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チェンジ・ライフ・ラプソディー2 エピローグ
作.エイジ
「小手!」
「胴!」
互いの竹刀が疾る(はしる)。その竹刀は目標に当たる事なく、何もない空を切る。
それを見届けるや否や、すぐに竹刀を翻し、
「胴!」
打つ。
だけどその一撃も防がれ、流されてしまう。
そしてそのせいで無防備な場所が生まれてしまった。
相手はそれをみすみす逃すような事はしない。
瞬間、衝撃が走り、
「胴!」
後に声が届いた。
「胴あり! 一本!!」
審判の判定が響き、俺の負けが確定した。
「また負けた~!」
面を取って、開口一番に出た言葉がこれだった。
もう負けるのは何度目になるんだろうか。………というか、こいつから勝った事が過去一度でもあったか?
「なにを深刻な表情を浮かべてますの?」
先程までの試合の相手―――言うまでもなく鷹野だ―――が声をかけてくる。
俺は鷹野に、
「………一つ聞きたい事があるんだけど、いい………?」
「なんですか。改まって」
「あのさ………」
おそるおそる。俺はその質問を口にする。
「あたしがあんたに勝った事って、今までにあったっけ?」
「何を馬鹿な事を。いくらなんでも一度くらい―――」
そこで声が途切れ、次に出てきた言葉は、
「―――あら?」
「やっぱり………っ!」
俺は頭を抱えた。
「おかしいですわね………。いくらなんでも一度くらい………」
沈黙。
そして、
「ま、まあ。前に比べたら大分強くますし、大丈夫ですわよ!」
「強者の余裕ってやつね………。羨ましい事で」
なんていじけていると、
「その言葉、そっくりそのままお返ししますね」
視線を向けると、半眼で睨んでいる雪緒の姿が。
俺は言葉の意味がわからず、
「どういう事?」
それに対し、
「飛鳥先輩だって十分強いじゃないですか」
「え………そう………?」
「そうだよ! 私達は言うにおよばず、ここ最近個人、団体戦共に負けなしじゃん!」
「………謙遜も過ぎれば嫌味です………」
横から言ってきたのは月夜と花穂の二人だ。そして二人共雪緒と似たり寄ったりの表情を浮かべている。
「そんな事は―――」
ないんだけどなぁ。
そう続けようとして、でも俺は言葉を切った。三人に睨まれたからだ。
「………でもなんで勝てないんだろうなぁ………」
そこで俺は話題を逸らす。
三姉妹が「逃げた」なんて言っているけど、無視だ無視。
そして横目で鷹野を見つめるけど、当の本人はただ肩をすくめるだけ。「私に聞かれても困ります」といわんばかり。
すると、
「いっそ男に戻っちゃえばどうですか? そうすれば勝てるかもしれませんよ?」
なんて言葉が。
「………春菜ちゃん」
「まあ、高島先輩とラブラブ中な部長には無理な相談だと思いますけど」
「春菜ちゃん!!」
俺は声を張り上げる。
だけど春菜ちゃんは悪びれる事なく、
「事実じゃないですか」
くっ………。
「事実ですわね」
「事実ですね」
「………事実です」
「事実だよね~」
「事実だな」
すると周りの皆も次々に頷いて………っておい!!
「いつからいたぁっ!? そこの二人!!」
ビシッ!
指差すその先には頷く勇助と、顔をそらしている直樹の二人が。
というか直樹! 聞いてたなら助けろよ!!
俺の心が通じたのか、直樹はしどろもどろに、
「あ~………その、だな。部活もそろそろ終わるだろうと思って迎えにきたんだが………」
「………それでなんで勇助がいる?」
「ただ邪魔しにきただけだが?」
しれっと答える。
こ・い・つ・は~!
「もちろん、ある程度からかったら退散しようと思っていたんだが―――その必要はなさそうだな」
勇助がニヤリと笑い、周り(直樹を除いて)がうんうんと頷く。
俺は脱力して、
「………わかった。今回はもうそれでいいよ………」
「よし。それじゃあ校門のところで待ってるな」
言うが早いが、勇助は体育館から姿を消す。一方直樹はその場に残ったままだ。
「―――私達は先に部室に行って着替えてますわね」
察した鷹野が他の皆を率いて部室へと向かっていく。
それを見送り、
「で? なんか言いたい事があるんだろ?」
促す。
少しの躊躇の後、直樹は、
「………やっぱ勝ちたいか? 鷹野さんに」
「当然だろ」
と俺は即答。
一勝もしてないんだぞ。勝ちたくないわけあるか。
「………そのために男に戻るのか?」
………ああ。そういう事か。
「確かに男に戻った方が勝率は上がるだろうな」
まだ小瓶はある。だから戻ろうと思えばいつでも戻れるんだ。
「でもな。それじゃああんまり意味がないんだよ。『この身体』で勝ちたいって、俺は思ってるからな。それに―――」
それに、だ。
「お前がいるんだ。しばらくは戻れないさ」
「しばらく?」
「そうだな―――」
すっと近づいて、軽く背伸びし、
ちゅ。
「俺が、直樹の事を好きな間は、戻れないな」

挿絵:倉塚りこ
<Fin>
「小手!」
「胴!」
互いの竹刀が疾る(はしる)。その竹刀は目標に当たる事なく、何もない空を切る。
それを見届けるや否や、すぐに竹刀を翻し、
「胴!」
打つ。
だけどその一撃も防がれ、流されてしまう。
そしてそのせいで無防備な場所が生まれてしまった。
相手はそれをみすみす逃すような事はしない。
瞬間、衝撃が走り、
「胴!」
後に声が届いた。
「胴あり! 一本!!」
審判の判定が響き、俺の負けが確定した。
「また負けた~!」
面を取って、開口一番に出た言葉がこれだった。
もう負けるのは何度目になるんだろうか。………というか、こいつから勝った事が過去一度でもあったか?
「なにを深刻な表情を浮かべてますの?」
先程までの試合の相手―――言うまでもなく鷹野だ―――が声をかけてくる。
俺は鷹野に、
「………一つ聞きたい事があるんだけど、いい………?」
「なんですか。改まって」
「あのさ………」
おそるおそる。俺はその質問を口にする。
「あたしがあんたに勝った事って、今までにあったっけ?」
「何を馬鹿な事を。いくらなんでも一度くらい―――」
そこで声が途切れ、次に出てきた言葉は、
「―――あら?」
「やっぱり………っ!」
俺は頭を抱えた。
「おかしいですわね………。いくらなんでも一度くらい………」
沈黙。
そして、
「ま、まあ。前に比べたら大分強くますし、大丈夫ですわよ!」
「強者の余裕ってやつね………。羨ましい事で」
なんていじけていると、
「その言葉、そっくりそのままお返ししますね」
視線を向けると、半眼で睨んでいる雪緒の姿が。
俺は言葉の意味がわからず、
「どういう事?」
それに対し、
「飛鳥先輩だって十分強いじゃないですか」
「え………そう………?」
「そうだよ! 私達は言うにおよばず、ここ最近個人、団体戦共に負けなしじゃん!」
「………謙遜も過ぎれば嫌味です………」
横から言ってきたのは月夜と花穂の二人だ。そして二人共雪緒と似たり寄ったりの表情を浮かべている。
「そんな事は―――」
ないんだけどなぁ。
そう続けようとして、でも俺は言葉を切った。三人に睨まれたからだ。
「………でもなんで勝てないんだろうなぁ………」
そこで俺は話題を逸らす。
三姉妹が「逃げた」なんて言っているけど、無視だ無視。
そして横目で鷹野を見つめるけど、当の本人はただ肩をすくめるだけ。「私に聞かれても困ります」といわんばかり。
すると、
「いっそ男に戻っちゃえばどうですか? そうすれば勝てるかもしれませんよ?」
なんて言葉が。
「………春菜ちゃん」
「まあ、高島先輩とラブラブ中な部長には無理な相談だと思いますけど」
「春菜ちゃん!!」
俺は声を張り上げる。
だけど春菜ちゃんは悪びれる事なく、
「事実じゃないですか」
くっ………。
「事実ですわね」
「事実ですね」
「………事実です」
「事実だよね~」
「事実だな」
すると周りの皆も次々に頷いて………っておい!!
「いつからいたぁっ!? そこの二人!!」
ビシッ!
指差すその先には頷く勇助と、顔をそらしている直樹の二人が。
というか直樹! 聞いてたなら助けろよ!!
俺の心が通じたのか、直樹はしどろもどろに、
「あ~………その、だな。部活もそろそろ終わるだろうと思って迎えにきたんだが………」
「………それでなんで勇助がいる?」
「ただ邪魔しにきただけだが?」
しれっと答える。
こ・い・つ・は~!
「もちろん、ある程度からかったら退散しようと思っていたんだが―――その必要はなさそうだな」
勇助がニヤリと笑い、周り(直樹を除いて)がうんうんと頷く。
俺は脱力して、
「………わかった。今回はもうそれでいいよ………」
「よし。それじゃあ校門のところで待ってるな」
言うが早いが、勇助は体育館から姿を消す。一方直樹はその場に残ったままだ。
「―――私達は先に部室に行って着替えてますわね」
察した鷹野が他の皆を率いて部室へと向かっていく。
それを見送り、
「で? なんか言いたい事があるんだろ?」
促す。
少しの躊躇の後、直樹は、
「………やっぱ勝ちたいか? 鷹野さんに」
「当然だろ」
と俺は即答。
一勝もしてないんだぞ。勝ちたくないわけあるか。
「………そのために男に戻るのか?」
………ああ。そういう事か。
「確かに男に戻った方が勝率は上がるだろうな」
まだ小瓶はある。だから戻ろうと思えばいつでも戻れるんだ。
「でもな。それじゃああんまり意味がないんだよ。『この身体』で勝ちたいって、俺は思ってるからな。それに―――」
それに、だ。
「お前がいるんだ。しばらくは戻れないさ」
「しばらく?」
「そうだな―――」
すっと近づいて、軽く背伸びし、
ちゅ。
「俺が、直樹の事を好きな間は、戻れないな」

挿絵:倉塚りこ
<Fin>
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チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (24)
作.エイジ
自宅。玄関前。そこで俺はドアノブをつかみ、ひねって軽く引く。
ガチャ。キィ………。
「………本当に開いてるし………」
ため息一つ。
まさか本当に開いているとは。鍵もないのにどうやって開けたのか。
もはや怒りを通り越して呆れるしかない。
「まあ………いいか」
そんな言葉で俺は自分自身を納得させた。
少なくとも今は。今、大事なのはそんな事じゃない。
「………………」
深呼吸して息を整え、激しく鳴る心臓を落ち着かせる。
そしてノブに力を込めて引っ張り、ドアを開く。
玄関から少し奥にあるリビング。
そこに直樹は立っていた。
「………ちゃんと来たか。よかった。俺はお前が来ないんじゃないかって少し心配してたんだ」
そんな直樹の言葉に俺は苦笑い。
「そんなわけにもいかないだろ。………苦労したけど」
主に鷹野。
「そうか」
俺の言いたいことがわかったんだろう。直樹も苦笑を浮かべる。
「じゃあ本題………というか改めて言うな。俺はお前の事が―――飛鳥仁美の事が好きだ。………お前は俺の事、どう思ってるんだ? いや、それよりもお前はこれからどうするんだ?」
「どうするって………」
「聞いたよ。男に戻れる薬の事」
言って直樹は懐から小さな瓶を取り出す。
「!!」
俺はそれを見て驚きに息を呑んだ。
「正直に言うな。俺はそれを聞いた時、喜べなかった。そしてこの部屋でこれを見つけた時………壊したいって思った。そうすれば『飛鳥仁美』がいなくなる事はない、って思った………」
直樹の言う事は正しい。小瓶がなくなれば俺はもう二度と『飛鳥仁次郎』にはなれない。これから先、一生を『仁美』として生きるしかなくなる。
「最低だよな、俺」
………その言葉を、俺は否定できない。
だからその代わりに、
「じゃあ、なんで? なんで壊さなかった?」
「決まってるだろ。お前に嫌われたくなかった。それだけだ」
なんでもない事のように直樹は言う。
………それだけって………
「そんな事でお前を嫌ったりなんか―――」
「しない、って言えるか?」
俺の言葉を直樹は遮って言う。
「それは―――」
言葉を呑み込む。
そして息を吸って、
「言えるさ。はっきりと言える」
「なんでだ」
「そんなの―――」
決まってる。
それは―――
「俺が、高島直樹の事が、好きだからだ。友人として。そして、一人の女の子としても」
高らかに言った。
直樹は驚愕の表情を浮かべていた。
それからしばらくして出た言葉は、
「………嘘だろ………?」
という呆然とした呟きのみ。
「嘘で、こんな事言えるか。バカ」
そう返す俺の顔は多分真っ赤だ。
「あ~あ。なんでこんな事になっちゃったんだろうな」
俺は照れ隠しにわざと明るく、大きな声を出す。
ほんとなんでこんな事になってるんだか。
女になるだけでも異常なのに、さらに友人に告白されて、俺もそいつを好きになるなんて。ホント、異常だ。
でも………まぁ………。
「悪くないって思ってるし、後悔もしてないから」
それはまぎれもなく本当の事。
「………仁」
「言っとくが嘘じゃないぞ。全部本当の事だからな」
俺は直樹の目の前まで近づいて、じっと見つめた。
嘘かそうじゃないかなんて、見れば全部わかるはずだから。
直樹はしばらく見つめた後、ふっと力を抜き、
「バカだよ。お前は」
俺は笑うだけだ。
直樹は例の小瓶を俺に手渡し、
「返すな。これをどうするかは仁が決めろ。結果どうなっても俺は文句言わないから」
黙って頷き、俺は元あった場所にしまう。
これから先、どうするかはわからないけど。今はこれでいい。
「さて、と。じゃあ皆の所にもど―――」
そこで俺の言葉は途切れた。
直樹の唇が俺の唇をふさいだから。
「―――すまない。けど―――」
―――それ以上は言わせん!
電光石火で拳を振るい、直樹の顎を捉える。
倒れる直樹に俺は、
「なんでいつもそーなんだ!?」
「………は?」
「なんでお前とキスする時はいつも不意打ちなんだ! この前だって! 前もって準備ぐらいさせろ!! そうすりゃキスの1つや2つ………」
そこまでだった。それ以上は限界だ。
「い、いくぞ!!」
「まった」
がしっと腕をつかまれ、真正面から見つめられる。
「う………」
「キス、したい。改めて、もう一度。いいか?」
うう~………!!
「さ、さっきの言葉通りだ………! 好きにしろ!」
やけくそで言い放ち、ぎゅっと目をつぶる。
「そうか」
クスリと笑われ、それから少し経って。
俺の唇と直樹の唇が重なった。

挿絵:倉塚りこ
<つづく>
自宅。玄関前。そこで俺はドアノブをつかみ、ひねって軽く引く。
ガチャ。キィ………。
「………本当に開いてるし………」
ため息一つ。
まさか本当に開いているとは。鍵もないのにどうやって開けたのか。
もはや怒りを通り越して呆れるしかない。
「まあ………いいか」
そんな言葉で俺は自分自身を納得させた。
少なくとも今は。今、大事なのはそんな事じゃない。
「………………」
深呼吸して息を整え、激しく鳴る心臓を落ち着かせる。
そしてノブに力を込めて引っ張り、ドアを開く。
玄関から少し奥にあるリビング。
そこに直樹は立っていた。
「………ちゃんと来たか。よかった。俺はお前が来ないんじゃないかって少し心配してたんだ」
そんな直樹の言葉に俺は苦笑い。
「そんなわけにもいかないだろ。………苦労したけど」
主に鷹野。
「そうか」
俺の言いたいことがわかったんだろう。直樹も苦笑を浮かべる。
「じゃあ本題………というか改めて言うな。俺はお前の事が―――飛鳥仁美の事が好きだ。………お前は俺の事、どう思ってるんだ? いや、それよりもお前はこれからどうするんだ?」
「どうするって………」
「聞いたよ。男に戻れる薬の事」
言って直樹は懐から小さな瓶を取り出す。
「!!」
俺はそれを見て驚きに息を呑んだ。
「正直に言うな。俺はそれを聞いた時、喜べなかった。そしてこの部屋でこれを見つけた時………壊したいって思った。そうすれば『飛鳥仁美』がいなくなる事はない、って思った………」
直樹の言う事は正しい。小瓶がなくなれば俺はもう二度と『飛鳥仁次郎』にはなれない。これから先、一生を『仁美』として生きるしかなくなる。
「最低だよな、俺」
………その言葉を、俺は否定できない。
だからその代わりに、
「じゃあ、なんで? なんで壊さなかった?」
「決まってるだろ。お前に嫌われたくなかった。それだけだ」
なんでもない事のように直樹は言う。
………それだけって………
「そんな事でお前を嫌ったりなんか―――」
「しない、って言えるか?」
俺の言葉を直樹は遮って言う。
「それは―――」
言葉を呑み込む。
そして息を吸って、
「言えるさ。はっきりと言える」
「なんでだ」
「そんなの―――」
決まってる。
それは―――
「俺が、高島直樹の事が、好きだからだ。友人として。そして、一人の女の子としても」
高らかに言った。
直樹は驚愕の表情を浮かべていた。
それからしばらくして出た言葉は、
「………嘘だろ………?」
という呆然とした呟きのみ。
「嘘で、こんな事言えるか。バカ」
そう返す俺の顔は多分真っ赤だ。
「あ~あ。なんでこんな事になっちゃったんだろうな」
俺は照れ隠しにわざと明るく、大きな声を出す。
ほんとなんでこんな事になってるんだか。
女になるだけでも異常なのに、さらに友人に告白されて、俺もそいつを好きになるなんて。ホント、異常だ。
でも………まぁ………。
「悪くないって思ってるし、後悔もしてないから」
それはまぎれもなく本当の事。
「………仁」
「言っとくが嘘じゃないぞ。全部本当の事だからな」
俺は直樹の目の前まで近づいて、じっと見つめた。
嘘かそうじゃないかなんて、見れば全部わかるはずだから。
直樹はしばらく見つめた後、ふっと力を抜き、
「バカだよ。お前は」
俺は笑うだけだ。
直樹は例の小瓶を俺に手渡し、
「返すな。これをどうするかは仁が決めろ。結果どうなっても俺は文句言わないから」
黙って頷き、俺は元あった場所にしまう。
これから先、どうするかはわからないけど。今はこれでいい。
「さて、と。じゃあ皆の所にもど―――」
そこで俺の言葉は途切れた。
直樹の唇が俺の唇をふさいだから。
「―――すまない。けど―――」
―――それ以上は言わせん!
電光石火で拳を振るい、直樹の顎を捉える。
倒れる直樹に俺は、
「なんでいつもそーなんだ!?」
「………は?」
「なんでお前とキスする時はいつも不意打ちなんだ! この前だって! 前もって準備ぐらいさせろ!! そうすりゃキスの1つや2つ………」
そこまでだった。それ以上は限界だ。
「い、いくぞ!!」
「まった」
がしっと腕をつかまれ、真正面から見つめられる。
「う………」
「キス、したい。改めて、もう一度。いいか?」
うう~………!!
「さ、さっきの言葉通りだ………! 好きにしろ!」
やけくそで言い放ち、ぎゅっと目をつぶる。
「そうか」
クスリと笑われ、それから少し経って。
俺の唇と直樹の唇が重なった。

挿絵:倉塚りこ
<つづく>
水曜イラスト企画 絵師 四葉チカ(5) 仮名:矢後 雅也
矢後 雅也(まさや)【変身】
美形なのだが『目付きが悪いから』と言う理由でフラれ続ける高校生。ヤケクソで爆弾を作るが、誤爆。なぜか女体化(ロリ巨乳タイプ、可愛い系だがグラマラスで超巨乳、ポニーテイル)する。以来、幼馴染のお嬢様の家で、メイドとして
働くことになってしまう。
絵師:四葉チカ http://kinoko.kirara.st/crown/

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。
美形なのだが『目付きが悪いから』と言う理由でフラれ続ける高校生。ヤケクソで爆弾を作るが、誤爆。なぜか女体化(ロリ巨乳タイプ、可愛い系だがグラマラスで超巨乳、ポニーテイル)する。以来、幼馴染のお嬢様の家で、メイドとして
働くことになってしまう。
絵師:四葉チカ http://kinoko.kirara.st/crown/

水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。
本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。
女装少年アンソロジーコミック ばなな組
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コミックアンリアル Vol.35
コミックアンリアル Vol.35 DMM版
コミックアンリアルVol.35 DLsite.com版
お待たせアンリアルの電子版。単品で買うのも良いが、丸ごとでOK。
⇒読みました。おススメのものに格上げ。
特に発作性女体化症候群(仮)と女ノ子ノキモチは是非読まねばならないのだ。

発作性女体化症候群(仮)
男性が性的興奮を覚えると女体化してしまう原因不明の病「発作性女体化症候群(仮)」。この病に感染した青年は、エロ本を読みむらむらしたことで女体化してしまう。隣に住む幼なじみの男の娘の優希に、女の子になった自分の体をまさぐっているところを覗かれてしまう青年。昔から彼に恋心を抱いていた優希は、憧れのお兄ちゃんの勃起乳首やクリトリスを弄ると、収まりきらずに処女まで奪ってしまうのだった。

女ノ子ノキモチ
ごく普通の男子学生である蓮はある朝目覚めると女の子になっていた。通常ではありえないことに戸惑いながらもテストを休むわけにいかない彼は、サラシをまいて学校へと向かうことに。放課後、胸のふくらみに疑問を抱いた友人たちが学ランをはだけると、そこにはたわわに実った乳房が。女の子らしい表情と生乳に興奮した友人たちは蓮に襲い掛かってしまう。友人たちに輪姦されイラマチオや膣内への二本挿しを経験した蓮は、女の子の気持ち良さに目覚めていくのだった。

Body Snatcher

コミックアンリアルVol.35 DLsite.com版
お待たせアンリアルの電子版。単品で買うのも良いが、丸ごとでOK。
⇒読みました。おススメのものに格上げ。
特に発作性女体化症候群(仮)と女ノ子ノキモチは是非読まねばならないのだ。

発作性女体化症候群(仮)
男性が性的興奮を覚えると女体化してしまう原因不明の病「発作性女体化症候群(仮)」。この病に感染した青年は、エロ本を読みむらむらしたことで女体化してしまう。隣に住む幼なじみの男の娘の優希に、女の子になった自分の体をまさぐっているところを覗かれてしまう青年。昔から彼に恋心を抱いていた優希は、憧れのお兄ちゃんの勃起乳首やクリトリスを弄ると、収まりきらずに処女まで奪ってしまうのだった。

女ノ子ノキモチ
ごく普通の男子学生である蓮はある朝目覚めると女の子になっていた。通常ではありえないことに戸惑いながらもテストを休むわけにいかない彼は、サラシをまいて学校へと向かうことに。放課後、胸のふくらみに疑問を抱いた友人たちが学ランをはだけると、そこにはたわわに実った乳房が。女の子らしい表情と生乳に興奮した友人たちは蓮に襲い掛かってしまう。友人たちに輪姦されイラマチオや膣内への二本挿しを経験した蓮は、女の子の気持ち良さに目覚めていくのだった。

Body Snatcher

チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (23)
作.エイジ
風が、吹く。陽の光が差し込み、その光が影を作る。その光が眩しくて、俺は目を閉じた。
そして、ゆっくりと視線を外し、正面へと向ける。
そこに鷹野はいた。制服姿で手には竹刀を持っているが、それだけだ。
ただそれだけなのに、存在感が物凄い。まさに威風堂々といった言葉がふさわしい。
「遅い到着ですわね。まあ、来ただけよしとしましょうか」
「………ずいぶん偉そうね」
俺は半眼でぼやくが、
「あなたが不甲斐ないだけですわ」
と一蹴された。その言葉に俺はなにも返せない。
「では、あなたが高島さんの事をどう思っているのか答えを聞かせてもらいましょうか。この後におよんでふざけた事を仰るようなら―――」
すっ………と竹刀がこちらに向けられる。
「わかってますわね?」
「………わかってるから。大丈夫」
………正直に言えば、あまり言いたくないんだけどな。恥ずかしいし。
でもちゃんと言わないと。こいつには特に。
だから俺は、口を開いた。
「あたし、飛鳥 仁美は―――」
俺、飛鳥 仁次郎は―――
「一人の女の子として―――」
そして同時に一人の男として―――
「高島 直樹の事が―――」
『好きだ』
声が響く。過去とは違う、現在の声が。変わってしまった、今の声が。
その声は高らかに響き。だけど不安と恐怖に揺れていた。
なんだかんだ言っても、やっぱりまだ少し怖い。直樹が、じゃない。自分の事が。自分の気持ちが。
でも、もう認めなくちゃいけない。そしてどんな形であれ進まなくちゃいけない。
だから俺はまっすぐに前を見つめる。視線の先にいる鷹野を見据えて。
鷹野はそんな俺をしばらく見つめて「ふん」と鼻を鳴らし、
「どうやら一応の覚悟はあるようですわね」
と若干不満気に呟いた。
「では次は言葉ではなく、行動でその覚悟を示していただきましょうか」
持っている竹刀を鷹野は構えて、
「あなたも構えなさい。そして私に示しなさいな。自分の気持ちを。………もし、私が納得できなかったらその時は―――」
「わかってる」
それ以上は言わせない。
そんな事はさせない。俺は必ず直樹の下へとたどり着く。
そして―――
「いくぞ」
告白、する!
「小手! 胴!」
声と共に竹刀を走らせ、打つ。
「面! 胴!」
相手が防具をつけていないとか、そんなのは関係ない。意識する余裕すらない。
ただ打つ。
打つ打つ打つ打つ。
だが当たらない。
俺の打ち込みを鷹野は悠々と避け、捌く。
改めて思い知らされる。絶対的ともいえる力量差を。
攻めているのはこちら側なのに、追い詰められているのもまたこちら側。
正直、自分が女ではなく、男に戻ったとしても勝てる気がしない。
………一人の剣道家として素直に尊敬する。これほどの技量を会得するのにいったいどれほどの訓練を積んだんだろう。そして俺はこれから先、こいつを超える事はできるんだろうか。
答えは………未知だ。
けど、今は。今、この瞬間だけは。こいつを超えなくちゃいけない。超えて納得させ、直樹の所へ行かなくちゃいけない。
だから―――!!
「………」
唐突に攻撃をやめ、距離を取った俺に鷹野はしかけるでもなく、ただ構えるのみ。
待ってくれているのだ。俺の渾身の一撃を。
―――ありがとう―――
心の中で礼を言い、息を整え、
「面―――!!」
全身全霊を込めた一撃を放つ!!
「っ!」
鷹野がそれを迎え撃ち、互いの竹刀が交錯し、衝撃が弾けた。
結果、俺の竹刀は弾き飛ばされ手中にない。
だけど鷹野の竹刀も刀身半ばから折られていて、その手にはないも同然だった。
「―――これは」
「相打ち………ですわね」
鷹野はふうっと息を吐き、緊張を解く。それを見て俺も同じように息を吐いた。
「………まぁ、よしとしましょう。合格ですわ」
「え………」
鷹野の言葉に俺は目をぱちくりさせる。
「なんですか。その顔は」
「いや、だって………」
不合格でもおかしくないと思ったのに………。
「………正直に言えば通したくはないのですけど。サービスですわ」
「―――ありがとう」
「別にお礼などいりません。それよりも高島さんの居場所ですが―――」
「………」
「あなたの自宅ですわ」
「………へ?」
予想もしていなかった場所を言われて、思わず声が上がる。なんでそんな場所に?
「………疑問はわかりますが、細かいことは気にしないように。考えるだけ無駄ですから」
「あ、そう………」
答える声は呆れ気味だ。
「さあさあ、早く行きなさいな。高島さんが待っていますわよ?」
「………そうする。じゃあね」
背を向け、俺は歩き出す。
その背中に、
「がんばりなさいな」
エールを受けて。
<つづく>
風が、吹く。陽の光が差し込み、その光が影を作る。その光が眩しくて、俺は目を閉じた。
そして、ゆっくりと視線を外し、正面へと向ける。
そこに鷹野はいた。制服姿で手には竹刀を持っているが、それだけだ。
ただそれだけなのに、存在感が物凄い。まさに威風堂々といった言葉がふさわしい。
「遅い到着ですわね。まあ、来ただけよしとしましょうか」
「………ずいぶん偉そうね」
俺は半眼でぼやくが、
「あなたが不甲斐ないだけですわ」
と一蹴された。その言葉に俺はなにも返せない。
「では、あなたが高島さんの事をどう思っているのか答えを聞かせてもらいましょうか。この後におよんでふざけた事を仰るようなら―――」
すっ………と竹刀がこちらに向けられる。
「わかってますわね?」
「………わかってるから。大丈夫」
………正直に言えば、あまり言いたくないんだけどな。恥ずかしいし。
でもちゃんと言わないと。こいつには特に。
だから俺は、口を開いた。
「あたし、飛鳥 仁美は―――」
俺、飛鳥 仁次郎は―――
「一人の女の子として―――」
そして同時に一人の男として―――
「高島 直樹の事が―――」
『好きだ』
声が響く。過去とは違う、現在の声が。変わってしまった、今の声が。
その声は高らかに響き。だけど不安と恐怖に揺れていた。
なんだかんだ言っても、やっぱりまだ少し怖い。直樹が、じゃない。自分の事が。自分の気持ちが。
でも、もう認めなくちゃいけない。そしてどんな形であれ進まなくちゃいけない。
だから俺はまっすぐに前を見つめる。視線の先にいる鷹野を見据えて。
鷹野はそんな俺をしばらく見つめて「ふん」と鼻を鳴らし、
「どうやら一応の覚悟はあるようですわね」
と若干不満気に呟いた。
「では次は言葉ではなく、行動でその覚悟を示していただきましょうか」
持っている竹刀を鷹野は構えて、
「あなたも構えなさい。そして私に示しなさいな。自分の気持ちを。………もし、私が納得できなかったらその時は―――」
「わかってる」
それ以上は言わせない。
そんな事はさせない。俺は必ず直樹の下へとたどり着く。
そして―――
「いくぞ」
告白、する!
「小手! 胴!」
声と共に竹刀を走らせ、打つ。
「面! 胴!」
相手が防具をつけていないとか、そんなのは関係ない。意識する余裕すらない。
ただ打つ。
打つ打つ打つ打つ。
だが当たらない。
俺の打ち込みを鷹野は悠々と避け、捌く。
改めて思い知らされる。絶対的ともいえる力量差を。
攻めているのはこちら側なのに、追い詰められているのもまたこちら側。
正直、自分が女ではなく、男に戻ったとしても勝てる気がしない。
………一人の剣道家として素直に尊敬する。これほどの技量を会得するのにいったいどれほどの訓練を積んだんだろう。そして俺はこれから先、こいつを超える事はできるんだろうか。
答えは………未知だ。
けど、今は。今、この瞬間だけは。こいつを超えなくちゃいけない。超えて納得させ、直樹の所へ行かなくちゃいけない。
だから―――!!
「………」
唐突に攻撃をやめ、距離を取った俺に鷹野はしかけるでもなく、ただ構えるのみ。
待ってくれているのだ。俺の渾身の一撃を。
―――ありがとう―――
心の中で礼を言い、息を整え、
「面―――!!」
全身全霊を込めた一撃を放つ!!
「っ!」
鷹野がそれを迎え撃ち、互いの竹刀が交錯し、衝撃が弾けた。
結果、俺の竹刀は弾き飛ばされ手中にない。
だけど鷹野の竹刀も刀身半ばから折られていて、その手にはないも同然だった。
「―――これは」
「相打ち………ですわね」
鷹野はふうっと息を吐き、緊張を解く。それを見て俺も同じように息を吐いた。
「………まぁ、よしとしましょう。合格ですわ」
「え………」
鷹野の言葉に俺は目をぱちくりさせる。
「なんですか。その顔は」
「いや、だって………」
不合格でもおかしくないと思ったのに………。
「………正直に言えば通したくはないのですけど。サービスですわ」
「―――ありがとう」
「別にお礼などいりません。それよりも高島さんの居場所ですが―――」
「………」
「あなたの自宅ですわ」
「………へ?」
予想もしていなかった場所を言われて、思わず声が上がる。なんでそんな場所に?
「………疑問はわかりますが、細かいことは気にしないように。考えるだけ無駄ですから」
「あ、そう………」
答える声は呆れ気味だ。
「さあさあ、早く行きなさいな。高島さんが待っていますわよ?」
「………そうする。じゃあね」
背を向け、俺は歩き出す。
その背中に、
「がんばりなさいな」
エールを受けて。
<つづく>
Miss Boys!
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勇者と魔王の嫁入り修行(その7) 3.1% 7
チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (21) 2.2% 5
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勇者と魔王の嫁入り修行(その7) 3.1% 7
チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (21) 2.2% 5
チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (14) 1.8% 4
チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (8) 1.8% 4
「製作所へようこそ」 (25) 18禁 作.ありす 1.3% 3
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合計 226
チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (22)
作.エイジ
『サッカー部・部室』
そう書かれた扉を開け、部屋の中に入る。中には一人の男が当たり前のように立っていた。
本来ならこの時間帯、部員は皆練習していて部屋には誰もいないはずなのに、だ。
だけど俺はそれを不思議には思わない。むしろこの場にいなくてはいけない人間だから。
「よっ」
片手を上げて軽く挨拶。
すると相手も、
「よう」
と軽い感じで返してきた。
「………で。お前相手に俺は何をすればいいんだ? ぶっ飛ばせばいいのか?」
持っている竹刀をビシリと突きつける。
相手は両手を上げて『降参』のポーズを取りながら、
「勘弁してくれ。俺がお前相手に殴り合いで勝てるわけないだろ?」
「そうでもないぞ?」
本心からそう思う。今の俺ではきっと力でねじ伏せられてしまうに違いない。
だけど相手は首を振って、
「いやいや。勝てないだろ。―――まして今のお前相手じゃな」
「………どういう事だ?」
首をひねって俺は相手―――勇助に問いかける。
だけど勇助は、
「気にするな。さて、それじゃあ一番の難関―――つーかラスボス?―――な鷹野ちゃんの居場所は………っと」
「まてまてまて! ちょっとまて!!」
俺は慌ててストップをかける。
すると勇助は顔をしかめて、
「なんだよ」
「『なんだよ』じゃねーよ! これで終わりかよ! もっとこう………なんかないのかよ!?」
「ねえよ」
ないのかよ!
「それに俺だって忙しいんだ。お前に長く構ってる暇はない」
うーわ。バッサリ言い切りやがったよ。この野郎。
「だから、これで終わるなよ! それに雪緒達はどうしたんだよ!?」
ラスボスである鷹野の前に、まだ雪緒達が残ってるだろうが。
だけどそれに対して勇助は、
「何度も言わせるなよ。俺からはこれでおしまいだ。雪緒ちゃん達はリタイヤだと。『言いたい事は言った』だってさ」
『私達は先輩が男女どちらでも変わりませんから。だから先輩は自分が満足する方を選んでください』
雪緒のその言葉が脳裏にリフレインする。
「………」
「わかったか? それじゃあ鷹野ちゃんの居場所は―――」
すっ………と勇助は上を指差し、
「屋上だ。ま、定番だよな」
定番ねえ………。確かに定番といえば定番かねぇ………。
俺が鷹野の居場所を理解したと見るや勇助は、
「じゃあ俺はそろそろ部活行くから。だからお前も早く行け。つーかぶっちゃけ邪魔だから早く出ていけ」
「………はいはい」
勇助の言い分に俺は肩をすくめ、俺は扉に手をかけ、そして、
「お前だけは何があっても変わらないんだろうな」
俺の言葉に勇助は鼻を鳴らし、
「当たり前だろ」
俺は笑って出て行った。
<つづく>
『サッカー部・部室』
そう書かれた扉を開け、部屋の中に入る。中には一人の男が当たり前のように立っていた。
本来ならこの時間帯、部員は皆練習していて部屋には誰もいないはずなのに、だ。
だけど俺はそれを不思議には思わない。むしろこの場にいなくてはいけない人間だから。
「よっ」
片手を上げて軽く挨拶。
すると相手も、
「よう」
と軽い感じで返してきた。
「………で。お前相手に俺は何をすればいいんだ? ぶっ飛ばせばいいのか?」
持っている竹刀をビシリと突きつける。
相手は両手を上げて『降参』のポーズを取りながら、
「勘弁してくれ。俺がお前相手に殴り合いで勝てるわけないだろ?」
「そうでもないぞ?」
本心からそう思う。今の俺ではきっと力でねじ伏せられてしまうに違いない。
だけど相手は首を振って、
「いやいや。勝てないだろ。―――まして今のお前相手じゃな」
「………どういう事だ?」
首をひねって俺は相手―――勇助に問いかける。
だけど勇助は、
「気にするな。さて、それじゃあ一番の難関―――つーかラスボス?―――な鷹野ちゃんの居場所は………っと」
「まてまてまて! ちょっとまて!!」
俺は慌ててストップをかける。
すると勇助は顔をしかめて、
「なんだよ」
「『なんだよ』じゃねーよ! これで終わりかよ! もっとこう………なんかないのかよ!?」
「ねえよ」
ないのかよ!
「それに俺だって忙しいんだ。お前に長く構ってる暇はない」
うーわ。バッサリ言い切りやがったよ。この野郎。
「だから、これで終わるなよ! それに雪緒達はどうしたんだよ!?」
ラスボスである鷹野の前に、まだ雪緒達が残ってるだろうが。
だけどそれに対して勇助は、
「何度も言わせるなよ。俺からはこれでおしまいだ。雪緒ちゃん達はリタイヤだと。『言いたい事は言った』だってさ」
『私達は先輩が男女どちらでも変わりませんから。だから先輩は自分が満足する方を選んでください』
雪緒のその言葉が脳裏にリフレインする。
「………」
「わかったか? それじゃあ鷹野ちゃんの居場所は―――」
すっ………と勇助は上を指差し、
「屋上だ。ま、定番だよな」
定番ねえ………。確かに定番といえば定番かねぇ………。
俺が鷹野の居場所を理解したと見るや勇助は、
「じゃあ俺はそろそろ部活行くから。だからお前も早く行け。つーかぶっちゃけ邪魔だから早く出ていけ」
「………はいはい」
勇助の言い分に俺は肩をすくめ、俺は扉に手をかけ、そして、
「お前だけは何があっても変わらないんだろうな」
俺の言葉に勇助は鼻を鳴らし、
「当たり前だろ」
俺は笑って出て行った。
<つづく>
編集メモ 0325
たくさんのプロジェクトを抱えております。作家さんは自力発注できるように配慮願います。
直近の掲載予定 :チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (完結まで)
黒い枕さんの新作
メモ:お礼振込
イラスト企画、納期遅れフォロー
製作中:ありすさんの新作 まさきねむさんがイラスト作成中
勇者と魔王の 挿絵依頼 0325 返事待ち
真城さんの新作 校正やチェック+挿絵依頼
漫画 オレ新作 製作中
Fさんの挿絵付新作 挿絵製作中
だいぶ先:漫画 ヴァン・ぱい・ヤ3 コンテ前
オレ おむにばす?
直近の掲載予定 :チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (完結まで)
黒い枕さんの新作
メモ:お礼振込
イラスト企画、納期遅れフォロー
製作中:ありすさんの新作 まさきねむさんがイラスト作成中
勇者と魔王の 挿絵依頼 0325 返事待ち
真城さんの新作 校正やチェック+挿絵依頼
漫画 オレ新作 製作中
Fさんの挿絵付新作 挿絵製作中
だいぶ先:漫画 ヴァン・ぱい・ヤ3 コンテ前
オレ おむにばす?
チェンジ・ライフ・ラプソディー2 (21)
作.エイジ
それから数日が経ち、本日は休日。
当然学校はなく、今日は部活も休みだ。
だけど俺は部室にいて、剣道着に着替えていた(防具はつけてないけど)。
なんでか? それは鷹野が言った『ゲーム』に俺が参加しているからだ。
目を閉じて、記憶を呼び起こす。
『そう。ゲームですわ。飛鳥さん、あなたウォークラリーはご存知?』
『ウォークラリーってチェックポイントを順番にまわっていって最後にゴールを目指すっていうあれ?』
『そう。それをやろうと思いますの』
『………なんとなくわかった。当然ゴールには直樹がいるわけね』
『そして最後のチェックポイントには私がいますわ』
『………………』
『まあ、参加する、しないは一応自由にしてあげます』
『………参加しないわけにはいかないでしょ』
『わかっているなら結構。まあ、告白させてあげるのですし、これくらいは乗り越えてもらわなくてはね』
『………嬉しくて涙が出るね』
目を開き、竹刀を手に取る。
いくつチェックポイントがあって、誰が待っているのかはわからないけど、鷹野がいる以上絶対に必要になるはずだ。これは。
鷹野との決着は『これ』以外にありえない。
いや。ひょっとしたら鷹野以外にも使う相手が出てくるかもしれない。
「さて、と。それじゃあ始めますかね」
自分の気持ちに決着をつけるために。
そして前に進むために。
俺は部室を出て、体育館へと向かった。
そこで待っていたのは―――
「最初は春菜ちゃんか」
同じ剣道着姿、そして同じくその手には竹刀が握られている。
「私程度じゃ不服でしょうけど。でも―――」
竹刀を構える。
「私程度も越えられないなら、この先に行っても意味ありません」
「でしょうね」
俺も同じく竹刀を構えた。
「………行きます」
こくりと俺は頷く。
それとほぼ同時に、
「胴!」
ガッ。
春菜ちゃんの胴打ちを俺は竹刀で受ける。
予想済みだったんだろう。すぐに春菜ちゃんは竹刀をひるがえして、
「小手! 面!」
と連続して打ってくる。
だけどそれを通す俺じゃない。確実に、余裕をもって防ぐ。
確かに彼女は強くなった。この前の団体戦で初勝利をおさめて以来、その成長速度にはさらに磨きがかかっている。将来が楽しみな逸材だ。いつか俺を超えるかもしれない。
だけど、今はまだ俺の方が上―――!
「小手ぇっ!」
バシィッ!!
俺が繰り出した竹刀の一撃は春菜ちゃんの手に命中し、彼女は竹刀を取り落とした。
「平気?」
「大丈夫です」
春菜ちゃんの手に濡れタオルを当てながら俺は問いかける。
防具もつけてないむき出しの手に竹刀を打ち込んだんだ。当たり所が悪ければ骨折していてもおかしくない。
でも春菜ちゃんは首を振って、
「ちょっと赤くなってますけど、平気です」
「本当?」
その言葉をそのまま信じるような事はしない。手首を取って揺らしてみたり、強く握ったりして反応を確かめる。
でも春菜ちゃんは眉一つ動かさない。
俺はほっとして息を吐き、
「本当に大丈夫みたいだね」
「だから言ったじゃないですか。信用しないんですから」
春菜ちゃんはぷぅっと膨れる。
「ごめんってば」
それに俺は平謝り。
それでも春菜ちゃんは膨れていたけど、やがて、
「わかりました。今日はこれぐらいで許してあげます」
「あ、ありがと」
「それじゃあ部長。次はここに行ってくださいね」
そう言いつつ春菜ちゃんが取り出したのは一枚の紙切れ。
そこに書かれていた文字は『サッカー部・部室』。
とすると待っているのは―――
「まあ誰が待っているかなんてわざわざ言う必要ないですよね?」
「まあね」
そんな所にいる人物なんて一人しか思い浮かばない。
そして今回の事に絡んでくるのも当然といえば当然か。ある意味あいつが一番巻き込まれているわけだし。
「部長」
「なに?」
「―――いえ。なんでもありません」
「―――そう。大丈夫だと思うけど、念のために保健室で診てもらいなよ?」
俺はそう言い残し、体育館を後にした。
<つづく>
それから数日が経ち、本日は休日。
当然学校はなく、今日は部活も休みだ。
だけど俺は部室にいて、剣道着に着替えていた(防具はつけてないけど)。
なんでか? それは鷹野が言った『ゲーム』に俺が参加しているからだ。
目を閉じて、記憶を呼び起こす。
『そう。ゲームですわ。飛鳥さん、あなたウォークラリーはご存知?』
『ウォークラリーってチェックポイントを順番にまわっていって最後にゴールを目指すっていうあれ?』
『そう。それをやろうと思いますの』
『………なんとなくわかった。当然ゴールには直樹がいるわけね』
『そして最後のチェックポイントには私がいますわ』
『………………』
『まあ、参加する、しないは一応自由にしてあげます』
『………参加しないわけにはいかないでしょ』
『わかっているなら結構。まあ、告白させてあげるのですし、これくらいは乗り越えてもらわなくてはね』
『………嬉しくて涙が出るね』
目を開き、竹刀を手に取る。
いくつチェックポイントがあって、誰が待っているのかはわからないけど、鷹野がいる以上絶対に必要になるはずだ。これは。
鷹野との決着は『これ』以外にありえない。
いや。ひょっとしたら鷹野以外にも使う相手が出てくるかもしれない。
「さて、と。それじゃあ始めますかね」
自分の気持ちに決着をつけるために。
そして前に進むために。
俺は部室を出て、体育館へと向かった。
そこで待っていたのは―――
「最初は春菜ちゃんか」
同じ剣道着姿、そして同じくその手には竹刀が握られている。
「私程度じゃ不服でしょうけど。でも―――」
竹刀を構える。
「私程度も越えられないなら、この先に行っても意味ありません」
「でしょうね」
俺も同じく竹刀を構えた。
「………行きます」
こくりと俺は頷く。
それとほぼ同時に、
「胴!」
ガッ。
春菜ちゃんの胴打ちを俺は竹刀で受ける。
予想済みだったんだろう。すぐに春菜ちゃんは竹刀をひるがえして、
「小手! 面!」
と連続して打ってくる。
だけどそれを通す俺じゃない。確実に、余裕をもって防ぐ。
確かに彼女は強くなった。この前の団体戦で初勝利をおさめて以来、その成長速度にはさらに磨きがかかっている。将来が楽しみな逸材だ。いつか俺を超えるかもしれない。
だけど、今はまだ俺の方が上―――!
「小手ぇっ!」
バシィッ!!
俺が繰り出した竹刀の一撃は春菜ちゃんの手に命中し、彼女は竹刀を取り落とした。
「平気?」
「大丈夫です」
春菜ちゃんの手に濡れタオルを当てながら俺は問いかける。
防具もつけてないむき出しの手に竹刀を打ち込んだんだ。当たり所が悪ければ骨折していてもおかしくない。
でも春菜ちゃんは首を振って、
「ちょっと赤くなってますけど、平気です」
「本当?」
その言葉をそのまま信じるような事はしない。手首を取って揺らしてみたり、強く握ったりして反応を確かめる。
でも春菜ちゃんは眉一つ動かさない。
俺はほっとして息を吐き、
「本当に大丈夫みたいだね」
「だから言ったじゃないですか。信用しないんですから」
春菜ちゃんはぷぅっと膨れる。
「ごめんってば」
それに俺は平謝り。
それでも春菜ちゃんは膨れていたけど、やがて、
「わかりました。今日はこれぐらいで許してあげます」
「あ、ありがと」
「それじゃあ部長。次はここに行ってくださいね」
そう言いつつ春菜ちゃんが取り出したのは一枚の紙切れ。
そこに書かれていた文字は『サッカー部・部室』。
とすると待っているのは―――
「まあ誰が待っているかなんてわざわざ言う必要ないですよね?」
「まあね」
そんな所にいる人物なんて一人しか思い浮かばない。
そして今回の事に絡んでくるのも当然といえば当然か。ある意味あいつが一番巻き込まれているわけだし。
「部長」
「なに?」
「―――いえ。なんでもありません」
「―――そう。大丈夫だと思うけど、念のために保健室で診てもらいなよ?」
俺はそう言い残し、体育館を後にした。
<つづく>


































