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[PR] 広島 美容外科 オフィス家具 買取 あむぁいおかし製作所 【投稿小説】第2型ライフ ④
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【投稿小説】第2型ライフ ④

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作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

《エピソード4》
 目を覚ましたのは、どのくらい時間が経ってからだろう。
 ――あったかい。ふわふわしてる。
 ――腕や足の感覚がねぇ。体が溶けちまったみてぇだ……
 だが、次第に意識がはっきりしてきた。
 ここは風呂だ。そして俺はあおむけの状態で湯船につかっている。
 だが、見えるのは俺の家の風呂の天井じゃない。
 ここで第三新東京市を舞台にしたネタを言うだけの気力はなかった。
「ここは、どこ……?」
「あ。気が付いた、ミカン?」
 ふと顔を動かすと、さかさまになったキノットの顔があった。エメラルドグリーンの両眼が俺の視線と交わる。銅色の髪は純白のタオルに巻かれている。
「キノット……?」
「ここはあたしの家のお風呂だよ。湯加減どう? ぬるめとあったかめの間に調整しといたから、心地いいんじゃないかな」
「あぁ、とても心地いい…… ………… ………… ………… ……え?」
 今、なんて言った?
「ここお前の家ぇ!?」
「そだよ。保険の先生にも手伝ってもらったけど、スカートびちょぬれのミカン背負って帰るの大変だったんだから、いろんな意味で」
「ちと言葉選んでくれる!? って言うかそれ色々まずガボガボガボガボ……!」
 浴槽から出ようともがいた途端、俺は湯に沈んだ。
 当たり前だ。手足の感覚もまともに機能していないのにいきなり体を動かそうとしたのだから。
 落ち着きを取り戻した途端に落ち着かなくなるという矛盾が発生。
 浴槽の中、俺はキノットの隣でまた膝を抱えて縮こまっていた。
「俺とキノットが一緒のお風呂に入ってるなんて。水着を着ているならまだしも……」
「お風呂で水着を着ている方がおかしいってフツー」
「デスヨネー」
 いやでもそうじゃない。色々そうじゃない。
「でもさっき『発散』したから、あたしが裸で横にいても息苦しくなるほどドキドキしないでしょ?」
 思い出した。
 女子更衣室でパニックに陥っていた俺を、キノットが解放してくれたのだ。まともに覚えてはいないが、大声を上げ、涙を流し、全身を痙攣させながら気をやっていた気がする。思い出しただけでまたエッチな気分になりそ…… なった。
「まあでも」
 そう言ってキノットは「う~ん!」と伸びをして答える。おいおい、胸隠せ。
 どうやら俺もバスタオルは巻かせてもらえていないようだけど(髪をまとめるためのタオルは巻かれている)。
「驚いたよねー。ユズキとスグちゃんがあんなだったなんて。特別に仲がよさそうな雰囲気なんてこれっぽっちも見えなかったのに」
「あぁ、ホントに。まぁ人の恋愛事情に首突っ込むつもりはねぇけど、ひょっとしたら衝動的な何かかも知んねぇぞ。柚木が八重山を手伝っている最中にどっちかが告白か~ら~の~? ってこともあるかもだし」
「成る程ね。だとしたらどっちがどっちを好きなんだろ?」
「俺の知ったこっちゃねぇな。けど、俺もいつか誰かを好きになることあるのかな。だとしたら男だけは遠慮するな、ホモになりたくねぇし」
「………… ……――のに」
「え?」
「何でもない」
 そう言って、キノットはザバッと水音を立てて湯船を出た。
「あぁそうそう。ミカンの分の新しい下着とパジャマ用意しといたから、今日は泊まっていくといいよ。ごはんもあるからさ」
 そう言って今度こそ、キノットは浴室を出て行った。
 あとには俺ひとり、湯船の中に残されてしまった。
 俺はありがたくキノットのおもてなしを受け、買ったばかりらしい下着とキノットのパジャマを借りて夕食をごちそうになった。家への連絡は、メールで済ませることにした。
「悪いな、洗濯までしてもらっちまって」
「いいのいいの。ベッドまでは用意できないからソファーで寝てね?」
 キノットの家は、かなり豪華な一軒家だった。
 さすがに風呂まで入ったのは今日が初めてだが、何度か遊びに来たことがある。ローカル鉄道に沿って走る大通りに面しており、芝生の庭とシンメトリーの煉瓦壁調の邸宅と言ってもいい建物が構えている。庭ではガーデニングをやっているらしく、広さのある畑とひな壇の花壇には様々な植物が育っている。
 キノットの部屋は2階にあり、バルコニー(屋根のないベランダ)に出ることもできる。よく晴れた夏の日は、キノットはそこにハンモックを運び出して夜風に揺られながら寝ることもあるらしい。
「泊めてもらうんだ、贅沢は言わねぇよ」
「あははは。そうだ、明日の準備できた?」
「明日の教科書以外はな。アラームも30分早くセットしたし、いつでも寝れる」
「じゃあさ、ベッドにおいでよ。寝るまで女子トークしない?」
「女子トークって何だよ」
「そうだね、ファッションとかトレンドとか、あとは好きな人を語り合ったりして夜の時間を無駄に過ごすの」
「無駄にって言った!?」
「その無駄な時間が大事なのさ。情報交換ついでに女の子同士の親睦を深めるって言うね」
「親睦を深めるって言っても、俺たちいつも一緒にいるし、今更……」
「まぁまぁ、こっちおいでって」
 通学カバンにしているメッセンジャーバッグをソファーのひじ掛けの下に立てかけると、俺は頭を掻きながらキノットのベッドの端に腰かける。ベッドの上には、キノットが『女の子座り』でちょこんと座っている。おい、その座り方は骨盤によろしくないってテレビで言ってなかったか?
「いきなりだけど、ミカンには好きな人っていないの?」
「い、いや、今までずっと水泳ばっかりだったし。それと男を好きになるのだけはねぇな」
「そっか、今はフリーなんだ」
「まあ、その、そうなる? ……じゃあキノットには好きな奴いるのかよ」
「いるよ」
 キノットはためらうことなく言い放った。
 今、胸の真ん中にとげが刺さったような気がしたのは気のせいだろうか。
 少し気分が悪くなったが、寝て起きれば大丈夫だろう。構わずキノットに尋ねた。
「ふ、ふ~ん……? それって同い年?」
「うん。部活も一緒だよ」
「水泳部の男子か、誰だろ。本栖? 河内? じゃなきゃ……」
「じゃあヒント。その人は男子ではありません」
「爆弾発言!? じゃあ女子かよ、お前ってレズだったのかよ!? となると須田? 小松? まさかあの八重山とか言わないよな……?」
「じゃあラストヒント。その人は1年の時から好きな人で、記憶が確かならあたしの初恋の人。その人は友人のキスシーンを目撃しただけで発作を起こすほど初心(うぶ)な性格。去年の水泳大会では女子代表に選ばれるも今年はタイムが伸び悩み、その原因は誰にもその成長を止められない、グラビアアイドルも真っ青のわがままボディー。ちなみにあたしはレズではありません。好きになった人がたまたま女の子なだけです。しかもその女の子は、少し前まで男の子でした。さて誰でしょう?」
「はぁ!?」
 ラストヒントにしては情報量多すぎ!
 だがそれを叫ぶほど、今の俺はノリがよくない。
 去年は代表入りしても今年は選ばれなかった、元男子の現女子。
 友人のキスシーンを目の当たりにして発作を起こしたやつ。
 その条件を満たす水泳部の女子生徒って言ったら。
 まさかとは思うけど、それ以外の人物いるわけがない。
「…………… ……俺?」
 自分の顔を指で差し、キノットに尋ねた。
 当のキノットは。
「やっと分かってくれたか、この鈍感」
「何が鈍感!?」
「鈍感だよ。ずーっとシグナル送ってたのに気づかないのはどこの誰かな?」
「……ごめん、気付かなかった。何がシグナルなのか」
「だから鈍感なのさ」
 そう言って、キノットは右手で俺の左頬を撫で、そのまま俺の髪を梳いて。
「あたし、元々全然泳げなかったんだ。だから中学生の時はプールが大嫌いで、海に行っても釣りしかすることなくて。焼きそばとラーメン食べ過ぎて太ったこともあったなぁ」
「……マジ?」
「マジ。でも中学1年の初詣の時。ミカンに出会って、ミカンと何とか友達になりたくて2年生の夏に水泳部に入って、ビーチ板を使って25メートをクリアすることから始めて、気が付けば今年の大会のレギュラー。あたし自信びっくりしてる」
「そうだったのか。全然分からなかった。俺、自分のことばっかりでさ」
「そんなことないよ。あたしが泳げないでいると自分の練習を中断しても教えてくれたのはミカンだけだったから。ミカンが教えてくれたから、今のあたしがいるんだよ」
 すると、髪を梳いていたキノットの手が後頭部に回される。
「ずっと友達になりたいと思ってた。でも今は違う。あたしは、ミカンが」

《追加イラスト希望》 ※ささみさんに打診中です。

 俺の頭に回されたキノットの手、その指先に力が入ったのを感じると。
「はむ……」
「あふぁふぃわ、むぃはんわふひ(あたしは、ミカンが好き)……」
 唇に、やわらかくて甘い感触を感じた。
 俺にとって、初めてのキス。
 男としても女としても、初めてのキスだった。
 キノットはどうなのだろう。ひょっとしたら、キノットも。
「ふぃもっぽ(キノット)……?」
 唇が離れる。
 互いの唇の間に、銀色の絹糸が輝く。
 キノットは言った。
「ミカン。きみだけは絶対に手放したくないから。たとえ水泳の代表に選ばれなくても、超絶エッチな女の子になっても、あたしはどんなことがあってもミカンのことをずっと好きでいるから。これだけは、絶対だよ」
 そしてまた、唇を重ねてくる。
 それはまさに、夕方、互いを求め合っていた八重山や柚木のように。
 それを思い出した途端、また俺の胸の奥が震えた。
 あの時と同じ発作だ。
 だがあの時ほど息苦しくなかったし、身動きが取れないほどパニックになるようなことはなかった。むしろ、ゆっくりとではあるが手足が動き、そして興奮する反面それ以上に癒される。心地よくて、チョコレートのように甘い。
「キノット。俺、もうダメかもしれない……!」
「ダメになっていいよ。いっぱいダメになって、あたしだけのミカンになって。凛々しくてカッコいいだけのミカンじゃない、あたしだけにしか見せないダダ甘のミカンになっていいんだよ。ううん、なっちゃって、あたしのために」
 溶ける。とろける。甘くなる。
 深く、白く、あたたかく。
 現実なのか、夢なのか。
 癒されながら、興奮している。
 もうどうだっていい。
 TS病のせいでとてつもなくいやらしくなってしまった自分を、
 キノットのために、
 いっそ受け入れてしまおう。
「キノット……」
「ん? なぁに?」
「俺は……」
 言おう。
 いっそ言っちゃおう。
「お前が、好きだ」

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