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TS投稿小説第127番 クリスマス・プレゼント
作.うずら
多くの子供たちが待ちに待ったクリスマス。街も人も浮かれる季節。
小さな兄弟のいるこの家も例外なく幸せに包まれていた。
「うわあ、ご馳走だね、お兄ちゃん」
「ああ!」
お母さんに呼ばれた兄弟が二階にある共有の部屋から降りてきた。
テーブルに並んだフライドチキンやケーキに、二人の目は釘付けになる。
お父さんがスイッチを入れると、小さなクリスマスツリーが部屋の隅でピカピカと輝き始めた。
二人が歓声を上げている間に、お母さんとお父さんも席につく。
お父さんがニコニコと笑いながら、弟のあさきに問いかけた。
「あさき、今年はサンタさんに何を頼むんだ?」
「えー、ヒミツだよー」
「そうかぁ。ゆうきはどうだ?」
「俺もナイショ」
「なんだ、二人ともお父さんには教えてくれないのか?」
示し合わせたようなその姿に、お母さんもお父さんも楽しそうに笑っている。
そんな幸せな家族団らんの時間は、兄・ゆうきの怒鳴り声で消滅してしまった。
「今、グリーンピース、俺の皿に入れたな!」
「先にニンジンをおしつけたのはお兄ちゃんだよ」
「俺は兄貴だから、何してもいいんだ!」
「うー、お兄ちゃんのばかぁ!」
「ばかって言った方がばかなんだぜ、知らないのかよ!」
勝ち誇ったゆうきにあさきが拳を振り上げた時、お父さんが立ち上がった。
二人の頭を痛みを感じる程度の強さでたたく。
「こら二人とも! こんなときぐらいケンカするんじゃない!」
「もう、ケーキは抜きだからね! ちゃんと反省しなさい!」
「「あ……」」
お母さんもケーキを冷蔵庫に仕舞いに行ってしまう。
兄弟は互いを恨みながら、黙々と食事を再開した。
たまに目が合ってはそっぽを向くその姿に、両親は密かにため息をつくのだった。
「「ふんっ!!」」
結局、仲直りをしないままの兄弟はケーキを食べられずに、寝る時間になってしまった。
まだ個人の部屋を与えられてないので、嫌な相手と同じ部屋でも仕方がない。
お互いに心の中でののしりながら、二段ベッドにもぐりこむ。
(あんなヤツ、うるさいだけだっ。佐藤の妹みたいに可愛くておとなしい妹なら、オレだって可愛がったのに……。よし、サンタさんのお願いにそう書こう!)
(お兄ちゃんなんか嫌いだっ。たかし君のお姉さんみたいに優しくてビジンのお姉さんだったら、僕だって仲良くしてもらえるのに……。あ、サンタさんだったら、お姉さんくれるかな?)
靴下に願い事を書いた紙を入れ、二人は眠りについたのだった。
25日。
朝早く目が覚めた兄弟は、すぐにお互いの枕元に置いてあるはずのクリスマスプレゼントを探し始めた。
「あれぇ?」
「……おかしいなぁ」
しかし、探しても探しても見つからない。
とうとうケンカをしていたことも忘れて、ゆうきがあさきを呼んだ。
「ちょっと、降りて来いよ」
「う、うん」
あさきは梯子を使って、素早くゆうきのベッドに降り立った。
そこで、顔を見合わせた兄弟は息を呑んだ。
「え?」
「あ?」
お互いの目に、自分と同い年ぐらいの女の子が映っていた。
「お前、誰? あさきは?」
「え、僕があさきだよ。君こそ、誰? お兄ちゃんはどこに行ったの?」
「……おい、ちょっと、そこの鏡取れよ」
ゆうきは質問に答えずに目の前の美少女に命令した。
半ば無視された格好のあさきは、憮然としながらも指示に従う。
小さな鏡を受け取って、まじまじとそこに映った自分の姿を見つめるゆうき。
やがて蒼白の顔で鏡をあさきに押し付けた。
「こ、これが僕、なの……?」
認めたくないのに認めざるをえない。
その事実はやはり受け入れがたく、二人そろって体中を弄り回す。
「や、やっぱりおちんちんもない」
「僕もないっ! それに胸もなんだか腫れてるよぉ!」
「し、死んじゃうのかな、オレたち」
「うわああん、そんなのやだあっ」
とうとうあさきは不安に耐え切れずに泣き出してしまった。
その様子に、ゆうきもしゃくりを上げ始める。
「もう、朝から何を騒いでるの?」
「お、お母さん……」
泣き声を聞きつけて、お母さんが慌てて部屋に入ってきた。
二人の頭を撫でながら、大きくなったあさきを諭す。
兄弟から姉妹に、それも年齢が逆になってしまったにも関わらず、まったく動じていない。
「あさひはお姉ちゃんなんだから、ゆうひが怖がってたらちゃんと慰めてあげないとだめでしょ」
「え、僕? あさひ? お姉ちゃん?」
「ゆうひ……ってオレのこと?」
「こら、ダメでしょ、女の子がそんな言葉を使っちゃあ」
「え、だって」
「だってじゃないでしょ。いつもはわたしって言ってるのに」
まるで元から女の子だったかのように言われ、なぜかそうだったかも、と思ってしまう。
「えっと、ごめんなさい、ママ」
「ごめんなさい……」
「いいのよ。怖い夢でも見たのね?」
「うん、ゆうひが泣いちゃって、私まで不安になっちゃったの」
「だ、だって、わたしやおねえちゃんにおちんちんが生えてたんだもん……」
姉妹を安心させようと微笑んでいたお母さんは、すっと真顔になった。
その急激な変化に戸惑う二人。
「ま、ママ?」
「どうしたの、どこか痛いの? パパ、呼ぶ?」
「え、あ、大丈夫よ。その、二人が男の子だったらって想像しちゃってて」
しどろもどろになりながらも、またいつもどおりの微笑を浮かべた。
「そうそう、今年はサンタさんからのプレゼント、廊下に置いてあったわよ?」
「「あ!」」
お母さんに指摘されて、そろって声を上げた。
我先にとプレゼントに向かって駆けて行く。
すぐに甲高い歓声が聞こえた。
「ふふっ、男の子用のは無駄になっちゃったわね……」
子供たちが寝付いた後、今では両親が話し合っていた。
「あなた、二人ともすっかり仲良くなって、一緒に寝ちゃったわ。大成功ね」
「ああ。でも、大人にまであのクスリが効果があるなんてな」
「ええ。世間の認識や知識もずれるから大丈夫だとは思うけれど……」
「それより、体の心配をした方がいいぞ。今日は女の快感をたっぷり味あわせて
やるからな」
「もう、あなたったら。……3人目、できるかしらね」
<END>
多くの子供たちが待ちに待ったクリスマス。街も人も浮かれる季節。
小さな兄弟のいるこの家も例外なく幸せに包まれていた。
「うわあ、ご馳走だね、お兄ちゃん」
「ああ!」
お母さんに呼ばれた兄弟が二階にある共有の部屋から降りてきた。
テーブルに並んだフライドチキンやケーキに、二人の目は釘付けになる。
お父さんがスイッチを入れると、小さなクリスマスツリーが部屋の隅でピカピカと輝き始めた。
二人が歓声を上げている間に、お母さんとお父さんも席につく。
お父さんがニコニコと笑いながら、弟のあさきに問いかけた。
「あさき、今年はサンタさんに何を頼むんだ?」
「えー、ヒミツだよー」
「そうかぁ。ゆうきはどうだ?」
「俺もナイショ」
「なんだ、二人ともお父さんには教えてくれないのか?」
示し合わせたようなその姿に、お母さんもお父さんも楽しそうに笑っている。
そんな幸せな家族団らんの時間は、兄・ゆうきの怒鳴り声で消滅してしまった。
「今、グリーンピース、俺の皿に入れたな!」
「先にニンジンをおしつけたのはお兄ちゃんだよ」
「俺は兄貴だから、何してもいいんだ!」
「うー、お兄ちゃんのばかぁ!」
「ばかって言った方がばかなんだぜ、知らないのかよ!」
勝ち誇ったゆうきにあさきが拳を振り上げた時、お父さんが立ち上がった。
二人の頭を痛みを感じる程度の強さでたたく。
「こら二人とも! こんなときぐらいケンカするんじゃない!」
「もう、ケーキは抜きだからね! ちゃんと反省しなさい!」
「「あ……」」
お母さんもケーキを冷蔵庫に仕舞いに行ってしまう。
兄弟は互いを恨みながら、黙々と食事を再開した。
たまに目が合ってはそっぽを向くその姿に、両親は密かにため息をつくのだった。
「「ふんっ!!」」
結局、仲直りをしないままの兄弟はケーキを食べられずに、寝る時間になってしまった。
まだ個人の部屋を与えられてないので、嫌な相手と同じ部屋でも仕方がない。
お互いに心の中でののしりながら、二段ベッドにもぐりこむ。
(あんなヤツ、うるさいだけだっ。佐藤の妹みたいに可愛くておとなしい妹なら、オレだって可愛がったのに……。よし、サンタさんのお願いにそう書こう!)
(お兄ちゃんなんか嫌いだっ。たかし君のお姉さんみたいに優しくてビジンのお姉さんだったら、僕だって仲良くしてもらえるのに……。あ、サンタさんだったら、お姉さんくれるかな?)
靴下に願い事を書いた紙を入れ、二人は眠りについたのだった。
25日。
朝早く目が覚めた兄弟は、すぐにお互いの枕元に置いてあるはずのクリスマスプレゼントを探し始めた。
「あれぇ?」
「……おかしいなぁ」
しかし、探しても探しても見つからない。
とうとうケンカをしていたことも忘れて、ゆうきがあさきを呼んだ。
「ちょっと、降りて来いよ」
「う、うん」
あさきは梯子を使って、素早くゆうきのベッドに降り立った。
そこで、顔を見合わせた兄弟は息を呑んだ。
「え?」
「あ?」
お互いの目に、自分と同い年ぐらいの女の子が映っていた。
「お前、誰? あさきは?」
「え、僕があさきだよ。君こそ、誰? お兄ちゃんはどこに行ったの?」
「……おい、ちょっと、そこの鏡取れよ」
ゆうきは質問に答えずに目の前の美少女に命令した。
半ば無視された格好のあさきは、憮然としながらも指示に従う。
小さな鏡を受け取って、まじまじとそこに映った自分の姿を見つめるゆうき。
やがて蒼白の顔で鏡をあさきに押し付けた。
「こ、これが僕、なの……?」
認めたくないのに認めざるをえない。
その事実はやはり受け入れがたく、二人そろって体中を弄り回す。
「や、やっぱりおちんちんもない」
「僕もないっ! それに胸もなんだか腫れてるよぉ!」
「し、死んじゃうのかな、オレたち」
「うわああん、そんなのやだあっ」
とうとうあさきは不安に耐え切れずに泣き出してしまった。
その様子に、ゆうきもしゃくりを上げ始める。
「もう、朝から何を騒いでるの?」
「お、お母さん……」
泣き声を聞きつけて、お母さんが慌てて部屋に入ってきた。
二人の頭を撫でながら、大きくなったあさきを諭す。
兄弟から姉妹に、それも年齢が逆になってしまったにも関わらず、まったく動じていない。
「あさひはお姉ちゃんなんだから、ゆうひが怖がってたらちゃんと慰めてあげないとだめでしょ」
「え、僕? あさひ? お姉ちゃん?」
「ゆうひ……ってオレのこと?」
「こら、ダメでしょ、女の子がそんな言葉を使っちゃあ」
「え、だって」
「だってじゃないでしょ。いつもはわたしって言ってるのに」
まるで元から女の子だったかのように言われ、なぜかそうだったかも、と思ってしまう。
「えっと、ごめんなさい、ママ」
「ごめんなさい……」
「いいのよ。怖い夢でも見たのね?」
「うん、ゆうひが泣いちゃって、私まで不安になっちゃったの」
「だ、だって、わたしやおねえちゃんにおちんちんが生えてたんだもん……」
姉妹を安心させようと微笑んでいたお母さんは、すっと真顔になった。
その急激な変化に戸惑う二人。
「ま、ママ?」
「どうしたの、どこか痛いの? パパ、呼ぶ?」
「え、あ、大丈夫よ。その、二人が男の子だったらって想像しちゃってて」
しどろもどろになりながらも、またいつもどおりの微笑を浮かべた。
「そうそう、今年はサンタさんからのプレゼント、廊下に置いてあったわよ?」
「「あ!」」
お母さんに指摘されて、そろって声を上げた。
我先にとプレゼントに向かって駆けて行く。
すぐに甲高い歓声が聞こえた。
「ふふっ、男の子用のは無駄になっちゃったわね……」
子供たちが寝付いた後、今では両親が話し合っていた。
「あなた、二人ともすっかり仲良くなって、一緒に寝ちゃったわ。大成功ね」
「ああ。でも、大人にまであのクスリが効果があるなんてな」
「ええ。世間の認識や知識もずれるから大丈夫だとは思うけれど……」
「それより、体の心配をした方がいいぞ。今日は女の快感をたっぷり味あわせて
やるからな」
「もう、あなたったら。……3人目、できるかしらね」
<END>
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兄弟が姉妹になって、年齢まで逆になるなんて最高でした!
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