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クジラの人魚姫 8-1 by.黒い枕



「んに、ゃ、ぁぁ……んっ」

びゅう、びゅう、とそよ風が繊細な下半身を撫でている。
少し冷えてしまったのか。
身体が身震いする震動に意識が揺さぶられ、クジラは重い瞼を開けた。
ぴち、ぴちちぃっ。

「…………んぅ……?」 
(……あ、れぇ……? お、おれ? いっ、体……もう……よ、よる……なのか?)

夜を思わせる暗さ――と言うか、近くの窓の向こうでは夜の光景が広がっていた。
近くにある開けっ放しの窓から張り込む夜風がカーテンをひらひらと翻し、彼の柔らかい身体を――特に『下半身』を冷やしていたのだ。

「んっ……むぅっ……」
(えっ、と……確かオレは倒れて……保健室にはこばれてっ……あれ、なんで夜?えっ?)

自身が横たわっていたのは、彼が通う高校の保健室に間違いなかった。
しかし、血の回らない頭はそこにいる理由を思い出し切れない。
ぴちっ、ぴちち。

(んっ?)

暗闇の中、何かが跳ねる。それと同時に――。

「んっ、んぶっ!」

じりじりとした痛みを胸と腕に感じ、クジラは思わず呻きを上げる。

(あっ、ん……ふぁ……からだが?あ、あれぇ……えっとお、おれは俺は確か……?な、なんだろう?胸が、熱い?あれぇぇ?)

なんだか乳房が熱っぽい疼痛に苛んでいた。
違和感は彼の中で増加し続ける――が、今まで体験したことのない、まるで碇を括りつけられているかのように重たい頭では、違和感の正体を捉えきれない。
仕方なく、まずは気を失う直前までのことを思い出そうと試みた。

(えっと……確か……はぅっ!さ……さむいっ!?)

ぴち、ぴちぴちっ、ぴちちぃ。

「んっ、んっ……」

予想以上に華奢な身体は冷え切っていた。彼は呻きを上げて、ぶるぶると震える。

(ふあっ!ほ、火照った身体にはちっとキツぃ……って俺はなんで身体が熱く……あっ――!)

唐突に、唇と舌をとろとろと淫欲に蕩けさせられてしまった接吻の感触が、脳裏と胸中に蘇る。
とくんっ……とくんっ……。
心音が加速して、嫌でも唇の粘膜が悦楽の思い出に昂ぶる。ジンジンと体が火照ってきた。
それと両手と下半身に感じる鈍い痛みが、強くなる。
しかし、今は訴えかけてくる痛みよりも、恥ずかしい気持ちで脳裏が一杯になっていた。

(お、おれぇ!せ、セシリウスとキスしちゃった……そ、それもお、俺からせ、せがんでた……あっ、あひぃっっ!?)

未だに続く頭を縛り付ける痺れのせいか。
意識を取り戻してから徐々に強くなる痛み――取り分け、両の手首とたぷるんと揺れる乳房を襲う圧迫感――よりも本物の女の子のように接吻をおねだりしてしまっていた自分の行動に、恥ずべき行為に羞恥心が爆発してしまう。
正直、意識を取り戻してから無くならない体の違和感が、どうでもよくなるほど恥ずかし過ぎた。

(あ、あっ、ああっ。俺なんて、ことを……んあっ、ああっひぁあああ――っ!)

この保健室で、セシリウス――今は自分の姿をしている彼女――と『何をしてしまったのか』を完全に思い出し、恥ずかしげに眉尻を歪めた顔が、燃え上がるような真紅に染まった。

「んあっ、んんっーっ、んんっー」

凍えた体が瞬時に熱くなり、胸元が悩ましい心音を走らせた。トクンッ――と。

(ううぅっ、そぅだあ……オレ……オレ……セシリウス、と――)

欲望のままに口付けを望んでしまった場所。
時間が経っている筈なのに、未だに濃厚な雌と雄の発情臭が漂っていそうで――実際は思い込みなのだが――洒落にならないほどの恥ずかしさが体を巡る。
ぴち、ぴちちぃ、ぴちぴちぃいっ!

(はぅっ!ち、ちくしょう俺のばか!セシリウスのばかっ!……けど、気持ち……よかっ、たぁ……っ?な、なにを考えて……あぅはうううっ――!?)

恥辱と悔しさに吐き気すらも覚えるが、それでも覚えてしまった快感はすさまじく、簡単に否定できるものではなかった。
心の葛藤に、クジラの瞳から涙が滲む。

(あ、あんなに気持ちいいもの……だったんだ。キスって……)

恥かしい。気色が悪い。
そして、怖い。
……が。

(あ、んっ――。だ、めぇ……またぁ、体が熱くぅ……なるうっ!)

胸を弄られるとは違う、舌の乱舞が生み出す官能。 
抗えない魅惑が今なおも脳裏を満たし続けているのか――。

「んっ、んんぶっ!ぶぁっ、おおおっ……!」

再び灼熱の興奮が、悩ましい女体に巻き上がった。
気のせいではない。
なんだか乳房まですごく熱い。蕩けているかのように、じりじりと熱い。

(――あっ、ダメっ!だぁああ!せ、せしりうすぅがぁ、上手っ……上手すぎて、からだが……ぁああっ!おっ、おっぱいがまだ……あつぃ!変な気分になる、くらいっ……胸が疼いてるぅ俺っ!)

どたぷーん、と揺れる特大の乳房を悩ましい熱が痛めつけ、クジラは禁忌の喜悦を少しも抑えられなかった。

「んっ、んんっぶうぅぅ!」

ぎしぎしっ、ぎしぎしっ。
豊満乳房がセーラー服の下で揺れ動くたびに、妙な音が響いている……が、彼は気づかない。

「んぁあっ!……んっ、んぐっうッ!」

セシリウスの舌先で、口腔を激しく抉られた衝撃を思い出し、身震いを引き起こす。
特大の乳房が艶美に揺れ動き、意識を取り戻したばかりの元少年の心に、早くも女の快感を思い出させようとしていた。
むぎゅるんんっ、にぎゅるん、ぶにゅりィィ――ぎしぎししっ。
『何か』に圧迫されて。

(オレの馬鹿やろう。 へ、変態か! ……我ながらァ……情けないぃっ)

「ふごふごっ……」と呻くと、口元に唾液が滲み出た。
大き過ぎる美巨乳がたぷんたぷん、と大胆に波打ち――ぴちぴちっ、と魚の尾となった下半身が音を立てて弾んだ。

(ん? あれ……?)

何かが、おかしい。 変である。
そう思い、恥ずかしさのあまりに悶えるのを中断し、もう一度――ぴちちぃっ、とひれを動かし、たぷるん、と胸を揺らす。
そこで彼はようやく、自身の体が人魚のままであることを知る。

「――っ!?んんっ、んんん――っ、っっ!?」

頭脳がその事実を、やっと理解した。

(なっ!なんでオレ人魚のままなんだっ? い、いやそもそももう……なんでも、もう夜なんだっ?せしっ……セシリウスはっ!?)

彼の困惑を置き去りにして尾ひれと耳ひれ――魚のひれと人間の耳が融合したかのような器官――が、水気を帯びた響き発する。
夜の学校の静寂さを、魚の跳ね回り音が切り裂いた。 
ぴちちっ、ぴちぴちぴちぃぃいいいっ、と。

(――うご、けないッ?) 

ひれもおっぱいも余計なほど動くのに、それ以外がどうしても動かせない。
今の今になってだが、意識を取り戻してから彼は寝返りも、起き上がることも出来ていなかった。
『何か』が、窮屈に悩ましい人魚の女体を締め付けていたのだ。

(こ……これはっっ?)

恐る恐る、びくびく――と、蒼く煌めく長髪を揺らす怯えた顔で、下半身を見やった。

(ふぅああっ!?な、なにこ、これぇ!?お、おれのおっぱいにな、縄が……はぅううう!し、しかも――か、かなり痛い!?な、なんでぇひ、ひぃぃっ?」

薄暗闇の中、彼は自身の巨大おっぱいが荒縄に緊縛されているのを発見してしまう。

「んっ、んぶぶううっ!?」

何で今の今まで気づかなかったのかと思うほどに、むっちりとした柔肉が制服の上から圧迫されている。

(ふぐっ、ぅぅ……!な、なんなんだよぉ!お、おっぱいだけじゃなく……あ、足も……ああっそんなぁ!?)

怯えを強めながら、さらに視線をその下へと向けた。
眼が、人魚の下半身を捉える。
蒼く煌めく鱗にびっしりと覆われた巨大な尾ひれが、縄によってベッドに縛り付けられていた。

「んほっおおぉ!?んごっ、んごご!んふっ――!?」

ぴちぴちっ、ぴちぃいいい、ぴちぴちぴちぃぃぃいいいッッ!!

「んっ、んんっ!ぶっぶおっ、んごぉっ、んん!――んぎぃいっっ!?」
(くそっ!は、はずれえ……ひぃああ!?ひ、ひぎぃぃ!?」

ちょっと強めに跳ね回る、と丈夫な荒縄の繊維が、敏感な鱗に食い込んだ。

「んぶっ!?んごぉオオっっ――!!」

激しい痛みが、神経を揺るがした。
魚の鱗にも色々あるが、人魚の鱗には感覚が、神経が備わっていて――かなりの敏感さで、ぼろぼろと涙がこぼれるほど強烈な痛みが全身に走る。

「んっ、んん!んんっ!んんっ……んぶううっっっ!?」

思わず甲高い悲鳴を漏らす。
が、しかし――悲鳴が、声が『何故か』言葉にならない。そのことに彼は、愚鈍ながらも気が付いた。

「んあっ? んんむっ!?んぐぅぅっ……!?」

明らかに変である。 
否、異常事態が確実に起きていた。

「んむっ……なんっ……ぁぐぅうっ……」

理不尽な状況へのパニックと、体を襲う痛みから涙を流しつつ、取り敢えずは視線を上へと向けた。
仰向きのまま固定されている姿勢の頭上では、その細い両手が荒縄でベッドのパイプに結び付けられていた。

(くそっ、はずれないっ!はず、れないっっ!――って!?ひぃいいっ!?こ、この口にもごもごした感触って……まさかっ!?ちょっと待てぇ!う、うわあああっ!?)

叫んだつもりが、くぐもった声にしかならない。 
やはり普通の気の失いようではなかったようだ。
麻痺していた感覚が、理性が大分戻ってきていた。
今では痛みや尾ひれの感触と同じくらい『小さなこと』と捉えてしまっていた口のもごもごとした詰まった感が、何よりも強い違和感を脳裏へと伝えてくる。
すっかり自身の唾液でべちょべちょになった唇も半端ではないほど気色わるく――クジラ自身、なぜ今の今でこの違和感を放置していたのかと自分自身に叫ばずにはいられなかった。
だが、しかし――。

「んごっ!んごっ、なん!なぁんんっ――!」

やはり声にならない。
絶叫にすらも聞こえなかった。
言葉にならない悲鳴を上げて、身悶えている彼は見っともないの一言に尽きた。

「んぶぅ――っ!」

煌めく青い長髪と切れ長の瞳が織り成す、秀麗な美貌。
大人の色香を滲ます顔つきに、扇情的に柔肉を挑発的にくねらすセクシーボディー。
紅の唇が艶やかに照り光り、きゅっと締まったお腹の括れも美しすぎて眩しかった。が……。

「んぶっ、ぶぁっ、あああっっ!」

パーツひとつ一つが、眩いほどの魅惑を滲ませている――と言うのに。
例えそのセクシーボディーの下半身が魚のもので、その容姿要望がお伽噺に出てくる人魚姫のようでも、それでも揺るぎない妖艶さと美麗さを持っている――と言うのに。

(しゃ、しゃべれねぇ――!うがぁあああ!)

口いっぱいに詰め込まれた不快な感触――猿轡を文字通り噛みしめながら、喚く様は無様としか言えないものであった。

<つづく>

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