FC2ブログ

Latest Entries

呼び声(仮) 後編 by.名無しの権兵衛

前編はこちら

morimotosenakara-_20140312000301405.jpg
キャライメージ:佐藤黒音

4日目

 結局、良い病院は見つからなかった。強いて挙げれば大学病院へ行くしか選択肢はないようだが、最寄の大学病院まではかなり遠い。
 といよりもだ。結局、何科が良いのかわからなかった。体が縮み、筋肉が急激に衰え、顔立ちが女顔に変わる。こんな症状聞いたこともないし、調べても出てこなかった。
 昨日は筋肉痛で無茶をしたこともあって、筋トレはサボってしまった。今日こそはちゃんとしてから用事を始めよう。
 俺はそう思いながら、上半身をおこした。

「……」

 言葉が出なかった。ぶかぶかになったパジャマの胸の部分だけが大きく膨らんでいる。
 俺は大きく深呼吸をすると、手では蔽いきれないほどの柔らかなふくらみが、そこにはあった。
 俺はベッドから飛び降りるとズボンを一気に脱ぎ、パンツを抜いた。下を見ても胸が邪魔で見えない。既に触ってみた感触から結果はわかっていたが、俺は携帯で写真を撮ってみてみると――俺にあるはずのものがなく、ないはずのものがあった。

 ――俺の体は、女になっていた。

 この状態で病院へ行って症状を訴えたところで信じてもらえるのだろうか。元から女だったと言われるだけなのではないだろうか。
 というより保険証は使えるのだろうか。他人として扱われたら、使えないはずだ。

「せっちゃんいる――って、あなた誰!?」

 突然、玄関ドアが開くと彼女が部屋に入ってきた。

 ――やっかいなことになった。

 俺は必死に彼女にこれまでの経緯を説明し、思い出話をいくつも話し、何時間もかけて自分が守本瀬奈本人だと信じてもらうのだった。

「はい、これ」
「あ、ありがとう」

 俺は彼女に渡された紙袋の中を見て、ため息をついた。中には女物の下着とワンピースが入っていた。

「私のじゃ、胸のサイズ合わないから……ごめんね、これでもきついかも」
「き、気にするな」

 容姿も声も、何もかもが変わってしまったのに信じてくれた。それを考えればこれくらいどってことはない。
 俺は恥ずかしさをこらえてそれらを身につけ、彼女の前に立った。

「やっぱり、胸のところきつそうね――これから買いに行く?」
「やめてくれ」
「だけど、いつまでもブラなしじゃ大変だよ。その大きさじゃ、肩もこるだろうし」

 彼女はうらやましそうな眼で俺の胸を見た。何が悲しくて彼女に胸の大きさを嫉妬されないといけないのだと思いながら、俺は彼女と今後について話し合うのだった。
 夜まで話し合った結果、変化がおさまるまで待とうという話になった。服や下着を買ってもこの先まだこれらが変化しないとも限らない。だから、様子を見よう。
 俺の部屋に泊まると言い張る彼女を家に帰すと、俺は軽く筋トレをして床に就いた。

5日目

 目が覚め、体を起こすと頭が重たかった。背中のあたりも何かごわついていて、いつもと感覚が違う。
 今日は髪か、と俺は見るまでもなく察した。髪の毛ならば、昨日彼女に借りた服を着て床屋へ行けば解決するだろう。

 ――いや、無理か。

 すぐに俺は考えを改めた。今の自分は女の子にしか見えないのだ。だから床屋へ行っても、確実に『女の子の髪型』にされてしまう。
 それは避けたかった。
 こうなれば自分で切るしかないと思うが、うまく切る自信がない。見るも無残な髪型になってしまったら、それこそ悲惨だ。
 彼女は講義が終わったらすぐに来ると言っていた。俺は彼女との約束通り自分の顔写真を一つと全身写真を一つ撮ると、彼女にメールで送った。
 結局彼女は俺に髪を切ることは許さず、ヘアバンドを一個くれただけだった。髪を切るにしても変化が終わってから――下手に触らない方がいい。
 彼女は羨ましそうに俺の髪を見ながらそう言って自分の家へと帰っていった。

6日目

 朝起きると、寝巻きがぴったりだった。だが、寝巻きも変わっていた。
 花柄のピンク色の可愛らしいもので、もちろん買った記憶などない。俺はベッドから降りてクローゼットを開けた瞬間、眼を丸くした。
 クローゼットの中には、様々なスカートにブラウスにワンピースと女物の服が並んでいた。そしてなぜか黒色のセーラー服がかかっていた。

「瀬奈! いつまで寝てるの! 早く起きなさい!」

 声がして、俺はぎょっとした。俺が今住んでいるのはアパートだ。もちろん一人暮らしで、声をかけてくる人なんていない。
 しかも、この声には嫌というほど聞きおぼえがある。実家のお袋だ。

 ――まさか……

 俺はごくりと唾を飲むと、カーテンを開けた。窓の外には懐かしい実家の自室から見える景色が広がっていた。
 彼女に連絡をしなければ――彼女?
 携帯電話を手にしたまま、俺は固まった。
 彼女は、何と言う苗字だっただろう。彼女は、何と言う名前だっただろう。彼女は――どんな姿だったろう。
 思い出せない。連絡先も何もかもが、思い出せない。

「瀬奈! 休みだからって、いつまで寝ているの――あら、起きてたの。なら、速く着替えてご飯をすませちゃいなさい」
「は、はい」

 俺は適当な服を着てリビングへ向かった。味噌汁に焼き魚に卵焼きと久しぶりにしっかりとした懐かしいメニューの朝食を食べると、俺は勉強をすると言って部屋にこもった。
 本棚にある本も、しっかりと高校の物に変わっていた。今の俺はどうやら高校2年生らしい。

 ――怖い。

 明日、俺はどうなってしまうのだろうか。
 姿も、周囲の記憶も、一部俺の記憶も変えられてしまった。俺の身に一体何が起こっているんだ。俺はいったい何をしたんだ。
 俺は机に向かい、ノートにここ最近あったことを片端から書き出した。だが特に何もなかったことしかわからなかった。
 変化が始まる前にあった特別なことと言えば、強いて挙げれば彼女とB級ホラー映画を見に行ったくらいだ。かなり怖くて彼女は涙目になっていたが、俺は見栄を張って馬鹿にしていた。
 まさかこれが原因なわけはない。
 俺は夜になるまでずっと原因と解決法を考え続けたが、結局何も浮かばなかった。
 その日の夕食はちょっとだけ豪勢だった。勉強すると言う言葉を真に受けたためだろう。どうやらこの俺も、あまり勉強はするやつではないらしい。
 妙な親近感を覚えながら俺は食事をすませ、烏の行水で風呂をすませ、布団の中で震えながら眠りに就いた。

最終日

「……よし」

 鏡の中にはセーラー服姿の美少女がいる。もう姿を思い出すこともできない彼女には悪いが、男の俺が街で見たら絶対に声をかけるだろう。
 今日は月曜日だ。大学と違って自主休講などできるわけがなく、また両親がずる休みなど許すわけもない。
 俺は恥ずかしいの我慢して着替えた制服姿で、学校鞄を両手で持ち、家を出た。

 ――そういえば、あの映画もこんなシーンから始まったな。

 制服もこんな感じの袖口に白いラインのある古い感じのセーラー服だった。映画では確か登校中にナイフを持った全身タイツのあやしい男が現れて……

 ――目の前に、全身タイツの男がナイフを持って立っていた。

 ……いきなり主人公を切りつけるところから始まるんだった、よな?

 そう思っていると、男がナイフで切りつけてきた。しかも一度や二度ではなく、何度も、何度も切りつけてきた。
 避けそびれるたびに、服が避け肌が露出する。映画の主人公も確かそうだった。それで確かあのときは――

「き、キャー!」

 俺は腹の底から悲鳴をあげた。映画の女の子と同じように、大きな悲鳴をあげた。

 ――ふふふ、本当に大したことないかしらね……

「だ、誰だ!」

 ――あのとき、あなたが私を、私たちを馬鹿にしたように言ったのが本当なら耐えてみなさい。もしも耐え切ったら、そのときは戻してあげる。

「ヨクモ、オレタチヲバカニシタナ。ホントウニオレガデオチノザコカ、ミヲモッテアジワウガイイ!」

 映画にはなかったセリフを叫ぶと、男は全力で俺を追いかけてきた。
 俺は理解した。信じられないが、これは映画の復讐なのだ。
 次々と変質者に追われ、助けてくれたと思ったら実はそいつが変質者の正体でという恐怖映画。出てくる変質者は全部で5人。

 ――本当に、最後まで逃げ切れたら戻してあげる。だけどもし捕まったら……

『ずっと、私たちと遊びましょう!』

 底冷えするような声を聞きながら、俺は必死に逃げるのだった。


終わり

03/12のツイートまとめ

amulai

RT @cement_mask: 小保方さん「どうして?STAP細胞があれば無限の生命が手に入る!いつまでも美しく、恒久の人生を謳歌できるのよ!?」共同研究者たち「この技術を利用するには、人間は未だ愚かすぎる…わかってほしい」小保方さん「…そう。なら私は、自分の望む者と新世…
03-12 23:45

成功した経営者さんが適当にしゃべくった内容を、上手にゴーストライターさんがまとめた本の内容の上っ面を鵜呑みにするのは危険ですよな。
03-12 23:44

RT @atter0123: お金より大事なものがある、それは人脈だ って沢山の経営者の本に書かれていたから人脈をとにかく追い求めたんだけど
03-12 23:39

RT @mika_TSF: 大学の立地は経済面を考えるとすごく重要ですよ?
03-12 23:37

RT @mika_TSF: 仮面浪人とか経済感覚の無い子供の発想だと思う
03-12 23:37

RT @F_TSF: イケメンな主人公の彼女が魔法的なMCでオタク男のメス奴隷にされて、主人公と彼女が付き合っていた過去をなかった事にするために、主人公が女の子だったと現実が書き換えられて、さらに主人公が男の記憶をもったままクラスの性欲処理係にされるような話が読みたい
03-12 23:25

今週のイラスト企画はあまつ凛さんに愛玩人形の姿に帰られた貴族男子を描いて頂きました♪http://t.co/XdFQ8rNyFpSSを思いつかれた方は投稿よろしくです♪ http://t.co/m54ZPrKir7
03-12 22:53

@atter0123  肝心のキミの年が入っていないのでは?
03-12 22:37

RT @tsgame: 『ショタモルフォーゼ』少し前のフリ―ゲームですが初めてプレイしたので。成長して青年になってしまったショタっ子を元に戻すゲーム。アイテムの組み合わせで青年が美少女になりある種のハッピーエンド。1プレイ5分程度なのでサクっと楽しめました。http://t.…
03-12 22:23

不完全な女体化。さて、どういう風に不完全か?
03-12 19:55

全文を表示 »

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2014-03