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子供の神様 (40) by.アイニス

(40)

 週末の日曜日、伍良は瑞樹神社に訪れていた。奉納品の修理には専門の知識が必要なものもある。芸術の神である瑞樹ならば知識や技術は豊富だ。それに道具も取り揃えてあるだろう。瑞樹に教えてもらいながら、技術を磨くのが伍良の目的だった。
「伍良は女になることを決めたのじゃろう。奉納品の修理を急ぐ必要はないではないか」
 石段を登りながら、瑞穂が不思議そうな顔をしていた。海から帰ってきた伍良は気を抜くどころか、精力的に小物雑貨の制作に取り組んだ。今日持ってきた荷物には、壊れた奉納品の他に伍良の作った創作物も入っている。
「そういう可能性もあるってことだよ。祐輔が不甲斐なかったら、俺は男に戻るつもりだぜ」
「ふぅん、とても信じられぬのぉ。あの時の伍良は女の顔をしておったぞ」
「うるさいなぁ。それに、仮に、仮にだ。祐輔と一緒になったとしても、瑞穂の目がいつもあったら落ち着かないだろ。力が回復しないまま放り出すのはなぁ」
「これは妾の手落ちじゃなったな。肝心なことを忘れておったわい。夜の生活も充実させたいだろうからのぉ」
「だ、だから、せめて俺から離れても平気なくらいに力を回復してもらわないと困るのさ」
 夜の生活と聞いて、祐輔に抱かれる淫らな姿が思い浮かぶ。伍良は内心の動揺を隠そうと怒ったように言った。
「そうかそうか。妾としても力が戻るのは助かる。もうしばらくは人の暮らしを見たいと思うしのぉ」
「すぐに瑞穂を追い出す気はないさ。一緒にいる生活もそれなりに慣れたよ」
「安心したぞ」
 瑞穂がほっとしたように微笑んだ。我儘なところもあるが、素直に感情を表すところは可愛いと思う。
 石段を登り詰めると、瑞樹が出迎えてくれた。柔らかな笑顔を浮かべている。二人の来訪を待ち遠しく思っていたようだ。
「姉上様、よくいらっしゃいました。自らの家だと思って気兼ねなくお過ごしください」
「うむ、世話になるぞ」
「伍良さん、姉上様を連れてきてくださってありがとうございます」
「いえ、こちらもお願いがあって来たわけですから。瑞樹さんの持っている技術、特に木工細工について教えて欲しいのですよ」
 頼みごとがあって来たのに、ちゃんとした神様に礼を言われて恐縮した。慌てて伍良も深く頭を下げる。和人形の修復には木を加工する技術が必要だった。
「構いませんよ。木材を細工するのは私の得意とするところです。ここは山の中ですから材料には事欠きませんしね」
「助かります」
「奥にある部屋を自由に使ってください。よほどのことがない限り、神職の者も訪れないと思います。何泊でもしてくださって大丈夫ですよ」
 瑞穂の宿主ということで、瑞樹は伍良のことも丁重に扱ってくれた。案内された部屋は二人で使うには広い。小市民の伍良としては落ち着かない気分になる。逆に瑞穂は座布団に座って気楽にしていた。机に置かれた茶菓子をぱりぱりと食べている。
「すぐにお茶を用意しますね」
「うむ、やや温い方がよい」
「態度がでかいなぁ」
 我が物顔で振る舞う瑞穂を見ていると、伍良も肩に入っていた力が抜けてくる。必要以上に気構えて固くなることはないなと思った。
「美味しいお茶ですね」
「いい茶葉を使っておるな。もう一杯もらおう」
「はい、お口に合ったようで何よりです。すぐに二杯目を用意しますね」
 瑞樹が淹れてくれたお茶は甘みと渋みが調和していて、すんなりと喉に吸いこまれた。山登りをしてきて喉が渇いている。大きめの湯呑だったが、すぐに空にしてしまった。
「たくさんの荷物を持って、山にある神社まで訪れるのは大変だったでしょう。足を崩してくれて大丈夫ですよ。正座は慣れないでしょう」
「いい運動になりましたよ。それにお茶を飲んだら疲れも和らぎました」
 二杯目のお茶は最初と比べて熱かった。ゆっくりとお茶を啜っていると、気持ちがゆったりとしてくる。伍良は瑞樹の言葉に甘えて、少し足を横にずらして楽な姿勢を取った。あぐらの方が楽ではあるが、女がやるとなると礼を失することになるだろう。
「荷物には俺が作った小物も入っています。もし神社で市を開くことがあれば、売って欲しいのですよ」
「品物を見せてもらってもいいですか」
「もちろんです。でも、芸術の神様に見せるとなると少し気恥ずかしいなぁ」
 照れた顔をしながら、伍良は段ボール箱を開いた。ぎっしりと荷物が詰まっている。伍良は畳の上に手作りの創作物を並べた。動物のぬいぐるみ、手提げ袋、財布といった布で作られた品が大半だ。どれも可愛らしくて伍良の自信作だった。
「まるでおとぎの国を訪れたかのようですね」
 殺風景だった和室の部屋は、ミニチュアの遊園地のような様相を呈していた。広かった室内はぬいぐるみが占拠している。材料は布と綿であっても重いのは当然だった。
「どれも素晴らしい品ですね。伍良さんが一生懸命だったことが伝わってきます。市を開いたら目玉商品になりますね」
「ありがとうございます。布と糸を使って作るのは好きですから。もっともっと上達したいとは思いますよ」
 瑞樹から手放しで褒められて、伍良ははにかんだ笑顔を見せた。
「市を開催したら、売り上げを伍良さんに渡しますね」
「いえ、それは全て瑞穂の神社の再建に役立ててください。焼け石に水かもしれませんが」
「いいのですか!?」
 全額を神社に寄付すると聞いて、瑞樹は非常に驚いた声を出した。信じられないという顔で伍良の顔を見ている。
「神社を壊したのは伍良ではないのに申し訳ないぞ。妾は時間を惜しんで伍良が作業に没頭していたのをこの目で見ておるしのぉ」
「いいんだよ。小物作りが好きだから苦じゃないさ。それに手はかかるけど俺は瑞穂のことを嫌いじゃない」
「ほほぅ、それは妾に対する告白というわけじゃな。神に懸想するとは伍良もやるのぉ」
「そ、そうなのですか。姉上様と結ばれる為に男に戻ろうとしているわけですね」
「どうしてそうなるんだよ!」
 瑞穂に話を混ぜ返されて、伍良が大声で突っ込む。疑うことを知らなさそうな瑞樹は、瑞穂の話を鵜呑みにしていた。
「ははっ、冗談じゃ。感謝しておるぞ」
「まったく……」
「本当だと思って驚きましたよ。でも、姉上様と伍良さんは仲がよろしいですね」
「慣れの問題ですよ」
 仲が良いと言われると反発したくなる。共同生活を続けていれば、相手の性格はわかるし折り合いもつくものだ。
「伍良は照れ屋だのぉ」
「もうそのネタはいいから」
 誰の目も気にせず自由に喋れるとあって、瑞穂は饒舌になっていた。かなり上機嫌のようだ。少しのつもりで伍良も雑談をしていたら、時刻は夕方になっていた。外を見ると日が落ちかけている。作業を進めようと思っていたので、時間の経過に伍良は驚いた。
「話しこんでしまいましたね。夕餉の準備をしてまいります。今日はゆっくりとしてください。明日から木工細工の手ほどきを致しましょう」
「俺も手伝いますよ」
「いえいえ、お任せください。先に湯あみを済ませては如何でしょうか」
 下へも置かないもてなしなのでせめて夕飯の手伝いはしようと思ったのだが、瑞樹にやんわりと断られてしまった。瑞樹が退出してしまうと、手持ち無沙汰になってしまう。ずっと喋っていたので特に話題もない。
「風呂に入るか」
「妾も自らの体で風呂に入るのは久しぶりじゃ。珠の肌を磨くとするかのぉ」
「俺と一緒に銭湯に入って以来か」
 まさかあの時は瑞穂と共同生活をする羽目になるとは思わなかった。

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