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俳優人生 (6) By A.I.
友和は一人で街をぶらついていた。特に目的があったわけではない。アパートに栄作と一緒にいると、気持ちが落ち着かないのだ。
「手を出してしまいそうだ」
栄作のパンツ姿を思い出して、友和は深い溜息を吐く。
明け方に目覚めて隣を見ると、何かの拍子に栄作のパジャマのズボンが脱げていた。清潔感のある白いショーツが見える。丸みを帯びた柔らかそうな尻が、白い布地に密着していた。本来ならおかしいはずなのに、似つかわしい姿だった。むしろ男物のパジャマの方が釣り合ってない。
「股間の膨らみも小さかったな」
ショーツのクロッチはなだらかに盛り上がっているだけで、男性器の存在はほとんど感じられない。ぴったりと股間に密着しているのに、玉袋がないようだった。男だと知っていなければ、股間の突起物には気づかないだろう。
「謎だ」
友和は何度目になるかわからない溜息を吐いた。劇場で栄作は女子トイレを使っていたが、誰も苦情を言わなかった。仲間の女性すら気にしていない。むしろ一緒にトイレに行く姿も見られた。
栄作が女装姿を始めてから、劇団員の様子がおかしくなった。誰も栄作の姿に疑問を持っていない。それどころか女性に対するような態度だった。どうも歯車が狂っているような気がする。
「いくら女装姿が綺麗だからって、男なのになぁ。みんな、何を勘違いしているんだ」
妙な疎外感を味わうようになって、友和は居場所がない気分だった。誰にも相談できないというのはきつい。
「栄作は頑張っているのになぁ。俺は努力を認められないのか」
女装の演技について評価はしているつもりだが、内心では素直な感情を出せてないのかもしれない。最近では栄作を避けるようになっていた。これではいけない。
「どんな風でも可愛い後輩だからな。たまにはプレゼントでもやるか」
栄作は腕時計をしていないので、たまに不便にしていることがあった。演技や台詞の練習をする時に腕時計はあった方が、時間を意識した行動が取れるようになるだろう。
「どれがいいかな」
時計店に入った友和は意識しないで女性用を探していた。
「これなんか栄作の白い肌に映えそうだ」
選んだのは鮮やかな赤い革ベルトのシンプルな時計だった。これなら栄作の容姿に相応しいだろう。
「あっ!」
プレゼント用にピンクの包装紙に梱包してもらって店を出てから、友和は重大なことに気づいた。栄作の女らしさに磨きがかかっているので、ついつい女性用を買ってしまった。返品を考えたが、似合うのは確かだろう。
「うーん、栄作の腕は細いから、男性用だと合わないよなぁ」
女装の演技に熱中しているようなので、腕時計だって女性用で構わないだろう。男性用の腕時計をしている姿は思い浮かばなかった。
アパートに帰ってきた友和は、玄関の扉を開けようとして手を止めた。扉を引いた隙間から女の喘ぎ声が漏れている。行為に没頭しているようで、友和に気づいた様子はない。
「栄作が女でも連れこんだのか?」
決まりが悪くなって、静かに扉を閉める。栄作だって健全な青年だ。欲望を持て余すことだってあるだろう。友和がいない隙を狙って、女を呼んでも不思議ではない。
「女に興味があるなら安心したな。栄作の相手はどんな女だろう?」
悪趣味とは思ったが、場所の提供代金だ。覗かせてもらおう。一階のベランダに回って、友和は窓から覗いてみた。カーテンの隙間から目を凝らす。
「女が一人だけ?」
自慰に耽っている女の影が見えた。部屋を間違えたかと思ったが、見覚えのある私物が置いてある。窓が薄いので、嬌声が筒抜けだった。女の艶やかな声は、他人のようにも身内のようにも聞こえる。記憶にはないが、聞き覚えはあった。
「あの顔は、栄作だよな?」
友和は窓を通して見ることで、栄作の姿を冷静に観察していた。快感に悶えて蕩けた後輩の表情は、知らない女の顔に思える。面影は残しているというのに、可愛らしい顔立ちだった。十分に美女で通用する顔だと思う。
「近くで声を聞いていると、おかしな気分になりそうだ」
可憐な唇が震えて、淫らな声が流れている。男の欲情を揺さぶる悩ましい声だ。裏声で出せるような不自然な声質ではない。演技で鍛えられた声量は、友和の鼓膜を貫通していた。とても栄作が放つ声とは思えない。
「……あれは作り物なのか?」
栄作の胸板は柔らかいとは思ったが、林檎のように丸く膨らんではいなかった。繊細な指に揉まれて、たわわに実った果実が揺れている。熟れた白桃のように美味しそうで、作り物とは思えない艶があった。
「ない、ある? 肝心なところが見えないな」
友和は食い入るように見つめたが、股間の様子はしっかり確認できない。栄作は股座に指を入れていたが、小さいながらもペニスはあるようだ。女装が高じて、女みたいな自慰を楽しんでいるのかもしれない。個人の趣味は自由だが、あまり羽目を外して欲しくはなかった。
「やっぱりペニスを握って振っているよなぁ」
女のように振る舞っていても、栄作は最後にペニスで達していた。自慰が終わって疲れたのか、なかなか動こうとはしない。
「少し時間を潰してくるか」
後始末が終わる前に帰宅したら、お互い気まずいだろう。それに勃起した股間は鎮めておきたい。友和は散歩をしてからアパートに戻った。
散歩を終えてから部屋に入ると、昼食の美味しそうな匂いがしていた。
「ただいま」
「おかえりなさい。そろそろ昼食の準備ができますよ。机で待っていてください」
「……ああ」
栄作はきちんと身支度を整えていた。ブラウスや髪が乱れた様子もない。まるで友和が白昼夢でも見ていたように、行為の痕跡は残ってなかった。
「まだ悩ましい匂いが残っている気がするな」
昼食の匂いで誤魔化されていたが、淫靡な匂いが鼻を掠めていった。栄作がいた床を注意して見ると、薄っすらと染みが残っている。乾いて色は薄くなっていたが、染みの範囲は手くらいの大きさがあった。かなり情欲を吐き出したらしい。
「どうぞ」
「……うん」
栄作が昼食を用意してくれたので、友和はそぞろな気持ちで箸を取った。風に当たって頭を冷やしたつもりだが、まだ火種は燻っているようだ。
「先輩、どうかしましたか?」
「い、いや、栄作の演技は真に迫ってきたと思っていたのさ」
友和の不審な態度に栄作が疑問を投げかけてきた。嘘にならないように友和は答える。実際に舞台でも生活においても、栄作の女装と動作は女そのものだ。
「はい、ありがとうございます」
「その努力を認めてプレゼントを渡すよ」
友和の返事に栄作は納得してない顔だった。言い繕うように友和はピンクの箱を見せる。
「うわぁっ!」
思わぬプレゼントに栄作の顔が輝いた。どうやら誤魔化せたようだ。
「開けてもいいですか?」
「構わないぞ」
「凄く素敵な腕時計ですね。大切にしますよ」
腕時計を巻いた栄作は、左腕を目の前に掲げていた。嬉しそうに表情を綻ばせている。惚れ惚れするような眩しい笑顔に、友和は見惚れていた。買って正解だったと思う。
「おいおい、重いぞ」
「もう、先輩ったら。失礼ですよ」
感極まって栄作が友和に飛びついてきた。栄作に勢いはあったが、友和は胸で受け止める。思っていたよりも栄作の体は軽かった。押しつけられた胸の膨らみが重く感じたのだ。栄作を引き離すには、理性の力を総動員する必要があった。
<つづく>
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03/22のツイートまとめ
- amulai
RT @reuna00: 主人公はんでしまい主人公のことが好きな女子が蘇生魔法を使うが気がつくと主人公はその女子になっていた
03-22 18:05漫画原作なかなか終わらねーwこれはいつもより長いぞ、製作費給料2か月分飛ぶかもw
03-22 15:30RT @yamamamax: 泣きながら玉子焼食べてる人「えっぐ…えっぐ…えっぐ…」
03-22 15:27れいさんは催眠術に掛かりやすすぎて可愛いな。
03-22 15:26RT @abubu_nounanka: 好きなように描く!好きなように殺す!それだけよーっ!!
03-22 15:23RT @aonohito38: 黒杏子ちゃん http://t.co/vK7HNaB7tf
03-22 15:20RT @kuina_ch: ちなみに くいなちゃんは、経済学、金融工学など、金銭に関わる学問をお勉強した末、アフィリエイト、株、FX など一通り体験しましたが、結局最終的には、某大手ホワイト企業で働くことを選択している可能性があります。
03-22 14:32RT @ranoiaru: 昨夜の催眠音声想い出したら意識が遠のいて、いつのまにか寝てた
03-22 14:30@F_TSF さんれんきゅうだからでは?
03-22 13:07RT @kenzi_tsf: TS内燃機、絵とお話更新/トッカエバー・外伝http://t.co/6LbbyuOV2W
03-22 12:45
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