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クジラの人魚姫 8-2 by.黒い枕



「んがぅ……んあぁっ!」

無駄と知りながら、それでも叫ばずにはいられないのか。
涎を口元に垂れ流しつつ、咽び泣き叫びながらぴちち、ぴちぴち、と体ごと跳ね回る。

(な、んで……俺が、こんなめにぃ! せ、セシリウス、のばかぁ……うっ、ううう)

自分をこんな目に合わせている元凶の顔を思い浮かべて、苦しげに眉尻を歪めつつ、たぷるんと胸を揺らし、悪態をつく。
『んぶっ、んぶぅ』と猿轡に唾液を染み込ませながら。
とくん、とくん、とくっ、ん!

(あっ……あ、っ……なにが……したいんだよぉ……ばか野郎……うっ……ぅうう)

虚勢が瞬く間に剥がされていく。
心音が脈動を早め、微量だが確実に迫り来る高揚感に心が落ち着かない。
胸元の巨大双球をたゆん、たゆん、と重そうに揺れ動き、そこから滲み出る喜悦の疼痛に顔赤らめ恥ずかしがりながらも、甘い喘ぎをこぼす。

「んっ……あん。んっ、んっ――」
(ば、ばかセシリウスぅ。お、怒らねぇー、お、怒らなから……ひっ。もう解放してくれぇっ!)

夜の静寂さと独りぼっちの不安から身体が身ぶるを起こす。
たぷるんと胸が弾けた。
ぴち、ぴちぴちぴちぃいいい、と尾ひれと耳ひれが寂しさを紛らわせようとするかのように羽ばたく。

「んっっ、あふぅ……んっ……んんっ!」

先ほどの接吻のよって呼び覚まされた快楽と、異形の姿で放置されている孤独感が、美しい女体でもある人魚の身に成り果てた元少年の精神を追い詰める。

(あ、あうぅ……。女……女になってい、意気地まで女になっちまったっていうのかよ、おれは……)

嫌な気配を肌が敏感に感じ取り、怯える自分自身の有様を女々しいと自虐しながらも、クジラは震えを止められない。涙がこぼれた。

(ふぇっ?あ、あぅ……まさか……せ、セシリウスいない、のぉ?あ、ひぃあ!?い、やぁっ!)

まさかと思う――が、もしかしたらセシリウスは帰ってしまっているのかもしれない。
否、そもそも彼女が犯人ではなかったかもしれない、とさえも考えてしまう。
ぴち、ぴちちぃぃいいいっっ。

(ふっ、ふぐうっ!ふ、ふわーんっ!……ひぐっ……やだぁ、にんぎょ、やだぁよぉ!こ、こんなのた、堪えられないっ!?)

最悪な未来を予想すればするほど、雪崩のように募る恐怖が精神を締め付ける。
誰でもいいから助けてほしい。
自分自身の力で抜け出そうとする意志と勇気が――いつの間にか、彼の中で完全に消失していた。

(ひぁああ!いたい!やだぁ!たすけて!だ、だれか助けて!い、いやぁあああ――っ!)

本当の女の子であったような女々しい泣き顔で、誰にかまわず救いを求めた。
そんな哀れな彼――と言うか『彼女』を孤独の恐怖から救おうとするのか。
“二人”の人影が闇の中で蠢いた。
直後――光が、暗闇を追い払った。あっという間に、瞳が瞬いた。

「ん、ぐぅ――っ?」
(ふぁ!?あ、あぐっ!?で、でんきぃ!?だ、だれだ!?)

人魚だからなのか。
比較的に早く回復した、真っ白に染め上がってしまった視界の中で捉えたのは二人の人物。
にへらへら、と互いに違う笑み――満面の笑みには違いない表情――を浮かべた幼馴染と、同居人が、そこには立っていた。
が、しかし……。

「はぁ、はぁ、はぁはぁはぁ――可愛い。クジラがかわいい過ぎる」
「ああっ……いけない、いけないと思いつつ――この胸の中にある滾りが抑えきれないっ!」

女のような外見をした背丈の高い少年と、荒らしい息を繰り返す少女。
二人は、助けに来た訳ではないようだ。
少なくとも、クジラが渇望する優しい『王子』様では――片方が女の子のこともあり――なかった。
むしろ、その逆だ。

(あ、ああ!あ、あああっ――いやぁああ!み、見るなあっ!)

ぴちっ、ぴちぴちっ、ぴちぃちいいいッ――!
身体が震え上がるほど熱心に見つめられ、倍増した恥かしさに、耳ひれが羽ばたくように跳ねた。

「はぁ、はああ、はあ……くじらぁ」
「沙希ちゃん……よだれ、よだれ」

口元を腕で拭いながら、それでも悩ましい――おぞましとも言える眼差しを美しい女の人魚になった元少年に注ぐ少女と、美女に思えてしまうほど気だるい色香を滲ます微笑を浮かべる少年。

(ひっひぃいい!さ、さきぃ?せ、セシリウス……っ?う、うぅ……やだぁっ……な、なんかコワイ……うん、絶対に近づきたくねぇっ――!)

苛烈な熱意を一方的にぶつけられ、頬を赤く染め涙ぐんでいた泣きっ面が途端、引き攣った。

「…………」

現状他者の助けを借りる他ない身ながらも、彼は助けを求めなかった。
いや、それどころか涙ぐむどころか身じろぎすらも見せなくなる。
異様な雰囲気を醸し出す、馴染み深い二人を無視し続けた。
本能が『関わりたくないっ!関わるなっ!』と告げていたからだ。

「…………」
「もう、なによ。その反応……っ」

頬を膨らませ可愛くふて腐れても、その笑顔に隠された邪な企みは誤魔化し切れない。 
俄か女性に過ぎないクジラだが、”乙女”の危機感をひしひしと感じ、警戒を少しも緩めない。
ぴちちぃ、ぴちぴちぴちちぃぃ!

(か、かえれっ!帰れっ!じ、自分でなんとか、するっ……から。か……かえれよぉっ!頼むからっ!)

背筋が強張り、胃の臓腑が冷え切っていく。
身体が硬直する。恐怖と警戒心に張りつめて。
敵意すらも滲ませ睨みつける――が、しかし、彼女たちは少しも下がらない。
否、そればかりか僅かに幼馴染が近づく。

「……っ!」
「可愛くないの……まぁいいや。これから私がたっぷり可愛く、泣かしてあげるからいいもんっ」
「うふふ。クジラくん――じゃなくてセラスちゃん初心だもんねっ。ハジメテが拘束プレイだなんて……ああダメ。あたし……また興奮しちゃうっっ」
「…………っつ」

――無視、したい。 
しかし、彼の拒絶を逆に存在しないかのように受け流しながら、二人の会話は続いていく。

「ああっ、でもでも。メイドプレイも捨てがたいし、水着プレイも魅力的かしら?」
「はぁはあ……あんっ。 そ、それは後ほどたっぷりということで――ぶっちゃけ私はもう辛抱たまらんのですっ!セシリウスさん――いえ、クジラさんっっ!!」
「…………んむっ!むううっっ!」

眼前に迫る二人が、野生の荒らしい熱意をぷんぷんと噴出しっ放しなものだから生きた心地がしなくなり――叫ばずにはいられないほど精神が追い詰められる。
ぴちぴちぃちちぃ、ぴちぴちぃっ!

「んむ――っ!んなっ、んんっ……」
自分の肉体を操る人魚のセシリウスと、最近訳のわからない興奮を患っている幼馴染の朝倉 。
迫り来る脅威と化した二人と向き合う覚悟を決めてクジラは、ギロリと睨む。

(この――いい加減におふざけもここまでくると俺も怒るぞっ!!)

『簡単には屈しないぞ』という意味を込めて。
――が、しかし。

「あら、やだ……かわいいっ」
「だめ、ぇ……クジラ……そんなに私を……誘わないでよっ」

残念なことに、少しも怖くない。
迫力が乏しすぎる。ほぼ皆無だ。
良くて――それも多大な誇張で言うのであれば――小さな女の子が照れて睨み返している程度の脆弱な眼光に過ぎなかったのだ。

<つづく>

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