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星の海で(10)  「Be My Lover」 (10)リッカルド~怒り

(10)リッカルド~怒り-------------------------------------------------------

 翌日。フランチェスカは、大胆な装いでラウンジへと向かっていた。
 そしてラウンジの入り口でまるで待っていたかのような、リッカルドに出くわした。

「おい! フランチェスカ! こっちへ来い!」
「痛い! 何だよ! 離せよリッカルド!」
「お前、そんなかっこうして、どういうつもりだ!!」

10_3.jpg
挿絵:菓子之助 http://pasti.blog81.fc2.com/

 フランチェスカの服装は、ラヴァーズでも普通はそんなコーディネイトはしないだろうと言うような、大胆なものだった。
 薄いシースルーの布を軽く体に巻いただけの様なデザイン。普通はその下にカクテルドレスを着るところを、フランチェスカは肌の色に合わせたインナーだけを身に付けていた。そのため遠目には裸の上に薄い布だけを纏ったように見えた。
 左足には少し太目の革のアンクレット。両手首にも太い革のリストバンドで薄布の袖を止めていた。そして首にはラヴァーズ徽章のついた黒のチョーカー。そして濃いメイクに、銀の鎖の髪飾り。
 リッカルドは以前にそんな姿の女性を見たことがあった。それは連合国の支配の及ばないような辺境の惑星。奴隷商に売られる哀れな少女の姿に似ていた。

「そんな格好って、別にラヴァーズだもん。これぐらいの格好はするさ!」
「お前は幕僚の一員だ。非常呼集がかかったら、その格好で艦橋に来るつもりか!」
「前線から100光年も離れているのに、そんなことあるわけ無いじゃん!」
「ふざけるな! 非常呼集は、艦隊の技量・士気を維持するために、前線からの距離など関係なく、かけられるんだ。そんな時に、お前はそんな裸同然の格好で来て、下士官たちがなんと思うか、判っているのか!」
「それはリッカルド次第だろ、平時の非常呼集発令権は、艦隊司令にあるんだから。リッカルドが私に、こういう姿で指揮補佐をして欲しいのなら、別だけど?」
「馬鹿野郎!」

 パァン! と言う音に、はらはらしながらその様子を見ていたメリッサが、慌ててフランチェスカの傍に駆け寄り、庇う様にして抱き起こした。
 フランチェスカは、立ち上がるときに一瞬眩暈がしたものの、引きとめようとするメリッサの腕を払って立ち上がった。

「ぶったね」
「ああ、ぶったとも! 今後ラウンジへの出入りは一切禁じる。もちろんラヴァーズの代行当番なんてのも認めない!」
「横暴だ! どういう権限で!」
「艦隊の士気に重大な影響を及ぼすと判断したからだ! 文句があるなら謹慎処分も辞さない!」

 険悪な雰囲気の二人の間に、それまでラウンジの中で心配そうに見守っていたフェラーリオ参謀が割って入った。

「て、提督、落ち着いて! 大尉ももっと冷静に」
「邪魔をするな参謀! 口出し無用!」
「もういいよ! リッカルドの馬鹿野郎! 謹慎処分にでも何でも、すればいいだろ!!」
「大尉! 提督! この件は参謀としても異論を挟まずに居れません。人事部と私めに御一任いただきたい」
「いや、ラウンジ内での出来事は、厚生部長の私の管轄だ。提督もここは一度引かれて、この場は私に預からせて頂きたい。大尉には私から」
「くそっ! どいつもこいつもこのアバズレのカタを持つってのか!」
「アバズレって、なんだよ! 言っていいことと悪いことが……」
「大尉も提督もおやめください!!」

 フェラーリオ参謀は、今にもつかみ合いの喧嘩騒動に発展しそうな二人を引き離した。
 しかし、どうすればこの場を収められるかについては策が無かった。
 リッカルドも流石に暴力沙汰に発展するのは、まずいと考えたらしく、制服をわざとらしく直すと、フランチェスカに言った。

「あまえ、今は“ラヴァーズなんだよな?」
「そうだよ! だから何?」
「なら“お誘い”だ! 俺に付き合え!」
「何だと! 絶対嫌だね。お断りだ!」
「ラヴァーズなら、その職務を果たせ。戦闘副官だと言うなら、着替えて艦橋へ戻れ。これは命令だ!」
「横暴だ!」
「うるさい!」

 リッカルドはフランチェスカの腕をつかむと、抵抗するのもかまわずに強引にラウンジを出ていった。
 フェラーリオ参謀も慌てて、その後を追っていった。

 激しいやり取りを呆然と見ていた、ラウンジのマスターとメリッサは我に返ると、お互いの顔を見合わせた。

「随分と判りやすかったな」
「ええ。でも大丈夫でしょうか?」
「どうなるか、賭けるか?」
「賭けるって?」
「破局か、否か」
「マスターはどちらだと?」
「うむ、後者だな」
「じゃ、賭けになりませんね。でもエミリアさんには、伝えておいたほうがいいかも」

 メリッサは自分のポーチから端末を取り出すと、エミリアにコールした。

 連絡を受けたエミリアは、自分の計画通りに事態が進んでいることに、少しだけ安堵した。
 フランチェスカに大胆な格好をさせたのも、リッカルドにラウンジでフランチェスカを待っているように仕向けたのも、自分の計画ではあったが、予想外の事態も十分起こりうる。
 計画を確実に成功させるには、エミリア自身の適切なフォローが必要であったからだ。
 2人を自分の持ち駒のように扱うことに、エミリアは罪の意識を感じてはいた。
 だが、2人が強く結ばれることは、アンドレア・ドリアに所属する、みんなの願いでもあった。 自分に課せられた役回りが、いかに重要なものであるかを、強く肝に銘じた。


 数時間後、リッカルドは自室に戻って制服を着替えると、艦橋にもどって指揮を引き継いだが、フランチェスカはラウンジに現れることはなかった。

 艦橋詰めの士官からの連絡で、リッカルドだけが執務についたことを知ると、エミリアは直ぐにフランチェスカの部屋を訪ねた。

 フランチェスカの乱れた着衣とベッドの荒れ様から、何があったのかエミリアには見て取れた。

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