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主従逆転~秋月操の復讐~ (2) by.黒い枕

【2】

大滝獅音。
24歳の男であり、現在は恋人の秋月操のヒモとして暮らしていた。
もっとも、本人にヒモとしての罪悪感はない。
つい四時間前には、別の女とも寝ていたくらい、だ。
しかも、自分と恋人のベッドで。

「んっ……んん……いい、匂いだぁ」

油が跳ねる音が耳に入り、香ばしい肉を焼く匂いが鼻孔を擽る。
肉食であり、偏食化であり、そして何よりも自分の欲望に素直な獅音は直に飛び起きた。

「んっ……?おーい、操帰ったのか?」

同棲中の相手を呼ぶも反応はない。
ただリビングの方から人の気配がするだけだった。

(怒っているのか――?まったくしょうがないやつ)

散らばった衣服。裸で気持ちよさそうに寝る彼氏。
部屋いっぱいに広がる男と女の濃厚な発情臭。激しく交尾し合った発情に臭いは簡単に消えない。
使用した際のコンドームの箱も、出しっぱなしなのだから、他の女とのお遊びには彼女も気づいているのだろう。

(キス、してやるか)

しかし、謝るつもりも、縋るつもりもない。
もう彼此、忙しい――風俗店に働かせている時間は――操の代わりに、多くの女性を抱いている。
今さら、怒るのは筋違いと言うものだ。

(しかし、最近すこし反抗的だぞアイツ……この間なんて俺の朝ごはん忘れて行きやがったし)

むしろ、こんな些細なことで反抗的な態度を取る同棲相手に、腹が立った。

「そうだな……女なんて腐るほどいるし。俺だったら操なんかよりも器量のいいやつ、幾らでも捕まえられるし――ひゃははっ、それはそれでいーや」

美麗な顔立ち。
すらりと手足が伸びた長身に、女が好きそうな甘いマスク。
自分から言い寄らなくても、寂しい夜を慰めたい女たちから、彼は何度も何度も体を求められていた。
自分はモテる。自分は誰にも彼にも求められている。自分は、貴重な存在だ。
そんな間違った大義名分を、しかし彼は信じ切っていた。
そう、つまり大滝獅音という人間は――。

「取り敢えずメシ食って。操から金頂戴して……バーにでも飲みに行こうかな」

調子に乗り過ぎていたのだ。


「み・さ・お!美味しそうじゃないか」
「……シオン」

豊満的な女体を後ろから抱き締めつつ、獅音は皿の上のウィンナーに手を付ける。

「もぐもぐっ……」
「……私じゃなく、ご飯の方が美味しそうなんだ」
「……?」

顔一個分くらい、下にある操の表情は捉えにくい。ただでさえ顔を伏せているから。
雰囲気が、いつもとは違う。
怒っているとも、拗ねているとも異なる様子。気のせいか、声も震えているようだ。

(――こいつ、また風俗店で働きたくないって抜かすつもりか?)

「ねぇ私の今の姿をみて、どうなの?」
「あっ?」
「だから、どう感じてんのよ!」
「……どうって」

涙で潤んだ瞳に上目づかいで、睨まれて獅音は本音を伝える。

「別に普通のエプロンじゃなぇか」
「ふ、普通!?」

胸元の谷間を魅惑的に深めつつ、清楚な感じでエプロンを身につけている。
他の衣服らしい衣服は着てなくて、フリルの付いた白地が恋人の豊満ボディに密着している。
敢えて気になると言えば――。

「お前……これどうしたんだよ。高そうじゃねぇか……買ったのかよっ?」

首に掛けている青色のペンダントだ。
ガラスではなさそう硬質感と輝きに、獅音はあからさまに非難する声を飛ばす。

「そう言うところしか見てくれないんだね」
「あっ、ああっ?あ――まさか、その裸にエプロンで誘ってくれていたのか?ぎゃはは、お前にそんな可愛いところまだあったんだ。あ、あはは!おかしいィ」
「――っ!あ、あなたねぇ!!」

激情に顔を赤くして掴み掛かる操を軽くねじ伏せて、壁へと押し当てた。
女らしい悲鳴を上げ、苦悶に顔の表情を歪める。

「くっ、はぁ、ぁっ!」
「事実だろ。実際、もっと恥ずかしい衣装で男に腰振ってるんだし。なに今さら恥ずかしがってんだよ?――素直に俺に抱かれたいんだって言えよ。抱いてやってもいいんだぜ?」
「――っ!」

恋人の顔が悲哀に染まり、絶望的な何かに気付いたかのように大きく瞳を開いた。

「……そっか。そうだよね……そういう奴だもんね」
「おっ!体の緊張を抜いてきたな……まぁ抱くのはいいんだけどよ――それどうしたんだよ?」
「分かった。分かったから体を退けてよ!」

男の味を知り尽くしているせいか。
ずっしりと重く押し付けられる乳房が、理性を超えて本能の部分を刺激する。
獅音はなるべく昂ぶる気持ちを抑えて、体を退かすと再度問い詰めた。

「その高そうなペンダントは客からのプレゼントか?」
「ええ、そうよ。――似合うでしょ?」

高圧的な態度を崩さない獅音に、操もちょっと強気になって首に下げられているペンダントを見せびらかした。
もっとも、似合う、似合わない、と言うことは考えず、手に持ってペンダントを値踏みした。

(10万か、それ以上か……ラッキー)

「良かったじゃないか。じゃあ、さっそくこれを売って美味しいものでも食べに行こうぜっ」

引っ手繰るつもりで掴んだものの、どういう訳か何時ものようにはそのペンダントを奪えない。

「待ってよっ」

もたもたしている内に、ペンダントを鷲掴みにする手を、操が払い除ける。

「おいっ。なにするんだっ!」
「――そのお客さんからあなた用のも貰っているのよ」
「はぁ?お、俺にだと?」

彼女と別れて下さいと言う、手切れ金のつもりなのだろうか――?
あるいは自分よりも経済力があると言う自慢なのか。はたまた新手のプレイか。
もしくは恋人と一緒に幸せになって欲しと思うほど、そこまで操に惚れこんでいるのか。
しかし、彼女の手には確かに高級そうな金と宝石のペンダントがあった。
操が身につけているものと同じデザインで、ただ真ん中の宝石だけがルビーだった。

「ほら、付けてあげるから。動かないで、シオン」
「え、いや……おい」
「うふふ。いいじゃない、一回ぐらいは身につけても」
「いや、俺はいい――ああもう分かった」

背伸びをしながら一生懸命首にペンダントをひっかけようとする操――の、深まる乳房の谷間を上から鑑賞する愉悦感に、獅音は寛大にも操の望みを叶えてやろうと決めた。

(まぁ、どうせ両方とも売るし――ほとんど俺が金貰うし)

もう働きたくない、と言い出さないだけマシだと同棲相手が望むままに、寝室に遣ってきた。
大きめの姿見。
鏡面には、シャツにジーンズというラフな格好の獅音が、面倒臭そうに立ち尽くしている。
操はたぷるん、と胸元とお尻を揺らし、何故か妖艶な笑みを浮かべて彼に抱き着いていた。
獅音の胸板で赤い輝きが、操の乳房の上で青い輝きが反射する。

「満足だろ――あれ外れない」
「うふふ」

いい加減にうんざりして、ペンダントを外そうとした。
しかし、操だけではなく、今度は自分の首にあるアクセサリーも外せなかった。
青と赤が、変わらずに二人の胸で輝き続ける。

「どうなってるんだよ、これ」
「――外れないわよ。それ……うふふ」
「はぁ?何を言って……」

続ける言葉が出てこない。
正体不明の重たい感触が肺を押し潰す。手足が真っ先に痺れ、唇が痙攣した。

(――っ!?なんだこりゃっ!?)

青く、赤く、輝く。
操の勝ち誇った笑みが、青に染め上げられる。獅音の焦った顔が赤く塗り潰される。
いつの間にか、人間一人分を呑み込むほど質量のある光を放ち始めたペンダントの輝きの中に、二人はいた。

(――うご、け、ない)

青い光が、動けない彼に向って放たれる。
獅音が身につけているペンダントも、応戦するかのように赤い一閃を打ち出した。
そして、衝突。
青と赤の螺旋。不可思議な風が巻き上がり、操の体が一瞬浮かぶ、獅音の体が大きく揺らぐ。

(――――っ!?)

意識が一瞬吹き飛んだ。
青と赤のぶつかり合いはお互いがお互いの軌跡を譲り合った。
青い光線は獅音に、赤い光線は操にぶつかり、そして纏わりつく。
数分後、そこには変わらない姿で立ち尽くす――『操』がいた。

「んっ……おいっ!操今のはいったい!いぃ――!?」

『操』が粗暴な声を吐き捨てると、驚愕の顔に歪んだ。
思わず、後ずさり、叫ぶ。

「お、俺……だと?お、俺ぇええ!?」

わなわなと指を向けたのは、ニタニタとにやける『獅音』。

「うふふっ!驚いているわね!いいわよっ……」
「く、くるんじゃ……んああっ!な、なにィィ」

接近したその巨体――というか、長身――に、威圧感を感じた『操』は肩をびくり、と震わせた。
その振動で乳房が大胆に弾ける。
エプロンが張り裂けてしまいそうなほど揺れる胸元。おっぱい――。

「あ、ああっ!そんな!?なんでっ?ほ、ほんものっ……なのか?」

以前から癒着していた筈の柔房を、何故か『操』は信じられないとばかりに凝視する。
怯えながら、その小さな手で包むと、確かな感触が脳裏に走った。

「んっああ!?」

湧き上がる、気恥ずかし心地よさに甘い声が溢れ出る。

<つづく>

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