FC2ブログ

Latest Entries

【ひまわり】(3) by.ダークアリス

(3)-------------------------------------------------------

 受験を終えて、一週間後に俺が帰ってきた時には、透は行方不明になっていた。
 俺はクラスの奴を捕まえ、透の行き先について何か知らないか、問いただした。
 そいつの答えは要領を得ないものだったが、“噂だけど、透の奴は女になっちまって、それがバレていたたまれなくなり、家出してしまったらしい”ということを聞き出した。

 バレた!? 透の体のことが……?

 やはり隠し通すことはできなかったか。
 だけど、だからといって家出だなんて、TS病は確かに珍しい病気だが、都市部へ行けば、ちゃんとケアしてくれる病院だってある。
 受験が終わったら、透だって病院へ行けたはずだ。

 俺は良くない胸騒ぎを感じて、透をいじめていたグループ連中が良くたむろしていた、学校裏の廃墟へ急いだ。
 そもそも透がTS病に罹ってしまったのだって、あいつらのせいなのだ。
 あいつらが、もしかしたら何か知っているのかもしれない。
 俺はそう考えていた。

 廃墟と化した寒々しいコンクリートの建物には、誰かが住んでいる気配などはなかった。
 だが、枯れた雑草の森に隠されるように奥まった敷地に、踏み固められた道が付けられていることから、今も何者かが出入りしていることは明白だった。

「誰かいるのか?」

 もし連中の誰かでもいれば、余計なトラブルに巻き込まれかねない。
 警戒しながら入り口で呼びかけるが、応答は無かった。
 俺は恐る恐る、入り口の扉を開けて中に入った。
 埃っぽい匂いと、微かにアルコールとニコチンの入り混じった不快な匂いがする。
 もとは市の集会所だったという廃墟の中は、荒れ果てていた。
 いくつかある部屋の一つを覗くと、そこだけにはストーブが焚かれていて暖かかった。
 灯油に混じって、酸えたような妙な匂いのするその部屋に入ると、ゴミの散らかった部屋の中央に、ダンボールが敷かれていて、その上では毛布に包まれた何かが動いていた。

「誰かいるのか?」

 俺がそう呼びかけると、毛布の塊はビクッとなり、震え始めた。

「……許して。……もう、家に帰して……」

 毛布の塊は微かな声でそう応じた。
 その声は儚げな、高く澄んだなじみの無い声色だったが、予感がした。

「……透? 透なのか?」

 毛布の塊はもそもそと動きながら顔を出し、こちらを向いた。
 泣きはらしたような赤い目に、乱れた長い髪を顔にまとわりつかせた、悲しげな少女の顔がそこにあった。

「……広志? 広志なの?」
「透……なのか? どうしたんだ!? あいつらにやられたのか!?」

「広志、お願い……助けて。ボクをここから出して。家に、帰りたいよ……」

ひまわり1
イラスト.まさき ねむ http://www.h7.dion.ne.jp/~nemiu/

 俺は透に駆け寄り、毛布にくるまれた透を抱き起こそうとして気が付いた。透の首には犬をつなぐような首輪が付けられ、鎖で部屋の柱にくくりつけられていた。そして容易に外せない様にロックがかけられていた。

「おまえ、奴らに監禁されていたのか!?」
「……お願いだから見ないで。首輪を外して」
「ちょっと待ってろ」

 透を繋いでいた首輪の鍵は意外にも直ぐに見つかった。
 部屋の隅にあったテーブルの上に、無造作においてあった。
 だが、キーホルダーに付いていたのは首輪の鍵だけじゃなった。
 何の鍵かは、透の首輪を外している時に、透自身の口から知ることになった。

「これも、外して……」

 そういいながらよろよろと立ち上がった透の無残な姿を、俺は信じられない思いで見つめた。 
 ある程度予想はしていたが、想像を絶する陵辱をその身に受けていたことは一目瞭然だった。
 衣服の類はもちろん全て剥ぎ取られ、体中に生傷や殴られたようなあざが、生白い肌の至る所に散りばめられていた。
 そればかりではなく、透の両手は手枷のようなもので戒められ、足首にも歩きにくいように足枷が嵌められていた。
 そして腰には革で出来たパンツの様な――貞操帯を付けさせられていた。

「……お願い、これも、早く外して……」

 透は淫具に辱められた姿を見られることを恥じるように、顔を真っ赤に染めていた。
 そして、もじもじと内股で足をすり合わせながら、消え入るような声で懇願した。
 貞操帯は小さな南京錠でロックされていたが、その鍵も同じ鍵の束のなかにあった。
 急いでロックを外し、脱がせようとすると、透が言った。

「おねがい、ゆっくり……」
「わ、わかった」

 恐る恐る脱がせると、透は体をぶるぶるっと震わせると同時に、『ああっ』と嬌声を上げた。
 貞操帯の内側には、二本の突起がついていて、それが透を貫いていたのだった。
 透の体液で妖しく黒光りするそれを投げ捨て、崩れ落ちそうになる透の体を抱きかかえるようにして支えながら、両手を繋いでいた手枷を外した。

「大丈夫か、 透! しっかりしろ、今病院に連れて行ってやるから」

 透はやっと安心したかのように、弱々しい笑顔をみせた。
 だが数瞬後、その顔が恐怖の表情に変わった。

「それは困るね。オレたち、まだそのオモチャで遊びたいからさぁ」

 はっと後ろを振り向くと、そこには、透を陵辱していた犯人共……猛たちが不敵な笑みを浮かべて立っていた。

「おまえら、透に何てことしやがったんだ!!」
「おやおや、単なる幼馴染かと思っていたが、ナイト気取りですか? 残念ながらお姫様は俺たちがいただいちゃいました。何なら今からでも仲間になるかい?」
「ふざけやがって!!」

 俺は奴らをぶちのめしてやろうと、気合を溜めた。
 多勢に無勢だが、いまさら後になんか引けるもんか!
 だが、それはやはり意気込みだけに過ぎず、俺は透の悲鳴を聞きながら奴らにボコボコにやられ、完璧にのされてしまった。


 俺が意識を取り戻したのは、それから半日近くも後に、警察がこのアジトに踏み込み、奴らが連行される時だった。
 俺はだらしなく警官の手を借りて立ち上がり、透の無事を確認しようとした。
 警官が黙って指し示す方向をみると、毛布でくるまれた透が担架で運び出されようとしていた。
 俺は体中の痛みをこらえながら透の傍に駆け寄り、声をかけた。

「大丈夫か、透!! すまん、俺がもう少し強けりゃ……」

 そう言いかけて、俺は愕然とした。
 透の表情は青ざめて、瞳には生気がなく、見るからに衰弱していた体は、軽い痙攣を起こしているかのように小刻みに震えていた。いたたまれない気持ちと、怒りにも似た感情を抑えながら透の顔に手を当てると、透はそれに気がついたのか、うつろな目をして乾いた笑みを浮かべた。

「えへへぇ……、ひろしだぁ。ねぇ、ひろしももっと、ぼくのこと、キモチよくしてよぉ……」
「どうしたんだ透! しっかりしろ!」

 透の肩を掴んで揺さぶろうとした俺を、白衣を着た救急隊員らしき男が腕を掴んで、それを押しとどめた。

「君はこの子の知り合いかね? 彼女は……薬物中毒の可能性がある。一刻も早く病院へ搬送の必要があるんだ。君も怪我をしているようだから、一緒に乗っていきたまえ」

 く、薬だと!? なんて奴らだ!
 奴らは透の体だけでなく、精神までも陵辱していた。
 俺がもっと気をつけていれば、透のことを気遣ってやっていれば、こんなひどい目にまであわなくて済んでいたかもしれない……。
 おれは後悔と自責の念に囚われた。
 病院に付くまでの間、俺は泣きながら透の手を握り締め、”ごめんな、ごめんな”と、うわごとのように繰り返していた。

<つづく>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/10238-b5532d63

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2019-12