Latest Entries
【投稿作品】芦村くんの体の事情 (こじかさんの挿絵2枚目追加)
作.藤原埼玉
キャラ造形.こじか https://twitter.com/kojica_m45

芦村一朗太はイケメン、学力、運動神経、優しく穏やか真面目な性格。そのどれをとっても非の打ち所のないイケメンだ。
芦村の親友の神野(かんの)は同じく眼鏡と肩まで流れるような髪の似合うイケメン、学力、運動神経、ニヒルだが優しい性格(但し、女子に対してに限る)と芦村と双頭を為す学園きってのイケメンだ。
折しも今日はバレンタインデー。只でさえ目立つ二人に学園中のチョコが集まることは自明すぎるほど自明の理であった。そのチョコラッシュは放課後になってもやむ気配はなく、芦村は少し困った様子で女子たちの相手となっていた。
「おい、芦村。帰るぞ。」
神野はそんな芦村の様子を見かねて声をかけた。
「あ、うん!ごめんねみんな。神野が呼んでるから。」
『えー!!芦村君帰っちゃうのー!!』
「ちょっと芦村君のこと考えなよー!困らせちゃダメだよー!」
「芦村君ばいばーい!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「神野、悪い……助かったよ」
そう言うと芦村は困ったような笑みを浮かべた。その手には紙袋五個分と紙袋に収まり切らなかった分の両手一杯のチョコがあった。
「おまえ、そんな量のチョコレートどうするつもりだよ。」
神野は見かねて若干冷たく言い放つ。自分の手に余る分は捨てる、と事前に明言するのはこの男のむしろ好感が持てるところで羨ましいところでもあると芦村は常々思って居るところである。
「あ……はは……い、妹に食べてもらおうかな……」
「お前は環奈ちゃんを糖尿病にでもするつもりか……おまえなあ……そうゆうの後手後手っていうんだよ。やさしさでもなんでもないから。」
「…そうだね…」
痛いところをつかれて芦村は黙って項垂れてしまう。すると急に神野は芦野の持ってる紙袋の内三つをひったくった。
「母さんに言って町内会の集まりの菓子作りとかに使えないか聞いてみるよ。」
「か、神野!」
芦野の顔に感謝と喜びの色がぱあっと咲いた。
「ただし」
神野が釘を刺すように付け加えた。
「それでも使い切れなかったり使えない分は容赦なく捨てるからな!食いもん捨てるの大嫌いなオレが!!優柔不断なお前に代わって!!」
「ごめん……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「じゃあな」
「色々とありがとう神野」
芦村はふうとため息をつくと、よいしょと紙袋を抱えて帰途につく。そしていつもの公園に差し掛かった時だった。
がさ!
「あ、芦村一朗太!!」
突如公園の生垣から姿を現した影があった。
「え、な、なに?」
その顔には見覚えがあった。確か体育の時間のバスケで一回だけ一緒のチームになったことがある……
「あ、君は同じクラスの……ええっと、ネクラくん!」
「オレは米倉だあああああああああ!!」
「ご、ごめん」
その男の憤慨やるかたない様子に芦村は漸く相手との温度感に大きな落差があることに気づき始め、一歩後ずさった。つまりは引いていた。
「おまえさえ……おまえさえいなければ坂代さんは……」
「坂代さん?」
「うるさい!!バインド!」
そういうと米倉が手に持っている分厚い広辞苑ぐらいの本が光り、芦村が気が付いた時には芦村はその光の帯に手と足を拘束されていた。
「え、なにこれ?………」
「ふはははははは!!あ、あれ?」
米倉は高らかに哄笑したかと思うと膝をがくりと崩し、ひゅーひゅーと肺から漏れ出るような呼吸をした。
「か、体に力が……し、死ぬ!死ぬお!……」
米倉は地面を必死で掻きむしった。
「おのれ芦村一朗太あああ……!呪ってやる……なんでもいいから呪ってやるぞおお!」
そういうと米倉は必死で例の分厚い本のページを震える手でめちゃくちゃにめくった。
「な、なんでもいいって……」
「とにかくこのページよ!!なんでもいいから奴を不幸にしてしまえ!!」
「なんでもいいってええええええ!!??」
米倉がそういうと一際強い光りが辺りを埋め尽くした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(い、いきが……できない!!)
芦村は光の中でもがいていた。まるで深い海の中にいるような異常な圧力を感じて恐怖から体をよじるが、その光からも圧力からも逃れられそうにはない。
(し、しぬ……!!)
……
「あれ?」
芦村が目を開くとそこはさっきの公園だった。いつの間にか光も圧力もきれいさっぱりと消えている。
「え?え?」
芦村は混乱から辺りを見渡した。するとそこにはさっきの男、米倉が倒れていた。
「ね、ネクラくん!!ネクラくん!!ちょっと起きてよ!!」
芦村は米倉に駆け寄り体を揺する、まさかとは思ったが呼吸はあるようで一先ずは安心したが一向に目覚める気配はない。
ふと、芦村は自分のスラックスのかかとが地面に引きずられていることに気付いた。訝しく思って裾を上げようとすると……
ふに
なにやら膝を圧する柔らかい感触があった。芦村がまたも訝しく体を見下ろすと、そこにはふくらみがあった。
なにか詰め物でも入りこんだか?と芦村はそのふくらみを自らの手で掴む。
ふにゅ
「いだあ!?」
芦村は慌てて手を離した。どうやらこれは体の一部のようだ。
芦村は生死のパニック状態から頭が冴えてくるに従って、自分の今の状況がパズルのピースのようにつながってくるのを感じた。つまりは……
芦村はここが公共の場であることも忘れ咄嗟に自らの股間に手をやり一撫でする。
「……ない。」
それは感想とも呼べない。何の感情も伴わない一言だった。厳然たる事実を口にしただけである。
「ということは」
つまりは……
「女の子になっちゃった??……」
…………
「どっ」
芦村の額に幾筋も冷たい汗が噴き出した。
「ど、どどどどどどどうしよう……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あ、お帰りー!おにいちゃん!」
「……」
ぱたん
「??」
環奈は兄が何の返事もなく自室に飛び込むように入っていったのを訝しく見送った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
プルルルルルルルピッ
「おお、どうしたこんな時間に珍しいな」
電話の向こうから聞こえてきたのは神野の声だ。
「か、神野………い、今あったことのありのままを話すぜ……かくかくしかじか」
「…………ふーん」
「絶対本気にしてないだろ!!」
芦村は自分のやけに高くなった声が家族に聞かれてしまわないか、と思い咄嗟に口に手をやった。
「まあ、落ち着け。とにかくウチに来るか?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
芦村は男物の私服に着替えて帽子を目深に被って家から出て、神野の家に向かった。パーカーもジーンズもダボついて仕方なかったがこの際どうしようもないし仕方ない。
芦村はやたらビクつきながら行動していたので、家の前に立っている神野を見つけた時は思わず安堵から大きな声が出た。
「神野!!よかったああああ!来てくれなかったらどうしふあっ!!」
こけっ とさっ
芦村は段差も何もないところで躓いた。
「ううう」
芦村は自分のふがいなさに若干心が折れ気味だった。ゆっくりとした動作で服の埃を払う。
ふと芦村は自分を見つける神野の目にいつもの気安さがないことに気付き、神野を見上げた。
「おまえ……だれ??」
「神野!?(があん)」
芦村は青ざめた。性別と、容姿すら急激に変わってしまった今となってはそういえば今の自分を証明するものははっきり言って何もないのであった。
「僕だよ!!芦村だよ!!今日一緒に帰ったじゃないか!!」
芦村の必死の思いが通じたのか、害意のないことが伝わったのか、それとも女子だから優しくしようと思ったのか………神野は一先ずは警戒を解いてくれたようだった。
「……とにかく上がってくか?膝も擦っただろ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ただいま」
「お、お邪魔しまーす」
玄関を開けると、神野の姉がリビングで寛いでいたのかせんべいの袋を片手に顔を出してきた。
「おかえりー、あら。あんたまた女の子連れ込んで」
「お、女の子!!(があん)」
芦村は一目で女の子と判断されたことが若干ショックだった。
「人聞きの悪いこと言うな」
「良くゆうわ……あら……」
お姉さんは芦村の顔を覗き込む。余りに近い距離だったため芦村はうしろめたさと恥じらいで動揺して赤面した。
「な、なななななんですか?!」
お姉さんは芦村の頬を優しく撫でる。芦村はびくりと身を竦ませ反射的に目を瞑った。
「ひうっ」
「しかもこんな純情そうな可愛い子……くれぐれもこんな悪い男に捕まんないようにね……お姉さん心配……」
お姉さんは捨てられた子犬を見つめるような目で芦村を見つめた。芦村は戸惑ったがとりあえず相槌だけ打った。
「は、はひ……」
「そいつはそんなんじゃない……友達だよ友達」
「セ◯◯ス友達(フレンド)!!??」
「ぶっ!ち、ちがいます!断じて違います!!」
芦村はお姉さんの大胆な発言に顔を真っ赤にして必死に否定した。
「ああ、もういいから行くぞ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「救急箱持ってきたぞ。ほれ、足出せ。」
「ありがとう……んしょっ……あだっ!!」
芦村はベッドに腰かけて靴下を外した拍子に窓枠にごん、と後頭部を強打した。芦村は頭を押えてベッドにうずくまる。
「ううううう頭ぶつけたあ……」
「おまえ……本当にあの芦村か??」
神野は呆れたような声で言った。
「本当だよ……」
芦村は涙目で頭を擦りながらベッドに座りなおした。
「で、何がどうなってそうなったんだ??」
「あのクラスの……ええっと誰だっけ……あ!ネクラくんているじゃん!!」
「ネクラ??……ああ、ネネクラ??だっけ??」
「あ、そうそう!!そんな感じの名前の!」
話ながら神野は、消毒液とティッシュと絆創膏を取りだした。
神野は僕の足をしげしげと眺めると、表面を擦りだした。
「ふぁっ……」
芦村は触診?……と思ってなされるがままにしていたら、やがて神野は芦村のふくらはぎをぷにぷにと揉みだした。
「…な、なにしてんだよ…く、くすぐったいよ」
足のはくすぐったさを堪えるように震えながら答えた。

「ん、ああ!わるい!……やっぱ女子の足だなと思って」
「……おまえなあ……まさか親友が女になったからってやらしい目で見たりするんじゃないだろーな」
芦村は笑って少し悪戯っぽい目で神野の目を覗き見る。当の神野は一瞬驚いたような顔をしただけで何も言わなかった。
「……なに?どうしたの?」
芦村は小首を傾げてなおも神野の顔を覗き込む。
「いや……なんでもない………」
神野はそう言うと目を反らしただけだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それはそうと学校どうしよう……家族にもまだ言ってないし」
「もう、正直に洗いざらい話したらどうだ??」
「む、無理だよ!!お父さんお母さんも妹も驚かせたくないし………」
「だからってずっと隠し通すのか??」
「でも………」
「戻れるあてもないのに??」
「うぐ……」
芦村はなんでもかんでもズバズバ言うのはこいつのいいところだけど………人が気になってたことをそこまで言うか!?と若干恨めしく思った。
「分かったよ……そうするよ…」
そういうと芦村は少し涙目で不貞腐れながらも立ちあがった。
「おお、そうしろ」
芦村は立ちあがったまま神野をじっと見つめた。
「………なんだよ??」
「一緒に………ついてきて」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その後、芦村は神野と一緒に帰途について神野の口からそれまでの経緯を話してもらった。
芦村の家族は皆最初は驚いていたけれど、割とポジティブに受け止めてくれたみたいで、
芦村は安心して泣いてしまった。
そうしたら妹の環奈に「よしよし、環奈がいるから大丈夫だよ」となでなでされた。
「あ、兄としての威厳が………」
芦村は涙目を拭いながら言った。
「おねえちゃん、の間違いだよおねえちゃん?それに女子歴は私の方が長いから困ったことは『先輩の』私になんでも聞いてね??」
「…………」
環奈はにっこりと笑って言い放った。今、先輩のところがやたら強調されてたのは気のせいか?と芦村は思った。
そういえば、昔から妹の環奈は仕切りたがりのお姉さんぶりたがる子だったな……芦村はこれから妹の玩具となる未来を想像してふふ、と空しく独り言ちた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「………と、いうわけで芦村君は諸事情により生物学的には女の子になりました。色々と本人も戸惑ってると思いますので、くれぐれも本人が困るようなセクハラまがいの性的な話などはしないように。」
ざわざわ
「ちなみに制服は本人の希望で男子の制服を着ることになりました。それについてもからかったりすることのないよう………」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「か、神野お……」
移動教室の合間に芦村は神野に話しかけた。
「どうした??」
「もう、やだ…………女子は女子でやたらつついていじってくるし男子は男子で前と全然対応違うから戸惑うし…………」
「芦村君かわいいーってか。よかったな。」
「よくない!!」
芦村は怒りと羞恥で顔を赤くして語気を強めた。といっても男の時のそれとは違い、女子として可愛らしいぐらいなものだったが。
「神野までそういうこと言うなら本当に絶交だからな!!」
「はいはいわかったわかった」
「わかってない!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
体育館での体育の時間が終わり、生徒もまばらになった時だった。
「芦村……ちょっとこっち来いよ」
「え、なに??」
芦村が同級生に言われるがままについていくと……そこには5,6人の見知らぬ顔をした男子たち……恐らく先輩たちがいた。
「な、なにどうしたの??」
芦村は異様な雰囲気の場に助けを求める様に同級生に目線をやったが、同級生はすまなそうに俯くばかりだった。
「脱げよ、芦村」
芦村の真っ正面に座っていた先輩がそう言い放った。高圧的で嘲けるような笑いを含んだ声だった。
「な、なんのために」
芦村は足が震えていたが、それを悟られないようにするので精一杯で、声は震えていた。
「お前が本当に女子になったのか確かめたいんだよ」
そういうと体の大きな先輩が無遠慮にずかずかと近づいてきた。芦村は気圧される様に後ずさったが、後ろにいた同級生に両手を羽交い絞めにされた。
「や、やめ……」
圧するような気配に向き直ると先輩は、好色そうな、優越感を湛えた目で芦村を眺めた。
腹の底から湧き出る震えが止まらず、芦村は恐怖の余りに声が出ないという感覚をその時初めて味わっていた。
しかし、その時だった……
『おい!!先生が数人で来たぞ!!逃げろ!!』
体育室の外側から叫ぶような声が聞こえた。
「まじか!?」
「くそ!!逃げろ!!」
先輩たちは焦りから芦村には目もくれずに、同級生たちは体育室の細い窓から我先にと逃げ出していった。
がちゃ
芦村がその場にへたりこむと背中からカギを開ける音が響いた。誰かはすぐに分かった。さっきの声にも聞き覚えがあったからだ。
「か、神野……」
「大丈夫か??」
「だ、だいじょう……ぶ……あ…れ??」
そういった途端に芦村の視界が滲んだ。そこからは止め処なく嗚咽が漏れていった。
「う……ううー……うっく」
「……」
神野はそっと芦村の手を取った。その手は小刻みに震えていた。
「か、かんの…ひっぐ…」
「もう大丈夫だ」
「ご、ごめん……ちょ、ちょっとだけ……」
「ん?」
芦村はそう言うと神野の首に抱き付いた。その体全体が小刻みに震えているのが分かった。
「……」
「うう……ご、ごめんね神野……」
「いや……」
「うう…ひっぐ…」
「安心するか??」
「うん……ありがと……ひっぐ」
「なら良かった……」
神野は芦村の震えと涙が収まるまでその場に居続けた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事件はすぐに退学沙汰の大騒ぎとなった。
その後の経過は、芦村が落ち着くまでは芦村の耳に入らないようにと用心深く周知された。
芦村としても自分に害意を持った人間がこれ以上この学校にいなくなる、ということが知れただけで後は触れたくはなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おはよう神野ー!ふぁっ!!」
芦村は何もないところで躓いたが、神野が手を取ってくれたおかげで無事だった。
「ご、ごめん」
「別に………もう慣れた」
「う………」
芦村は若干恥じるような悔しいような表情を浮かべた。
「この前の先輩たち全員退学だって。」
「………そっか………」
芦村は少し複雑そうな顔で俯いた。こんな時でも相手を思いやって同情してしまうのは、こいつのいいところでもある、と芦村は常々思っているところであった。
「お前も反省しろよ。自分が男たちにどんな風に見られてるかちゃんと自覚しろ。オレだっていつまでも……」
「え、それどういう……ふぁっ!!」
芦村はまたも段差も何もないところで躓いたが、神野が咄嗟に体を抱き留めた。
「あ、ありが」
芦村は余りに密着度が高いことを少し訝しがりつつ神野を見上げると、神野は瞬間その唇にキスをした。

(え)
「……」
芦村は脳の情報処理が追いつかず真っ白になって固まった。
「どういたしまして」
神野は芦村ににこやかな笑顔で答えた。
「あ、ちなみに……オレお前に手えだす奴からは守るけどお前のこと狙ってるもいるから。よろしく。」
そこまで言うと神野は手を離して、何事もなかったようにすたすたと歩いていった。
「……」
芦村は突如として再度自分の貞操に人生最大の危機が訪れたことに冷や汗がどっと流れ出てきた。
「ぼ、ぼくの……ふぁ、ファーストキスが……」
芦村はわなわなと体を震わせた。
「裏切り者おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
おしまい
その2はこちら
20160327初出
20160420挿絵1追加
キャラ造形.こじか https://twitter.com/kojica_m45

芦村一朗太はイケメン、学力、運動神経、優しく穏やか真面目な性格。そのどれをとっても非の打ち所のないイケメンだ。
芦村の親友の神野(かんの)は同じく眼鏡と肩まで流れるような髪の似合うイケメン、学力、運動神経、ニヒルだが優しい性格(但し、女子に対してに限る)と芦村と双頭を為す学園きってのイケメンだ。
折しも今日はバレンタインデー。只でさえ目立つ二人に学園中のチョコが集まることは自明すぎるほど自明の理であった。そのチョコラッシュは放課後になってもやむ気配はなく、芦村は少し困った様子で女子たちの相手となっていた。
「おい、芦村。帰るぞ。」
神野はそんな芦村の様子を見かねて声をかけた。
「あ、うん!ごめんねみんな。神野が呼んでるから。」
『えー!!芦村君帰っちゃうのー!!』
「ちょっと芦村君のこと考えなよー!困らせちゃダメだよー!」
「芦村君ばいばーい!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「神野、悪い……助かったよ」
そう言うと芦村は困ったような笑みを浮かべた。その手には紙袋五個分と紙袋に収まり切らなかった分の両手一杯のチョコがあった。
「おまえ、そんな量のチョコレートどうするつもりだよ。」
神野は見かねて若干冷たく言い放つ。自分の手に余る分は捨てる、と事前に明言するのはこの男のむしろ好感が持てるところで羨ましいところでもあると芦村は常々思って居るところである。
「あ……はは……い、妹に食べてもらおうかな……」
「お前は環奈ちゃんを糖尿病にでもするつもりか……おまえなあ……そうゆうの後手後手っていうんだよ。やさしさでもなんでもないから。」
「…そうだね…」
痛いところをつかれて芦村は黙って項垂れてしまう。すると急に神野は芦野の持ってる紙袋の内三つをひったくった。
「母さんに言って町内会の集まりの菓子作りとかに使えないか聞いてみるよ。」
「か、神野!」
芦野の顔に感謝と喜びの色がぱあっと咲いた。
「ただし」
神野が釘を刺すように付け加えた。
「それでも使い切れなかったり使えない分は容赦なく捨てるからな!食いもん捨てるの大嫌いなオレが!!優柔不断なお前に代わって!!」
「ごめん……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「じゃあな」
「色々とありがとう神野」
芦村はふうとため息をつくと、よいしょと紙袋を抱えて帰途につく。そしていつもの公園に差し掛かった時だった。
がさ!
「あ、芦村一朗太!!」
突如公園の生垣から姿を現した影があった。
「え、な、なに?」
その顔には見覚えがあった。確か体育の時間のバスケで一回だけ一緒のチームになったことがある……
「あ、君は同じクラスの……ええっと、ネクラくん!」
「オレは米倉だあああああああああ!!」
「ご、ごめん」
その男の憤慨やるかたない様子に芦村は漸く相手との温度感に大きな落差があることに気づき始め、一歩後ずさった。つまりは引いていた。
「おまえさえ……おまえさえいなければ坂代さんは……」
「坂代さん?」
「うるさい!!バインド!」
そういうと米倉が手に持っている分厚い広辞苑ぐらいの本が光り、芦村が気が付いた時には芦村はその光の帯に手と足を拘束されていた。
「え、なにこれ?………」
「ふはははははは!!あ、あれ?」
米倉は高らかに哄笑したかと思うと膝をがくりと崩し、ひゅーひゅーと肺から漏れ出るような呼吸をした。
「か、体に力が……し、死ぬ!死ぬお!……」
米倉は地面を必死で掻きむしった。
「おのれ芦村一朗太あああ……!呪ってやる……なんでもいいから呪ってやるぞおお!」
そういうと米倉は必死で例の分厚い本のページを震える手でめちゃくちゃにめくった。
「な、なんでもいいって……」
「とにかくこのページよ!!なんでもいいから奴を不幸にしてしまえ!!」
「なんでもいいってええええええ!!??」
米倉がそういうと一際強い光りが辺りを埋め尽くした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(い、いきが……できない!!)
芦村は光の中でもがいていた。まるで深い海の中にいるような異常な圧力を感じて恐怖から体をよじるが、その光からも圧力からも逃れられそうにはない。
(し、しぬ……!!)
……
「あれ?」
芦村が目を開くとそこはさっきの公園だった。いつの間にか光も圧力もきれいさっぱりと消えている。
「え?え?」
芦村は混乱から辺りを見渡した。するとそこにはさっきの男、米倉が倒れていた。
「ね、ネクラくん!!ネクラくん!!ちょっと起きてよ!!」
芦村は米倉に駆け寄り体を揺する、まさかとは思ったが呼吸はあるようで一先ずは安心したが一向に目覚める気配はない。
ふと、芦村は自分のスラックスのかかとが地面に引きずられていることに気付いた。訝しく思って裾を上げようとすると……
ふに
なにやら膝を圧する柔らかい感触があった。芦村がまたも訝しく体を見下ろすと、そこにはふくらみがあった。
なにか詰め物でも入りこんだか?と芦村はそのふくらみを自らの手で掴む。
ふにゅ
「いだあ!?」
芦村は慌てて手を離した。どうやらこれは体の一部のようだ。
芦村は生死のパニック状態から頭が冴えてくるに従って、自分の今の状況がパズルのピースのようにつながってくるのを感じた。つまりは……
芦村はここが公共の場であることも忘れ咄嗟に自らの股間に手をやり一撫でする。
「……ない。」
それは感想とも呼べない。何の感情も伴わない一言だった。厳然たる事実を口にしただけである。
「ということは」
つまりは……
「女の子になっちゃった??……」
…………
「どっ」
芦村の額に幾筋も冷たい汗が噴き出した。
「ど、どどどどどどどうしよう……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あ、お帰りー!おにいちゃん!」
「……」
ぱたん
「??」
環奈は兄が何の返事もなく自室に飛び込むように入っていったのを訝しく見送った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
プルルルルルルルピッ
「おお、どうしたこんな時間に珍しいな」
電話の向こうから聞こえてきたのは神野の声だ。
「か、神野………い、今あったことのありのままを話すぜ……かくかくしかじか」
「…………ふーん」
「絶対本気にしてないだろ!!」
芦村は自分のやけに高くなった声が家族に聞かれてしまわないか、と思い咄嗟に口に手をやった。
「まあ、落ち着け。とにかくウチに来るか?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
芦村は男物の私服に着替えて帽子を目深に被って家から出て、神野の家に向かった。パーカーもジーンズもダボついて仕方なかったがこの際どうしようもないし仕方ない。
芦村はやたらビクつきながら行動していたので、家の前に立っている神野を見つけた時は思わず安堵から大きな声が出た。
「神野!!よかったああああ!来てくれなかったらどうしふあっ!!」
こけっ とさっ
芦村は段差も何もないところで躓いた。
「ううう」
芦村は自分のふがいなさに若干心が折れ気味だった。ゆっくりとした動作で服の埃を払う。
ふと芦村は自分を見つける神野の目にいつもの気安さがないことに気付き、神野を見上げた。
「おまえ……だれ??」
「神野!?(があん)」
芦村は青ざめた。性別と、容姿すら急激に変わってしまった今となってはそういえば今の自分を証明するものははっきり言って何もないのであった。
「僕だよ!!芦村だよ!!今日一緒に帰ったじゃないか!!」
芦村の必死の思いが通じたのか、害意のないことが伝わったのか、それとも女子だから優しくしようと思ったのか………神野は一先ずは警戒を解いてくれたようだった。
「……とにかく上がってくか?膝も擦っただろ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ただいま」
「お、お邪魔しまーす」
玄関を開けると、神野の姉がリビングで寛いでいたのかせんべいの袋を片手に顔を出してきた。
「おかえりー、あら。あんたまた女の子連れ込んで」
「お、女の子!!(があん)」
芦村は一目で女の子と判断されたことが若干ショックだった。
「人聞きの悪いこと言うな」
「良くゆうわ……あら……」
お姉さんは芦村の顔を覗き込む。余りに近い距離だったため芦村はうしろめたさと恥じらいで動揺して赤面した。
「な、なななななんですか?!」
お姉さんは芦村の頬を優しく撫でる。芦村はびくりと身を竦ませ反射的に目を瞑った。
「ひうっ」
「しかもこんな純情そうな可愛い子……くれぐれもこんな悪い男に捕まんないようにね……お姉さん心配……」
お姉さんは捨てられた子犬を見つめるような目で芦村を見つめた。芦村は戸惑ったがとりあえず相槌だけ打った。
「は、はひ……」
「そいつはそんなんじゃない……友達だよ友達」
「セ◯◯ス友達(フレンド)!!??」
「ぶっ!ち、ちがいます!断じて違います!!」
芦村はお姉さんの大胆な発言に顔を真っ赤にして必死に否定した。
「ああ、もういいから行くぞ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「救急箱持ってきたぞ。ほれ、足出せ。」
「ありがとう……んしょっ……あだっ!!」
芦村はベッドに腰かけて靴下を外した拍子に窓枠にごん、と後頭部を強打した。芦村は頭を押えてベッドにうずくまる。
「ううううう頭ぶつけたあ……」
「おまえ……本当にあの芦村か??」
神野は呆れたような声で言った。
「本当だよ……」
芦村は涙目で頭を擦りながらベッドに座りなおした。
「で、何がどうなってそうなったんだ??」
「あのクラスの……ええっと誰だっけ……あ!ネクラくんているじゃん!!」
「ネクラ??……ああ、ネネクラ??だっけ??」
「あ、そうそう!!そんな感じの名前の!」
話ながら神野は、消毒液とティッシュと絆創膏を取りだした。
神野は僕の足をしげしげと眺めると、表面を擦りだした。
「ふぁっ……」
芦村は触診?……と思ってなされるがままにしていたら、やがて神野は芦村のふくらはぎをぷにぷにと揉みだした。
「…な、なにしてんだよ…く、くすぐったいよ」
足のはくすぐったさを堪えるように震えながら答えた。

「ん、ああ!わるい!……やっぱ女子の足だなと思って」
「……おまえなあ……まさか親友が女になったからってやらしい目で見たりするんじゃないだろーな」
芦村は笑って少し悪戯っぽい目で神野の目を覗き見る。当の神野は一瞬驚いたような顔をしただけで何も言わなかった。
「……なに?どうしたの?」
芦村は小首を傾げてなおも神野の顔を覗き込む。
「いや……なんでもない………」
神野はそう言うと目を反らしただけだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それはそうと学校どうしよう……家族にもまだ言ってないし」
「もう、正直に洗いざらい話したらどうだ??」
「む、無理だよ!!お父さんお母さんも妹も驚かせたくないし………」
「だからってずっと隠し通すのか??」
「でも………」
「戻れるあてもないのに??」
「うぐ……」
芦村はなんでもかんでもズバズバ言うのはこいつのいいところだけど………人が気になってたことをそこまで言うか!?と若干恨めしく思った。
「分かったよ……そうするよ…」
そういうと芦村は少し涙目で不貞腐れながらも立ちあがった。
「おお、そうしろ」
芦村は立ちあがったまま神野をじっと見つめた。
「………なんだよ??」
「一緒に………ついてきて」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その後、芦村は神野と一緒に帰途について神野の口からそれまでの経緯を話してもらった。
芦村の家族は皆最初は驚いていたけれど、割とポジティブに受け止めてくれたみたいで、
芦村は安心して泣いてしまった。
そうしたら妹の環奈に「よしよし、環奈がいるから大丈夫だよ」となでなでされた。
「あ、兄としての威厳が………」
芦村は涙目を拭いながら言った。
「おねえちゃん、の間違いだよおねえちゃん?それに女子歴は私の方が長いから困ったことは『先輩の』私になんでも聞いてね??」
「…………」
環奈はにっこりと笑って言い放った。今、先輩のところがやたら強調されてたのは気のせいか?と芦村は思った。
そういえば、昔から妹の環奈は仕切りたがりのお姉さんぶりたがる子だったな……芦村はこれから妹の玩具となる未来を想像してふふ、と空しく独り言ちた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「………と、いうわけで芦村君は諸事情により生物学的には女の子になりました。色々と本人も戸惑ってると思いますので、くれぐれも本人が困るようなセクハラまがいの性的な話などはしないように。」
ざわざわ
「ちなみに制服は本人の希望で男子の制服を着ることになりました。それについてもからかったりすることのないよう………」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「か、神野お……」
移動教室の合間に芦村は神野に話しかけた。
「どうした??」
「もう、やだ…………女子は女子でやたらつついていじってくるし男子は男子で前と全然対応違うから戸惑うし…………」
「芦村君かわいいーってか。よかったな。」
「よくない!!」
芦村は怒りと羞恥で顔を赤くして語気を強めた。といっても男の時のそれとは違い、女子として可愛らしいぐらいなものだったが。
「神野までそういうこと言うなら本当に絶交だからな!!」
「はいはいわかったわかった」
「わかってない!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
体育館での体育の時間が終わり、生徒もまばらになった時だった。
「芦村……ちょっとこっち来いよ」
「え、なに??」
芦村が同級生に言われるがままについていくと……そこには5,6人の見知らぬ顔をした男子たち……恐らく先輩たちがいた。
「な、なにどうしたの??」
芦村は異様な雰囲気の場に助けを求める様に同級生に目線をやったが、同級生はすまなそうに俯くばかりだった。
「脱げよ、芦村」
芦村の真っ正面に座っていた先輩がそう言い放った。高圧的で嘲けるような笑いを含んだ声だった。
「な、なんのために」
芦村は足が震えていたが、それを悟られないようにするので精一杯で、声は震えていた。
「お前が本当に女子になったのか確かめたいんだよ」
そういうと体の大きな先輩が無遠慮にずかずかと近づいてきた。芦村は気圧される様に後ずさったが、後ろにいた同級生に両手を羽交い絞めにされた。
「や、やめ……」
圧するような気配に向き直ると先輩は、好色そうな、優越感を湛えた目で芦村を眺めた。
腹の底から湧き出る震えが止まらず、芦村は恐怖の余りに声が出ないという感覚をその時初めて味わっていた。
しかし、その時だった……
『おい!!先生が数人で来たぞ!!逃げろ!!』
体育室の外側から叫ぶような声が聞こえた。
「まじか!?」
「くそ!!逃げろ!!」
先輩たちは焦りから芦村には目もくれずに、同級生たちは体育室の細い窓から我先にと逃げ出していった。
がちゃ
芦村がその場にへたりこむと背中からカギを開ける音が響いた。誰かはすぐに分かった。さっきの声にも聞き覚えがあったからだ。
「か、神野……」
「大丈夫か??」
「だ、だいじょう……ぶ……あ…れ??」
そういった途端に芦村の視界が滲んだ。そこからは止め処なく嗚咽が漏れていった。
「う……ううー……うっく」
「……」
神野はそっと芦村の手を取った。その手は小刻みに震えていた。
「か、かんの…ひっぐ…」
「もう大丈夫だ」
「ご、ごめん……ちょ、ちょっとだけ……」
「ん?」
芦村はそう言うと神野の首に抱き付いた。その体全体が小刻みに震えているのが分かった。
「……」
「うう……ご、ごめんね神野……」
「いや……」
「うう…ひっぐ…」
「安心するか??」
「うん……ありがと……ひっぐ」
「なら良かった……」
神野は芦村の震えと涙が収まるまでその場に居続けた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事件はすぐに退学沙汰の大騒ぎとなった。
その後の経過は、芦村が落ち着くまでは芦村の耳に入らないようにと用心深く周知された。
芦村としても自分に害意を持った人間がこれ以上この学校にいなくなる、ということが知れただけで後は触れたくはなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おはよう神野ー!ふぁっ!!」
芦村は何もないところで躓いたが、神野が手を取ってくれたおかげで無事だった。
「ご、ごめん」
「別に………もう慣れた」
「う………」
芦村は若干恥じるような悔しいような表情を浮かべた。
「この前の先輩たち全員退学だって。」
「………そっか………」
芦村は少し複雑そうな顔で俯いた。こんな時でも相手を思いやって同情してしまうのは、こいつのいいところでもある、と芦村は常々思っているところであった。
「お前も反省しろよ。自分が男たちにどんな風に見られてるかちゃんと自覚しろ。オレだっていつまでも……」
「え、それどういう……ふぁっ!!」
芦村はまたも段差も何もないところで躓いたが、神野が咄嗟に体を抱き留めた。
「あ、ありが」
芦村は余りに密着度が高いことを少し訝しがりつつ神野を見上げると、神野は瞬間その唇にキスをした。

(え)
「……」
芦村は脳の情報処理が追いつかず真っ白になって固まった。
「どういたしまして」
神野は芦村ににこやかな笑顔で答えた。
「あ、ちなみに……オレお前に手えだす奴からは守るけどお前のこと狙ってるもいるから。よろしく。」
そこまで言うと神野は手を離して、何事もなかったようにすたすたと歩いていった。
「……」
芦村は突如として再度自分の貞操に人生最大の危機が訪れたことに冷や汗がどっと流れ出てきた。
「ぼ、ぼくの……ふぁ、ファーストキスが……」
芦村はわなわなと体を震わせた。
「裏切り者おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
おしまい
その2はこちら
20160327初出
20160420挿絵1追加
コメント
コメント頂きありがとうございます。
かしこまりました。その内あっぷしますね。
かしこまりました。その内あっぷしますね。
女の子に慣れてきたら、セーラー服を着てください。
コメントの投稿
トラックバック
http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/17812-a986dfc1
追加イラストについてはこじかさんに相談してみますね。
気長にお待ちください。