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投稿TS小説第128番 ねぇ、こんな結末

作.うずら


一年で数日間だけだし、何年かに一度の周期ぐらいは仕方ないのかもしれない。
俺はそんなことを思って自分を慰めつつ、自転車を漕いでいた。
「うう、寒い」
こういう日に限って、風が吹き荒れている。
たしか、前線の影響でどうのこうのと、ニュースで言っていた。
予報はしょっちゅう外すくせに、こんな時だけ当てるんだから嫌になる。
「引き返す、か?」
いや、ここまで来てしまったら届けに行くべきだ。
郵便局のバイトが誤配さえしなければ、こんな手間をかけずに済んだのに。


コタツで温もりたい。
その一心で、予想より早く目的の家についた。
我が藤田家から直線距離にして数百メートルのところに建っている藤井さんの家だ。
表札には一字を変えたら、親父と同姓同名になる名前が書いてあった。
……これはしょうがないと思うしかないだろう。
相当に忙しいという噂だし。
カタン、と一枚だけの年賀状を郵便受けに落とし、再び自転車にまたがった。
「にゃー」
「え、猫?」
猫好きを自認する者としては、鳴き声を聞いたからには撫でずにはいられない。
大抵逃げられるけど。
自転車を降りて手袋を脱いでいると、庭の茂みから灰色の塊が飛び出してきた。
擦り寄って来てくれるのは嬉しいけど、なんか薄汚れてるな、こいつ。
「よしよし」
この人懐っこさなら大胆に行ける、と油断していた。
上から手を伸ばしたせいか、頭に触れる直前、指に噛み付かれてしまった。
「いッ」
あ、あれ?
振り払おうとしても、腰が抜けて腕にも力が入らない。
視界がぼやけて揺れている。貧血だろうか。
地面にへたり込んでからしばらくすると、視界が鮮明になってきた。
「お主おかげで助かった。礼を言う」
「あ、ど、どうも」
いつの間に来たんだろう。
目の前には10歳ぐらいの男の子が立っていた。
親の趣味なのかなんなのか。ネコミミのカチューシャを頭に付け、なぜか二股に
分かれた尻尾が揺れている。
愛らしい見かけに反して年寄りじみた口調に、つい間抜けな返事をしてしまった。
「ふむ、意外に美しくなったものだな」
「え?」
なんのことだろう。
容姿平凡中肉中背の成人男性を捕まえて、可愛い? それはないな。
後ろに女の子でもいるのか、と振り返ってみるものの誰もいない。
「気が付いていないとは、鈍感というべきか、大物というべきか」
「……それは俺のことか?」
嘗め回すような嫌らしい目で観察されれば、馬鹿でも分かろうというものだ。
俺は子供だからって、甘やかすつもりはないぞ。
叱ってやろうと立ち上がり、そして違和感を感じた。
その感覚に従って、身体中をまさぐってみる。
「ん、ぁっ」
服の上からでもはっきりと分かる、大きな乳房。
擦れると痛いような、痺れるような不思議な刺激がある。
ズボンの中にも何もないことは、触る前から分かっている。
俺は男だ。なのに、こんなのってあるのかよ。
「どういうッ!? あー、あー……ウソだろ?」
声も若干ハスキーだが、逆にソレが色っぽい、女の声になってしまっていた。
こんな高音、裏声でも出なかったのに。
茫然自失と言うのだろうか。
完全にパニックに陥っていたせいで、さっきの子供が俺の首筋を舐めるまで、そ
の存在を忘れきっていた。
「ふぁっ」
「先ほど噛み付いたときに、お主の『人性』をいただいた」
「な、何を言って」
「本来ならそのまま成り代わるところだが」
言っている意味は分からないが、寒さ以外の理由で身体中に悪寒が駆け巡った。
逃げようとしても、少年に抱きすくめられたまま、指一本動かない。
そこへ首に歯の当たる感触。
吸血鬼じゃあるまいし、下手をして血管でも食い破られたら死んでしまう。
「冗談、だろ」
「安心するといい。お主はなかなかの美味であった。殺しはせんよ」
「あっ」
ぷつん、と皮膚と血管が破れる音を聞いた気がした。
俺の中から熱いモノが溢れ出していく。
どうにかして止めなければ、俺が俺でなくなってしまう。
そう分かっていても、なすすべもない。
「んくっ。お主の『人性』を奪っているだけでは、その存在は消滅するのみ」
「死ぬのは、嫌、だ」
「うむ、だから、我が持っている『猫性』を微量だが譲ってやろう。これでお主
は生まれ変わるのだ」
その言葉と同時に、冷たいナニカがどろりと俺の中に侵入してきた。
身体中に浸透していくのが分かる。
異形へと作り変えられているという感覚。
それは蕩ける様に甘く、俺を翻弄していく。
「や、ぁっ、ひあ、にゃぁぁんっ」


目を開けると、そこには俺と瓜二つの男が立っていた。
自分に合うというのは不思議な気分だ。
違いといえば、せいぜい俺より釣り目なことぐらいだろう。
「あんた、誰だ? たしかさっきまで……」
「こら、駄目だろう、音子(ねこ)。女の子なんだから、男みたいな乱暴なしゃ
べり方をしちゃ」
「あ、ごめんなさい」
い、今の、俺がしゃべったのか?
口を開く気もなかったのに、まるで大人しい少女のような……。
「そうそう、その調子だよ。意識まではいじれないから、それは後でちゃんと調
教してあげるよ」
「は、はい、よろしくお願いします」
調教なんてされてたまるか!
そう言うつもりが、出てきた言葉は恥ずかしげな肯定だった。
俺が抵抗しようとしている様子を察したのだろうか、男はにやにやと笑っている

「それにしても、音子はなんで俺の服なんか着てるんだ?」
「え?」
言われて自分の体を見る。
服はだぼだぼで太ももまであり、ズボンは道路に投げ出されてしまっている。
ちょっと待て。
立っているのに、まるで座っているかのように視点が低い。
慌てて服をめくって確認する。胸にも股間にも何の凹凸もない。
「そん、な」
「こら! 女の子がなんてはしたないことを!」
「ご、ごめんなさい……」
謝ろうと思っていないのに、口が勝手に動いてしまう。
「いや、許さない。君は女の子なんだから、可愛らしい振る舞いしか出来ない。
そうだよね?」
「は、い」
「いい子だね。おいで、音子」
嫌だ、やめてくれ!
どんなに心が抵抗しても、身体は好きに動き続ける。
だぼついたトレーナーをスカートのようにぎゅっと下に伸ばしながら、内股で男
の前に進む。
「音子はお兄ちゃんの服を勝手に着て出かける、悪い妹だ」
「はい、ごめん、なさい」
じわっと視界がにじむ。
涙が溢れてきたのだ。
睨みつけようと思ったのに、逆に俯いてしまう。
くそっ、なんで!
「でも、小さな可愛い妹だから、ちゃんと謝れば許してあげるよ」
「ほんとっ!?」
顔の筋肉が釣り上がる。
きっと極上の笑顔を浮かべていることだろう。
それが自分だと思うと吐き気すらしてきそうだ。
「ああ」
「ごめんなさい、もうしないから許してください」
「うん、良く出来たね」
くしゃくしゃと頭を撫でられると、それだけでポカポカと身体が温かくなった。
今も払いのけようと必死に思っているのに。
と、また勝手に動き、男の腕にしがみつく。
やめろ、やめろ、やめろ!
「お兄ちゃんっ」
「ん?」
何を言おうとしているのか、なぜか理解できた。
言わないでくれ!
それ以上、俺の身体をもてあそばないでくれ!
願いもむなしく、口がゆっくりと開き、言葉がつむがれる。
「大好きっ♪」

<FIN>





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