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×Girls(クロスガールズ) 対戦者1人目――レイカ by.ゆめうつつ 挿絵:蒼都利音

ラウンド1 デジャヴ

 ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ……。
 布団を跳ねのけて荒い息を吐きながら、バネ仕掛けの人形よろしく桂岡格――カツラオカイタルが勢いよく起き上がる。
 鳴り続ける目覚まし時計のベルを止めた彼は、パジャマの袖で額の脂汗を拭う。動悸が収まらない。
(なんだろう……。よく分からないけど……なんか凄く生々しくて、エッチな夢を見た気がする……)
 彼は大きく息を吸い、同じように吐く。深呼吸を何度か繰り返していると、心臓の鼓動が落ち着いてきて気分が楽になった。心に余裕が出てきた格は、股間が濡れていることに気づく。
「まさか、夢精?」
 気になった彼がその部分を手で探ると、案の定、ヌルヌルした気持ち悪い感触を指先に感じた。一体どんな淫夢を見たのだろうか、記憶を探るものの、肝心の内容をすっかり思い出せなくなっている。早々に諦めて、彼は手早く股間の後始末をし、パンツを履き替える。デジタルの目覚まし時計は、午前6時すぎを示していた。
 モヤっとした気分のまま、格は制服に着替え、登校の支度を終えて家を出る。
(欲求不満、なのかなあ……)
 今朝の夢精を頭の中で反芻し、格は思う。 

 そして放課後。
 いつも下校途中にゲーセンへ立ち寄ることが、格の変わらぬ日課だ。とはいえ、大抵のアーケードゲームは近隣のゲーセンでやり尽くしてしまい、最近は帰宅後に“遠征”する毎日だった。今日も相変わらず、彼は隣町へと自転車を走らせる。
「さあて。今度はどこから攻めようか」
 街中から始めたゲーセン巡りも、今では郊外がメインになっていた。キョロキョロと辺りを見渡しながら格は愛車を漕いでいく。その時ふと、少し寂れた感じの店舗が目に止まる。
「あれ? こんなトコに何の店かと思ったけど、よく見りゃゲーセンだよ。ちょっと寄ってみるか。でも、初めて見た気がしないな……」
 何となくデジャヴを感じて、彼は足を止め、中を覗き込んで店の扉をくぐる。中は小さいながらもよく手入れされ、最新……とまではいかないが、あまり見かけないゲームが揃えられている。
 ひとしきり店内を歩いて回った彼が、店の片隅にひっそりと置かれていた“新作”ゲームの一つに目を奪われた。既視感が強くなる。
 滑らかなテクスチャに流麗なCG、淀みなくイキイキと動き回るキャラクター。それはどこにでもありそうな、ごくありふれた3D格闘ゲームだった。ド派手なエフェクト、そして、あり得ないキャラ設定とストーリー以外は。
「ぶっ! なんじゃこりゃ」
 インストカードを見て格は思わず吹いた。しかし、妙に惹きつけられるモノが目の前のゲームにはある。
 気づけば、上着のポケットから100円を取り出して筐体の投入口へ。
 チャリン……と音を立ててお金が飲み込まれる。
『×Girls(クロスガールズ)』
 タイトル画面が現れるとともに男の合成音でタイトルコールがあり、画面の下部に続行を促す“PUSH START”の表示が出て、点滅を繰り返す。
 だんだんと、格は夢の内容を思い出し始めていた。一連の行動や光景が夢と一致していく。彼は誘われるままに、震える指でスタートボタンを押していた。画面が暗転し、使用キャラクターの選択画面が映し出されたときだ。
(お願い、力を貸して……)
 彼の耳へ微かに少女の声が届く。
「へっ? 今の声、どこかで聞いたような……」
 間の抜けた声をあげて、格が辺りを見回しても自分の他には誰もいない。
「何だ、気のせいか……」
 気を取り直した格は自分が操作するキャラクターを選ぶため、レバーでカーソルを動かしていく。
「しかしアレだな。ボクシングとか合気道とかのキャラは格ゲー的にまだ分かるけど、このシスターとか女子高生ってどういう脈絡だよ。しかもアンドロイドや魔法少女なんかもいるし」
 格はクスクス笑いながら、一人でツッコミを入れる。だが、あるキャラにカーソルを合わせたとき、彼の手が止まった。
 腰どころか、ウエストまでスリットが入った煽情的なチャイナドレスを着ている爆乳美女。下着をつけていないのか、それとも、かなり際どいハイレグ仕様のTバックを穿いているのか。とにかく、絵を見る限りでは尻の丸出し感が男の劣情を誘っている。しかも、明らかにドレスの布面積が少なかった。
 彼女は彼の好みを、ほぼ全て有していた。まるで、彼のために用意されていたかのごとく。でも、格が手を止めた理由は他にもある。以前にも同じようなキャラを選んでいた気がしたからだ。格の指は迷うことなく選択ボタンを押す。
「美齢――メイリン!」
 渋い男の声音で、キャラの名が告げられる。直後にシットリと、しかし快活なアルトで彼女の決めゼリフが流れた。
「最高でしょ?」
 次の瞬間。眩く輝いて、画面がホワイトアウトした。同時に格の意識も暗転していた。

201112072339315fa_20150505132948cc8.jpg
キャラクターデザイン:蒼都利音

 意識が浮上し、彼はゆっくりと目を開ける。そこは一面真っ白な世界だった。上下、前後、左右。何処を見渡しても自分以外誰もいないし、何もない。自分が立っているのか、寝転がっているのかすら定かではない。ただ、フワフワと心地よい感触に包まれているためだろう、不安感は特になかった。
「こ、こは……」
 自分はさっきまでゲーセンにいたはず。その認識が格にはあった。今いる場所が何処なのか。
「準備室……」
 自分自身が確認する意味で漏れた呟きだから、答える者はいないと思われた。しかし、彼の思考に反して答える者がいた。
「そう、準備室だよ。×Girls(クロスガールズ)の世界へ行くための……って、何で知ってるの?」
 姿はないものの、その声はゲームを始めた時に聞いた、少女のものだった。驚きの声を上げた彼女は、発言しようとした格を制し、言葉を続ける。
「ま、今はいいわ。まずはプレイしてくれて、ホントにありがとう。でも実は、ちょっと困った事になってるんだ。だから、力を貸して欲しい。ううん、本音を言えば君に助けて欲しいの。このゲームの世界……いえ、私たちの世界を」
 少女の声音からは切羽詰まった雰囲気が感じられた。彼女の勢いに圧された格は疑問を飲み込み、聞き役に回らざるを得なくなる。今は半分ほど、夢の内容を思い出していた。
「初めは小さなズレだったの。それが段々大きくなっていって。気づいた時には修復困難なエラー――バグに変わっていたわ。お願い! このままでは私たちが消えてしまう。もう自分たちでは、どうにもできないの。だから……」
 見えないはずなのに、彼女の悲痛な訴えは格の脳裏で、涙を零す少女のイメージを浮かび上がらせる。
(夢で一度、彼女とのやり取りをしてるはずなのに……)
 どうしても断れないな、と格は思い切り後悔する。彼は何処にでもいる、普通の冴えない高校生だ。メチャクチャ頭がいいわけでも、抜群に運動神経がいいわけでもない。
 何より正直な話、百歩譲って現実だとしても荒唐無稽すぎる。しかし……。
「もっと他に適任者がいるんじゃないかなあ。ボクはゲーム好きだって以外、何の取り柄もないただの高校生なんだけど。それでもボクがいいの?」
 同情だけではどうしようもない、と頭では格も分かっている。分かっているけれども、可哀想とか助けてあげたい、守ってあげたいという想いばかりは、どうにも理性で抑え切れない。彼は並外れて、お人好しな性格だった。
「もちろんよ! というより他に考えられないの。私たちの波長に適合した君しかいないわ」
 弾むような声音が少女の感情を物語っている。彼女の嬉しそうな声を聞いて、格は諦めたように深く溜息を吐く。
「やっぱりボクしかいない、か。分かったよ、やろう。で? ボクは何をすればいいんだい? アリス」
 ついでに覚悟も決めて、格が見えない少女に問いかける。
「私たちの世界へ来て。えっ、と……名前は?」
「格。桂岡格」
「そう、いい名前ね。よろしく、格……って、あれ? 私、名乗ったかしら」
 アリスと呼ばれた不可視の少女が、微笑みと困惑を浮かべたように格は感じた。
「じゃあ早速だけど、私たちの世界に合わせて君を“変換”するね」
 何かとてつもないことをサラリと言われた気がする。格がアリスを制止する前に、彼女の言う“変換”が実行されていた。
 サラサラと音を立てて、靴を含めた格の着衣が全て光の粒子に変わりながら分解されていく。心の準備もないまま、彼はいきなり全裸にされてしまった。
「えっ、ちょっ……また?」
 羞恥に煽られる間もなく次の変化が訪れる。格の体が半分ほど透けて、3Dフレームらしき格子状の線が内蔵や筋肉、骨格にまで浮かび上がった。ところが、これは序の口だと彼は前もって知っている。
「う……え……」
 体の中がグニャグニャと掻き回される感覚に、格は思わずえづく。夢で経験済みとはいえ、慣れるものではない。すぐに収まったものの、自分の体を注視すると、予想通りの光景が彼の眼に飛び込んできた。
「そんな……」
 反射的に口をつく諦めの声。見れば3Dフレームがあちこちで伸縮を繰り返している。彼の薄い胸板がゆっくりと膨張して豊かな乳房を形成し、ウエスト部分が引き絞られて腰骨が張り出し、尻が丸く大きく膨らんだ。
「お、おっぱい……」
 股間では男性器が縮小され、代わりに体内で女性器を形作っていく。
「ああ……ボクのチン○が……」
 脚がスラリと伸びて全体の比率が再構成され、筋肉もしなやかで張りのあるものへと変わっていった。
 ライトブラウンの短髪は、スルスルと長さを増して黒く艶やかに変色し、ひとりでに二本のお下げ髪に結わえられた後、頭頂付近で根元を一つに纏められる。
 元から女性的な顔つきだったせいか、ほとんど顔のパーツは変わらない。とはいえ、プルンと厚く張りのある唇や桜色の頬、愛らしい目元などが女らしい印象を強めていた。
「はああ……。結局こうなるのか……」
 溜息とともに呟く格の声は、快活でありながらもシットリと潤いを含んだアルト。その響きは何処か聞き覚えがあった。彼が記憶をたぐる間に、半透明の体からはフレームが次第に消えていき、透明度もユックリと落ちていく。
 変換の間、周囲を漂っていた光の粒子が集まって格の体を包み込む。それは体表で、落ち着いた色合いながら、煽情的な赤いチャイナドレスや白いハイヒール、髪飾りへと装いを変える。
「メイリン……だよね。これって」
 分かっていても格は聞いてしまう。
「そうよ。だって、×Girls(クロスガールズ)に格というキャラクターは存在しないんだもの。そのまま“変換”したら、世界が破綻しちゃうわ」
 彼の言葉へ答えるように、アリスが彼女にとっては至極当然な事実を告げる。そして、唐突に別れの挨拶をした。
「頼みを聞いてくれて感謝してるわ、格。私にできるのはここまで。後はもう、アナタ次第だから。でも、信じてる。必ず救ってくれるって、私たちの世界を。さあ、初めの扉を選んで……」
 アリスの言葉のあと、格を囲むように12枚の扉が、そして、足元にも一枚――計十三枚の扉が現れる。彼を取り巻くそれぞれの扉には、時計盤と同じ並びでローマ数字の1~12が、足元の扉にはローマ数字で13だけが刻まれていた。
「この中から一枚……」
 散々迷った末、格が足元の扉を開けた。その先に真っ暗な空間が現れ、彼はその中を落ちていった。
「ご武運を……」
 格を見送るアリスの声が、彼の耳へ微かに届いた。

ラウンド2 ×Girlsの世界――対レイカ戦(表)

 暗闇の中をひたすら落ちていく格の足元で、小さな光点が見え始める。かと思えば、みるみるうちに大きくなり、彼を包み込む。気づいたとき、格はどこかの街中で仰向けに寝転がっていた。
「ここは……」
 呟いて格が辺りを見回すと、彼の周囲で怖そうな連中が人垣を作っていた。それはまるで、街中に突如出現した即席のリングにも見える。
 視線を足元に向けると木刀を肩に担いだ女が彼を睨んでいる。赤い特攻服を着た格好はまさに女版のヤンキー――レディースそのものだった。

「へっ……楽勝だぜ!」
 その言葉に格は覚えがあった。デモ画面を見ていたから知っている。×Girls(クロスガールズ)のプレイヤーキャラで、レディースの麗華――レイカの決めゼリフだ。そう理解した途端、格の心に屈辱と怒りが沸き上がってきた。
(にゃろう、ぶっ倒してやる!)
 そう思った格の口が勝手に動いた。
「今度は負けないから!」
 首跳ね起きで立ち上がり、構えをとってメイリンが叫ぶ。
「かかってきな!」
 それを受けて、レイカが挑発した。
「ラウンド2(ツー)、ファイッ!」
 それと同時に、相手が前方ダッシュで間合いを詰めてきた。
「先手必勝! オラァッ!」
 彼女がかけ声とともに前蹴りを繰り出す。
(ただのダッシュ攻撃? いや違うな。繰り出した前蹴りにエフェクトがかかってる。これはレイカの必殺技――『特攻』だ)
 回り込んでパンチを、と格が考えた瞬間、彼の脳裏にコンパネを操作するイメージが浮かび、体が勝手に動いていた。
 ガツッ! 派手な効果音が響いたと思ったら、レイカが吹っ飛んでいた。期せずしてメイリンの『カウンター』が決まる。
(この感覚、もしかして……。じゃあ、ボク本当に……)
 口には出さず、格は思う。×Girls(クロスガールズ)の世界に来たのだ、と。
(試してみるか……)
 彼は頭にインストカードに載っていた技を思い描く。
「箭疾歩!」
 自分で体を動かしたという感覚はほとんどない。勝手に足が地を蹴って、数歩の間合いが一気に詰まる。突っ張った右腕の先が起き上がりざまのレイカの顔面にヒットした。
 すかさず追加技をイメージ。
「頂肘!」
 疾歩で踏み込んだ右足を軸に、左足で更なる一歩を踏み出しながら、腰を回転させて左肘を突き出す。それはやはりレイカの鳩尾にささり、彼女は苦悶の表情を浮かべる。
 更に次の技を想像する格。
「龍旋脚・翔!」
 前の技にキャンセルがかかり、光の龍が螺旋を描いて昇るエフェクトを纏いながら、天高く突きあげた状態の後ろ回し蹴りがレイカに炸裂した。それは一撃のみにとどまらず、二撃三撃と宙高く舞うレイカを追ってメイリンが飛翔する。
「龍旋脚・墜!」
 頂点へ達する前に追加技をイメージする。それが威力を発揮した。龍旋脚によって、レイカよりも高く舞い上がったメイリンの後ろ回し蹴りが、変形踵落としの要領で彼女に叩き込まれる。
 倍加した落下スピードで、勢いよく背中からレイカが地面に激突した。小さくバウンドし、うつ伏せに倒れた彼女は動かない。格の脳裏に、相手の体力ゲージが1/3ほど減ったイメージが浮かぶ。
 彼は『鶴落脚』という追撃技を、着地と同時に素早く思い描いた。小さく空中前転をした後、鶴が翼を広げるように両手を掲げ、メイリンが右足の踵を鋭く突き出して相手に追い打ちをかける。
 技が決まり、脳内に浮かぶレイカの体力ゲージが全体の半分まで落ち込んだ。
(ふう。体を動かすのはあんまり得意じゃないから、どうなることかと思ったけど。案外なんとかなるもんなんだな。技をイメージするだけでいいのも助かる。とは言え……)
 起き上がった相手を見据えて、格は気を引き締める。
(おおっと、油断は禁物ってか? ま、KOしたわけじゃないしね)
 構えを崩さず、レイカとの間合いを計りながら彼は様子を見る。彼女の雰囲気が少しだけ違って感じられたからだ。
「もう、許さねえ!」
 静かな怒声とともに彼女からオーラが立ちのぼる。格がインストカードの内容を反芻して、苦虫を噛み潰す。
(うっわ……マジかよ。体力ゲージ半分以下で必殺技や通常攻撃力と防御力が2倍、1/3以下で4倍+アルティメットブレイク(超必殺技)って……。普通、1/3以下で2倍とか超必殺技とかじゃないの? 夢で分かってたって、どう考えてもチートだよ)
 しかし、格が心中でボヤいていても事実は変わらない。
(幸い、メイリンの移動と攻撃のスピードは全キャラ中最速だから、タイムリミットまで逃げ切れないこともないんだけど、果たしてそう上手くいくかどうか……)
 彼が考えている間に、レイカが前方ダッシュで迫ってくる。次の攻撃が分かっている格は、そこからの飛び蹴りを『特攻』のときと同じ要領で躱した。
「喰うぅらえぇっ!」
 レイカの首へ自分の右腕を巻きつけて、そのまま地面に引き倒す。相手の体力ゲージがみるみるうちに1/3まで減っていく。メイリンの首投げ「カウンター」が、決まったようだ。すかさず間合いを取り、“二度目”に備える。
「……っざっけんじゃ……ねーっ!」
 レイカの怒号と共に、再び怒りのオーラが立ちのぼった。すぐさまカットインが入り、相手の決め技ともいうべき『アルティメットブレイク』ライド・オン・パーティーが発動した。
「ブチ殺してやるぜ! ヒャッハー!」
 彼女のかけ声を合図に、レイカの仲間がバイクに乗って猛スピードで四方八方から体当たりで特攻をかましてくるのを、メイリンは二段ジャンプを駆使して回避する。
(二段ジャンプ中の必殺技は↓+キックボタンで出せる……)
「流星脚!」
 鋭く技名を叫び、メイリンが地面に向かって右脚で突き出し、“跳び蹴り”のポーズをしたと同時にエフェクトがかかり、瞬時に空中を蹴ってレイカの元へ飛ぶ。
 それはまたしても「カウンター」攻撃となり、相手のゲージを一気に0以下まで削っていった。
「ぐあああああああああ……!」
 レイカの悲鳴が長く尾を引いて響き渡る。直後、例の渋い声が判定を告げた。
「ユー・ウィン! パーフェクト!」
「快・感……」
 メイリンが色っぽく決めゼリフを呟いて、自らを掻き抱く。格も初勝利の余韻に浸る。
「もう手加減しねぇからな!」
 ムクリと起き上がりざまにレイカが吐き捨てる。
「できるかしら?」
 誘うような口調でメイリンが挑発する。格が言ったわけではない。口が勝手に言葉を紡いでいた。
「ラウンド3(スリー)、ファイッ!」
 レイカのセリフとメイリンの挑発へ重ねるように、渋い声が再び試合の開始を告げる。
(ここから先の結末がどうなるか、ボクにも分からない。でも、やるしかない!)
 三戦目は、二戦目とは打って変わった展開を見せた。互いに牽制し、間合いを探りながらジリジリと相手の出方を待つ。その間も格は脳をフル回転させ、自分なりの戦略を組み立てていく。
(ボクにとっての初戦。たとえマグレ半分だったにせよ、今のボクにできて、相手に大ダメージを与えられる最強の連続技が、おそらくあの必殺技コンボだろうな。問題は、どうやって最初の一撃を当てるか、だ。ガードされた場合も考えて、弱攻撃から二択に持っていけるとモアベターなんだけどなあ……)
 格の考え通り、初戦の必殺技コンボは現時点で最強の連続技といえた。だが、決まれば確かに威力もデカいが、今のままだと最初の隙が大きすぎて、実践ではほとんど役に立たない。
(試すしかないな……)
 彼は経験上、一番キャンセルのかかり易いと思われる弱攻撃を中心に、レイカにしかけ始めた。
 立ち弱パンチからの弱箭疾歩、立ち弱キックからの弱箭疾歩。しゃがみ攻撃やジャンプ攻撃からの繋がりも確かめる。ついでに中攻撃、強攻撃それぞれのパンチとキックでも。いずれにおいてもレイカにガード、あるいは反撃されたが、思ったような成果は出なかった。
 どの攻撃からでもキャンセルをかけられることは分かったのだが、箭疾歩だと弱攻撃であっても最初に若干の溜めがあるため、そこが隙になってしまうことだった。
 あとは強攻撃だったらモーションの戻りをなくせるため、当たれば仰け反り中の相手に弱箭疾歩が辛うじて間に合うくらいだろう。
(ちょっとリスクが大きすぎたかな。体力の減りが向こうより多いや。でも……)対戦者1人目――レイカ

 時間稼ぎのため、巧妙に相手との軸をずらし、上手く攻撃を避けながら格は思う。
(おかげで、少しだけどレイカの攻撃パターンや弱点が読めてきたぞ)
 ジックリと観察した結果、技を出したあとの隙を、必ずと言っていいほど「強攻撃」あるいは「必殺技」で返してくる。それと直線的な技が多いせいか、軸ずらしに対して、極端に弱かった。必殺技を含め、エフェクトのかかった一部の技を除けば、ほぼ全ての技を躱せると言っても過言ではない。
 メイリンを操る格に勝機が見えてきた。
(よし、大まかな戦略は決まった。あとはほぼ二択に絞られた相手の出方、その予想を外したときの対応さえ気をつければ……)
 格が決断した時点で、それぞれの残り体力はレイカが2/3、メイリンが1/2を少し上回る程度だ。
(インストカードに書いてある“バーストオーラ”が出るタイミングは、僕が見た限り相手がダウンして起き上がった直後。裏を返すと、ダウンさせずに連続技を決めれば、たとえ条件が整ったとしても発動しないことになる)
 一種の賭けだが、上手くいくと厄介なバーストオーラを一回分スキップさせられる計算になるはずだ。
「あら、この程度?」
 間合いを開けた格は、メイリンとして相手を挑発する。挑発技は隙が大きく、人との対戦ではほとんど役に立たないものの、レイカの技を誘うには充分な役割を果たした。
「先手必勝! オラァッ!」
 案の定、技の隙を狙ってかけ声と共に『特攻』を繰り出し、彼女は間合いを詰めながら攻撃してきた。
 軸をずらし、それを躱した格は振り向きざま強攻撃のパンチをレイカに見舞う。
 パァン、と小気味よい打撃音が響き、相手が仰け反った。その瞬間、格は『箭疾歩』で強攻撃の戻りをキャンセルし、仰け反り中のレイカに追撃する。
「頂肘! 龍旋脚・翔! 墜!」
 最後に追撃技の『鶴落脚』まで加えて、一連のコンボをメイリンが終えた。みるみるうちにレイカの体力ゲージが減って、1/3を切る。
「……っざっけんじゃ……ねーっ!」
 起き上がりざまのバーストオーラを見て、格は自分の推測が正しかったことを知る。
(あとは『アルティメットブレイク』を躱して……)
 カットインが入り、レイカの『アルティメットブレイク』ライド・オン・パーティーが炸裂した。
「ブチ殺してやるぜ! ヒャッハー!」
 かけ声のあとにバイクが四方八方からやってきた。が、格は冷静に前回と同じ作業――
二段ジャンプからの『流星脚』を放ち、レイカのアルティメットブレイクを破る。
「チッ……ク、ショーッ……」
 無念そうな声を上げ、スローモーションでレイカが吹き飛んだ。そして二、三度地面にバウンドしたきり、動かなくなる。彼女の体力ゲージが底をついていた。
「ユー、ウィン!」
 渋い声がメイリンの勝利を告げる。
「ウッフフフフ……」
 髪を掻き上げるように頭の後ろへ両手を回し、胸を逸らしてシナを作るメイリン。我知らず笑みが零れた。なんとも蠱惑的な勝ちポーズだ。
 格はホッとすると同時に、気恥ずかしくなる。
(ううう……いくらゲームのプログラムだとはいえ、自分がこんなポーズを取るなんて……)
 彼の羞恥をよそに周囲が暗転した。倒れ伏すレイカとメイリンを残して。

 ラウンド3 対レイカ戦(裏)

 その途端、今まで倒れ伏し微動だにしなかった相手がムクリと起き上がった。
「はあ……肩凝った。自分の意志が芽生えたってのに、ゲームキャラでいるのも楽じゃないね。さ、こっから先は勝者の――アンタのために用意されたご褒美タイムだ」
 好きにしな、とレイカが自棄気味に言って再び寝転んだ。だが、そう言われても格は戸惑うばかりである。生まれてこの方、女性に縁がない彼は女の扱いというものに慣れていない。
「あ、の……どうすれば……」
 不安げに問いかけてしまう格。あるとするなら、うろ覚えの夢で体験した卑猥な行為だけだが、受け身だったこともあり勝手が分からない。
 レイカが身を起こし、呆気にとられた顔で問い返す。
「どうすればって……知らないのか?」
 彼女の問いにコクリと頷く。頷いてしまってから、格は後悔した。
 レイカが笑っている。ゲームキャラからは想像もつかない下卑た笑みで。今更ながら自分の心もとない格好に思い至り格の不安が募る。
「なっ、何する……気だ……」
 にじり寄ってくるレイカに対し、彼は思わず後退りした。
「何するって、ナニさ。本来なら勝った奴は、自分の好きなことを相手に強要できるんだよ。大抵は性的イタズラになるんだがね。知らないなら、アタイが教えてやるよ」
 それを聞いた格は身の危険を感じた。彼はその手のことに、まるっきり免疫がなかったのである。同時に夢で見た自分の痴態がクッキリと彼の脳裏をよぎり、ガクガクと足がすくむ。
「え? そ、それって……。い、いやいやいや……ちょっ、ちょっと待ってよ! ボク、実は女じゃなくて……」
 動揺する格は逃げることも忘れ、相手を思いとどまらせようとするも……。
「は? お前、何言ってんだ。その体つきは、どっからどう見ても女じゃねえか。あ、分かった。実は男の方がいいって言いてぇんだろ? まあ、ノンケなら当然だな。でもよ、女同士ってのは女にしか分からねぇ“よさ”があって、結構オツなもんなんだぜ?」
 最悪だった。どうやら、既に彼女の頭の中はソノことで一杯らしい。全然聞く耳を持たない。しかもレイカの言質で推測するに当たり、性的には至って正常な考えを持つ格からすれば、彼女の嗜好は変態さんのソレである。
「あ、あわっ、あわわわわわ……」
 歯の根も合わないほどに格はひどく取り乱す。まさか、自分の身に貞操の危機が訪れるなどとは、想像もしなかったから。
「やややや、やめっ、やめろ! こっ、ここっ……こっち来るなあっ!」
 未知の恐怖に怯えて錯乱した彼は、目に涙を浮かべ、虚勢を張ってレイカを威嚇する。当然のことながら、そんな虚仮威しなど彼女には通用しない。むしろ、格の初々しい反応に嬉々とした表情を湛えて、一歩、また一歩とおもむろに近づいてきた。ついにメイリンの服、その胸元へレイカの両手がかかる。
 そして……一気に引き裂かれた。

 抑え込まれていた爆乳が勢い良く弾んで露わになる。悪夢の再現が始まった。
「ひいっ!」
 情けない悲鳴を上げた格は目を瞑り、思わず顔を背けた。悪夢のような現実から目を逸らすために。
 ほどなくレイカの掌が乳房に触れ、悍ましさに身を硬くした彼が肌を粟立てる。結果、生理現象として硬く締まった乳首を彼女の目の前に晒すこととなった。
 口の端を歪め、目を細めるレイカ。彼女は素早く格の乳首を二つとも摘むと、親指と人差指で転がし始める。
 クリクリクリクリクリクリ……。
 粗野に見えた外見からは想像もつかないほど優しい指使い。そのテクニックは女体の敏感さと相まって、初な格を快楽の泥沼へと引き込むきっかけには、十分な威力と役割を果たした。
「ひゃ! あ……。んんっ! くふ……」
 敏感な部分を攻められた彼は、女の体に慣れていないこともあり、未知の感覚に襲われる。ゾワゾワした怖気が背筋を這い上がったかと思えば、体中がムズムズして、ソワソワと落ち着かない気分になった。勝手に変な声が出て、体がくねる。
「や、やめ……。ふあ……。何か……変……。んくっ! 声、勝手に……出ちゃ……。あひゃあっ!」
 少しずつ少しずつ、格の体から力が抜けていく。替わりに何か得体の知れない感覚が、その抜けた部分に入り込んでくる。その何かは次第に彼の体を火照らせていき、妙な気分を高ぶらせる。得体の知れない何かが、邪な不可視の蛇のように彼の足元へ絡みつき、上へと這い上がって、魂を雁字搦めにされていくようなイメージが、格の心を囚えていた。
 息が弾んでくるにつれ、彼の抵抗は鈍り、思考は霞む。レイカに従い、されるがままの状態を彼は受け入れようとし始めていた。
「あっ! うう……やめて……。はあはあ……。くふ……やめ……。あは、あ……や……あん! はっ! はあっ! はあっ……! ああ……。ソコ、ダメ……。何か、へ……変に……なり、そう……」
 そう訴えかける格の声は艶を帯び、目は与えられる快楽に蕩けかけている。レイカは自分の指技に溺れ始めた彼を見て、ダメ押しに乳首の頂を指先で軽く擦った。
「きゃふっ!」
 格が短い嬌声を上げたと同時に、股間の辺りでグジュッ……と湿った音が小さく聞こえた。その音を聞いたレイカは一言だけ彼に告げる。
「今、濡れただろ」
 何を言われたのか分からず、キョトンとする格に彼女は言葉を続ける。
「小さい音だったけどシッカリ聞いたぜ、この耳で。ククク……お前の体が気持ちよくなりたがってる“声”をな。ヘヘ……もっと変にしてやるよ。お前がコレを気持ちいいと感じるまで。アタイのことを忘れられなくなるくらいにさ」
 いつの間にか、彼女が彼の股間へ右手を添え、愛でるようにゆっくりと指を上下させていた。指の動きに合わせて、僅かに食い込んだ股布が粘膜を擦る。
「へ? ひ、ひゃ! な、ななっ、何? 何やってんの、今。変なことしないでよっ!」
 ヌルヌルと滑る感触がお漏らしをしたようで気持ち悪い。口ではそう言っても、格の体は違うらしい。まるで、レイカの行為を歓迎するかのように、湿る範囲を徐々に広げていく。
「え……あ……。何、で? ボクの、体……おかし、くなっ……て。気持ち……悪い……はず、なのに……」
 彼女に弄られているうち、彼は自分の体がジワジワ痺れてきて、だんだん頭がボーッとしてくるのを感じていた。
 ニチャ、ネチョと粘つく水音が格自身にもハッキリと聞き取れるまでに大きくなり、彼の羞恥心を煽る。そして格が恥ずかしいと思えば思うほど、愛液は量を増し、股布とレイカの指をグショグショに濡らす。

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挿絵:蒼都利音

「ハハ……すげぇ……。敏感なんだな、お前。感じまくって、ビチョビチョじゃねぇか。気持ちいいんだろ? ほら……素直に認めちゃえよ」
 悪魔の囁きは、格が考える以上に魅惑的な響きを持っていた。しかし彼自身、その感覚が“キモチイイ”ものなのかどうか、自分の中で定義が曖昧すぎて判断がつかない。
「これ、が? そう……なの?」
 思わず相手に聞いていた。レイカが頷く。
「知らなかったのか? じゃあ“キモチイイ”って声に出してみろ。すぐに分かるからよ」
 そう言って、彼女が格を促した。彼は恐る恐る、震える声で小さく呟いてみた。
「キモチ……イイ……?」
 促された言葉を口にした途端、彼の胸がカアッと熱くなる。曖昧だった感覚が、定義されたことでうっすらと輪郭を浮かび上がらせてきた。
「どうだ?」
 レイカが興味津々に尋ねる。愛撫の手は休めていない。
「よく……分かん、ない」
 戸惑いながら格は答えた。気持ちいい。そんな気もしたが、確信は持てない。
「もう一回、言ってみろ。“キモチイイ”って」
 再度、彼女が促す。彼は頷いて従う。
「え、と……キ、キモチ……イイ」
 声に出すことで更にクッキリと輪郭が浮かび上がる。彼の中でハッキリと得体の知れない感覚が“気持ちいい”と定義され、今まで感じていたものが快感であると認識する。
 ブワッと体中の毛穴が開いたように錯覚した格は、突如膨れ上がった興奮に頭がクラクラした。耳の奥で激しい潮騒が聞こえる。血流が一気に全身を巡り、珠のような汗が噴き出てきた。
「うああ! 何……これ? すご……。さっきまで……変な、気分にしか……感じなかったのに……。きっ、気持ちいい! これ、気持ちいい! あ……ダメ……。ボク……ダメに、なっちゃう。こっ、こんな……の……。たっ、耐えられな……」
 ビクビクと体を弾ませる彼は、強すぎる快感から逃れようと身を捩る。
「おほ! キタキタキタ! コレだよ、コレ! コレを待ってたんだ。どうだ? さっきよりも、ずっと“イイ”だろ? これからもっとヨクして、お前をアタイのオンナにしてやるからさ。その可愛い声で存分にさえずってくれよ」
 言うなり、レイカの手が擦る速度を上げる。あまつさえ、チャイナ服とほぼ一体化したハイレグカットのTバック脇から指を潜らせて、直にその中身へ触れてきた。
 チャプ、ジュプ、クチャ、ヌチャ、グジュ、ニチャ、ネチャ、ニュグ、ヌプ……。
 わざとらしく恥ずかしい水音を響かせて、レイカは心身ともに彼を追い詰めていく。格は格で彼女の指技と圧倒的な快楽に為す術もなく、それらを受け入れざるを得なかった。
「ヤダヤダヤダ! 何か……何か、クル! 怖い……よ。お、願……。誰か……助、け……」
 涙と涎に塗れた顔で、誰に言うともなく懇願する格。彼の願いが聞き入れられたのか、レイカが不意に離れ、刺激が遠のいた。けれども強い快感が尾を引いていて、考えることも動くことも億劫だった。
 シュルル……パサ……ポス……。
 衣擦れの音が聞こえて、格は辺りに目を配る。真っ暗な闇の中、レイカの様子だけがボンヤリと浮かぶ。一糸纏わぬ姿に彼は言葉もない。
 喧嘩で鍛えたのか、引き締まった体に贅肉は一切なく、見事なプロポーションを保っている。胸はメイリンほど大きくはなかったが、かと言って小さいわけでもない。Cカップ近くはある適度な大きさが、彼女の魅力を一層引き立てていた。
「待たせたな。アタイも愉しませてもらうよ。これから女同士の醍醐味を、タップリ骨の髄まで味わわせてやるぜ」
 いやらしげな笑みをニヤリと顔に貼りつけて、彼女は再び格へ近づく。余韻が残っていることもあり、彼はレイカを見ても逃げようとしない。半開きになった口から舌先を覗かせて、ハーッハーッと荒い息を吐いている。
「やれやれ、すっかりできあがっちまってるね。オボコにゃ、チイッとキツかったか?」
 快感に蕩けている格の目は、焦点が合っていない。彼女は顔を近づけて、半分くらい開いた口の中へ舌を差し込み、彼の唇を塞ぐ。
 ピクッ。微かに格が反応を示す。それは時間が経つほど、目に見えてガクガクと大きくなっていった。
「んっ、んんうぅ……。んふ! んー……んむうぅ……」
 彼にとって初めてのキス。好きな女の子と交わすはずだった甘い幻想は、色欲に塗れたレイカの、愛とは程遠い獣じみたディープキスによって打ち砕かれる。
 ところが、快感を覚えたばかりである格の体は、そのキスを抗うことなく受け入れてしまう。再開された股間への愛撫が、それを加速させる。
(どうして? どうして! 嫌なはずなのに……こんなこと、本当は……嫌なの、にっ……。逆らえ……ない、よぅ……。舌、と……指……が、気持ち……よすぎて、もう……。何、も……考え……られ、ない……)
 格の視界が、快楽に蕩けて霞む。密着したレイカの肌は何とも言えず心地よくて、全身が温かく包まれる。いつの間に服を脱がされたのか、気づけば彼は全裸になっていた。
 粗野な見た目や言動に反し、彼女の手は格の体を優しく弄り、擦り合わされる肌の柔らかい感触は彼の官能を高ぶらせた。
 しばらくの間、二人は無言で絡み合う。戦慄き、悶え、互いの息づかいと小さく響く濡れた音だけが世界の全て。
 不意に腰を反らす格。両足の爪先が、内側にキュッと強く巻き込まれる。レイカの指が動きを変えていた。上下から……前後へと。
 クプッ、ニチュ、クプッ、ネチャ、クプッ、ヌチョ……。
 規則的な粘着音が微かに耳朶を打つ。彼の体はブルブル震えっ放しだった。
「んー! んむむ! んーんーんー! んむー、うー! んむむぅ!」
 口を塞がれているせいで彼が何を言っているのかは分からない。だが、切迫した状況に陥っていることは理解できた。
(何? ナニかクル! 嫌だ! 怖い! 誰か……助けて! キちゃうぅ……。キちゃうよぉっ!)
 彼の様子をつぶさに見ていたレイカは知っていた。自分の指で格がイキそうになっていることを。彼女は愛しげに目を細めて、絶頂時に見せるであろう彼の乱れざまに思いを馳せる。
(イクのか? イクんだな? ヘヘヘ……いいぞ。思いっきりイッちまえ! お前のイキざま、アタイがじっくり見ててやるよ)
 レイカが指を抜き差しする速度を上げてスパートをかけた。外からは見えないが、格の内部は複雑に蠢き、指を締めつけている。彼女はトドメとばかりに、空いた手で彼の乳首を摘み、捻り上げた。
「んっ! んううううううぅっ! んむうううううううううぅっ!」
 ビクン! と一際強く格の腰が突き上げられて、全身が大きく痙攣する。二、三度同じ動きが繰り返されて静止した。体中の筋肉を張り詰めて、腰を反らせたまま。そして一瞬あとに筋肉は弛緩し、彼は四肢を投げ出す。レイカが口を離すと、格は荒い息を吐いて絶頂の余韻に翻弄されていた。
「どうだい? 女にイかされるのも悪くないだろ? さあ、今度はお前がアタイを気持よくさせる番だぜ。女同士は男と違って、何度でもできるんだ。ヘトヘトになるまでな。もう少し遊んでやるよ」
 レイカが彼の顔へ尻を向けてきた。

(イかされ、る? イかされるって、何? ひょっとして、さっきの……アレ? そっ、か……。アレが……アレが、イかされるってことなんだ。あんなにも凄いものだなんて……)
 体の震えが未だに収まらないまま、快楽の強い余韻が抜け切らない頭で、ボンヤリと格は感じていた。
 ふと気づけば、顔前にレイカの股間が見える。パックリと開き、粘液に塗れた中身を晒していて、いやらしい匂いが格の鼻をくすぐる。一見グロテスクなその佇まいに、不思議と嫌悪は感じなかった。
(つやつやしてて、鮮やかなピンク色……。いやらしいはずなのに、なんでだろう……凄く綺麗だ)
 格はただただ卑猥な芸術品に見惚れていた。脚が開かれ、つけ根の中心に口づけられるまでは。あまりの刺激にヒュッと喉が鳴る。
 軟体動物が這い回っているみたいな感覚は、言葉で言い表せないものを含んでいた。敢えて言えば、股から血の気が引いていくようで寒々しく感じられる何か。やめて欲しいような、続けて欲しいような、複雑な感情。
「かっ、は……! そこ……ダメ……。汚、い……から……。はっ、はあああ! それ、気持ち……よすぎ、て……。あ! やめ……」
 激しすぎる快感から逃げようと格の腰が揺らめく。あるいは、もっと感じさせてと求めるようにソコを押しつけた。レイカは彼の動きを御して、しばらく快感を送り続ける。
 やがて、彼の腰は逃げようとする動きより、快感を求めようとする動きが多くなってきた。彼女はそこでようやく顔を上げる。
「確か、メイリン……だったな。お前の名前。なあ、メイリン。続けて欲しくなったんだろ? それなら、アタイのやること真似しろよ。お前一人気持ちよくなるのは、不公平ってもんだ」
 言いながらもレイカは、格の興奮が冷めないように、指での愛撫を続けている。すっかり口奉仕の虜となった彼は、素直に頷いて彼女の言葉を肯定した。
 レイカは目の端でそれを確認すると、口奉仕を再開する。彼女の舌の動きを真似て、格も追随した。彼は微かな酸味を舌の上に感じたが、思ったほど嫌ではない。高ぶった気持ちのせいなのだろう。匂いも味も気にならないどころか、更なる情欲を呼び覚ます。
 彼女は彼女で、格が施す拙い愛撫で気分が高揚していた。どこかぎこちない舌使いは、愛撫に慣れたレイカの体にはもどかしく、逆に新鮮な感覚を与えてくる。それは彼の初々しさを浮き彫りにさせ、女同士の世界へ引きずり込むことの悦びを彼女は改めて感じた。
(これこれ、この新鮮さ。たまんねぇな。これだから、ノンケとのレズはヤメられねぇんだ)
 興に乗ってきたレイカの舌技が濃厚さを増す。小陰唇のビラビラへ舌を這わせ、輪郭をなぞるように唇でついばむ。舌先を尖らせて、秘裂を掠めるようにチロチロと舐める。クリトリスの縁を辿り、口へ含む。愛液を啜って、熱い吐息を吹きかけ、貪るようにしゃぶりつき、膣口に舌を差し入れ、ネットリとキスを交わす。もちろん、指で鼠径部を愛撫するのも忘れない。
(も……う、何が……何だか……)
 格は既にレイカの紡ぐ快楽の虜となり、溺れ切っている。初めのうちは彼女の動きを真似していただけだったのに、いつの間にか、自分の動きを彼女に真似されていた。それは彼自身の舌で自分を慰めているように錯覚させる。結果、自分を見失った彼が自分を保つには、与えられる快楽へ縋りつくより他に術がなかったのだ。
 レイカが舌に強い酸味を感じ始めた。顔を離して秘園を見れば、充血してプックリと膨れたクレバスが綻び、中身を覗かせている。更にはヒクヒクと収縮し、白く濁った愛液――本気汁を滲ませていた。
(あーあ。こりゃもう、イキ着くとこまでイかなきゃ収まらなくなってるな。そろそろ頃合いかね)
 不敵な笑みを浮かべて、彼女は素早く体勢を入れ替え、脚を組んで互いの股間をくっつかせ、いわゆる「松葉崩し」の体位をとる。この場合は女同士だから、俗に「貝合わせ」の状態とも言える。
 更にレイカは腰を押しつけて、濡れた外性器同士を密着させた。吸盤のように吸いつき合う女陰は、格に強い快感と彼女に対する奇妙な一体感を覚えさせる。
(なっ、何これ? 凄い一体感……。それに……凄く、気持ちイイ……。今までも……凄かったのに……。これ以上、されたら……ボク、どうなっちゃうの?)
 不安と期待が入り混じった表情を彼はレイカに向ける。彼女は格の顔に加虐心をソソられた。
「おいおい、なんつー顔すんだよ。ここにきてソレは反則だぜ。マジ可愛すぎ。そんな顔されたら、アタイもう止めらんねぇぞ?」
 言うが早いか、彼女の腰が猛スピードで動き出す。押しつけられるクレバスの熱さや擦れ合わされるヌルヌル感、ヴァギナが離れるときの吸い出されるような吸着感は、彼にはたまらない快感だった。加えて、時折掠めていく陰核への刺激が、それを加速する。
「ひううぅっ……。それ……ダメ! 凄すぎ……あっ、あはあっ! や、あ……。何か……クル……キちゃう、キちゃうぅっ! ダメッ、ダメえぇっ! あっ、あっ、あっ、ああああああああああああああぁっ!」
 格の腹部が激しく痙攣する。次の瞬間には、それが全身に波及して大きな絶頂のうねりとなった。
「アタイも。アタイも……イク。イクうぅっ!」
 彼に遅れること数瞬、レイカも音を上げてアクメを迎える。但し、密着した股間は離さない。二人の迎えたオルガスムスの動きが一つになって、更なる高みへと押し上げた。
「え? あ? なっ、何で? キてるのに……キてるのに、まだ止まららいろ? ラメ、らよぉ。コエ、おかひくらる……。あはっ! ふごい、よ……。また、キへるぅ……。キへるのぉっ!」
 感極まるあまり、呂律が回らなくなる格。それは彼女も同じだった。
「あああああっ、イイっ! コエ、は……クヘにらる。アタイも……こんらろ、初めてら……」
 そして……。
「イクうぅっ!」
 二人の嬌声がハモる。しばらくの間、激しい余韻に動けず、お互いに体をビクつかせながら荒い息を吐く。
 先に動いたのはレイカだった。経験がある分、復帰も早いのだろう。まだ若干フラつきながらも気怠げに起き上がる。
「フッフフ……。スゲェよかったぜ。ついでにルールが変わったみてぇだ。これからこの時間は、勝者のためのご褒美タイムから勝者とのセックスバトルになるってよ。表の勝者は変わんねぇが、ここでのバトルに勝つと裏で色々楽しめるって寸法みたいだぞ」
 ニヤリと笑いながら彼女が言う話を、格は夢見心地のボンヤリした頭で聞いていた。
「とりあえず、裏でのセックスバトルはアタイの勝ちらしいな。もっとしてやりたいのはやまやまなんだが、そろそろ表の時間だ。早く着替えていけよ」
 レイカに促された格は余韻に震えておぼつかない体を起こし、ノロノロと際どいチャイナ服をその身に纏っていく。
「じゃあな、メイリン。お前が帰ってくるのを楽しみに待ってるぜ」
 送り出されるレイカに耳元で囁かれ、ゾクリと背を震わせる格の胸中は、なぜか期待に満ち溢れていた。
 格は自分の行く末に一抹の不安を感じながら、次のステージへ向かう。

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05/11のツイートまとめ

amulai

RT @KU__MA__NO__MI: 女体化した事は受け入れてるんだけど女としての自分に実感が持てなくて男に抱かれる事でそれを埋めようとして気が付いたらビッチ化しちゃってるTSっ娘が欲しいと思ったけど随分前に書いてたからビタイチ成長してない幼女ですし。
05-11 23:43

RT @Takashi_Shiina: よろしくね。 >椎名先生の[ウルトラマンネクサス]ついに単行本化!5/18発売!! http://t.co/sxpM1phlm6 #少年サンデー http://t.co/7a7Ev3R7Hx
05-11 23:42

RT @azukiranatuine: 「女の偽名を名乗ることで女性的なペルソナを被り好き放題していた子が、女のように犯されて逆に女性的なペルソナによって自我の男性を揺り動かされる屈辱」か、「男女どちらでも名乗れるが男の子を自分の基点と思って女の子の側に片足入れて遊んでいた子が…
05-11 22:28

RT @daradarach: しのざき嶺先生原画で「主人公の男の娘が犯される」エロゲが出るってそれ本気で言ってる??????予約はよたのむ買うから!やるから! http://t.co/Xf9Z8V4RkE
05-11 22:17

RT @F_TSF: 金と労力が無限にあれば、無限にTSF漫画作るわ。
05-11 21:29

RT @koikekazuo: これだけ漫画やアニメやゲームが発達している日本が、他国に比べて断然犯罪率が低いと言う事実を、それらと犯罪を結びつけて表現規制を望む人達がどう説明するのか聞いてみたい。(小池一夫)
05-11 20:56

RT @Ichinomiya__: 電車で男二人組がいたんだけど、満員すぎて片方が片方を壁どんしてる体勢になってたんだが、その時の会話が「これ、俺が女の子だったらやばいわ」「男でもやばくなってるだろ?」「うん…///」「このあとうちくるか?」「いく!」「もう声大き…
05-11 20:51

RT @tatsurokashi: 安くてもボクがやります!と手を挙げる若手?がいるかぎり、webの原稿料なんてナンボでも下がります。低予算の映画・OVの世界が「安くてもやります!」な情熱溢れる人たちのお陰で市場としては死んでしまったのと同じ現象。止める手立てはありません。
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アナルを開発して美少女になろう!#TSFの卵
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