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『トイレの……』 後編 by.うずら

 明日のことは明日決める、ということで、その日は早々にベッドにもぐりこんだ。ホントなら一夜漬けして、少しでも点数は上げたかったんだけど、仕方がない。正直、机に向かう体力も、教科書を見直す気力もなかった。
 うとうとしたかと思うとあの煙が思い出され、目が覚める。ずっと布団の中に居るのに、とても休まる気がしない。
 何度か寝て起きてを繰り返していると、汗がひどいことになってきた。パジャマ代わりのTシャツが気持ち悪いぐらいに湿っている。まだふらふらするけど、一回、汗を拭いた方がよさそうだ。
 階段を下りて洗面所に至る。電気をつけて、タオルを取り出す。鬱陶しい髪を払いながら水でぬらして……びしょびしょのままのタオルを取り落としてしまった。鏡に映るはずの俺ではなく、昼間の幽霊がそこにいた。
 なんでそこにいるのかとか、そういった問題を棚上げにするほど、エロい。なにがって、胸に張り付いたシャツとか、透けて見えそうな肌とか。疲労困憊って感じだけど、湯上りっぽく見えるのもいい。
 そして、あのもやみたいな状態ではなくなっていることに、少し安心もしてしまう。というか、またあの姿で出てきたとしたら、今度こそ立ち直れないかもしれない。それにしても、鏡の中に現れるなんて、凝った出現方法だ。
 と、見るばかりで謝っていなかったことを思い出した。ていうか、相手もこっちを観察しているみたいだし、お互い様なのかもしれないけど。
「その、昼間は悪かったよ。ほら、うるさかったからちょっとからかいたくなって、出来心ってかさ」
 かすれた声で謝罪したものの、相手は何も言わない。そんなに怒っているのだろうか。反応すらしてくれないのは、どうすればよいだろう。
 目の前に手をかざして、振ってみる。それと全く同じタイミングで、相手も。なにか、おかしい。テレビでやってた芸人の決めポーズをとってみる。向こう側でも同じ仕草が繰り返される。これって……。
 思い切って下に視線をやる。覗きこまないと真下が見えないほど、巨大な塊がひっつている。先ほど自分がエロいと思った、そのものが。
 両手で余るほどの重厚感。興味本位で揉んでみるが、そんなにすぐにすぐ気持ちよくなるものでもないようだ。真依子だったら……個人差があるのか、開発しないといけないのか、それとも演技、いや、変な考えはやめよう。
「だいたい、そんなことを気にしている場合じゃないだろ。落ち着け、落ち着いて……」
 深呼吸して、股間をまさぐる。どこをどう触っても、慣れ親しんだ突起は見当たらない。見た目といい、タイミングといい、昼のあの幽霊が原因としか考えられない。そうでもないと、こんな非現実なこと……。
 ふと置時計を見ると、午前2時。嫌な時間だ。けど、アイツに会いに行くにはちょうどいいのかもしれない。そう思うと、居ても立ってもいられなくなってきた。
 そのまま玄関に向かう。かけてあったコートを適当に羽織り、スニーカーに足を突っ込んだ。すっかりバランスが取りづらくなった身体で学校へと急ぐ。
 胸が弾むたびに、よろけそうになってしまう。踏ん張らないといけないから、あまり強く蹴りだせない。本来の目的とは違うところに体力が浪費されてしまう。速く走るにも、長く走るにも、向いていない気がして仕方がない。

 喉が張り付くような、吐きそうな感覚に見舞われながら、なんとか学校までたどり着いた。最後はよろよろしていたから、結局、最初から歩いても変わらなかったかもしれない。
 さて、勢いで来たものの、校門は当然のように閉まっているし、誰もいそうにない。やっぱり塀を乗り越えるしかないか。
 普段だと簡単そうな壁が異様に高く思える。いや、実際に高いのか。校庭が見えていたはずが、今は見えない。十センチぐらい低くなっているだろうか。
 悩むのは後だ。とりあえず、手をかけて身体を持ち上げる。が、渾身の力を込めても、なんとか奥を覗き込むのが精いっぱいだった。そのときは徒労だと考えるのに、やけに時間がかかった。
 他に方法はないものだろうか。ぐるりと回っていると、路上駐車している車があった。周りに人は……いないようだ。これを踏み台にしよう。ボンネットからだと、今の体力では心許ない。ルーフに這いあがり、そのまま塀を踏み越える。
 着地に失敗したものの、なんとか侵入は成功した。これ、帰るときに困りそうだけど……それはそのとき、考えよう。
 薄暗いを通り越して、ほとんど真っ暗な校庭を突っ切る。懐中電灯とか、せめてケータイを持ってきておけばよかった。と、いまさら後悔してもどうしようもない。頼りになるのは月明かりと、所々に付いている非常灯ぐらいだ。
 一応上履きに履き替えようと思って、そこではじめて気がついた。靴が、小さい。道理で今まで脱げなかったわけだ。ピンクのラインが入っていて、かわいらしいデザインだ。下駄箱から取り出したスリッパも、当然のように女子用で。これも全部、あの幽霊のせいだとでもいうのだろうか。

 薄気味悪い校舎を、なるべく意識しないように進む。ただ特別棟には生物室とか音楽室とかがあるせいで、つい怪談話を思い出してしまう。別にうちにそういう話があるわけでもないのに、どうしてこうも恐怖心があおられるのだろう。
 窓に映る自分自身も怖いし、なるべく教室側を見ないようにして通り過ぎる。ホルマリン漬けとか、生々しすぎて動き出しそうだし。
 帰りたくなる気持ちを奮い立たせて、問題のトイレまでたどり着いた。本当にアイツはいるのだろうか。気がつくと、辺りを走る車の音さえ聞こえなくなっていた。唾を飲み込む音が嫌に耳に残る。
 深く息を吸い込んで、乗りこむ。電気をつけるまでもなく、そこに人がいるのはわかった。だけど、昼とは明らかに形が違っていた。黒いもやでもなく、女性でもなかった。
足を組んでふわふわと浮いている姿は、まぎれもなく俺だった。
「案外、遅かったわね」
「……気持ち悪いから、女言葉はやめてくれよ」
「それはお互いさまじゃない」
 意気込んでいたのに、文句を言うべき相手がまるでオカマみたいでがくりときた。でも、こんなところでくじけてたまるか。
「それより、コレ、どういうことだよ」
「さあ? 私はただ、呪ってやるって思っただけだし」
「俺なんかより、死んだ原因を呪えよ!」
「生きてた時の記憶なんて、ないから」
 ふっと寂しげな目をする幽霊。てか、俺の顔でそんな切なそうな表情しないでほしい。ちょっと迂闊な言い方だったかもと思っても、謝る気が失せてしまう。
「……でも、ま、自縛霊なんて、そんなものじゃないの?」
「いや、知らないし。で、コレはお前のせいってことなんだよな。戻せよ」
「どうしようかなー。戻せるとは思うけど、ほら、やっぱり呪いなんだから、それなりのことはしてもらわないと」
 そりゃ昼の件は俺が悪かったかなとも思ったし、だからこそ謝りもしようと考えてた。けど、なんだ、この態度。
「うっさいんだよ。うだうだ言わずに、何とかしろよ!」
「もう、私の顔でそんな下品な言葉使わないでよね。ああ……そっか、まだ立場が分かってないのね」
「立場って、うわっ!?」
 泳ぐように後ろに回り込んだかと思うと、組伏せられてしまった。まさか触れると思っていなかっただけに、なんの準備もできていなかった。振りほどこうにも、強い力で締めあげられる。
「うん、なんか腹が立ったから、ちゃんと女の子にしてあげようと思って」
「なんの、あっ!」
 ハーフパンツが膝まで降ろされる。体勢を変えられ、お尻を突き出すようにされる。屈辱的な状況なのに、何の抵抗もできない。
「なんだかんだ言いながら、かわいいショーツなんて履いちゃって……それとももともとそういう趣味?」
「違う、それは勝手に変わってて!」
 はいはいと空返事が返ってくる。要は俺がいたぶれればいいのかもしれない。そのまま、執拗に股間や内股が撫でられる。
「ん、やめろよっ」
「嫌。それにこうやって恨みを晴らしていれば、もしかしたら勝手に戻るかもしれないじゃない。このままじゃ私、戻す気になんてならないし」
「そんな、むちゃくちゃな」
「私の存在を簡単に受け入れているあなたに、そんな風に言われるのは心外なんだけど? それにこのままより、少しでも可能性があった方がいいんでしょ? それじゃあうさばらにし付き合ってよ」
「それは……そうかもしれないけど……」
「じゃ、同意ももらったことだし、本気でいくから」

幽霊b
挿絵:蒼都利音 http://2st.jp/rionoil/

 本気というその言葉にウソはなかった。たかが片手の愛撫だけで、何度意識が飛びそうになったことか。下着も気持ち悪いぐらいに湿っているし、すでに押さえつけられなくても、反抗する気力すら湧いてこない。ふぬけた状態で、なすがままだ。
「さて、それじゃあ、そろそろ……」
 股間を覆っていた布地が強引に取りはらわれる。さっきまでは直接ではなかったけど、それじゃあ、次は? 恐怖と期待がぐちゃぐちゃになった状態で身構える。
「最初だけど……たぶん痛くないから」
「え、それって、あ、はい、入って、やめ、ろぉ」
 微塵の躊躇もなく、挿入ってきた。この身体が小さいのか、それとも単に慣れていないのか。吐き気がしそうな、違和感がある。奥まで行ったかと思うと、入口まで戻り、そして再び奥まで。それが何度も何度も繰り返される。俺が真依子にいつもやってること。まさか自分が体験するなんて思っていなかったけど、気持ちいいのに、気持ち悪い。
「どう、気持ちいい?」
「んあっ、きくなぁ」
「意外に強情ね……それじゃあ、ほしいって自分から言うまで、続けてあげる」
 その言葉通り、喘いでも泣いても懇願しても、動きが止まることはなかった。キモチイイに頭が支配され、イきそうでイけない状態がしばらく続いて、もどかしくてたまらなくなった。
 ようやく止まったかと思うと、身体の中のモノが取り除かれた。出口付近が抉られて、ちょっと気持ちいい。けど、そのまま触ってすらくれない。
「ぁっ、あ、なん、で」
「なにが?」
 ずるい。もともとコイツの身体だ。イきそうになって、寸止めされて、苦しいのなんてわかっているはず。それを分かっていて……。どうあっても、俺に言わせたいらしい。睨みつけても、にやにやしているだけだ。
「なんで、止めるんだよ」
「続けてほしいの? 男なのに、後ろから突っ込まれて、あんあん喘いで、イかせてほしいの?」
 悔しい。でも、肯定しないと、こいつはこのまま終わらせる気がする。そんなの、ひどい。
「そ、そうだよ!」
「じゃあ、ちゃんと女言葉でお願いしてみて」
 唇をかみしめて、怒りをこらえる。そんな素振りすらも、楽しそうに眺めている。なんで、こんなことに……。
「お、お願い、イかせて」
「うーん、まあ、最初だし、そんなものかなぁ」
 不満そうに言うが、次なんてあってたまるか。ただ、ちゃんと約束は守る気みたいで、再び入口付近に棒があてがわれる。
「あれ、さっきよりぬめってない? じらされて、恥ずかしいこと言わされて、感じちゃったとか? そんな変態さんなの?」
「ちが、んあぁっ」
 深く貫かれて、反論は言葉にならない。それに、最初に入れられた時より気持ちいいと思ってしまったのも、事実だった。
「ぁっ、ん、くぁんっ」
「そうそう。言い忘れてた。イかせてあげるのに条件があるんだけど、いい?」
「なん、ぁあ、いいかりゃ、あぁっ」
「あのね、私、もう一回人間として生きたいの。わかる?」
 そんなに激しく動かされたら、考えられるわけない。それなのに、なにか大事な決断が迫られているというのは、肌で感じる。でも、あたま、とける……。
「うん。だから、あなたの大事な人、ちょうだい」
「だいじ、ああっ、そこ、だめぇっ」
「聞いてる? 返事は? 返事しないと、止めちゃうよ?」
 言葉通り、動きが止まる。また、せっかく高まっていたのに。いや、だからこそ、今のままの状態というのがつらくて仕方がない。口が勝手に言葉を紡ぐ。
「だめ、だめぇ、あげるから、あげるから、やめちゃだめぇ!!」
「そ? じゃあもらうね。マイコちゃんだっけー、漢字は、ふんふん、じゃあ、真ん中を取って、依ってのがいいかな」
「よ、りぃ」
「そ、依。これからあなたの飼い主になる人の名前だから、ぁ、ちゃんと覚えてね?」
 刻み込まれるように、奥にぐりぐりと押し付けられる。名前、なまえ、よばないと。
「あぁっ、よりぃっ」
「本当に聞いているのかな? まあ、いいか。ちゃんとした肉体になったところで、んっ、く、感覚が戻ってきたし……えいっ」
「あ、だめ、いっ、や、あああぁぁっ!」
 頭が真っ白になって、意識が一瞬トんでしまう。さっきまでなんとか支えられていたのに、力が完全に抜けて、便器にへたり込む。これが女の、イくって感覚……。
「ひどいなぁ、私がやっと気持ちいいって思いだしたところで。まあ、いっか、このまま使うね?」
「へ、や、いま、ぁあんっ!」
「きつ……私が出すまで、だから、ん、がんばってね」
「やめ、ろぉっ、そんな激しく、やぁあっ」

- ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ -

 並んで校門を出る。あれから何度も出されて、シャツも汗と精液でべとべとしているし、ノーパンだし、ほんと、どうにかしないと。
 本当ならずる休みしたいけど、試験日ともなるとそういうわけにもいかない。浪人ならともかく留年はシャレにならない。
 東を向くと、細く赤い朝日がまぶしい。と、こんなキラキラした笑顔の、すごく大切に想っていた人がいたような、妙な錯覚に襲われた。恋する乙女でもないのに、なんだかずきずきする。しかも、どんな顔だったかも、どんな性格だったかも、それどころか名前すらもわからない。
「どうかした?」
「いや、なんか、大事な人を忘れているような気がしてさ」
「男言葉。気をつけてよね、りょーちゃん?」
「おま、依だって、そうじゃない。そっちの方が、オカマっぽいんだから」
「そうだな。で、大事とか言いながら、忘れるぐらいなんだろう。どうでもいいってことじゃないか?」
「そう、かな」
「そうそう。お前は――を選んだんだから」
「なに、なんて言ったの?」
 ちゃんと聞き取れなかったけど、なにか、すごく核心的な言葉だった気がする。それがわかればすべて思いだせそうな、そんな……。だけど、はぐらかすように笑って、彼は先に行ってしまう。何歩か進んでから、くるりと振り返った。
「それより、次、どこでスる?」
「ば、ばかっ!! そ、それより制服に着替えて来ないと、今日はテストなんだから!」
「あ、今度は制服でシたいんだ。えっちだなぁ、りょーちゃんは」
 そんな大声で。人の悩みもそっちのけで。
 再び横に並んだとき、依が校舎を見上げながら呟いた。今度は音は聞こえたけど、意味が分からない。どういうことだろう。
「それじゃあ、真依子ちゃん。私の代わり、よろしくね?」
 ……ま、気持ちいいし、なんでもいっか。

<了>

コメント

とくめいさん

読んでいただきましてありがとうございます。

超常現象ですので、かなりとんでもですが、自分の中ではこうなってます。
 稜:幽霊に肉体を変えられた状態
 幽霊:魂の状態で稜の見た目を再現 → 真依子を犠牲に肉体形成
 真依子:肉体を依に奪われて魂をトイレに封印

もともと依もそんな感じで封印された女の子だったり。
娯楽小説なので、そう肩肘張らずに好きに読んでいただけたら嬉しいです。

幽霊の女の子→依(稜の肉体)、稜→りょう(元幽霊の女の子の肉体)、真依子→幽霊になったということでしょうか?
真依子の肉体がどうなったのか気になります。幽霊の女の子に体を乗っ取られて、稜の肉体に変化したのですか?

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