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子供の神様 (51) <最終回>by.アイニス

(51)

 元旦。瑞穂と瑞樹の神社の境内は参拝客で賑わっていた。足の踏み場もないほどの盛況ぶりだ。再建された瑞穂神社は、厳かな品格を備えている。建物の歴史に違いがあっても、二つの神社は合わせ鏡のようだった。
「半年ぶりに訪れたけど思ったよりも混んでいるなぁ。正月とはいえ驚いたよ」
 あまりの賑わいぶりに祐輔は感心した顔をしている。伍良と祐輔は和装で神社に訪れていた。白い羽織袴を着た祐輔は威風堂々としている。伍良も華やかな赤い着物でお淑やかに連れ添っていた。美男美女の組み合わせで、誰も伍良が男だったとは思わないだろう。
「忘れられようとした神様とは思えないね。私も関わっていたことだから嬉しいな」
「喜ぶのはいいけど人波に揉まれないように気をつけて行こう」
 祐輔が大きな体で伍良を庇うようにして歩いてくれた。
 お賽銭を握って参拝客の列に並んでいると、千鳥足でふらふらとしている人影があった。酔っ払いは困るなと思っていると、その人物は伍良に近づいてくる。人影の正体に気づいた伍良は、唖然としすぎて顎が外れそうになった。
「まさか……」
「めでたいのぉ」
 白衣に身を固めた年齢不詳の美人が、大きな盃を片手に持っていた。神力を取り戻して大きく成長した姿になっているが、顔には童女だった瑞穂の面影がある。参拝客の列に瑞穂が近づくと、その周りだけ人が避けていた。誰も神の存在に気づかなくても自然と敬い畏れているのだ。
「神様がわざわざ外に出てきていいの?」
 参拝客に迷惑はかけられないので、伍良から瑞穂に近づくことにした。瑞穂の姿は妙齢の美人といった感じで、豊穣を司る神らしく胸が大きい。神としての威厳を取り戻していたが、酔っぱらっていてはそれも台なしだ。
「伍良、いや、今は良子か」
「伍良で構わないよ」
「そうかそうか。一段と女振りが上がったな。すっかり女が板についておるぞ」
「もうあれから三年が経つからね」
 女として生きるには伍良という名では差し障りがあるので、瑞穂の力で名前についての記憶と記載を書き換えてもらったのだ。もう元の名前を覚えているのは、瑞穂と祐輔しかいない。伍良と呼ばれると懐かしい気持ちになった。
「新年の挨拶に伍良が訪れてくれたのじゃ。妾が出迎えねば失礼というものであろう」
「それはありがたいけど、まずはお参りをしたかったなぁ」
 伍良が手を広げてお賽銭を見せると、瑞穂はそれをひょいっと拾い上げた。
「うむ、祈るべき神が目の前にいるのだ。これでよかろう」
「神様が自ら受け取ってくれたのに、ありがたみを感じないのは何故だろう」
 伍良が納得しかねる顔で苦笑する。瑞穂が神様としての力を取り戻しても、伍良にとっての印象は子供の神様のままだ。それはどんなに大人びた容姿になっても変わらない。
「良子、どこにいるんだ?」
「亭主が探しているようじゃな」
 祐輔が慌てながら伍良を呼びかけていた。すぐ近くに伍良がいるというのに全く気づいていない。神様と一緒にいる伍良の姿も人から認識されなくなっていた。祐輔は瑞穂との縁が薄いので、神様の加護がないらしい。
「このままでは不便じゃなぁ。妾が呼んでこよう」
 ふわふわと歩きながら瑞穂は祐輔に近寄った。間近に迫っても祐輔は瑞穂を見ていない。瑞穂は悪戯っぽく笑いながら、人差し指で軽く祐輔の目蓋をなぞった。
「ばぁ」
「うっ、うわっ!」
「はっはっは、素直な反応じゃ」
「趣味が悪いよ」
 突然現れた女の姿に祐輔は心底驚いていた。伍良が支えなければ転んでいただろう。神の力で祐輔も瑞穂を認識できるようになっていた。祐輔の驚いた姿を見て瑞穂は大笑いしている。外見が大人びても子供っぽいところは多分に残しているようだ。
「だ、誰?」
「お主に会うのも半年ぶりじゃな。とはいえ、祐輔が妾の姿を見るのは初めてだったかのぉ。妾がこの神社の主で瑞穂じゃ」
 伍良と祐輔は半年前に瑞穂神社で祝言をあげていた。祭事を行ったのは神主と巫女だったが、瑞穂もその場にいて祝ってくれた。もっとも、瑞穂がいるのに気づいたのは伍良だけだっただろう。
「もしかして、良子に呪いをかけて女にしたという神様?」
「うむ、その呪いのせいでお主は幸せになれたのだから問題あるまい」
「そ、そうですね」
 全く悪びれない瑞穂に祐輔は愕然としていた。伍良は瑞穂の性格を知っているので、少し苦笑するだけにとどめている。
「そんなことより、今日は無礼講じゃ。呑め呑め」
 瑞穂はひょうたんから並々と朱塗りの大盃に酒を注いだ。見ただけで胸焼けがして酔ってしまいそうな量だった。朱塗りの大杯を突きつけられて、伍良はどうしようか悩んでいる。そこそこは飲めるが、一気に飲んだら倒れてしまいそうだ。
「妻の代わりに飲みますよ」
 横から伸びた手が盃を受け取っていた。瑞穂の我儘は今に始まったことではない。伍良は断ることもできたが、祐輔にとって瑞穂は話に聞くだけの存在だ。下手に機嫌を損ねて呪いでもかけられたらまずいと思ったのだろう。
「よい呑みっぷりじゃ」
「無理だと思ったら止めてね」
 伍良が心配そうに夫を見る。祐輔は大杯を傾けて酒を飲み始めたが、途中で怪訝な顔をしていた。半分以上を飲んだところで、盃から口を放す。狐狸に騙されたような顔をしていた。
「どうしたの?」
「水っぽい」
 伍良も盃を受け取って飲んでみると、無味無臭で何の味もしなかった。酔いそうな気配もない。伍良は戸惑いながらも一応は残りの水を飲み干した。
「酒だと思ったけど違うみたいだね」
「はっはっは、今のは神水じゃ。神が飲めば酔うが、人が飲んでも水と変わらん。人に活力を与えて長寿を約束してくれるがのぉ。伍良がいつまでも若々しくて美人であれば、亭主も嬉しかろうよ」
「そんな効果があったのか……」
 瑞穂が無理を突きつけたと思ったが、伍良に恩恵を与えたかったらしい。女として瑞穂の気遣いが嬉しかった。
「祐輔のしている、えっと、サッカーじゃったか。あれは怪我も多いと聞く。傷の治りも早くなっておるぞ」
「そういえば打ち身が楽になっている。痛みを感じないな」
 祐輔はプロのサッカー選手として活躍していた。伍良の夢を代わりに叶えたのだ。ただ激しいスポーツなので怪我をすることもある。その怪我を瑞穂は治してくれたようで、祐輔は驚いた顔をしていた。
「瑞穂、ありがとう!」
「これくらい当然じゃ。妾のもう一人の姉妹には幸せになって欲しいからな」
 感激した伍良に抱きつかれて、瑞穂は照れながらも優しい顔をしている。慈しみのある表情を浮かべた瑞穂は、豊穣の神に相応しかった。
「奥の部屋に本当の酒と瑞樹が作ったおせち料理を用意してあるぞ。いや、伍良には酒は勧められんか。おめでたのようじゃな」
「えっ、ええっ!?」
 まさかと思って、伍良は狼狽えながら耳を疑った。祐輔と愛し合っていたが、今まで妊娠の兆候はなかった。男から女になったのだ。子供は望めないかもしれないと思っていた。
「伍良は妊娠しておる。うむ、めでたいぞ」
「良子、やったな!」
「あ、ありがとう。嬉しいよ」
 瑞穂に断言されて喜びが込み上げてきた。伍良は目元を潤ませ涙ぐむ。夫婦は抱き合って新しい命の誕生を喜んでいた。
「妊婦に寒さは禁物じゃ。奥の部屋で温まるとしよう。瑞樹も伍良の顔を見るのを楽しみにしておる」
「それじゃ御馳走になるね」
 近況を話しながら瑞穂の住む部屋に向かう。
 伍良は瑞穂との数奇な出会いを思い出しながら、今まで築いてきた関係を大切に思った。最初の出会いは不幸だったが、新しい道を見つけることができた。伍良は喫茶店を手伝いながら、オリジナルの手芸品を作っている。瑞穂と出会わなければ、目覚めることのない才能だっただろう。祐輔を愛することもなかった。伍良は過去を懐かしく思いながら、将来を思い描いて幸せそうに微笑んでいた。

コメント

評価します!
エロ展開は最後の方だけだったけど、瑞穂のキャラが良いのでOK!
それとやっぱり葛藤は必要ですね。
ねちっこいエロがあと二話くらいあったら満点です。

お疲れ様でした。
最終回表示は付けたほうが良いと思ったので追記しました。

お疲れ様でした。
最終回という表示がなかったから、あと1話あるのかなと思っていましたが、最後まで楽しく読ませてもらいました。ありがとうございました。

長い間お疲れ様でした!
じっくりと時間をかけて伍良が女になっていってとても良かったです
ただ、水咲の影が少し薄かったのが…

ここのところ、じわじわと主人公が落ちていくのを見るのを毎日楽しみにしておりました。これだけの長編で最後までじわ落ちを維持できるのはすごいと思います。長編お疲れ様でした。

これで「子供の神様」はおしまいです。長編を読んでくださって、ありがとうございました。

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