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主従逆転~秋月操の復讐~ (1)

【1】

「ありがとう御座いました。ぜひ、またいらして下さいね」

完璧な社交辞令として、秋月操(みさお)は笑顔を振る舞った。
安っぽい言葉に、安っぽい表情なのだが、相手の男性は興奮極まった顔で近づいてきた。

「ああ!もちろんだよ!!ミサちゃん!!」
「あ、あはは。み、ミサうれしぃぃ!」
(うわっ!鼻息あらいっ!っていうかくさいっ!臭うっつぅーの!!)

あっという間に掴まれてしまった手。
胸元に鼻息が掛かるほど詰め寄られ、嫌悪感にこめかみを引き攣らせながらも、愛想笑いで誤魔化した。

「今夜は本当にありがとうございました。――――ふぅぅ」

意気揚々と帰る男性――自分よりも倍以上も年上――の背中を見届けると、重い吐息をこぼす。
たぷん、と男性を誘惑するために大きく切り開かれた胸元。
柔肌を晒すほど食い込ませている黒のレオタード――否、黒のハイレグ。足先を支えるのは、真紅に染められたハイヒール。手首には鬱陶しいカフスに、首には蝶ネクタイ。
極めつきは光輝く夜の街で、愛らしく揺れるウサギ耳のカチューシャに、お尻に付いているふわふわのウサギ尻尾。
秋月操、22歳。非処女。
何てことはない。無名の風俗店で、恋人のためにバニーガール姿で働く女性だった。

「はぁああ――」

今、彼女は自分の生活にウンザリしていた。

(もう……やだ。……男たちは私の体だけにしか興味はないし。シオンはただのヘタレだし……・っていうか働けよホントっ!!)

毎晩毎晩違う男たちに抱かれるのもそうだが、何よりも愛しい彼のために働くことが。

(もういっその事別れちゃおうかなぁ……っ)

――というか、彼を愛することに疲れていた。
重々しい吐息を吐き出して、店の看板に背中を預ける。――すると。

「ミサちゃん!何をしてるんだよ!?次のお客さんが待ってるよ!!」
「え、ええ!?す、少しくらい休ませてくださいよ、田中さん」
「何言ってんだよ!?ミサちゃんはうちのナンバーワンなんだよ!!ほらその分、ギャラは高く見積もってるんだからっ!」
「……はーい」

店員に急かされても、テンションは無論上がらない。
確かに、他の娘と比較しても報酬はそれなりに高いのだが、操の場合はその大半が家で居候している青年の懐に消えてしまうため、あまり魅力を感じないのだ。

(しょうがないか――でも)

限界だった。
ほんの昔は――、一年前ならば彼のためだったらどんなことも出来ていたのに。
最近ではそれが、ただただ苦痛でしかない。
あんなに愛していたのに、あんなにときめいていたのに、だ。

(シオン……私のこともう嫌いなのかな?っていうか、本当に私のことを愛してくれていたのかな?――っああ!もう……こんな風になるんだったら私が男でシオンが女だったら良かったのに。そしたら、そしたら――)

幸せな夢想を抱いてから、仕事を行う。
残酷な現実に打ちのめされようとも、そうしないと発情状態の雄どもと正面から向き合えないのだ。

「――お待たせしましたお客様!バニーのミサがお相手をさせて頂きます。本日はどんなプレイがよろしいでしょうか?パイズリ、フェラ?足扱き?おまんこは勿論のこと、アナルも大丈夫です!」

経験豊富な水商売の女は、営業スマイルで指名してくれたお客様に近づいた。――が。

「えっ?ちょ、ちょっと!?あ、あなた誰よ!?」

一瞬で瞳を瞬かせて驚いた。
銀髪を優雅に流す、美麗な少女が目の前に立っていたからだ。

(新人の子?い、いやそれにしては身だしなみがいいし……スーツプレイって言ってもここだと安物しか従業員に貸し出さないし……じゃ、じゃあこいつは……)

いつもの発情変態野郎たちと勘違いし、恥ずかしい痴態を見せてしまった操は、久しぶりに恥じらいの思いから頬を染め上げる。
ワザと晒している胸元を両手で庇い、ソワソワとお尻を、尻尾を左右に揺らす。

「ね、ねぇ――あなたいったい?」
「くす……ごめんなさい。お姉さん……誤解させちゃったかなボク……男だよ」
「…………うそね」

愛らしいと言える華奢な顔つきに、細やかな身体のバランス。声だけは確かにボーイッシュだが、それだけでは男だとは認められない。
そう思っていた彼女の手を、眼前の人物は断りもなく掴むと、自らの胸元に誘った。

「――っ!?えっ、ええ!?」

分厚い筋肉の感触が指より伝わる。そのまま今度は股座の方へと一直線に引っ張られた。

「ひゃっ!?」

見慣れないものでも、触り慣れていない訳でもなかった。
しかし、どう見ても生まれてくる性別を間違えているような可憐な容姿に、”ソレ”が生えていることに驚きを隠せない。

(うわっ、わああ!なにこれ!今までの男の中で、一番おっ、大きいっ!)

指を跳ね返す弾力とその大きさに、操は悩ましい吐息を禁じ得ない。
はぁ、はぁ、と本当に久方ぶりに――『彼女』の方から興奮してしまっていた。

「ねっ、言った通りでしょ?」
「え、ええ……でも、こんなすごいのもってるなんてぇ……ああっ!!」

二の腕なんて自分と同じくらい細いのに、苦も無く身体を持ち上げられる。
優しく横たえられたのはプレイ用のベッド。
有無を言わさず、女性だと思っていた彼の身体が、圧し掛かってきた。
たぷるん、と胸元が歓喜に反応してか大胆に揺れ弾む。

(あ、あン!なにぃこのかんじぃ――まるで、まるで!そうまるでぇぇ!)

昔は永遠に感じていた高揚感。
いつの間にか跡形もなく消え去っていた満足感。
それが、胸の内から溢れ出す。

「じゃあさっそく抱かせてもらうね。おねーさんっ」
「――っ!え、ええ!いいわ!……はやくきてぇ!!」

この夜、操は恋人から与えられていたものの全てを、この少年から与えられる。
そして、それが彼女の人生を変えてしまうことを――。

「んあっ、んんっ!あなたすごいぃ!すごいぃわああ!!」

まだ、知らない。

<つづく>

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