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子供の神様 (32) by.アイニス

(32)

「やけに嬉しそうだね」
「俺はもう何ヶ月もサッカーをしてない気分だからな。祐輔とサッカーが出来るのが嬉しくてたまらないぜ」
 人の少ない広場に到着した伍良は、満面の笑みを浮かべていた。
「大袈裟だなぁ。十日前にサッカー部の練習に混じってプレイしただろ」
「日数にしてみるとそんなでもないなぁ」
 伍良が男として最後にサッカーをしたのがそれくらいだろうか。サッカーをするのが当たり前の生活だったので、ボールに触れるのが懐かしく感じられる。準備運動をして体を温めると、リフティングで体の調子を確かめてみた。
「感覚がずれるな」
 女の体を使うのには慣れたつもりだったが、長年やっているサッカーだと男だった頃の感覚が根強く残っている。ボールを地面には落とさなかったが、何となくぎくしゃくとした感じが抜けなかった。
「パスの練習からやろう」
「わかった。いくよ」
 女相手ということで最初は手心を加えたようだが、伍良が素早いパスを返すと祐輔も本気になってきた。体育の授業で女子を相手に体を動かした時は物足りなかった。運動部に所属している男の祐輔なら全力でぶつかることができる。
「くそっ、なかなか抜けないな」
 ボールを足でキープしたまま相手を抜く練習をしたのだが、祐輔にはなかなか隙が見つからない。大柄な体を素早く動かして伍良の行く手を阻んでくる。女になって背が縮んだ伍良にしてみれば、高い壁がそびえ立っているかのようだ。強引に抜こうとしても祐輔にボールを外に蹴られて保持できない。
「むちゃくちゃ悔しい。一度も抜けなかった」
「毎日練習をしているからね。それでも手強かったよ」
「ふぅ、ふぅ、慰めにならないなぁ」
 あと一歩のところで及ばない。本来なら伍良が僅かに実力で上回っていたのだ。女の体になったことを理由にしたくないが、男と比べて身体能力が落ちていることは否めない。それに伍良の息が切れてきたのに、祐輔はまだ平気な顔をしていた。このまま続けても疲労で伍良が不利になるばかりだろう。
「それじゃ最後にシュート練習だ。強いパスをゴール前に送ってくれよ。トラップしてシュートするからさ」
「わかった。強く蹴るよ」
 ゴールに向かってダッシュすると、コーナーから祐輔がボールを蹴り上げた。空気を貫いてボールが弾丸のように飛んでくる。
「なかなかいい場所だ」
 ゴールを狙うには絶好の位置だ。伍良はボールを胸でトラップしてシュートの体勢に持っていこうとした。
「ぐぅうぅっ、いってぇぇっ!」
 胸でボールを受け止めた瞬間、おっぱいに激しい痛みが炸裂した。息が止まって地面に倒れる。サッカーに夢中になって硬い胸板でないことを忘れていた。まさかこんな強い痛みが襲うとは夢にも思わない。目から涙が滲んで体が痙攣しそうだった。
「大丈夫か!?」
「……そんなに心配した顔をするな。少し休めば平気だから」
 祐輔が心配した声を出して駆け寄ってくる。伍良は痩せ我慢をして声を絞り出した。強がりだとは思っても、サッカーをしていて弱いところは見せたくない。
「くっ、大丈夫だと言っているだろ」
「女の子を冷たい地面に放置はできない。休むにしてもベンチまで運ぶよ」
 祐輔は伍良を横から抱えて軽々と持ち上げた。伍良が女になって体重が落ちたといっても、人一人分の重さはそれなりにある。足元を揺らさず伍良を運ぶ祐輔の姿は力強かった。
「まったく、見られたら恥ずかしいだろ……」
 真っ赤な顔をした伍良は口の中で小さく文句を言っていた。人が少ない広場といっても近くを通る人はいるのだ。もっとも、口では不平を言いつつも、祐輔の逞しさに感心していた。まだ蒸気を発している熱い胸板が好ましい。
「運んでもらって悪かったな」
 ベンチに置かれて祐輔の体から離れると少し残念な気がした。祐輔の肉体は触れていると頼もしくて安心するものがある。怪我をしても頼れる男性が近くにいるという状況は、それだけで傷の痛みを楽にしていた。感じたことのないおっぱいの痛みに驚いたというのも大きい。冷静になれば耐えられないほどではなかった。
「重くて大変だっただろ」
「これくらいなら軽いものさ。それに伍良の太ももに触れていたから苦じゃなかったよ」
「馬鹿。運ぶのに一生懸命だったから、そんな余裕なんてなかったはずだろ」
 何でもない顔をして祐輔は軽口を言ったが、額から大量の汗が流れて息が乱れていた。全力だったに違いない。伍良はベンチに座る祐輔の膝にちょこんと頭を乗せて休んでいた。硬い枕だがそんなに悪くはない。痛みが完全に胸から消えても、伍良はしばらく筋肉の感触を味わっていた。

「痛みが残るようなら医者に診てもらいなよ」
「祐輔は心配性だな。もう大丈夫だ」
 自宅まで祐輔に送ってもらってそれから別れた。部屋に戻って胸を確認してみたが、特に赤く腫れてはいない。
「ボールが当たった直後は胸が破裂したかと思ったからなぁ。やっぱり女の体はサッカーに向いてないな」
 伍良のおっぱいは大きめなので運動には向いてない。ブラジャーをしていても激しい運動をすると胸の存在が邪魔だった。スポーツをするにはもっと胸を固定するブラジャーが欲しいところだ。
「……祐輔に優しくされたのは嬉しかったけどさ」
 紳士的にベンチまで運んでくれた祐輔の姿を思い出すと、胸が甘く疼いて幸せな気持ちになる。男だった頃には持ちえなかった感情だ。こんな気分を味わえるなら女の子も悪くはなかった。
(少し優しくされただけでのぼせてしまったのか。確かにあの男は頼りがいがありそうじゃがなぁ)
「ちょっと格好良かったと思うくらいはいいだろ。それに風邪みたいなもので一晩寝れば元の俺に戻るさ」
 幸せそうな面持ちでぼやぁと祐輔の顔を思い出していると、瑞穂が悪戯っぽい声で伍良を茶化した。恋心に似た気持ちだと伍良も自覚していたが、寝てしまえば忘れてしまうささやかな感情だと思っていた。今だけ女の子気分を楽しんでいるのだ。
(引き始めは症状の軽い風邪でもこじらせれば高熱になることもあるがのぉ。今の妾は見ることしか出来んから、伍良が起伏の富んだ毎日を過ごしてくれれば退屈もしのげるというものじゃ)
「暇なのはわかるけどさ。あまり茶化すなよ」
(伍良が人といると妾はなかなか話せぬからのぉ。楽しんできた見返りとして、これくらいの戯言は許すべきじゃ)
「仕方ないなぁ、わかったよ」
 瑞穂が我儘を言いだしたら止める術がない。一人で寂しくしていた神様の話を適当に聞いてやろう。それで瑞穂の気持ちがすっきりするなら、日常に邪魔が入ることも少なくなる。
(わかればいいのじゃ。いつの時代でも人の恋話というのは見ていて楽しい。初々しい振る舞いの男女を見ていると応援したくなるわ。豊穣を司る妾は縁結びの神としての側面を持つからのぉ)
「頼むから余計なことはしないでくれよ」
(残念ながらそんな力は残っておらぬ。ただ伍良の微かな恋心を燃やしたらどうなったか興味はあるな)
「うへぇ、勘弁してくれよ。それは祝福じゃなくて呪いだろ」
(どちらも似たようなものじゃ)
 縁結びの神としても祀られていたならもうちょっと神社が繁盛してそうだが、世話好きでお節介なおばさんと同じで今の人には敬遠されるのかもしれない。助けられることもあるだろうが、面倒事にも巻きこまれやすくなる。片方の恋心ばかり燃やしても、その相手にとっては迷惑なこともあるだろう。瑞穂は基本的には人が好きなのだろうが、干渉が過ぎるところがあるのが厄介だ。神様というのは人を見守るだけで十分な存在かもしれない。

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