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ビーストテイマーズ (11)~(15) By アイニス

挿絵:倉塚りこ

(11)

 黒い装束の男が上機嫌で野山を歩いていた。人の手がまるで入っていない、細く険しい獣道。そんな悪路でずっしりとした重い袋を担いでいるが、男は全く気にしてなかった。むしろ肩に食い込む荷物が重ければ重いほど、男にとっては幸せだった。
「ちょろい仕事だったぜ」
 男は鼻で笑った。静寂が支配する深夜に商人の店に忍び込み、金品を盗み出してきたのだ。盗人が狙うのは中規模の商店だった。大商人は護衛を雇っている場合が多く、警備が厳重だ。成功すれば旨みはあるがリスクが大きい。そんな危険を冒す気はなかった。
 平凡な商人には常に護衛を雇うほどの余裕はない。商人が追っ手を差し向けようにも、盗人は顔を見られるようなへまはしなかった。これなら犯人が誰かはわからないだろう。街から離れた山奥の小屋にお宝を隠して、ほとぼりが冷めた頃に売り払えばいい。
「これでしばらくは遊べるな」
 盗人は切り株に腰を下ろして一息ついた。健脚とはいえ、街から休まずに逃げてきたのでくたびれている。山の中に入ってしまえば、もう一安心だ。この山に熟知した盗人にとっては庭に等しい。追っ手がいたとしても撒くことなど容易だろう。
「何だか寒気がするな」
 誰かに見られているような嫌な感じがして、盗人は身震いをした。まとわりつくような視線を感じる。辺りを見回してみるが、怪しいものは見当たらない。
「気のせいか……」
 額に流れた冷たい汗を手で拭って、盗人は早足で山を登り始めた。不吉な予感が拭えない。後ろから足音が聞こえるような気がする。
「遠くで鳴き声が聞こえたか?」
 猟犬を放たれたのかもしれない。
「もう少し時間は稼げると踏んだが、気づかれるのが早かったな」
 追っ手を雇うにしては早い。盗人は用心の為に特殊な粉をばら撒いた。鼻が利く動物でもこれでいちころだ。例え猛獣使いが扱う優れた獣であろうとも、強烈な臭いで鼻が使いものにならない。
「急ぐとするか」
 早足から駆け足になって盗人は山を登ったが、背後から迫る気配は濃厚さを増していく。明らかな遠吠えが山に木霊した。
「くそっ、どうしてだ!」
 悪態を吐くと同時に黒い影が飛翔した。犬の一匹や二匹、どうとでもできる。盗人は大振りな短剣を引き抜いた。
「ウオォォン!」
 黒い影は俊敏な動きで木に駆け上ると、盗人を見下ろしていた。ぽたりと生ぬるい水滴が盗人の頬にかかる。微かに甘酸っぱいような匂いがした。
「なんだぁ、雨か?」
 盗人が空を見上げても月は出ていた。そして、太い木の枝には、ふさふさの尻尾をなびかせ、鋭い耳を持った生物が身構えていた。
「獣か? いや、違う!」
 驚愕の声が暗い森に響く。それは四足の獣ではなく、人の姿に近かった。


 犬神コウは端整な顔を飽くことなく眺めていた。太陽のように煌びやかな金髪が目を引き付ける。ベッドの隣では獅堂レイが熟睡していた。魔獣退治での負傷と疲労はさすがに一晩では癒えない。顔には疲れの色が見えた。
「はぁ、眠れない」
 二人で眠るには狭いベッド。肌が触れ合わずにはすまされない。
「俺は恋する乙女かよ。まったく……」
 コウは自分の感情を持て余していた。体がレイに寄り添おうとする。腹の傷が完治する一週間前は一緒に寝ていたというのに、隣にいるレイの存在が気になって仕方ない。熱病のように体が火照って眠れそうになかった。
「夜風にでも当たってくるか」
 羽織っていたシルクのローブを脱ぎ捨てる。首輪だけで全裸に近い格好ではあるが、深夜だし人目はないだろう。それに大事な場所にはパンツのように濃い獣毛が生えている。
「胸はまぁいいか」
 女になった自覚の足りないコウには、胸に対する羞恥心は薄い。それに夜行性の狼の習性が夜になると色濃く出るのか、服を脱いだ方が自由な気分になれるのだ。
「ふぅ、さっぱりする」
 憂さを晴らすようにコウは遠吠えをした。ひんやりとした夜の空気に触れていると、体に溜まった熱が抜けていく。
「ん?」
「ああ、どうしよう」
 そろそろ戻ろうかと思っていたコウは、消え入りそうな切迫した声を聞いた。
「聞き覚えのある声だったな」
 人とは異なる大きな獣耳がぴくぴくと動く。狼の聴力は悲嘆に暮れる女の声を捉えていた。
「こっちかな」
 助走もなしにコウはふわりと跳びあがった。空を飛んでいるかのような浮遊感が爽快だった。近くの二階建ての屋根に着地すると、声が聞こえた方向に視線を向けた。まだ若い女性が小走りに駆けてはきょろきょろと辺りを見回している。何かを探しているような素振りだ。
「あれは……」
 見知っている顔だ。困っているようなのに、ここで知らん振りをするのは心苦しい。お節介かなと思いながらも、コウは屋根から屋根へ軽やかに飛び乗って女性へと向かった。屋根にかかる衝撃は弾力のある肉球が吸収して静かだった。
「よっ」
「きゃっ!」
 屋根から垂直に飛び降りる。いきなり現れたコウに驚いて女性は短い悲鳴を上げた。間近に見てみると、やはり知り合いだった。雑貨屋の看板娘をしているユリだ。よほど慌てているのかパジャマ姿のままだ。雑貨屋の親父さんの店で一生懸命に働いている娘で、愛嬌のある笑顔が印象に残っている。ただその顔は今にも涙がこぼれそうなくらいに曇っていた。
「ユリ、こんな夜更けにどうしたんだ?」
 常連と呼べるほどにはコウはお世話になっていて、商品をまけてもらったこともある。ほっとけなかった。
「あたしの名前をどうして?」
 名前を呼びかけられたユリは不思議そうな顔をしている。じっとコウの顔を見ているが、暗くてあまりわからないようだ。
「も、もしかして人さらい?」
「違うぞ」
 コウは苦笑した。こんな真夜中に女の子が一人で歩いていれば、悪い考えを持つ者が出てもおかしくはない。もっとも、今となってはその女の子に含まれることをコウは忘れている。
「やだ、おっかけかしら。困ります。あたしにはそんな趣味はないし……」
 ユリは小声で呟いているが、コウの耳は全てを聞き取っていた。どうやら変質者に思われているらしい。ユリは小鳥のような可愛らしさがあって、ごろつきに体を狙われたことがある。その時はたまたま近くを通ったコウが助けたので無事だった。
「ごめんなさい。あたしには心に想っている人がいるんです。お友達ならいいですから」
「いやいや、違うって」
 会話の通じなさにコウは多少辟易していた。気配りができる娘だが、思い込みが激しいところがある。
「俺だ。コウだよ。困ったことがあるんじゃないのか。俺でよければ相談に乗るぞ」
「……えっ? コウ君?」
 ユリは息の届く距離まで近づくと、まじまじとコウの顔を眺めた。
「あの、何を? はぅっ……」
 続いてコウの胸の形を確かめるように撫でてくる。円を描くようにおっぱいを触られて、コウは危うく喘ぎ声が出そうになった。
「確かに顔はコウ君っぽいけど……おっぱいがある……」
「へ、変な気分になるから、そんなに揉まないでくれって。それどころじゃないんだろ」
 飽くことなくおっぱいを揉まれて、乳首がぷっくりとしてきた。また体が火照ってきそうではなはだまずい。コウはユリに注意をして、話題を元に戻した。
「は、はい。うちに泥棒が入ったらしくて。あとを追おうと思ったのだけど……」
 正気に戻ったユリの顔は蒼白で今にも倒れそうだ。足元が覚束ない。盗人はもう遠くまで逃げてしまっているだろう。素人が追えるようなものではない。
「俺が家まで送るから。現場を見せてくれれば力になれるかもしれない」
 ふらふらとしているユリを抱きかかえると、コウは雑貨屋に向かって走り始めた。無駄足になるかもしれないが、世話になっている人間は見捨てられない。
「うふふ、やっぱりコウ君だね。頼もしいな」
 横抱きにされたユリは、コウにしがみついてきた。顔色は冴えないが、心なしか嬉しそうだった。
「ありがとう、コウ君。あの、何かわかりそう?」
「郊外に向かって微かだけど気配が残っているな」
 雑貨屋の倉庫に案内されたコウは、微かに残る臭気を感じ取った。ただの人間ならば気づかないだろうが、狼の嗅覚は敏感に空気の違いを嗅ぎ取る。あと少しで空気にまぎれてわからなくなるが、今ならばまだ追えるだろう。追っ手を雇っている時間はない。
「眠れないだろうから、温かいものでも飲んで体を冷やさないようにしろよ。俺に任せておけって」
 自信満々に胸を叩いたコウは、乳房を叩いてしまい涙目になりそうだった。ここで情けない姿は見せられないので、ぐっと痛みを我慢する。
「こ、これから鼠を追い詰めてやるさ」
 コウの目が生き生きと輝き始めた。狼には獲物を一晩中追いかけるような執拗さがある。ここで盗人を逃がす手はない。
「う、うん、待っている」
 後ろで大げさに手を振るユリをあとにして、コウは臭いを追って飛ぶように駆け出した。

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まさしく男女のBODY SWAPですが、エロ美味しいところの大半は女主人公の方が持って行ってしまって我々的にはあんまり美味しくないと言うwそうですねー、7ページぐらいかなぁ。男主人公の方が美味しいの。
やや割高と評価します。

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20130401 1巻レビュー
20130814 2巻レビュー

チハルくんの密かな楽しみ

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05/23のツイートまとめ

amulai

RT @monu_NANOHAss: 俺は感想書くときはお兄様を褒める司馬深雪くらいの心持ちでやってるよ
05-23 23:23

デリヘルで呼んだ女の子にチェンジと言った俺は、その女の子と入れ替わってしまい・・・#TSFの卵
05-23 20:48

RT @taniya001: 明日のさいけっとのお品書きこちらです!!よろしくお願いします!!! http://t.co/6a1FiRE4PA
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RT @taniguti_san: 私にとって重要なのはTS該当かどうかではなく、オカズになるTS該当かどうかです!
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RT @F_TSF: 来年の夏頃、今年の冬コミ本+去年の冬コミ本(除:こすぷれすわっぷ)の合計400ページぐらいの本(鈍器)を、印刷代低減のためにA5サイズに縮小した上で、amazonで2800円ぐらいで売ってみようかな、とか。
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