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「夕立」(3) by.ありす

(3)-------------------------------------------------------

 きちんと髪を乾かすには、ドライヤーが必要だった。
 幸い部屋にはドレッサーが置いてあって、肌に塗る乳液のようなものもあった。
 ”お風呂上りには、必ずスキンケアをすること!”
 と、耳にタコが出来るほど言われていたので、銘柄が判らなくても、簡単にはしておくべきだと思って、手にとって腕や足、そして顔にも丁寧に塗った。

 それも終わると、こんな場所と状況に、つい余計なことにまで考えが及ぶ。
 よくあるドラマや、レディースコミックのような出来事が、起こるんだろうか?
 ここに入ったときから、そんな予感がしていた。

 いやいや、そんなバカな事があってたまるか!
 
 僕たちはほんの2ヶ月前まで、全くお互いを知らない他人同士、それに今は二人の体が入れ替わってしまっているんだぞ。
 例え中身は違うんだとはいえ、自分の体を相手にそんなことが出来るわけがない!

 けれど、正面の鏡を見ていると、つい幻惑されてしまう。
 人懐っこそうな目、小さな鼻、柔らかそうな唇、長い髪……。
 美人と言うよりも、かわいい感じの、他人にしか見えない自分の顔。
 
 もしこんな顔の女性と、こんな風にこんな場所で、こんな姿を見ていたなら、男ならばこんな絶好のチャンスを、逃したりはしないだろう……。

 駄目だ! 鏡なんか見ていちゃ!

 ドレッサーに背を向けて、髪を乾かし終わると、他にすることもないので、大きなベッドに腰掛け、イルカのぬいぐるみをもてあそんでいた。
 部屋にはテレビもあったしカラオケセットもあったけど、テレビはきっとエッチなビデオしか映らないだろうし、カラオケは一人でやっても仕方が無い。それに歌ったとしても、未だにまだ耳慣れない、彼女の声だ。
 エアコンの吹き出し口の下で、ゆらゆらと揺れる、ワンピースとTシャツとGパンに、……下着が目に入って思わず目をそらす。
 
 なんだか疲れて、ベッドにころんと仰向けに寝転がった。
 今日は朝から疲れることばかりだ。

 休日の朝8時に、彼女から携帯で呼び出され、待ち合わせに遅れそうになって、駅へ行った。慌てたせいか、彼女に身だしなみを咎められ、無理矢理ブティックに連れて行かれた。そして、さんざん着せ替え人形にされて、やっと解放されるかと思ったら、胸元と肩を大胆に出した薄いワンピースと、歩きにくいミュールを履かされた。そしてあちこち連れまわされた挙句に、カップル割で安いからと、興味のない映画を見せられ、その後はカップルばかりで居心地の悪いレストランで食事して、……なんだかこれって、デート見たいじゃん。
 一体何がしたくて、僕を呼び出したんだよ。
 ふうっ、とため息をついて横を向くと、壁の一部に天井から床に届くほどの大きなカーテンが下がっていた。

 「あれ? あっちの方向って、窓側の壁じゃないよね……?」

 カーテンの向こうに何があるのかと、不思議に思ってめくった。
 そこには自分の姿があった。

 “やった! 元に戻っている!”

 思わずそう叫びそうになったけれど、すぐに違和感に気づいた。
 鏡の向こうの僕は裸で、目を閉じてシャワーを浴びている。
 けれど、鏡のこちら側にいる彼女はバスローブを着ていて……、それに向こう側の僕とは全然違う動きをしている。
 
 これは鏡なんかじゃない!

 そして、思い出す。
 さっきシャワーを浴びていた時、目の前には全身が映るほどの、大きな鏡があった。

 まさか、マジックミラー?

 僕は慌てて後ろ手にカーテンを閉じる。
 彼女は僕が覗いてしまったことに、気がついただろうか?
 まさかこの浴室のトリックに、気づいてなんかいないよね……。
 僕は、誰にも見られていないと思う安心感から、バスルームの中では無防備だった。
 だから、鏡に映る自分の姿にだけ、目を塞いでいればよかった。
 けれど、もし、彼女がこのカーテンで隠された秘密に、気づいていたなら……。

 バスルームの扉が開く音が聞こえて、僕は慌ててベッドに戻った。

「ふぅ、さっぱりした……」

 バスタオルで頭を拭きながら、バスローブ姿の彼女が出てきた。

 ぼすん! と僕の隣に腰掛けて、言った。

「湯冷めしてない? エアコン、冷えすぎていないかな?」

 そう言って、僕の肩に触れた。
 (ち、近いよぉ……)
 僕は思わず、身をすくめて縮こまった。

「心外だなぁ、何か嫌われることでも……。そうか、気がついちゃったか」

 何の事かとふと見ると、さっき覗いていたカーテンの裾が乱れて、少しめくれてしまっていた。もちろん僕が慌てて締めて、よく確かめもしなかったからだ。
 しばらく続いた沈黙を破ったのは彼女の方だった。

「“綺麗だ”……と、思ったよ。自分の裸だったのにね。今は他人の体だと思うと、興奮もした」
「こ、興奮って……」
「興味ないの?」
「きょ、興味って、な、何が……」

 彼女が覆いかぶさるかのように僕に迫り、僕は後退るように身をそらした。

「もちろん、セックスさ」

 彼女の視線が少し鋭くなるのを感じて、怖くなった。

「だ、だって、今はこんな……」
「こんなだからさ。興味がない筈、ないよね?」

 そう言って、鼻の先同士が触れるほどに顔を近づけた。
 僕はさらに彼女から逃れようとしたけれど、思うように体を動かせなくて、ベッドの上に仰向けに倒れてしまった。

「そんなに怖がらないで。優しくするから」
「で、でも……」

 自分相手にそんなことが出来るのかと問おうとしたけれど、彼女は僕の両側に手を突いて、覆いかぶさるようにまたがり、口はキスで塞がれてしまった。

 彼女とのはじめてのキス。
 いや、彼女の体での、自分とのキス。

「んんっ、や、やめてよっ!」
「ごめん、もう、我慢できない」

 そういって、バスローブの中に手を入れてきた。
 素肌に直接触れられることが怖くなって、悲鳴を上げようとしたが、それは再びキスで封じられてしまった。
 有無を言わせなくするための、強引なキス。
 自分の身に起きていることが信じられなかった。
 ただただ気が動転して、ほとんど何の抵抗も出来なかった。
 彼女の手を振り払おうとしたけれど、力では全然かなわなくて、バスローブの前は完全にはだけられてしまっていた。
 膨らんだ乳房を揉まれ、間接的にしか触れたことの無かった、下腹部の敏感な部分を直接指でなぞられた。
 手で防ごうとしたけれど、力では全くかなわなくて、強引にねじ伏せられてしまっていた。
 混乱する思考の中に、恐怖と快感がない交ぜになった感覚が強引に割り込んで、僕を押しつぶしていった。
 頭がぼうっとなり、体が熱く感じ始めていた。
 こんな体験は初めてだった。
 どこからか、痴情を含んだ甘ったるい声が漏れていた。
 それが自分の呼吸とぴったり合った、途切れ途切れだと気付き、もっと恥ずかしくなった。

<つづく>

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