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ビーストテイマーズ (6)~(10) By アイニス
挿絵:倉塚りこ
(6)
手足がくすぐったい。コウは安眠していたが、皮膚を撫でられ続けて薄目を開いた。まだ体調が完全ではなくて、頭に血がなかなか巡らない。
「うっ?」
コウは逆光で影になっている人物に覆いかぶさられていた。その手には太陽の光を反射して光るナイフが握られている。命の危機だというのに、殺気を感じなかった己の不覚をコウは恥じた。ナイフは首に迫ろうとしている。
「あれ?」
痛みは感じなかった。むしろ皮膚を撫でられてくすぐったい。コウは拍子抜けしていた。
「起こしてしまいましたか。すいません」
ここ数日で聞きなれた耳に優しい声。レイはナイフでコウの毛を剃っていた。
「気にしていたようですので」
「また生えるだろ」
シーツにはコウが思うよりも多くの毛が散乱していた。手足を見ると毛が綺麗になくなっている。右腕は久しぶりに露出していて、肌寒く思えるほどだ。
「……おい」
人間らしい姿には安堵を覚えるが、毛糸パンツの中を見たコウは情けない顔をした。陰毛まで除毛されて、性器が丸裸にされている。大事な場所にナイフを当てられていたとわかると、悪寒で金玉が縮こまった。陰毛をなくした性器は、守りを失って萎んで見える。
「余計なことをするなよなぁ」
「つい毛を剃る作業に没頭してしまったようです」
「はあぁっ」
大げさに溜息を吐いたが、レイは悪びれていない。お節介すぎるのは厄介だ。
「お湯を沸かしましたので体を洗いますね」
「……よろしく」
不満はあるが、お湯を用意してくれるのはありがたい。剃った毛が皮膚に残ってちくちくしている。それにお湯に浸かって汚れを落とせば、気分も晴れるだろう。
「胸の傷はもう良くなっているでしょうし、外しますね」
「腹に巻いた包帯は解かないのか?」
「まだ様子を見た方がいいですね。それに、お腹の包帯は特殊な生地を使っていて、外から水が染みないようになっています」
レイが結び目を解くと、包帯の拘束が緩んで息が楽になった。固く縛っていたので胸が締めつけられていたのだ。
「……腫れてないか?」
見た目では傷は癒えていたが、乳首が突っ張って胸が腫れていた。皮膚が張り詰めていて、胸の内側が疼いている。グリズリーの一撃は肋骨が折れたかと思えるほどだったので、打ち身の腫れがまだ引いてないのかもしれない。
「体を洗い終わったら調べてみますよ。そんなに問題はなさそうですけどね」
「俺も大丈夫だとは思うけどさ」
あと数日もすれば腫れは引くだろう。深刻になる必要はない。
「お風呂の準備をしますね」
まだ足腰に力が入らないコウの為にレイが用意したのは木の桶だった。高くはないが横幅は広くて子供なら二人は入れそうだ。木の桶にお湯を張ると、もうもうと湯気が立つ。
コウはレイの肩を借りて立ち上がると、ゆっくりとお湯に浸かった。
「湯加減はどうですか?」
「ふぅ、生き返るようだ」
あぐらをかいても足腰までの深さしかないが、じんわりとした心地よさが足から這い上がる。
「かなり汚れているなぁ」
お湯を手ですくって顔を洗うと、汗と脂でぬるっとしている。
「まずは頭から洗いますね」
コウの体がお湯に馴染んでほんのりと色づいたところで、レイは柄杓でお湯をすくって髪にかけた。それだけでお湯が黒くなって、顔に垂れ落ちてくる。髪が十分な水分を含んだところで、レイは石鹸を泡立て始めた。
「目に入ると染みますので、閉じていてください」
「その石鹸からはいい匂いがするな」
植物の爽やかな香りを嗅ぐと、安らいだ気分になれる。

「オリーブとハーブを材料にした石鹸ですね。清々しい香りがして、しつこい汚れも落としてくれます」
髪の毛を洗って泡立たせたまま、レイは顔、首、背と洗っていった。手拭いなどの道具は使わずに、レイは手を使って洗っている。石鹸に塗れてねとねとした指先で優しく肌を撫でられると、ぞわぞわした感じが広がって変な気持ちになる。
「もっと強く擦ってくれ」
「力を入れすぎると皮膚を傷めますよ」
洗い方を変えるよう頼んだが、レイは優しく撫で回すだけだ。コウは自分で洗えば良かったかなと後悔した。背中を洗い終わった手が尻まで下がる。
「うひぃ」
コウは上擦った声で呻いた。背筋を這い上がった衝撃は、新手の拷問かと思えた。尻を触られるたびに、得体の知れない熱が蠢いている。異様な感覚に変な呻き声が出そうで、尻から手が離れるまで息を止めていた。
「ふぅ、やっと終わりか……はうぅぅっ」
尻を洗い終わったと思って油断していた。気が緩んだ瞬間に、胸を触られていた。レイは手で包むようにしてソフトなタッチで洗っている。甘く疼くような電流が肺を圧迫して、コウ自身が聞いたことのない艶やかな声が飛び出す。
「ああっ、や、やめっ、やぁっ……」
止めろと言おうとしているのに、横隔膜が震えて声にならない。腫れてむず痒いだけの胸を手で洗われただけで、未知の快感が走って全身から力が抜けてしまった。コウの頭は胸から送られた情報を理解できずに混乱していた。
「はぁ、こんなの、おかしい……うぅっ」
頭に霞がかかって、レイの手を振り払えなかった。胸板は十分に洗ったと思うのだが、レイの指は胸を彷徨い続けている。コウは解放されたいのだが、頭の片隅で続けてと思う心があって戸惑った。
「はうぅぅぅっ」
胸から手が離れた時は、全身が弛緩していた。気だるい感じに包まれて、半ば開いた目が虚空を彷徨っている。だから、股間を触られても抗えなかった。刺激に敏感になっている体は、男根を軽く撫でられただけで暴発した。
「ふぅ、ああっ!」
白い粘液が迸った。青臭く獣っぽい臭気が空気に混ざる。溜めこんでいた精はかなりの量があった。
「汚れてしまいましたね」
「ひぐぅ、刺激が、つよっ……ふあっ!」
レイは優しい声で微笑むと、射精したばかりで敏感な男根をまたもや洗った。激しい快感にコウは翻弄されて悲鳴に近い声が出る。一度目と同じくらいの精が吐き出された。精力を消耗するにつれて男根は萎びて縮んでいく。
「せっかくですから、綺麗にしておきましょう」
コウは辺りを白く汚さなくなるまで、股間を洗われ続ける羽目になった。最後はもう透明な滴しかこぼさない。精を限界まで絞られた陰嚢は、中身が軽くなって萎縮していた。
「湯冷めしないようにこちらをどうぞ」
青息吐息なコウは自分がいつ衣服に袖を通したのか覚えがない。ローブのような服で前開きは帯で締めるようになっていた。天然の素材で作られた絹製で、着心地は羽毛を纏っているようだ。
「……高そうだ」
貧乏な生活をしていたコウが思ったのは、まずは値段のことだった。白い光沢のある服は金持ちが着ていてもおかしくない。
「よくお似合いですよ」
レイは褒めてくれたが、これなら裸の方が安心する。防具を兼ねた皮製の服に慣れているので、薄くて軽い服は落ち着かない。無防備にされた気分だ。
「今日は疲れた……」
ぐったりとしていたが、体が火照ってなかなか寝付けない。いくら精が溜まっていたとはいえ、男の手でいかされて自己嫌悪。ただ一方でレイの繊細な指使いは快感だったのは確かだ。あの愉悦に身を委ねたらさぞ気持ちいいだろう。コウはあらぬ想像をして赤面した。
「痛いです」
「うるさい」
隣で幸せそうな顔で寝ていたレイに苛立って、コウはぽかりと頭を殴りつけていた。危うく認識を変えられて、おかしな気分になるところだった。レイの肌と接すると無駄に緊張してしまうので、コウは壁に張りつくようにして眠った。
(6)
手足がくすぐったい。コウは安眠していたが、皮膚を撫でられ続けて薄目を開いた。まだ体調が完全ではなくて、頭に血がなかなか巡らない。
「うっ?」
コウは逆光で影になっている人物に覆いかぶさられていた。その手には太陽の光を反射して光るナイフが握られている。命の危機だというのに、殺気を感じなかった己の不覚をコウは恥じた。ナイフは首に迫ろうとしている。
「あれ?」
痛みは感じなかった。むしろ皮膚を撫でられてくすぐったい。コウは拍子抜けしていた。
「起こしてしまいましたか。すいません」
ここ数日で聞きなれた耳に優しい声。レイはナイフでコウの毛を剃っていた。
「気にしていたようですので」
「また生えるだろ」
シーツにはコウが思うよりも多くの毛が散乱していた。手足を見ると毛が綺麗になくなっている。右腕は久しぶりに露出していて、肌寒く思えるほどだ。
「……おい」
人間らしい姿には安堵を覚えるが、毛糸パンツの中を見たコウは情けない顔をした。陰毛まで除毛されて、性器が丸裸にされている。大事な場所にナイフを当てられていたとわかると、悪寒で金玉が縮こまった。陰毛をなくした性器は、守りを失って萎んで見える。
「余計なことをするなよなぁ」
「つい毛を剃る作業に没頭してしまったようです」
「はあぁっ」
大げさに溜息を吐いたが、レイは悪びれていない。お節介すぎるのは厄介だ。
「お湯を沸かしましたので体を洗いますね」
「……よろしく」
不満はあるが、お湯を用意してくれるのはありがたい。剃った毛が皮膚に残ってちくちくしている。それにお湯に浸かって汚れを落とせば、気分も晴れるだろう。
「胸の傷はもう良くなっているでしょうし、外しますね」
「腹に巻いた包帯は解かないのか?」
「まだ様子を見た方がいいですね。それに、お腹の包帯は特殊な生地を使っていて、外から水が染みないようになっています」
レイが結び目を解くと、包帯の拘束が緩んで息が楽になった。固く縛っていたので胸が締めつけられていたのだ。
「……腫れてないか?」
見た目では傷は癒えていたが、乳首が突っ張って胸が腫れていた。皮膚が張り詰めていて、胸の内側が疼いている。グリズリーの一撃は肋骨が折れたかと思えるほどだったので、打ち身の腫れがまだ引いてないのかもしれない。
「体を洗い終わったら調べてみますよ。そんなに問題はなさそうですけどね」
「俺も大丈夫だとは思うけどさ」
あと数日もすれば腫れは引くだろう。深刻になる必要はない。
「お風呂の準備をしますね」
まだ足腰に力が入らないコウの為にレイが用意したのは木の桶だった。高くはないが横幅は広くて子供なら二人は入れそうだ。木の桶にお湯を張ると、もうもうと湯気が立つ。
コウはレイの肩を借りて立ち上がると、ゆっくりとお湯に浸かった。
「湯加減はどうですか?」
「ふぅ、生き返るようだ」
あぐらをかいても足腰までの深さしかないが、じんわりとした心地よさが足から這い上がる。
「かなり汚れているなぁ」
お湯を手ですくって顔を洗うと、汗と脂でぬるっとしている。
「まずは頭から洗いますね」
コウの体がお湯に馴染んでほんのりと色づいたところで、レイは柄杓でお湯をすくって髪にかけた。それだけでお湯が黒くなって、顔に垂れ落ちてくる。髪が十分な水分を含んだところで、レイは石鹸を泡立て始めた。
「目に入ると染みますので、閉じていてください」
「その石鹸からはいい匂いがするな」
植物の爽やかな香りを嗅ぐと、安らいだ気分になれる。

「オリーブとハーブを材料にした石鹸ですね。清々しい香りがして、しつこい汚れも落としてくれます」
髪の毛を洗って泡立たせたまま、レイは顔、首、背と洗っていった。手拭いなどの道具は使わずに、レイは手を使って洗っている。石鹸に塗れてねとねとした指先で優しく肌を撫でられると、ぞわぞわした感じが広がって変な気持ちになる。
「もっと強く擦ってくれ」
「力を入れすぎると皮膚を傷めますよ」
洗い方を変えるよう頼んだが、レイは優しく撫で回すだけだ。コウは自分で洗えば良かったかなと後悔した。背中を洗い終わった手が尻まで下がる。
「うひぃ」
コウは上擦った声で呻いた。背筋を這い上がった衝撃は、新手の拷問かと思えた。尻を触られるたびに、得体の知れない熱が蠢いている。異様な感覚に変な呻き声が出そうで、尻から手が離れるまで息を止めていた。
「ふぅ、やっと終わりか……はうぅぅっ」
尻を洗い終わったと思って油断していた。気が緩んだ瞬間に、胸を触られていた。レイは手で包むようにしてソフトなタッチで洗っている。甘く疼くような電流が肺を圧迫して、コウ自身が聞いたことのない艶やかな声が飛び出す。
「ああっ、や、やめっ、やぁっ……」
止めろと言おうとしているのに、横隔膜が震えて声にならない。腫れてむず痒いだけの胸を手で洗われただけで、未知の快感が走って全身から力が抜けてしまった。コウの頭は胸から送られた情報を理解できずに混乱していた。
「はぁ、こんなの、おかしい……うぅっ」
頭に霞がかかって、レイの手を振り払えなかった。胸板は十分に洗ったと思うのだが、レイの指は胸を彷徨い続けている。コウは解放されたいのだが、頭の片隅で続けてと思う心があって戸惑った。
「はうぅぅぅっ」
胸から手が離れた時は、全身が弛緩していた。気だるい感じに包まれて、半ば開いた目が虚空を彷徨っている。だから、股間を触られても抗えなかった。刺激に敏感になっている体は、男根を軽く撫でられただけで暴発した。
「ふぅ、ああっ!」
白い粘液が迸った。青臭く獣っぽい臭気が空気に混ざる。溜めこんでいた精はかなりの量があった。
「汚れてしまいましたね」
「ひぐぅ、刺激が、つよっ……ふあっ!」
レイは優しい声で微笑むと、射精したばかりで敏感な男根をまたもや洗った。激しい快感にコウは翻弄されて悲鳴に近い声が出る。一度目と同じくらいの精が吐き出された。精力を消耗するにつれて男根は萎びて縮んでいく。
「せっかくですから、綺麗にしておきましょう」
コウは辺りを白く汚さなくなるまで、股間を洗われ続ける羽目になった。最後はもう透明な滴しかこぼさない。精を限界まで絞られた陰嚢は、中身が軽くなって萎縮していた。
「湯冷めしないようにこちらをどうぞ」
青息吐息なコウは自分がいつ衣服に袖を通したのか覚えがない。ローブのような服で前開きは帯で締めるようになっていた。天然の素材で作られた絹製で、着心地は羽毛を纏っているようだ。
「……高そうだ」
貧乏な生活をしていたコウが思ったのは、まずは値段のことだった。白い光沢のある服は金持ちが着ていてもおかしくない。
「よくお似合いですよ」
レイは褒めてくれたが、これなら裸の方が安心する。防具を兼ねた皮製の服に慣れているので、薄くて軽い服は落ち着かない。無防備にされた気分だ。
「今日は疲れた……」
ぐったりとしていたが、体が火照ってなかなか寝付けない。いくら精が溜まっていたとはいえ、男の手でいかされて自己嫌悪。ただ一方でレイの繊細な指使いは快感だったのは確かだ。あの愉悦に身を委ねたらさぞ気持ちいいだろう。コウはあらぬ想像をして赤面した。
「痛いです」
「うるさい」
隣で幸せそうな顔で寝ていたレイに苛立って、コウはぽかりと頭を殴りつけていた。危うく認識を変えられて、おかしな気分になるところだった。レイの肌と接すると無駄に緊張してしまうので、コウは壁に張りつくようにして眠った。
05/22のツイートまとめ
amulai
RT @kurumi_alca: 魔法少女さん / 縛 http://t.co/2w1LY6guxy / 3話がTS該当(他者変身)と聞いて。3話まですぐ読めてしまうのでどうぞ。
05-22 19:57RT @kiuko_: おっさんも皆ロリに・・・ http://t.co/bGs3HEUGiN
05-22 11:21