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【投稿小説】目つきの悪いボクは彼の視線を釘づけにしたい ⑦(猫野 丸太丸)
夕方だしもう宿舎に帰ろう。そう思っていたのに、後ろから乱暴に首筋をつかんでくるやつが現れた。そいつは昨日僕の胸をつっついた男だ。
「なんだ?」
「ちょっと来いよ」
「断る理由もないけど……、手短かにしてくれよ」
ついていくと、空いた教室のなかに男子ふたりに加えて上級生までいた。そして中心にいるのがベンだ!?
ベンは僕を見るとすぐに顔をそむけて先輩たちになにか話している。相手がベンなら逃げるいわれはない。僕はやつの目の前にまで行ってにらみつけた。
「ケガしたばっかりなのに大勢でどうしたんだよ、用があるなら直接呼べばいいだろ、ベンってうわっ?」
あろうことか僕のせっかくの視線は茶色い紙で遮断された。後ろから紙袋を頭にかぶせられたのだ。視覚を奪われるとうまく動けないものだ、手足をつかまれ僕は上級生たちにあお向けに寝かされてしまった。そして筋肉質のひざが僕の上に馬乗りになった。きっとベンだ。
ベンが僕の胴体を締めつけてくる。顔面にパンチが来たら避けられない。やばいと思ったが攻撃なんて来なかった。
「手品先生から聞き出したぞ、この体って全部、手品なんだろ! 俺がリアムの正体を暴いてやるからな」
だめだ、話が変な風に伝わっている、だいたい正しいけれど。ベンの手の感触は僕の胸に来た。シャツのボタンをはずそうとするのだ。なんだよ、僕の胸なんか見たいのか、と思ったが直後に大変なことに気づいた。いまはだめだ、だって僕ってばブラジャーをつけているじゃないか!?
「わー、だめ、だめ、見るな!」
「うるさい、女子と女子トイレに入ったり更衣室に入ったりよ! おまえ本気でおかしくなってるだろ? 手品なら悪趣味すぎるぜ、俺だってはっきりさせたいんだ」
直前のことまで全部ばれてる! ベンはどれだけ僕のことを偵察していたんだよ。
「だからってむりやり襲ったりしなくっても。あとでほら、先輩がいないところでベンにだけ見せるよ」
僕は落ち着かせるためになるべくほがらかに言ってみた。でもベンの手は止まらない。
「ふたりきりなら見せるって、気持ち悪いこと言うなよ!」
あー、やっぱり気持ち悪いって言った!
「まだ僕の目を見ていないくせになんで僕が気持ち悪いんだよ! なにかにつけて他人に気持ち悪いとか不快だとか言う精神、なんとかしろ!」
「いまはそれとは関係ないだろ!」
「あるだろ!」
もういつものベンとのケンカだこれ!
と、そこでなぜか上級生が握っていた右手が外れた。僕はチャンスを逃さずベンの手を……無視して自分の胸もとを探った。
「もう勝手にしろ、気持ち悪いかどうか見てみろよ!」
ベンにぐだぐだやらせず自分からさらけ出してやる。僕は力任せにシャツを引っぱった。残ったボタンを丁寧には外せないから思いきり弾け飛ばした。胸もブラジャーもあらわになったはずだ。「うわ」と叫んだのはベンではなくって手を離したほうの先輩だ。
「ちょっとやばいだろ? ベンは俺たちをなにに巻きこんでるんだよ、犯罪じゃないか」
「犯罪じゃないですよ、ほら、ブラジャーまでしている! ふざけた男に態度を改めさせなきゃ」
「男か? 実際……」
左手を握っていたほうの上級生も手を離した。
「胸だけじゃないだろ、手とか肩とか細いの分かるか? こいつ柔らかいし」
「違うくて、きっとこれはリアムとくいの手品です」
「ベンはガールフレンドがいないから知らないだろうけど、この体ってほぼ女子くさいぜ」
なんだかすごいことを言われている気がする。とりあえず両手が空いたから僕は顔の紙袋を脱いだ。そして目の前を見たらベンの顔があった。
至近距離で僕の胸を見つめていた。呼吸が荒い。うそだろ、なんだか変なこと考えてる?
ベンの鼻息が素肌にかかった。
「おまえ……男、だよな?」
「またキスしたりしないよね」
ベンの手が僕から離れて自分の口を押さえた。
「やっぱりしたのかよ!? キスしてきたのはリアムのほうだろ!」
「ベンのほうだろぉっ!」
あー、キスしたのをふたりで再確認してしまった。そして周囲にばれてしまった。先輩たちは絶句している。目の前のベン、なんで顔が真っ赤なの。正視できなくて僕はベンから視線をそらせた。
「おい顔をそむけるなよー!」
ベンが叫んだ、そしてタイミング悪いことに教室の扉が開く音がした。
「キャーーー!」
女子の悲鳴だ。この声、サリーだ!? それをきっかけにすごい勢いで身をふりほどいたベンは僕から逃げていった。上級生たちも後に続く。僕は部屋に取り残された。
僕が胸を押さえてひと息ついていると、案の定走ってきて僕を助け起こしたのはサリーだった。
「大丈夫? ひどいことされたの?」
「されてない、大丈夫だから」
「されてるじゃない! 服がやぶけてる、学校で信じられない……」
僕を抱きしめながらサリーはめちゃくちゃ泣いた。誤解の誤解の、誤解の累乗なのに。こんなに泣かれたら僕まで悲しくなってくる。
確かめかたは乱暴だったけれど、ベンを不安にさせたのは僕が原因だ。だからいま女の子にぎゅっとされたのも、悲しませたのも百パーセント僕が悪い。なのにこのままだとベンが暴行犯にされてしまう。せっかくサリーがベンを好きになりそうだったのに、これじゃ絶対ぶち壊しだ。
もうすべて解決しないといけない。
僕は宿舎に帰って、粘着テープとか手品用具は全部捨てた。シャワー室で全身を洗う。おっぱいは腫れあがって隠しようがなくなっているけどしかたがない。先輩も言っていたとおり手足まですっかりふわふわで柔らかくなってしまった。いまこの瞬間胸つっつき男子が現れなくてよかった。
そしていよいよ僕は股間にお湯を当てて、丁寧にテープをはがした。
「うわー」
なんだかそんな気がしていたけれど、全部きれいにはがしても、ええと、ちんこがない。指で間を広げてみた。手品じゃなくて本当にないってこんな風になるんだ。「本当にない―」というマヤの声が頭のなかで再生される。おなかから下へ、そして後ろへなでても割れ目しかない。
「本当に女の子になっちゃった」
お尻も丸くてきゅっとしている、きっと半ズボンが似あってしまうだろう。
眼鏡をかけ直して、裸のまま鏡に映ってみる。さんざん見せつけたふとももも、股間のラインも、おっぱいももうふつうに女の子じゃないか。
非常事態っていう気持ちよりも、やっと手品が終焉した、そして気になっていた僕自身の変化が予感からついに現実になったって気持ちだった。
「先生が知ったらやっぱり手品の範疇を超えているってあわてるかな……」
最後に眼鏡を外して、鏡におもいきり顔を近づける。いつもの僕の瞳が見えてくる。アッシュブルーのとってもきれいな瞳だ。さすが、これだけは変わらない。
そのことが謎のヒントになっている気がするんだ。
05/03のツイートまとめ
amulai
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05-03 23:51RT @workshain: 「アラサーでも間に合う。まだまだ人生これから。」というのは、10代、20代では開花はしなかったけどしっかり土台を作ってきた人間に対する言葉であって、今までの人生で何の努力もせず、学歴も資格も人間関係も自己肯定感も何一つ作ってこなかった自分のような人…
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05-03 22:41RT @vae_c: 妖精の森の防衛装置 https://t.co/99nw5EBOkM
05-03 21:30RT @shakeeach: 『パイレーツ』と『ひばりくん』とは、『すすめ!!』に対して『ストップ!!』という関係でもあったのだなあー
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05-03 20:52RT @YG_AAA_G: 夜の宣伝~エロ漫画がエロ雑誌に載るというよく考えたら普通っちゃあ普通のことですが、皆さんの日頃のご愛顧のおかげで何とかここまでたどり着きました次は就職や・・・誰か雇ってぇ~ん😭😭😭 https://t.co/zvxv1b6blL
05-03 20:03