FC2ブログ

Latest Entries

幸福な王子と不幸なメイド  6-5<最終回> by.黒い枕

「ひど、すぎる。かわいそうよっ……」
「いいじゃないですか。今は自分の意志でルイズに成ろうとしているんですから。今だけは『幸福』です。そして子供を出産した辺りから地獄です。『不幸』です。アレには相応しい末路です」

王子である自覚を持ちながら、暗示によってメイドらしくなろうとする彼は差し詰め――『幸福の王子』。
フレアに与えられた幸福感と言う暗示に自分を見失っているが、今の状態なら『ルイジス』は、まだ彼なのだから。
まだ王子を、『ルイジス』を奪い返すチャンスが残っているのだから。
しかし、王子に戻りたくても戻れず、自分の姿をした殿方の女として生きなければいけない堕胎不可能な頃の彼は差し詰め――『不幸なメイド』。
その頃の『ルイジス』は彼ではなく、もうカリーナの方なのだから。
ルイジスと言う居場所を奪われた彼は『ルイズ』になるしかない。否――もはや”ルイズと言う名のメイド”でしかないのだ。

「キャハハハっ!いい気味!ですぅ!過去の自分に後悔しながら今度は自分が男に、王子にしたカリーナに調教されればいいんだわ!犯されればいいだわ!永遠にぃ、死ぬまで!永遠にねっ!!従順な妃を強いられればいいんだわっ!キャハハ――っ!アハハ!!」

結婚前はメイドとして、結婚後は王子の妃として生きることを強要される。
それが彼――いや『彼女<ルイズ>』の結末。

(な、なんとかしないと!わたしがなんとかしない、と!!)

不幸と言うには、哀れすぎる少年の未来を憂い、一層強く体をくねらせるティティ。

「ん、どうしました?ああ、あんなゴミの話をしていた内に、お腹が空いたのですね?待っていてください。飛びっきり美味しいご飯を作って差し上げますから」
「えっ?……あっ!う、うん!お、おなかすいた!」
(チャンスだ。……状況確認と、なにか、武器になる物を……薬があれば。……って?)

この状況から抜け出すには、計画を練らなければならない。
今は何日だとか、ここはどこなのか、自分が捜索されているのか。
出来れば武器として、尖った何かが欲しい。薬があれば、魔術師として培ってきた薬学も利用できる。
だが、しかし――。

「アレ……?え、あれ……?」

可愛らしい声を上げてティティはきょとん、とベッドの上で座り込んだ。
ベッドから体が離れない。
力んだ筈なのに、まるでフレアに抱きしめられているように起き上がれないのだ。

「な、んで?なん、で…!ふぃんん!あっ!ダメっ?なんで!?」

絶叫しながら起き上がろうとするも、肉体は軽く打ち震えるだけである。
それどころか、無理に動こうとしバランスが崩れ、愛らしい少女の肉体がベッドの上に転がった。

「~~っ!!おきられないぃぃ!なによこれえぇ!?」

顔が熱くなり、涙もこぼれる。
手をバタバタするしか、出来ない。稚拙に暴れることしか出来なかった。
これでは幼女ではない。幼女ですらない。
――赤ん坊だ。

「大丈夫ですか?ティナ様……そんなに空腹でいらしたんですね。よいっしょ!」
「ひゃっ……ああっ!」
「大丈夫ですよ、よしよし。こんなこともあろうかとティナ様が起きる前に予め用意していたんです。可愛らしい食事や、机や椅子を。涎かけはなんとクマちゃんですよぉ!」
「うっ、うううぅぅっっ――!」

まるで遊びに夢中になっていた子供を迎えた母親のようにフレアが、彼女の少女の体を持ち上げた。涙ぐむ顔を豊満な胸に当てて、腕で背中を揺らしながら、頭を何度も何度も撫でる。

(――漏れた!?漏れちゃったあ!?)

幼い癇癪を起こしていた身体を軽々と持ち上げられ、ティティの緊張と不安は限界に迫った。
恥かしさも今まで感じたことが無いほど高まり、その感触に尿意が反応する。
体が小さな子供なだけに、オネショの危険性を彼女は拭いきれない。そして、運ばれた先では――。

「うっうぅ……な、なによこれ!」
「なにって、お子様ランチじゃないですか?」

小さなオムライスに、小さなハンバーグに――兎に角、黄色いお皿に乗せられたオカズはどれもが小さく、そして愛らしい物だった
フレアの言う通り、それは正にお子様ランチ以外の何物でもなかった。

「ほら、ティナ様。クマちゃんですよぉ」
「――っ!?やっ、ヤダ!ヤダヤダ!いやぁあああ!!」

そんな彼女の苦悶を無視し――と言うか、それを”可愛いこと”であると誤解したフレアが、ティティの小さな体に涎かけを付けた。
クマのアプリケが付いた、明らかに子供用の品物を。
装着されたクマの涎かけを見た途端、子供扱いされる恥辱にティティはとうとう泣き崩れてしまう。

「う、うっく!いや!お、おろしてぇ!おろしてってばあああ!わたしは赤ちゃんじゃない!赤ちゃんじゃ、ないもん!!う、わーん!ひぐっ、ううう!」

成人女性にこれはないだろうと睨むも、ニッコリと微笑まれては羞恥心を増長させる他はない。
彼女がワンワンと泣き叫び、暴れるのは無理からぬ事だった。

「暴れないでください。倒れて痛いだけですよ?まぁ、それはそれで私は抱き起こして上げますけど」
「ひっくんっんっ!どうゆっ、うことよぉ!あ、あんた……まさ、か……っ!」

仮定ではない――あの微笑んでいる顔が何よりの証拠である。
フレアは彼女の肉体を幼くするだけに留まらず、肉体の筋肉すらも極端に少なくしていたのだ。
歩けないほどに、起き上がれないほどに。そして――逆らえないほどに。
ティティは”無力な少女<あかちゃん>”されてしまったのだ。

「ティナ様。私はティナ様のことを誰よりも崇拝し、信じています。けど、もしも私から離れようとするなら――」

彼女の一挙一動が危険で、不安だ。
発する声も聞きたくない。
鼓膜を通じて彼女の言葉を聞いてしまったら、もう逆らう気力奪われてしまうだろう。
しかし、それなのに彼女はティティの体を抱き寄せ――。

「四肢を切っちゃうかもしれませんよ?うっふ、うふふ……」

と、自分の思いの全てを呟いた。
もう逆らえない。
反逆を考えるだけで、尿意が込み上げる。

「はい、どうぞ…ティナ様フォークです」
「……んぐ――っ!もぐもぐっんぐぅ…っうんんっ!」

唯一、自由に動ける腕で食器を受け取り彼女は素直に、否、従順に食事を開始した。
片手で、しかも小柄な身体では当り前なのだが、今までのようには食せなかった。涙をこぼしながらオカズもこぼして、口を動かすティティ。
何度か『アーン』の申し出をされるが、それだけは嫌だと彼女は頑なに拒んだ。
頬の上で、涙とオカズのソースがぶつかった。

「ひ、ひくっ、うぐっ。お、おねがい、だから……もとにぃ、もどしてよぉ……ふぇっ、うううぅっ……」

今にも泣き崩れそうに恥じ入りながら懸命に食事するティティは可愛らしい少女であるかもしれないが、幸せそうには見えなかった。
事実、その中身は激しい悲しみと恥辱に苦悶している。
しかし、そんな姿でも――いや、そんな姿だからこそ熱を上げるのか。

「うん、可愛いっっ♡。――あっ、口元が汚れていらっしゃいます。いけませんよティナ様」
「ふ、ふかなくていい、もんっ!」
「ああもう!可愛いですっっ♡ティナ様は可愛らし過ぎますわっっ♡」

a05+.jpg
挿絵:アキ http://8mero.web.fc2.com/

フレアは『可愛い、可愛い』と連呼しながら、ティティだった少女の涙ぐむ様に熱い眼差しを向けるのだった。

【完】

コメント

返信遅れましたが、皆さん御意見有難う御座います。

黒い枕です。
皆さん『幸福な王子と不幸なメイド』を最後までお読み頂いて、有難う御座います。
今回様々な方がコメントして頂き、とても参考になりました。
ストーリーの矛盾(2012-05-26の方が指摘して頂いた部分)には本当に頭が上がりません。スミマセンでした。
ただ最後のフレアとティティについて(バッドエンド的な終わり方も含めて)は話の中に織り込んで良かったと思っています。
ここではTSF需要の方が高いとは分かっていますが、そこに敢えて別要素を入れることでお話に刺激を与えたかったからです。救いがある作品、救いがない話、ただ馬鹿馬鹿しいお話などを
作って行くにあたって、そうした様々な要素(勿論、矛盾や破綻ない構成が前提で…)が必要だと考えています。
なので、TSFが主軸なのは変わりませんが、これからも色々な要素が入った作品を作って行きます。
また最近、執筆活動に時間が取れないですが、今後とも作品は執筆して行く思いなので、よろしくお願いします(出来れば、楽しみに待っていてください)。

それでは。

はじめまして、毎日製作所を見ています。
この小説はこのままコミックアンリアルで谷口さん先生に漫画化してもらえる出来だと思ってます。最後が理不尽な(ように見える)のも親和性が高そうですし。
完結お疲れ様でした。

コメントありがとうございます。
ご期待に添えなかった方もいらっしゃるようで申し訳ありません。

現在も黒い枕さんは人魚姫や他の作品を執筆中ですので次回作にご期待くだされば幸いです。

作者様へ
TS小説として期待して読ませていただいただけに、このエンディングでは満足出来ません。
また、ティティが子供になった挿絵では、全然萌えません。

残念なエンディング

6-3からは、内容的には別の章(第7章・最終章)ですよね。

ティティの幼児化は、フレアの計画を邪魔されないためにも必要だったのでしょうか?
小説タイトルの真相が明かされるという意味では最終回なのでしょうが、長すぎる脇役の2人のシーンで終わりというのは残念ですね。

フレアの狙い通りの展開になったとしても、せめて、主人公であるルイジスとカリーナの結婚式あたりまでは描いて欲しかったですね。

なんか因果応報がないせいで本当にただ報われない話でしかないのは残念だな
途中までは面白かったので尚更

やっぱり6-xは時間の流れが違いすぎる気がします。
ルイズが妊娠した(確認された)くだりがまったく描かれていないんですがいつ妊娠が確認されたんでしょうか?
王族の女子が妊娠した場合、はらませた男が王位を継ぐのであってメイドのルイズが出産してもルイズには何の権利も無い。なにせルイズがルイジスである事は非公開なんだし。
ってことはルイジスになっているカリーナが拒否したらただのメイドとして生きていくことになるんでしょうね。
メイド長の復讐としてはどっちのほうが効果あるんでしょうね。
ルイズが本当はルイジスであることを示さない限りカリーナはルイジスから元のメイドに戻る事は可能ですよね。規則的にも。

正直ルイズとルイジスのその後の方が気になります。
ティティとフレアの事ってつけたしにしか見えないのが残念。
まぁ、フレアがルイズを虐めていた理由はわかりましたけれど…

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/10124-93a631ea

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2020-09