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子供の神様 (15) by.アイニス

(15)

「瑞穂ちゃんにはウサギの人形をプレゼントするね」
 帰る頃になって、水咲は瑞穂にウサギの人形を手渡そうとしていた。手の平サイズの大きさで愛嬌のある顔をしている。見ていると微笑ましくなる人形だ。
「気持ちは嬉しいぞ。だが、水咲が精魂込めて作ったものを受け取るのは申し訳ない」
 誰でも気に入りそうな人形だが、瑞穂は遠慮して受け取らなかった。食い意地が張って図々しそうな瑞穂だが、一応は神様なので人形に宿る想いがわかるらしい。
「瑞穂ちゃんが可愛がってくれるならこの子も喜ぶから受け取ってよ」
「う、うむ、そうか。では、礼を言うぞ」
 瑞穂は断ろうとしたが、結局は水咲の笑顔に負けていた。瑞穂は目を細めて手に乗せたウサギの人形を見ている。口には微笑みが浮かんでいた。

「色々と手伝ってくれてありがとな。ミサキチが助けてくれなければ、服選びで困ったよ」
「世話になったな。今日は本当に楽しかったぞ」
 伍良が帰る時には、水咲は玄関まで見送ってくれた。瑞穂は別れを惜しみながら、ウサギの人形を持った手を振っている。
「あたしも小物作りのアイデアで煮詰まっていたから、いい気分転換になったよ。来週は手芸部の活動を見せるね」
「よろしく頼むよ」
「瑞穂ちゃんもまたね」
「そうじゃな。また会おう」
 姿が見えなくなるまで、水咲は玄関前で見送ってくれた。瑞穂は何度も後ろを振り返って、水咲に向かって手を振っていた。
 水咲の姿が見えなくなると、伍良は体から力を抜いて疲れた顔をする。頭に手を伸ばしては引っ込めた。リボンを解きたくなるが、脳裏に水咲の笑顔が残っている。悶えそうになる衝動と戦いながら歩いていた。
「それじゃ神社に行くか」
 夕方までまだ時間があったが、今日はもう疲れ果てている。瑞穂を送り返して、布団に潜りたい気分だ。
「うむ、もう少し人の暮らしを見たかったが、神社を長く留守にしては不用心じゃからな」
「盗むものなんてないけどなぁ」
「うるさいわ」
 鍵をかけてないとはいえ、ボロボロの神社に盗人が入るとは思わない。価値のありそうな物は全くないのだ。
「水咲はいい娘だったのぉ。伍良が男に戻りたい理由の一つは、水咲が気になるからか?」
「うえっ、唐突だなぁ。それはないよ。今までの付き合いも浅かったからね」
「そうか。単なる友人にしては、水咲はかなり親切だったと思うぞ。もしかしたらと思ったのじゃ」
「俺には好きな女の子はいないよ。サッカーボールが恋人だな」
 ちょっと格好をつけて、サッカーに対する情熱を口にする。早く男に戻って練習をしたかった。
「なるほど。女よりも男と汗を流すのが好きなわけか」
「……語弊を招く言い方だな。俺は女の子にちゃんと興味はあるよ」
「そういうことにしておこうか。どんな汗を流そうとも、伍良の自由じゃからな」
「怖くなるようなことを言うなよ」
 面白がった顔をしているので冗談だと思うが、背筋が寒くなりそうだ。
「伍良が女としての幸せを望むなら、妾の加護を与えても良いと思ったぞ。恩には報いねばならないからな」
「いやいや、俺はこのまま女でいる気はないって」
「わかっておる。そうだな、伍良の父の傷を癒してやろう」
「うっ、力の無駄遣いは困るけど、それは頼みたいなぁ」
 足を骨折した父親は、日常生活にも支障が生じていた。仕事ができないので、鬱憤が溜まっているようだ。父親が退屈そうにしているのはあまり見たくない。早く骨折が完治して欲しいと願うのは息子として当然だ。
「安心せよ。人の傷の治りを早めるくらいなら楽なものじゃ」
「それなら頼むよ」
「うむ、任せておけ」
 自信ありげな表情で瑞穂が軽く手を振る。それ以上の動きはなかった。
 目に見える奇跡が起こるかと思ったが、変化が生じた様子はない。大言壮語かと思って、伍良は露骨にがっかりした。
「期待したのになぁ」
「勝手に勘違いするものでないわ。ちゃんと傷の治りは早くなっておるぞ。三日もあれば完治するじゃろう」
「えっ、あと一か月はかかるって話だったよ」
 伍良は半信半疑だったが、瑞穂は自信のある態度だった。これなら大丈夫かもしれない。どうせ数日様子を見ればわかる話だ。
「ありがとう。父さんが家で燻っている姿はあまり見たくないからな」
「元は妾がしたことじゃからな。それに今日は本当に楽しかったぞ。妾は人間に見向きされなくなってから、外に目を向けることをしなくなっていた」
 伍良に礼を言われた瑞穂は、照れ臭そうに笑っていた。
「妾はもっと人との交流を考えるべきだったかもしれん。心を頑なにして、神社に引きこもっておったからな」
「健康的な生活でないのは確かだね」
「違いない。少しは敷地の外を歩くことも必要だと実感したぞ。それに水咲のような人間にも会えるかもしれん。人の心は思ったより温かいものだな」
 出会った当初は修羅や般若のように恐ろしかった顔が、今は別人のように穏やかだった。無垢な笑顔を見ていると、連れ出して良かったと思う。
「瑞穂の気分が晴れたなら何よりだ。あとは俺の体が元に戻れば完璧だけどな」
「それにはやはり奉納物の修理が必要になるじゃろうな。妾も何か手段を考えてみよう」
「はぁ、やっぱり手芸部に入らないと駄目かなぁ」
 手先や技術を鍛える訓練になるとは思うが、可愛い雑貨品を作るのは柄じゃないと思う。人形を作る姿を想像するだけで、全身がむず痒くなりそうだ。
「新たな趣味を得られるいい機会ではないか。それに女の子とも親しくなれよう。妾も混じって人形作りをしたくなるぞ」
「うぅん、男が人形作りを趣味にするのはどうだろう。あまりその方面に目覚めたくないな」
「水咲と一緒にいられる時間が長くなるというのに贅沢な奴じゃ」
 瑞穂は羨ましそうだったが、伍良は苦い顔をしている。来週のことを考えると気が重たかった。

 最悪だった出会いを考えると、瑞穂との関係は改善されていた。これからはたまに神社に顔を出して、差し入れをしようと伍良は思っていた。瑞穂のことは手のかかる妹のような感覚だった。
「うっ、くっ」
 会話を続けながら神社に向かっていると、何もないところで瑞穂が尻から転んだ。足から力が抜けた感じで、怪我をしたようには見えない。伍良が近くで待っていると、瑞穂はよろよろと立ち上がろうとした。
「ぐああぁぁっ!」
 悲痛な声を上げて、立とうとした瑞穂が前に倒れる。浴衣の裾がめくれて足が露出すると、凶悪な爪痕が白い肌に刻まれていた。
「お、おい、どうかしたのか!」
「ぐぅ、うあああぁぁっ!」
 誰も触れてないというのに、新たな爪痕が瑞穂の足に刻まれる。血は流れてないが、赤い傷跡が痛々しい。
「ふっ、ふぅ、油断しておったわ」
 先刻までの穏やかさが消えて、瑞穂は険しい顔をしていた。目には憎しみが灯っている。出会った時の雰囲気を彷彿とさせて恐ろしかった。
「伍良、妾を抱えて神社まで全力で走るのじゃ!」
「そ、それはいいけどさ」
 突然の事態に慌てながらも、瑞穂を腕に抱きかかえる。筋力が落ちているが、思ったよりも軽い。火事場の馬鹿力で伍良は一目散に駆けた。
「ううっ、くあぁっ!」
「何が起こったのか教えてくれよ!」
 伍良が走っている最中でも瑞穂は悲痛な声を漏らし続けている。顔色が悪いを通り越して、蝋のように白く血の気がない。
「不覚にも力が落ちていて気づかなかったわ。愚か者が妾の住処を土足で踏みにじるような真似をしておる。このままではまずい……」
 瑞穂の息は瀕死の病人のように頼りない。伍良の両腕にかかる重みはますます軽くなっている。まるで幽霊のように瑞穂の体が透けていた。
 神社に近づくと、機械の獣が吐き出す咆哮が轟いていた。身の竦むような破壊音が聞こえる。耳を塞ぎたくなるような不吉な音だ。
「はぁ、はぁ、そんな……」
 目的地に到着した伍良は、目の前の光景に膝から崩れそうになる。巨大なショベルカーが神社に向かって鋭い爪を叩き下ろしていた。瓦が割れる耳障りな音が響く。老朽化した神社は、人の力によって壊されようとしていた。中断していた工事が再開されたのだ。
「妾には新たな目的ができたのじゃ。こんなところで消えるわけにはいかん」
 瑞穂は懸命に力を振り絞っていたが、ショベルカーに手が向けられることはなかった。もう手足がなかったのだ。
「す、すまんな」
 辛そうな顔で瑞穂が謝る。伍良は謝ってもらいたくはなかった。
「待てよ、諦めるな。瑞穂が知らない楽しいことはまだあるぞ。案内してないところはたくさんあるんだ!」
「ああ、それは楽しみじゃ」
 儚く透き通った笑顔を浮かべると、瑞穂の姿は空中に消え去った。主を失ったウサギの人形が地面に落ちる。伍良の慟哭を打ち消して、神社の崩れる音が容赦なく響いていた。

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01/11のツイートまとめ

amulai

RT @YUU_TSF: いよいよ後が無くなって来た幸せの王子「ああ、私のこの純金の睾丸をあの貧しい親子に届けられたら...」
01-11 17:41

RT @utsuerubot: 彼氏が鬱病になって会社を辞め、毎朝ベッドの中でボーっとしているのを見て「よっ!お元気ですね!」と言いながら股間を鷲づかみにすることを毎日欠かさず続けた結果3ヶ月ほどで鬱病が治り、見事に彼氏を社会復帰させた女性がいます!下ネタは滅茶苦茶使えますよ!
01-11 13:19

@amulai  祝!400DL♪
01-11 12:30

RT @oonekoTSF: Fさん次やるなら大黒堂さん呼んでいただけないですかね……(願望)
01-11 11:12

RT @KANOEYuu: 努力は好きに勝てない。いずれ来る幸福な人生を夢想し泥をすすって生きろ。描いていた理想とのギャップ、努力してきたのに勝てない好きの結晶どもに切望しろ。それか今を好きに生きろ。
01-11 11:12

211/397本。
01-11 10:44

子供の神様 (14) by.アイニス

(14)

 泣き止んだ水咲は、真剣な顔で散髪に取り組んでいる。絶対に失敗しないよう気を張っていた。規則正しいハサミの音がして、バラバラだった毛先が整えられていく。髪の毛を切り揃えるだけで、瑞穂は高貴な姫君のように見えた。
「いい感じだと思う。あとは髪を後ろでまとめるね」
 髪を切り終えると、水咲はゴム紐で束ねた髪を編み始めた。次に三つ編みにした髪を巻いて団子状に丸めていく。最後に花飾りで彩りを添えていた。
「浴衣に合わせてみたよ。可愛く仕上げたつもりだけど、どうかな?」
 水咲は緊張した声で瑞穂に鏡を見せた。団子頭で浴衣を着た瑞穂は、伍良の目からは詐欺っぽいくらいに愛らしく見える。だが、鏡を見詰めたまま、瑞穂は反応を示さない。
「ど、どう?」
 黙ったまま鏡を見続ける瑞穂に、恐る恐る水咲は声をかける。伍良も固唾を呑んで瑞穂の様子を見守っていた。
「気に入ったぞ!」
 瑞穂は全身を大きく震わせたかと思うと、顔を上げて大声で叫んだ。ビリビリと空気が震える。鼓膜が破れそうな音圧だ。思わず伍良は仰け反る。至近距離で声を受けた水咲は、クラクラと頭を左右に振っていた。
「この髪型は記憶しておこう。これなら子供のような姿でも悪くはない。髪と服を変えるだけで、気の持ちようが変わるものじゃな」
 瑞穂は表情を輝かせて、晴れ晴れとした顔をしている。最初に出会った暗い雰囲気が消えて、朗らかな気を放っていた。
「瑞穂ちゃんが気に入ったなら、あたしも嬉しいよ」
「感謝するぞ」
 瑞穂は何度も鏡を覗いて、色々な角度から顔を見ている。本当に新しい髪型を気に入ったようだ。無邪気に喜ぶ瑞穂の姿を見ると、伍良の気分も少し和んだ。
「次は伍良君の番だよ。伍良君の髪も腕の振るいようがあるね」
「い、いや、瑞穂の髪でもう疲れただろう。俺はまた次の機会でいいよ」
 油断していた伍良は、冷や水を浴びたような気分になる。水咲の優しい笑顔が怖い。何とか断ろうと必死に言い訳を考えた。
「楽しかったからそんなに疲れてないよ。それに伍良君の髪をそのままにして帰すのは、あたしの心が許せない。一工夫しただけで、見違えるように可愛くなるよ」
「伍良も髪を切ってもらえば、きっと気に入ると思うぞ。水咲の腕は確かじゃ」
 水咲の腕に惚れた瑞穂が援護射撃をしてくる。ますます断れない雰囲気になった。
「ううぅぅ、切るのはいいけど、短くしてくれ」
「折角伸びた髪を切るのはもったいないよ」
「髪は女の命じゃ」
「わ、わかった。ミサキチに任せる」
 二人の勢いに押し負けて、伍良は髪を切る羽目になった。瑞穂の可愛い髪型を見せられているので、男としては不安で仕方がない。
「普通で、普通でいいからな」
「うん、うん」
 念押しをしたが、水咲は軽く聞き流している。嫌な汗が背中を伝った。
「あれ?」
 髪を切る準備をしようと、水咲がヘアエプロンを伍良の首に巻こうとする。そこで何かに気づいて困ったような声を出した。
「どうかしたか?」
「スカートで胡坐だと中身が見えちゃうから、これからは気をつけた方がいいね。瑞穂ちゃんに集中していて気づくのが遅れたよ」
「うっ、女は面倒だなぁ」
 パンツが丸見えになる恰好だったと知って、伍良の頬が熱くなる。無頓着に座っていた。
「伍良君の普段着はズボンが多いよね。椅子に座ってもらった方が楽かな」
「そうだな。正座だと慣れてないから足が痺れそうだ」
 クッションから椅子に座り直すことにする。学校ではスカートを穿くことになるので、意識してないと恥を晒す羽目になりそうだ。ズボンの方が気楽だった。女性用のズボンも買うべきだったと思う。
「気楽にしていてね」
「簡単でいいからな」
 リズミカルにハサミの音を響かせながら、水咲は伍良の髪を切り揃えていく。鮮やかな手さばきだ。ハサミの奏でる規則的な音を聞いていると、伍良は眠気を催してきた。どんどん目蓋が重たくなる。ハプニングの連続で疲れが溜まっていた。水咲に悪いとは思ったが、眠気には逆らえなかった。
「寝ていても大丈夫だよ」
 眠そうな伍良を気遣って、水咲が優しい言葉をかける。眠気が限界だった伍良は、その言葉に安心して熟睡してしまった。

「う、うーん」
「もう少しで終わるからね」
 軽く髪を引っ張られて、寝ていた伍良は小さく呻いた。しばらく寝ていたようだが、まだ意識が完全には目覚めない。うとうととしながら、髪を水咲に任せていた。
「青いリボンの方が似合うかなぁ」
「服と合って似合そうじゃ」
「そうだね。伍良君が寝ているうちに色々試しちゃおうか」

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挿絵:菓子之助

 不吉な気配がしたが、目蓋が重くて開かない。伍良は眠気に負けて、水咲と瑞穂の好きなようにさせていた。髪型を弄りながら、試行錯誤を繰り返しているらしい。
「左右の髪のバランスはこんなところかな」
「釣り合いは取れておるな。男言葉で喋らなければ、美少女で通りそうじゃ」
「女の子としてどうかとは思うけど、あたしは伍良君の言葉遣いがしっくりくるよ。注意をしなくても、色気づいたら直すと思う」
 どうやら伍良の髪型を整え終わったようだ。耳に入る会話が気になって、眠りが浅くなっている。疲れもましになっていた。
「ふわぁぁっ、ああぁぁっ!」
 大欠伸をしながら片目を開く。涙が目に溢れて視界が曇っていた。正面にぼやけた人影が映っている。どうやら姿見の鏡を置いて、髪型をセットしていたようだ。
「んんんっ!」
 涙が目から垂れて、視界が鮮明になる。伍良は大口を開けたまま、喉の奥から奇妙な声を出した。三人の少女が鏡に映っている。その中の一人は伍良が知らない女の子のように見えた。青いリボンで髪が左右に束ねられている。
「女の子らしくて似合っておるぞ」
 瑞穂はニヤニヤとした顔で笑っている。腹立たしくなる表情だが、瑞穂に構っている余裕はない。伍良は焦りながらも表情を変えてみる。伍良が笑顔を作ってみると、鏡の少女も天使のように笑った。
「ツインテールにしてみたよ。伍良君の可愛さが引き立つと思う」
「そ、そうか。手間をかけさせたな」
 床をゴロゴロ転げ回って悶絶したくなる衝動を押さえて、伍良は声をどうにか搾り出して水咲に礼を言った。女になった時と顔の造りが変わったわけではないのに、髪型が違うだけで雰囲気が別人のように愛らしい。男らしさが鳴りを潜めていた。
「か、可愛いとは思うけど、男勝りの俺がするのは申し訳ないな。人を騙しているような気がするよ」
 ツインテールを回避しようと、必死に言い訳を考える。このままでは悶絶死しそうだ。
「こんなの序の口。髪型くらいで気にする必要はないよ。化粧で思いっきり化ける人もいるからね」
「お、女は恐ろしいな。でも、高そうなリボンをそのまましていくのは気が咎めるよ。俺はやんちゃだから汚したら悪いしさ」
「同じようなリボンが何本もあるから大丈夫。そのリボンは伍良君にプレゼントするよ。いつもしてくれると嬉しいな」
 言葉を尽くして逃げ道を探したが、袋小路に追いこまれていた。味方だと思った相手は真の敵だったらしい。満面の笑顔で迫られて、伍良は退路を失っていた。
「女の子からのプレゼントなんてあまりないから泣けてくるよ」
 頬の筋肉を駆使して強引に笑顔を作る。伍良は心の中で泣いていた。女子からプレゼントを貰うなら別の物が良かった。
「他にも使ってないリボンがあるよ。伍良君なら似合うと思うから使ってみてよ」
「お、おぅ」
 何かしら理由をつけてリボンはしないつもりだったが、純粋な好意でたくさんの贈り物をされると罪悪感が募る。正直気が進まないが、妥協をする必要があるかもしれない。
 伍良も瑞穂も見た目は可愛くなったが、内心の感想は百八十度違っている。笑顔を維持する顔面の筋肉が崩壊しそうだった。

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  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

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