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いつだって僕らは 2-13  by 猫野 丸太丸

13.
 空港の巨大な構内には土産もの屋とか両替屋とか珍しいものがあったけれど、僕たちはわき目もふらずに到着の出口を探した。エスカレーターで上がったり降りたりしてそれっぽい階に出た。……広くて端が見渡せない。柵で区切られた狭いすき間から、スーツケースを持った旅行客がぞろぞろ出てきているのがそれだろうか。頭上の大画面には世界の都市名が、よく分からない順番で表示されていた。
「朝に着く飛行機だろ、もう着いたかな」
「手荷物を出しているところじゃねぇか」
 僕たちは出口前に仲良く並んで、見知った顔が出てくるのを待った。しばらくして篠塚が、かかとで僕を蹴る。
「なによ」
「あのおじさん、和久に」
 なにを? 篠塚がひじで指すほうを見ると、かっこいい背広を着たおじさんが僕と同じように、腕を組んで旅行客を見つめていた。ああ、和久「似」の人なのか。顔や雰囲気が、なにやら関係者っぽい。予感は的中し、そのおじさんが鋭い視線を向けると同時に和久が出てきたのだった。
 和久はまっすぐにおじさんのところに行って言葉をかわした。そして手荷物のいくつかを預けると――欧風っぽい、革の学生かばんだけをしっかり抱えて――僕らのほうへ来た。山下にも篠塚にも、ひとりひとりに話しかける。そして僕にも。
「来てくれてありがとう!」
「そりゃ来るよ! やったな、和久!」
 篠塚が後ろからタックルしたものだから、和久は三人に囲まれてもみくちゃになった。ひさびさに間近で見る和久の顔は本当にうれしそうではないか。和久に触れた僕の胸もむずむずして、期待と妄想でふくらんでいく。和久は意外と本気で薬を見つけてきたのかもしれない。
「よく空港でチェックされなかったよな。麻薬と間違えられなかったか……。あれ?」
 和久は僕の口を押さえた。そして背後の人物に振り返る。
「父さん。久しぶりに友達に会ったから、ここで話をしていっていいでしょうか」
「荷物を車に片づけてくれ、そのあとなら好きにするがいい」
 おじさんは僕らを一瞥した。山下のあたりでしばらく視線を止めて、すぐに自分の息子に向きなおった。
「どのくらいかかるんだ」
「電車でみんなといっしょに帰るから、先に車で戻っていてください」
「そうか」
 和久の父がうなずいたのが僕にとっては驚きだった。女の子姿の山下を見てもとやかく言わなかったし、理解のある父親というわけか。なるほど、子供を自由に海外留学させたりするわけだ。

 それはともかく、僕らは荷物運びを手伝った。できるだけ早くだ。そして和久の父親が先に帰るのを見送るやいなや、急いで空港内に戻る。邪魔の入らない形で本題を話しあいたいのだ。
 和久と前後して歩きながら僕は確信した。和久は革の学生かばんをしっかり両手で握っている。一度も手を離さなかった。なかに大事なものが入っているのだ――つまりTS薬だ。
 落ちついて話せるだろうということでファミリーレストラン風の食堂に入った。大きなテーブルで、長いすの中央に和久、そのまわりを取り囲む形でほかの者が座る。僕たちはメニューも開かずに和久を見つめた。
「コーヒーかなにか頼むべきだろう」
 そんなごまかしの言葉は通用しない。和久がなにかをしなければ、僕たちは動くことがない。和久はため息をついて、かばんをテーブルの上に置いた。
 メニュー以外なにも載っていないテーブルへ、かばんの中身が広げられる。英語の資料、英語のチケットの切れはし。そして細かい英語がびっしり書かれた、小さな四角い紙箱。
 何度も開けられたとおぼしきヘタレた紙箱を、和久の長い指が開いた。なかから出てきたのは不透明のプラスチック製の瓶だ。
 ああ、気を持たせるなあ!

 まるで風で飛ばないか心配しているみたいに、僕たちは薬瓶のまわりに身を寄せあった。すぐ目の前で、和久は慎重に蓋を外して、その蓋の裏側に中身を空ける。瓶から出てきたのは地味な緑灰色のカプセル……。四つ、ある。
「たったこれだけ?」
 山下が頓狂な声をあげたので篠塚がなだめた。和久が深刻な声で言う。
「そうさ、四つだ。これで十分な量だ。ひとりに一カプセル」
「ということは……、ひとつ飲んだら変身できるってこと?」
「そうだ」
「……すごい!」
 背中に冷たい感覚が走った。飲んだら女の子になってしまうカプセルだ。究極の。思わず言ってしまった。
「本物だってどうして分かったんだよ」
「現地で実際に変身した人を見てきた」
「そもそも現地ってどこなんだっけ?」
「インド」
「インド!? 失礼だけれど……、すごく怪しい!」
「今どきのインドは怪しくなんてないぞ、コンピューター技術もバイオテクノロジーも日本以上に進歩しているんだ」
 たしかに、まじないの薬というよりは普通の医薬品みたいな見た目だ。でも、でもだからといって変身TS薬が非現実的だということには変わりない。
 じつは幻覚薬で、変身したと勘違いするだけじゃないのか? 体験者という人に騙されたんじゃないのか? だいいち、そんなすごいTS薬があるならどうして世間のニュースで噂になっていないんだ? いろいろな考えが頭に浮かんだ。
 しかし僕は不信を言葉にするかわりに、となりにいる山下の顔を見ることを思い出した。
 山下は僕と肩の触れあう距離で、いま、夢のようなできごとに目を輝かせている。本当にうれしそうなんだ、僕たちにとっては山下のその気持ちのほうが現実(リアル)だ。否定の言葉で裏切るわけにいかない。
 いや、待て、待て、待て! 山下が大事だからこそ、危ないニセ薬は飲んだらダメじゃないか。そもそも、飲んだら女の子になれる薬だなんてファンタジーなものを見つめている高校生四人って、他人から見たら馬鹿みたいじゃないか? いろいろな考えが浮かんだ。
 そんな思いを見透かされたのだろう、和久がため息をついて言った。
「薬については説明したとおりだ。インドで買った。実際に女性化した人がいた。それ以上説明しても――、売ってくれたのが白衣を着た科学者だったとか、一カプセル十万円したとか、添付の説明書とか、いくら情報が増えても結局判断ははいっしょだろう? 自分が信じるか、信じないかだ」
 ひとつ十万円もしたのか。……ともかく、僕は熱い唾液を飲みこんで言い返した。
「それでもやっぱり薬が本物かは気になる。せめて毒じゃないか、とか」
 にらみ合う、僕と和久。ところが篠塚の太い腕が視界に割って入った。
「迷うより、さっさと飲んでみるってのはどうだ?」
 こんなときに本領を発揮するのが篠塚だ! 手を伸ばした篠塚、薬をつまむ……しかしその前に、和久が瓶ごと薬を遠ざけた。
「だめだ! 説明は最後まで聞け! この薬はな、……不可逆なんだ」
 心臓の音が四人同時に鳴った気がした。不可逆!?
「不可逆って、あの不可逆か」
「そうだ。一度女の子になったら二度ともとには戻れない」
 なんという組み合わせコンボだろう。ひとつぶで変身、女の子に、そのうえ不可逆だなんて、どこの小説だ? 漫画だ? 気が遠くなってふと目をそらしたら、店に新しい客が入ってくるところだった。
 僕の視線はレジ前のあたりをたゆたう。入ってきたのは南国帰りだろうか、原色の派手な服を着たグループだ。若い女子がショートパンツ姿で、日焼けしたふとももが惜しげもなく露出されている。ついていない。ひざもかわいい。Tシャツの下に胸があることは見間違えようもない。僕は拳を握りしめた。僕たちはあんな体になってしまうんだ。そして一生戻れないんだ。
 女子たちはなんの不自然さもなく僕の前を通り過ぎて、おたがいしゃべりながら窓際奥の席に行ってしまった。
「……とにかく! よく考える必要があるんだ」
 僕は和久の言葉でわれに返った。和久は旅行中に考えていたのだろう、注意説明をなめらかにしゃべる。
「飲んだら人生を変えてしまうんだからな。女として生きる覚悟を決めてから飲んだほうがいい」
 ほかの者が答えなかったので、僕はゆっくり口をはさむことができた。
「不可逆だったとしても、誰か一人が最初に飲んでみるのは意味があると思うよ。そしたらほかの三人の参考になるだろうし。……僕が飲んでみようか」
 僕の言葉は思ったより真剣に受けとめられたようだ。三人は沈黙した。そして最初に口を開いたのは、意外にも山下だった。山下は僕の袖を引っぱった。
「だめだよ! 一人だけ犠牲になるみたいな言い方、良くないよ。飲むなら四人いっしょがいいな」
 四人いっしょ。なぜかその言葉に、僕は今日いちばんどきっとした。四人いっしょに女の子。さっきの仲良し女子たちのようになる。和久や篠塚や、なにより山下といっしょに女の子。
 僕はいすにもたれかかって天井を向いた。
「ごめん、今薬を飲むのは止めるよ。そのかわり飲み物を頼んでいいかな?」

<つづく>

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抜けてた。

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楽しげな展開。

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おなじみKUKURIさんの作品。
…と言う事で山祢由依ちゃん、特攻&評価ヨロ。(11/26)

⇒即座に特攻してもらいました♪由依ちゃんありがとー。

聞きました

調子悪いのに紹介文に魅かれて聞いてしまいました。そんな訳であんまり喘ぎ声が出ませんでした。
毎度のことですがKUKURIさんの作品なので世界設定が凝っています。好き嫌いが多少分かれるところでしょうか。私的には前作、前々作よりは馴染めた気がしますが、これは出来がどうというよりは個々人の趣味趣向の違いでしょうね。
今作でもドラマパート、Hパートを好きなように組み合わせることができます。またそれ以外にHシーンでの指示の有無が選べます。具体的には「四つん這いになる」「うつ伏せになる」など。良い点だとも言えますが、フルパートで聞いてると結構体勢維持がきついです。
内容的には、今作は最後に出産シーンがあるので苦手な人は後半のHシーンを省く方が良いかもしれません。個人的には久々に催眠ドラマを、それもフルセット(2時間半くらい)で聞いたこともあり、内容も相まって疲れました。良い気分にはなれましたけれど。



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