Latest Entries
子供の神様 (13) by.アイニス
喫茶店を出て水咲が向かったのは、デパートにある雑貨屋だった。ここで部活に必要な物を買うらしい。布を中心として小物を見て回っていた。
「ミサキチは何の部活だっけ?」
「手芸部だよ。人数は少ないけどね。その分、何を作っても自由かな」
「へぇ、何を作るんだ?」
「今度は人形を作ろうかなと思っているよ」
「ミサキチは手先が器用だなぁ」
「あたしなんてまだまだ。それに慣れれば誰でも作れるよ」
「ほぅ、良い機会ではないか」
伍良と水咲の話を聞いていた瑞穂は、途中で口を挟んできた。名案を閃いたようで、威張った顔をしている。
「何が?」
不思議そうな顔をしたら、瑞穂に脛を蹴られた。伍良は痛みに黙る。
「水咲に教えてもらったらどうだ。実はな、内心では伍良は雑貨や小物作りに興味があるのじゃ。もっとも、周りから男勝りと見られていたから、なかなか言い出せなかったのだ」
瑞穂の作り話に伍良は戸惑う。神様が嘘を言ってもいいのだろうか。何を言い出すかと思ったが、奉納品の修理をするために手先を鍛えろということなのだろう。
「そうなの? 伍良君が手芸部に入ってくれたら嬉しいけど、サッカー部だったよね?」
水咲が意外そうな顔をする。
「い、いや」
心の準備をしてなかったので、返事に困ってしまった。話を作るなら、前もって教えて欲しい。必死に頭を回転させる羽目になった。
「お、俺がサッカー部のわけがないだろ。うちには女子サッカー部はないよ」
部活に入ってないことになっているはずだが、サッカー部の所属を否定すると声が震えた。自分自身の存在を否定した気分だ。
「あれ、そうだよね。どうして勘違いしたのかなぁ」
「俺は球技も好きだから、ミサキチは運動部だと思ったかもしれないな」
「う、うん、そうだね」
水咲は顔に疑問を浮かべていたが、どうにか理由をつけて納得させた。冷や冷やしっぱなしだ。
「瑞穂の言う通り、興味があるのは確かだからさ。手芸部の活動を今度見学させてくれよ。それから判断してもいいか?」
「もちろんだよ。楽しみだなぁ」
「まだ入ると決まったわけじゃないぞ」
伍良は念押ししたが、水咲は嬉しそうな顔を崩さない。運動以外には興味がなかったので、参ったなぁと思う。瑞穂は小賢しそうな顔で鼻を高くしていたので腹立たしい。ただ瑞穂の作戦に乗るようで癪だったが、何らかの手段で手先の訓練は必要だろう。修理の目途がつかなければ、伍良は元には戻れない。
「気に入った柄の布が見つかったよ。気合が入るね」
「良かったな」
水咲が雑貨屋で必要な道具を買い終わったのでデパートを出る。
「……ううっ、この姿で歩くのか」
歩道に出ると、伍良は足が竦む気がした。週末ということで人通りが多い。恥ずかしい姿を衆目に晒すかと思うと、人目が気になって仕方なかった。
「それじゃあたしの家に行こうか」
「う、うん」
笑顔の水咲が伍良の手を握ってくる。早く自宅に帰って服を脱ぎたかったが、断れるような雰囲気ではなかった。伍良はスカートの裾を押さえて、下を向きながら歩いた。
「あたしの部屋には今まで作った小物が飾ってあるよ。瑞穂ちゃんに見せるね」
「それは楽しみじゃ」
二人は仲良く喋っているが、伍良は変に緊張して余裕がない。大通りから出るまで、体が硬いままだった。人の姿が見えなくなると、ようやく肩から力が抜けた。
途中で銭湯に立ち寄って、借りていた浴衣を返す。銭湯を通り過ぎると、水咲の家はあと少しだ。
「そういえば近所なのに、伍良君があたしの家に来たことはないね」
「俺は外で遊ぶのが好きだったからな」
それに性別の違いがあったので、女子と遊ぶ機会は少なかった。男同士で遊ぶのが楽しくて、女子とは積極的に関わらなかったように思う。
「女の子の家に招かれるのは初めてかもしれないな」
「意外だよ。伍良君は陽気だから友達が多そうなのになぁ」
「男友達は多いけど、女子の友人は少ないよ。ミサキチに会えて今日は助かった」
「あたしも楽しかったからおあいこだよ」
水咲の表情は明るい。今日だけでかなり水咲とは仲良くなった気がする。これだけは女になって良かった点かもしれない。
「さっ、上がって」
「お邪魔します」
「失礼するぞ」
水咲の家に到着して、二階の部屋に向かう。思春期を迎えてから女の子の部屋に入るのは初めてなので、伍良はちょっとドキドキしていた。
「散髪の用意をしてくるから、気楽にしていてね」
「悪いな」
丸いクッションを差し出すと、水咲は部屋から出ていった。室内は明るい雰囲気でまとめられている。小物や人形があちこちに飾られているが、綺麗に整頓された印象を受けた。
「尻の座りがいまいちだなぁ」
胡坐をかいてクッションに座ったが、妙に柔らかくて座り心地が悪い。尻をもじもじとさせながら、伍良は室内を観察していた。水咲が使っているベッドを見ると、何となく気持ちが騒ぐ。薄い生地のネグリジェが布団の上に置かれていて、ドキドキしてしまった。
「これが水咲の作った人形だろうな。一生懸命だった念を感じるぞ」
瑞穂は部屋に置かれた小物を見て回っている。職人が作ったような立派な物の中にも、水咲の手作りが混じっていた。伍良には全く見分けがつかないが、瑞穂には物に込められた心でわかるらしい。
「お待たせ」
「水咲の作った人形を見せてもらった。なかなかの腕ではないか」
「そ、そうかな」
散髪道具を用意した水咲が戻ってくると、瑞穂は人形についての感想を述べた。いきなり褒められた水咲は、照れ臭そうに頬を赤らめている。
「うむ、このクマの人形は特に可愛らしいと思ったぞ」
「今まで作った中では一番気合を入れた作品だよ。でも、あたしが作ったと良くわかったね」
「水咲の想いが伝わってくるからな。見ればわかるぞ」
「そんなことを言われたのは初めてだよ」
驚いた顔をしながらも、水咲は嬉しそうに微笑んでいる。本当に小物作りが好きなようだ。
「よし、頑張ってカットするね」
「おおっ、どんな風になるか楽しみじゃ」
褒められた水咲は気合が入っていた。ヘアエプロンを瑞穂の首に巻くと、髪をクシで梳かし始める。髪の量が多いにも関わらず、クシは滑らかに動いていた。
「瑞穂ちゃんの髪は絹みたいな手触りだね。サラサラで光沢があるよ」
「今日はきっちり風呂に入ったからな。久しぶりに汚れを落とせてすっきりしたぞ」
「そ、そうなんだ」
瑞穂が虐待でも受けているかと思って、水咲は動揺していた。笑顔だった顔が悲しみに曇る。
「ご両親はあまりお風呂には入れてくれないの?」
「風呂なんてものはないからな。雨が降った時に体を洗うことにしておるぞ」
瑞穂は平然と話しているのだが、水咲は目元が潤んで泣きそうだった。貧しい家庭だと思ったらしい。
「それに両親などおらぬ。妹がいるだけじゃ。その妹とも長い間会ってはおらん」
「うわぁぁん、瑞穂ちゃん、あたしを頼ってくれていいからね」
涙腺が崩壊した水咲は、瑞穂を後ろから抱き締めた。確かに話を聞く限りにおいては、伍良も壮絶な状況だとは思う。神様という点を除けばだが。
「心配しなくても、妾のことを覚えていてくれれば十分じゃ」
「もちろんだよ。友達のことは忘れないから」
「礼を言うぞ」
泣き顔をした水咲に抱きつかれて、瑞穂は困った顔で笑っている。だが、水咲の思いやりには感謝しているようだった。
01/09のツイートまとめ
amulai
RT @jidaraku_tengu: TSFのFのほん その1 - 同人ダウンロード - DMM.R18 http://t.co/IwynNUgICnTSF好きなら見なきゃ損だゾ。でもエロ有だからアンダーセブンティーンは表紙だけで我慢しよう
01-09 23:56RT @OshimaTakeyasu: 『TSFのFのほん その1』待望のDL販売開始で即購入! しかも今だけ20%オフでありがたい http://t.co/3BkAynzTTe
01-09 23:4796/179本。良い売れ行き。
01-09 23:45@amulai 6位だ!
01-09 23:1585/142本。
01-09 22:41TSFのFのほん その1http://t.co/CQYgpagtA4取りあえず、24時間ランキング7位だ! http://t.co/ZKxmqypN6M
01-09 21:4271/117本。
01-09 21:3650/92本
01-09 20:25@F_TSF ライバルを殺してから回収する大資本バックのビジネススタイルと思われ。
01-09 20:05@F_TSF ダイレクト;302円×35本 カテゴリ;86円×5本。
01-09 20:04