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アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-5〉


「ナタリー!開けろ!おいっ!!」
握った拳で、叩く。
けれども、扉は固く閉じられたままだった。
「ごめんなさい!けど、あなたの安全を考えるとこれが一番なんです!」
「そ……そんなぁ!た、頼む……開けてくれ!」
今、仲間の中で一番弱いのはアスランである。
宝具と言う特殊な武器もなければ、魔法の杖もない。
確かに自分は足手纏いの何者でもないのだろう――が。
(こ、こんなのって――ないだろう!俺だって何かできる……はずだ!)
理性が、納得出来る訳がない
自らの非力さを自覚できたとして――自分の仲間が頑張っているのに、何もしないなど考えられない。
(くそ!くそくそ!俺は男……いや男や女なんて関係ない!)
このままただ守られるだけの姫役なんて、冗談ではない。
ナターシャやナナミ、そしてナタリーに保護されたまま終わる――それは男とか、女とか関係ない。
実に最低なことだ。
今後も彼女らの仲間を名乗るなら、何かしなければならなかった。
「俺だって……ッ!」
キョロキョロと辺りを見渡す。
あまり整理されていない部屋には、残念ながら役立ちそうな物はなかった。
(研究器具や、本だけ……?古文書だけじゃ……いや、あれは!)
一番大きな――同時に、一番散らかっていた――机の上に、光を反射する物体を発見する。
それは斧だった。
何かの古代魔法陣の上、人の赤ん坊ぐらい大きな書物の横に戦斧が置かれていた。
(こ……これなら――!)
これも危険な魔王の遺産のひとつではないのか、と使うのを躊躇うのも一瞬。
アスランは、その細くたおやかな指で柄を掴むと、勢いよく――。
「んぎゃッ!?」
振りかぶろうとした。
だが、失敗だった。
かなりの重さだった斧に腕を引っ張られ、床に転倒してしまったのだ。
「い、いた……い」
しかも、強かに額を床にぶつけてしまった。
涙腺の緩い女の瞳から、大きな雫が溢れた。
(何をやっているんだ!俺は……情けない!)
一人勝手に空回りしている自分が、あまりにも滑稽だった。
(こんなことしている内に、ナタリーやナターシャ!ナナミも危険な目にあっているかもしれないのに!!)
扉の向こう側で、どんな戦いが繰り広げられているのかは分からない。
無論、三人の実力は知っているし、信頼している。
けれども、それで戦いを楽観するほどアスランも馬鹿ではないのだ。
(特にあのルートは……危険だ!何か……危険な感じがする!)
見た目は少年のようなエルフに、アスランは言い知れない不安を抱いていた。
いや、恐らくだが彼だけではない。
ナタリーやナナミ、そして仲間内で一番敵を甘く見る癖があるナターシャでさえも、不吉な匂いを嗅ぎ取っているのだろう。
だからこそ三人は、ルートから出来る限りアスランを離そうとしたのだ。
「でも……俺だって!あんな奴を三人に任せていられるわけが――うわッ!?」
ドゴン!
もう一度、斧を振り被ろうとしたアスランに、壁の向こう側より強い衝撃が襲いかかった。
「な、ナターシャ!ナタリー!ナナミ!大丈夫なのか!」
部屋を激しく揺らす、大きなエネルギー。
ナターシャが、攻撃魔法を放ったのだろう。
「大丈夫です!アスラン!けど……まだダメです!まだ……!」
「今のは……少し焦りました!けど……周りは危険な物ばかりなんですから、少しは魔法を控えて下さい!……ハァ!」
「ふん!ちゃんとセーブしているわよ!……ってきゃあ!?へ、ヘルプ!ナタリー!」
「ナターシャ!くぅっ!こ、この――!」
「ああもう!ルート以外も、結構強い!さっさと倒れなさいよ!脇役ども!」
「姉さん!集中して!」
だが、敵は健在らしい。
それどころかアスランの問い掛けにも、満足に答えられないほど三人は追い詰められているようだった。
「ナタリー!?ナターシャ!ナナミ!開けろ!頼むから!くぅうう……あっ、やっぱり、だめぇ!?」
居ても立っても居られずに、斧で扉を破ろうと試みた。
だが、華奢な腕がそれを許さない。
どんなに踏ん張っても、アスランの体の方が重量に引っ張られる。
特盛のおっぱいが滑稽に弾み、体力があっという間になくなってしまう。
「う、うわぁ……だめ、かぁ……」
ヘナヘナと床に座り込む。
(こ、こんな……情けない俺が、今更飛び出たところで……いや!足手纏かもしれないけど、一人だけ安全でいられるか!俺だって……魔王を倒した一人だ!勇者アスランは――俺なんだ!)
斧ひとつ満足に扱えない屈辱と情けなさに、心が折れそうになった。
けれども、その度にアスランは自分に言い聞かせてきた。
自分は勇者であると。
こんな自分でも国のため、いや、仲間の為に何かが出来るはずだと。
不慣れな女の体に成りながらも、勇気を振り絞り、抗い、もがき――。
そして、魔王すらも討伐したのだ。
(そうだ!こんなピンチくらいで……負けるわけにはいかないんだ!)
魔王に比べたら、大したことのないピンチである。
アスランは再び、腰に力を入れた。
腕を固く閉じた扉へと、振り下ろす。
ただし……。
(これくらいなら……ナタリーの体でも持ち上げられる!)
今度は斧ではない。
斧の隣に置いてあった、大きな古文書に持ち替えて、ガンと扉を叩いた。
「この!このぉ!」
一度での破壊は、まず無理だ。
二発、三発と加えても、扉は壊れない。
だが、そんなの関係なかった。
(諦めない!諦めて、堪るか!壊れるまで、続けてやる!)
ガン、ガン……ガンガン!ゴンッ!!
十発でも、やはりダメだった。
けど、百発以上、叩けば流石に少しは破損する筈である。
「はっ、はあ!んっ……はぁはぁ!こ、この!やぁあああ!!」
目の前の扉が、悲鳴を上げ、壊れるまでアスランは続けるつもりだった。
すると、その彼の耳に甲高い音色の声が入ってくる。
『キャアア!なに!なんなのよぉおお!?痛いわぁあああ!?』
「…………は?えっ?」
一瞬、訳が分からなくなる。
(な、なに今の……ドアが壊れる音……な、訳ないよなぁ……じゃあ誰の悲鳴だ?)
鼓膜が正常ならば、それは明らかに女性の声だった。
思わずキョロキョロと部屋を見渡すが、ここにいるのはアスランだけだ。
だが、またも声は響いてくる。
『ちょっと!あなた!乱暴に扱うのは辞めてくれる!?本って言うのは読むために扱うものよ!?』
彼の――手元より。
「う、おおおっ!?」
己の手に瞳を向ける。
すると、ギョロリ、と大きな一つ目に睨まれた。
心臓が止まるほど驚き、思わず本を落としてしまう。
『きゃあん!だっ、だから!本を粗末に扱うんじゃないわよ!なんなのよぉ!ひどいわぁ!』
「お、お前!な、なんだ!?」
まるでサイクロプスを連想させる巨大な瞳が、涙を流しながら睨んできた。
恐る恐る問いかけると、妙に退廃的な響きを宿した甘い声が返ってくる。
『私……のこと?私はベアトリス……この本に宿っているのよ!』
「本に宿っているだと?ただの本じゃない?魔王の、遺産なのか?」
どうやら、ただの書物ではないらしい。
「お前……?あっ、……おい、お前!?」
そこでイケナイと思いつつも、アスランは妙な期待を抱いてしまう。
この本の力なら扉を打ち破れないか、と。
『なぁに?声を荒げちゃってどうしたのよ、お転婆なお嬢ちゃん?』
「お嬢ちゃんって――」
お嬢ちゃんと呼ばれて、赤面するものの――。
「いや!今はそんなことよりも、お前!何か出来ないのか!?」
意識を切り替えて、切望の眼差しで謎の本を問い詰める。
『えー、何かって何よ!ベアトリス、分かんない』
「だから!炎の魔法とか!雷の魔法とか!兎に角、この扉を破れる魔法か、何かだよ!!俺はここから出たいんだ!」
『もう可愛い顔して、粗暴ねぇ。男の人みたいよ、しかも……俺って』
「できるのか!?出来ないのか!」
『ど、怒鳴らないでよぉ!怖いぃ……ベアトリスは、攻撃魔法なんて出来ないわ!』
「あーもう!役立たずめ!」
『ちょっと!痛い!やめて!痛いわぁああ!!』
折角、希望を持てたのに何にも役に立たなかった古文書。
少々、と言うか、かなり大人げないが八つ当たり気味で再度扉を叩くことに使用する。
バン、バン!
扉は、ビクともしない。
――が、ベアトリスの悲鳴は大きく、そして余裕のない物へと変わってゆく。
『やぁああ!痛い!ひどい!ひどい!やめてぇえええ――!』
表紙に現れた巨大な瞳から、大粒の涙を流しながら。

暴君なクラスメートが女体化したら当然○す!

2015Q1おかし製作所DMM販売数38位

暴君なクラスメートが女体化したら当然○す! DMM版
暴君なクラスメートが女体化したら当然犯す! DLsitecom版

買いました!
今回も攻め受け両視点から作られていて、丁寧な描写が楽しめました。
ちょい厳しめの「値段分の価値がある」と評価しつつ、今後も非常に期待できるサークルさんだと思います。

ぼうくん



05/13のツイートまとめ

amulai

RT @yosohuta: イケメンサディスト彼氏と気弱な控えめ少女カップルがなんやかんやあって変態女装マゾメス奴隷♂とサディスト男装オスビッチ♀コンビになるやつください
05-13 23:50

@F_TSF  ナンバリングせなー
05-13 23:33

RT @eroetwit: リアルでは男なんだから泣くな!耐えろ!男らしくしろ!女の子はスカート履いておしとやかでいろ!みたいな風潮なくなってきてるけど、完全になくなったら自分の好きなTSFの面白味は全くなくなるので、もう死に絶えたヤンキーものとか男塾みたいな世界観でずっとやっ…
05-13 22:48

歴史に名を残した女はすべてTSっ娘だった説#TSFの卵
05-13 20:41

RT @mishimatetsuya: テレビで「万引き犯は65歳以上の高齢者が最も多い」というのをやっていたのだが「寂しいから万引きしてまで構って欲しいとか・・・」という芸能人の意見に「今までそんな理由を言った人は一人も居ません!理由を聞くと単に昔からやってただけなんです」と…
05-13 20:40

RT @AmazonJP: 【予約受付中】3DS『カルドセプト リボルト』※Amazon限定版ありPS4/PS3/Vita『真・三國無双 英傑伝』※TREASURE BOXあり⇒ https://t.co/GFJuyiTv6a https://t.co/4tkqkW
05-13 20:39

RT @ryukke: 個人メディアの本領は「感化させること」にある。個人が自己実現していくプロセスが、他者の忘れられていた夢を掘り起こし、「自己実現のための消費」に向かわせる。
05-13 20:38

RT @totsuno: ある主張 https://t.co/Pd0oMHeCby
05-13 19:59

RT @Seo_t: サイトのほうの仕事募集のガイドラインを更新しました。交渉中の案件を除き、実績公開不可の仕事は今後お引き受けいたしません。
05-13 19:54

RT @hatt_san: スガシカオの『「やりたいことが見つからない。いまどうしようか迷ってます」という人には、「とりあえず金を貯めろ」と言ってるんですよ。何か見つかったときに、金がないと行動も起こせないから』ってヤツは本当名言だと思うし、頭に入れとくといいよな
05-13 11:37

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  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
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