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【投稿小説】第2型ライフ  《サブエピソード ~縁日~》

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作:旅わんこ https://twitter.com/Bul_let
イメージキャラデザイン:ささみ https://skima.jp/profile?id=16473

高校生活にも慣れ、初めての夏。
 地元・詩の月町の神社でのお祭り。
 たくさんの屋台が並び、神社ではステージイベントが催され、浴衣や甚平に身を包んだ人たちが祭りを楽しんでいる。
 あたしは高校のクラスメイトでもある男友達と一緒に訪れていた。金髪にピアスにと言う不良っぽい感じの三住真(みすみ まこと)、クラスの雑学王で黒縁メガネがトレードマークの八神朔太郎(やがみ さくたろう)だ。
 そんなあたしたちの格好だけど、あたしは紺色の甚平と雪駄(せった)、マコトは十字架のネックレスや指輪やダメージジーンズなどで着飾ったストリートファッション、朔太郎ことサクはどことなく女の子っぽい金魚柄の水色の浴衣に下駄と言った具合。
 マコトは言う。
「なぁなぁ。さっきの舞を踊ってた巫女さん見たか? あの胸、帯に乗っかるくらいぼいーんだったよな? な!?」
「またマコトはそう言うところばっかり目が行く。しかも大声で言う。だから彼女ができないんじゃないの?」
「うるせーなー、お前だけひとりジェントルマンぶりやがって。あ、ほら。少し前にいる甚平の女の子。ちょっと胸はないけど顔は可愛いよなー!」
「見られた見られた! だからそう言う恥ずかしいこと言うなぁぁぁ! ……ねぇサク。きみからも何とか言ってやってよ」
 あたしはそう言うけれど、サクは首を横に振るとメガネを押さえて言った。
「真くんのスケベは小×生のころからだからね。スカートめくりして先生に説教食らっても、その日のうちにまたやらかしてたんだから。僕が言ってやめてくれるならとっくにやめてるよ」
「……ダメか」
 諦めない限り人はなんだってできるって言うのはゲームの中だけの話だったか……
 もうダメ。へっちゃらじゃないよ。
 しょうがない、ちょっと懲らしめよう。
「じゃあ悪いけど、ぼくはこれで帰るよ? せっかく今からグラビアアイドルのミカンのお父さんがやってるお好み焼きの屋台に連れてってあげようとしたのに、友人がこんなにスケベだと向こうも迷惑かなー?」
「マジ!? あのグラビアアイドルの湯河原蜜柑か!? キノット、お前あの子と知り合いだったのか!? 行く行く! もちろん行くぜ! なぁ朔太郎? 行くよな!? 頼む、お前からもキノットを説得してくれよ?」
「……こうなると止まらないからね、真くんは」
 マコトのスケベさに小学校のころから悩まされていると言う幼馴染のサク。やれやれと言いたげに顔を横に振ると、あたしに言った。
「あんまり暴走するようなら僕が止めるから、連れてってあげてくれないかな。それに詩の月高校から生まれたアイドルなんだ、僕も興味がないわけじゃないし。頼めるかな、キノくん?」
「さっ、サクがそう言うなら、しょうがないなぁ……」
 お祭りともなればいろんな人が破目を外す。小さな子どもたちは親の心配をしり目にはしゃぎまわり、いい年した大人は酒を飲んで千鳥足。祭りの役員はテントでビールをあおり、若者もやはり酔った勢いで適当な人に絡む。
 マコトもそんなひとりだ。高校生のくせに青テープ本買ってきて高校の教室でそれを開いては、女子に白い目で見られた挙句先生にそれを取り上げられてあたしとサクを巻き込んで先生に説教されても平然としているようなやつだ。ここで大人しくしていないわけがない。
「そうと決まれば行こうぜぇー! お好み焼き屋だったな、キノット、案内しろよ!」
「うぁっ!?」
 マコトがあたしの手を取って先に歩き始めた。おかげであたしは足をもつれさせバランスを崩し、かかととサンダルがずれたことでそのまま転んでしまった。「うづづづづづ……!」
「キノット!」「キノくん!」
 マコトが振り返り、サクも小走りで駆け寄ってくる。
 あたしは何とか砂利の地面に両手をついて上半身を起こした。まだ転んだ先が大粒の石を敷き詰めた砂利だったからよかったものの、石畳の参道との段差のせいでまた足をひねってしまったようだ。踏み外して捻った右足が痛い。
「ごめん、捻った…… 誰か、手を貸してもらえる?」
 すると。

「しゃーねぇな。ほら」

 その声は、高く凛としていた。
 マコト、サク、そのどちらでもない、女の子のものだった。
 そしてその声は、あたしにとってとても身近な声。
 そう。
「ミカン……?」
 声が聞こえた方を見上げると、そこにその人はいた。
 あたしの前に手を差し伸べてくれている、あたしの想い人、ミカン。
 参道との境界、そこで転んだあたし、そこに手を差し伸べてくれるミカン。何もかも、あたしとミカンが出会った瞬間と同じ。違うのはあたしたちの性別くらいだった。
 強いて服装の違いまで挙げるとするなら、ミカンは赤い法被に青い帯、足袋、そしてハチマキと言うお祭りカラーを押し出した祭り装束に身を包んでいた。胸にさらしを巻いても、そのたわわに実った果実はどうにも人の視線をくぎ付けにしてしまうものだ。
「ミカン……?」
「ほら、手」
 そう言ってミカンは改めて手を差し出す。
 あたしはミカンが差し伸べてくれたその手を、ゆっくりと掴んだ。
「あ、あの、ありがとう……」
「どいたま。ったく、また似たようなところで転んでんのかよ。俺たちが出会った時と同じじゃね、これ?」
 そうだった。
 あの時は冬、初詣に訪れた時だったし、ミカンは男の子であたしも女の子だった。でもあの時も、あたしはちょうど参道と砂利道の境目で転んで足をくじき、動けないでいたところをミカンに助けてもらったのだ。
「そう、だったね…… またミカンに助けてもらっちゃった」
「いつだって助けてやるよ。俺もキノットに支えてもらってるからな」
 そう言って、相変わらず少年っぽく笑うミカン。
 そしてあの日と同じ、チャームポイントの八重歯が下唇に引っかかっている。女の子になった今、それがよりミカンのかわいさを引き立てている。
 ミカンは言った。
「どうする、足冷やすか?」
「ううん。あの時ほどひどくないから。あんまり痛くなるようだったら自分で手当てするし」
「そっか? キノットがそう言うならあまり節介焼かない方がいいよな。よし、うちの店に来なよ、うんとおいしいお好み焼き作っちゃうからさ!」
 ダメージは少ないので、あたしは自分の両足でしっかり立った。それなのに、ミカンはまだあたしの手をつないだまま。それを見て、マコトとサクは言う。
「何だよ何だよ? お前ら、ずいぶん仲良さげじゃねぇか。知り合いってレベルじゃねぇんじゃねぇのか!?」
「そうだね。何て言うか、かなり親しい間柄とか?」
 そう尋ねてくるふたりに、あたしは、
「そうそう。紹介が遅れたけどミカンはあたしの恋び……」
 恋人、と言おうとしたのに。
 なんとミカンはとんでもなく甘酸っぱい爆弾を投下してきたのだ。
「キノットの未来の旦那さんで~す。お前みたいにスケベ丸出しなやつにキノットを取られてたまるかって話だ!」
 そのたわわな胸を、あたしの腕に押し付けながら。
「違う! いろいろと違う! ミカンがお嫁さんなの! ってやっぱりそうじゃなぁ~いっ!」
「バカな! 湯河原はオレが狙ってたのに! 高校卒業したら告白するぞって決めてたのに! あぁぁんまりだぁぁぁぁぁぁあああっ!」
「……残念だったね、真。新しい恋を一緒に探そうじゃないか」
 血の涙を流しながら崩れ落ちるマコトと、そんな彼の肩に手を置いて慰めるサク。
 そんなふたりをしり目に、ミカンはあたしの腕に抱き着いて胸を押し付けながら歩きだした。しかも背中越しに、マコトに対して意地悪で幼稚な「あかんべー」をしながら。

 そして、ミカンは小さな声で囁く。
「……まあ? たまには浮気してもいいけど、ちゃんと俺のところに帰ってくるんだぞ?」
「さっきの話聞かれてた!?」
「あぁ、しっかりとな。……きししし!」
 そう言ってミカンは、やっぱり意地悪く笑う。
 かわいい八重歯が、今は軽く憎たらしい。



 神様。
 いっそ軽く殺してください。

完成
《登場人物紹介》
三住真(みすみ まこと)
八神朔太郎(やがみ さくたろう)
 超絶スケベと恥ずかしがり屋、妙な組み合わせのキノットの友人。
 キノットを悪の道へと引きずり込んでゆく。
 名前の由来は、マーコット及び苗木商のマーコット・スミスと、八朔。



《今度こそ、本当におしまい》

《あとがかない!》

 ドーモ、読者=サン。
 作者の旅わんこデス。(合掌)

 8月中旬でしたでしょうか。
 ツイッターを開いていると、水曜イラスト企画のイラストがあむぁいさんのツイートで目に留まりました。ストラップが背中で交差するタイプのスク水、たわわに実ったお胸さんとお尻、オレンジ色の髪に小さな八重歯、完璧にストライクで「これはもう書かせてほしい!」と衝動的に思ってしまいました。
 見切り発車の執筆でプロットも何も用意していない状態での執筆。当初は蜜柑は柚木と結ばれる予定でしたが、そのあとに思い浮かんだキノットが自分の脳内で膨れ上がってきたので「よしこいつと結ばせよう」と考えました。
 ちなみに劇中で登場するウイルス性性別転換症。これは、少年少女文庫様および小説家になろう様で掲載させていただいている『緋色の風』に登場するアメリカ発祥の病気です。外来病原体との反応で第2型が誕生し、陸軍の軍人である少年→メインヒロインがそれに感染して女の子になって賞金稼ぎの男と結ばれると言うことになりました。
 今回、キノットを性転換させるにあたって第3型を生み出したわけですが、それに当たっての理由付け…… これ大丈夫かなぁ。それに女の子から男の子になるって、メインヒロインであるミカンと結ばれるためとはいえ需要あるのかなぁ。不安です。
 水泳部および水泳大会に関するツッコミもあると思います。事実僕は水泳部に所属していたことはありません(それなりに調べ物はしましたが)。まぁそこは「この物語はフィクションです」ということで勘弁してください。次はもっといいものを書くことをお約束します(書く機会があれば、ですが)。

 最後になりましたが、
 素敵なイラストを用意してくださいましたあむぁいさん、絵師のささみ先生。
 そしてあとがかないあとがきまで読んでくださいました皆様。
 心から感謝しております。ありがとうございました。
 もしよろしければ、『小説家になろう』様および僕の個人サイト『旅わんこ出没注意 旅するまめしば』の作品もご覧いただければ嬉しく思います。なんちゃって。



 それでは、失礼いたしました!
 オタッシャデー!(ニンジャサヨナラー)

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