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「淫獣の部屋」 ~ ♂殖栗 玉造シリーズ♀  ~ by ありす (1)

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ING挿絵1
キャラクターデザイン:松園

 “女の子になってみたい!”

 何時の頃からか、僕はそう思うようになっていた。
 理由は僕にも、良く分からない。
 けれど、男であることに違和感があるというような、性同一障害ではないと思う。
 僕の女の子になりたいという気持ちは、たぶん変身願望の一種か、あるいは憧れのようなものなんだと思う。
 だって、こうしてスカートをひらひらとさせながら公園を歩くのは、心がうきうきしてくるし、ウィッグだとはいえ、そよ風が長い髪を撫でていく感触はたまらなく気持ちが良い。

 うん、あまり似合っていないのは判るよ。
 背が低くやせ型で、どちらかといえば女顔だからといって、女装した自分が美少女だなんて、そんなことを言うつもりも無い。
 体つきだって、凹凸の少ない男のままだから、まるで木の棒で出来た人形みたいなスタイルになってしまうのは仕方が無い。
 だからこうして、友達や家族に見つからないように、電車で遠くの町まで来て、女の子の格好をしているんだ。

 でも、できれば本当の女の子になっておしゃれしてみたいし、それに……。
 そこまで思いをめぐらせて、ちょっと赤くなる。
 そう、女の子になってみたい、もうひとつの理由は……

 女の子のエッチがどんなのか知りたい

 という、誰にも言えない、恥ずかしい理由だ。
 
 中学生になってから、ちょっと遅い自慰の仕方を覚えた僕は、一時期その行為に夢中になっていた。
 そして、単にアレを握ったり、こすったりしているだけでは、気持ちよくなれないとわかった僕は、こっそり夜中に、ネットからダウンロードした画像ファイルを見ながらしたり、それが難しいときは、頭の中で誰かとセックスすることを想像しながら、自分を慰める行為に没頭したりしていた。
 そんな想像の世界で、僕はいつも“される側”だった。
 当然、本当のセックスなんて知らない僕は、“誰かにエッチなことをされながら”イクことで、より興奮と快感を覚えていくストーリーのほうが、想像しやすかったからだ。
 だから僕は、想像の中では初心な女の子で、誰かに優しく、時には乱暴にセックスの快感を覚えていくというストーリーを、頭の中で描きながら果てていた。
 もちろんこんなこと、とても他人には言えない。

 けれど、誰もいない静かな午後の公園で、ベンチに座っていた僕はつい、こんなことを言ってしまった。

「あ~あ、女の子って本当はどんなだろう? ……なってみたいなぁ」
「お悩みですね」
「うわっ! だ、誰っ!」

 突然背後から話しかけられ、思わず飛び上がるほどびっくりした。
 振り返ると、黒のスーツに黒の帽子、そして黒のアタッシュケースを携えた中年男が立っていた。
 典型的な営業スマイルに、メタボ街道まっしぐらという感じの、見るからに怪しい男だった。

「私ですか?  私、こういうものです」

 差し出された名刺を反射的に受け取ると、そこにはこう書かれていた。


    性の悩み解決します
    コンサルタント

    殖栗 玉造


「な、なんて読むんだ……いえ、読むの?」

 突然のことで、男言葉に戻ってしまった僕は、言い直しながら尋ねた。

「“ふぐり”です。ふぐりたまぞう」
「そ、それで? そのフグリさんは、いったい私に、何の用?」

 女装している男の子だということを、知られたくなかった僕は、声のトーンを上げながら慎重に言った。

「あなたがお呼びになったのですよ」
「ぼ、私はあなたなんか、呼んでいません」
「さっき“女の子になってみたい”と、そうおっしゃられたではありませんか」
「み、見てのとおり、私は女の子ですから、そんなこと、いう筈が、な、ないじゃありませんか」

 まさか、僕の女装がばれている?

「私は、“あなたが男性だ”などとは一言も言っていませんよ?」
「! ……」
「いえ、これは失礼。別に私はあなたの趣味を馬鹿にしたり、後ろ指を指そうなどというわけではありません」
「そ、それじゃ何の、用……なの?」

 まさか、この人は“そういう趣味の人”じゃない、よね?
 こんな怪しい変態に襲われるなんて、冗談じゃない!
 
「まぁそう警戒なさらずに。私はあなたの願望を叶えに参ったのですから」
「願望……?」
「あなたを、本当の女の子にして差し上げますよ」
「“本当の、女の子”……?」
「はい」

 僕は改めて相手の男を見た。
 黒尽くめの格好、薄笑いを浮かべてはいるが、いまひとつ感情の読みきれない顔。
 それに、何と言って良いのか、雰囲気が普通の人間とは違っていた。

「もしかして、オカルト?」
「あっははははは!」
「な、何がおかしいんだ! いや、おかしいのよ!」
「あはははは、おほほほほほ、 あはっ! いや、これは失礼……、あははは」

 やばい。この人、危ない人だ!
 僕はベンチから立ち上がり、ダッシュで逃げようと、方向を見定めた。

「あははは、いや、本当に失礼。面と向かってそんなことを言われたのは、初めてだったので、ぬふふふふ」
「わ、わたし、用事があるのでこれで失……」
「お待ちなさい。私が怪しく見えるのはそのとおりなので、否定はしませんが、あなたの願望を叶えられるというのは、本当ですよ?」

 僕はその言葉に、逃げ出すタイミングを失してしまった。

「女の子になれるというのは、本当……?」
「はい」
「元に、戻れるの……?」

 女の子になってみたいけれど、それが一生というのはちょっと困る。

「百聞は一見にしかず。先ずはごらんになられてから、考えて見てはいかがです?」

 怪しい男の言葉に、うっかりつられてしまったのが、僕のミスだった。
 
<つづく>

コメント

大好きですこういう展開^^
続き楽しみにしてます!

華代ちゃんかと思いきやw
続編期待してます!

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