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星の海で(10)  「Be My Lover」 (5)誘惑のエミリア

(5)誘惑のエミリア -------------------------------------------------------

 翌日、フランチェスカはリッカルドに艦橋へ呼び出された。

「模擬艦隊戦の計画を立ててくれ」
「もう一度、お願いします。提督」
「模擬艦隊戦の計画を立ててくれといったんだ。艦隊を2つにわけ、艦隊戦の訓練をする。戦艦ピエンツァ以下30隻ほどで分艦隊を編成し、本隊との遭遇戦を想定する。シナリオの詳細は一任する」

 艦隊戦ともなれば、膨大な量の想定シナリオを用意する必要がある。だが遭遇戦なら、彼我の戦力配置と、既存の対処マニュアルの確認準備だけで済む。大変なのはその準備作業だ。

「準備にどれぐらいかかりそうか?」
「1週間もあれば。しかし、模擬艦隊戦ともなると、補給が必要になります」
「次の補給は?」
「3日後です」
「よろしい。では早速計画書を作成したまえ。旗艦以外の艦の振り分けは任せる」
「指揮官と幕僚の配置は?」
「旗艦アンドレア・ドリアは、フェラーリオ参謀に指揮を執ってもらう。副官はお前がやれ」
「提督は?」
「俺はピエンツァに乗る。一瞬でお前たちを屠ってやるさ」
「どうだか……」
「自信満々だな、大尉。俺に勝てると思っているのか?」
「指揮官は私じゃなくて、フェラーリオ参謀ですよ」
「どっちでもいい。二人は罰ゲームを覚悟しておけよ」
「そんな子供染みた事を。挑発には乗りませんよ」
「怖いのか?」
「……いいでしょう。でもご自分の言葉には責任を持ってくださいね」
「もちろんだ! 副官」

*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*


 模擬艦隊戦の準備の忙しい中にあっても、フランチェスカはラヴァーズの当番を欠かさなかった。
 しかし、ラヴァーズなら当然申し込まれる筈の“お誘い”が、まだフランチェスカには無かった。
 フランチェスカは自分が誘われないのは、実年齢よりもかなり幼く見える外見にも原因があると考えていた。
 そこでラヴァーズ向けの雑誌に目を通して、流行りの分析を念入りに行った。
 そしてその成果を元に、2度目の新調ドレスに更にアレンジを加えた。
 そしてメイクセットやアクセサリを亜里沙から借り、気合を入れてラウンジに向かった。

 しかしそこで待っていたのは、少々背伸びした感が拭えないフランチェスカの存在など、吹き飛ばしてしまうような、大胆なドレスを身に纏ったエミリアだった。

10_2.jpg
挿絵:菓子之助 http://pasti.blog81.fc2.com/

「え、えみりあ、その格好……」
「声が裏返っていますわよ、フランチェスカさん」
「だって、そのドレスって言っていいのかしら、その、いろんなところが見えて……」
「あら、ちゃんとしたパーティードレスですよ?」
「だ、だってその胸、とか背中とか、あ、脚とか……」

 フランチェスカも自分なりにがんばっていた。露出が多めのドレスを纏ってはいたが、もともとの体形からすると、やはりあまり似合わないと自分でも思っていた。だがエミリアの装いは、その豊満な肉体を余すこと無く見せ付けるように、大胆で煽情的だった。

「普通ですよ、これぐらい。まぁ、フランチェスカさんにはちょっと無理かもしれませんけど……」
「む、無理無理無理無理! って、恥ずかしくないの?」
「どうしてです? ラヴァーズだったら、これぐらいは着こなせませんとね」
「で、でも……」
「アンディの皆さんは、とても紳士でいらっしゃるのですね。ですからこれぐらいのサービスはしませんと」

 口元にふわふわの羽の付いた扇を当て、妖艶な笑みを浮かべたエミリアに、フランチェスカは決定的な敗北感を感じた。

「エ、えみりあ殿」
「あら、フェラーリオ参謀。お一人ですか?」
「い、いや、提督もご一緒だが……」
「リッカルドが!?」

 参謀の言葉にフランチェスカ振り返ると、そこにはリッカルドが立っていた。
 リッカルドはフランチェスカを一瞥すると、冷たい視線を浴びせるとぼそっと呟くように言った。

「似合わんな。お前らしくもない」
「な゙……」

 自分でも気にしていたことを指摘され、カッときたフランチェスカは何か言い返そうとした。
 だがリッカルドは、そんなフランチェスカには関心がないかのように、エミリアの手をとり、軽く手の甲にキスをした。

「エミリア殿、今夜は非常にお美しい。少し相手をしてくださいますかな」
「ええ、喜んで」

 リッカルドは、あっけにとられるフランチェスカを嘲笑うように一瞥すると、ラウンジの奥のテーブルへと大股で歩き始めた。
 その後ろを、にこやかな笑みを浮かべたエミリアと、狼狽を隠しきれない参謀が続いた。
 参謀は歩きながらエミリアのそばに寄り、耳打ちするように小声で言った。

「エミリア殿、そのドレスはいくらなんでも……」
「気になります? 確かにどの殿方からも、とても熱い視線を感じますけど」
「その、嘘でしょう? 大尉に"これぐらいは普通”だなどと……」
「あら、聞いてらしたんですか? どうしてそうお思いですの?」
「着飾った大尉に、あまり兵士たちの視線が行かないように、わざとそんなドレスを着ていらっしゃるんですよね?」
「アメデオはお優しい方でいらっしゃるのね、そんな風に考えるだなんて」
「はぁ……全く、大尉は良い友人に囲まれているものだ」
「褒め言葉と受け取っておきますわ。アメデオ。でも”半分は貴方の為ですわ”、と言ったらどんな反応をしてくださいますの?」
「か、からかわないでいただきたい!」
「失礼。お嫌いになられました?」
「き、嫌いになど……」
「うふふ……」

 3人はラウンジの一番奥の席を陣取り、エミリアはテーブルの端末を操作してオーダーを取った。
 ソファに座ったエミリアのドレスは、さらに豊満な肉体を強調する形となり、隣席のリッカルドは視線をそらしつつも、満更でもない様子だった。
 

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