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クジラの人魚姫6-1

ピッピッ、ピピィ――ッ。

「クジラ君も…も、もう少しィ……ゆっくり」
「ん?こうか?」
「あっ……うん、そのぐらいで――お願い…ィ」

笛の音に合わせた運動と共に、後ろから漏れる美声――と、おまけの同級生の呟き。
とても気になる。
『セラス』のグラマーさに魅了された男子と、『セラス』の可愛さに心奪われた女子は、兎に角、背後が気になってしょうがなかった。

ピピッ、ピッピ――ッ。

「ふぅ――結構……キツい…わ」
「――そうか?」

唯一まともなのは二人を視認できる青木先生と、事情を知っている麻倉沙希だけだ。
いや、正確には青木も平常心を保ててはいなかった。
意味不明に胸を押さえては、顔を伏せている時が多々ある。
笛のリズムも狂い始めていた。
そもそも彼らの危険な会話を注意しないあたり、既に『セラス』に魅了されているのだろう。

――……じゃあ次は交互に開脚運動――……ピッピッピッ…。

「ひぁん!!強すぎるゥ!?」
「えっ?もう少しいけるんじゃないか?」
「むっ無理ィィ――ひィ!?」

片方が足を開き、それを相方が補助をする開脚運動なのだが、なぜだろう?
エロいことしている風にしか感じられなかった。その声は。

「ひぅ…んぅんんっ――っ!」

聞こえてくる声――セラスの甘い喘ぎ――に、二人が性行為をしているのではないかと、ほとんどの者が邪推した。
勝手に増殖し、爆ぜていく妄想。
悶々と抱いてしまった自らの劣情に、意識が刈り取られるなら救いもある。しかし、悲しいことだが、人間の体はそこまで柔ではなかった。

……ピッピッピッ……ピッ――。

「ぬぁあっん!…やっ…やさ…しくゥ……ンっ」
「それはそうと――その声どうにかしてくれないか?…誤解されるだろ」

もう、遅い。思春期特有の妄想に理性が狂い始める。
ムラムラした性欲が歯止めなく押し寄せた。
本能が命じる。後ろを振り向け。
そこには淫靡で卑しくも――楽園があるぞ、と。
しかし、正視するには若い彼らと彼女らでは、振り向く度胸が足りず――また最初に振り向く勇気もなく――結果、先駆ける者がいないのだ。

「だっだって――クジラ君が激しくするからでしょっ!?」

止めてくれええぇぇ、それ以上俺たちを苦しめないでくれぇぇ――もうダメ、だ。
男子一同は熱心に祈った。
けれども後ろにいる『男』と『女』の甘ったるい猛毒は、治まる気配もなく場を汚染する。

「いや、でも後5センチは行けるって――ホラ」
「やっ――無理だって!!痛い!痛い、よお!!」

ああ、私たちのセラスちゃんが汚される。――っていうか、お願いだからもう喋らないで……っ。
すっかり雄っぽい、意識に染まった女子の方々は、切に願った。
体操をしているだけだというのに、男子も女子も祭壇に贄を捧げるような真剣さで目を瞑る。

「ひゃぁ…ひゃうぅ!ひぃ…うっんんああ――!!」

――が、それでも『セラス』の声が、無慈悲に耳に届いた。
普通の体操なのに、何故か場の空気は、妖艶な雰囲気に飲まれてしまう。
嗚呼、そして終には幻覚の『セラス』と、『クジラ』が瞼の裏にまで映り始めたではないか。

「ああ…うそよ。セラスちゃん…わたしのセラスちゃんが…ぁ」
「クジラ…っ!お前は俺の、俺たちの敵だ…!」

幻影の二人は実に楽しそう――と言うか、卑猥そのものだった。
むちむちボディの『白方セラス』と、一見女の子に見えなくもない『白方クジラ』とが交じり合う幻影が、理性を容易く打ち壊す。
体操が終わる頃――学園という場所にそぐわないほど――皆の心は、邪に澱んでいた。

<つづく>

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