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アスランとナタリー ~策謀の秩序~ by.黒い枕&松園 〈3-8〉

「な、ナターシャ?」
「何を言っているのですか?」
恐る恐るアスランとナタリーの瞳が、紅色の魔術師へと向かう。
「ん、だから壊すの。ここの天井を――」
トラブルを引き起こすのが奇跡的に上手い天才魔術師ナターシャへ、と。
もう二人は空いた口を閉じられない。
だから、代わりにナナミが絶叫した。
「姉さん!何を考えているんですか!?ダメ!ダメダメ!ダメです!」
「えーっ!いいじゃん!もういちいち戦うのが面倒くさい!どうせ逃げるなら、ド派手な方がカッコイイし!」
「カッコイイとかの理由でお城の地下を壊さないで下さい!第一に私たちが生き埋めですよ!?」
「私も……その、このようなことに巻き込んでしまって申し訳ないのですが……そのような理由で城を壊されるのは……遠慮したいのですがっ……」
「そ、そうだぞ!まず何か色々考えてからにしよう!破壊からは何も生まれないぞっ!?」
三人が、必死に引き止める。
だが、反対されればされるほど燃えてしまう性分なのだろう。
「やっ!もう決めました!決めたもん!やるよ、あたしは!!」
「ああもう!!危険です!生き埋めです!」
「いやいや!そこはちゃんと対策を考えているし……要するに生き埋めになるほどの瓦礫も――跡形もなく吹き飛ばせばいいんでしょ?」
「――って!どれほど危険な魔法を使う気なんですか!?」
「余計に悪いですよ!?」
「ちょっ、本気で待て!上には人がいる可能性が高いんだぞ!?死人だけはダメだ!」
「流石はアスランさん!?すごい常識的なご意見!……だっ、そうなので、姉さん。別の方法を考えましょう――!」
「ううっ……そこまで言うなら……っ!」
死人と言う言葉だけは流石に無視できなかったようだ。
ナターシャは渋々と引き下がろうとした。
だが……。
「……大丈夫ですよ?」
悪魔の囁きが、ナターシャの耳に入り込む。
「一応、武具の暴走も想定して、ここは中庭の下に作られているらしいので……上を破壊しても恐らく死人はでないと思いますよ?」
ナナミたちの会話を――妨害も、挑むこともせず――傍観していたルートが、聞いてもいない情報を漏らしてきたのだ。
「あ、あなた――!何を言ってくれているんですか!?私たちに逃げられたら困るのはそちらでしょ!?」
「いえ、確かにそうなのですが……あのナターシャ様が、どのようなことをするのか是非、拝見したくて」
「お前!余計なことを言うなよな!!」
「そっかー……人がいないのか。えっと……この時のための用意したオリジナルの破壊魔法が……」
「ナターシャ!?そんな危険なものをいつ作っているんですか!?」
本格的に、不味い。
確かに現国王の意向は、アスランたちにとっては相容れないものである。
だが、しかし、だからと言って、彼らは王国のお城を損壊させる度胸も覚悟もしていないのだ。
ナターシャを除いて。
「うう!お、おお!そうだ!そんな強力な魔法使ったら、ここの道具が――魔王の遺産が暴走するんじゃないのか!?」
「ナイス!ナイスです、アスラン!」
「むしろ、天才です!そ、そう危ないから!だから止めて下さい!!」
二度目の妙案――ナターシャの暴走を止められそうな説得理由――を考え抜いたアスランに、ナタリーとナナミから称賛が送られる。
「いえいえ……封印も二重、三重にしているんで、余程のことがない限り大丈夫と申し上げます。先ほどは控えるように言いましたが、あれは嘘です」
「あ、あなたは――!!」
「いい加減にして下さい!!」
「こいつは――ナターシャはやると言ったら、とことんやる奴なんだぞぉ!!」
「うわ!危ないじゃないですか!まったく……!」
「お前には言われたく……ない!!」
自分にとって不都合なことを何故かペラペラと喋るルートに、遂にアスランは握り締めた剣で制裁を加える。
剣と剣がぶつかり合う光景を背中に、ナナミが再度姉を説得する。
「姉さん……な、何か別の方法があると思うから……そんな威力を考えるのも恐ろしい魔法を使うのはやめましょう!ねっ、ね!!」
誠意が、今度”こそ”伝わったのか。
ナターシャの口から、三人が待ち望む言葉が出た。
「分かった。やめる」
その瞬間、ナナミとナタリーは嬉しさのあまりに互いを抱き締め合った。
そして――。
「魔法で壊すのは止めて。物理的に破壊するね!……念には念を入れて!!」
意気揚々と喋る内容と、その手に持つ赤い水晶玉を見やった瞬間、三人は同時に思った。
『誰か、こいつを何とかして欲しい』と。
「ね、姉さん――!」
「その水晶玉は、確か――!」
「あ、アルバ火山で封印した――あ、あの!あの火竜の!?」
「えへへ。ずっと可愛がって上げたから、あたしの命令なら絶対に聞くはずよ!……多分――そういう訳でルート」
「はい?なんですか?」
「あんたたちの敗因はアスランたちに構い過ぎたこと。私とナナミを侮ったこと――そして私の所持品を同じ地下牢の部屋に管理していたことよ!!あーはっはは!と、言う訳で――」
「ま、待てェェエエ――っ!!」
アスランが走った。
ナタリーと、ナナミが、赤毛の魔術師の体に抱きついた。
けれども、遅い。
何もかもが遅かった。
ぱりん、と彼女の手より溢れた水晶が地面で割れる。すると、眩しい光と共に……。
「――早く、逃げますよ!!」
ルートが、いち早く踵を返した。
閃光の中より現れる存在(モノ)を認識して。
「ま、待って下さい!?」
「ルート様!?」
「貴方たちはあれを見ていないのですか!?あれは……危険すぎます!!」
凄まじい速度で部屋を飛び出したルートを追いかける部下たち。
敵が部屋から消えた直後――扉の向こう側より増援部隊とルートの会話が響いてきた。
「おお!ルート様!勇者様たちはどこに――ってどこへ!?どこへ行くんですか!?」
「逃げるんです!貴方たちも早く逃げた方がいいですよ!!死にたくなかったら!!」
「えっ!どう言う意味ですか――!?それは!?」
怒鳴り合うように話し合う彼らの言葉を聞きながら、三人は激しくルートに同意していた。
「あ、ああ!ナターシャの馬鹿!大馬鹿野郎!!」
もっとも、逃げたくても逃げられないために、ただその状況を見守ることしか出来なかった。
「ああ!お城が……いえ、国が……大変なことに!」
「ナタリーさん!気をしっかり保って下さい!ああ!誰か私の姉を何とかしてくださーい!!」
三人は三人ともが絶望の顔色を浮かべながら、首が痛くなるほどの急角度で、『上』を見やった。
天井に近い、巨大な背丈。
真紅の二つ目に、巨大な牙。
爪は、冗談かと言いたくなるほど凶悪な鋭さを持っている。
そして、なんと言っても印象的なのは真っ赤な身体である。
マグマのように赤く、そしてマグマのように熱い。
赤黒い鱗に隙間なく覆われている体躯より、蒸気が噴出していた。
「グルルゥウウ!!」
ソレ――が、背中に生えた翼を羽ばたかせながら、苦しげに唸った。
水晶玉より解放された巨大な肉体は、天井も壁も圧迫しながらも、さらに大きく成長していく。
いや、元に戻っているのだ。
ピシっ、メキ!ゴゴゴッ!――ゴキ、メキャっ!
部屋の至る所にひび割れが発生してゆく。
低い獣声が鳴り響くたびに、小さい破片が天井より落ちて来た。
その光景に歓喜の声を上げる者がひとり。
無論――ナターシャだ。
「いっけー!クーちゃん!!」
「グっ、グォオオオ……ッ!!」
羽ばたきを一層加速させ、尾に生えた丸太のような尻尾を跳ね上げる勇ましい姿。
低い呻きはいつの間にか、獣の――否、魔獣の遠吠えへと変わっていた。
そして、遂に地下空間全体を巨大な体躯が押し上げてゆく。
後は、あっと言う間である。
「グォオオオ!グルルゥ!!」
灼熱の蒸気を全身より噴き出しながら、ナターシャに呼び出された火竜――以前、仲間たちで封印したドラゴン――が、天も壁もぶち破る。
ガラガラと落石が落ちてくるが、関係ない。
人間とは比べ用もなく強力な外皮で受け止めると、背中を突き上げて石や土を跳ね返してしまう。
「あ、あはは……もう……滅茶苦茶ですぅ……あは、はぁ……」
「クーちゃん!偉い、よくやったわ!ほら……皆行くわよ!」
「もうヤケクソだ!馬鹿野郎!!」
「ね、姉さんの馬鹿!やり過ぎですよぉ――!!」
もうここまで来たら覚悟を決めるしかないだろう。
ナターシャを追いかけながら、仲間たち全員が巨大な背中に飛び移る。
「ああ!?ナタリーさん、しっかりして!?」
「……もう私……ダメそうです……」
「な、なな!ナタリー!?」
その中で、約一名だけがダメだった。
精神的に。
目の前の現実、と言うか、誰もいない中庭とは言えお城の花壇を巨大なドラゴンが踏み荒らす光景に、ナタリーの意識は限界を迎えた。
意識を手放し、倒れた彼女を必死にナナミとアスランが支える。
「さあ!クーちゃん!飛びたてぇ!!」
「――がっ、グオオオオオオオォォォ!!」
おぞましい雄叫びが、城を――否、国を襲い、火竜が四人を乗せて飛び立った。
「グルルゥ――♫」
久しぶりの自由な空に、火竜は上機嫌。
「ふふんっ♪ふふっ♪」
ナターシャも鼻歌なんかを口ずさんでいる始末だ。
だが、それに比例してナナミたちの心は浮かばれない。
「……どうしよう。今の叫び声で下が――国民がパニックになってるぞ!?」
「ごめんなさい!姉さんがごめんなさい!あんな姉さんでごめんなさい!!――皆さん、すみませーん」
聞こえないとは分かりつつも、姉のせいで大きくなった騒ぎに対して、ナナミは謝罪を叫ばずにはいられなかった。


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05/16のツイートまとめ

amulai

女体ガチャポンから出てくるフィギュアを使えば、1日だけその女の子になることができる。しかし、コンプリートに成功してしまうと…#TSFの卵
05-16 23:25

RT @sijimi_sukekiyo: 現代ファンタジーバトルものを好んで描いております。#漫画家志望さんと繋がりたい https://t.co/4KyHaaQRKD
05-16 19:32

RT @HBonsai: 誰も聞いてないのに壁に向かってブツブツ言っている人がいたら正気を疑うでしょう?それは「人間は何の結果も生み出さない行動をいつまでも続けられない」という原則に反しているからです。聴衆のない創作活動はできません。できる人は自分で適切なフィードバックを得る術…
05-16 19:00

RT @fz_fuzisawa: >ゲス・ネットウォッチャーとしては、自称プロブロガーはどんどん増えて欲しい。彼らが生活に行き詰まり、どんどん落ちぶれ、足掻いていく姿は、とても魅力的なコンテツだからだ。https://t.co/cNkx50t5krはげどう
05-16 18:14

RT @mika_mikami: TS恋愛がホモかどうかとかどうでもいいんだよ…オンリーワンの相手を好きになったならそれがどっちの性別だろうが年齢差あろうが…それは性的嗜好ゆえじゃなくてただの純粋な恋愛なんだよ…相手の属性が好きなんじゃなくてそれまで築いてきた関係性とか信頼とか…
05-16 18:05

RT @Akihik0MA: 自分だったら音楽の世界にいない研究者が突然土足で踏み込んできて、僕らのプログラムでこんなすごい音楽できちゃったけど音楽の専門家のみなさん廃業しますか?と煽ってくれるほうが、じゃあ音楽家として次の一手はどうするかという創意工夫のモチベーションになるし…
05-16 18:03

RT @k1oku: AI 研究をしている方に申し上げたい。絵や彫刻や音あるいは囲碁将棋などでしか生きて行けない人間が一生懸命試行錯誤してやってる世界にリスペクトの念なしに土足で (金属の足で?) 踏み込まないでほしい。どんな分野でもまずはその道の専門家の意見を謙虚に聞くべきだ…
05-16 18:02

RT @patrietta: [R-18絵]危うし軽巡洋対魔忍川内!妹たちを人質に取られナノマシンで身体の自由を奪われたまま性感3000倍バイブアクメをキメてしまうのか!?なお神通と那珂は別室で姉をおびき寄せたご褒美を頂いているもよう https://t.co/on62SGxq
05-16 12:22

RT @iknk9: 全然分かってねえな…君は全然わかってないよ…。「玄人ならマイナーをあげろ」じゃないんだ。狙ってマイナーを上げるのは"玄人ぶりたいにわか"なんだよ。真の玄人は回り回って超有名作品をあげるんだ。有名になるにはそれなりの理由があるんだよ。君は"玄人"に囚われたた…
05-16 10:31

RT @boooonsai: 月刊少年ガンガン、発行部数が25万部→2万部 「月刊住職」と同じ発行部数に https://t.co/rpQyNuMqJoスレタイ吹いた
05-16 10:29

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