
端の方で影から事態を見守っていた雪緒が慌てて返事をする。
「竹刀二つと、防具一式。持ってきて」
「はい。って、ええ!?」
驚愕の声を上げる雪緒。
雪緒だけじゃない。周りのギャラリーも同様だ。その言葉の意味なんて一つしかないから。
しかし対照的に鷹野は笑い、
「どうしても私を止めようと?」
「当然。悪いけど直樹のところには行かせない。力ずくでも止めるから。………卑怯だろうけどね」
武道の心得がある人間が、ない人間に対し一方的に打ちのめそうっていうんだ。はっきり言って卑怯を超えて卑劣だと思う。せめてもの情けに俺は防具を一切つけないが、そんなのは気休めにもならない。
だけど。こいつを直樹のもとへは行かせない。
しかし鷹野は笑みを崩さず、
「防具なら私もいりません。竹刀だけで結構です」
その言葉に周りはもちろん。俺も驚きを隠せない。
「ご安心を。私は幼少の頃から様々な習い事をしてきましたので。剣道も経験済みです」
「………いいの?」
「立ち会ってみれば一目瞭然ですわ」
ならばそれ以上はなにも言うまい。
そして雪緒から竹刀を受け取り、構える姿は―――なるほど。様になっている。
初心者じゃない。いや、それどころか―――
「先輩。注意してください」
雪緒が竹刀を渡すとき、そっと耳打ちしてくる。鷹野の実力に気がついたんだろう。俺はそれに頷いた。
鷹野 蘭。間違いなく、強敵だ。
「ルールは単純。先に一本取った方の勝ち。それでいいな?」
喋り方が元に戻るが、そんな事を気にしていられる相手じゃない。
全力でいかなければ返り討ちにあうことは必死だ。
鷹野は頷く。
「ええ。それで結構です」
「………合図、頼む」
俺の言葉に雪緒はすっと腕を上げ、
「はじめ!」
振り下ろした。
<つづく>
キャラクター:倉塚りこ
2-2
「あ~………唐突だが転校生を紹介するぞ」
翌日。朝のHRで本当に唐突に担任がそう言った。
途端ざわざわと辺りが騒がしくなる。
「ちなみに性別は女子な。男共は喜べよ」
おおっと男共が騒ぐ。………あほらしい。
「なんだよ。興味ないのか?」
そんな俺に勇助が声をかけてくる。
俺は、
「特には。転校生とやらがどんな奴だろうが俺達と深く関わることはないだろ。………正直どうでもいいな」
俺のそっけない言葉に勇助はがっくり肩を落として、
「そうだよな………お前や直樹はそういう奴だよな………」
ため息一つ。
………変なこと言ったか? つーかため息まで吐かれるほどか?
そしてそんな雑談を尻目に扉は開かれ、一人の女生徒が姿を現した。
その途端周囲のざわめきが大きくなる。
………なるほど。確かに騒ぐのも無理ないかもしれないな。
俺でさえそう思える人間がそこにいた。
印象を一言で表すなら『お嬢様』だ。容姿といい、立ち振る舞いといい、纏う空気といい清楚で可憐。そんな感じか。
だけどそれだけじゃないような………なにか違和感を感じる。一体なんだろうか。
そんな俺の視線を感じ取ったのか、転校生はこっちに視線を向けると、すっと目を細めた。―――まるで睨みつけるように。
―――え?
疑問に思った時にはすでに転校生は違う方向をむいていて確かめようがなかったけど………今のは………。
そして転校生は自己紹介もなにもせずにズンズンと歩いていき、一人の男子生徒の前で止まる。その男子生徒は―――直樹だった。
転校生は緊張した面持ちで息を吸い、

「私の名前は鷹野 蘭(たかの らん)。高島 直樹さん。あなたの事が好きです。付き合ってください!」
………………
『えええええぇぇぇぇ!?』
たちまち教室は阿鼻叫喚の渦に包まれた。
「ほら遅い! もっと速く! もっと鋭く!!」
「は、はい!」
俺の言葉に従って春菜ちゃんは面打ちのスピードを上げる。
でも、
「ほら腕だけで振らない! 足運びもちゃんと意識する!」
「はい!!」
春菜ちゃんはそう返答するが、言葉とは裏腹に手足の動きはバラバラだ。
………仕方ない。
「よし。やめ!」
「あ、ありがとうございました………」
そう言うのが精一杯だったようで、彼女はペタンと床に尻もちをつく。
それに慌てて雪緒が駆け寄り、水を渡し、こっちに視線を向け、
「先輩。ちょっとやりすぎです」
その目に浮かんでいるのは非難だ。
「春菜ちゃんはまだ剣道歴一ヶ月ですよ? そんな子にこの訓練は無茶です」
「………」
「最近の先輩変ですよ? なにかあったんですか?」
「………」
俺は答えない。なぜなら自分でもよくわかっていないからだ。
「きっとあれだよ」
そんな俺の代わりに口を開いたのが花穂だ。
指をピッと立て、
「先輩のクラスに来た転校生。その人が高島先輩にまとわりついてるからだと―――」
ギロリ。
俺は花穂を睨みつけて黙らせると、そっとため息を吐いた。
そう。花穂の言葉はまさしく図星なのだ。
ズバリ俺のここ最近の苛立ちはあの転校生―――鷹野 蘭にある。
あの衝撃のHR告白。直樹はその時にすでに返答を返していた。すなわち「ごめんなさい」と。「付き合えない」と。
だけどあの女はそれだけでは諦めなかった。ふられたその翌日から直樹につきまとうようになったのだ。直樹もなんだかんだで甘いから鷹野にずっと押されっぱなし。
そんな状態がここ数日ずっと続いている。
………まあ、最近は直樹も鷹野から逃げ回っているようだけど。
とにかく。うっとうしいのだ。あの女は。
はっきり言って、目障りだ。
そこまで思って俺は不可解に思い首を傾げる。なんでここまで不愉快なのか。別に直樹がどんな目に遭おうが構わないじゃないか。現に苛立っているのは俺だけで、勇助は完全に傍観者だ。
俺もそれでいいはず。横からおもしろおかしく眺めていればいいのだ。
「仁! いるか!?」
「っ!? な、なんだ? どうした?」
いきなり直樹の声が響き俺は振り向く。
そこには息を切らした直樹の姿が。
直樹はそんな俺には構わず駆け寄って、
「かくまってくれ!」
………………
「は?」
「鷹野さんだ! 頼む!!」
それだけでなにがどうなっているのかを把握するのは十分だった。
俺は頷いて、
「わかった。部室に隠れてろ」
「す、すまん」
直樹はそう言い残し、部室へと消えていく。
そしてそれとほぼ同時に、
「高島さん!」
ここ最近で聞きなれた声が響く。そしてその声が響くのと同時に、俺の表情が曇るのが自分でもわかった。
俺はそのままの表情で、
「………なにか用?」
「………別にあなたに用はありません」
「じゃあ帰って。練習の邪魔」
「そうはいきません」
「………なんで?」
「ここに高島さんが来られたでしょう? 私は高島さんに用があるのです」
「………一体なんの用? よかったら伝えておくけど?」
「お気遣いありがとうございます。ですがあなたには関係ないことですわ」
………睨み合う。
周りも不穏な空気を感じ取り、固唾を呑んでこちらを見守っていた。
そして先にしびれを切らしたのは俺の方だった。
「………あのさぁ………」
深くため息を吐き、言ってやる。
「直樹にまとわりつくの、いい加減やめてくれる?」
「なぜあなたにそんな事を言われなくてはならないのです?」
そんなの決まってる。
「友達だから。友達の心配するのは当たり前でしょ?」
その言葉に鷹野はむっと押し黙る。
「あんたが直樹の事が好きなのはよ~く知ってる」
なにせいきなり直樹に告白したからな。
「あんたが直樹にアプローチするのは勝手。でもね、相手の事もちゃんと考えなさいよ」
「私が高島さんの事を考えてないとでも!?」
鷹野は俺の言葉に激昂するが、
「考えてないでしょうが」
俺は冷ややかに言葉を返す。
「あんたがやっていることは直樹にとって迷惑でしかないの」
「迷惑!?」
「じゃなかったら優しいアイツがあんたから逃げ出すわけがないでしょ。証拠なんてそれだけで十分」
その言葉がトドメになったのか、鷹野はなにも言うことができなくなり、俯いた。
だが、
「………そこをどいてください………」
「………嫌」
「………もう一度言います。そこをどきなさい。どかないなら―――」
「なら?」
「力ずくで押し通ります」
ぞくりと背筋が泡立つ。この女は本気だ。
なら―――
「雪緒」
「は、はい!?」
端の方で影から事態を見守っていた雪緒が慌てて返事をする。
「竹刀二つと、防具一式。持ってきて」
「はい。って、ええ!?」
驚愕の声を上げる雪緒。
雪緒だけじゃない。周りのギャラリーも同様だ。その言葉の意味なんて一つしかないから。
しかし対照的に鷹野は笑い、
「どうしても私を止めようと?」
「当然。悪いけど直樹のところには行かせない。力ずくでも止めるから。………卑怯だろうけどね」
武道の心得がある人間が、ない人間に対し一方的に打ちのめそうっていうんだ。はっきり言って卑怯を超えて卑劣だと思う。せめてもの情けに俺は防具を一切つけないが、そんなのは気休めにもならない。
だけど。こいつを直樹のもとへは行かせない。
しかし鷹野は笑みを崩さず、
「防具なら私もいりません。竹刀だけで結構です」
その言葉に周りはもちろん。俺も驚きを隠せない。
「ご安心を。私は幼少の頃から様々な習い事をしてきましたので。剣道も経験済みです」
「………いいの?」
「立ち会ってみれば一目瞭然ですわ」
ならばそれ以上はなにも言うまい。
そして雪緒から竹刀を受け取り、構える姿は―――なるほど。様になっている。
初心者じゃない。いや、それどころか―――
「先輩。注意してください」
雪緒が竹刀を渡すとき、そっと耳打ちしてくる。鷹野の実力に気がついたんだろう。俺はそれに頷いた。
鷹野 蘭。間違いなく、強敵だ。
「ルールは単純。先に一本取った方の勝ち。それでいいな?」
喋り方が元に戻るが、そんな事を気にしていられる相手じゃない。
全力でいかなければ返り討ちにあうことは必死だ。
鷹野は頷く。
「ええ。それで結構です」
「………合図、頼む」
俺の言葉に雪緒はすっと腕を上げ、
「はじめ!」
振り下ろした。
<つづく>
ダメ情報の見分けかた―メディアと幸福につきあうために (生活人新書 334)
そこそこの情報発信サイトなので記載事項には気をつかうのです。
まぁ、毒電波を発していると思われてもしょうがないのかもw
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