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TS小説第29番 勇者転生!(前編の1)

パパは世界一素敵なパパだ。
だって世界を救い、魔王を倒したんだもん。
アナはパパが大好きだった。
魔王に止めの剣を突きたてたパパ。
強くて、かっこいいパパ。
そして、自分も勇者になりたいと思った。
なれる筈。だって、アナはパパの娘だもん。
死んでしまったパパ……アナはきっとパパに負けない勇者になるんだもん!
形見の青い指輪を嵌めて、アナは冒険と修行に明け暮れる。

母さんは世界一素敵だ。
それに世界を救い、魔王も倒したんだから。
ポールは母さんが自慢だった。
呪文一つで魔王の軍勢を退けた母さん。
いつまでも若くて、賢い母さん。
魔法はなんて素敵なんだろう。世界一の魔法使いになりたい。
なれる筈。だって、ポールは母さんの息子だから。
死んでしまった母さん。僕はあなたに負けない魔法使いになります。
形見の赤い指輪を嵌めて、ポールも冒険と修行に明け暮れる。

アナの攻撃!
改心の一撃!
スライムに1ポイントのダメージを与えた。
スライムの攻撃!
…………

ポールはメガデスの呪文を唱えた。
地獄の炎が燃え上がる。
スライムに1ポイントのダメージを与えた。
スライムの攻撃!
…………

ポールは冒険者の酒場で依頼の紙を見ながら考えていた。
黒いマントに黒い帽子。
その下には青いローブ。
見てくれだけなら魔道師だ。
いつかは大魔道師になる。
なれる筈。
しかし、取り合えず今はそんなに強くない。
腕に自信ができたらノーポートの街に行きなさい。
母の遺言に導かれ来ては見たものの、勝手が分からない。
取りあえずポールは冒険者の酒場で一人仕事を物色する。
“パイロキープの町で発生したゾンビの群れを倒してほしい。”
ちょっと、まだ早いかなーとは思う。
けど他に良い依頼も無いし、
戦わなければレベルも上がらない。
どうしたものかと、考えているポールの手から、ひょいっと依頼書を奪う女の子。
茶色い皮の鎧に不似合いに大きなブロードソード。
短い髪。にも関わらず、一発で女の子とわかる可愛い風貌。
ポールは無礼に怒るのも忘れて、一瞬女の子に見とれる。
「この仕事、オレがもらうぜ。」
ニヤリと笑う、笑顔も愛嬌がある。
「ちょ、待ってよ。ぼくが先に……」
抗議しようとするポールの胸倉を掴んで女の子はすごむ。
「文句あんのか……」
ギロリと睨まれて、ひるむポール。なんて凶暴な女の子なんだ……こんなに可愛いのに。
しかし、ここで引き下がっては冒険者失格だ。
気力を振り絞り、にらみ返すポール。冷や汗がポールの頬を伝う。
「へ、面白い。表へ……」
パカァン!
酒場のお姉さんが、女の子の頭をアルミのトレイでスマッシュする。
「な、なんだよぉ、ルイザ~」
泣きべそを浮かべて抗議する女の子。
「アナ、なんでも力で解決しようとするばっかりじゃいつまでもチンピラよ。勇者のお父様が泣くわよ」
「う~」
アナと呼ばれた女の子は、不満を抑えて押し黙る。ルイザは彼女の姉のような存在なのだ。
「ゆ、勇者だって?」
「ふふん。聞いて驚きなさい!あたしのパパは魔王を倒したのよ!」
ふんぞり返り、大威張りのアナ。右手の薬指に嵌めた指輪をポールに見せ付ける。
青い宝石。無限の魔力を持たらすと言われるエターナルマナ。彼女が父から譲り受けた超レアアイテムだ。
おずおずと自分の右手を掲げるポール。彼の薬指にも指輪が光る。
赤い宝石。無限の力を持たらすと言われるエターナルブレイブ。彼が母から譲り受けた超レアアイテムだ。
「じゃあ、僕の母さんと同じパーティーだったんだね」
ポールはにっこり笑う。

アナはポールの首を掴んでずるずる引っ張る。
そして酒場の奥の彼女の特等席に向かう。
ビールを2杯注文する。
アナはじろじろとポールを観察する。
「へぇー……あんたが、ねぇ」
「勇者様の娘にあえるなんて感激だなー」
ポールは旅先で不安だったところに、思わずできた知り合いに上機嫌だ。
「ねえねえ、今レベルいくつ?強いんでしょ?」
「え?え?ま、まあねー」
笑って誤魔化すアナ。
「はあ、それに引き換え僕は……才能無いのかな」
緊張が解けてきたのか、思わずため息をつく、ポール。
アナの瞳がキラリと光る。
「詳しく話しなさい」
詰問口調だ。

「そっかあ。ポールもイロイロ苦労してんのねー。わかるわあ。あたしの方が100倍努力してんのに、後輩にレベルを抜かれるつらさ……」
涙ぐむマナ。
「そうなんですよっ!ゴブリンにメガデス使って引かれて、倒せなくってもっと引かれるつらさ!」
顔を上げて主張するポール。必死の様が可愛らしい。
「そっか、わかった!絶対あんたの努力も報われるよ!あたしが保証する!ま、これからはあたしが面倒見てあげるから、大船にのったつもりで安心なさい!」
ビールの一杯ですっかりできあがって顔を赤らめ、ポールの背中をバンバン叩くアナ。
ポールはちょっと引き気味だが、一応頷いている。
新たなパーティーの結成だ。
「ちょっと、その指輪見せて」
キラキラ輝く瞳で、興味深々にポールの指輪を眺めるアナ。
「ちょっとだけだよ……」
不安そうに手を差し出すポールの指からすっと、指輪を抜き取るアナ。
「あああ、駄目~!」
思わず叫ぶポール。
「なによ~、パーティーリーダーに逆らうの?」
しかし、アナは動じない。何時の間にかリーダーになっていたらしい。ポールの指輪をしげしげと見つめる。
「返してよ~」
必死で取り返そうとするポール。しかし、魔道師の悲しさ。身のこなしでは到底アナに適わない。アナは自分の指輪を外すとポールに渡す。
「これ貸してあげるから」
ポールもアナの指輪を受け取ると好奇心がむくむくもたげてくる。伝説クラスのレアアイテム。神秘的な輝き。いったいどんなパワーが秘められているのか……
二人でしばらくお互いの指輪を眺めていると、
「あっ」
ポールが小さな声を上げる。
「なに?」
尋ねるアナに、ポールは慌てて手を後ろに隠す。
「な、なんでも無い……」
目が泳ぎ、そわそわしている。怪しい。
「なんで手隠してんの?」
にっこり微笑むアナ。目は笑ってない。
ポールはぷるぷる首を振る。
「ち、ちょっとトイレに……痛い痛い!」
席を外そうとしたポールの腕が捉まれ、あっと言う間にねじり上げられる。
薬指にアナの指輪が輝く。
アナの目がすーっと細くなり、声のトーンが落ちる。
「まさか……」
「だ、だ、だ、大丈夫!すぐ外れる!ほんと!」
ポールの声がせっぱつまる。

外れなかった。
さっきから黙って見ているアナの沈黙が怖い。
冷や汗で背中や額はびっしょりだ。
指には引っかき傷で血が滲んでいたが、一向に外れる気配は無い。
ポールは心底後悔していた。
さっきから思考は空回りを続けている。なんとかしなくちゃという思いだけが彼の指を必死で動かしていた。
「大体さあ」
沈黙を破ったのはアナ。
「あたしの指輪が、細いっつったって男の指に入る訳ないじゃん。そんな事もわっかんないかなー?頭の良い魔道師さまは?」
地がでてる時はあたしって言うんだなー、等とポールは考える。明らかに思考が逃避している。
「で、頭の良い魔道師さまはそろそろ指輪を外す方法を思いついたのかしらー?」
怖い。使い慣れてない女言葉や丁寧語がやけに怖い。
「頭の良くないあたしが考えた方法……聞きたい?」
アナの腕が腰の剣に伸びる。
ガタッ。
椅子が扱けて、ポールは床に尻餅を付いてしまう。何故だか立ち上がれない。
「聞きたいでしょ?」
冷ややかな目。
ポールは床に頭をすりつけんばかりにして謝った。
「ごめんっ。このとーり。悪気は無かったんだっ。するっと指に入っちゃって。絶対返すからっ!何でも言う事聞くからっ。痛いのは苦手なんだっ」
「謝ってもねえ!パパの大事な形見の指輪なんだから!パパの……」
アナの言葉が詰まる。
「ごめん。本当にごめんっ」
心底謝るポールの姿にアナも少し表情を緩める。
「もしも逃げたりしたら地獄まで追いかけていってバラバラにすっからね!」
「逃げない!絶対逃げないから!」
なんとか、残酷描写突入を避けられたと思ったポールは頭を下げながらもやっと生きた心地が戻って来た。
「だいたいねー、指の太さが違うんだから、無理やり嵌めたら……あれ?……あれ?あれ?」
そろりそろりと頭を上げるポールに、ポールの指輪を嵌めたアナの姿が目に映る。
「あはははは。大丈夫、だいじょぶ」
アナの頬に伝う冷や汗。
しかし、やはり指輪は抜けなかった。

つづきはこちら

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

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